全身性エリテマトーデス完治の症例集Part1の続きです!
68)筋炎(筋がヘルペスウイルスに感染して筋力低下、筋痛、筋萎縮(いしゅく)などを示すものを筋炎とよんでいる原因不明であるといわれているのでherpesと決めつけることができるのです。筋に炎症性細胞浸潤とともに四肢筋の筋力低下や筋萎縮を示してくる多発性筋炎ないし皮膚筋炎と同義語に用いられることが多いのです。多発性筋炎や皮膚筋炎は原因不明の難病の一つで、自己免疫疾患ないし膠原(こうげん)病の一つとされていますがherpesが原因なのです。この世に原因不明な難病なんか何一つありません。顔面筋、頸筋(けいきん)および四肢の筋の筋力低下と筋萎縮が見られ、四肢のうちでも躯幹(くかん)に近い肩や腰の筋が強く冒されます。皮膚の発疹(はっしん)、皮膚の萎縮や毛細血管の拡張を伴うものを皮膚筋炎とよんでいます。筋力低下とともに発熱、関節腫脹(しゅちょう)、筋痛を示すことが多く、herpesとの激しい戦いによってCRPや血沈促進などの炎症所見がみられます。男女ともに発症するが、女性が多いのはコルチコステロンが多いからです。副腎皮質ステロイド剤が著効を示すのは原因がherpesであるからです。
多発性筋炎とこの筋炎とは原因は同じヘルペスです。皮肉なことにSLEの治療薬であるステロイドの副作用で起こるステロイドミオパチーによる筋炎のほうが多いのです。ミオパチーとは筋疾患とか筋肉障害いう意味です。ステロイドミオパチーの主症状は,ステロイドによる骨格筋の萎縮を原因とする筋力の低下です。ステロイドを大量に長期にわたって投与されると糖分ばかり作りすぎて蛋白が作れなくて細胞自身の構築や機能正常を保つことができなくなり骨格筋の細胞が小さくなり骨格筋の萎縮をもたらすのです。筋力低下が日常生活動作(activities of daily living略してADL)を障害するために家事や仕事に支障をきたすなど,患者の生活の質(quality of life略してQOL)の低下が問題となります。生活の活動で一番よく使う下肢の筋力低下が現れるためにしゃがみ立ちや階段の上り下りなどが困難になるので,転倒しやすいのです。ステロイド服用患者には女性が多く,骨粗鬆症の副作用も考え合わせれば,転倒は骨折のリスクとなり高齢であれば長期臥床になります。ステロイドミオパチーによって骨格筋の委縮はどのようにして生じるのでしょうか?既に述べたように一つ目はsteroidであるグルココルチコイドは蛋白合成を減少させるのみならず、異化を亢進させるからです。異化とは、分子を小さな構成部分に分解してエネルギーを取り出す代謝過程であり、多糖や脂質、核酸、タンパク質等の大きな分子が、それぞれ単糖、脂肪酸、ヌクレオチド、アミノ酸等の小さな部分に分解されることです。二つ目はグルココルチコイドは糖新生の基質であるアミノ酸を提供する中間代謝に影響して、骨格や骨格筋それ自身にに直接異化作用を及ぼすことよって骨格や骨格筋が減っていくからです。グルココルチコイドであるコルチゾールは骨を形成する骨芽細胞のアポトーシスを誘導するとともに骨芽細胞寿命の短縮、機能の抑制により骨の代謝マーカーであるオステオカルシンやアルカリホスファターゼなどの低下が起こり骨形成能が低下して骨粗鬆症も起こるのです。オステオカルシンは骨の非コラーゲン性タンパク質として25%を占めるタンパク質です。 それに加えて腸管からのカルシウム吸収を抑制して体内のカルシウム量を減少させたり、尿中への排泄を促進する作用をステロイドホルモンはもっているのです。ますます骨自身が減ると骨格筋も減ってしまうのです。
なぜストレスがかかると糖質ホルモンであるステロイドホルモンを欲しがるのでしょうか?嫌なことをつまりストレスに耐えるのは心です。心はどこにあるでしょうか?脳です。脳が働くためには代謝燃料であるエネルギーが必要です。脳はグルコースが好物で油ものである脂肪酸は受け付けません。脳は糖を肝臓のようにグリコーゲンに変えて貯蔵もしないし、かつ糖新生といわれる糖の合成も一切しないのです。脳に糖分がない場合は肝臓から供給されるケトン体で急場をしのぐのです。
ケトン体とは、アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンの三つの総称で、脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物です。つまり脳はエネルギーの大半をグルコースから解糖という経路から獲得しておりグリコーゲンから糖を作る代謝はほとんどしないし肪酸もほとんど代謝燃料にはならないのです。脳にグルコースがない時は肝臓由来のケトン体に依存しているのです。
糖が少ないときに助っ人として登場するのが糖質ホルモン、別名糖質コルチコイド、別名ステロイドホルモンが登場するのです。ストレスによって増えたステロイドホルモンは糖代謝に作用して糖を増やして脳に使わせようにするのです。まずコルチゾールは肝臓に働いてアミノ酸や油脂の成分であるグリセロール(三価のアルコール)などからアミノ酸からブドウ糖を作らせたり油脂からブドウ糖を作らせるのを促進するのです。一方ステロイドホルモンはほかの臓器で糖を利用を抑制することで血流の糖を上昇させる脳に使わせようとするのです。この目的はストレスの時はうつ状態になりやすく、鬱になると生ずる脳の機能低下を防ごうとしているのです。さらにステロイドは中枢神経である脳を興奮させて鬱的な脳の状態に対抗させようとしているのです。
先ほど述べたのですが蛋白を分解代謝(異化)してアミノ酸の血中濃度を上昇させアミノ酸の糖新生を促進させるのです。さらに肝細胞以外での臓器でのアミノ酸の取り込みを阻害してその分、血中アミノ酸濃度を上昇させそのアミノ酸を肝臓で糖新生に使わせその糖を脳が独占的にストレスに際してはエネルギーとして使ってしまうのです。
ステロイドホルモンは脂質ですからきわめて簡単に脂質細胞膜からあらゆる細胞に入り込んでしまいタンパク質の分解が生じてアミノ酸が奪われてしまうので生命維持に絶対必要な蛋白がストレスのために減ってしまうので臓器の萎縮や機能障害が生じてしまうのはストレスが出発点になっているのがお判りでしょう。しかも何万回も述べているようにエネルギーが脳の次に最も必要な免疫からもエネルギーを奪いとり免疫の仕事ができなくなり無尽蔵に増え続けるherpesが細胞を破壊することによって細胞や臓器の機能障害が生じあらゆる病気が生まれることを考えるとこの世の悪の双璧はストレスとherpesであると断言できます。わっはは!!!!
69)急性心外膜炎急性心膜炎は心膜に急性の炎症が発症した疾患です。虚血性心疾患を除いた症例の約5%が急性心膜炎です。 急性心膜炎のほとんどはウイルス感染症でありherpesによるのです。心外膜の細胞に感染したヘルペスが原因です。herpesが現代社会に残った最悪の病原体である理由の一つは人体に感染すると230種類のすべての細胞に感染できるスパイクを持っていることです。病気は細胞の機能が障害されて生じるのでヘルペス感染がおこった細胞の機能がherpesの増殖によって障害されると自己免疫疾患をはじめとする原因不明なすべての病気が生じるのです。だからこそSLEのような全身性と名の付く自己免疫疾患が生まれるのはherpesが原因であるからです。それとステロイドですね。わっはは!!
70)精神障害はせん妄や幻覚、てんかん発作があります。すべてherpesによるものです。せん妄は譫妄と書き、英語で deliriumで、幻覚は意識混濁に加えて、奇妙で脅迫的な思考や幻覚や錯覚が見られるような状態です。幻覚は、英語で hallucinationで、対象なき知覚、すなわち「実際には外界からの入力がない感覚を体験してしまう症状」をさします。てんかんは癲癇と書き、英語で Epilepsyであり、脳内の神経細胞に発生する異常なてんかん放電と呼ばれる神経活動によっててんかん発作をきたす症状です。世界に]約5,000万人の患者がいます。神経疾患としてはもっとも一般的なものであり古くから存在が知られている疾患の一つで、ソクラテスやユリウス・カエサル、アドルフ・ヒトラーがかかりました。恥ずべき疾患であるどころか偉人になるためには一、二回の癲癇を経験をしたほうがいいのかもしれませんね。ワッハハ!!!てんかん発作は原発全般発作、部分発作、焦点発作など三種類がありますが原発全般発作の原発の意味は不明なという意味ですがherpesがすべてのてんかん発作の原因です。部分発作は焦点発作が同時にいくつかの部位で生じたものであり原発全般発作は部分発作が脳の全体で放電が生じたものです。
何故どのようにヘルペスによって癲癇が生じるのでしょうか?
ニューロン(Neurons訳して神経細胞)脳内に無数にある神経細胞が興奮することによる不随意運動は、癲癇ではない。脊髄性ミオクローヌスや、下位ニューロン障害の線維束攣縮も、癲癇とは異なる。癲癇は経過が慢性反復性でなければならないのです。慢性反復性ということは慢性的であると同時に時間差を置いて急に起こる急性的な病気でありますから、決まった部位にある脳神経がへるぺすのために繰り返し障害を受けているということですね。ということは免疫が落ちたときは神経細胞に感染している殺しきれないherpesが増殖するとその細胞が異常になり正常な活動電位(かつどうでんい、英語で action potential)が変化します。活動電位が動いて初めて神経細胞がよかれあしかれ活動し始めます。つまり神経細胞内のherpesの増殖が刺激になり神経細胞膜に生じる一過性の膜電位の変化が生じます。活動電位は、主としてナトリウムイオンやカリウムイオンが、細胞内外の濃度差に従ってイオンチャネルを通じて受動的拡散を起こすことにより起こります。活動電位は、素早く神経組織間や組織内で情報を伝えることができるのです。また、動物のみならず、植物にも存在しています。活動電位はさまざまな種類の細胞から生み出されますが、最も広範には神経系において神経細胞同士や、神経細胞から筋肉や腺などの他の体組織に情報を伝達するために使われます。活動電位はすべての細胞で同じわけではなく、同じ種類の細胞でも細胞個体によって性質が異なることがあります。同じ機能を持った同じ組織の細胞にも違った個性があるというのは初耳です。しかしながら最も活動電位を発する神経組織の神経細胞の軸索が典型的な活動電位を生み出しています。筋肉は神経に次いで活動電位を発する組織であります。中でも心筋活動電位は特別で大抵の心筋細胞間で活動電位が大きく異なるについては後で詳しく説明します。何故ならば心筋梗塞もherpesが関わっていることを詳しく説明したいからです。
活動電位について詳しく説明しましょう。電荷を持つイオンの分布が細胞内外で異なるため、活性化していない静止状態の細胞では通常、細胞外と比べ細胞内の電位がマイナスとなっています。これを静止電位といいます。一方、活動電位とは、この静止電位差がなんらかの刺激によって一時的に細胞外がマイナスになる逆転現象であります。活動電位はスパイクやインパルスともよばれ、活動電位に達することを「発火」と称することもあります。まさに癲癇はこの異常な発火が脳内中にヘルペスによって生じたものです。ヘルペスが増殖するときに神経細胞が刺激されてあちこちで突然発火を起こしたのです。活動電位の速度と複雑さは細胞の種類により異なるものの、どの神経細胞も活動電位によって引き起こされた電位逆転の幅はほぼ同じです。活動電位における負から正への電位の変化に要する時間は短く、数ミリ秒であり、どんな神経細胞の活動電位にも順に脱分極相、再分極相があり、多くの場合過分極相の段階もある。活動電位は細胞膜上の一ヶ所に留まらず、膜上を進み、これを神経伝導といいます。長距離の軸索を進むこともあり、例えば坐骨神経のように脊髄から脚の筋肉まで1,5メートルもシグナルを伝えます。キリンやクジラのような大型動物においては、距離にして数メートルも進みます。活動電位の発生には通常、電位依存性Na+チャネルの存在が不可欠です。この種のNa+チャネルが存在しない細胞や、Na+チャネルが存在しない細胞上の部位である多くの神経細胞の樹状突起などにおいては、活動電位は発生しません。つまり神経細胞の軸索でのみ活動電位が生じるのです。なお、Na+チャネルの代わりに電位依存性のCa2+チャネルを利用しているのが神経以外では心臓ペースメーカー細胞と言われる心臓の調律を担っている洞房結節の細胞があります。ナトリウムチャネルはイオンチャネル(イオンの通路)を形成する膜タンパク質で、ナトリウムイオン(Na+)が細胞膜を透過する責任を担う通路です。神経細胞、筋細胞、特定のグリア細胞などの興奮性細胞では、ナトリウムチャネルは活動電位の上昇するのを担うのです。これらのチャネルには静止、活性、不活性の3つの状態が存在する。静止状態と不活性状態のチャネルはともにイオンを通過させない。ナトリウムチャネルはイオンチャネルを形成する膜タンパク質で、ナトリウムイオン(Na+)の細胞膜の透過を担います。チャネルを開くトリガーの種類によって、電位依存性チャネルと言われる膜電位の変化によって開くのとリガンド依存性チャネルと言われる物質の結合によって開く二つに分類されます。やはりへるぺすによる活性電位は電位依存性チャネルと言われる膜電位の変化によってナトリウムチャネルは開かれるのです。というのは神経細胞に感染したherpesは細胞の中の体液であるイオン構成を変えるのみならず細胞を傷つけるときにナトリウムチャネル自身の形状も変えてしまうからです。
神経細胞、筋細胞、特定のグリア細胞などの興奮性細胞では、ナトリウムチャネルは活動電位の上昇を担います。これらのナトリウムチャネルには静止、活性、不活性の3つの状態が存在する。静止状態と不活性状態のチャネルはともにイオンを通過させないが、これらの状態の立体的な蛋白の形状には差異が存在します。
活動電位について知るためには、先に触れた静止電位とか静止膜電位について少し勉強しましょう。すべての細胞膜の内外に存在する電位差は通常、細胞外と比べ細胞内がマイナスです。この状態を、膜が分極しているといいます。活動していない状態にある膜の電位差は静止電位と呼ばれ、神経細胞ではおよそ−70mVであります。このとき細胞外の電位を0としています。この電位差が生ずる要因はいくつかありますが、例えば細胞内にherpesが感染して増殖しているいるときは、もっとも重要な神経細胞膜間における、イオン輸送と選択的なイオン透過性が変わってしまうと、異常な電位差が突然に出現してしまいその結果癲癇のような突発的な脳神経の電撃的な発火爆発がみられるのです。この様な細胞内外のイオンの濃度の差を、濃度勾配というのですがどのようにして正常な能動勾配が形成されるのかを説明しましょう。異常な濃度勾配はherpesによって起こされるのです。まず正常な濃度勾配について述べましょう。 細胞膜上に散らばって数多く存在する見えないNa+ – K+ポンプにより、正常な濃度勾配を形成するためにこのNa+ – K+ポンプの力を借りてK+を細胞内に能動的に輸送すると同時にNa+の細胞外への能動輸送が行われます。このポンプは、三つのNa+を細胞外に排出する際、同時に二つのK+を細胞内に取り込みます。その結果、Na+は細胞外に多く内側に少なくなり、K+は細胞内に多く外側に少なくなるという陽イオン分布が生まれるのです。従って血液検査で細胞外の血液にNa+がいつも高いことは皆さんよくご存じでしょう。
それでは静止電位はどのようにして形成されるのでしょうか?
正常な濃度勾配を維持する要因はNa+ – K+ポンプでありますが他方、静止電位の値を支配している大きな要因は、K+漏洩(ろうえい)チャネルです。Na+とK+は、開いたイオンチャネルを通して電気化学的勾配の影響の下で拡散します。電気化学的勾配とは膜を越えて移動するイオンについてのものである。勾配は、化学的勾配(膜を挟んだ溶質濃度の差)と電気的勾配(膜を挟んだ電荷の差)という2つの部分から構成される。透過性の膜を挟んだ両側のイオン濃度が不均等であるときには、イオンは高濃度側から低濃度側へ単純拡散によって膜を越えて移動する。イオンは電荷を持っているため、膜を挟んで電位も形成される。膜を挟んで電荷が不均等に分布している場合、膜の両側で電荷が均等となるまでイオンの拡散を駆動する力が電位差によって生み出される]。通常、細胞膜においてK+の透過性はNa+の透過性よりも75倍大きい。これはK+漏洩チャネルが常に開いていることに起因します。静止電位が−70mVと、Na+の平衡電位+45mVよりもK+の平衡電位−90mVに近い値をとるのは、この透過性の違いが主な要因です。静止電位と同様、多くの神経の活動電位はNa+とK+の透過性に依存しています。平衡電位とは、ある一種のイオンに関して、 細胞内外で濃度差が存在し、 かつそれが十分に膜を透過することができるなら、 そのイオン種に対してひとつ決まる値を平衡電位と言います。 すなわち平衡電位というのは、 膜を通り抜けることができるすべての生体内イオンについて、 それぞれひとつずつ定義される 値であります。下図に文に出てくる脱分極、静止電位、活動電位、再分極、過分極、オーバーシュート、閾値、Na+透過性、K+透過性などが見られる四つの表を示します。見ながら本文を読んでください。
それでは活動電位の働きと仕組みはどのようになっているのでしょうか?
活動電位の大まかな流れは次の七つの段階を経過します。活動電位は、興奮刺激による膜の局所的な脱分極が「閾値」を越えたときにのみ引き起こされます。閾値の電位はさまざまですが、一般的には静止電位より15mV以上高い時に活動電位は生じます。
まず①静止電位が神経細胞膜が興奮して②刺激されると閾値を超えると③脱分極が誘導され、膜電位が④ピークに達するとK+が流出することで膜電位の逆転と⑤再分極が引き起こされます。神経膜が十分再分極した後もK+の流出が続き、一時的に膜電位が通常の静止電位よりもさらに低くなり過ぎて⑥過分極となりますこの過分極状態はアンダーシュートとも呼ばれる。最後は活動電位は⑦不応期と呼ばれる刺激に反応しない期間に移り静止電位にもどります。不応期はNa+チャネルが不活性化状態となっているためにNa+イオンが神経細胞に流入しなくなるからです。それぞれの経過について説明しましょう。
①静止電位静止電位において、いくつかのK+漏洩チャネルは開いている一方、電位依存性Na+チャネルは閉じています。K+漏洩チャネルというのはK+は常にイオンチャネルによって細胞外に出て行こうとします。K+が出ていこうとする力とK+を内部に引き留める力が釣り合う力により、ー70mVという静止膜電位が維持されているのです。正味の電流は流れていないが、膜間を移動している主なイオンはK+であり、その結果静止電位はK+平衡電位に比較近い値をとります。上で述べたように平衡電位とはそれぞれのイオンのひとつずつに定義される決まった電位の 値であります。
②刺激神経を興奮させる刺激による膜の局所的な脱分極は、神経細胞の表面の膜にある電位依存性Na+チャネルを開く。その結果Na+は濃度勾配および電気的勾配が推進力となり、細胞内へ流入する。
③脱分極Na+が流入し膜電位の負電荷が減少するに従い、さらなるNa+チャネルが開き、さらに大きなNa+の流入が引き起こされる。これはどんどん増えていく正のフィードバックのよい例です。Na+チャネルが多く開くにつれ、Na+による電流はK+漏洩チャネルによる電流に打ち勝ち、膜電位が逆転し内側がマイナスからプラスとなります。注意しておくことは電位変化はNa+のみの移動によるものと考えるのではなく、Na+とK+の膜間での「透過性の比」の変化によるものと考えるべきです。この脱分極とそれにともなうNa+チャネルの開口が周囲に広がっていくことで活動電位の伝導が起こる。
④ピーク膜電位が+30mV程度になると、Na+チャネルの電位依存性ゲートが閉じ、さらなるNa+の流入を阻害するまでをオーバーシュートといいます。これにわずかに遅れて、電位依存性K+チャネルの電位感受性活性化ゲートが開く。活動電位のどの段階においても、きわめて少しのイオンの移動しか起こらないということを知ってください。活動電位が生じている間、実際的には細胞内外でのNa+とK+の濃度変化は無視できるほど極めて小さいのです。
⑤再分極電位依存性K+チャネルが開くことで、濃度勾配および電気的勾配が推進力となりK+の流出が始まる。K+が流出することで、膜電位がオーバーシュートから下向きの逆転の結果、再分極が引き起こされる。
⑥過分極電位依存性K+チャネルの閉鎖は電位および時間に依存している。このチャネルは膜電位の変化にすぐには応答せず、遅れて応答します。そのため、膜が十分再分極した後もK+の流出が続き、一時的に膜電位が通常の静止電位よりもさらに低くなる。この過分極状態はオーバーシュートに対してアンダーシュートと呼ばれる。この他、活動電位に直接かかわりのないCl–チャネルの開口によりCl–が細胞内に流入することでも過分極を起こす。その例として、一番よく用いられているベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬などがある。ベンゾジアゼピン系薬物はγ-アミノ酪酸GABAA受容体-Cl–チャネル複合体のベンゾジアゼピン結合部位に結合しGABAA受容体に対するγ-アミノ酪酸の親和性を高めることで、Cl–チャネルを介したCl–の細胞内流入を促進するため、細胞が過分極を起こし、神経の興奮を抑える。
⑦不応期次に、活動電位は不応期と呼ばれる刺激に反応しない期間に移る。不応期はNa+チャネルが不活性化状態となっているために生じる。不応期とは刺激された神経細胞が興奮を起したとき,その直後に引続く第2刺激では興奮が起きない短い期間があり,これを不応期という。たとえば神経に刺激を与えて一度活動電位が発生すると,その直後にはどんな強い刺激を与えても神経は反応しない。しかし 0.5~1ミリ秒ぐらいたって次の刺激を与えると,正常よりはるかに小さい活動電位が発生する。第2刺激が遅れるほど活動電位は大きくなって,一定の時間後には正常の大きさに返る。まったく反応が起らない時期を絶対不応期,正常より小さな活動電位の起る時期を相対不応期という。絶対不応期は活動電位の上昇期に起こり,相対不応期は活動電位の下降期に起こります。不応期は一方向への活動電位の伝導を保証する。不応期がなければ原理的には活動電位は軸索の両方向へと伝導が可能である。しかし実際には活動電位の伝導方向の後ろは不応期となっているため、活動電位の「逆流」が起こらないようになっている。
71)中毒性表皮壊死症(TEN)ステロイドや様々な薬を大量に使ってきた人が副作用としてなりやすいTENは英語でToxic(中毒性) epidermal(表皮) necrolysis(壊死症)の三つの英語の単語の頭字語の略語であり広範囲な紅斑と全身の 10%以上の水疱とびらんと表皮剥離など顕著な表皮の壊死性障害と、 高熱と粘膜疹を伴う病気です。TENの発生率は毎年100万人当り0.4〜1.9人である]。TENはスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と連続した概念であり、体表面の3割以上に病変があるとTENとされ、1割以下の場合はSJSとされる。その中間の、1〜3割に病変がある場合は“SJS/TENと呼ばれます。TENは最終的に広範囲の皮膚紅斑、壊死、皮膚と粘膜の表層剥離に至るが、それに先立って多くの場合インフルエンザ様症状(咳嗽、鼻水、発熱、食欲不振、不快感)を経験する。薬剤の使用歴は平均で症状発現前14日間(1〜4週間)であるが、再曝露(薬物の再使用)後48時間で再発する事もある。初期の皮膚症状は体躯の赤紫色で黒ずんだ平坦な斑であり、そこから拡大して行き、大きな水疱を形成する。この水疱はherpesによるものであり病変部の皮膚は壊死し始め、または弛み、大きく剥離する。TENを発症するほぼ全ての人で、口腔、眼、外陰部にも症状が現れる。有痛性の痂皮とびらんが粘膜表面に形成される。有痛性の原因はherpesです。口腔内の水疱やびらんのため、食事が困難となり、経鼻胃管または胃瘻栄養法が必要となる。眼は腫脹し、痂皮を生じ、潰瘍が生成して失明に至る危険がある。眼に関する最も重篤な症状は結膜炎である。TENの病因として最多のものは薬剤性であり、80〜95%とされる。TENの病因として最多のものは薬剤性でありと言われているのですが、どのようなメカニズムでTENが副作用が起こるのか一切解明されていないのはほかの薬剤の副作用も同じです。残念です。それでは薬の副作用はなぜ起こるのでしょうか?抗生物質と抗herpes剤と、ワクチンは原因療法の薬ですがですが他の薬剤は全て症状だけをとる為の抗免疫抑制剤か抗生化学物質剤か抗生理学物質剤かのいずれかなので正常な人体の遺伝子の働きを妨害する薬ばかりなのです。従ってこれらのお薬のすべては正常な人体のあらゆる細胞の働きが異常になって副作用が現れるのです。これはherpesが感染した正常な細胞の働きを奪うことによって病気を作るメカニズムと薬が副作用という病気を作るメカニズムとは結局は同じことなのです。
72)色素沈着異常ー色素沈着は英語でHyperーpigmentationで、黒色色素のメラニンの増加によって、皮膚や爪の一部が黒ずむことです。反対に、色素が減って明るくなっている場合は、低色素沈着、あるいは白斑、色素脱失などと呼ばれます。生まれつきメラニン色素を作れない先天性白皮症をアルビノといいます。
色素沈着が起こる原因の一つはとしては、メラニン細胞刺激ホルモン (MSH)が メラニン細胞を刺激してメラニンの多く作らせてしまうからです。なぜでしょうか?それはストレスがかかりすぎると副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) の生成が過剰になり、ACTHが作られると同時に作られるホルモンのプロオピオ‐メラノコルチン (POMC) が、上記メラニン細胞刺激ホルモン (MSH)を作らせ人体のあらゆる部位にある色素細胞を増殖させてしまいメラニンを増やしすぎ、その結果組織にばらまかれるメラニンが増えてメラニン色素の沈着も増やしてしまうのです。 二つ目は妊娠により乳首、脇、背中上部、腹部、太もも、性器など、全身的に特に色素の濃い部分に色素沈着を生じさせるのは、妊娠中に胎盤を出産まで維持するために黄体ホルモンが大量に作られます。大量の黄体ホルモンが代謝されるとコルチコステロンというステロイドホルモンになります。しかもメラニン色素細胞にherpesは最も感染しやすい上に今言ったようにコルチコステロンが妊娠中に免疫を抑えると感染しているメラノサイトから増殖したherpesウイルスは隣のメラノサイトに感染するたびにメラノサイトは破壊されて結合組織にメラニンが沈着してしまうのです。この妊娠も一過性でありますから分娩後に全身的に皮膚は明るく戻ってきます。
ニキビは胃腸障害、内分泌障害、代謝障害、肝機能障害、細菌感染、精神的因子、遺伝的要素などが関わっており、しかし詳細は不明な病気であると言われているのですが実は、ほとんどが脂肪の多い人の表皮の脂肪細胞に感染したherpesが原因です。herpesのために破壊された脂肪細胞に常在菌の脂肪の好きなアクネ菌が感染することが多いのでアクネ菌はニキビ菌といわれるようになったのです。
73)毛細血管拡張症
皮膚の表皮の下にある「真皮」には、毛細血管が密集しています。この血管は通常であれば、自律神経の働きによって拡張と収縮がスムーズに行われ、血流量などを調整していますがherpesが毛細血管の収縮を支配している交感神経にに感染して毛細血管が拡張されたままになると、血流量が増加して皮膚の表面が赤く見えるようになり症状を「毛細血管拡張症」といいます。また、毛細血管拡張症は別名「赤ら顔」と呼ばれる場合もあります。なかでも、頬は毛細血管が集中しているため、肌の赤みが目立ってしまいやすいのです。毛細血管拡張症の原因まだ明確にされていませんが、毛細血管の収縮を支配している交感神経や毛細血管に感染したヘルペスウイルス以外には考えられないのです。
74)滑膜炎、腱炎、腱鞘滑膜炎、腱鞘炎腱炎とは、腱の炎症です。腱鞘炎は腱鞘滑膜炎ともいい、腱の周りを保護している被膜(腱鞘)の炎症も伴う腱炎です。原因はherpesが腱と腱鞘とに同時に感染するので腱鞘滑膜炎になるのです。腱が痛み、特に動かすと痛みを伴い、ときには腫れることがあります。腱は、丈夫な組織でできた線維性の索で、筋肉を骨につないでいます。腱の中には、周囲を腱鞘で覆われているものもあります。腱炎の原因は、多くの場合不明と言われていますが痛みの原因がない病気はないのですべての人類に感染しているしかもすべての細胞に感染できるスパイクを持っているヘルペスです。痛みはherpesが痛覚神経に感染したためです。腱炎は中年か高齢の人に起こり安いのは長年使いすぎた間接の件にストレスをかけすぎたために局所的に免疫が落ちたためにherpesが増殖したためです。いすぎや慢性の炎症がなくても、激しく伸ばしたり引っ張られたりするなどの強い力がかかるなど局所的に、ストレスがかかりすぎると肩腱板が突然断裂することがあります。主な症状は肩の痛みです。痛みは最初、腕を頭よりも高く上げる活動中にのみ生じます。これをインピンジメント症候群と言います。悪化すると、腕を体側から60~120度離して上げたときに痛みが生じます。
herpesが感染しやすい腱腱鞘は、炎症を起こしやすいのです。何故ならばよく使う腱ですからストレスがかかりやすく免疫が落ちるのでherpesが感染しやすいからです。ストレスのかかりやすい7つの腱があります。1)肩関節の腱(肩腱板)2)手の親指を手から離れる方向に伸ばす2本の腱3)手の親指以外の指を曲げる屈筋腱)上腕二頭筋の上にある腱(上腕二頭筋腱)5)かかとのアキレス腱6)膝の側面を通っている腱(膝窩筋腱)7)大腿骨(転子)の近くの腱の合計七つです。
1)肩関節の腱(肩腱板)これらの腱の炎症は、肩の痛みの最も一般的な原因です。
2)手の親指を手から離れる方向に伸ばす2本の腱これらの腱の炎症は、ドケルバン症候群と呼ばれています。ドケルバン症候群と呼ばれています。ドケルバン症候群はドケルバン病とも呼ばれる狭窄性腱鞘炎であり母指(親指)を広げると手首(手関節)の母指側の部分に腱が張って皮下に2本の線が浮かび上がります。ドケルバン病はその母指側の線である短母指伸筋腱と長母指外転筋が手首の背側にある手背第一コンパートメントを通るところに生じる腱鞘炎です。手首(手関節)の母指側にある腱鞘(手背第一コンパートメント)とそこを通過する腱に炎症が起こった状態で、腱鞘の部分で腱の動きがスムーズでなくなり、手首の母指側が痛み、腫れます。母指を広げたり、動かしたりするとこの場所に強い疼痛が走ります。短母指伸筋腱は主の母指の第2関節を伸ばす働きをする腱の1つです。長母指外転筋腱は主に母指を広げる働きをする腱の1つです。
①短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)
主に母指を伸ばす働きをする腱の一本です。
②長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)
主に母指を広げる働きをする腱の一本です。
③腱鞘(けんしょう)①と②の腱が通るトンネルです。
3)手の親指以外の指を曲げる屈筋腱 炎症が起こると腱が腱鞘の中に引っかかるようになり、その結果、はじけるような感覚が生じます。この症状をばね指と言います。
4)上腕二頭筋の上にある腱(上腕二頭筋腱)肘を曲げたり、腕を上げたり回したりすると、痛むことがあります。
5)かかとのアキレス腱 かかとの後ろが痛み、 アキレス腱炎と言われます。
6)膝の側面を通っている腱(膝窩筋腱)膝の外側の部分が痛みます。
7)大腿骨(転子)の近くの腱 滑液包も侵されることがあるため、これらの腱の炎症に転子部滑液包炎という用語がしばしば用いられます。治療は非ステロイド系抗炎症薬 (NSAID)の投与を行い、痛みがひどいときにはコルチコステロイドの注射治療になるのも原因がherpesであるからです。
腱板(英語でRotator cuffで発音はローテーターカフ)は)とは?肩関節における症状の説明などでよく耳にする腱板(ローテーターカフ)は上の図の上腕骨と肩甲骨を繋ぐ筋肉で、①棘上筋・②棘下筋・③小円筋・④肩甲下筋、4つの筋肉の総称を腱板と呼びます。回旋筋腱板(ローテーターカフ)という意味は簡単に言うと回してねじるという意味です。具体的に四つの腱板の作用を説明しましょう。
①肩甲下筋は肩甲骨の裏側にべったりと張り付いている筋肉です。肩甲下筋は肩甲骨周辺の筋肉である回旋筋腱板(英語でローテーターカフ)の筋肉の一つで、肩関節を内旋と両手を水平にして屈曲させる作用を持っています。内旋は、例えば右上腕を、上腕骨を軸として左回りに回転させる動きです。
②棘上筋はこの腱板の中で一番損傷を受けやすいのが棘上筋です。肩を外側に挙げていく(外転)筋肉です。つまり作用は、垂らした腕を胴体から外の方へ離すのを外転というのです。
③棘下筋は小円筋と共に肩関節の外旋と腕を水平にして伸ばす際に使用します。外旋とは例えば、右上腕を、上腕骨を軸として右回りに回転させる動きです。肩関節を外旋・外転・内転させる作用があります。また、肩関節の後方の支持性を高めるのに重要な筋肉です。
④小円筋は棘下筋と作用はほぼ同じで、 小円筋は肩関節の外旋の働きのみならず、肩関節を安定させる働きもあります。
75)滑液包炎は、滑液包というのは平らな袋で,袋の外側の繊維膜と内側の滑膜の2枚の膜によって包まれ,内部には滑膜より分泌された少量の滑液が含まれています。滑液は、皮膚、筋肉、腱、靱帯と骨がこすれる摩擦を減らし衝撃を吸収してくれるクッションとなりかつ以上の臓器がすり減るのを防いでいま す。この滑液包にherpesが感染すると 動かすと痛みを伴う炎症が生じます。皮膚に近い位置にある滑液包に炎症が起こると、腫れて圧痛がみられることがあります。治療は 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の投与、ひどいときにはコルチコステロイドの注射で、症状は緩和されますが当然herpesは増えるばかりです。
多発性単神経障害は、多発の意味は、体の別の部位にある2本以上の末梢神経が同時に炎症が生じて神経の機能不全に陥る病気です。異常感覚と筋力低下が起こります。多発性単神経障害では、体の別々の領域にある数本の神経だけが障害されます。これに対して、多発神経障害では多数の神経、通常は体の両側でほぼ同じ領域にある多数の神経が障害されます。しかし、多発性単神経障害が多数の神経に生じている場合は、多発神経障害との区別が困難なことがあります。いずれにしろ原因はherpesです。
ついでに今を時めく脊柱管狭窄症存在しない論拠を書いておきましょう。
なぜ脊柱管狭窄症あり得ないのでしょうか?一言いえば、脊柱管は骨でできているので絶対に狭窄はあり得ないのです。骨でできている頭蓋骨が狭窄することがあり得るでしょうか?無いでしょう。
77)脊髄炎(中枢性)脊髄炎とは、中枢神経の脊髄に炎症が引き起こされた状態を指しますので脊髄中枢炎というべきなのです。脊髄炎は英語でmyelitisと言いミエライチスと読みます。炎症ではない中枢の脊髄の障害を脊髄症と言い英語でミエロパチー と読みます。脊髄炎は炎がつくので本来は脊髄の炎症性疾患でありますが,herpesが原因による脊髄障害は炎症性と非炎症性の2種類ありますのでMyelopathyをもちいるようになり日本語では脊髄症とか脊髄障害と訳します。脊髄は中枢神経の束であり、運動や感覚や自律神経の制御などに重要な役割を担っています。そのため、脊髄炎や脊髄症が生じると、手足の麻痺や感覚障害、また排尿や排泄に関する症状などが生じることもあります。脊髄炎は、ウイルス感染症やワクチン接種、薬剤などが原因で発症します。自己免疫疾患は無いのでherpesは最も主要な原因です。ウイルス感染症としては、以下七つが挙げられますが、四つのヘルペス以外はワクチンがすでにできているが、ウェストナイルウイルスは特別なアフリカの局地に見られる病気であり6番目のエンテロウイルスは多数の腸管に住むウイルスの総称であり他の腸管ウイルスであるポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、パレコウイルスの各ウイルスを含むので、ワクチンができていないので危険です。特に日本の手足口病患者から検出されるエンテロウイルス71(EV71)は中枢神経合併症(無菌性髄膜炎、脳炎)には重篤なものがあるのはEV71は、胃液の強酸や膵液のアルカリで死滅することなく消化管(特に腸)の中で増殖するからです。エンテロウイルスは腸管内で増殖するウイルスの総称のため、腸管ウイルスともいいます。エンテロウイルス は、ピコルナウイルス科のエンベロープのない一本鎖RNAウイルスです。やはり最後に残るのは免疫が絶対に殺しきれないワクチンも作れないヘルペスウイルスが自己免疫疾患と原因不明な病気の原因です。以下七つのウイルスは1)ポリオウイルス2)ヘルペスウイルス3)EBウイルス4)サイトメガロウイルス5)水痘帯状疱疹ウイルス6)エンテロウイルス7)ウェストナイルウイルスとなります。
78)脳神経障害脳神経( Nervus Cranialis)とは、脊椎動物の末梢神経系に属する器官で、脳から直接出ている12種類の末梢神経の総称で、それぞれにはⅠ~Ⅻまでの番号と固有の名称が付けられています。人の脳神経は12対で、ⅠとⅡは大脳より出て、それ以外は脳幹である中脳・橋・延髄より出ています。
第I脳神経嗅神経 olfactory nerve匂いを処理する脳の嗅覚野は、感情に関する部位(扁桃体)や記憶に関する部位(海馬)、複数の感覚に関する部位(前頭眼窩野)といった脳の他の部位とつながっています。嗅覚は一番古い脳神経で、続いて視覚、続いて聴覚が発達しました。実は嗅覚も視覚も聴覚も、知覚信号を脳に送って解析する、という仕組みは一緒です。 嗅覚をつかさどり、鼻腔粘膜の嗅上皮にある嗅覚受容細胞表面の線毛にある嗅覚受容体で匂い分子をとらえます。鼻からにおい分子が入ると、鼻腔の最上部の嗅上皮の表面に存在する粘膜でキャッチされます。嗅上皮には嗅細胞がたくさん並んでる嗅覚受容体がある、脳への入り口である嗅球に信号を送ります。嗅覚受容細胞は双極性の感覚細胞で、末梢側の受容体でとらえられた嗅覚情報は中枢側にある嗅糸と呼ばれる神経軸索に伝搬されます。嗅糸は数十本ずつ集まって一つの束を作ります。嗅神経はこれらの束のすべてを指します。嗅球の糸球体は、更に上位中枢にあたる、脳の大脳辺縁系へ信号を送り、最終的に脳でどんなにおいを感じたかを認識するのです。嗅糸は頭蓋骨の篩骨篩板にある篩骨孔を通って脳の嗅球に達し、そこで僧帽細胞などにシナプス結合して、脳内の嗅覚中枢へにおい情報を伝えます。篩骨篩板の篩は「ふるい」と読みます。篩の意味は「粉や粒状の物をその大きさによってえり分ける道具ですから小さい穴が開いているのです。従って篩骨孔は骨に穴が開いているので嗅糸は数十本ずつ集まって一つの束になったが数が数えきれないほど嗅球に嗅糸の情報が伝わるのです。
第II脳神経視神経 optic nerve 視覚をつかさどり眼の網膜の光受容体で受容した視覚情報は網膜内で網膜神経節細胞に伝えられます。神経節細胞のヒトで約120万本もある神経軸索は眼球の後部で一本に束ねられ、脳にむかいます。脳の入り口である視交叉までのこの束を視神経と呼びます。視交差以後の神経節細胞軸索は視索と呼ばれ、そのほとんどは間脳の外側膝状体、視床枕にいたり、ごく一部は上丘腕を経て中脳の上丘に達します。の索の意味は太いなわであるのでのは太い大きい視神経軸索のことです。外側膝状体、上丘において脳内の神経細胞とシナプス結合し、中枢に視覚情報を伝えます。膝状とは”膝のように折れ曲がった”という意味です。視交叉においては、ヒトでは、両眼の鼻側半球の網膜からの神経軸索が反対側の中枢に、また耳側半球の網膜からの軸索は同側の中枢につながっています。このような視神経投射の在り方を半交差という。一方、魚類や両生類、また哺乳類であってもウサギのような動物種では、右目の視神経軸索は左脳へ、左目の視神経軸索は右脳へ投射しているので全交差と言います。伝統的に視神経は12対の脳神経一対の末梢神経に分類されてはいますが、発生学的にみると、網膜とともに脳から発生してくるものであり、脳の髄膜とグリア細胞に被われているため、厳密には中枢神経系に属する構造とみなすべきものです。末梢神経を被う髄鞘はシュワン細胞です。
第III脳神経動眼神経 oculomotor nerve、 oculomotorの oculoは眼でありmotorは動で動眼となります。運動神経機能としてまぶた挙上、副交感神経機能として、縮瞳と対光反射と輻輳です。 輻輳反射(ふくそうはんしゃ)とは、瞳孔反射の一つで近くの物を見るとき、焦点を合わせるために両側の内直筋が収縮し、両眼が内側へ向くように内転する運動を輻輳運動と言い、ゆる寄り目になることです。この内直筋への刺激によって瞳孔が小さくなりこの一連の反応を輻輳反射といいます。このように動眼神経の運動神経による眼球運動と、自律神経系の副交感神経による瞳孔運動の二つの働きををつかさどります。運動神経細胞の細胞体は中脳上丘のレベルで、中心灰白質の前方部に位置する一対の動眼神経核にあり、その細胞体からでる神経軸索は束となって中脳内を前方である腹側に進み、中脳脳底の脚間窩において脳を離れ、左右一本ずつの動眼神経となります。脚間窩とは左右の大脳脚の間にある三角形の深い凹みを脚間窩といいます。大脳脚とは大脳の下側に脳幹がつながる根元のところで、前からみると大脳から左右一対のあし(脚)が生えているようになっている部分です。副交感神経は動眼神経核の吻側(口側)で、より内側部に位置する動眼神経副核(エディンガー・ウェストファル核)の細胞からでて、運動神経に混じって脳を出ます。エディンガー・ウェストファル核 ( 動眼神経副核 )は、 中脳 に存在する 神経細胞 の集団で、 対光反射 、 遠近調節反射 および 近見瞳孔反射 を調節する 副交感性神経核 です。 エディンガー・ウェストファル核の 神経細胞 は、 神経軸索 ( 節前線維 )を 動眼神経 中に出します。従って、動眼神経は運動神経性と副交感神経の2種類の神経を要素を含んでいます。動眼神経は吻側(口側)方向に進み、頭蓋上眼窩裂を通って眼窩に出たのち、上枝と下枝に分かれながら、4種類の外眼筋(上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋)と上眼瞼挙筋を支配します。瞼はまぶたであり、目のふたのことであり目蓋と書きます。上枝と下枝のうち下枝からは毛様体神経節へ副交感神経線維が伸び、節後神経細胞にシナプス結合します。この後の節後線維と神経節に到達した交感神経(交感神経節からくる)、感覚神経(三叉神経の枝、眼神経からくる)が一緒になって短毛様体神経をなし、毛様体筋、瞳孔括約筋、角膜などを支配します。節前繊維と節後線維とは何でしょうか?自律神経系は支配臓器に至るまでの間に1回ニューロンを変えます。ニューロン交代の場所を神経節といい、神経節より中枢側を節前線維、末梢側を節後線維といいます。節前線維が胸髄と腰髄の二つから出る神経を交感神経といい、中脳と延髄および仙髄から出る神経を副交感神経といいます。副腎は、神経節でシナプスせずに交感神経節前線維によって直接支配される例外的な臓器です。何故ならば副腎で作られるホルモンは全て臓器を刺激するものばかりであるからで刺激する仕事をする交感神経だけが必要であるからです。
第IV脳神経滑車神経 trochlear nerve、 trochlearの trochは車輪で、滑車となるのです。上斜筋(外眼筋のひとつ)を支配する運動神経で眼球を内側に向けたまま眼球を下に向けるときにも働く筋肉が上斜筋ですから上斜筋は目を外方(耳側)や下向きに動かして正面にもどしてくれます。従って眼球を内側に回転させることによって、内側(鼻側)や下向きに動かす働きもあります。滑車神経が麻痺すると、垂直の下向き方向の眼球運動が損なわれることがすぐわかります。滑車神経は脳神経の中で最も細い神経で、上眼球斜筋を古くは滑車筋といったことから滑車神経と呼びます。滑車神経は、脳の背側から走行している唯一の脳神経で、滑車神経の細胞体は、中脳下丘レベルの中心灰白質前方部にあり、滑車神経の滑車神経核から出ると中心灰白質の淵に沿うように外側後方の背側に進み、下丘の尾側端のレベルの背側表面に達し、そこで左右交差します。交差後、滑車神経は中脳外側縁に沿って頭蓋内を吻側前方(腹側)に走行し、上眼窩裂では動眼神経の上で、眼神経(三叉神経第1枝)の下を通って眼窩に出て上斜筋に分布します。上眼窩裂を通過して出てい脳神経には滑車神経、動眼神経、外転神経、三叉神経の第1枝である眼神経の四つがあります。滑車神経は脳の後側(背側)から出る唯一の脳神経であり、視神経以外で左右交差する神経はこの滑車神経の二つがあります。吻側とは口側と考えてください。吻側は尾側(しっぽ側)であり吻側の反対側となります。
斜視とは何でしょう?両眼でものを見ようとした際に、一方の眼は目標を見ているにもかかわらず、片眼の視線が目標とは別の方向に向いている眼球の位置状態を指します。視線のずれる方向によって内斜視や外斜視に分けられます。眼の周りには眼を動かす外眼筋という筋肉がついており、脳から神経により外眼筋に指令がくることで眼を動かしたり両眼のバランスを保ったりしています。これらの外眼筋のどこかで異常が出た際に斜視が起こります。外眼筋(がいがんきん、extraocular muscles)とは、眼球の向きを変える筋肉の総称であり眼球移動筋とも言います。外眼筋に含まれる6つの筋肉と、それぞれが収縮したときに眼球が動く向き(動作)を左の表に示します。眼球運動とは眼球の向きを変える運動であり、どれか1つの筋肉が単独で収縮するのではなく、ほとんどの場合は6つの協調によってなされます。6つの筋肉はいずれも眼動脈の枝で栄養されます。下斜筋以外の5つは、視神経が眼窩先端部(orbital apex)に出るところを取り巻く総腱輪から起始して、6つとも眼球表面の強膜に停止します。上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋は動眼神経が支配します。上斜筋は滑車神経、外側直筋は外転神経が支配します。動眼神経支配の上眼瞼挙筋を外眼筋に含めることもあります。支配神経のいずれかが麻痺すると、眼球運動が障害され、ものが2つに見える複視などの症状が現れます。外転神経麻痺による外側直筋麻痺は頭蓋内圧亢進の症状として現れることが多く、動眼神経麻痺は内頸動脈と前交通動脈が分岐する部分の動脈瘤によることが多い。眼球運動障害はいずれも脳の障害、神経変性疾患、重症筋無力症などによる。また外眼筋の麻痺により眼球突出(目が飛び出る)を呈することもあり、これは頭蓋形成の先天異常、バセドウ病のほかでは内頸動脈海綿静脈洞瘻のかのうせいがある。
第V脳神経三叉神経 trigeminal nerve trigeminalのtrgは3の意味ですね。滑車神経は最も細い神経だったのですが、三叉神経は脳神経のなかで最大の神経で、3枝にわかれるので三叉神経と呼ばれます。第1枝は眼窩と、前頭部と頭頂部支配する眼神経であり、第2枝は鼻腔と、顔面上顎部を支配する上顎神経、第3枝は側頭部と、顔面下顎部を支配する下顎神経の三つに分かれるのでこ三叉神経と呼ばれます。運動性神経は咀嚼筋などの骨格筋神経を支配する下顎神経のみであり一方感覚性神経は顔面の知覚をつかさどり、眼神経、上顎神経、下顎神経の三つに含まれているので三叉神経は運動神経も感覚神経も混ざっているので混合神経となるのです。
運動神経の神経核は橋レベルに位置する三叉神経運動核に起こり運動根となり、橋被蓋を外側前方に進み、知覚根に合流して中小脳脚を貫いて脳を離れます。まず脚とは連絡路という意味であり小脳脚とは小脳との連絡路であります。それでは中小脳脚とは何でしょうか?橋と小脳を連結しているのが「中小脳脚」です。「上小脳脚」は小脳と中脳の連結路であり「下小脳脚」は小脳と延髄の連結路であります。このように脳幹にあたる、中脳、橋、延髄の三つとは、小脳は「小脳脚」によって繋がり、繰り返しますと中脳と連結しているのが「上小脳脚」、橋と連結しているのが「中小脳脚」、延髄と連結しているのが「下小脳脚」になります。 更に、この連絡路は 求心性の線維が多く、様々な求心性の情報が集まる連絡路であります。 知覚神経の神経核は尾側方からつまり下から、延髄レベルにある三叉神経脊髄路核(脊髄後角の海綿質に連続し、温痛覚の中枢伝導路を形成する)、それに続く橋レベルの三叉神経主知覚核(三叉神経根の外側に位置する細胞群で、触覚の中枢伝導路を形成する)と三叉神経中脳路核(中脳レベルで中心灰白質腹外側縁に並んで配列する大型円形細胞群で、末梢枝は眼筋、咀嚼筋などの筋紡錘に分布し、そこからの固有知覚を司る脳内に位置する唯一の珍しい一次感覚細胞であります。
三叉神経の知覚線維は集まって知覚根を形成し、運動線維は運動根を形成します。知覚線維と運動線維からなる混合性脳神経はすでにのべたように最も太い神経であるのは知覚根と運動根が合体しているからです。この太い三叉神経は橋の外側縁からから出て、三叉神経節を作り、眼神経、上顎神経、下顎神経に分かれます。三叉神経中脳路核以外の知覚神経の神経細胞体は半月神経節とも呼ばれる三叉神経節は側頭骨椎体の三叉神経圧痕にへばりついており偽単極性の感覚神経細胞です。下図に感覚神経節にある「偽単極性ニュウーロン」と「双極性ニュウーロン」を示します。さらに自律神経節内では、中枢神経系に細胞体がある節前ニューロンと、末梢の筋肉や腺などを支配する節後ニューロンがシナプスを形成している図も添えておきます。「偽単極性」というのは、見かけ上1本ですが、中枢性突起と末梢性の突起が合わさって1本に見えるだけなので「偽の単極性」であり、その中枢突起は知覚根の中を通り橋のレベルで脳に入ると、約半分の数の軸索は上行枝(三叉神経主知覚核に終止する)と下行枝(三叉神経脊髄路を下りながら三叉神経脊髄路核に軸索終末を形成する終止軸索を送る)に枝分かれします。残り半分は枝分かれせずに、いずれかの三叉神経核に終わります。 一方、感覚神経細胞の末梢枝はそれぞれ眼神経、上顎神経、下顎神経どれかに加わりながら、顔面、頭部の末梢器官(皮膚、粘膜、脳硬膜など)に分布します。
VI脳神経外転神経 abducens nerveの abducensは発音はアブドゥーセンズで訳して外転になります。外転神経は外眼筋のひとつである外側直筋を収縮させる運動神経です。外転神経は外側直筋を、眼球を外側に向かって水平に動かします。これを眼球の外転と言いますが眼球が回転しているわけではないのです。収縮すると眼球は外側を見るように動きます。この神経が麻痺すると,外直筋の麻痺を引起し,内斜視が現れます。内斜視とは右眼か左眼どちらかの視線が内側に向かっている状態です。斜めになっているのではないのです。神経細胞体は橋の顔面神経丘の直下に位置する外転神経核にあります。神経軸索は核をでると橋被蓋を前方(腹側)にほぼ直進し、橋と延髄の境界から脳をでて束をなし、外転神経となります。これは吻側(口側)に向かい、上眼窩裂から眼窩に出て外側直筋に達します。眼球の動きを「斜」や「転」で表現しますが眼球は斜めに動いたり回転したりはできません。
第VII脳神経顔面神経 facial nerve狭義の顔面神経は、顔面に分布し主として表情筋の運動を支配しますが混合神経です。この顔面神経と内耳神経の間に中間神経と呼ばれる神経があり、広義にはこれを含めて顔面神経と呼びます。内耳神経と一緒に側頭骨の錐体を貫き、さらに単独で顔面神経管という弓状の骨の管を通り、側頭骨の茎状突起と乳様突起の間に位置する茎乳突孔から出てきて顔面全体に分岐する。顔面神経管を通る途中から涙腺、唾液腺の分泌、味覚(舌の前部3分の2)などに関係する枝が出て骨の細管を通り抜け関連する神経節や舌神経などに入っていく。 顔面筋支配の運動神経、涙腺や口蓋線などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経です。顔面筋支配の神経細胞群は橋と延髄境界領域の網様体腹外側に大きな顔面神経核を形成します。ここから伸びる神経軸索は顔面神経運動根で脳幹内では変則的な走行を示します。それらは束ねられながらより吻側(口側)にある外転神経核(内側後方)に向かい、延髄菱形窩の正中近くの顔面神経丘直下に達し、一塊の顔面神経膝(外転神経核に乗っかる形)となります。線維束はさらに吻側に向かうが、外転神経核の中央レベルで外側前方(腹側)に急に進路を変更し、三叉神経運動核の内側を通り、橋と延髄の境界の脳幹外側縁(小脳橋角部)を貫いて脳を離れます。その後、側頭骨の顔面神経管を通り、途中アブミ骨筋に枝を出した後、茎乳突孔(けいにゅうとつこう)から頭蓋の外にでて、顔面の骨格筋(表情筋、広頸筋、頬筋など)を支配します。
味覚や外耳道の皮膚感覚(顔面の皮膚感覚を司るのはほとんどが三叉神経であることに注意)を司る神経の感覚神経細胞体は顔面神経管内の膝神経節(しつしんけいせつ)にあり、脊髄神経節細胞と同じく偽単極性の細胞です。その中枢突起は顔面神経知覚根(中間神経ともいう。顔面神経運動根と第VIII脳神経の間を走る。)の構成に与る。その中枢突起は末梢突起は顔面神経運動根と第VIII脳神経の間を走るので中間神経ともいわれます。顔面神経の分枝(鼓索神経や大錐体神経など)に含まれて末梢器官に達する。味覚(舌の前方2/3)は鼓索神経を介して脳の延髄孤束核に、皮膚感覚はこれら末梢分枝を介して三叉神経脊髄路核に伝えられる。
顔面神経に含まれる副交感神経性の細胞は上唾液核(橋被蓋の顔面神経核背内側の網様体に散在する細胞群)にある。ここから出る軸索(節前線維)は中間神経に加わり、鼓索神経や舌神経を通って顎下神経節に、あるいは大錐体神経を通って翼口蓋神経節(よくこうがいしんけいせつ)に至り、そこの節細胞にシナプス連結する。この節細胞の軸索(節後線維)はさらに末梢の神経分枝に入って遠位に向かう。前者の場合、顎下線や舌下腺に、後者の場合、涙腺や口蓋などの粘膜腺を支配する。
第VIII脳神経内耳神経 vestibulocochlear nerveの vestibuloは前庭という意味でありcochleaは蝸牛(かぎゅう)という意味であり英語を訳せば前庭蝸牛神経となりますが前庭神経と蝸牛神経の二つの神経をまとめて内耳神経といいます。内耳は複雑な形をした骨質の空洞であり側頭骨の錐体の中にあります。骨迷路は錐体の骨の中にある空洞で前方から蝸牛、前庭、骨半規管が連なっています。膜迷路は骨迷路の中にあるほぼ同じ形の膜の袋です。骨迷路と膜迷路の迷路は側頭骨岩様部の錐体の中にあるのですが、迷い道のような複雑な形状であるので迷路と名付けられたのです。蝸牛中の蝸牛管、前庭中の球形嚢と卵形嚢、骨半規管中の膜半規管から成り立っています。前庭神経の働きは平衡感覚、蝸牛神経は聴覚です。前庭中の球形嚢と卵形嚢の中には平衡斑が入っており平衡を司る感覚装置です。球形嚢が垂直感覚であり卵形嚢が水平感覚を司ります。また、骨半規管内にも平衡感覚器官があります。蝸牛管には聴覚器官のラセン器官があります。骨迷路と膜迷路の空間は外リンパで満たされ膜迷路の内部の空間は内リンパで満たされています。
下に内耳の構造を図示します。聴覚器官である蝸牛と蝸牛の内部構造を図示します。
半規管(semicircular canal)
3つのリング状の器官(前半規管,外側半規管,後半規管)が互いに垂直になるように90度ずつずれ、立体の三次元座標のように三次元空間の各方向を向いて組み合わさっています。半規管には膨大部と呼ばれるふくらみがあり、その内部に膨大部稜と呼ばれる感覚装置がある。膨大部稜には有毛細胞があり、細胞の毛はゼラチン質のクプラによって覆われています。回転加速度が生じることでクプラが動くと、有毛細胞がそれを感知して電気信号に変換します。これが前庭神経を経て脳に伝達されることで、ヒトは回転加速度を認識できます。膨大部には平衡をつかさどる感覚細胞が集まり,その繊毛は長くのびてクプラ(cupula)と呼ばれ,半規管の中にある内リンパの動きを敏感に感じとって,その情報は前庭神経を通じて脳に伝えらます。
前庭(vestibule)
半規管と蝸牛の中間に位置し、前庭窓を介して中耳とも接しています。袋状の膜迷路の中には卵形嚢(らんけいのう)と球形嚢(きゅうけいのう)という袋があり、袋の中に平衡斑という感覚器官を有しています。平衡斑では有毛細胞の上にゼラチン状の耳石膜があり、さらにその上に耳石という砂状の炭酸カルシウムの結晶がのっています。人の移動により直線加速度が生じて耳石と、耳石膜が動くと、それを有毛細胞が感知し、電気信号に変換し、前庭神経を経て脳に伝達します。これによりヒトは直線加速度を認識できます。半規管と耳石器は平衡覚に関与する末梢器官でです。それらは、聴覚の受容器である蝸牛とともにと呼ばれる内耳を形成します。半規管は頭部を回転した場合に生じる回転加速度(角加速度)を受容し、耳石器は、頭部の傾きや乗り物やエレベータに乗った場合に生じる直線加速度を受容する。頭部の傾きの検出も、重力方向、すなわち直線加速度を感知することです。つまり半規管は回転加速度を認識し、耳石器は直線加速度を認識することによって人間の体の平衡を保つ平衡覚に関与する末梢器官であります。脳にあるから中枢器官だと思わないでください。
前庭神経の細胞は双極性で前庭神経節にあり、 前庭神経節の神経細胞体からの末梢性突起は,半規管,球形嚢,卵形嚢の有毛細胞に終わります。神経節細胞の 中枢性突起は合わさって前庭神経となります。 蝸牛神経と前庭神経が合流して内耳神経となり蝸牛神経とともに、延髄に入ります。延髄では外側前庭核に情報を投射しながら、多くの軸索は上行枝と下行枝に二つに分かれます。上行枝は上前庭核へ終わり、下行枝は下前庭核と内側前庭核に終わります。前庭神経には上記の求心性線維のほか、少数の遠心性の線維(外側核内側の網様体中に散在する細胞に起こり、感覚上皮を支配する)も含まれる。遠心性線維の機能はわかっていない。
聴覚器官である蝸牛と蝸牛の内部構造を図示します。
蝸牛(かぎゅう、cochlea)
文字通り蝸牛はカタツムリのような螺旋状の管腔構造をしています。その巻貝状の頂点と底を結ぶ蝸牛軸を中心に、ラセン状の管(蝸牛ラセン管)が2.5回転しています。蝸牛の内部はその中央を基底膜により上下の2階に分けられ,上階は前庭階,下階は鼓室階と呼ばれます。蝸牛ラセン管の内部はライスネル膜と基底板によって外リンパで満たされた下の階の鼓室階と上の階の前庭階、さらにその中間の階にある蝸牛管(中央階)の3つの階に分かれています。また、蝸牛管の基底板には、音を感知する機能を持つラセン器(コルチ器)があります。
鼓膜から耳小骨から蝸牛に伝わった振動は、ラセン器の有毛細胞で電気信号に変わり、中枢神経から脳に伝わります。内耳は聴覚器官と平衡感覚器官の二つの機能を有しているのでイメージしにくいのでさらに聴覚器官について復習しておきましょう。なぜ難聴が起こったり耳鳴りが起こるのか何としてもぜっていに知りたいのです。herpesが原因であることは分かってはいるのですが聴覚のどの経路が傷ついているのかを知りたいのです。
蝸牛の仕組みについての詳細な機構や機能については依然謎に包まれた部分があるので完全に理解するのは難しいのです。音は空気の振動として外耳、鼓膜、中耳の耳小骨(三つの耳小骨であるツチ骨、キヌタ骨,アブミ骨)を経た後、内耳の入口の蝸牛窓から空気の振動が内耳のリンパ液の振動として内耳の蝸牛内へと伝達されます。 蝸牛内部は渦巻く方向に沿って膜で仕切られた 3 つの区画、前庭階、中央階、鼓室階 からなっているので、振動は螺旋をのぼるように蝸牛管の前庭階から頂上、鼓室階へ伝わり、蝸牛管へと下っていきます。蝸牛管の底(鼓室階との境界)の基底膜に存在しているコルチ器の有毛細胞がその振動を電気信号に変換し、脳に伝達することでヒトは音を認識しています。
ヒトの蝸牛はおよそ 2 巻半ほどに渦巻いた骨で覆われた閉じた管を形成しており、管を伸ばせば長さはおよそ 3 cm ほど、中耳側の基部の太さはおよそ 2mm ほどであります。 蝸牛内部は渦巻く方向に沿って膜で仕切られた 3 つの区画、前庭階、中央階、鼓室階 からなっています。 このうち、前庭階と鼓室階は蝸牛管の先端にあたる頂部でつながっており、共に外リンパ で満たされているのに 対して、中央階はイオンの能動輸送) によってカリウム・イオンに富んだ内リンパ で満たされているのです。 そのうえ、中央階は外リンパよりも相対的に 80 mV ほど高い電位を保っている。前庭階の基部には卵円窓(または前庭窓)という小さな穴があり、これを通じて中耳のあぶみ骨 は前庭階の外リンパへと振動を伝えることができるのです。一方の鼓室階の基部にも正円窓(または蝸牛窓)と呼ばれる小さな穴が空いており、外リンパが振動で移動することを助けています。
上図は蝸牛の断面の拡大図であり、蝸牛内を仕切る2つの膜のうち、基底膜の上に2種の有毛細胞を持つコルチ器があります。内有毛細胞と外有毛細胞の働きは対照的です。
中央階と鼓室階を区切る膜が基底膜であり、基底膜の上に2種の有毛細胞を持つコルチ器があります。前庭階と中央階を分ける膜はライスナー膜と呼ばれます。 基底膜は奥にいくほど幅広くかつ柔軟になっており、基部より頂部の方が 2 桁程曲げやすく、基部から頂部に至るほどより低い音に対応する固有振動数を持ち、基底膜の中央階側にはコルチ器 (organ of Corti) と呼ばれる繊細で堅牢に構成された小さな器官が整然と配列されています。 コルチ器の上部には内有毛細胞と外有毛細胞と呼ばれる 2 種類の有毛細胞が蝸牛管に沿って規則正しく並んでおり、ヒトでは片耳で内有毛細胞が 3,500 ほど、外有毛細胞が 15,000 から 20,000 ほど存在します。 コルチ器上部には屋根のように蓋膜 が覆いかぶさり有毛細胞それぞれから突き出した不動毛(聴毛)の束の先端と接するような位置にあります。このうち内有毛細胞が振動の情報を神経パルスへと変換する一次感覚受容器であります。 蝸牛のラセン状の中心軸である蝸牛軸には数多くの蝸牛神経節(ラセン神経節)があって、内有毛細胞とシナプス結合を形成しています。 これらの神経細胞の軸索は蝸牛神経 を形成し延髄と橋にまたがるいくつかの蝸牛神経核 へと投射します。erve と前庭神経 vestibular nerve の2種類の感覚神経から成り立っています。蝸牛神経の細胞は双極性あるいは偽単極性の神経細胞です。この神経細胞は側頭骨骨迷路にある渦巻状の空洞で蝸牛管という聴覚器官を入れている蝸牛の基部の骨の中に埋まっている多数の蝸牛神経節にあります。その偽単極性の神経細胞の末梢突起が音刺激を電気信号に変換するコルチ器の内有毛細胞と外有毛細胞からの音情報を受け、この情報は中枢突起に伝えられます。これら中枢突起は一つに束ねられて蝸牛神経となり、内耳孔を通って頭蓋内へと進みます。蝸牛神経は前庭神経と並んでともに小脳橋角から脳に入り、聴覚の中枢伝導路の始まりである蝸牛神経核群の神経細胞にシナプス結合しコルチ器の内有毛細胞と外有毛細胞からの音情報を脳に伝えるのです。
何故難聴や耳鳴りが起こるのか?
答えはherpesが複雑な構造から成り立っている蝸牛器官に感染しておこるのはわかっているのですがherpesがどのようにしてどの細胞に感染してどのような神経を傷害して難聴や耳鳴りを生ずるのかはまだ完全には解答が出ていません。目星はついていますので乞うご期待です。他の大学者が答えを出せないのに私ごときの一介の臨床医が発見できる自信があるのは神経の病気はすべてherpesによるものであることを患者さんに教えてもらったからです。右目が半盲である私自身も様々なherpes性の神経疾患を持っている患者ですから患者である私自身からも医者としての私は非常に多くの医学の真実を学んでいます。難聴の原因の詳細についてはさらに詳しい答えを必ず出して見せます。
第IX脳神経舌咽神経 glossopharyngeal nerve 運動繊維、知覚繊維、味覚線維、副交感性線維を含む混合神経です。脊髄上部の側面から脳幹を出て、迷走神経に近づいていきます。その名の示すとおり、舌と咽頭に分布する神経で、舌咽神経には多くの働きがあります。橋と延髄の境でその両外側部から第10脳神経の迷走神経といっしょに出て行きます。感覚神経としては、舌の後ろの3分の1の味覚と痛覚・触覚・温度覚の三つの知覚、咽頭から鼓室(中耳)にわたる粘膜の知覚をつかさどるほか、頸動脈洞や頸動脈小体に分布して心臓の働きの抑制、血管の拡張などもつかさどります。このほか、耳下腺(じかせん)に分泌線維を送っています。運動神経としては咽頭筋を支配して飲食物を通過しやすくしています。頸動脈(けいどうみゃく)洞とは何でしょうか?総頸動脈の、外頸動脈と内頚動脈の枝分かれするところに存在し、動脈圧をモニターする受容器があり、圧情報が舌咽神経の求心性の成分で中枢へ入力され、中枢から遠心路として自律神経を介して心臓収縮力や心拍数を調整する機構である圧受容器反射を司っています。一方頸動脈小体は頸動脈の中に存在する小体なのですが、呼吸や血圧を調節する重要な役割を果たしており、心臓の働きの抑制、血管の拡張などもつかさどります。
運動神経の細胞体は延髄の擬核吻側部にあり、ここからの軸索線維は外側前方(腹側)にすすみ、下小脳脚の下縁から数本の神経根をなして脳を出ます。下唾液核にある副交感性細胞からの線維(節前線維)も同様にこれらの神経根に加わり、これら数本の神経根は束ねられて一本の舌咽神経となります。一方、感覚神経の細胞体(偽単極性の細胞)はこの神経が頭蓋の頸静脈孔を出るあたりに形成されており、上と下の舌咽神経節にあります。ここから伸びる偽単極性をするの神経細胞の中枢突起もこれらの神経根を通って延髄にはいり、舌の後1/3からの味覚感覚情報を受容した末梢枝から(舌後1/3からの味覚の情報を)孤束核に送り、扁桃、咽頭、舌、中耳、頸動脈小体からの知覚の情報を三叉神経脊髄路核に送ります。運動性の線維の末梢枝は嚥下を補助する筋肉である茎突咽頭筋を支配します。副交感神経は耳神経節にはいり、そこでシナプス交換して、そこからは節後線維となって唾液腺に分布し分泌機能を制御します。また、感覚神経、副交感神経の一部(舌咽神経咽頭枝)はつぎに述べる迷走神経の喉頭咽頭枝に合流して喉頭の粘膜に分布します。因みに茎突咽頭筋は何であるか、ついでに茎突舌骨筋は何であるかを説明しましょう。それぞれ舌骨上筋群の1つです。茎突舌骨筋は嚥下を補助する筋肉であり、収縮すると舌骨を後上方に挙上させます。茎突舌骨筋は側頭骨の茎状突起から始まり、舌骨で停止します。一方、茎突咽頭筋も茎突舌骨筋と同様、嚥下を補助しており、収縮により喉頭を挙上させ誤嚥がないように働いています。筋肉の開始場所は咽頭舌骨筋同様、側頭骨の茎状突起、停止位置は甲状軟骨の後縁である咽頭壁となります。喉頭は固定されておらず、いわば宙に浮いた状態の器官です。この喉頭を吊り下げているのが、この茎突咽頭筋と茎突舌骨筋なのです。
第X脳神経迷走神経 vagus nerve 運動、知覚、副交感神経を含む混合神経で、他のどの脳神経よりも分布領域が広く、頸部から胸部、腹部半ば過ぎまでの臓器を支配します。 副交感神経の代表的な神経です。極めて複雑な走行を示し、頸部と胸部内臓、さらには腹部内臓にまで分布します。脳神経中最大の分布領域を持ち、主として副交感神経繊維からなります。交感神経とも拮抗し、声帯、心臓、胃腸、消化腺の運動、分泌を支配します。多数に枝分れしてきわめて複雑な経路を示すので迷走という名があります。交感神経と拮抗(きっこう)しながら、内臓の平滑筋の運動と腺(せん)の分泌を調節します。迷走神経の神経根は8本ー10本あり舌咽神経の神経根尾側で、下小脳脚と下オリーブ核のあいだの窪みを出入りします。これらは一本に束ねられ、頸静脈孔を通って頭蓋をでます。舌咽神経同様、頸静脈孔を出たあたりに上と下の迷走神経節があり、そこに感覚性の偽単極性神経細胞を含んでいます。上下両神経節付近からは上位の舌咽神経との連結枝(迷走神経耳介枝、これはひいては上位の顔面神経とも連なる)や下位の副神経、舌下神経、第1-2頚神経、上頚神経節(交感神経の細胞があり、末梢に節後線維をだす)との連結枝をもちながら、同時に頸部支配枝(迷走神経喉頭咽頭枝、上喉頭神経)をだし、胸腹部臓器に神経を分布させます。
迷走神経は下部延髄に起こり、各臓器に広く分布する多数の枝を延ばします。首から腹(消化器における下端は横行結腸右1/3)までのほとんど全ての内臓の運動神経と副交感性の知覚神経が迷走神経が支配しています。機能的には心拍数の調整、胃腸の蠕動運動、発汗や発話、大動脈小体における血中ガス分圧の感知、外耳道の体性感覚等に関与する。体性感覚とは身体の表層組織の皮膚・粘膜や深部組織の筋・腱などで知覚される感覚で、皮膚感覚と深部感覚の二つに分けられます。主に副交感神経性線維でありますが、関与する線維の神経核は迷走神経背側核、疑核 、孤束核 など多彩です。また、胸腔内で遠心性繊維を含む反回神経を分岐します。反回神経は反転して上行し、口蓋帆挙筋、耳管咽頭筋、茎突咽頭筋、口蓋舌筋、口蓋咽頭筋、上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、下咽頭収縮筋、鰓弓筋等を支配しています。このように、口でも迷走神経が多くの筋肉を支配し、発話や咽頭を開くことにきわめて重大な役割を担っています。
直接の枝としては、硬膜枝、上神経節、下神経節、鰓弓神経、腸骨枝、耳介枝、咽頭枝、咽頭神経叢、喉頭神経、上頚心臓枝、下頚心臓枝、気管枝、食道枝、胸心臓神経、気管支枝、肺神経叢、食道神経叢、前迷走神経幹、前胃枝、胃小弯前神経、肝枝、幽門枝、後迷走神経幹、後胃枝、胃小弯後神経、腹腔枝、腹腔神経叢、腎枝に分枝して、自律神経としての副交感神経の重要な働きを発揮しています。
知覚枝としてはは外耳道後下壁、鼓膜の後半部、および耳介、乳様突起それぞれの付け根の間の小部分、後頭蓋窩の脳硬膜、食道、気管、気管支、咽頭からの表在知覚を伝えます。また胸部臓器、腹部臓器からの内臓知覚の一部を伝え、孤束もしくは孤束核へ至ります。
運動枝としては軟口蓋、咽頭、咽頭筋のほとんどを支配し、その神経細胞体は延髄被蓋の疑核にあります。
遠心性副交感神経枝はほとんどが背側運動核 に始まり、内臓運動枝r として骨盤臓器以外の全臓器に分岐しています。
運動神経の細胞体は延髄の迷走神経背側(運動)核にあり、気管支、心臓、食道、胃、小腸と一部大腸の不随意筋に分布しています。感覚神経の細胞体は上述の上・下迷走神経節にあり、中枢突起は末梢の受容した情報を孤束核(喉頭蓋と喉頭蓋谷からの味覚、支配域の内臓感覚)や三叉神経脊髄路核(耳甲介の皮膚知覚)に送っています。副交感神経の節前線維の細胞体は疑核にあり、節前線維は迷走神経末梢枝に混じって各支配器官(呼吸器、心臓、食道、胃、腸管など)まで達しています。個々の器官壁には微小な神経節が多数あって、そこから短い節後線維が出てきます。これは他の脳神経とは異なる支配形態で迷走神経に特徴的です。
第XI脳神経副神経 accessory nerve 運動性神経性線維であります。肩にある僧帽筋と頸の前側壁にある胸鎖乳突筋の二筋を支配します。副神経の起始細胞は延髄と脊髄とにあり、その神経軸索はそれぞれ延髄根、脊髄根をつくり、最終的には一本なって舌咽神経、迷走神経といっしょに頸静脈孔を通って頭蓋腔を出る。副神経は元来、迷走神経から分離してできたもので、頸静脈孔を出ると延髄根に由来する内枝と、脊髄根に由来する外枝の二つに分かれます。外枝は前述の二筋に分布しますが、内枝は迷走神経下神経節で迷走神経に合流して、反回神経に混じって下喉頭(かこうとう)神経となり喉頭に分布します。
運動神経の細胞体は脊髄(上位頸髄)の外側角にあり、神経根は多数あり、側索をつらぬいて出てきます。脊髄神経の運動神経細胞が脊髄前角にあることとの違いに注意してください。一本に束ねられた神経束は脊柱管を上行し、大後頭孔より頭蓋内に入り、いわゆる副神経脳神経部分と合流して、今度は舌咽神経、迷走神経とともに頸静脈孔より頭蓋のそとに出ます。頭蓋内にいちど逆戻りする点は他の脳神経にない特徴であるのが副神経です。副神経は頸部を下降しながら胸鎖乳突筋と僧帽筋に分布します。
第XII脳神経舌下神経 hypoglossal nerve 舌運動制御の純粋な運動性神経であります。動眼神経、滑車神経、外転神経などと一緒で、知覚性の神経を完全に欠いています。舌下神経 ( ぜっかしんけい)は、 舌 の運動を司る他、 頚神経わな 、 甲状舌骨筋 、 肩甲舌骨筋 、 胸骨甲状筋 、 胸骨舌骨筋 をも支配する 運動神経 です。頚神経ワナとは脊髄神経のC1、C2、C3からなり、舌骨下筋群を支配する輪状になった神経の部分が罠になっているので頚神経ワナというのです。Cは 頚神経叢の英語の cervical plexus 頭文字の略語Cであり頚神経叢は運動神経である第1-4頚神経前枝 (C1-C4) で構成されています。逆に神経後枝は常に感覚神経です。 舌下神経は 舌下神経核 から始まり、オリーブと錐体との間から 延髄 の間を出て、その後 舌下神経管 を通り、 口蓋舌筋 以外の全ての 舌筋 に分布する舌下神経は、延髄の錐体(すいたい)とオリーブ(錐体の外後側にある長楕円(だえん)形の膨らみ)との間から出る。この錐体は内耳が入っている側頭骨の 側頭骨の一部である錐体ではありません。舌筋は、舌本体を構成する内舌筋(舌固有筋)と、これに付属する外舌筋とからなっていますが、舌下神経は、これらに分布して舌の運動を支配します。一側の舌下神経が傷害を受け、麻痺(まひ)がおこると、舌を前方に突き出した場合、舌は麻痺側に曲がります。運動性神経細胞は延髄後部の中心灰白質腹内側に位置する舌下神経核にある。ここから出た神経は前方(腹側)に進み、錐体のすぐ外側の前外側溝 を抜けて延髄を離れます。神経根(10ー15本)は束ねられ、舌下神経管を通って頭蓋の外に出る。この神経管を出ると硬膜枝を出した後、C1前枝からの枝と合流し、内頸動脈のわきを過ぎて舌の深部を走り、舌のほとんどの筋(頤舌筋など骨付着筋や上縦舌筋など内在性の筋)に分布します。口蓋舌筋は迷走神経(あるいは舌咽神経に?)支配とされています。C1前枝のほか、上頚神経節(交感神経)、迷走神経(副交感神経)との交通枝もあるが、それらの成分は、固有の舌下神経支配領域以外に向かう枝に含まれると考えられています。
C1前枝とは何でしょうか?脊髄神経は脊柱を構成する上下の椎骨の間にできる椎間孔を通って脊柱管を出てくるので、脊髄神経は関連する椎骨に対応して名づけられている。さらに脊髄神経は椎間孔から出る前に前根と後根が合流しその後で脊髄神経は細い硬膜枝と交通枝を出したのち、体の前面に向かう前枝と後面に向かう後枝に分かれます。前根・後根と前枝を混同しないよう注意されよ)
頚神経は脳に近い上から 第1頚神経 〜 第8頚神経 という番号で呼ばれています。略称はC1~C8。前枝 は、C1~C4を中心として頚神経叢を、C5~C8(および 第1胸神経 Th1)を中心として腕神経叢をつくり、 第1頚神経(C1)は、 前枝 も 後枝 も、皮膚に分布する枝(=皮枝)をもちません。
脊髄神経は細い硬膜枝と交通枝を出したのち、体の前面に向かう前枝と後面に向かう後枝に分かれる(前根・後根と体の前面に向かう前枝と後面に向かう後枝とを混同しないように気を付けてください。根がつく神経は中枢神経であり枝がつく神経は末梢神経なのです。この間違いが起こるのは脊髄神経二つの意味があるからです。脊髄中枢神経と脊髄末梢神経があるからです。
第一脳神経から第12神経が障害されたらどんな症状がいかなる麻痺が出るのかを以下にまとめます。
第I脳神経の嗅神経障害 olfactory nerve は障害されると嗅覚障害を生じる。例えば転落や後頭部打撲などによる外傷や、herpesによる髄膜炎などの炎症性疾患、嗅神経溝髄膜腫などの脳腫瘍が原因となることが多い。
第II脳神経 の視神経障害optic nerveは障害されると視覚異常が生じる。両側の神経が完全に傷害されると全盲になる。しかし、部分的障害によっても多様な視覚障害が生じる。原因疾患としては視交叉を圧迫する下垂体腺腫や脳血管障害が多い。私のようにヘルペス性の右の目の網膜障害や視神経障害右目の半盲が生じたのですが世界中の眼科医は誰も知りません。私が見つけたのです。その場合障害部位にもよるが、両耳側性半盲(視交叉の外側からの圧迫による)、同名半盲(視放線の障害による)などが生じる。私にように右目だけの半盲は右の視神経もherpesにやられてしまったからです。herpesはすべての細胞に感染して傷つけたり破壊して機能を奪ってしまうのです。herpesは神経細胞が大大好きです。
第III脳神経の動眼神経の障害oculomotor nerveの麻痺により対光反射、輻輳反射の消失が生じる。また外側直筋、上斜筋以外の眼筋麻痺による複視もよく起きる。原因疾患としては脳動脈瘤(特に内頸動脈―後交通動脈分岐部、脳底動脈―上小脳動脈分岐部に生じたもの)、脳腫瘍、脳梗塞、糖尿病が多い。それ以外の原因はもちろんヘルペスウイルスです。
第Ⅳ脳神経の滑車神経Trochlear nerveは12対ある脳神経の一つであり、上斜筋の運動を行う。上斜筋は目を外方(耳側)や下向きに動かす。
第V脳神経の三叉神経 trigeminal nerveの麻痺により顔面の知覚が消失する。三叉とはこの神経が眼神経(V1)、上顎神経(V2)、下顎神経(V3)の三神経に分かれることに由来する。体性運動性と知覚性の混合神経であり、脳神経の中で最大の神経であるまた、咬筋の麻痺が起こる。咬筋の麻痺が起こると食べ物を咀嚼できないと死にます?咬筋(こうきん)は筋肉の一種で骨格筋(随意筋)であり。咀嚼筋の一つである。人間においては浅部と深部に分かれており、浅部では起始が頬骨弓(側頭骨と頬骨で作る)の前2/3、停止が下顎骨咬筋粗面下部、深部では起始が頬骨弓の後ろ2/3で、停止が下顎骨咬筋粗面上部です。第V脳神経である三叉神経の第三枝である下顎神経の枝の一つである咬筋神経に支配されているがherpesに咬筋神経が侵されると嚙めなくなります。この筋肉が正常に収縮することで下顎骨が上に上がり、名前の通り咬むことができる。三叉とはこの神経が眼神経(V1)、上顎神経(V2)、下顎神経(V3)の三神経に分かれることに由来する。体性運動性と知覚性の混合神経であり、脳神経の中で最大の神経である。三叉神経の知覚性線維は、3つの主要な枝すべてに含まれる。
眼神経(V1)は上眼窩裂(superior orbital fissure)を出たのちに、眼窩の背側に分布し、前頭部や瞼、鼻の周囲(鼻翼挙筋を除く)、前頭洞などの感覚をを支配する。
上顎神経(V2)は正円孔(foramen rotundum)を出たのちに、名称のとおり上あごの全体にわたって分布し、歯茎や上唇、口蓋や下瞼、頬部、篩骨洞、蝶形骨洞や上顎洞などを支配する。
下顎神経(V3)は卵円孔(foramen ovale)を出たのちに、下あごの全体にわたって分布し、歯茎や下唇、頬部や外耳の一部などを支配する。
眼神経、上顎神経は運動性線維を持たず、下顎神経のみが運動に関与する。咬筋神経も運動神経である下顎神経の支脈です。
第VI脳神経の外転神経 abducens nerveの麻痺は動眼神経と同調して起こることもあるが、動眼神経や滑車神経に比べて走行する距離が長いため、外転神経単独の麻痺は頻度が高い。動眼神経と同様眼球運動に障害が生じる。ただしこの場合、支配筋である外直筋の麻痺により文字通り眼球外転運動に障害が生じ、障害側の眼球は内転位をとることが多い。
第VII脳神経顔面神経facial nerveの麻痺はその支配域の筋に影響するので、顔面の表情に影響する。また顔面神経の支配域は舌にも及んでいるので、味覚にも障害が出る。原因疾患としては最も頻度の高いのがベル麻痺(末梢性顔面神経麻痺)と脳血管障害(中枢性顔面神経麻痺)である。聴神経腫瘍摘出手術の際に障害される例もある。ベル麻痺ベル麻痺(特発性顔面神経麻痺)とは顔面神経麻痺はほとんどが疲労や免疫力の低下、ストレスなどをきっかけに、以前に感染していた単純ヘルペスウィルスのウィルス量が増えて麻痺を起こします。片方の顔の筋肉が動かなくなり「まぶたが閉じられない」「口元から水が漏れる」「味覚が低下する」などです。ときに 顔面神経麻痺を起こす病気には、緊急治療が必要となる脳梗塞がありますが局所的な顔面神経麻痺だけで症状は終わりませんので違いはすぐに分かります。下図にベル麻痺に見られる顔の症状を示します。
ベル麻痺の症状
第VIII脳神経内耳神経 vestibulocochlear nerveは聴神経とも言います。聴神経の英語の vestibulocochlear nerveの vestibuloは前庭という意味でありcochlearは蝸牛という意味です。というのは内耳神経は前庭神経と蝸牛神経から成り立っているからです。聴神経の障害は前庭神経の場合平衡感覚の消失、蝸牛神経の場合は内耳神経の聴覚に障害が生じる。
第IX脳舌咽神経 glossopharyngeal nerve英語のglossopharyngeal nerveのglossoは舌の意味でありpharyngealは咽頭という意味です。味覚障害が生じる。ただし、顔面神経が舌の前部2/3に分布しているのに対し、舌咽神経が舌後部1/3に分布しているので、舌の全ての味覚が障害されるわけではない。舌咽神経が単体で障害を生じることは非常に稀で、通常では近位迷走神経障害(第X脳神経)を伴うのは第IX脳舌咽神経と第X脳神経迷走神経は隣同士ですからherpesは隣の神経に簡単に感染しやすいからです。
第X脳神経迷走神経 vagus nerveは vagusの発音はヴェイガスです。 vagus nerveは、中枢、末梢ともに最も広範囲に渡って分布する。したがって、交感神経以外の運動、知覚、副交感神経のすべてを支配する混合神経である迷走神経の障害は、傷害される神経の範囲が広いのでヘルペス感染神経もきわめて多様であるので部位によって症状も異なってくる。内臓に走行する内臓枝がなんらかの傷害された場合、消化管の蠕動運動に障害が生じることがある。また、中枢に近い場所で障害されると、嚥下困難、嘔吐反射障害が生じることがある。これを延髄の球麻痺と呼ぶ。球麻痺(きゅうまひ、bulbar palsy)とは、延髄にある脳神経核が障害され、口・舌・喉の運動障害によって起こる症状である。構音障害(呂律が回らない)、嚥下障害(食べ物、飲み物の飲み込みが悪くなる)、呼吸や循環の障害が生じる。何故延髄を球というのでしょうか?延髄を外側から見るとボールのように丸い形をしているので “球”と呼ぶのです。そのため、延髄の麻痺のことを球麻痺といい、臨床では延髄の運動神経麻痺に限定して用いる。何故ならば延髄には9番(舌咽神経)、10番(迷走神経)、12番(舌下神経)の脳神経核が存在する。これらの神経核が脳梗塞や広範な色々な脳神経核にヘルペス感染すると両側性に障害され、咽頭(鼻腔の終わりから声帯・食道の上まで)、口蓋(口腔上壁)、喉頭(声門上部から下部、気管の上まで)を動かす筋肉の運動が障害される。声門(せいもん、 glottis)とは、左右の声帯とそれらの間の空間(声門裂)とをまとめていう 。その結果、嚥下(食べ物を飲み込む)、構音(言葉を発する)ができなくなる上に、舌の運動障害をきたす。その他、舌の萎縮、舌のぴくぴくとひきつるような筋収縮(筋線維束れん縮)、咽頭(嘔吐)反射が弱まるなどがみられる。
第XI脳神経 副神経accessory nerve何故副神経というのでしょうか?副神経は迷走神経の付属神経という考えから名づけられたもので、単独の障害は非常にまれで、第IX、X、XII脳神経の障害を伴うことが多い。首を動かす筋肉の一部に分布している運動性の神経の麻痺である。神経の麻痺は神経の機能がなくなることです。神経の機能がなくなることは脳梗塞によって血流が途絶かヘルペスによって神経細胞が傷ついたり、神経細胞が融解されて機能がなくなるのです。副神経は第11脳神経ともよばれ、迷走神経の付属神経という考えから名づけられたもので、脊髄(せきずい)部分と延髄部分とからなる。脊髄部分は胸鎖乳突筋と僧帽筋に分布し、延髄部分は迷走神経(第10脳神経)と合流し喉頭(こうとう)筋に分布しているので 副神経と言われる一つの理由です。だからこそ、喉頭筋の運動は通常、迷走神経の機能とされているのです。。
一側の副神経麻痺では、胸鎖乳突筋の筋力低下と萎縮(いしゅく)がみられ、頭部の健全な側への回旋が障害される。また、僧帽筋の障害によって患側の肩は下がり、首をすくめても挙上出来ず、上肢の外側挙上は水平以上が困難となる。両側の副神経麻痺では、寝た位置で頭を持ち上げることができなくなる。一側の麻痺は頭蓋(とうがい)底を侵す髄膜炎、腫瘍(しゅよう)などによる末梢(まっしょう)性障害で、両側の麻痺は炎症やherpesによる多発性硬化症などによる核性障害によっておこることが多い。いずれも副神経のみの単独麻痺はほとんどなく、迷走神経や舌下神経とともに障害されることが多い。
核 または 神経核 (しんけいかく、 英 :nucleus (pl. nuclei))は 中枢神経 内で主に 灰白質 からなり、何らかの 神経系 の分岐点や中継点となっている 神経細胞 群のこと。 大脳基底核 (basal ganglia) のように、英:ganglion (pl. ganglia) の訳語とする場合もある(ただし末梢における ganglion の訳語は 神経節 である。 英語の basal ganglia は混乱を招きやすいため、近年では basal nuclei という名称が推奨されている)。 たとえば 外側膝状核 は 哺乳類 の 視覚系 における信号を伝達している。
核性麻痺とか核上性麻痺とか核下性麻痺とは何でしょうか?
まず核性麻痺とか核上性麻痺とか核下性麻痺の核とは何でしょうか?
核 は 神経核 えいごで 英語でnucleus (複数形は. nuclei)は脳や脊髄の 中枢神経内では 灰白質 からなり、何らかの 神経系 の起始点や分岐点や中継点となっている神経細胞群を神経核や核と言います。つまり神経細胞体が集簇しているところです。大脳にある大脳基底核 ( basal ganglia) のように、英語のganglion (複数形は. ganglia) の訳語とする場合もある。ただし末梢における ganglion の訳語は 神経節 である。 英語の basal ganglia は混乱を招きやすいため、近年では basal nuclei 核性,核運動核からみて,運動核そのものを核性と言い、運動核の上位の中枢を核上性と言い,末梢運動神経を核下性と言いこの運動核と末梢運動神経の障害の違いによる麻痺を分類したものです。麻痺は萎縮性であるので神経細胞が消滅してしまいその神経細胞の働きも消滅することです。
運動核(motor nucleus)は遠心性の運動神経線維の起始核です。
核上性とは脳神経系において、大脳皮質から脳幹までの脳神経細胞に至るまでを核上性ニューロン、脳幹の神経細胞から末梢を核下性ニューロンという。大脳皮質にある神経細胞は直接目的地に到達するわけではなく、いずれも脳幹にある脳神経核の核をを基準にして上位と下位を決めここで神経細胞(ニューロン)はシナプスして乗り換えているのである。ちなみに核上性ニューロンは脳幹よりも上位にあるので上位ニューロン、核下性ニューロンは脳幹よりも下なので下位ニューロンとも称される。脳幹では12対の脳神経の運動核の七つが存在しており(①動眼神経核、②滑車神経核、③三叉神経運動核、④外転神経核、⑤顔面神経運動核、⑥副神経核、⑦舌下神経核)その軸索は脳神経の一部として脳幹から神経末梢へと出ています。運動核(motor nucleus)とは脳幹から始まる遠心性線維の起始核の一つです。他には中枢の脊髄前角(前柱)に運動核が存在し運動性脊髄(末梢性)神経にシナプスし四肢の筋肉を動かします。もう一つは運動性脳(中枢性)神経が既に述べたように脳幹に運動核があり12対の脳末梢神経のうち七つの運動神経とシナプスしています。
第XII脳神経hypoglossal nerve舌下神経は,舌の運動に関する脳神経です。両側性の神経麻痺では舌の運動ができないので舌を動かざるを得ない「サ,タ,ナ,ラ」行の舌音が不明瞭となり,特にタ行,ダ行が最も発音困難となります。また舌の先で頬と歯の間にたまった食物をとる操作や咽頭に食物を送る操作が困難になります。一側の舌下神経麻痺では障害は軽度であり,発語,嚥下,そしゃくにも強い障害はでません。しかし,両側性の舌下神経麻痺では,これらの機能は完全に障害されます。さらに舌下神経は迷走神経に同じく、嚥下反射、嘔吐反射に関与している。したがって、舌下神経傷害はこれらに相当するいずれの反射にも障害が生じる。喉の奥に異物を感じた場合にのみ、吐き気をもよおすが、嘔吐反射の場合、喉の奥でなく、口腔内に指や咽頭鏡が入るだけで吐き気をもよおしてしまう。通常の嘔吐反射は、喉の奥に異物が入ったとき、異物が食道へ入らないようにするために起こる反射的な防御反応であるが、過剰な嘔吐反射は、精神不安定、緊張など、心理的なものが原因であることが多い。なお、延髄が生命維持活動に最低限必要な構造であるといわれる所以は、 脳神経12対のうち、延髄を起始とする 4番目の 外転神経 、5番目の 顔面神経 、8番目の 内耳神経 、9番目の 舌咽神経 、10番目の 迷走神経 、11番目の 副神経 、12番目の 舌下神経 の六つの神経が、既に述べたようにいずれも呼吸、制吐、嘔吐、循環に関与しているからであります。
12対の脳神経一覧 知は知覚神経、運は運動神経、副は副交感神経の略
番号による名称 | 解剖学的名称 | 機能学的分類 | 役割 |
第I脳神経 | 嗅神経 | 知 | 嗅覚 |
第II脳神経 | 視神経 | 知 | 視覚 |
第III脳神経 | 動眼神経 | 運、副 | 眼球運動(外眼筋・瞳孔括約筋・毛様体筋) |
第IV脳神経 | 滑車神経 | 運 | 眼球運動(上斜筋) |
第V脳神経 | 三叉神経 | 運、知 | 顔面・鼻・口・歯の知覚、咀嚼運動 |
第VI脳神経 | 外転神経 | 運 | 眼球運動(外直筋) |
第VII脳神経 | 顔面神経 | 運、知、副 | 表情筋の運動、舌前2/3の味覚、涙腺や唾液腺の分泌 |
第VIII脳神経 | 内耳神経 | 知 | 聴覚、平衡覚、(前庭神経、蝸牛神経) |
第IX脳神経 | 舌咽神経 | 運、知、副 | 舌後1/3の知覚、味覚、唾液腺の分泌 |
第X脳神経 | 迷走神経 | 運、知、副 | 頭部や頸部,胸部,腹部(骨盤を除く)の内臓の知覚・運動・分泌 |
第XI脳神経 | 副神経 | 運 | 胸鎖乳突筋・僧帽筋の運動 |
第XII脳神経 | 舌下神経 | 運 | 舌筋の運動 |
以上の12対の脳神経一覧を見て一目瞭然であるのは脳神経には交感神経の機能を持っている脳神経は何もないというのは不思議に思いません。何故なのかの答えは必ず出して見せます。
79)末梢神経障害ニューロパチーニューロパチー(ニューロパシー、Neuropathy)は、末梢神経の正常な伝導が障害される病態。パチーの意味は障害です。障害される神経の種類は運動神経、感覚神経、自律神経に及び、ミクロ的な障害部位は軸索であったり髄鞘(シュワン細胞)であったりする。マクロ的にどこが障害されるかによって、単神経炎・多発性単神経炎・多発神経炎に区別される。
主な疾患は、ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーが炎症性・感染性のものとして有名であり、その他の原因によるものに、糖尿病性ニューロパチー、腫瘍随伴性ニューロパチー、Crow-Fukase症候群、あるいはSLE、PN等の膠原病性血管炎に伴うニューロパチー、シャルコー・マリー・トゥース病、家族性アミロイド多発ニューロパチー等がある。外因性としてはアルコール、ヒ素、水銀、タリウム、スチレン、n-ヘキサン、またビタミン欠乏により脚気なども有名である。薬剤性としてはイソニアジドやビンクリスチンによるものが多い。
80)脱髄症候群有髄神経の髄鞘がherupesの感染により障害されることで起こる疾患である。
有髄神経の周りには髄鞘と呼ばれるものが取り巻いている。これを形成する細胞は、中枢神経では乏突起膠細胞、末梢神経ではシュワン細胞である。この髄鞘があるために有髄神経では跳躍伝導を行うことができるため、これが障害されることで神経伝導速度が遅くなり、多彩な神経症状が引き起こされる。希突起膠細胞は、英語で oligodendrocyte)は、小型で比較的突起の少ない神経膠細胞。乏突起膠細胞乏突起膠細胞、オリゴデンドロサイトとも呼ばれる。核は小さく、染色質はヘテロクロマチンに富み塩基性色素によりよく染まる。灰白質で神経細胞体または樹状突起付近に存在する衛星希突起膠細胞と白質で有髄神経線維間で列をなしている束間希突起膠細胞に分類される。中枢神経系内での髄鞘形成および巻きついている神経細胞の維持と栄養補給の機能を有する。髄鞘を形成するグリア細胞は、神経に栄養を与えたり、保護したりする役割もあるため、髄鞘が大きく分けて中枢神経系と末梢神経系の疾患がある。
1)中枢神経系
①多発性硬化症視神経脊髄炎(Devic症候群)視神経脊髄炎(ししんけいせきずいえん、Neuromyelitis optica)は重度の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする疾患である。Devic病とも呼ばれている。
②心円硬化症(Balo病) Baló病(同心円硬化症)はきわめてまれな炎症性脱髄疾患であり,1927年にBalóによりencephalitis periaxialis concentrica(同心円性軸索周囲性脳炎)として報告されたことに始まる.病理学的に脱髄部分と髄鞘残存部分が同心円状または層状に分布する特徴がある.病因は不明であるが,多発性硬化症や炎症性広汎硬化症(Schilder病)の類縁疾患と考えられている.極めてまれな疾患であります。
③急性散在性脳脊髄炎(ADEM)急性散在性脳脊髄炎(きゅうせいさんざいせいのうせきずいえん、acute disseminated encephalomyelitis; ADEM)とは、ウイルス感染後やワクチン接種後に生じるアレルギー性の脱髄疾患である。
④炎症性広汎性硬化症(Schilder病)従来シルダー病Schilder’s diseaseとして記載されていた副腎白質ジストロフィーadrenoleukodystrophyも脂質代謝異常によるものと考えられている。いずれも幼小児の遺伝性疾患で,痙性四肢麻痺,痙攣(けいれん),痴呆または精神遅滞などが臨床像の中核をなしているが,末梢神経の髄鞘も同様に失われるため,末梢神経伝導速度の低下がしばしば認められる。
⑤亜急性硬化症全脳炎(SSPE)亜急性硬化性全脳炎(あきゅうせいこうかせいぜんのうえん、英: subacute sclerosing panencephalitis; SSPE)とは、ヒトに発症する遅発性ウイルス感染症の1種で、致死性の感染症である。亜急性硬化性全脳炎は、よく見られるウイルスによる急性の感染症と比べて、発症までにだいぶ時間がかかる。亜急性と付くのは、そのためである。具体的には、麻疹ウイルスが感染し麻疹になったあと、ウイルスが中枢神経系へと潜伏した後に変異を起こして、SSPEウイルス(SSPEは亜急性硬化性全脳炎の英語名の頭文字)となって、それが脳に持続感染することで、亜急性硬化性全脳炎が発生する。様々な治療が試みられてきたものの、2020年現在においても延命治療が可能なだけで、根治法は存在しない。したがって、亜急性硬化性全脳炎を発症した場合、その患者は死亡する。
⑥進行性多巣性白質脳症(PML)
(PML進行性多巣性白質脳症(しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう、英語: progressive multifocal leukoencephalopathy; PML)とは、免疫不全患者においてJCウイルスによって発症する脱髄性疾患である。特定疾患に指定されている。
ポリオーマウイルス科ポリオーマウイルス属に分類されるJCウイルスが原因となる。JCウイルスは成人の約70%に不顕性感染しており、普段は何の症状も起こさないが、AIDSや臓器移植等において免疫不全となることで発症する。
JCウイルスは脳のオリゴデンドロサイトにおいて増殖し、細胞溶解を経て脱髄を引き起こす。ベースに細胞性免疫の抑制があるため炎症が認められず脳症となると考えられている。
かつては極めて稀な疾患であったが、HIV感染の増加とともに頻度が上昇している。実にAIDSの患者の5%にPMLが発症するという報告も存在する。JCウイルスが小児期に不顕性感染を起こしており、それが活性化して発症するという意味では、麻疹後の亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と同様に、遅発性ウイルス疾患である
⑦中毒性代謝性
⑨橋中心髄鞘破壊症橋中心髄鞘崩壊症は、急性であり、症状が重い脳疾患です。この病気を発症する可能性がある人は、主にアルコール障害、栄養障害などがある人です。また、腎臓の疾患、糖尿病、白血病などが原因となることもあります。病気の進行は速く、突発的に痙攣や麻痺を起こします。数日から数週間のうちに死に至る可能性もあります。原因は不明ですが、主に成人の男性がかかることが多いです。
⑩ビタミンB12欠乏症食事によるビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収に起因するが,ビタミンサプリメントを摂らない完全菜食主義者に欠乏症が生じることがある。欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,ならびに末梢神経障害が起こる。診断は通常,血清ビタミンB12値の測定によって行う。シリング試験が病因の特定に役立つ。治療はビタミンB12の経口または静脈内投与による。葉酸塩(葉酸)は,貧血を軽減することがあるが,神経脱落症状を進行させることがあるため,ビタミンB12の代わりに使用すべきではない。
⑪血管性
⑫Binswanger病ビンスワンガー病(びんすわんがーびょう)では主に痴呆が示され、この病気は緩やかに且つ徐々に悪化していきます。また片麻痺や尿失禁、精神及び歩行障害、偽性球麻痺などを示します。本疾患の末期では無言及び無動作の状態を示し、重度の痴呆に移行します
2)末梢神経系(既に説明は終わっています。)
上記の脱髄と軸索の障害で生ずるやニュロパチーやミエロパチーのほとんどがherupesの感染により障害されることで起こる極めてまれな疾患であるのですが、勿論例外のウイルスによるものもありますが、それぞれの病気の内容をすべて把握するために項目だけを羅列しておきました。より詳しく書けば症例報告としては難しすぎるのでやめました。
81)運動障害Movement disorder運動障害(うんどうしょうがい、英: Movement disorder)とは、人体の運動機能において何らかの永続的な障害が存じており、それが日常生活に不自由をもたらすほどの状態。
調べた25の障害の分類を挙げることができます。病名だけを羅列しておきます。私自身は内容についてはすべて勉強しました。1~6までは詳しい内容は書きましたが、以前説明した内容と重複することもあったのですべての説明はやめました。
2運動機能低下症(Hypokinesia)
4運動失調
5Bradykinesia
6脳性麻痺
7舞踏運動 (chorea)
10本態性振戦
11Geniospasm
12ミオクローヌス
13Metabolic General Unwellness Movement Syndrome (MGUMS)
14Mirror movement disorder
15むずむず脚症候群
16パーキンソン病
17Paroxysmal kinesigenic choreoathetosis
18むずむず脚症候群
19痙攣
20Stereotypic movement disorder
21常同症 (Stereotypy)
22チック症
23振戦
24ウィルソン病
運動障害(運動障害は英語でMovement disorderとは、人体の運動機能において何らかの永続的な障害が有り、日常生活に不自由をもたらすほどの状態。20数個の25の障害があります。
1)アカシジア(アカシジアは静座不能症と訳し、座ったままでじっとし ていられず、そわそわと動き回るという特徴があります。アカシジ アの原因は強い抗精神病薬による副作用が原因で錐体外路に異常が生じて起こる病気です。このような錐体外路症状(すいたいがいろしょうじょう、英語で extrapyramidal symptom)は、大脳基底核が主として障害されて生ずる運動障害です)
2)運動機能低下症(Hypokinesia)(運動機能低下症は、動きの振幅が「減少」していることです。運動緩慢は、運動が出来ないない運動緩慢と、運動が遅いこる動作緩慢に関連していますがこれら 3つの用語はしばしば一緒に動作緩慢という用語で呼ばれます。これらの運動障害は、しばしばパーキンソン病と同一視されます)
3)アテトーゼ(英語でathetosis書き、日本語で無定位運動と訳します。無定位運動の意味は方向の定まらない運動であり、アテトーゼは自分の意志に反して運動を行う不随意運動の一つで、本人の意思とは関係なく現れる目的のない身体の運動のことです。線条体、視床下核、黒質、赤核などの錐体外路系の障害で起こる脳性麻痺アテトーゼはゆっくりとねじるような運動を行うのが特徴的です。
4)運動失調(英語でataxiaと訳します。運動失調症とは、目的の運動に関係する様々な動きの協調性が悪くなるため、それを円滑にできなくなる状態です。運動失調症の代表的な症状は、起立・歩行時のふらつきです。手の巧緻(細かな)動作も障害され書字が下手になり、水を満たしたコップを持つと手が震えてこぼしたり、着衣動作でのボタンの掛けはめや、箸を使って食事するなど普段意識していない動作が円滑にできなくなります。原因は小脳の障害のみならず小脳の投射路が障害されると運動失調をきたします。脳血管障害、外傷、脱随疾患、腫瘍などが原因です。初期には小脳正中部(虫部といいます)の障害を示す起立歩行のふらつきが最初に現れ、小脳半球へ病変が拡大するにつれて四肢の巧緻(細かな)動作も障害されます。
5)Bradykinesia(発音はブラディキニーズィアで日本語に訳すと動作緩徐です。bradykinesiaはパーキンソン病特有の運動障害で,目的運動の開始が遅く,遂行がのろい症候であり大脳基底核障害の主な責任病変は線条体にあり,黒質線条体路の障害による線条体細胞の機能障害(パーキンソン病),あるいは血管障害や黒質線条体変性症による,線条体細胞の直接障害によって生じます。また,動作緩徐に伴い無動(akinesia)もみられます。
6)脳性麻痺(英語 でCerebral palsy,であり、受精から生後4週までの間に、妊娠までに罹患したことがないヘルペスに妊娠中に感染すると胎児の遺伝子に脳の神経細胞の遺伝子に入り込んだherpesは脳の遺伝子を妊娠中に形質転換させてしまった結果正常な脳に成長できずに動機能の障害を指す症候群脳性麻痺になって生まれるのです。遺伝子の形質転換とは何でしょうか?形質転換(けいしつてんかん、Transformation)は、細胞外部から侵入したヘルペスウイルスは自分のDNA を元の細胞のDNAに入れ込み元の細胞の遺伝的性質を変えることです。そのメカニズムは完全には未だに解明されてはいません?運動障害・肢体不自由者の発症要因の約7割がherpesによる脳性麻痺症候群と言われていますが現在は100%であると私は考えています)
7舞踏運動 (chorea)
10本態性振戦
11Geniospasm
12ミオクローヌス
13Metabolic General Unwellness Movement Syndrome (MGUMS)
14Mirror movement disorder
15むずむず脚症候群
16パーキンソン病
17Paroxysmal kinesigenic choreoathetosis
18むずむず脚症候群
19痙攣
20Stereotypic movement disorder
21常同症 (Stereotypy)
22チック症
23振戦
24ウィルソン病
寄り道をしすぎましたが出生時の黄疸についての話に戻りましょう。
周産期仮死(症状は低体重出生、核黄疸が有り、脳障害の病因発生の時期に応じて、胎生期・周産期・出生後の三つ核黄疸に分けられます。核黄疸とは何でしようか?大脳基底核および脳幹核への非抱合型ビリルビンの沈着による脳の損傷です。
それではビリルビンとは何でしょうか? 赤血球には寿命があり、120日でこわれます。ビリルビンは、古くなった赤血球が破壊されるときに生成される黄色い色素です。あちこちで壊された赤血球のヘモグロビンの構成物である黄色のヘムの分解代謝物であるビリルビンは血液で肝臓に運ばれ、胆汁中に捨てられます。 肝臓で処理される前のビリルビンを「非抱合型(間接)ビリルビン」、処理された後のビリルビンを「抱合型(直接)ビリルビン」といい、あわせて総ビリルビンと呼びます。
いま述べたようにビリルビンには 直接ビリルビンと間接ビリルビンの2種類があります。直接ビリルビンは水溶性の抱合型ビリルビンです。
抱合とは何でしょうか?次の三つの意味で用いられます。一つ目は薬物などの外来物質(異物)と結びつき毒性を減らすために。二つ目は体内のホルモン、胆汁酸、ビリルビンなどが水に溶けやすくするため他の親水性分子である硫酸、グルクロン酸、グルタチオンなどが付加されます。三つめは単純に化合という意味で使われます。つまり直接ビリルビンはビリルビンを水に溶けやすくするために二つ目のグルクロン酸抱合された水溶性の抱合型ビリルビンで安全なビリルビンとなったのがが抱合型ビリルビンです。抱合された直接ビリルビンは安全なビリルビンです!。
一方間接ビリルビンは脂溶性の非抱合型ビリルビンです。この間接ビリルビンには二種類があります。一つはアルブミンに結合している非抱合型ビリルビンです。アルブミンに結合しているので水溶性で毒性はありません。この非抱合型ビリルビンは通常、総ビリルビンの約90%を構成しています。ところがビリルビンにはもう一つのアルブミンに結合していない非抱合型(間接)遊離ビリルビンがありアルブミンに結合していないので水に溶けにくく、大脳基底核および脳幹核の細胞の脂質膜を通過してするため、大脳基底核および脳幹核の細胞に入り込み毒性を発揮して傷つけて二種類の核黄疸をもたらすのです。核黄疸の核は大脳基底核および脳幹核の核から由来しています。
大脳基底核(英語で basal ganglia)は、大脳皮質と視床、脳幹を結びつけている神経核の集まりで大脳の下部の深い所にあります。大脳基底核は運動調節、認知機能、感情、動機づけや学習など様々な機能を担っています。
脳幹は中脳、橋、延髄と間脳の四つを合わせて脳幹と呼び、大脳皮質で処理された情報を脊髄に伝達して脳と脊髄の間を取り持っているのが脳幹です。脳幹は多種多様な神経核から構成されているので、その機能も多様であり、大脳に比べてこの小さな脳幹が多数の生命維持機能を営んでいます。脳 幹の主な仕事は下の6っつの自律機能を制御しています。
1)多数の脳神経が出入りし、多数の神経核が存在。
2)自律神経機能中枢が存在。
3)意識と覚醒に関わり重要な神経回路があり、幻視、物の気配を感ずる神経回路があります。)
4)脊髄から視床へ上行する感覚神経路が存在し、この回路が傷つくと感覚障害が、起こります。等)
5)上位中枢から脊髄に下降する運動神経路が存在しています。
6)姿勢反射の中枢です。
ヘルペスが原因となるすべての神経変性疾患(ニュロパチー)は脳幹の委縮を伴い最悪の場合は大脳も委縮してしまうことが多いのです。何故ならば脳幹には非常に多くの神経細胞体が集まっている神経核が非常に多いので感染しやすいからです。ヘルペスが神経細胞に感染するのは神経細胞体に住み着くことであり神経細胞体で増殖することであるので、増殖するたびごとに脳幹の神経細胞の働きを奪い取り破壊するので細胞が減り脳幹は委縮してしまうのです。増殖したヘルペスがさらに大脳神経まで感染が波及してしまうと脳全体が委縮していくのです。
また、体温温覚・感覚・冷覚・聴覚・眠気・食欲・筋力などの様々な情報を分類して大脳皮質に伝え覚醒・運動・感覚の制御・呼吸のリズムを形成します。
脳幹には、12種類の脳神経のうち3番目の脳神経である動眼神経核、4番目の滑車神経核、5番目の三叉神経運動核、6番目の外転神経核、7番目の顔面神経運動核11番目の副神経核、最後の12番目の舌下神経核の合計7つの運動核があります)し、その軸索は脳神経の一部として脳幹から神経末梢へと出ています。
脳幹部には脳幹網様体と呼ばれる領域があり、大脳半球に対して刺激を送っています。この領域がダメージを受けると人は昏睡状態に陥ってしまうため、刺激が人の意識レベルの調節を行っていると思われています。Braak 博士仮説では、パーキンソン病の病変の進展は嗅球と下部脳幹の延髄から始まり,脳幹の病変は脳幹を上行し,大脳皮質に広がるとされていいます。
この遊離ビリルビンが全非抱合型ビリルビンに占める割合は通常0.1%未満なのですが確かに 正常では,血清アルブミンと結合しているビリルビンは血管内腔に保たれているのですが,血清ビリルビン濃度が著しく上昇している場合( 高ビリルビン血症 )や,血清アルブミン濃度が著しく低い場合(,早期産の赤ちゃん)などにはによってはビリルビンがアルブミンから遊離した為にビリルビンが血液脳関門(BBB)を通過して脳の中にある大脳基底核および脳幹核の細胞の脂質膜を通過して核黄疸を引き起こすことがあるのです。 早期産児では,核黄疸が軽度であれば認識できる臨床症状や臨床徴候がないこともあります)。
82)脊髄症英語でMyelopathyで発音はミエロパチーで訳して、脊髄症とは脊髄の障害です。脊髄は小さな断面積の中に四肢体幹の運動出力系と感覚入力系のほとんど全てを含んでいるため脊髄の病変は、神経系の他の病変に比べて四肢麻痺、対麻痺、感覚障害を起こしやすいのです。脊髄は各々の神経根の出る高さに応じて31の脊髄の髄節に分けられます。内訳は第1~8頸髄(C1~C8)、第1~12胸髄(T1~T12)、第1~5腰髄(L1~L5)、第1~5仙髄(S1~S5)および尾髄(Co)であす。各々の髄節は一定の部位の筋肉を支配しており、脊髄髄節の前角からという神経根が出て、椎間孔から脊柱管の外へ出て前根は前枝と後枝に分かれます。椎間孔を出るまでが神経根であるのでり、前根は中枢神経であり椎間孔から出て分枝する前枝と後枝は末梢神経に属します。脊髄は脊柱管の中にあり、上方は延髄の錐体交叉の下端から始まり、下方は脊髄円錐になり、第1~第2腰椎レベルの高さで終わります。脊髄、脊椎(柱)、神経根は発生学的に分節構造をなし、神経根はそれに相応する脊髄髄節から出上下の脊椎の間(脊椎間孔)を通って脊柱管の外に出て始めて末梢神経になります。従って脊柱管は骨でできていますから狭窄することはないので今はやりの脊髄狭窄症は絶対にあり得ません。頸髄と頚椎とは同数でないため、第1~第7頸神経根はそれぞれ対応する脊椎の上の椎間孔から出るが第8頚椎神経根は第7頚椎と第1胸椎の間の椎間孔から出る。それ以下の神経根はそれぞれの対応する脊椎の下の椎間孔から出ます。脊椎と脊髄の発育の不均衡の結果としてつまり脊髄という神経よりも脊椎という骨のほうが生長がはやいので相対的に脊髄は脊椎よりも短く脊髄最下頚椎レベルでは脊椎、脊髄のレベルは脊髄レベルのほうが上位となるのです。脊髄と脊椎の違いを間違わないようにしましょう。髄は神経であり椎は骨であることを間違わないようにしましょう。
83)急性錯乱状態は典型的な統合失調症、双極性障害、てんかんなどのではないのですが、典型的ではない精神病である非定型精神病であり症状は、さまざまであります。統合失調感情障害と混同されやすいが、同一ではないのです。[急性に発症し、周期性の経過をとり、幻覚や妄想など統合失調症のような症状を呈するが、人格欠陥を残さない場合が多く、予後が良好です。病状が短期間の間に変動しやすい特徴があり、躁うつ病の色彩があったり、軽い意識混濁を示すこともあるなど、症状は多彩です。
84)不安障害不安障害英語でanxiety disorderであり強い心配と、恐怖の特徴を有する一般的な精神障害を含んだ名称ですが不安は、原因が不確かで現実に基づかないか、あるいは想像上の現実と将来についてです。不安障害は、さまざまな心理社会的要因を有し、遺伝的素因を含む可能性もあります。不安障害が発現させる感情は、単なる緊張から恐怖による発作まで広い範囲に渡っています。
85)不安障害
86)認知障害
87)気分障害
88)急性炎症性脱髄性多発神経根炎(ギランバレー症候群)。ギランバレー症候群とは急性で多発性の根神経炎の一つで、主に筋肉を動かす運動神経が障害され、四肢に力が入らなくなる病気です。重症の場合、中枢神経障害性の呼吸不全を来し、この場合には一時的に気管切開や人工呼吸器が必要ですが、予後はそれほど悪くないのはこのギランバレー症候群という病気も神経根に潜んでいるヘルペスが原因です。
89)自律神経障害
90)重症筋無力症
91)運動障害
92)舞踏病(文字どおり、踊りを踊るようなしぐさをする病気です。手、足、顔などが不規則に短く動きますが、意図的に動かしているようにみえることもあります。代表的な舞踏病はハンチントン舞踏病ですが、それ以外の舞踏病もあります。ハンチントン舞踏病以外は、まとめて舞踏病症候群といいます。この病気も運動神経や平滑筋を支配している自律神経にherpesが感染して神経細胞を傷つけ正常な髄意運動や不随意運動付随運動ができなくなったためです。更に先天性の奇形や先天性の脳障害や先天性の運動障害や先天性の遺伝子異常もすべて妊娠中に初めてかかったherpesによるものです。この根拠については新たにタイトルを作って詳しく丁寧に説明しましょう。乞うご期待!!!一言で結論を言うとすべての遺伝子病はherpesだ。なんとダウン症候群もヘルペスが原因の先天遺伝子病なのです!
ダウン症候群(ダウンしょうこうぐん、英: Down syndrome)またはダウン症は、体細胞の21番染色体が通常より1本多く存在し、計3本(トリソミー症)になることで発症する先天性疾患群であります。多くは第1減数分裂時の不分離によって生じるほか、減数第二分裂に起こる新生児にもっとも多い遺伝子疾患であります。症状としては、身体的発達の遅延、特徴的な顔つき、軽度の知的障害が特徴です。平均して8 – 9歳の精神年齢に対応する軽度から中度の知的障害でありますが、それぞれの患者の症状のばらつきは大きく、現時点で治療法は存在しないと言われていますが妊娠する前に8種類のすべてのヘルペスに対して抗体の有無を調べて抗体のない女性にはワクチンを妊娠前に投与すればダウン症候群はこの世から壊滅させることが可能なのです。天然痘と同じことになるでしょう。できる限り早く8種類のすべてのヘルペスに対してワクチンを開発すべきです。)
93)頸動脈プラーク
94)アテローム性動脈硬化症
95)頬部紅斑(頬骨部から鼻梁に広がる両翼を広げた蝶の形に類似した紅斑で、この病気の名前になっている蝶形紅斑と同じです)
他にもSLEの文献を探しまくって新しい症状があれば追加していく予定です。説明がない項目についても順に埋めていきます。乞うご期待!!!
96喉頭潰瘍と糜爛(披裂軟骨の声帯突起を覆う粘膜の片側性または両側性の潰瘍や糜爛です。発声の始めに声を急に大きくしたり、声の酷使によって引き起こされることが多いのですが、のどにストレスをかけると声帯や声門裂の細胞にherpesに感染しやすくなりヘルペスが増殖し細胞が破壊されて潰瘍と糜爛となるのです。声門(せいもん、英語で glottis)とは、左右の声帯とそれらの間の空気が通る空間である声門裂から成り立っています。
下図にSLE皮膚症状の写真を10種の病名で撮影されたSLEを示しましょう。
①蝶形紅斑、②水泡性ループス、③環状紅斑、④班状丘疹状ループス、⑤円板状皮疹、⑥疣贅状ループス、⑦凍瘡様ループス、⑧深在性ループス(脂肪織炎)、⑨Lupus Erythematosus Tumidus(エリテマトース トゥミドゥス)、⑩円板状皮疹(頭部、永続的脱毛)
30歳の夏、突然の発熱を伴う強い胸痛および心膜炎、胸膜炎、倦怠感のため、病院を転々と回わりましたが病名はわからず、やっと大学病院で膠原病の全身性エリトマトーデス(SLE)と言われ、精査入院およびステロイド治療が必要だと診断されましたが、大学病院での入院治療を始める前に当院でステロイドなしの治療を開始されました。リバウンドにより顔と上半身の激しいアトピーを経験されましたが、現在はSLEの症状はほとんどなく、アトピーの症状もほとんどなくなり完治されました。
患者さんが小学生の頃、アレルギー性鼻炎の症状が起こり、中学生頃に見かけ上治まり、高校生で埃などのある場所へ行くと軽い喘息と腹痛を起こすようになりました。症状は治まらずそのまま大学生に上がると今度は手首の痛みが出てこられました。免疫を抑える間違ったアレルギーの治療がIgEを逆クラススイッチさせてしまいIgGに戻ってしまい化学物質をIgEで排除している免疫の世界を戦いのIgGの世界のいわゆる自己免疫疾患に変えられてしまったのです。勿論免疫を抑えている間に増やされたヘルペスの戦いも始まりだしたのです。
症状は依然治らず、大学を卒業し社会人なった22歳の夏、40度の発熱により他の病院にて伝染性単核球症と診断され、約2週間入院されました。処方された2~3種類の薬と点滴を受けられました。伝染性単核球症と診断されたときにherpesの四番目のEBウイルスであるとわかっていたのになぜ抗ヘルペス剤の点滴を医者が行わなかったのかどうかは私にはわかりません。なぜかというと入院中に行われた医療は一切表に出ないからです。
治療:ステロイド含量のステロイド剤。
処方:おそらくステロイドを含んだ2~3種類の薬。
また22歳~25歳の間にアレルギー性結膜炎の症状を起こしましたが、コンタクトレンズを一日使い捨てのものに代えると症状は出なくなったそうです。さらに時々血便や鮮血、血の塊が出ることがありましたが、肉や魚を控える食生活にしてから症状は落ち着いたそうです。
しかし25歳頃、首の付け根の骨と仙骨に強い痛みが走り個人病院へ行かれました。この痛みはヘルペスによるものであります。血液検査の結果、抗核抗体 320で、膠原病の疑いがあると診断され、痛み止めの薬を処方され服用すると数日で痛みがおさまったため、そのまま何もせず放置したそうです。痛み止めはステロイドです。そうでなければherpesの痛みは簡単に止まりません。
処方:痛み止め。
その後、盆の窪から首の後ろにかけて肌にかゆみがあり、ただれたような色素沈着状態になりました。ちなみにぼんのくぼ(盆の窪)とは後頭部と首の境目にある部分で、延髄にあたります。延髄は普通の姿勢では頭蓋骨と頚椎に覆われていますが、うつむくと隙間が開き窪のような隙間になるのです。シャンプーを界面活性剤不使用のものに代えると湿疹は見かけ上ひいていきましたが、完全には治りませんでした。
28歳の夏、発熱と胸の真ん中の奥の強い痛みがあり、病院を数件まわったのちに近所の総合病院でレントゲン撮影とエコー検査をされました。しかし結果は異常なしと診断され、痛み止めを処方され数日服用し、熱が引いていきました。
処方:痛み止め。
痛みが1~2ヶ月続き、のちに痛みが消えたそうです。患者さん曰く当時は骨が何らかの原因でゆがんだせいで痛みが起こったと思われたそうです。固体でできている骨がゆがむなどはありえないことです。29歳の冬、発熱が数日続き、右おでこに帯状疱疹ができ、3~4日処方された薬を服用されました。以降、長期的に薬を服用していないとのことです。
2011年7月の終わり頃、普段はほとんど口にしないお酒とお肉を飲んだり食べたりした翌日に体調が急に悪くなり、翌々日には強い胸痛と40度以上の発熱が起こしました。この時の胸の痛みが尋常ではなかったらしく、ほとんどベッドで身動きが出来ず、痛みで胴体を動かすことが出来ませんでした。体がカッとして火照り、胴体に熱がこもり不快感があったそうです。心臓、または肋骨の中身を直接ギュッとつかまれたような痛みがあり、胸を押さえて身動きができないほどでした。さらに痛む部位は移動しているように思え、説明するのが難しかったそうです。胴体を動かせば激痛が走るので寝ているときも、寝返りの際にナイフで刺されたような激しい痛みに驚いて真夜中に目が覚めるようなこともありました。また寝汗の臭いが匂った事のないような不快な臭いの汗だったそうです。他にも症状は色々あったそうですが、意識が朦朧としていたため正確に思い出せないようです。
患者さんは心臓疾患や神経痛または乳がんなど様々な病気を疑い、近所の総合病院へ行かれました。検査の結果、CRP 7.22と高値でしたが、医者からは原因がよくわからないと言われ、鎮痛剤のロキソニンと抗生物質が処方されました。ロキソニンを飲むと痛みが少し引き、熱も下がりなんとか仕事ができるようになったそうです。これはロキソニンにより、ヘルペスとの戦いが楽になったのです。
胸痛の症状について詳しく記述していきますと、寝た状態から座った状態になるだけで痛みで身をよじり、うなり声と冷や汗が出てしまうほどの痛みを伴い、夜は寝返りはもちろん、身動きをとることは一切不可能でした。歩くのも一苦労で、ゾンビのように息切れをしながら、ゆっくりとできるだけ身体を動かさないように胸を押さえながら歩いて過ごされていました。
排泄するときも胴体に激痛が走り、少し動くだけで息切れが起こり、患者さんは当時は本当に死ぬのではないかと思っていましたが、他人に説明することも体力を使うため、うまく説明できなかったそうです。横になった状態でも痛いので、朝から晩まで一日中ソファでぐったりと座っておられました。すべての症状はherpesの戦いによる免疫の正しい働きの現れです。
熱が続き、周囲の勧めで近隣の一番大きな病院の内科を受診されました。前の病院で原因がわからないと言われたため、社会人になってからのこれまでの体調に関して時系列にリスト化して医者に体の異常を訴えられました。医者は患者さんが元気そうに見えたのか、最初は怪訝そうな態度だったのが少し真剣な雰囲気になり、結果、血液検査や検尿やレントゲンや心電図や超音波(心臓部、胸部、甲状腺)の検査や診察を1ヶ月に渡って数回受け、膠原病の疑いと診断され、循環器科にて心膜炎になっているということがわかりました。この間で心膜炎は自然にひいていったそうです。検査を実施した病院には膠原病科がなかったので紹介状を書いてもらい、別のリウマチ膠原病科がある病院へ転院されました。
その後、胸の痛みはまだ残っていたものの熱は下がり、薬を使わずになんとか生活に支障はない程度の症状になっていたため、少し安心し、このまま病院に行かなくてもいいのでは?などと思われていた後に、9月の頭に39度近くの発熱を起こし、胸部にも7月と同じような激しい痛みが起こり、その症状が3日間続いたためにロキソニンを2~3日飲むと症状は和らぎ頑張って仕事に行かれたそうです。
発熱と激痛の症状が2回も起こったため、紹介状を持って大学病院の膠原病科を受診されました。研修医らしき医師の事前問診のとき、研修医「蝶形紅班の症状はありますか?」私「チョウケイコウハンってなんですか?」研修医「身内でSLEの方はいらっしゃいますか?」私「エスエル?なんのことでしょうか?」といったように、専門用語ばかりで知識がなくチンプンカンプンだったそうです。
患者さんは自身の病気が重症ではないと診断されるのを期待されましたが、膠原病科のボスの先生には『膠原病、全身性エリテマトーデスの可能性が大、精査入院の準備をしておくように。』「熱が37.5度以上出たらすぐ病院に来てください。」と言われ、入院の期間は1~2週間程度なのかと聞いてみると、わからないと言われ、レントゲン撮影(胸部、手部)、血液を採ったあと、患者さんは困惑し頭が真っ白なまま自宅へ帰られました。
ただ、原因不明だった体調不良の病名がわかり、その病気を治そうという気持ちになったこと、見た目は元気に見えるのであまり病気のように扱われないことが多かったので医師に「つらいでしょう。」と言われ、ほんの少し心が軽くなったそうです。
自宅に帰り、インターネットでSLEのwikipediaを読むと、治療はステロイドが主で、1950年代には診断後多くは5年以内に死亡していた、という内容を読み、患者さんは生まれて初めて自分が近々死ぬかもしれないと思われました。SLEという病気で死ぬ理由は全く何一つありません。1950年代には診断後多くは5年以内に死亡していたというのは間違いだと考えています。何故ならばSLEで死ぬ根拠がないからです。それどこかSLEという病気がないからです。SLEの病気の原因はヘルペスですから死因がherpesである症例はいまだかってないからです。当時患者さんはステロイドが内服できるということを知らず、ステロイドを体内に入れることに恐怖しました。
その理由は7つ年下の弟さんが何度も入院するほど重度のアトピーによって1歳から6歳位までステロイド軟膏を使用されていました。しかし薬を塗っても一向に良くならないことから母親が薬に疑問をもち、色々と勉強をし、ステロイドの恐ろしさを常々患者さんに教えていたため、薬、特にステロイドは絶対使ってはだめだということを幼い頃から頭にあったのです。
ステロイド以外に治せる方法をインターネットで探し、当院の存在を知りました。私の論文と当時は誰でも閲覧できた大量の手記を読み、病気を治すことができると直感され、SLEが確定したら必ず大阪に行くことを決められました。
患者さんは当院のホームページを読み、病気の原因は心のストレス、心のあり方だという部分を読み、患者さん自身でステロイドホルモンやアドレナリンを出して免疫を抑え続けていたことに心底驚かれました。これまでの体調不良に対する答えではないか、とも思ったそうです。症状が大きく現れたタイミングに関しても納得いくものがありました。その時期に心がホッとすることが多く、免疫が徐々に上がっていたのだと思われました。
SLE疑いと言われた翌週に大学病院に受診すると、「SLEでしょう。今週中に精査入院してください。」と言われました。しばらく休養したら症状が良くならないのかと患者さんが問いかけると医師に「この病気は休めばよいというものではない。」と返答されました。同日に心膜炎、胸膜炎のため、循環器科の診察中その循環器の医師が、「自分だったらロキソニン系の薬を入れて胸の水をなくすけど、SLEだったらステロイドを使うのだろうなあ。前、SLEの患者で同じような症状の20代の女性が救急車で運ばれてきて亡くなったからなあー・・・。」とつぶやいていたのが非常に印象に残ったそうです。医療に関して無知だった患者さんはどこをどう質問していいのかわからず、ただその言葉を聞き、記憶をしようと努められました。当時の患者さんの胸のあたりは死にそうではないけれど普通ではない状態なのだなということは理解されましたが、同じような症状(胸水)をもった患者さんが亡くなったという情報にはとても動揺されました。また、それと同時に、大学病院の医療は進んでいると思いステロイドを使わない方法を提案してくれると患者さんは期待されましたが、この時初めて「ステロイド」という言葉を聞き、「やっぱり大きな病院でもステロイドを使うのだ・・・」と失望されました。
患者さんは自身の肺の下約1/4が真っ白になってしまっているレントゲン写真を眺めながら、この先どうしたらいいのだろうと漠然とした不安を感じられました。この日は入院に関する説明を受け、書類を持ち帰りました。
この頃の症状は、慢性的に続く37.4~38.0程度の微熱、一番症状が強かった胸部痛、背部と腹部に痛み、血便、深呼吸やあくびができない、しゃっくりしているような呼吸のしにくさ、倦怠感、食欲減退により47キロから42キロの体重減少、歩くのは問題ないが走れない、動悸、手首・指に軽い関節痛などの症状がありました。胸痛のため睡眠中も身動きがとれなかったのは辛かったそうです。
母親に入院することが決まった事と松本漢方クリニックの松本先生ことを話してみました。ホームページを見せて読んでもらい、入院前に行くか入院後に行くか色々と話し合い、結果母親に押され入院前に当院へ行くことにされました。この時に母親に相談して今でも本当によかったと思っているそうです。
当院に着くと漢方の匂いがし、病院特有の人工的なニオイではなくて、安心できる匂いに感じられました。待合室にはミーティングをしていた私の声がきこえ、その熱気を感じ、待合室にある多くの張り紙も人間的な雰囲気でとても安心できたようです。診察で色々と話し、私は患者さんに質問しました。「ホームページにはSLEの患者さんの手記はないのに、どうして来たんや?」「先生の論文を読んで、リウマチもSLEも同じ膠原病だから治ると思って来ました。」と患者さんの返答を聞き、偉い!と言いながら握手をしたのを覚えています。患者さん曰く私の診察を受けていると前向きな気持ちが湧いてきて、精神的な面でも大変楽になったそうです。これまでいくつか病院に行きましたが、私のような医者に初めて出会いました。このように真実を追究し、患者自身の内面に働きかけ、根本的に病気を治す手伝いをする医者は他にはいないと尊敬の気持ちが湧いてきたそうです。私の言うことはどれも納得のいくもので、端々に現れるやさしさを感じ、患者さんは思わず涙が出そうになり、あまり人前で泣くことをしないので必死でこらえたそうです。診察の後、漢方薬について看護師さんにも色々と説明をしてもらい、細かい相談もできて、とても感謝されていました。松本漢方クリニックは全体が力を合わせて運営されているのだと感じたそうです。
検査:血液検査、検尿。
治療:鍼灸。
処方:漢方煎じ薬、漢方風呂、お灸。
大阪へ行った翌日からすぐ免疫を上げるものと胸の症状を和らげる2種類の漢方煎じ薬と血行を良くし免疫を上げる漢方風呂とお灸を開始されました。薬を薬局で渡された時は、植物を乾燥させて細かくしたものがビニール袋に入っていて、プラスチックで包装された無機質な化学物質の薬よりも、素朴な植物の暖かさを感じ、うれしく思ったそうです。患者さんは自分の病気は手間と時間をかけて向き合って治すものなのだと直感で感じられました。
ニオイと味ともに個性的な苦味がありますが、ステロイドを飲むこと、これで病気が治るということを考えるとまったく苦にはならなかったそうです。漢方煎じ薬を飲み始めるとすぐ便秘が治り、若干下痢気味になられました。
漢方風呂は2日に1度入り、微熱もあり倦怠感もひどかったため、お風呂は一時間つかるのに精一杯だったそうです。お灸は毎日母親にお願いして背中にしてもらっていました。痕になってしまったのが少し悲しいですが、当時は藁にも縋る気持ちで、意識も朦朧としていたので、おもいっきりお灸をしてもらっていたようです。痕などどうでもいいと思うほどに体調がすこぶる悪かったのだと思います。お灸は12月頃まで毎日されていました。
広島へ帰った数日後に、大学病院から入院日の確定のお知らせの電話がきましたが、主治医にその時初めてステロイドに抵抗があるということを伝え、入院を断ることにとても骨が折れましたが、自信を持って断ることが出来ました。大学病院の主治医からは翌週すぐまた受診するようにと言われ、翌週後に母親の同伴のもと病院へ着くとすぐ胸部レントゲンを撮られ、主治医から胸膜炎はひどくなっている。同じ症状で亡くなった患者がいる。肺なので症状が広がって息ができなくなる可能性がある、などと説明を受け、入院したほうがいいということを再び言われました。後に母親によると、この時のお話しでは、この患者さんはステロイド治療をしていて亡くなられたという説明をされたそうです。ステロイド治療とはどのようなことをするのか質問すると、まず大量のステロイドを点滴でいれると言われました。母親がステロイド治療をして、妊娠できるのか、治ったケースなどの明るい話はないのかなど色々と質問すると主治医は答えらえないのか叱られていました。患者さんは、実際にレントゲン画像をみせられ、医師に不安をあおられ、胸の水が広がって息が出来なくなったらどうしよう・・?やっぱりステロイド治療をしなければ、死んでしまうのでは・・?などその場で不安になりましたが、ステロイド治療に首を縦に振ることはありませんでした。結局その日は一度自宅に帰り、よく家族と話し合って決めてまた来週受診するようにと有耶無耶にされました。
自宅に帰り落ち着いて考え、私が言ったように、ステロイドは心臓や肺の機能が止まりそうなときなどの危篤の時以外は使う必要がない、という意思を改めて固められたそうです。そして、治療に専念するため、9月いっぱいで仕事を辞められました
2011年10月初め、大学病院でレントゲンを撮り、前回採った血液検査の結果により、医師から胸膜炎が酷くなっていると言われ、再び患者さんの不安を煽るように誘導をしてきたそうです。医師から「ステロイドはやっぱり使いたくない?」という質問に対して「ステロイドは使いません。」と患者さんは根気よく答えました。今はまだ良くてもステロイドを使って抑えないともっと悪化してしまうと言われ、医師から「重篤な(死にそうな)ときは?(ステロイド使うか?)」という質問に、「死にそうなときはステロイド使ってください。」と患者さんが答えると医師は呆れたような表情をしたそうです。
患者さんは当院のことを話そうかとも思ったそうですが、話がややこしくなると思いしませんでした。大学病院の医師にはステロイドが嫌な理由として弟さんのアトピー治療でのステロイド治療をみてきたため、拒否感があるということを訴え続けました。しかし「塗るとステロイドは皮膚の上で広がるけど、投薬はまた違うよ。」と説得されたそうです。次週受診するように言われ、また次回でも意思が変わっていなかったら、元の病院で経過観察してもらう方向にしようということになりました。ステロイド治療をしないなら観察をしても意味はないが、重大な病気があるのにこのまま治療せずに通院をやめるということは医師として、してはいけないとのことで紹介元の医療センターへ再び紹介状を書いてもらい、元の医師が膠原病科の専門ではないので、大学病院の医師から元の医師(内科)へ電話で説明もしてもらいました。元の医療センターの医師は女性の先生でしたので、「女性同士で話しやすいだろうし、色々と相談して考えなさいね。」とも言われたそうです。もしステロイド治療をする決心が出来たら、またこちらにいつでも受診してください。こちらに受診するときはステロイドを使用するという意味ですよ、と言われ、患者さんは承諾し、ここでの通院は終了となりました。
全身性エリテマトーデスの発病により患者さんの自信を失わせるものでした。ステロイド治療はしないと心に決めていても、毎回他の医師に治療するように不安を煽って誘導され続けられると、患者さん自身が瀕死の患者で不幸な人間にでもなったような気持ちになり、自宅に帰るとどうしてもいつも気分が落ち込んでしまいました。
上記の内容を患者さんから聞き、「病院が患者に不安を与えるような場所じゃいけない、希望をあたえないといけない。」と患者さんへ伝えました。たったその一言ですが、患者さんは内面から希望の気持ちが湧いてきて、身体がポカポカ温かくなっているような感じになられたそうです。
9月いっぱいで仕事を辞めた後、さまざまなリバウンド症状が日替わりで出てこられました。体温は37.5から38.0度くらいの熱が続き、一日中体温が安定せず上下されていました。立っていられない程の倦怠感、難聴、耳鳴り、頭痛、食欲不振、気持ち悪さ、尿が非常に少ない、手首痛、腕のしびれ、寝汗、呼吸時の違和感などの症状がいつも起こっていました。倦怠感のため基本的にベッドから動くことができず、すべての日常動作に苦痛が伴われました。
食欲はまったくなく、梨の1/8を細かくスライスしたものを食べるのが精一杯であり、漢方薬を飲むことが唯一の食事のようなものとなっていました。この頃の倦怠感、食欲不振の症状を患者さん曰く患者さん自身は妊娠したことはありませんでしたが、まるで「つわり」のような状態だったとのことでした。食事をほとんどできなかったため、体重は健常時47㎏あったものが、39㎏にまで落ち、顔も目が落ち窪み身体はアバラが浮いて歩いてもフワフワして頼りないものでした。
漢方薬2種類を3番煎じまで煎じて飲んでいたため、水分は摂取されていたのですが、尿が一日に1~2回少量しか出なくなったときは少し不安になり、一週間以上続くようだったら私に連絡しようと思っていましたそうですが、3~4日後には治ったため結局その当時は連絡されなかったようです。
難聴になり、人から話しかけられても聞き取れず、音楽を聴いてもいつも聞いている音楽とはまったく違う音に聴こえ、騒音のように感じ、音というものを聞くのが苦痛となってしまいました。常に耳鳴りもしていました。外出しても普段と違う聞こえ方でまったく別世界にいるようないつもと違う感覚だったそうです。
頭痛は朝起きた瞬間から夜寝るまで1日中ずっと続き、頭痛が回復に向かうと難聴が出てきて、難聴が回復に向かうと関節痛が出てきて・・、次々と色々な場所から症状が出てきていました。
しかし、肉体的に少ししんどかったのですが、私の論文と今まで当院で治療してこられた患者さんの手記を読んでいたので、今の症状は治る過程で患者さん自身の免疫が頑張っている状態なのだ、と精神的に安定してこれらの症状を受け入れていたそうです。
11月になると呼吸がしやすくなり、体温は平熱の日が多くなり、症状は和らぎ、当院へ行くのと合わせて奈良へ旅行もでき、街中を自転車で観光したり、山なども登ったり、少しずつ体力に自信がついてきました。
12月、患者さんにより体力作りのため、週一回の水泳を始められました。
1月になると抜け毛が多くなり、首の後ろと足の甲が痒くなっていました。首の後ろはくっきりと色素沈着のようになってしまいましたが、熱は上がることはなくなり、そろそろ仕事か勉強か何かを始めようという気持ちが少し湧いてき、資格の勉強を始められました。しかし、おしゃれをする気持ちがあまり湧かなかったり、体重が44kgくらいでまだ体力、気力ともに戻らなかったりで、治るのはまだもうちょっとかかるのかな、と患者さんは思っていたようです。血液検査の数値は、検査するたびに正常値に近づいていました。
1月の半ばごろには胸痛の漢方煎じ薬からアトピーの漢方煎じ薬に変えて処方しました。漢方煎じ薬を飲み初めてすぐ、顔面の鼻の横の頬の肌が硬くなり、化粧水が染みるようになり、ファンデーションがのらない状態になられました。一週間くらいで首の後ろ、顔の鼻の横からアトピーがどんどん円心状に広がり、浸出液がでてきました。喉の奥がザラザラしていたそうです。浸出液が出るため気持ち悪さで夜はまともに寝られなくなりました。朝起きて鏡を見るたびに毎日変化していく顔に驚き、恐怖を感じるほどだったそうです。しかしアトピーが出始めてから抜け毛はおさまりました。
2月に入るとアトピーは身体へと広がっていきました。胸やお腹の横の部分から始まり、その後、両腕、背中にも湿疹が広がっていきました。腕の皮膚は盛り上がったようになり、境目が明瞭で手の甲のほうへ日に日に広がっていく様子が恐ろしくてたまらなかったそうです。患者さん曰く、まるで赤いウエットスーツを着ているような感じになっていたとのことでした。
漢方風呂からあがりに漢方塗り薬と抗ヘルペス剤軟膏を塗ったそばから浸出液がでて、拭いてもまた出てきて、耳たぶからも浸出液が出てと、気が狂いそうな状態になられました。パニック状態だけれどもパニックになっても仕方がないと思い、患者さんは耐えていました。唯一、睡眠中が幸せの状態でしたが、朝起きた瞬間、地獄の中にいるような感覚になられました。どうしようもなく、ひたすら松本漢方クリニックのアトピーの患者さんの手記をたくさん読まれました。
顔と首と腕がむくみ、常に顔と首からは浸出液が出て、尿の量が減り、まぶたは腫れ、顔はお岩さんのようになってしまいました。
あまりの症状のつらさで抗ウイルスの薬がほしくて、私へ連絡をせずに地元でSLEの経過観察してもらっている医療センターの皮膚科を受診されました。顔面に出ているのは蝶形紅班なので元の大学病院の膠原病科へすぐに行くようにと言われ、実際に医学書の写真を見せてもらうと自分の状態と同じだったので、これが蝶形紅班なのか、と初めて知ったそうです。医師から「ステロイド治療をちゃんとしたほうがいい」と言われ、紹介状を書いてもらったそうですが、患者さんは元の大学病院へ行くつもりは一切なかったとのことです。
顔はピリピリし浸出液が出て、デコルテ(前胸部の胸の谷間のこと)の方も浸出液が出始めました。デコルテは触ると肌じゃないみたいで、ゴワゴワ雑巾のような手触りになったそうです。
3月に入った頃は、恐怖で鏡を見られない日々が続いておられました。顔はまだらに赤く炎症し、首の後ろが切れたようにぱっくり割れ、浸出液が出てきます。夜は、顔がモコモコしている感覚でムズムズとかゆく、すごく気になりずっと触っていたそうです。熟睡できず、浸出液がでているので、掛けふとんが首、顔にかかることが気持ち悪く、肩から上を出して寝ておられました。また首と顔のむくみや腫れのせいか、寝返りを打てず、まくらも使えないほどでした。デコルテはヒリヒリと痛く、たまに腕や鎖骨の辺りがかゆく、朝は顔と首がつっぱって自由に動かせませんでした。また、脚にも部分的に湿疹があらわれてきました。
この頃は、心配をかけてはいけないと思い、患者さんは人と会うのを避けていました。人に会わないといけない時は、マスクとめがねとタートルネックで隠していましたが、会うとみな血相を変えて驚いていたそうです。むくみとつっぱりと浸出液のせいで、食事、笑うなどの口を動かすという当たり前の動作が難しかったとのことでした。外に出たいけど一人では出たくないので、この頃、この容貌を気にせずに一緒に遊びに連れて行ってくれた友人知人にはとても感謝していたとのことでした。
アトピーが出始めの頃は、すぐ治るだろうと思っていたのですが、1か月以上も続いて、しかも日に日に悪化していくので、毎日このように考えていました。
元に戻るのだろうか、ケロイドのように痕にならないだろうかといった恐怖。この状態はアトピーの症状なのか、SLEの症状なのか、ヘルペスの症状なのか、SLEだったら嫌だし、アトピーだったらうれしいけどステロイドも使ったことがないのに何でこんなに症状にでちゃうのだろう・・、極度のアレルギー体質だから?でもよくわからない・・。というモヤモヤしたような気持ち。なにか行動したくてもできなくて、先の見えないことに対する歯がゆさ。かゆみと痛みと浸出液の肉体的な不愉快さ。この頃が患者さんにとって一番精神的には参っておられました。でもそんな中、周囲の「絶対治るよ!」という励ましの声は患者さんを勇気付けてくれました。この頃やさしく接してくれた方々への感謝の気持ちをこの先忘れることはないと思っているそうです。
遠方のため電話でのお薬注文の際、私はユーモアを交え面白おかしく励まし続けました。患者さんはすっと一筋の明かりが自分の中にともったように感じたそうです。
3月の終わりから4月頭になると、口が乾き、口内の一部がただれたようになり、刺激物は食べられなくなりました。デコルテが真っ赤で空気があたるだけで痛みが走りました。そんな状態でしたが、何かしなければいけないという思いで、山登りや神社仏閣をお参りして気を紛らわせていたそうです。
4月半ばになると、塗り薬は塗らなくて良いようになられました。浸出液やむくみは日に日に少なくなり、顔はジュクジュクした湿疹から粉をふいた状態へ変わっていきました。デコルテは内部の奥のほうがかゆいような感じがまだ残っていたそうですが、4月後半からは運動をすることを心がけて、体力回復を目指しました。
5月半ばになると、顔の肌は荒れていてまだ赤みが残るものの化粧ができる程回復してきました。鎖骨と首の間あたりが腫れて熱をもち少し痛い時や、胴体にまだらに色素沈着したり、腕はガサガサして粉をふき、たまにかゆくなったり、胸や首は赤黒くなり肌がザラザラで汗をかくとかゆくなったりしましたが、日に日に回復していきました。
体重が元の47キロに戻り、体力が戻っていきました。荒れていた心もすっかり楽になり、周りの物事に愛情を感じ、読書や音楽で心を安らげるようになったことに喜びを感じるようになるまで回復していきました。
6月になると、顔の肌は赤みが残っているものの、ほぼ治りました。アトピー発症以前はお風呂に入った後は急いで化粧水と乳液をつけないと肌が乾燥していたそうですが、今はお風呂上りに何もつけなくて良くなったので手入れが楽になり喜んでいました。胸やデコルテはほぼ普通の肌になり、お腹、背中、腕も徐々に回復していきました。
7月は、深呼吸時の胸の痛みがやや残っていることとお風呂上りの顔の湿疹や首と肘や膝の内側に湿疹が出てくる以外はSLEの症状らしきものはありませんでした。胸の痛みをゼロにすることとアトピーを治していくことを重点的に治療していきました。運動とストレッチをして以前より体力がついてきたそうです。実際漢方治療を開始してから、発症以前からの貧血も消えてなくなっていました。
衝撃の「発症」から約一年、発症による心の傷もようやく癒えてきました。患者さんにとってショックが大きすぎて涙を流して悲しむことさえできなかった日々。この傷は患者さん自身以外誰にも癒すことはできません。症状が回復に向かうにつれ、患者さんが自分のためだけに悲しみを感じ、涙を流してあげる日々が増えていきました。涙が出るようになってよかった、回復した証のようなものかもしれない、そう思えるようにまでなっていかれました。
患者さんは膠原病という現代における難病にかかってしまいました。しかし、患者さんは大変に幸運だったと思っています。まず、母親のおかげでステロイドを使用しなかったこと。次に患者さんは発病後、私と出会い、その治療理論に心から共感することができ、治療を開始することができました。ステロイドを使わずに自分自身の免疫でしか病気は治せない現代のすべての病気は自分で治せる真実を堪え難きを耐え抜いて治された勇気に対して頭が下がります。僕の松本理論をあらゆる脅かしにもへこたれずに免疫を上げる唯一の漢方煎剤治療を最後まで理解され信じて松本についてきてくださって本当にありがとうございました。私の理論と治療が完璧に正しいことを証明していただいた生きた証拠である貴方に感謝しきれません。ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとうございました。
同年代で女性のSLEが良くなったという手記や本が当時見つからなかったので、あればいいなと思っていました。もしこの症例報告が膠原病で苦しまれている方の参考になれば、心から幸いに思います。
19.(血液検査データ表)