うつ病 コラム ヘルペス関連

東京慈恵医大による「うつ病の原因遺伝子の発見」の矛盾 2020.7.9更新

投稿日:2020年6月25日 更新日:

 まず最近メディアを騒がせている、東京慈恵医科大学の「うつ病の原因遺伝子の発見」は全て間違っているという論証の第一報を書きましょう。さらに続いて、第二報、第三報を出す予定です。まずこの論文の間違いの根拠をいくつか提示しておきましょう。詳しくは、論文の内容の一つ一つを検討する際に証明していきましょう。

まず1つ目は、うつ病の定義がなされていないことです。うつ病は、絶対に異常な遺伝子が発現するタンパクが原因ではありません。ちょうど自己免疫疾患になる遺伝子がないのと同じです。もちろん自己免疫疾患は医薬業界が作り上げた病気ですがね。アッハッハ!全ての人が耐えきれない状況に陥るとうつ病になれるのです。全ての人を不幸にすれば、全ての人がうつ病になれます。一例としてあげれば、殺されるためにアウシュヴィッツの収容所に入れられた全ての無垢なユダヤ人は、多かれ少なかれうつ病だったのです。アウシュヴィッツからの数少ない生還者の1人であるヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」を読めばお分かりになるでしょう。

 2つ目は、東京慈恵医科大学は、以前から「6番目のヘルペスウイルス(HHV-6)がうつ病の原因である」と主張し続け、HHV-6がどのようにうつ病を引き起こすのかを研究し続けてきました。ところが本当のうつ病の原因は、自分の欲望が満たされない強いストレスに耐えるためにステロイドホルモンを出し過ぎたために免疫が落ち、とりわけ脳神経に住みつきやすいHHV-6が増えただけであるのです。つまり現代医薬業界が絶対に認めようとしないのは、ストレスに耐えるためにステロイドホルモンを出し過ぎて、その結果HHV-6が増えたという真実です。ストレスがなくなれば、この世にうつ病などは全く起こりようがないのです。全ての人間の欲望が思い通りに満たされれば、ほとんどの精神病はなくなるでしょう。昔から精神分裂症(統合失調症)は遺伝子病だといわれましたが、完全に否定されています。同じように、うつ病も遺伝子の問題ではなくて、ストレス、つまり心の問題に過ぎないのです。この人間社会において、資本主義であろうが共産主義であろうが、人間関係から必然的に生じるストレスから逃れることはできません。だからこそこのストレスに対抗するために、人類はステロイドホルモンを作る進化を遂げたのです。ストレスホルモンだけでストレスに耐えられない人は、うつ病をはじめとする様々な精神の疾患、つまり心の疾患を招いてしまうのです。ステロイドホルモンとストレスについてはこちらを読んでください。

ところが東京慈恵医大の研究者たちは、うつ病の真の原因は目に見えないストレスであるということに気づかずに、たまたまうつ病の人は後述するメガゲノム研究でHHV-6が多かったので、「このHHV-6の何かが原因になる」というつまらない研究に手を出し始めたのです。その結果、HHV-6の遺伝子が作るSITH-1というタンパクが原因だというとんでもない結論を出してしまったのです。うつ病の最高の治療法は、不可能ではありますが、患者の思い通りになんでもしてあげることです。アッハッハ!

3つ目は、うつ病を起こす遺伝子などは存在しないのです。うつ病は遺伝子が作り出すタンパクとは全く関係ないのです。東京慈恵医大の論文は牽強付会に作られた間違った論理のオンパレードです。うつ病というのは、遺伝子の問題ではないので、遺伝子の作り出すタンパクとは全く関わりのない心の問題です。この論文の著者は、この事実を知っているので、うつ病を引き起こす遺伝子をHHV-6が持っているとすり替えたのです。

HHV-6がうつ病のタンパクを作るSITH-1の遺伝子を持つなどということは、絶対にあり得ないことです。というのは、既に述べたように、うつ病というのは自分の思いが叶えられない時に葛藤が起こり、それがストレスとなり、免疫が落ちてHHV-6が増え過ぎただけであり、HHV-6が作った病気ではないからです。うつ病の度合いが異なるのは、ストレスの強さとストレスが継続する長さによってうつ病のひどさが決まるだけです。

例えば、今をときめくソフトバンクグループの大天才 孫正義社長も、仮にコロナ禍で何十兆円も失って借金まみれになって破産し、再起不能が明確になれば必ずうつ病になります。うつ病の極限は自殺ですから、ひょっとすればあり得るのです。

ここから分かるように、うつ病の治療は、ストレスを避け、かつ抗ヘルペス剤を飲ませれば治ってしまうのです。現代の精神科のうつ病の薬も全て根本治療ではありません。

 4つ目は、原因を結果と取り違えていることです。後で詳しく書きますが、HHV-6が作り出したSITH-1というタンパクが原因と彼は述べていますが、これは嗅球の細胞自身が隣の細胞にHHV-6が感染しないようにアポトーシスを行った後、つぶれた細胞のタンパクの一部がSITH-1であるのです。しかも嗅球というのは、においを嗅ぎ分けるためだけの脳細胞ですから、まるでうつ病とは関係のない働きしか持っていないのです。しかもこのSITH-1というタンパクの精細については一言も述べられていません。

実はこのSITH-1はDAMPの一部に過ぎないのです。DAMPとはdamage-associated molecular patternの略で、日本語で「ダメージ関連分子」と訳します。DAMPの機能は、細胞の危機を仲間の細胞に知らせるアラーム(警報)であり、タンパク質から核酸まで細胞の構成成分や機能成分や生理学的成分の多岐にわたります。DAMPはアポトーシスの残骸ですから、このように生きた細胞が作った様々な化学物質であり、あるいは残りカスの全てが含まれているのです。DAMPについてはこちらを読んでください。

ちなみに、後でも書きますが、脳細胞が死に至る原因は他に3つあります。1番目は、患者の免疫が高い時に、脳細胞にヘルペスウイルスが感染すると、キラーT細胞やNK細胞に細胞もろともヘルペスを殺してしまう場合です。2番目は、患者の免疫が低い時に、ヘルペスウイルスが脳細胞で増殖して次の細胞に感染する時の、ヘルペスによる細胞変性死であります。3番目は、患者の免疫が高い時に、ヘルペスウイルスが感染すると、感染した細胞からIFN-αとIFN-βというサイトカインを作り出し、隣の細胞にヘルペスウイルスが感染しようとしているのを伝えると同時に、自分も自爆テロをやってしまう方法です。もちろんIFN-αとIFN-βを認知した隣の細胞も、ヘルペス感染が生じれば同じように自爆テロをしてさらなる感染を防ぐという愛他的行為を行うのです。ちなみにDAMPの中にIFN-αとIFN-βが含まれていると考えられます。

 5つ目は、この東京慈恵医大の論文では、ストレスによってHHV-6が増えると述べているのにもかかわらず、この増えたHHV-6がどんどん感染脳細胞に増殖し、隣の脳細胞に感染する時に利用し尽くされて変性死を起こした脳細胞のDAMPの中にSITH-1というタンパクが生じているだけに過ぎないのに、この事実を無視し、HHV-6がSITH-1を作ることによってうつ病の原因となるという新たなる論理を提示していることです。繰り返しますが、うつ病は心のストレスによって起こるだけなのです。

現代の日本人で絶対にうつ病にならない人物がいます。ユニクロの柳井正さんですね。今日の新聞でも我が母校の京都大学に100億円寄付するというニュースが載っていました。柳井さんの両隣にかの有名な本庶佑先生と山中伸弥先生の満面の笑顔で満ちた顔が並んでいましたね。アッハッハ!

6つ目は、この論文の趣旨である、6番目のヘルペスウイルス(HHV-6)が嗅球の細胞に感染し、SITH-1という遺伝子を発現させて、SITH-1というタンパクを作り、嗅球の細胞をアポトーシスするという間違った理論の根幹であります。なぜ間違いかというと、あらゆるウイルスは人体の細胞に入り込んで、細胞の生化学機構を利用して増殖をするために細胞に感染し続けることによってしか生き続けることができないのです。そのウイルスが自らアポトーシスを起こし、自ら命を断ち切ることは絶対にあり得ないことなのです。ウイルスの生存原理を、ウイルス自身が破ることは絶対にあり得ないからです。皮肉を言えば、HHV-6がうつ病にかかったようなものですね!アッハッハ!ちょうどうつ病で自殺する遺伝子が人間に備わっているわけがないのと同じです。同様に、自己免疫疾患があり得るわけはないのと同じであるにもかかわらず、世界中の難病の全ては自己免疫疾患なのは医者が作り出した病名に過ぎないのです。嗅球の細胞をアポトーシスさせるのは、嗅球の細胞が隣の細胞にHHV-6が感染しないように、免疫が高い時にIFN-αとIFN-βという自然免疫のサイトカインを作って自爆テロを行った細胞による愛他的行為なのです。人間の心よりも細胞の方がはるかに立派な心を持っているようですね、アッハッハ!IFN-αとIFN-βについてはこちらを読んでください。

7つ目は、それではDAMPにSITH-1というタンパクが含まれていますが、このSITH-1は誰が作ったのでしょうか?決してHHV-6の遺伝子が作ったのではなくて、人間の嗅球の細胞が作ったのです。SITH-1を誰が作ったのかを調べると、脳のアストロサイト(星状膠細胞)が特異的に作っていると他の論文で書かれていますが、一体アストロサイトとはなんでしょうか?別の論文では、SITH-1はHHV-6が作ったと書かれていますが、この矛盾はどのように理解すればいいのでしょうか?

今日はここまでです。2020.6.25

以下に東京慈恵医大の論文をまな板の鯉にして詳しい説明とともに論文の誤りについても批判していきましょう。その前に嗅球とアストロサイトについて詳しく正確に理解しておきましょう。

嗅球はにおいをかぎ取る嗅覚組織です。

左に嗅球と第一脳神経である嗅神経についての3つの絵図を掲載しておきます。嗅球はヒトにおいては前頭葉の下に位置する長円形の小さな構造です。鼻腔中の嗅上皮でにおいを受け止めた嗅神経細胞からの入力(刺激)を大脳の嗅皮質に出力(伝達)します。他の感覚である視覚や聴覚や体性感覚や味覚の情報は、いずれも視床を通って大脳皮質の一次感覚野に入力するのに対し、嗅覚情報は嗅球から直接脳の嗅皮質に入力します。人間は動物から進化してきました。動物は嗅覚でにおいを鋭く分別し、自分にとって毒であるかないかとか、敵か味方かをとっさに見分けて生き延びてきたので、そのシステムを受け継いだ人間も、においを素早く嗅球から直接脳の嗅皮質に伝えるシステムをそのまま受け継いで進化してきたのです。従って、時間のかかる左右の嗅球を直接つなぐ交連繊維はなく、左右の嗅球はそれぞれ独立して交連繊維を通さずして嗅皮質に伝えられます。

交連繊維とはなんでしょうか?ヒトの大脳は左右二つの大脳半球から成り立っており、におい以外の他の感覚神経は左右の大脳半球間を連絡し合いながら情報を伝え合っている神経で成り立っています。左右の大脳半球をつないでいるのが交連繊維なのです。嗅球は前頭葉の下に位置する長円形の小さな構造で、鼻腔のてっぺんにある嗅上皮の匂い受容体でにおいを嗅ぎ、このにおいの刺激を嗅神経細胞に伝え、交連繊維を用いずに直接に嗅皮質(嗅覚野)へと伝達します。人の脳の嗅皮質は365種類のにおいを嗅ぎ分けられます。嗅神経から嗅皮質(嗅覚野)へ伝わる経路は少し複雑ですが、左の3つ目の絵図をしっかり見て理解してください。ちなみに動物は1000種類以上のにおいを嗅ぎ分けることができます!

上に嗅球と嗅球を構成している細胞と嗅球周辺の組織を詳しく絵図で示しましょう。まず嗅球は、神経と神経を繋ぐ単純なシナプスでもなく、さらに末梢神経と中枢神経とを繋ぐ神経細胞体の集まりでもないのです。人体の外部の全てのにおいを処理するためのにおいに関わる細胞の集団である組織全体を嗅球とまとめて表現しているだけです。左の図の黄色い部分の1)は嗅球、2)は僧帽細胞、3)は骨(篩骨の篩板)、4)は鼻粘膜上皮、5)は嗅糸球(嗅神経の軸索)、6)嗅覚受容細胞です。ちなみに嗅糸球というのは、腎臓の糸球体は毛細血管が無数に巻きついて糸玉を作っているように、嗅神経の軸索が集まって巻きついて糸玉を作っているというイメージで嗅糸球と名付けられたのです。嗅球組織が複雑なのは、やはり動物であった人間の祖先が嗅球から入ったにおいの判別が生命を制したので複雑にならざるを得なかったのです。左の3つ目の絵図に鋤鼻神経(じょびしんけい)と書かれていますが、人間においては、鋤鼻器や鋤鼻神経は胎児期には存在していますが、存在していていても痕跡のみとなっています。他の動物ではこの鋤鼻器はフェロモンを認知しているといわれています。人間は他の動物と同じようにフェロモンを出しているかについては確定していません。

アストロサイトは脳のグリア細胞の一つです。

アストロサイトは、脳のグリア細胞、英語でglial cellで、日本語で神経膠細胞と訳しますが、このグリア細胞の一つがアストロサイトです。グリア細胞は、神経系を構成する神経細胞(ニューロン)ではない細胞の総称で、人間の脳では1000億個もある神経細胞の50倍〜100倍ほど存在しているといわれています。gliaという言葉は、膠(にかわ)、英語でglueを意味するギリシャ語に由来しています。

グリア細胞の役割

グリア細胞の役割は、1つ目が、神経細胞(ニューロン)の固定であり、神経細胞の支持組織といえます。2つ目が、神経栄養素の合成と分泌です。3つ目は、神経を取り囲む髄鞘(ミエリン)の構成要素です。4つ目は、血液に過剰に放出されたカリウムなどのイオンをグリア細胞に再吸収します。5つ目は、脳内の神経伝達物質をグリア細胞内に素早く再回収して、神経伝達物資がいつまでも神経に伝達し続けることを防止します。6つ目は、血管内皮細胞とともに血液脳関門(Blood Brain Barrier、縮めてBBB)を形成し、脳に入れてはならない脳血流に混ざり込んだ脳にとって有害な物質を取り除くフィルターの役割をします。さらに、7つ目のグリア細胞の役割は、脳内の多種多様な神経伝達物質の受容体となっています。この受容体へのリガンドである神経伝達物質を結合してグリア細胞自身もイオンを放出し、シグナル伝達の役割も行っています。

グリア細胞は、ミクログリアと、アストロサイトと、オリゴデンドロサイトと、上衣細胞と、シュワン細胞と、衛星細胞の6種類あります。

1つ目のミクログリアは、英語でmicrogliaであり、日本語で小膠細胞と訳し、Hortega細胞(オルテガ細胞)とも呼ばれます。ミクログリアは中枢神経系で食作用を示し、免疫のほか異常代謝物などの回収を担う細胞です。他のグリア細胞が外胚葉由来であるのに対して、ミクログリアは白血球同様造血幹細胞由来、つまり中胚葉由来であり、マクロファージ(大食細胞)の特殊化したものです。ただ人体は異物が多すぎるので、大食いしなければ異物を処理できないのですが、脳の中はBBBがあるので、血液から異物が入りにくいのでミクログリアは小食細胞と名付けていいでしょう。アッハッハ!

2つ目のアストロサイトは、英語でastrocyteであり、日本語で星状膠細胞です。アストロはギリシャ語で「星」という意味であるので、星のように突起がいくつか出ているようですが、実際はきわめて多数の密な突起を持っている複雑な構造をしています。アストロサイトの多数の突起の間を走行する神経線維が見られます。既に述べたように、この神経線維の保持と固定に、支持細胞としてアストロサイトは役割を果たしているのです。アストロサイトは脳の血管基底膜に多数の密な突起を接して、血液脳関門(BBB)の閉鎖機能を担っています。

3つ目のオリゴデンドロサイトは英語でoligodendrocytesであり、日本語では希突起膠細胞や乏突起膠細胞や稀突起膠細胞といいます。アストロサイトと比べて小型で突起が少ないので、「希」とか「乏」とか「稀」という日本語になり、オリゴも少ないという意味ですね。オリゴデンドロサイトは、軸索に巻きついて髄鞘を形成と、髄鞘で巻きついた神経細胞の維持と栄養補給の機能を持ちます。髄鞘は英語でmyelin sheathといい、神経細胞(ニューロン)の軸索の周りに巻きついている絶縁性の脂質の層を指します。おもにミエリンという脂質からなることからミエリン鞘ともいいます。ミエリンの成分のひとつのコレステロールが絶縁性を持ち、神経パルスの伝導を高速にする機能があります。髄鞘は、グリア細胞の一種であるシュワン細胞とオリゴデンドロサイトから成り立っており、シュワン細胞は末梢神経系の神経細胞の軸索を覆っているのが髄鞘であり、オリゴデンドロサイトは中枢神経系の神経細胞の軸索を覆っている髄鞘であります。髄鞘中のミエリンが顕微鏡では見た目が相対的に白く見えるので、神経繊維が多く分布する大脳の内側にある髄質や、脊髄の外側にある皮質などを白質と呼びます。ひとつのオリゴデンドロサイトは数本の突起を伸ばし、2種類以上の神経細胞の軸索突起を同時に取り囲む髄鞘となることもあります。

4つ目の上衣細胞は、中枢神経系に存在するグリア細胞であり、脳室系の壁を構成する細胞です。脳室内で脈絡叢上皮を、脳室正中面で脳周囲器官を形成しています。脳室とは脳脊髄液が産生される脳内の腔です。左右一対の側脳室と、脳のど真ん中である正中に第三脳室、第四脳室が一つずつ、計四つの脳室があります。これらは相互に連絡があり、くも膜下腔へと繋がっているので、脳脊髄液は脳室内を循環できます。脳脊髄液は英語でCerebrospinal fluidといい、略してCSFといいます。CSFは、脳と脊髄にある無色透明の体液で、脳室の脈絡叢の特殊な上衣細胞によって産生され、くも膜顆粒に吸収されます。 CSFは常に約125 mLあり、毎日約500 mLが生成されます。 CSFはクッションまたはバッファ(buffer)として機能します。バッファとは、緩衝液と訳し、外から少量の酸や塩基を加えても,また,希釈して濃度を変えても,その影響を緩和してpH(水素イオン指数)をほぼ一定に保つ緩衝作用の働きを持つ水溶液を緩衝溶液といいます。さらに頭蓋骨内部の脳に基本的な機械的および免疫学的保護を提供します。 CSFは、脳の血流の自動調節においても重要な機能を果たします。 CSFにはリンパ液も流れているので、免疫学的保護があると考えられてますが、詳細は不明です。

5つ目のシュワン細胞(鞘細胞)は、既に説明しましたが、末梢神経の軸索に巻きついて髄鞘を形成します。髄鞘を持つ神経細胞を特に有髄神経といい、一つの有髄神経細胞にはたくさんのシュワン細胞が通常巻きつくのに対し、複数の神経細胞にまたがって巻きつくシュワン細胞は存在しない。 一方、中枢神経の髄鞘を形成するアストロサイトは複数の神経細胞の軸索にまたがって巻きついている話は既にしましたね。

6つ目の衛星細胞(satellite cell)は、別名、神経膠細胞であり、英語でganglional gliocyteといいます。外套細胞(satellite cell)とも呼ばれます。衛星細胞も外套細胞も英語では同じsatellite cellと訳します。また英語でNeuro-satellite cellともいいます。衛星細胞は、脊髄神経節、感覚神経節、交感神経節、副交感神経節にあって、神経細胞体を取り巻きます。および自律神経系神経節の神経細胞体を取り囲む細胞です。衛星(外套)細胞は、脊髄神経節や交感神経節の神経細胞体の周囲を取り囲んで存在し、ひとつの神経細胞に対して数個から十数個がとり囲んでいます。役割は、神経細胞体への栄養供給および神経細胞体の保護です。細胞質はやや塩基性であり、核周囲に細胞小器官が局在しています。

ちなみに筋肉中に存在する衛星細胞もあります。筋肉の衛星細胞は、神経の衛星細胞と同じく、英語でsatellite cellといいます。骨格筋の前駆細胞であります。成熟した筋肉の細胞は多数の核を持った合胞体でありますが、筋肉の衛星細胞は核が一つである(単核)前駆細胞であります。前駆細胞であるので、成熟した筋肉の細胞に見られる細胞質をほとんど持たないのです。活性化により、衛星細胞は細胞周期に入り、増殖および筋芽細胞に分化することが出来ます。衛星細胞は基底膜と筋鞘の間に存在しています。筋肉の衛星細胞は分化し、既存の筋繊維に融合することができます。この筋肉の衛星細胞は最も古くから知られていた成体幹細胞であり、通常の筋成長や受傷後の再生に関与しているのです。

東京慈恵医大の「うつ病はHHV-6が作り出すSITH-1タンパクによる」という研究論文を批判したかったのですが、今日はここまでです。乞うご期待!

今日はここまでです。2020/07/02

東京慈恵医科大学の「うつ病の原因遺伝子の発見 -ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染はストレス応答を亢進させることで、うつ病のリスクを著しく上昇させる-」の論文はこちら

ここから東京慈恵会医科大学の論文とその論文批判を始めます。赤字は私の批判文となります。

うつ病の原因遺伝子の発見

(うつ病の原因遺伝子は人間の遺伝子にもなく、HHV-6が持っているわけではありません。)

-ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染はストレス応答を亢進させることで、うつ病のリスクを著しく上昇させる-

(潜伏感染はストレス応答を亢進させるという文章は極めてあいまいな文章です。これも原因と結果を取り違えた文章です。HHV-6が潜伏感染するのはホスト(宿主)の免疫が高くなっているときです。ホストのストレスが強くなるとホストはストレスに対抗するために、副腎皮質からストレスホルモンを大量に産生して免疫を抑えます。感染しているホスト細胞にストレスがあってHHV-6は潜伏感染から、いわゆるリティック感染(lyticinfection)となり、感染細胞内で増殖を始めるだけで何もストレス応答を亢進させるという文脈が続かない現象は起こらないのです。したがって、その後のうつ病のリスクを上昇させるという全く意味のない間違った論理の帰結です。)

東京慈恵会医科大学・ウイルス学講座・近藤一博

【要旨】
大規模な遺伝子研究が行われたにも関わらず、ヒト遺伝子の中にはうつ病の原因となる有効な遺伝子は発見されませんでした。

(当然です。うつ病を引き起こす明白ないかなる遺伝子も存在しないからです。)

我々は、ヒトに寄生する微生物を含む遺伝子群(メタゲノム)に研究対象を広げ、ヒトに潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)が持つ、うつ病の原因となる遺伝子SITH-1を発見しました。

(メタゲノム解析は、英語でメタゲノミクスと言われ、人体外の環境サンプルから直接回収されたウイルスや細菌、ゲノムDNAやRNAを扱う微生物学の研究分野であり、メタゲノム解析を単純にメタゲノムとも言われます。彼は、初めからうつ病は微生物によるものだと決め込んだことが間違いの始まりです。)

SITH-1は脳のストレスを亢進させることで、

(遺伝子がストレスを亢進させることは絶対にありえません。なぜならばストレスは心や感情の問題であるからです。心や感情を支配する遺伝子はありえないのです。)

うつ病を発症させる作用があり、うつ病と診断されない程度の軽いうつ症状にも影響していました。またSITH-1は、ヒトを12.2倍うつ病になりやすくさせ、79.8%のうつ病患者が影響を受けているという、非常に効果の大きい遺伝子であることも分かりました。

(このデータが正しければ、脳を神経細胞に感染したHHV-6が昔から脳炎や脳症を起こすことは知られていたのですが、このような脳炎や脳症もHHV-6が感染した脳細胞がストレスによりステロイドホルモンを出し過ぎてHHV-6が増殖した結果、脳細胞変性壊死が生じてDAMPの一部がSITH-1であっただけの話です。)

さらに我々は、血清中の抗体検査によって、SITH-1の発現を検出する方法も開発しました。

(SITH-1が何者であるのか調べ尽くしたのですが、東京慈恵医大の近藤先生以外の論文で見つけ出すことができませんでした。)

この研究結果により、血液検査によって、うつ病になりやすい人を発症前に知ることが可能となると考えられます。

(全ての人は、思い通りにならないストレスが長く深刻に続けばうつ病になって当然です。ストレスのない幸せな子供たちは絶対にうつ病になりません。)

また、このような非常に効果の大きい原因遺伝子の性質を研究することで、うつ病の発症メカニズムの解明や治療法の開発に、これまでにない新たな展開をもたらすことが期待されます。

(ヘルペスウイルスは3つの亜科に分けられます。1つ目はαヘルペスウイルスであるHSV-1(単純Ⅰ型)、HSV-2(単純Ⅱ型)、VZV(水痘帯状)の3つと、2つ目はβヘルペスウイルスであるサイトメガロウイルス(CMV)とHHV-6とHHV-7の3つと、3つ目はγヘルペスウイルスであるEpstein-Barrウイルス(EBV)とHHV-8の2つがあり、合計8種類あります。

HHV-6は、βヘルペスウイルスなので、βヘルペスウイルスはチミジンキナーゼをもっていないため,アシクロビルなどのウイルスが持っているチミジンキナーゼに依存的な薬であるアシクロビルの効果は期待できないのです。ところが、HHV-6に対してはガンシクロビル(GCV)とホスカルネット(FOS),およびシドフォビル(CDV)については抗ウイルス効果が確認されているので、なぜガンシクロビル(GCV),ホスカルネット(FOS),およびシドフォビル(CDV)をうつ病に使わないのか不思議でたまりません。特にガンシクロビル(GCV)およびホスカルネット(FOS)を用いた症例で髄液中のHHV-6とHHV-7ウイルスのDNAが速やかに減少,消失した報告がある上に,2019年3月には世界で初めて,日本でホスカルネット(FOS)がHematopoietic stem cell transplant、日本語で造血幹細胞移植と訳し、略してHSCT後にHHV-6脳炎治療薬として承認されたことを東京慈恵医大は知っているのでしょうか?少なくともホスカルネット(FOS)を使ってSITH-1が消えて、かつうつ病の症状が消失すればHHV-6がうつ病の原因であることが証明できるのに何故ホスカルネット(FOS)を大学の研究治験だけでも使わなかったのか不思議でたまりません。)

【研究の背景】
疾患の原因は驚くほど明らかにされておらず、症状を緩和する対症療法によって治療が行われているのが普通です。

(そうです。現代に残された病原体による病気の原因はヘルペスとの戦いだけです。残念ながら、新新型のコロナウイルスは人類破滅まで人類を悩ませ続けるでしょうが。アレルギーは化学物資ですから、これは現代科学文明が作った化学物資による新たなる病気なのです。化学物資というアレルゲンがあまりにも人体に取り込まれ、Th-2の排除のT細胞により作られたIL-4、IL-5、IL-10、IL-13によりBリンパ球がアレルギー抗体IgEを作るようになってしまい、Th-1の殺しの世界(殺菌の世界)から体外に化学物資という異物を排除するために生じた正しい免疫の働きなのです。決して過敏反応ではないのです。このアレルギーもTh-2が出すIL-10により刺激されたCD4を持っているTh-0(ナイーブT細胞)が新たに分化したregulatoryT細胞(Treg)が産生するIL-10とTGF-βにより、最後は自然後天的免疫寛容が生じBリンパ球がIgEを作る必要がなくなり、化学物資と共存できるようになるのです。)

このため、疾患の原因を解明するために世界規模な遺伝子解析研究が行われました。

(金ばかりかかる無駄な研究です。)

世界中の様々な疾患の患者や健常人の染色体の遺伝子(ヒトゲノム)を調べることで、疾患の原因となる遺伝子を発見しようという研究でした。しかし、ヒトゲノムの研究は、期待された程には、疾患の原因遺伝子の発見には繋がりませんでした。

(当たり前のことです。感情を支配する遺伝子はないのです。感情は歴史的、文化的な遺伝子と言われるmeme(ミーム)によって決められるのです。ミームという言葉は、イギリスの動物行動学者のリチャード・ドーキンスが作った言葉であり、遺伝子ではなくて模倣を通じて、脳から脳へと、さらに子供から子供へと遺伝子の単位である4つのヌクレオチドや、あるいは塩基が伝達され、かつ複製されるように文化の情報の単位であるmemeもある1つの文化圏に伝わる文化の遺伝子単位を意味する造語であります。ドーキンスによるミームの定義は、遺伝子の基本単位は旋律や観念、キャッチフレーズ、衣服のファッション、壺の作りかた、あるいはアーチの建造法、あるいは葬儀のやり方や、宗教などいずれもミームが寄せ集められて作られた文化遺伝子の発現の例であるのです。遺伝子が遺伝子プール内で繁殖するに際して、精子や卵子を担体として体から体へと飛びまわるのと同様に、ミームがミーム・プール内で繁殖する際には、広い意味で模倣と呼べる過程を媒介として、脳から脳へと渡り歩くのです。ミームは遺伝子との類推で論じられ、複製、多様化、自然選択が進化の条件であるのは遺伝子と同じでありますが、ミームは文化を構成する人々の心から心へと広まっていく文化感情というべきものなのです。ミームは広まる過程で多様化し、自然淘汰により進化していくのです。例えば、資本主義がなくなれば金が全てを支配する文化もなくってしまうのです。国家が貧富を失くしてしまい、まじめに生きている人には飯が食える保証をすれば、食べる不安も一切なくなってしまうのです。)

多くの関連遺伝子が見つかったのですが、疾患を引き起こす効果の小さい遺伝子ばかりで、決定的な遺伝子はほとんど発見されなかったからです。そこで最近では、ヒトのゲノムだけではなく、ヒトに寄生している細菌やウイルスなどの遺伝子も総合的にヒトの遺伝子として調べなければならないという考え方が提唱されるようになりました。これをメタゲノムと言います。ただ、メタゲノムは少なく見積もってもヒトゲノムの数百倍の大きさ(数の多さ)があるので、実際に研究しようとすると非常に多額の費用を必要とします。うつ病の遺伝子に関しても、大規模なヒトゲノム検索が行われましたが、有効な原因遺伝子は一つも発見されておらず、メタゲノムが注目されつつあります。今回の我々のうつ病の原因遺伝子SITH-1の発見は、うつ病の発症に関して非常に大きい効果を持つ遺伝子を、メタゲノムの一つであるヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の遺伝子の中に見つけたというもので、うつ病の原因を明らかにするだけでなく、疾患の遺伝子研究において、かなり時代を先取りしている研究でもあります。

(時代を先取りしすぎて日本中や世界中の医学者が誰も認めないのです。アハハ!)

【うつ病の原因遺伝子SITH-1の発見】
HHV-6は、小児期に突発性発疹として感染し、ほぼ100%のヒトで潜伏感染しています。潜伏感染中のHHV-6は唾液中に最も多く存在し、鼻腔から脳の一部である「嗅球」に達して、ここでも潜伏感染します。

(潜伏感染中は増殖しないので、潜伏感染中の細胞からHHV-6のビリオンが細胞から外部に出て唾液に出ることは滅多にないのです。現代、人間にとって一番大きなストレスは、能力差が生まれた時から決まっているのに、猫も杓子も自由競争をやらざるを得ない資本主義というシステムが作り出すのです。)

HHV-6は脳神経に親和性の高いウイルスで、様々な脳神経疾患や精神疾患との関係が予想されているウイルスです。

(脳炎と脳症の原因は既にHHV-6であることは証明されています。臨床的な急性脳炎・脳症では意識障害やけいれんなどの中枢神経障害を伴いますが、病理学的には脳炎・脳症は組織形態をもとに区別され, 形態学的観察で炎症が認められる場合に脳炎, 炎症を欠く場合に脳症とされます。それは宿主側の反応の違いで区別されます。脳炎と脳症は症状から区別できません。病理学的に脳に炎症所見があったり、脳や髄液から原因となるウイルスなどの微生物が検出されるものを脳炎、微生物が検出されず炎症所見もないものを脳症と呼びます。

それでは脳炎(急性脳炎)、脳症(急性脳症)の違いはどこにあるのでしょうか?脳炎(急性脳炎)はウイルスが脳の中で直接増殖することによって中枢神経の障害が起きる病気です。ウイルスが中枢神経の髄鞘の細胞(アストロサイト)や脳神経に感染して起こります。これには、単純ヘルペス脳炎や日本脳炎などがあります。単純ヘルペス脳炎には、抗ウイルス薬、アシクロビルが効果を示します。臨床的には、脳炎では脳実質に炎症(白血球の浸潤)があり,脳症では脳実質に炎症は原則としてないのです。脳症(急性脳症)の多くは,感染に伴うサイトカインストームが血液脳関門(BBB)を破綻し,脳浮腫を生じ、脳症が発生すると考えられています。脳症を起こす代表的なウイルスとしてインフルエンザウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、RSウイルス、HHV-6などがあげられます。ちなみに、RSウイルスは英語でrespiratory syncytial virusといい、RNAウイルスであります。呼吸器感染が起こると、隣接する細胞の細胞膜を融合させ多核の巨細胞様の構造物を形成し、これを合胞体、英語でシンシチウムsyncytiumというのでrespiratory syncytial virusと名づけられたのです。日本語では、呼吸器多核体ウイルスとか、呼吸器合胞体ウイルスと訳します。)

そこで我々は、HHV-6が嗅球で潜伏感染する際に発現する遺伝子を試験管内の培養細胞を使いました。(図2)嗅球でのSITH-1発現実験によって発見して、疾患との関係を調べました。この経過を図2にまとめました。唾液中のHHV-6は嗅球に侵入して潜伏感染し、複雑な構造をしたSITH-1遺伝子(メッセンジャーRNA)と159アミノ酸からなるSITH-1タンパク質を産生していました。

(SITH-1遺伝子は決してメッセンジャーRNA(mRNA)であることはないのです。何故、わざわざSITH-1遺伝子を括弧付きでmRNAと説明したのでしょうか?タイトルから見ると、SITH-1遺伝子を特定したように見えるのですが、その理由が書かれていません。)

【SITH-1の作用】
SITH-1の機能を調べたところ、細胞内へカルシウムを流入させて、アポトーシスと呼ばれる細胞死を誘導することが判りました(図3)。

(まずアポトーシス について説明しましょう。アポトーシスは、英語でApoptosisと書き、組織の恒常性を保ち、また正常な発生を促すために必須の、高度に調節・管理された細胞死のプロセスです。不必要なあるいは有害な組織細胞を取り除くことで、細胞の増殖と分化のバランスを保っています。アポトーシスを引き起こす経路には、細胞表面上のデス・レセプター Death receptor へのリガンドの結合を介する外因的なものと、ミトコンドリアを介する内因的なものがあります。 どちらの経路においても、システイン・プロテアーゼの一種であるカスパーゼ Caspase がその経路を活性化します。カスパーゼは、細胞骨格や核の線維状タンパク質であるラミン Lamin を断片化し、DNA の分解を引き起こします。そしてカルシウム・イオン Ca2+ 濃度の微妙な変化により、アポトーシスが引き起こされたり、あるいは抑制されたりします。ミトコンドリアを介する内因的なアポトーシス経路における Ca2+ の重要性について解説します。)

今日はここまで2020/7/7

また、実験的にマウスの嗅球でSITH-1を発現させると嗅球が細胞死を起こすことが判りました(図4で緑色に光っているところが死んだ細胞です)。

(実験的にマウスの嗅球でSITH-1を発現させるという実験方法が一行も書かれていません。逆に、マウスのSITH-1の遺伝子をノックアウトすることによって、マウスのうつ状態がなくなるかを見るべきであります。ところが、マウスがうつ状態になったかどうかはどうして判断できるのでしょうか?マウスの心をどのようにして実験者は理解できたのでしょうか?)さらに、SITH-1を発現させたマウスは、脳のストレスが亢進し、うつ状態になりました(図4)。(図4を見て、どうしてマウスがうつ状態であると理解できる人がいるでしょうか?残念ながら私はアホですから(?)、さっぱり理解できません。)

【血液検査によるSITH-1診断法の開発】
このようなSITH-1発現がヒトのうつ病でも生じているかを調べようと考えました。ところが、これには大きな問題があります。SITH-1は脳の嗅球で発現するのですが、嗅球の組織をとることは危険なため、直接的にSITH-1発現を調べることができないのです。そこで我々は、SITH-1がカルシウムを流入させるときの特殊な構造(図5の活性型SITH-1)を発見し、これに対する抗体を測定することで嗅球でのSITH-1の発現を調べる方法を開発しました。ちなみに、SITH-1は細胞内のCAMLというタンパク質と結合して活性化します(図5)。

(彼は、はじめに堂々と、「うつ病の原因遺伝子SITH-1を、うつ病の発症の遺伝子を、メタゲノム解析の結果、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の遺伝子の中に見つけました」と明確に述べているのに、「SITH-1は脳の嗅球で発現するのですが、嗅球の組織をとることは危険なため、直接的にSITH-1発現を調べることができないのです。」と書いているのです。つまり、SITH-1遺伝子はHHV-6と人間にも存在すると全く矛盾する文章を書いているのです。とんでもない話ですね。しかも「嗅球の組織をとることは危険なため、直接的にSITH-1発現を調べることができないのです。そこで我々は、SITH-1がカルシウムを流入させるときの特殊な構造(図5の活性型SITH-1)を発見し、これに対する抗体を測定することで嗅球でのSITH-1の発現を調べる方法を開発しました。」これはまさに、人間の嗅球の細胞が作ったSITH-1というタンパクに対して、人間の免疫の細胞がSITH-1に対する抗体を作ることでうつ病が起こるということを述べているのは、まさにうつ病は自己免疫疾患と言っているのと同じであるということに、この筆者は気付いていないのです。アッハッハ!

さらに、「ちなみに、SITH-1は細胞内のCAMLというタンパク質と結合して活性化します(図5)。」の文章の中の「細胞内のCAML」とは一体なんでしょうか?まずCAMLは、英語でCalcium modulating ligandといい、略してCAMLとかCAMLGと書き、日本語では、カルシウム調節リガンドと訳します。CAMLは、カルシウム調節シクロフィリンリガンドとも呼ばれ、英語でcalcium-modulating cyclophilin ligand と書き、CAMCLと略します。CAML(CAMCL)は、TNF受容体TACIによって認識されるシグナル伝達タンパク質です。TNF受容体TACIについては後で詳しく説明します。

それでは、CAMLはどんな機能を持っているのでしょうか?カルシウム調節リガンドと訳されますが、それではカルシウムはどんな役割をするのでしょうか?皆さんは、カルシウムは骨の成分として大切だとお思いでしょうが、実を言えばカルシウムは細胞の外部からのシグナルを核に伝える伝達物質としても極めて大切なセカンドメッセンジャーの役割をしているのです。T細胞受容体(TCR)に抗原が結合すると、まずカルシウムがT細胞質内に放出されるとT細胞が活性化されます。カルシウムがカルモジュリンと共にカルシニューリンを活性化し、カルシニューリンが核の転写因子の一つであるNFATc(Nuclear factor of activated T-cell)を脱リン酸化し、NFATcが核に移動して細胞の増殖因子であるIL-2等の遺伝の転写を開始させます。ところが、例えば、免疫抑制剤として有名な薬であるシクロスポリン(サイクロスポリン)は、T細胞内の細胞質タンパク質の一つであるシクロフィリン、英語でCyclophilinで略してCyPと複合体を形成してカルシニューリンを阻害して、免疫抑制剤としての働きを発揮します。カルシニューリンとカルモジュリンについてはすぐ下で説明します。シクロスポリンがカルシニューリンの活性化を阻害する結果、T細胞の活性化が抑制されて免疫機能が抑制されます。サイクロスポリンとよく似た免疫抑制剤であるタクロリムスと類似の薬理作用を持っています。シクロスポリンはまたリンフォカインの産生とインターロイキンの放出を抑制し、エフェクターT細胞の機能を低下させます。エフェクターT細胞とは、樹状細胞により抗原を提示されなかったナイーブT細胞(バージンT細胞)は初めて活性化された後、分化することができたT細胞をエフェクターT細胞といいます。つまりエフェクターT細胞にならなければ、T細胞の働きが発揮できないのです。

カルシニューリンは英語でCalcineurinと書き、略してCNといいます。カルシニューリンは細胞内シグナル伝達に関与するプロテインホスファターゼ(PP)の一種で、高等動物から酵母までの生物の全ての細胞にありますが、カルシウムにより調節されて、シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫抑制剤により阻害されます。

カルシニューリンは細胞内シグナル伝達に関与するプロテインホスファターゼ(PP)の一種であると書きました。プロテインホスファターゼとはなんでしょうか?プロテインホスファターゼは、英語でProtein phosphataseで、略してPPは、日本語でタンパク質ホスファターゼといいます。プロテインホスファターゼは、リン酸化されたタンパク質のリン酸基を加水分解により脱離(脱リン酸化)させる酵素です。他方、ホスファターゼの逆の働きをするのがプロテインキナーゼであります。プロテインキナーゼは、タンパク質をリン酸化する酵素であり、遺伝子によってタンパク質が作られた後の翻訳後修飾のうち最も多く見られるもので、特に細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質に多く、プロテインキナーゼは、リン酸化のスイッチオンとして働きます。さらに酵素の活性がリン酸化されることによって生じることが多いのです。プロテインホスファターゼは、構造や機能により大きく2つに分類されます。一つ目が、タンパク質セリン/スレオニンホスファターゼ(Ser/Thr protein phosphatase)で、リン酸化されたセリンまたはスレオニンを基質として、脱リン酸します。2つ目は、タンパク質チロシンホスファターゼ(Protein tyrosine phosphatase:PTP)スーパーファミリーでリン酸化されたチロシンを基質としますが、基質特異性が広くセリン・スレオニンも基質とするものも含まれます。

次に、カルモジュリンは英語でCalmodulinと書き、略してCaMといいます。カルモジュリン(CaM)は、人体の至る所の細胞にあるカルシウム結合タンパク質で、多くの種類のタンパク質の制御を行うため、様々な細胞機能に影響を与えます。例えば、炎症、代謝、アポトーシス、筋肉収縮、細胞内移動、短期記憶、長期記憶、神経成長、免疫反応などの様々な反応とかかわっています。カルモジュリンは様々な型の細胞で発現しており、全ての細胞内小器官内、細胞膜や、小器官の膜などに存在しています。タンパク質の多くは単独ではカルシウムに結合することはできず、カルモジュリンを利用してシグナル伝達の信号を変換してしまうのです。カルモジュリンは小胞体や筋小胞体にカルシウムの貯蔵も行います。カルモジュリンはカルシウムが結合すると構造変化を引き起こし、特定の反応のための特定のタンパク質に結合できるようになります。結合できるカルシウムは1分子当たり4つで、リン酸化、アセチル化、メチル化、タンパク質切断などの翻訳後修飾(タンパクができた後の)を受けることがあります。カルモジュリンは小さい酸性のタンパク質で、約148残基のアミノ酸から構成されています。分子量は16706ダルトンです。

最後に一言付け加えますと、免疫の働きで一番複雑で難解なのは細胞外の情報を核にある遺伝子に伝え、免疫のタンパクを作らせるための細胞内シグナル伝達のプロセスであります。何も免疫の細胞内シグナル伝達のみならず、遺伝子は人体が細胞内で作るあらゆる種類のタンパクを作る暗号が隠されています。この隠された暗号をタンパクに変えるためには、必ず核にある遺伝子をタンパクに発現するために、タンパクを作れというシグナルを核に伝達する必要があり、その伝達のやり方が多種多様すぎるのです。従って、人間の体内には10万種類以上のタンパクがあるといわれていますが、外部から食べ物として摂取する以外の無数のタンパクを作るためには、ひとつひとつ異なったタンパクを作れというシグナルが必要であり、かつ作るまでのプロセス、例えばどの補酵素を用い、どの酵素を用い、どのアミノ酸を用いるかなどをも含めて、全ての細胞内シグナル経路を理解し覚えることは不可能なのです。

次に、CAML(カルシウム調節リガンド)は、TNF受容体TACIによって認識されるシグナル伝達タンパク質です、と上に書いたので、ついでにTNF受容体TACIについて詳しく説明しましょう。TACIは英語でTransmembrane activator and CAML interactorであり、略してTACIとなります。日本語で、膜貫通アクチベーターおよびCAMLインタラクターといいますが、完全に日本語に訳すと、膜貫通活性化因子とカルシウム調節リガンド相互因子と訳します。難しいでしょう!でも面白いでしょう!!

TACIは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー13B(TNF-R-S-F13B)としても知られています。TACIは、主に免疫抗体産生細胞であるB細胞の表面に見られるTNF受容体スーパーファミリーの膜貫通タンパク質です。TACIは、APRIL、BAFF、CAMLの 3つのリガンドを認識します。APRILは、エイプリルと読み、英語でA proliferation-inducing ligand です。B細胞の発生に重要です。BAFFは英語でB cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family となり、B細胞の生存・分化・抗体産生に重要な役割を果たします。CAKLに関しては既に説明しました。

TACIの機能は、カルシウム調節因子およびシクロフィリンリガンド(calcium-modulating cyclophilin ligand、略語でCAMCL)と相互作用します。TACIは、TNFファミリーの2つのメンバーであるBAFFとAPRILと相互作用することにより、抗体を作る体液性免疫において重要な役割を果たします。これらのタンパク質は、細胞活性を調節するNFAT、AP-1、およびNF-κBなどの転写因子の活性化を誘導するTACIを通じて核に信号を送ることができます。NFATは、nuclear factor of activated T cellsの略で、日本語で、活性化T細胞の核因子と訳される転写因子です。NFATは免疫系のほとんどの細胞で発現している重要な転写因子です。NFATは、T細胞活性化に重要なIL-2の転写因子として発見されましたが、心臓、骨格筋、神経系の発達にも関与しています。AP-1は英語でactivator protein 1で、日本語ではアクチベータータンパク質1となり、c-Fos、c-Jun、ATF、JDPファミリーに属するタンパク質で構成されているヘテロ二量体タンパク質の転写因子です。c-Fos の機能は、細胞の発生における骨格の形成と維持です。転写因子としては、他のタンパク質と一緒に作用し、様々な遺伝子の転写を誘導します。c-Junは、ヒトではJUN遺伝子によってコードされているタンパク質です。c-Junは、c-Fosと協力して、AP-1の初期応答転写因子を形成します。c-Junは、最初に発見された発癌性転写因子でした。ATFは英語で、activating transcription factorであり、ATF1~ATF6までありました。ATF-2はCRE-BP1 と同一であり、現在ではATF-2の名前が用いられています。CREは英語で、cAMP response elementです。その後、これらの転写因子と類似の構造を有し、CRE(cAMP response element) に結合する転写因子が多数同定され、これらの一群のCRE 結合因子を現在では、CREB/ATF ファミリーといいます。CREBというのは、英語でCRE-binidng protein(cAMP response element binidng protein) といい、cAMP応答配列結合タンパクのことであり、神経細胞ニューロン間の恒久的接続を確立するタンパク質を、転写さらに翻訳するのに必要な因子です。この分子をブロックした場合、タンパク質合成や新たなシナプスの発達が妨げられ、その結果、長期記憶の形成が阻害されてしまいます。CREBの作用は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)によって強化されてしまい、そのため、アルツハイマー病などの治療に役立つと考えられているのですが、人間に用いた場合、全てを覚えている記憶となり、過去の事に囚われ続け、前に進んでいく能力を見失ってしまうのです。実際記憶力が良すぎて苦しみに満ち溢れた人生をやった人がいました。おそらくCREBの作用を強化するホスホジエステラーゼ4(PDE4)の産生が先天的に強かった人だと考えられます。

AP-1はサイトカインや成長因子、ストレス、バクテリアやウイルスの感染など様々な刺激に応答して遺伝子発現を関与しています。さらに、細胞の分化や増殖、アポトーシスなど多くの細胞プロセスに関与しています。TACIは、T細胞非依存性B細胞抗体応答、アイソタイプスイッチングに関わっています。

図5:活性型SITH-1の構造 図5で、極めて簡単に描かれていますが、SITH-1とCAMLとの結合がどのように、不活型の SITH-1が活性型のSITH-1に変化するかについての説明が全くありません。)

今日はここまでです。2020/07/09

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