なぜシリーズ 理論

ユビキチンとは何でしょうか?更新2021.4.3

投稿日:2021年4月3日 更新日:

 ユビキチン (ubiquitin) は76個のアミノ酸からなるタンパク質で、他のタンパク質の修飾に用いられ、タンパク質分解、DNA修復、翻訳調節、シグナル伝達などさまざまな生命現象に関わり、至る所にある (ubiquitous) ことからこの名前が付きました。進化的な保存性が高く、すべての真核生物でほとんど同じアミノ酸配列をもっています。ユビキチンは不要なタンパク質の除去や、DNA修復、シグナル伝達など多彩な機能を持っています。この機能の差は複数のユビキチンがどのような結合の仕方をするかや、アミノ酸のリシンをどのポリユビキチンの結合に使うかによって変わります。 まずユビキチン化はフォールディングが異常なミスフォールドタンパク質や不要になったタンパク質を細胞から除去するので、このユビキチン化システムをタンパク質の品質管理と呼びます。新生タンパク質の約30%がミスフォールディングタンパク質なので、まずはじめにこれらのミスフォールディングタンパク質をHsp90 (heat shock protein 90)等の分子シャペロンが修復します。シャペロン(chaperone)は、他のタンパク質分子が正しい折りたたみ(フォールディング)をしてタンパク機能を獲得するのを助けるタンパク質の総称であり、 分子シャペロン(molecular chaperone)とか、タンパク質シャペロンともいいます。

修復が不可能なほどタンパク質の構造がひどく壊れていたときには小胞体から細胞質に輸送され、分子シャペロンによって品質管理ユビキチンリガーゼとして働くC-terminus of Hsc-70-interacting protein、略して CHIPなどへと運ばれた後にユビキチン化を受け、プロテアソームによって分解されます。これらの機構を小胞体関連分解 (Endoplasmic Reticulum(ER)-associated degradation、略してERAD) と呼びます。

-なぜシリーズ, 理論

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

IgA腎症とヘルペスウイルスとの関わりは何でしょうか?更新2025.8.9

IgA腎症とヘルペスウイルスとのかかわりは何でしょうか?腸管に増えたヘルペスウイルスが血管を通じて腎臓にまで感染することが有りますか?言うまでもないことですがIgA腎症は分泌型IgA(二量体IgA)腎 …

no image

ネフローゼ症候群はどのように生じるのでしょうか?更新2023.4.30

まず糸球体腎炎とネフローゼ症候群とは始まりは全く違う病気でありますが最後は腎不全になるのは同じです。糸球体腎炎は糸球体の内側からherpesが機能を失なわせるのですがネフローゼ症候群は糸球体の外側から …

no image

自己免疫疾患と癌原因は同じherpesウイルスであるのですが自己免疫疾患と癌の違いは何でしょうか?更新2024.2.2

自己免疫疾患と癌原因は同じherpesウイルスであるのですが自己免疫疾患と癌の違いは何でしようか? 癌はherpesが癌細胞の正常な遺伝子を突然変異を癌化させて永遠に免疫の強さには関わらず分裂増殖する …

no image

狭心症の原因は血管内皮細胞や自律神経の交感神経に感染したherpesが原因です。更新2024.1.26

狭心症の原因は血管内皮細胞や自律神経の交感神経に感染したherpesが原因です。 心筋とは何でしょうか?心臓の壁をつくる組織の大部分を占め、心臓の収縮機能をつかさどっている筋で、厚い心筋層をつくってい …

no image

交感神経と免疫について

〜交感神経が免疫を抑制する理由〜  ステロイドホルモンがなぜ免疫を抑えるのかということは、皆さん既にご存知でしょう。しかしながらなぜ交感神経が刺激されると免疫が抑制されるのかの機序については誰も説明し …