コラム 新型コロナウイルス 用語解説

ウイルスから人体を守る自然免疫 INF-αとINF-β 2020.5.29更新

投稿日:2020年5月22日 更新日:

いずれにしろ細胞内に巣食っているこのようなウイルスを殺すことは、高等免疫は不可能なのです。インフルエンザについて言えば、インフルエンザはミューテーションはしますが隠れ続けることはできない上に、AIDSのウイルスのように人体の細胞の中でミューテーションすることはできないのですが、感染力や肺炎を起こす病原性は強いので時には、1918年スペイン風邪のようなパンデミックが起こり何千万人の人が死ぬことがあります。とりわけ、免疫を弱める薬を服用している人や自分でステロイドホルモンを出し続けているライフスタイルから抜け出せない人は肺炎になり、呼吸ができなくなって死ぬことがあるのは、新新型コロナウイルスでも言えることです。しかしながら、今回のAIDSやエボラ出血熱やインフルエンザの遺伝子の一部を組み込まれた新新型コロナウイルスは、もとよりワクチンはできないことを知っておいて下さい。いずれにしろ、インフルエンザや新新型コロナウイルスに罹って死ぬか生きるかを決定する因子は患者の免疫が強いか弱いかで全て決まるのです。今回の新新型コロナウイルスでも死ぬ人は免疫が弱い人だという事はメディアを通じて皆さんご存じでしょう。若い人は免疫が強いので死ぬことがないはずなのですが、死んでいる人がいます。何故でしょうか?医者に無理やりに免疫を抑える治療を受けている若い人です。例えば、若い人に多い喘息なども、ステロイドの吸入薬を予防投与しなければ死ぬなど医者に脅されて、まじめに毎日予防投与している人はコロナウイルスにかかれば確実に死んでいく予備軍の若い人達です。免疫を抑えることによって症状は抑えれますが、病気を治していないどころか新たなる病気を作っていることを全ての患者に伝えるべきですがどの医者も言いません。悲しいことですね。

こんなウイルスを敵に回したときに、免疫がウイルスから防衛するときに、どんな戦略が必要となるでしょう?何よりも1つ目はウイルスが人体に侵入したときに、細胞に次々と感染させないことです。2つ目は、いったん細胞に感染しても次の新しい細胞に感染させないようにすることです。3つ目は、感染した細胞を自分の細胞もろともウイルスを殺してしまうことです。この3つ目の戦略を、私は“自爆テロ”と呼んでいます。この3つの仕事は、実は高等免疫はできません。できるのは自然免疫だけです。高等免疫だからと言って自然免疫より優れているとは言えないのです。自然免疫と高等免疫が一体となって人体を病気から守っているのです。

1つ目の具体的な戦術は、自然免疫の働きが補体であるということです。補体についてはこちらを読んでください。2つ目の具体的な戦術は、免疫を抑制するステロイドホルモンを出さない心のあり方や、医者が出す免疫抑制剤を使わないことです。ステロイドを用いると自然免疫はもとより高等免疫も力を発揮できません。なぜならばステロイドホルモンは全ての免疫の働きを抑えるために存在しているからです。3つ目の具体的な戦術は、自然免疫のサイトカインの一つであるINF-αとINF-βを全ての細胞に作らせることです。しかもこのINF-αとINF-βこそが、あらゆるウイルスから人体の細胞を守る最後に残された唯一最高の戦術であるのです。しかもこの戦術を行使するのは自然免疫であるのはなんと皮肉なことでしょう!!残念なことですが、この戦術はウイルスだけが死ぬのではなく、細胞自身も同時に死なざるを得ない点です。本当の悪を滅ぼすためには、自爆テロしかないのです。

今日はこのINF-αとINF-βについて詳しく書きましょう。

まずインターフェロンとはなんでしょうか?

インターフェロンは、英語でInterferon、略してIFNで、病原体のウイルスやウイルスによって生じる腫瘍細胞などの異物に対して、全ての細胞が分泌するタンパク質のことであり、ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、最後は細胞もろともウイルスを殺すなどの働きをするサイトカインの一種です。医薬品としては、遺伝子組み換え型インターフェロンにアジュバントとしてポリエチレングリコール(PEG)を結合させたペグインターフェロンは、ウイルス性肝炎等に用いられている有名な抗ウイルス薬となっています。アジュバントとは、免疫学の分野でよく用いられる抗原性補強剤と呼ばれ、抗原と一緒に注射され、その抗原性を増強するために用いる物質です。アジュバントは、予防医学の分野では、ワクチンと併用することにより、その効果を増強するために使用されます。従って、免疫学の分野ではアジュバントとは、抗原と抗原性を共有することがないので、免疫を強化する新たなる異物の総称です。

インターフェロンを最初に見つけたのは長野泰一です。1940年代から、生体において抗ウイルス免疫が発現する正確な時期を知ろうとしている実験中にインターフェロンを見つけたのです。兎の皮膚の多数の個所にワクシニアウイルス(天然痘ウイルス)を接種し、その同じ個所へ種々の時期にワクチン(天然痘ワクチン)を注射し、皮膚病変の起こるのが阻止される状況を観察しました。この際に用いたワクチンは兎のワクシニアウイルス感染組織のホモジェネートに紫外線を当て、ウイルスを不活化したものでありました。実験の結果、ワクチンの効果のピークは、注射後1日目と二週間後の2箇所あることを知りましたが、ワクチンの遠心上清の効果のピークは1日目のみでありました。2週間後の遅い方のピークは通常の免疫効果と考えましたが、早期のピークは非免疫性の効果と考えたのが1957年であり、しかも早期のピークの因子はウイルス抗原でもなく、抗ウイルス抗体でもない事が1958年に証明されました。まさに早期のピークの因子をウイルス干渉因子と名付けた物質が、後にインターフェロンと言われることになったのです。

1980年頃に、インターフェロンが悪性腫瘍に効果があることが発見され、抗がん剤として発展していった。蚕やハムスターの体内にヒトの細胞を埋め込んで、その細胞にC型肝炎ウイルスの遺伝子を組み込んだセンダイウイルスを感染させることにより、インターフェロンを産生させるという方法を利用して大量生産が可能になった。

センダイウイルスとはなんでしょうか?1953年(昭和28年)、東北大学医学部(宮城県仙台市)の石田名香雄によって発見され、仙台で発見されたので「センダイウイルス」と命名されました。赤血球の溶血を引き起こすことは知られていましたが、さらに1957年(昭和32年)、大阪大学教授の岡田善雄によって異種の細胞を融合させる作用があることが発見され、オックスフォード大学のHenryHarrisがセンダイウイルスを使って人間とマウスのキメラ細胞を初めて作成するなど、バイオテクノロジーの分野で注目を集めることになりました。現在でも感染の宿主域が広く細胞傷害性の低いベクターとして分子生物学の実験に盛んに用いられています。

さて、インターフェロンは、ヒトではIFN typeⅠ、IFN typeⅡ、IFN typeⅢの3つのタイプに分けられます。「インターフェロン」というとIFNtypeⅠ(I型インターフェロン)を指します。IFN typeⅠには、13種類のIFN-αと、1種類のIFN-βと、1種類のIFN-ωと、1種類のIFN-ε、1種類のIFN-κの5種類があります。かつてはIFN-β2がありましたが、それはIL-6と同じでした。

IFN typeⅠはすべてIFNARという細胞表面の特異的な受容体複合体に結合します。IFNARは、英語でIFN-α receptorの略で、日本語でインターフェロンα受容体です。IFNARには、IFNAR1とIFNAR2の2つがあります。

IFN typeⅡはIFN-γのみからなります。成熟したIFN-γは反対向きに結合したホモ二量体でIFN-γ受容体複合体(IFNGR:サブユニットIFNGR1とIFNGR2の1個ずつからなる)に結合します。

IFN typeⅢはIFN-λで3つのアイソフォームであるIFN-λ1、IFN-λ2、IFN-λ3から成り立ちます。

インターフェロンの作用機序について見てみましょう。IFNはウイルスの感染や2本鎖RNAによって直接誘導されます。樹状細胞がウイルスや2本鎖RNAなどを認識する細胞膜での受容体はToll様受容体(TLR)で、細胞膜から取り込まれたエンドソームに存在するTLR3、TLR7、TLR9の3つです。一方、細胞内に存在する受容体としてはRIG-I、MDA-5があり、I型インターフェロンの遺伝子の発現を高め、タンパクであるI型インターフェロンを産生します。RIG-Iの読み方は「リグ・アイ」ですから間違えないようにしてください。なぜかというと、RIG-IとMDA-5は常に並んで論じられることが多いので、MDA-5は「エムディーエー・ファイブ」となるからです。それと同時に、英語の“I”とローマ数字の“Ⅰ”は非常によく似ているので、しばしば間違えてしまうことがあります。

RIG-Iは、英語でretinoicacid-inducible gene-Iであり、日本語でレチノイン酸誘導遺伝子1で、ヒトの自然免疫系で働くタンパク質の分子です。retinoicacidはレチノイン酸で、ビタミンAとして体内で作用します。ビタミンAは、体内ではレチノール、レチナール、レチノイン酸といった3種の形で作用し、ビタミンAといえばレチノールです。ビタミンAは目の正常な機能の維持、皮膚や粘膜の正常保持、成長および分化に関与しているため、不足すると夜盲症、皮膚や粘膜の乾燥、成長障害、胎児の奇形などを引き起こすことがあります。ビタミンAは、レチノールとして食品から摂取する以外に、プロビタミンA(ビタミンAの前駆体)としても摂取されます。プロビタミンA(ProvitaminA)とは、動物体内においてビタミンAに変換されうるビタミンAの前駆物質の総称で、αカロテン、βカロテン、γ-カロテン、β-クリプトキサンチン、エキネノンなどがあります。一般にカロチノイドと呼ばれる色素に属し、レチニリデン残基構造を分子内に含みます。

RIG-I(リグ・アイ)は、ウイルスが細胞内に進入した時にウイルス由来のRNAを認識し、抗ウイルス作用を示すI型インターフェロン産生を引き起こし、細胞質内に存在するRNAヘリカーゼです。ヘリカーゼは、核酸(DNA、RNA)のリン酸エステル骨格に沿って動きながら絡み合う核酸をほどく酵素の総称であり、すべての生物に必須です。DNAの2本鎖をほどくものを特にDNAヘリカーゼ、RNAの二次構造をほどくものをRNAヘリカーゼと呼びます。京都大学の藤田尚志教授らによってその機能が明らかにされました。RIG-Iの読み方は「リグ・アイ」です。

レチノイン酸によって誘導されるRIG-Iは、インターフェロンやウイルス感染によってもそのmRNAの発現が誘導されます。N末端領域に二つのCARD(caspase recruitment domain)様のドメインを持ち、中央にヘリカーゼドメインがありますが、C末端のドメイン(repressor domain:RD)はN末端のCARD様ドメインの働きを抑制する機能を持っています。

RIG-Iによって認識されるRNAウイルスとして、インフルエンザウイルス、センダイウイルス、日本脳炎ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、C型肝炎ウイルス、フィロウイルス、西ナイルウイルス、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、風疹ウイルス等があります。

MDA-5の働きについて解説しましょう。細胞内ウイルスセンサーであるMDA-5はウイルスが感染した際にウイルスに由来する2本鎖RNAを認識して自然免疫応答が始まります。一方、近年、MDA-5の自己免疫疾患への関与が示唆されていますが、自己免疫疾患はないのでヘルペスウイルスを認識した樹状細胞はMDA-5を発現し、自然免疫のIFN-αやIFN-βのサイトカインが作られるキッカケとなるのです。

また体内にいろいろな抗原が侵入したとき、それに反応してIL-1、IL-2、IL-12、TNF、CSF(colony stimulating factor、日本語でコロニー刺激因子)などのサイトカインが産生されます。インターフェロン(IFN TypeⅠ)の産生は、これらのサイトカインによっても誘導されます。インターフェロンがリガンドとなり、大食細胞や樹状細胞の細胞膜の受容体とひっつくと、シグナルが伝えられる細胞内シグナル伝達経路であるJAK-STAT経路を通じて核まで伝えます。このシグナルはJAK-STAT経路以外にもいくつかあるのです。JAK-STAT経路の全てについていずれ詳しく書くつもりですから、乞うご期待!今回は概略だけを記載しておきます。

JAK-STATシグナル伝達経路(ジャック-スタット・シグナル)は、細胞外からの化学シグナルを、細胞核に伝え、DNAの転写と発現を起こす情報伝達系です。免疫、増殖、分化、アポトーシス、発癌などに関与する。JAK-STATシグナルカスケードは主に3つの構成要素からなります。1)細胞表面の受容体、2)Januskinase(JAK)、3)2つの信号トランスデューサおよび転写活性化(STAT)タンパク質の3つであります。ちなみにJAKは、Jak1、Jak2、Jak3、Tyk2の4種類あります。Tyk2はTyrosine kinase2の略語で、非受容体型チロシンプロテインキナーゼです。Tyk2は、JAKファミリーの最初に見つけられたメンバーでした。IFN-α、IL-6、IL-10、IL-12のシグナル伝達に関わっています。STATは、STAT1からSTAT6まであり、STAT5のみA、Bが存在するので、合計6種7個の分子が存在します。

様々なリガンド(レセプターに結合する物質)であるサイトカイン(インターフェロン、インターロイキン、成長因子など)が、細胞表面にある受容体(receptor)に結合し、JAKを活性化させ、そのリン酸化酵素(キナーゼ)活性を発現します。活性化JAKsは、受容体のチロシン残基をリン酸化させ、受容体のSH2ドメインを持つタンパク結合部位を作ります。SH2ドメインを持つSTATは、JAKによってリン酸化されたチロシン部位へ結合します。これらの活性型STATは、ヘテロまたはホモダイマー(homodimers)として、細胞核の中へ移動し、標的遺伝子の転写を引き起こします。STATはチロシンリン酸化を直接受容体のチロシンキナーゼ(上皮細胞成長因子受容体など)からも受けとることもあり、また非受容体の細胞質内のチロシンキナーゼ(c-srcなど)からも受け取ります。この経路は負の制御を多段階で受けているチロシン脱リン酸化酵素によりサイトカイン受容体のみならず、活性化されたSTATは、脱リン酸化されます。さらにサイトカインシグナル抑制物質という、英語でSuppress or Of Cytokine Signaling、略してSOCSがあり、JAKと結合し、JAKのSTATの結合およびリン酸化を抑制したり、サイトカイン受容体のリン酸化チロシンに阻害します。STATは、活性化STAT阻害タンパク、英語でprotein-inhibitor of activated STAT、略してPIASにより、核内でいくつかのメカニズムにより負の制御を受けています。PIASは、PIAS1〜PIAS4まであります。PIAS1、PIAS3は、DNAに結合しDNAの発現を阻害することで、STAT1、STAT3による転写活性化を抑制します。

インターフェロンαとβはリンパ球(T細胞、B細胞)、マクロファージ、線維芽細胞、血管内皮細胞、骨芽細胞など多くのタイプの細胞で産生され、全ての細胞が産生できます。特に抗ウイルス応答の最も重要なサイトカインであります。インターフェロンαとβは、マクロファージとNK細胞をともに刺激し、腫瘍細胞に対しても直接的に増殖抑制作用を示します。特にウイルスによるガンに対してはアポトーシスも起こすことができます。

インターフェロンγは活性化されたT細胞で産生され、免疫系と炎症反応系に対して増強作用を示します。IFN-γにも弱い抗ウイルス作用と弱い抗腫瘍作用がありますが、他方ではIFN-αとβの効果を増強する作用があります。IFN-γは局所でしか働かないので、転移した腫瘍に対しては有効性は低いのです。IFN-γはTh1細胞からも分泌され、白血球を感染局所にリクルートして炎症を強化する作用はあります。またマクロファージを刺激して細菌を貪食殺菌させます。Th1細胞から分泌されたIFN-γは、アレルギーを引き起こすTh2反応を抑制します。IFN-ωは白血球からウイルス感染または腫瘍の局所で分泌されます。

医薬品インターフェロンは、かつては希少で高価だったのですが、遺伝子操作により細菌や培養細胞での大量生産が可能になり、現在は医薬品として多くのインターフェロンが、B型肝炎・C型肝炎などのウイルス性肝炎、またいくつかの腫瘍の治療や白血病の治療に用いられていることは既に述べました。

横道に逸れすぎたので、インターフェロンについて原点に戻って簡単にまとめましょう。INFはインターフェロンの略です。インターフェロンとはどんな意味でしょうか?インターフェアからきた言葉です。インターフェアは妨害する、邪魔をする、干渉するという意味です。何を妨害するのでしょうか?ウイルスの働きを妨害するという意味です。インターフェロンは「妨害する因子、干渉する因子」という意味です。インターフェロンは自然免疫が作るサイトカインの一つであり、ウイルスの働きを妨害するのみならず、最終的にはウイルスそのものを殺すことができるのです。残念ながら、ウイルスだけを殺すことはできませんが、ウイルスが感染した細胞もろとも殺してしまうのです。あらゆるウイルスが最も恐れているのは、高等免疫によって作られる抗体や、ウイルスを特異的に認識して細胞もろとも殺すキラーT細胞ではなくて、まさに自然免疫である殺し屋のINF-αとINF-βというサイトカインであります。皮肉なことですが、自然免疫の方が細胞に感染したウイルスに対してははるかに高等免疫よりも優れているのです。とりわけ自然免疫の作るサイトカインの中で、細胞内にいるウイルスを殺すのには、自然免疫の一部にすぎないINF-αとINF-βしか人体は生きる望みを託せないのです。

既に述べたように、NK細胞やTh-1細胞が作り出すINF-γは、2型インターフェロンと言われ、主な役割は適応免疫(高等免疫、獲得免疫)の活性化です。ウイルスが人体の細胞に感染すると、その細胞(宿主細胞、感染細胞)は1型インターフェロンであるINF-αとINF-βを産生し分泌します。特にINF-αとINF-βを専門的に作る細胞が存在し、pDCといい、英語でplasmacytoid dendritic cellsと言います。このpDCは自分自身が作った1型インターフェロンであるINF-αとINF-βをpDC自身のレセプターに結合させ、自らのpDCをさらに活性化させ、より多くのINF-αとINF-βを作り続けるのです。このように自分で作ったサイトカインを自分のレセプターに結合させ、自らの細胞に様々な作用を引き起こすサイトカインの働きをオートクリン的作用といい、短くオートクリンとも言います。このようにpDCで作られたINF-αとINF-βは、隣の正常な細胞のINF-αとINF-βのレセプターに結合し、ウイルスが襲来したことを伝え、正常な細胞がウイルスの襲来に対抗できる準備を始めさせるのです。まだ感染していない正常な細胞自身がウイルスが感染する前にINF-αとINF-βを予防的に作り出させます。かつ、本当にウイルスが感染すると、アポトーシスを起こして、ウイルスも殺してしまうのです。ところがこのINF-αとINF-βを産生し、かつアポトーシスの準備をするためには、数百種類の遺伝子を発現させ様々な抗ウイルス性タンパクを産生する必要があります。そのタンパクには様々なビタミンや補酵素や酵素が必要であります。酵素自身もタンパクですから、このタンパクを多種大量に作るために、摂取するタンパクも大量にならざるをえないのです。

タンパクを作る出発点はなんだと思いますか?補酵素なのです。補酵素を作るために何が必要でしょうか?補酵素の前駆物質であるビタミンB群や補酵素そのものであるビタミンCが大量に必要なのです。だからこそライナス・ポーリングが作り出したメガビタミン療法の必要性が生まれるのです。現代、最後に残る病原体は、なんだと思いますか?まさにヘルペスウイルスなのです。ところが新新型コロナウイルスが人工的に作られてしまったので、このコロナウイルスを殺すためにも大量のタンパクでできたINF-αとINF-βのサイトカインが最後の武器とならざるをえないのです。ちなみに、NK細胞にINF-αとINF-βが結びつくとNK細胞が活性化し増殖し、NK細胞こそが一番最初にINF-γを作り出す自然免疫であり、このINF-γがINF-αとINF-βの作用を増強する作用があることは既に書きましたね。思い出してください。

このようにウイルスが感染した細胞によって産生される1型インターフェロンであるINF-αとINF-βは、近くの細胞のINFのレセプターに結びつくと、近くの細胞にウイルスが感染していることと、すぐにウイルスに攻撃されるかもしれないという警告を発するのです。警告を受けた近くの細胞は抗ウイルス作用をもつ様々な数百以上の遺伝子の発現をONにし、タンパクを作らせ、もしそのウイルスが自分の細胞に実際感染すればアポトーシスをする準備までもしておくのは、タンパクを作るための遺伝子を発現するのに時間がかかるからです。一旦、ウイルスが細胞の中に侵入すると免疫は手も足も出せなくなってしまうので、INF-αとINF-βはヘルペスウイルスや新新型コロナウイルスを含めてどんなウイルスに対しても、ウイルスを増殖させないどころか、感染した細胞もろともウイルスを殺す最終手段である捨身の戦術である自爆テロ(アポトーシス)をウイルスに対して進化させ、仲間の細胞を守ろうとしているのです。

このINF-αとINF-βという自然免疫の武器は非常に強力であるので、それに対抗するためにあらゆるウイルスはインターフェロンから逃れるための様々な戦術を進化させてきました。ところが今回の人工コロナウイルスは進化の結果ではないのですが、人工コロナウイルスが感染した細胞はINF-αとINF-βを作って自爆テロによって感染する細胞を人工コロナウイルスと共に殺すことができます。既に述べたように、ワクチンは絶対にできないのですが、その代わりにINF-αとINF-βを人工的に作って、3密が避けられない人や新新型コロナウイルスの感染の可能性が高い人に投与すれば、予防のみならず、感染に対する治療にもなるのですが、世界中のどの製薬メーカーも作れないワクチンの話ばかりするのは不思議でなりません。

ご存知のように人体に侵入した異物であるウイルスは、樹状細胞や大食細胞に見つけられて貪食されます。このウイルスを貪食した樹状細胞のうちで、INF-αとINF-βというサイトカインを専門的に作る樹状細胞が存在することを既に述べました。この樹状細胞のことを形質細胞様樹状細胞、英語でplasmacytoid dendritic cells、略してpDCといいます。pDCは、ウイルス感染に対抗する最高の番人なのです。pDCも元来は樹状細胞ですから、自然免疫と高等免疫(適応免疫)を結びつける抗原提示細胞の能力を持っています。病原体の刺激に応答して、1型インターフェロンであるINF-αとINF-βを産生すると同時に、ナイーブT細胞を刺激する能力を持つ樹状細胞(DC)に分化し、抗原提示細胞(APC)としてB細胞やT細胞の高等免疫に病原体の侵入を知らせます。樹状細胞(DC)からさらに分化したpDCは、1型インターフェロン産生を専門とする細胞となりました。pDCの“p”は、plasmacytoidの“p”ですが、plasmacyteというのは、形質細胞のことであり、B細胞が分化して抗体を作る形質細胞の意味ですね。なんとINF-αとINF-βは、まるで自然免疫の抗体以上の仕事をしてくれるので、DCの前にplasmacytoidという名称がつけられたのです。本当にふさわしい名前です。

pDCは、取り込んだウイルスをパターン認識受容体、英語でpattern recognition receptor、略してPRRで、病原体関連分子パターン(PAMPs)を認識します。ウイルスの遺伝子ゲノムを2つのエンドソーム内のウイルスの存在をトール-ライク-レセプター、英語でToll like receptor、略してTLRで認識し、TLR7及びTLR9で特異なウイルスのゲノムを見つけ出すことができるのです。TLR7はssRNAを、かつTLR9は人間の遺伝子にはほとんどないCpGDNAモチーフを認識するのです。レセプターであるTLRはウイルスが感染したというシグナルを、特にMyd88及びIRAK4分子を含むシグナル経路を介して、核に伝え大量の1型インターフェロンであるIFN-αとIFN-βを作り分泌します。ちなみに難しい話ですが、ヒトのpDCは、細胞表面マーカーとしてCD123、CD303、ニューロピリン1/CD304を発現しますが、通常のDCに発現している細胞表面マーカーであるCD11cや、仲間の単球に発現しているCD4は発現していません。

MyD88はTLR3以外のTLRのアダプター分子で,転写因子NF-κBを活性化してTNF-α、IL-6、IL-12p40などの炎症性サイトカインの遺伝子発現し、サイトカインを産生します。形質細胞様樹状細胞(pDC)に発現するTLR7、9のシグナル伝達の下流では、さらにIRF-7を活性化しIFN-α遺伝子の転写を行います。MalとTIRAPはTLR2、TLR4のアダプター分子でMyD88を引き寄せます。TICAM-1とTRIFはTLR3、TLR4のシグナル伝達の下流でNF-κB、IRF-3を活性化し炎症性サイトカインとIFN-β遺伝子の発現を行います。LPS(リポポリサッカライド)はTLR4-MD2複合体で認識され、MalとTIRAP,MyD88による炎症性サイトカイン産生を誘導します。かつLPSは、TICAM-2とTRAMにより、かつTICAM-1とTRIFによりIFN-β産生を誘導するのです。

感染細胞が分泌したINF-αとINF-βは、まだ感染していない周囲の細胞が持っているインターフェロンレセプターに結合し、既にウイルスの襲撃に対する準備を済ませている細胞は、短時間でウイルスに対抗できることはすでに述べました。特にウイルスの感染初期は高等免疫が働かないので、感染初期の防御因子として重要です。とにかくウイルスが感染すれば、増殖する前に防御することが一番大事なのです。この防御能力を増やすのは免疫を上げることしかないのです。免疫を下げてしまうと免疫の働きの全てが弱まってしまうので、上に述べたpDCの働きも発揮できなくなるのです。

免疫を上げる薬は漢方煎じ薬しかないのです。現在中国が使って感染をコントロールしている漢方処方名を「清肺排毒湯」と言います。清肺排毒湯関連のニュース記事を下記に掲載しておきます。当院ではオンライン診察だけで受診なしでどんな遠い人でも清肺排毒湯を処方してすぐにお送りできます。しかも清肺排毒湯は治療のみならず予防もできますので困ったらすぐ電話して頂ければお送りします。

なぜ、私が清肺排毒湯の話をするのかご存じですか?現代の新新型コロナウイルスに対する治療は世界中の医療界は中華圏を除いて無策であると言っても言いすぎではないのです。中華圏の国々(中国、台湾、香港、シンガポール)のほとんどは、治療として免疫を上げる漢方煎じ薬をどんどん使っているので患者が増えないので、死亡者数も少ないのです。一方、白人の西洋文化圏、とりわけアメリカは中国文明によって生み出された3000年の歴史をもつ漢方が大嫌いです。苦くて臭くて色も悪い以外に中華圏の文化と文明が大嫌いなのです。優れた中国文明から何一つとして学ぼうとしないのです。いずれにしろ、白人の文化である西洋文化圏のコロナウイルスの患者は増える一方です。その代表はアメリカですが、患者数はもうすぐ200万人を超え、死亡者は10万人を突破することになるでしょう。現代の新新型コロナウイルスに対する治療は、実は中華圏以外では世界中で一切行われていないのです。検査ばかりです。抗体がどうであるとか、PCRで陰性や陽性になったとかの話ばかりです。あとはワクチンをできるのを待つばかりです。残念なことに、新新型コロナウイルスに対して永遠にワクチンは作れません。最終的には自分の免疫でしか新新型コロナウイルスには対抗できません。漢方が唯一免疫を上げる本当の治療ですが、中華圏の文化の人々しか享受できないのです。なぜ、清肺排毒湯がよく効くのでしょうか?答えは1つ、あらゆる薬の中で免疫を上げるのは漢方しかないからです。

最近中国で報道された記事を掲載しておきます。

中医薬「清肺排毒湯」の新型肺炎に対する有効率97% 重症化例はゼロ」人民網日本語版 2020年03月17日14:19

 中医薬「清肺排毒湯」の新型肺炎に対する有効率97% 重症化例はゼロ 人民網日本語版 2020年03月17日14:19 今月14日午後、中国科学院の仝小林院士(中国中央指導グループの専門家、国家中医薬管理局専門家グループのリーダー、中国中医科学院の首席研究員)は、「13日の時点で、10省の新型コロナウイルス感染者1261人が『清肺排毒湯』を服用し、うち1102人が治癒した。そして、29人の症状が消え、71人の症状が改善した。重症患者40人も服用し、うち28人が退院した。12人は病院で治療を受けており、10人の症状が好転し、重症から軽症になった」と明らかにした。 中国国家中医薬管理局科技司の李昱司長によると、同局は、1月27日に、中医薬の新型コロナウイルス感染による肺炎患者に対する実用性、効果を確かめるべく、方剤の臨床研究を緊急にスタートさせた。そして、患者214人から有効なデータを取得し、2月6日に国家衛生健康委員会、国家中医薬管理局が共同で清肺排毒湯の使用推奨の通達を全国に発した。 最近発表された「新型コロナウイルス感染による肺炎の診療案(試行第七版)」では、中医学による治療において清肺排毒湯を優先的に使用するよう提案している。同中医薬は方剤4種類を組み合わせた新しい方剤で、使われている生薬は21種類に上る。 仝院士によると、「清肺排毒湯」は、新型コロナウイルス対策専用の中医薬として新しく調合された。方剤「麻杏石甘湯」、「射干麻黄湯」、「五苓散」など4種類が組み合わされている。臨床上では、発熱患者や新型コロナウイルス感染の疑いがある患者、軽症型、普通型、重症型の新型コロナウイルス感染患者の治療に使うことができ、その応用範囲は広い。咳止めと湿邪の改善をその原則としている。 仝院士によると、「『清肺排毒湯』を服用している患者は症状の改善が明らか」という。(編集KN) 「人民網日本語版」2020年3月17日

このINF-αとINF-βの働きは、ウイルスが自分のコピーを作るために必要なタンパク質を合成するのを阻害したり、その結果ウイルスが増殖しないようにしてくれます。さらに細胞にヘルペスウイルスや新新型コロナウイルスが感染すると、自爆テロ的アポトーシスを起こして、自分の細胞もろともヘルペスウイルスや新新型コロナウイルスを殺してしまうのです。なかなか立派な犠牲的精神を持った1型インターフェロンがINF-αとINF-βであると思いませんか?アハハ!

ワクチンについて詳しく解説したかったのですが、時間切れです。ごめんなさい!

今日はここまでです。2020/05/28

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