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なぜ、mRNAワクチンの副作用が多いのでしょうか? 更新2021/4/23

投稿日:2021年4月23日 更新日:

1年前からmRNAワクチンは2か月間は効果が持つと言われてきましたが、最近は6か月間は効果が持続でいると言われるようになりました。と同時に、様々な副作用も報告されるようになりました。その最たるものは血栓症であり、アナフィラキシーショックであります。なぜ最近のmRNAワクチンは当初よりも長持ちする代わりに副作用が多く報道されるようになったのでしょうか?

mRNAはワクチンを投与された健康人のリボソームでmRNAという遺伝子情報がSARS-Cov-2のスパイクタンパクmRNAが作らせ、このスパイクタンパクに対するIgM抗体を患者の免疫で作らせて、ワクチン投与後SARS-Cov-2が感染しても抗体が出来ているので一時的にはIgM抗体の中和反応やオプソニン効果により感染が起こらないという理論です。すでに書いたように遺伝子情報であるmRNAはヘルパーTリンパ球の働きを必要としないので、IgM抗体からIgG抗体にクラススイッチができないのみならず、一時的に作られるIgM抗体には半減期が短く5日間しかないので、すぐに作られたIgM抗体が減ってしまいます。もちろん永続的なワクチンによって作られるIgGは産生することは出来ないことはすでに説明しました。ちなみにIgG抗体の半減期は4つのIgG1、IgG2、IgG3、IgG4のサブクラスによって異なり、7日から23日と言われています。

少しIgM抗体について復習しておきますと、このIgMクラスの免疫グロブリンは、感染に反応して産生される最初の免疫グロブリンであるのは、骨髄で産生された全てのB細胞は膜型IgMを持って生まれるからです。さらに、B細胞が分泌型IgMを産生する形質細胞に変わると5個のIgM(五量体)となって血中に分泌されます。IgMは、新生児が最初に合成する免疫グロブリンでもあり、かつ病原体が侵入した時に最初に合成する免疫グロブリンがIgM抗体であります。B細胞膜結合型IgMと分泌型のIgMとはFc領域が異なっています。

B細胞膜結合型IgMは、B細胞の内在性膜タンパク質として直接的にB細胞膜上に存在します。分泌型IgMは上で述べたように五量体分子であり、五個のIgM免疫グロブリンがジスルフィド結合によって共有結合的に結合しており、この五量体の構造によって10個の複数の結合部位が存在します。各1個のIgM単量体は、2本の軽鎖(κまたはλのいずれか)と2本の重鎖によって形成されています。分泌IgM抗体は五量体であるため、10個のFc部分を持っているので数多くの補体と結合することができるので、補体の活性化や病原体を凝集する作用が他のクラスの抗体よりも優れています。したがってmRNAワクチンによって作られるIgM抗体は、自然免疫である補体の働きを活発にさせ、SARS-Cov-2ウイルスに付着して好中球や大食細胞に貪食させてSARS-Cov-2ウイルスを減少させている仕事もしていますが、この働きはワクチンの効果とは言えません。IgMの半減期は約5日です。

したがって、mRNAの効果を高めようとすればIgM抗体を大量に作らせ、半減期が5日であっても最初に作られるIgMが多ければそれだけ減り方が少なくなるので最近のmRNA の投与量が副作用がでない最大限の量が投与されているのです。ところが残念なことにmRNAは人間にとって異物の遺伝子ですから、この異物に対してタンパクが作る前に免疫が戦い出すと様々な副反応が出現する度合いが増えてしまいます。その結果、血栓やアナフィラキシーショックなどが出現してしまうのです。

mRNAワクチンを作るのには本当は5年から10年かかるのですが、時代の要請で健康な人にmRNAワクチンの量や副作用を治療しながら人体実験をやらざるを得ないのでこれからもmRNAワクチンの副作用が新たに報告される可能性が非常に高いのです。

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