月経前気分障害とプロゲステロン
月経前気分不快障害(PMDD)は、月経周期に伴う黄体ホルモン(プロゲステロン)とその代謝産物の変動が、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きに影響することで引き起こされると考えられています。PMDDの原因はまだ完全に解明されていませんが、ホルモン変動に対する感受性が関連しているとされています。
プロゲステロンの変動とPMDD
黄体期(高温期)のプロゲステロン増加: 月経周期の黄体期にはプロゲステロンの分泌が増加します。このホルモンは、気分が落ち込んだり、イライラしたり、精神的に不安定になったりすることに関連しています。
セロトニンの減少: プロゲステロンとその代謝産物の働きによって、脳内のセロトニンの分泌が減少することが、PMDDの精神症状の原因ではないかと考えられています。セロトニンは、感情を安定させる役割を持つ神経伝達物質です。
エストロゲンとのバランス: プロゲステロンは、気分の安定に関わるエストロゲンとは異なる作用を持ち、両者のバランスが精神状態に影響します。
治療法
PMDDの治療法としては、プロゲステロンの変動を抑えることや、セロトニンを調整するアプローチがとられます。
ホルモン療法: 経口避妊薬(ピル)を使用することで、ホルモンバランスの変動を抑制し、症状を改善する効果が期待できます。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬): 脳内のセロトニン濃度を高めることで、気分の落ち込みや不安といった精神症状を緩和します。PMDDの治療薬として有効とされています。
生活習慣の改善: 規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事、カフェインやアルコールの摂取を控えることも、症状の緩和につながります。
漢方薬: 患者さんの体質や症状に応じて、漢方薬が処方されることもあります。
注意: PMDDの症状は、日常生活に支障をきたすほど重くなることがあります。一人で悩まず、婦人科や精神科を受診して、専門医に相談することが重要です。
月経前気分障害(PMDD)は、月経前の黄体期に分泌が増え、その後に急激に減少する女性ホルモン、プロゲステロン(黄体ホルモン)が深く関わっていると考えられています。プロゲステロンの急激な変動が、脳内の神経伝達物質に影響を及ぼし、イライラや不安、抑うつといった気分の変動を引き起こすという説が有力です。
プロゲステロンとPMDDの関連性
ホルモン変動のメカニズム:排卵後の黄体期には、プロゲステロンとエストロゲンの分泌が増加します。月経が近づくと両ホルモンが急激に減少しますが、特にPMDDの症状が強い場合、この減少が急激になることが示唆されています。
アロプレグナノロン説:プロゲステロンが体内で代謝されて生成されるアロプレグナノロン(ALLO)という物質が、不安を抑える働きをするGABAという神経伝達物質に作用します。しかし、PMDDの女性ではアロプレグナノロンの量が不安定になり、GABAの抑制効果が不十分になることで、不安や抑うつといった症状が現れるという説が有力です。
セロトニンとの関係:プロゲステロンの変動が、気分の安定に関わるセロトニンの分泌量を低下させ、情緒不安定につながる可能性も指摘されています。
治療法と注意点
ホルモンバランスを整える:低用量ピルや低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を用いて排卵を止め、女性ホルモンの変動を抑える治療法が第一選択肢となります。
対症療法:精神的な症状が強い場合は、抗うつ薬(SSRIなど)や精神安定剤が処方されることもあります。
セルフケア:ストレスを緩和するため、十分な睡眠とリラックスする時間を作ることが大切です。
専門家への相談:日常生活に支障が出ている場合は、婦人科や心療内科を受診し、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。