なぜシリーズ 理論

心房細動は何故、左心房に多いのか?更新2025.10.15

投稿日:

左心耳とは、左心房の端にある、袋状のひだ状の構造です。通常は左心房の容積を増やし、心臓の機能を補助しますが、不整脈の一種である心房細動が起きると、血流がよどんで血栓ができやすくなり、その血栓が脳に移動して脳梗塞を引き起こす原因となります。このため、心房細動の患者さんにおいて左心耳の閉鎖・切除は脳梗塞予防に有効とされています。

左心耳の構造
形状:左心房の端に付いている袋状の構造で、耳のひだに似た形をしています。
位置:左心房の左側上部に位置します。
胎児期:胎児期には原始心房としてポンプ機能を持っており、心臓の成長と共に不要な部分として左心耳となります。

左心耳の働き
正常時:左心房の容積を増やし、左心室に送る血液の勢いを増す。心臓に負荷がかかった際に、尿量を増やすホルモンを出す。
心房細動時:心房が小刻みに震え、血液の流れが乱れることで、血栓が形成されやすくなります。特に左心耳は、血栓が形成される主要な場所となります。形成された血栓が脳の血管に詰まると、脳梗塞の原因となります。

まとめ
左心耳は、正常時には心臓の機能を補助する役割を持っていますが、心房細動が起こると、脳梗塞の原因となる血栓を作りやすい部位となります。そのため、心房細動の患者さんでは、この左心耳をカテーテルで閉鎖するなどの治療が行われ、脳梗塞の予防が図られています。

-なぜシリーズ, 理論
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

STAP細胞について

 今日、1月30日の各種大新聞トップ記事から『理化学研究所(理研)の研究者である小保方晴子研究員がiPSよりも簡単に万能細胞を作り出した』というニュースが目に飛び込んできました。小保方研究員はマウスの …

no image

アレルギー反応に分類される4つのタイプについて更新2022.6.12

アレルギー反応に分類されるタイプがⅠ~Ⅳ型がありますが、ひとつひとつについてその意味について解説しましょう。 Ⅰ型のアレルギーは、即時型アレルギーで、IgE型といわれるものであり、ときに液性型アレルギ …

no image

何故、膵臓癌は「癌の王様」なのでしょうか?膵癌には膵管癌以外にどんな種類の癌があります?更新2025.7.7

何故膵臓癌は「癌の王様」なのでしょうか?膵癌には膵管がん以外に他にどんな種類の癌がありますか?膵臓にできる悪性腫瘍は、一般的に膵臓癌と呼ばれますが、その中でも最も多いのは膵管癌です。しかし、膵臓には他 …

no image

トリガーポイント注射とは何でしょうか?更新2022.4.8

トリガーポイント注射とは何でしょうか? 痛みの発生源に注射(ブロック)を行う治療法をトリガーポイント注射といいます。筋肉が硬結していることで血流が悪くなり酸素不足になり痛みや炎症の元となる発痛物質(ブ …

no image

herpesが感染細胞のゲノムDNAに自己のDNAを組み込み、部位特異的遺伝子組み換えによって遺伝子の突然変異を起こして増殖過剰細胞つまり癌細胞を生み出すメカニズム更新2025.7.4

herpesが感染細胞のゲノムDNAに自己のDNAを組み込み、部位特異的遺伝子組み換えによって遺伝子の突然変異を起こして増殖過剰細胞つまり癌細胞を生み出すメカニズムを詳しく説明しましょう。更に現代の難 …