コラム

クラススイッチをさせるIL-4はどの細胞が一番最初に作るのか?

投稿日:

 どのようにしてIgGを作るのに必要なIL-2やIFN-γやTNF-αなどのサイトカインを作られ、かつIgEを作るのに必要なIL-4が作られるかを説明しておきましょう。難しい話ですがついてきてください。

 人体に侵入してきた化学物質や細菌やウイルスは樹枝状細胞や大食細胞にまず食べられると、まずIL-12を出します。このIL-12は未熟なT細胞をヘルパーT1リンパ球(Th1)に変えてくれるのです。するとTh1はIL-2やIFN-γやTNF-βを出します。これらのサイトカインの中で、IFN-γが直接的にBリンパ球のIgMをIgGに作り変えるよう、1回目のクラススイッチをさせるのです。つまりIFN-γはIgGを作るのには絶対に必要なサイトカインなのです。と同時にこのIL-2やIFN-γやTNF-β樹枝状細胞や大食細胞を刺激して、さらに異物を処理する能力を高めてくれるのです。

 まずこのようにしてIgGが作られて、このIgGがアレルギーを起こす肥満細胞の膜のレセプターに結びつくと、徐々に肥満細胞がIL-4を作り始めます。ここで強調しておきたいことがあります。IL-4はあくまでもIgGが作られてこそ、初めて作られ始めるのです。このIL-4は骨髄で作られた未熟なT細胞と結びついて、IL-4を作るヘルパー2Tリンパ球に分化させるのです。このヘルパー2Tリンパ球は、IL-4をどんどん作り出し、このIL-4がIgMやIgGを作っているBリンパ球に結びついてBリンパ球のAID遺伝子を再びONにさせ、自分の作る抗体をIgGからIgEに変えていくのです。

 ここで注意しておきたいのは、AID遺伝子を見つけたのは我が母校の京大の本庶佑でありますが、今なお作用機序を彼は明らかにしていないことを知っておいてください。いずれにしろ一度AID遺伝子の発現を抑制してしまうと、正常な遺伝子の働きを戻すのが大変なのです。

-コラム
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

アルツハイマーもパーキンソンもプリオンもヘルペス?! 2019.1.17更新

オプジーボを投与中にヘルペスウイルスが増えて、オプジーボ投与中や投与後に20種類近くの重症な副作用が出ます。今日の予定は、そのような副作用が出た時に、必ず大量のステロイドホルモンを使うのはなぜかを、一 …

no image

なぜマイケル・ジャクソンの肌は白くなったのか

 皆さん、マイケル・ジャクソンがいつの間にか白人になってしまったことを知っていますね。遺伝的にメラニンが全く合成されない人をアルビノといい、もちろん黒人の中にも生まれつきアルビノがいますが、マイケル・ …

no image

レチノイン酸と腸管の免疫寛容について 2018.11.8更新

レチノイン酸はビタミンAの代謝産物であり、このレチノイン酸が腸管の樹状細胞から作り出され、Bリンパ球からIgAの産生を促進します。さらにレチノイン酸が腸管にいる形質B細胞にIgAを分泌させたあと、他の …

no image

何故、西洋医学に唯一の免疫を上げて治せる漢方医学が敗北したのでしょうか?更新2024.6.7

江戸時代に最も優れた漢方の「古方派」を確立した吉松東洞は「万病一毒説」を唱えてその時代の病気を完治させ一世を風靡させました。残念乍ら江戸の終わりに西洋医学が日本に入りだすと漢方の免疫を上げてすべての漢 …

no image

リンパ球はどのようにして炎症巣まで運ばれるのか 2018.11.22更新

11/8更新分では、自然免疫の血球の代表である好中球がどのようにして血管から炎症巣まで運ばれるかということを詳しくしました。今回は高等免疫の血球の代表であるリンパ球(Bリンパ球とTリンパ球)がどのよう …