症例報告31例目
完治された病名1)リウマチ性多発筋痛症
患者:61歳
この患者さんは今まで大きな病気もしたこともなく、年齢相応な体力でそれなりに過ごしてこられました。2014年12月頃に右上腕に軽い痛みを感じ、翌年1月5日、右肩から上腕に眠れないほどの痛みが起こりました。整形外科を受診すると「五十肩」と診断され、右肩にヒアルロン酸2ml+ケナコルト(ステロイド)0.2mlを、肩から腕につながる腱に数カ所ノイロトロビン(疼痛治療薬)5ml+1%カルボカイン(局所麻酔薬)2mlの注射を受けました。そして腰痛などで良く使っていた「ロキソニン」の湿布と内服薬による治療が始まりましたが痛みは全く取れませんでした。
1月12日、左肩にも強い痛みが生じました。両上腕は覆い隠すほどの「ロキソニン」湿布薬を貼るも効果はなく、右側と同じく左肩にもヒアルロン酸2ml+ケナコルト(ステロイド)0.2mlの注射、左肩から上腕への腱(痛みが強い所)にノイロトロビン5ml+1%カルボカイン2mlの注射を受けました。これを週1回ずつ4回続けたそうですが、注射した日と翌日くらいまでしか効かず、痛みも少し緩和される程度でした。そして今度は両肩及び両上腕の痛みと共に、尻から下の裏側に強い突っ張りを感じるようになりました。特に朝起きた時の痛みがひどかったそうです。また注射と併せて、その整形外科でリハビリも受けましたが、かえって痛みが増すことも有りました。
以前までは急性の腰痛になってもロキソニンの湿布と内服薬を使えば、ほぼ2日で治まっていたのが全く効かず、痛み止めを毎日飲み続けることに疑問を感じ、患者さん判断で整形外科への通院をやめ、痛み止めもやめてしまいました。その代わりに2月から知り合いに紹介してもらった整体院に週1回ずつ通い始めました。痛み止めを止めると、リバウンドにより夜も眠れないほどの痛みに襲われました。整体院で週1回の施術を受けた時は立ち上がりがスムーズになりましたが、すぐに突っ張りが出てきました。肩も同じような状態でした。また夜中に2時間に1回はトイレに起き、その度にけっこうな量の排尿がありました。
すぐ傍の物を手に取るにも手は机の上を這わせて行かないと取れない、椅子から立ち上がればしばらくはそのまま体が伸びるのを待たねば痛くて動けない、車のウィンカーを出すのも腕や肩が痛くて一苦労、お風呂で頭も洗えないのでリウマチ用の自助具をネットで購入され、整髪にも同じような柄の長いブラシを購入して使っていました。洋式トイレに腰を下ろすことはもはや地獄でした。
こんな症状でも患者さんは働き続けておりました。中間管理職のような仕事をしていたため、何とか与えられた仕事をこなすことができていたそうです。朝は今までより2時間早く起き、立ったまま食事をして体を温めました。服を着るのも大変で、腕を通した後、反対側の肩にかけられればなんとか着ることができました。靴下は自助具の助けを借りながら履き、職場にも早く出勤して、廊下をぐるぐる歩いて体を慣らしていたそうです。日によっては一日中痛み、「もう限界だ」と思う日もありました。
3月半ば、本当にこの症状は五十肩なのか疑問に思った患者さんは、ネットで「両肩両脚の痛み」と入れて検索すると、「リウマチ性多発筋痛症」がヒットしました。しかし一緒に記載されていた診断方法は“最終的にステロイドを投与してみて効けばこの病気である”というおかしなものでした。
ステロイドを使いたくなかった患者さんは他の治療法は無いかと検索を続けると、当時掲載されていた松本漢方クリニックの手記に出逢いました。手記に記された症状や治療過程を読んで自身と重なり、完治あるいは手記を書くまで改善するまでの道のりの遠さに唖然としました。しかし4月から現場に戻ることが決まっていたこともあり、急遽整形外科で血液検査をしてもらい、炎症反応値(CRP)の高さ(正常値0.2以下のところ2.74)を確認すると、勧められたステロイド治療をお断りし、藁をもつかむ思いで松本漢方クリニックに駆け込みました。3月24日のことでした。
漢方薬とアシクロビル2錠ずつを飲み始めると、少しですが痛みが和らいでいきました。毎日へとへとになって仕事から帰った後、漢方を作って飲み続けました。
本当は休職してゆっくり体を休めて欲しいところでしたが、土日だけは漢方風呂に入ってゆっくり休めるようにしていました。また「病気を治すのは自分自身の免疫」なので、ストレスでさらに患者さんの副腎皮質からステロイドホルモンを出さないように、心の在り方・生き方を大切にされました。
4月、体の痛みがきつく、立っていれば立っていたで、座っていれば座っていたで、体が固まってしまい、次の動き出しがきつい状態でした。痛む部位は両肩両上腕から、手首、拇指丘、膝、ふくらはぎ下など、あちこちに飛びました。右背筋に疲労した時のような痛みあり、腰痛も出ました。痛い個所にお灸をすると少しだけですが楽になられました。寝起きの痛みがきついので、灸は朝出勤する前に2~30分くらい毎日行っておられました。
右腕を動かす時、角度によりゴリッと腱が動き、肩が外れてしまうのではないかと思うぐらい激しい痛みが走るという症状が続きました。夜のトイレは約1~2時間毎に行きました。
土日に入る漢方風呂は、身長178cmだった患者さんは膝立ちするのがやっとで体に湯をかけるのと膝立ちしているのがしんどくて10分と入っていられませんでした。入浴後はベッドで体を休めました。
5月5日からネットで探した鍼灸院に通い始めました。
6月に入り、体の動きも少しずつは良くなっていきましたが、両肩両上腕の痛み、尻から下の強いこわばりはまだまだあり、重い物を持つことはできませんでした。寝返りはまだ打てず、4月からずっと、1~2時間毎に電動ベッドの上半身部分を垂直に近い辺りまで上げ、頭をそこに押しつけて反動を使って体を起こし、トイレに行くことで寝返りに替えて体の痛みを和らげる状態でした。
7月上旬から体が急速に楽になり、腕が上がるようになり多少重い物も持てるようになりました。椅子からの立ち上がりにも臀部下のつっぱり感が減少してきました。朝のトレーニングにも少しずつ参加して2km位はジョギングできるようになり、趣味のギターも弾けるようになりました。寒くなると多少は体が硬くなった感はありましたが、日常の動きは不自由なく動かせるようになったので治療を終了しました。
症例報告32例目
完治された病名1)リウマチ性多発筋痛症
患者:57歳、女性
リウマチ性多発筋痛症を発症するまでは大きな病気になったことがありませんでしたが、子育て・仕事・近所の旦那さんの親戚付き合いと多忙にされていました。押しつぶされそうなストレスがあってもなかったことにして、感じないようにしていました。まさかそういう生き方の中で、患者さん自身がステロイドを出し続け、ヘルペスを増殖させていたなどとは、夢にも思いませんでした。
30年後、子供たちも大人になり、暮らしにも余裕がうまれ、数年は、友人とのささやかな旅行、高校卒業してから初めての同窓会、結婚してから初めての妹との姉妹会を楽しめるようになりました。余裕ある生活の中で患者さんの免疫は復活し、増殖したヘルペスウイルスと化学物質との戦いが起こり、思いもかけない病気になってしまうのです。まさに嵐の前の静けさでした。
平成25年7月頃から下半身に強い冷えが始まりました。
同年10月、30代から悪かった膝股関節がいよいよ悪くなったため、施術と正しい靴を選ぶことで痛みを改善するという A クリニックに月に1度の通院を始めました。漢方科のある病院でした。
同年12月、のどが詰まって気持ち悪くなりました。また、足が冷えて入浴時に浴槽に浸かった途端に足の指先が真っ白になりました。A クリニックの医師に話したところ、梅核気ということで半夏厚朴湯が処方されました。梅核気(ばいかくき)、別名、咽頭異常感症とも言い、風邪でもないのに喉の違和感、喉が詰まる感じがする症状のことをいいます。
平成26年5月上旬から、関節が痛い、股関節の周りがこわばる、腰がこわばって曲がってしまう、肩の関節が痛くて腕が上がらなくなるという症状が出てきました。今まで以上に下半身の冷えが強くなりました。
それまで膝、股関節が痛くてもほとんど鎮痛剤は飲まれませんでしたが、5月の1ヶ月でロキソニンを20錠は飲みました。飲めば痛みは治まりました。歩くのに杖が必要になりました。日常的にプールに通っておられましたが、水中でも歩くことが大変になってきました。
平成26年6月9日、夜中から全身に猛烈な関節痛、筋肉痛が出始めました。
首、肩、腰周り、股関節、腿、ふくらはぎ、あらゆるところに万力で締め付けられるような強い痛みを感じました。また、こわばりで寝返りが打てず、軽い夏布団を動かすこともできませんでした。なかなか起き上がることもできず、やっと起き上がっても歩くことが出来ず、這ってトイレに行く状態でした。インフルエンザで高熱になった時よりもっときつい症状でした。強い冷え、微熱があり、寝汗がすごかったそうです。
同年6月11日、A クリニックの予約日だったので受診し、体の痛みについて話しました。低気圧、更年期が原因(?)ということで、ノブフェン、芍薬甘草湯を処方されました。ノブフェンを飲むと昼は痛みが治まりましたが、夜から早朝は相当な痛みが起こりました。免疫を上げる漢方と免疫を下げる薬を一緒に処方するのは全く意味がないことです。せっかく漢方で上げた免疫を落とされるのですからね!アハハ!
6月14日、あまりに痛く、近くの B 整形外科に行き、血液検査を受けました。検査結果はCRPが2.61でした。「症状からするとリウマチかもしれない。何回か血液検査をして薬を探していけば合う薬がある」と言われましたが、保留にして帰られました。
インターネットで「全身痛い」というキーワードで調べ始めると、日本リウマチセンターがヒットしました。症状にぴったり当てはまる「リウマチ性多発筋痛症」という病気についての記載に「この病気は試しにステロイドを飲んで病気を確定する」とありました。また合併症として側頭動脈炎があり、その場合は更に大量のステロイドが必要と書いてあるのを見て患者さんは困惑されました。
ステロイドは恐ろしい薬のイメージがあった患者さんは、ステロイドを使わない病院をさらに探したところ、松本漢方クリニックのホームページが見つけました。当院のホームページには「ステロイドなどの免疫抑制剤は絶対に使用しません」と太字で大きく載せています。
私のコメントや論文はとても難しかったそうですが“病気の原因はヘルペスと化学物質で、抗ヘルペス剤でヘルペスを抑えて漢方薬で免疫を上げて自分の免疫で病気を治す”ということは理解され、「薬を飲めば治るんだ」と驚かれました。
しかし、遠方のため松本漢方クリニックまで通院できるのかということ、忙しい夫にも付き添ってもらわなくければならないということ、病気の原因が本当にヘルペスなのかという迷いもあり、すぐに受診されませんでした。
薬は引き続きノブフェンを朝夕1錠服用していました。日中は少し痛みが治まるも、夜は激痛と強いこわばりがありました。夏なのに強い冷えがあり、湯たんぽで足を暖めていました。外出時は靴下カイロを使い、車の運転は出来るので週1回は必死でプールに通いました。
そして松本漢方クリニックに行くか迷っているうちに、日に日に痛みやこわばりが強くなり、ある日、悪い方の右股関節が曲がったまま動かなくなり、歩行困難になってしまいました。
平成26年7月初め~7月20日、痛みやこわばりが強くなり、昼間もノブフェンでは治まらなくなりました。特に夜から早朝にかけて繰り返し陣痛のような痛み、電気が走るような痛み、こわばりがありました。首、肩、二の腕、膝周り、ふくらはぎ、特に腰から股関節周りは万力で締め付けられるような痛みがあり、体がベッドから持ち上がるほどのこわばりもありました。また、微熱、寝汗がひどく、強い冷えがありました。
歩行や立ち上がるのが困難で、しゃがめなくなりました。握力が低下し、体を動かすととにかく痛くて、日常生活が大変になりました。膝、腰が曲がって老人のようになり、家の中も杖に寄りかかって移動するようになりました。座る、立ち上がる、拾う、トイレ、お風呂、寝る、起きる、洋服の着脱、全てが困難になりました。それなのに寝汗をかいて洗濯物は増えるし、体の自由が利かないぶん、物を落としたりして、動けば痛いし、何をするにも時間がかかりました。
ノルディックウォーキングの2本杖、玄関、テラスに踏み台、あらゆる場所に椅子、お風呂の介護用椅子、キャスター付の高い椅子など通販で購入してなんとか家事が出来るようにされました。2本杖は家の中で動くのに非常に役立ちましたし、キャスター付の椅子も、ちょっとした物でも持てなくなっていた患者さんには洗濯物や食事を運ぶ時に本当に役に立ちました。
洋服の着脱時、体が動かなくて痛くて、生協で安くて大きいサイズの綿のシャツ、ズボンをたくさん買いました。が、寝汗がすごかったので何枚あっても足りないくらいでした。買い物はほとんど生協で注文して、足りないものはご家族に頼みました。車は何とか乗れるけど歩けない。痛くて物が持てない。
薬は引き続きノブフェン1日3回1錠ずつ服用。冷え解消のための湯たんぽ、靴下カイロも続けていました。
同年7月8日、就寝中に、強いこわばりの中で右股関節が立膝の状態から曲がったまま動かなくなりました。深夜ノブフェンを飲んだり、さすったりしましたが、どうしても治らなくて相当あせりました。
7月9日、A クリニックの予約日、友人に車で連れて行ってもらって、足が曲がったまま受診し施術を受けるも治りませんでした。血液検査はCRPが6.24、MMP-3は665.4でした。「数値が高いのでリウマチの疑いがあるが、症状が急すぎるのでリウマチらしくない」と言われました。股関節の症状から感染症を疑われ、ノブフェン14日分に加えフロモックス(抗生物質)5日分を処方されました。2日後、昼寝から目が覚めたら動かなかった右股関節が動いてまっすぐなりました。
7月12日、知人の紹介でC カイロプラクティック施術院(以下Cカイロ)に通うことにしました。松本漢方クリニックに行くにしてもダメージを受けた足を落ち着かせて、大阪へ行ける体にするため、Cカイロに4~5日おきに通院されました。カイロプラクティックとは、英語でchiropractic、カイロプラクティックの名称はギリシャ語の Chiro(手)と Prakticos(技術)を組み合わせた造語です。身体の構造、特に脊椎と機能に注目した専門医療であり、施術法は主に脊椎やその他の身体部位を調整(矯正)することにより、ゆがみの矯正、痛みの軽減、機能改善、身体の自然治癒力を高めることを目的としています。Cカイロの先生の許可が下りたので、16日からプールでの水中歩行を再開しました。中高年向きのフィットネスジムにあるプールで、隣接したデイサービスや老人ホームのお年寄りと共有するバリアフリー完備のものでした。しばらくして自力での車の運転も再開できるようになりました。
7月21日~8月30日、特に右足が浮腫くんできました。冷えが強くて湯たんぽ、靴下カイロを必要としました。
7月23日、A クリニックの予約受診日。松本漢方クリニックに行くまで、薬、血液検査の為、お世話になることにしました。ノブフェンに加え、漢方薬(桂枝加苓朮附湯、アコニンサン錠)が処方されました。
7月31日、足がどんどん浮腫んで重くて気持ちが悪くなりました。ノブフェンを1日2回1錠に減らしました。
8月1日、知人が光線治療器を貸してくれました。真夏なのに冷えがひどかったのが光を全身にあてると暖かくて気持ちが良かったそうです。
8月8日、A クリニック予約日、症状からリウマチや膠原病ではなく、感染症の疑いと言われました。患者さんはヘルペスがリウマチ性多発筋痛症の原因であると話し、自費でも良いので医師が疑われる感染症とヘルペスの血液検査をオーダーして欲しいとお願いしましたが、「原因や病名を確定しても意味がない、症状で薬を決めていく」とのことで、ヘルペスの検査をしてもらえませんでした。
その日の処方は防已黄耆湯、アコニンサン錠、ノブフェンでした。血液検査の結果はCRPが1.86でした。この後、近所の皮膚科に行って事情を話し、ヘルペスの血液検査をお願いしましたが、「ヘルペスは100%ない!」と言われ、やっぱり検査はしてもらえませんでした。ヘルペスの血液検査をやってくれる病医院は当院を除いてありません。悲しいですね。
8月中旬から足の浮腫みが引き始めました。痛み、こわばりの全身症状は相変わらず強いものの、Cカイロに行き始めてから少し体が楽になってきました。しかし、発病して2ヶ月近くたち、歩行困難と体の不自由さで日常生活がだんだん立ち行かなくなってきていました。6月から体重が5キロ減少していました。
痛みを我慢しながら患者さん判断でノブフェンをどんどん減らしました。1日朝夕2回0.5錠だけ服用しました。減らす分だけ体の痛みやこわばりが増していきました。
Cカイロには5日おきに通院され、プールは週に1 回15分程度、歩きに行きました。
平成26年8月31日に意を決し、旦那さんにも同行してもらい日帰りで松本漢方クリニックに行くことにされました。まだ駅構内など広いところを歩ける状態ではありませんでしたが、もうこれ以上先延ばしにすれば、ますます家族にも負担がかかり、自分も心身ともに苦しくなり、家庭が駄目になってしまうと思ったかです。真夏でも寒くて、寒くて、靴にカイロを入れて、上着とひざ掛けを持って新幹線で2時間半、2本杖をついて来院されました。
リウマチ性多発筋痛症と診断しました。患者さんが今まで真面目過ぎるあまり、頑張り過ぎたり、我慢しすぎたりしたためにこの病気になったことを説明し、病気を治すためにこれからは心の在り方を変えていくように指導しました。「体重が急に減ったので、ご飯をたくさん食べている」とおっしゃっていたので、病気と闘うためには蛋白質をしっかり取るようにしてもらいました。そうすれば体重は適正なところで止まります。また、闘病が大変なため、家族の協力が必要であることを旦那さんにしっかり説明しました。
「あなたの治せない病気は私には治せません、あなたの病気はあなた自身の免疫が治すのです。必ず治るからね、痛いけど死なないから大丈夫。」と患者さんに言って握手をしました。最後に困ったらいつでも電話できるように携帯電話の番号を伝えて診察を終えました。
血液検査の結果、単純ヘルペス抗体価:174.4、水痘帯状ヘルペス抗体価:15.1CRP:0.43、MMP-3:346、血沈:12、リンパ球:245
抗ヘルペス薬アシクロビル1日10錠、漢方薬2種類(食前:大防風湯、食後:治打撲一方湯)、漢方入浴剤(1週間に2回)、お灸用のもぐさ、カマヤミニ、お灸の時の火傷用に軟膏の紫雲膏をそれぞれ2週間分処方し、続けてもらいました。
ステロイドをいっさい使っていなかったので、介護が必要なほど寝たきりになるようなリバウンドはありませんでした。しかし、鎮痛薬を全部止めるとやはりかなりきついリバウンドが全身にやってきました。痛み、こわばりが強くなってきているのは、リバウンドでヘルペスとの戦いによるもので、右股関節痛はヘルペス性神経炎なのです。アトピーに関しては、多少かゆみがあったものの大したアトピーはありませんでした。よほどヘルペスが強かったのでしょう。
平成26年9月~10月、首、肩痛み、手首が腫れて痛みがありました。二の腕に電気が走る痛みと何かに触れるとき、気持ちの悪いざわざわした感覚がありました。下半身に強いこわばりと痛みがありました。動くたびに痛み、膝腰曲がって歩行が困難になっていました。トイレ、風呂、洋服の着脱、なにもかも困難で、2階の寝室へは這いつくばって行っていました。夜から早朝は電気が体を走るような痛みと締め付けられるようなこわばり、ベッドから体が持ち上がるようなこわばりがありました。特に右股関節周りの痛みがきつかったとのことです。倦怠感、微熱、寝汗、強い冷えも続いていました。
9月12日、今までと違う症状のリバウンドが起こりました。肩関節の痛みが増し、両腕が急に「前へならえ」のところから上に上がらなくなった。首も回りにくくなりました。洗濯物が干せない、洋服の着脱時に腕が動かないし痛い、車の運転時ハンドルが10時10分の位置で握れなくなる。
9月19日、首まわりに湿疹ができたとのことで軟膏の中黄膏を処方したところ、すぐに治りました。
9月27日、冷えが少なくなっていき、夜も眠れるようになりました。
10月3日、筋肉を弛緩させる漢方薬(芍薬甘草湯)を追加し食間に飲んでもらいました。処方はアシクロビル1日10錠、漢方薬3種類、紫雲膏、中黄膏でした。漢方薬は二番煎じもしてお茶の様に飲み治りを良くしました。カマヤミニのお灸を家で50~100壮すえました。二の腕、太もも、膝、ふくらはぎ、指の間など自分でできる範囲にすえました。
松本漢方クリニックに行くまでにCRP が下がっていたのは、カイロのおかげと思っていた患者さんはカイロプラクティックを5~7日おきに行かれました。股関節の悪いのに加えて肩も上がらなくなっていましたが、一生懸命通いました。プールの水中歩行は週1回15分行いました。
平成26年10月25日、松本漢方クリニック2回目の来院。毎回電話で話していた症状の確認をし、「痛みが停滞しているということはヘルペスと戦っているから」という説明をしました。身を捨ててこそ浮かぶせもあれ。リンパ球について、「ストレスが減るほど、免疫が上がるほどリンパ球の数値は上昇する。いずれ数値は40代に上がる。幸せの白血球だ」と言って説明しました。そして他人に嫉妬せず、「人の幸せを喜びなさい。」と心の在り方を指導しました。しばらく来院できないので、地元で血液検査をお願いする際の項目を伝えました。お灸の先生に灸の跡を見てもらい、アドバイスしてもらいました。
10月31日に25日に受けた血液検査の結果を電話で教えました。
単純ヘルペス抗体価:126.1、水痘帯状ヘルペス抗体価:11.4、CRP:0.08、MMP-3:138.1、血沈:6、リンパ球 28.6という結果でした。症状の状態がよければ8錠にしても良いと伝えて、アシクロビル1日10錠、漢方薬3種類、漢方入浴剤を処方しました。
平成26年11月初め、相変わらず二の腕の痛みと下半身の痛みこわばりありましたが、股関節の痛みが少し減り、歩きやすくなったので、日常生活も少しずつ楽になりました。かゆみが首、足に出ましたが、すぐ引っ込みました。お灸の跡が痒くなることが多くなりました。2本杖はまだ必要でした。
11月14日、電話診察により芍薬甘草湯が中止にしました。
11月22日、洋服の着脱が少し楽になりました。靴紐が結べるようになりました。お風呂の浴槽に入りやすくなりました。カイロ施術後に膝が伸びるようになってきました。
12月10日、ブラジャーを数ヶ月ぶりにできるようになりました。ゆるい Tシャツなら腕をクロスして脱げるようになりました。床に座って立ち上がることが出来るようにもなりました。就寝時のこわばりが減ってきました。
12月15日、近所の D クリニックで血液検査をお願いしました。検査結果は単純ヘルペス抗体価:128、CRP:0.05以下、MMP-3:101、リンパ球:23.4
12月26日、アシクロビル1日10錠、漢方薬3種類、漢方入浴剤を処方しました。この頃また股関節痛が出たので芍薬甘草湯を処方しました。炎症所見は良くなっていましたが、ヘルペス値が高く、まだヘルペスの戦いが多い状態でした。病気を治すのはあくまで患者さん自身の免疫です。
カイロは週1回、プールは週1回行っていました。お灸は引き続き50~100壮、毎晩行いました。
平成27年1月、夕方から深夜、下半身に強いこわばりがありました。肩は少しずつ上がるようになりました。
1月9日、カイロの施術後、腰がまっすぐ伸びるようになってきました。
血液検査の結果を見るとヘルペス値が下がらず、リンパ球も増えていなかったので、「やはり免疫を上げるために近所の鍼灸院に行ってみよう」と思い、しばらく通われましたが、下半身は冷たいままで、頭がのぼせて、上半身ばかり汗がすごく、経済的にも大変だったため結局3ヶ月でやめました。松本漢方クリニックとカイロプラクティックの2本立てで再び行くことになりました。
平成27年2月8日、松本漢方クリニックに3回目の来院です。のぼせの症状が気になりつつも、しばらく経過観察することにしました。鍼灸の先生にお灸の跡を確認してもらい、つぼを教えてもらいました。
2月15日に電話で8日の検査の結果を伝えました。単純ヘルペス抗体価:126.1、CRP:0.05以下、MMP-3:74.3、血沈:3、リンパ球:29という結果でした。また、アミラーゼ、LDL コレステロールが高いので糖分を控えるように言いました。処方はアシクロビル1日10錠、漢方薬2種類、漢方入浴剤(週2回)を出しました。
平成27年3月初め、こわばりが減り、膝や腰がまっすぐ伸びるようになり、2本杖は要るものの歩きやすくなられました。足に力がついて手すりを持てば階段を右左交互に上がれるようになりました。ゆっくりならしゃがめるようになり、正座もできるようになりました。そこで患者さんはアシクロビルを1日8錠に減薬しました。
3月下旬の夜間、太もものこわばりがありましたが、気になるほどではなくなりました。
4月13日、近所の D クリニックに血液検査に行きました。結果は単純ヘルペス:128、CRP:0.02、MMP-3:62.6、リンパ球:27.9でした。体調が良くなってヘルペス値が減っていることを期待しましたが、変わっていなかったため患者さんは落胆されましたが、そんなに簡単にヘルペスは減りません。今まで飲んでいた薬により落ちていた免疫を上げるのと心の在り方を変えるのはなかなか大変なことなのです。
5月中旬、いろいろ痛みやこわばりは残っていましたが、家事をすれば忘れるほどの程度になり、夜も気持ちよく眠れるようになりました。外出時は1本杖になれました。
家では杖なしで生活できました。右股関節周りの痛みは残っていました。頭がのぼせる症状がありました。処方は変わらずアシクロビル1日8錠、漢方薬2種類、漢方入浴剤を出しました。カイロは週1回、プールは週1回30分になりました。お灸は50~100壮行いました。
平成27年6月2日、松本漢方クリニックに4回目の来院。一人で1本杖で来られました。血液検査の結果は、単純ヘルペス抗体価:122、水痘帯状ヘルペス抗体価:10.3、CRP:0.05以下、MMP-3:51.6、リンパ球:29.3でした。処方はアシクロビル1日8錠、漢方薬3種類(のぼせの症状が気になり、加味逍遥散を追加)、漢方入浴剤を出しました。
平成27年6月初め、日常生活がずいぶん楽になってきたのでプール通いを週3回にしました。
7月中旬、両ふくらはぎの広範囲に湿疹が出ましたが3日で消えました。
7月~8月、プールの日数を増やしたら足にどんどん力がついていき、杖がいらなくなりました。右股関節周りはまだ痛みがありました。のぼせは減ったり増えたりでした。
9月初め、右股関節の痛みがなくなったのでアシクロビルを減らして様子をみました。6錠までで大丈夫になりました。処方はアシクロビル6錠、漢方薬3種類、漢方入浴剤(週1回に減らしました)でした。カイロは週1回行っていました。体がまっすぐになり、施術ごとにどんどん良くなってくるのを実感されました。プールは週3~4日、50分の水中歩行を1キロ行いました。1年ぶりにクロールで泳げるようになりました。痛いところがなくてもお灸は時々されていました。
平成27年10月23日、松本漢方クリニックに5回目の来院。一人で杖なしで行けるようになりました!血液検査の結果は単純ヘルペス抗体価:110.4、水痘帯状ヘルペス抗体価:14.8、CRP:0.05、MMP-3:25.4、リンパ球:31でした。処方はアシクロビル1日6錠、炎症反応が正常になり、食前の大防風湯が無しにして漢方薬2種類にしました。念のため免疫を上げるために1週間に1度は漢方風呂に入るようにしました。
お灸は痛みがなくなったので、無闇にせずに、免疫を上げるつぼにするようにとお灸の先生に教えてもらいました。
11月23日、漢方煎じ薬を1つにしました。長距離は無理でも、杖をつかずに歩けるようになりました。少しこわばりが残っていて体の動きが少しぎこちないこと、カイロの施術時に首・肩・肩甲骨周りを触られると痛みがあること、最近寝汗をかくことがあり、まだまだヘルペスの存在を強く感じられるとのことでした。しかしほぼ日常生活を取り戻してきました。
「病気を治すのは医者ではなくて自分自身」です。自分の免疫の働きを最大限生かしてヘルペスと闘う、そのためには自分自身で体内の副腎皮質ホルモンを出さないような物事の捉え方・生き方・心の在り方が大切です。これは頭でわかってもそう簡単にはいきません。しかし一生治らないと言われる病気になって当院に来られる患者さんのほとんどが、最後には病気になって良かったと思えるようになり、病気になって初めて大切なことを気づかせてくれるようになる方が多いです。
この患者さんも例に漏れず、最後には完治され病気に感謝し、日常生活を取り戻しました。