コラム

M1型とM2型のマクロファージについて 2018.10.19更新

投稿日:

さてそれでは、常在細菌の中の悪玉菌である大腸菌(有毒株)やウェルシュ菌(Clostridium perfringens)やクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)以外に、本当に怖いサルモネラ菌などが粘液のバリアを突破して、上皮細胞にひっついて、さらに上皮細胞のバリアを超えて、なんとかLamina propria(粘膜固有層)に入り込もうとします。入り込んでしまった時にどのようにしてこのような敵を殺すのでしょうか?

この答えを書く前に、どうしても敵を食べて殺す専門的な殺し屋であるマクロファージについて語らざるをえません、何故ならば腸管に住んでいるマクロファージは炎症を起こさないマクロファージだということが分かっているからです。本来、マクロファージは細菌などの敵を殺す時に、必ず炎症を起こします。したがってマクロファージは炎症性細胞の代表であります。英語で“inflammatory macrophage”といいます。ところが腸管のマクロファージは炎症を起こさないので非炎症性細胞で、“non-inflammatory macrophage”と呼びます。炎症が起こらないということは病気が起こらないということです。そうです。マクロファージには2種類あるのです。なぜ2種類あるのでしょうか?この問いは、なぜ血管には「マクロファージの元の細胞である単球しかないのか」という答えにもなります。この答えも世界で初めての私の発見であります。

まず最初に、マクロファージについての最先端の知見について述べます。『マクロファージはその役割によってM1型とM2型に大別されています。(このマクロファージの2つの区別は役割によって分けられているだけで、なぜどのようにして分けられるかについては一切どこの本にも書かれていません。その答えは後で書きます。)M1型マクロファージは炎症性マクロファージがTNF-αやIFN-γなどを受けて組織で分化し、病原体や寄生虫感染防御に働きます。一方、M2型マクロファージは組織常在性マクロファージがIL-4やIL-13などTh2型サイトカインを受けて分化し、組織修復などにかかわるといわれています。』さぁ、この知見の真実の意味を詳しく批判的に解明していく中で、大発見を提示しましょう。この大発見は「ナイーブT細胞をヘルパー2T細胞(Th2)に変えるインターロイキン4(IL-4)を最初に作る細胞は肥満細胞(mast cell)である」という私自身の発見に比肩するものです。

自然免疫に関わる細胞は大きく分けて4つあります。この4つは骨髄でmyeloid progenitor(骨髄系細胞の先祖)から前駆細胞となり、最後は4つの自然免疫の細胞になります。その4つとはなんでしょうか?1つめがマクロファージであり、2つめが顆粒細胞であり、3つめが肥満細胞(mast cell)であり、4つめが樹状細胞(dendritic cell)であります。顆粒細胞には3種類あります。好中球、好酸球、好塩基球の3つであります。

みなさん、この4つの中で、採血をしてデータがわかるのは、つまり血管に流れているのは、顆粒細胞の3つだけだということがお分かりですか?あとの3つであるマクロファージ、肥満細胞、樹状細胞はなぜ血管で見つからないのでしょうか?このような疑問に対する答えの一つを今出そうとしているのです。ちなみに白血球というのは、正しくは3種類の顆粒細胞である好中球、好酸球、好塩基球だけであるということを知っておいてください。白血球という言葉が乱用されるので、免疫学がややこしくなっている原因の一つです。ついでに言えば、血液検査のデータでは白血球の中にリンパ球と単球が含まれていますが、この言い方も間違っているということをも知っておいてください。ついでに説明しておきましょう。免疫系の細胞である食菌作用を行う細胞を食細胞といいますが、英語で“phagocyte”といいます。このphagocyteは3種類しかないのです。マクロファージと顆粒細胞と樹状細胞だけであります。

さて、マクロファージはほとんど全ての細胞において生まれつきの住人となっています。このような生まれつきの住人を“resident macrophage”と言います。“resident macrophage”はどういう意味でしょうか?実は多くの組織に住んでいるマクロファージは、上に述べたように骨髄で作られた後に血中に出たマクロファージではなくて、胚発生(embrionic development)の時に胎児と一緒に既に生まれ始めていたマクロファージなのです。embrio(胚)とは、妊娠8週末までの胎児のことを言います。さらにこの胎児が生まれた後に初めて骨髄から作られ、血中に存在する単球があるのです。この単球が組織に出て初めて様々なサイトカインに刺激されて成熟するとマクロファージになるのです。それではこのサイトカインは誰が出すのでしょうか?まさに“resident macrophage”が出すのです。これが一つの発見です。

血中に流れている単球は、組織に炎症が起こらない限りは血中を循環するだけです。ところが組織で炎症が起こると“resident macrophage”が最初に炎症細胞となり、様々なサイトカインを組織から血中に伝えます。するとそのようなサイトカインによって、初めて単球が組織に移動し、そこでそれぞれの組織で様々なマクロファージに分化していくのです。分化した単球はどんなマクロファージになっていくのでしょうか?組織球 、クッパー細胞、肺胞マクロファージ、小膠細胞、破骨細胞、類上皮細胞、巨細胞(ラングハンス巨細胞、異物巨細胞、トートン型巨細胞)に分化していくのです。

それでは最初に述べたM1型マクロファージとM2型マクロファージはどのようなものなのでしょうか?ここで注意したいのは、M1、M2はマクロファージの役割についての分類であることを知っておいてください。もう一度、現代の最先端のマクロファージについての知見を見てください。『マクロファージはその役割によってM1型とM2型に大別されています。M1型マクロファージは炎症性マクロファージがTNF-αやIFN-γなどのTh1型のサイトカインを受けて組織で分化し、病原体や寄生虫感染防御に働く殺しのサイトカインなのであります。一方、M2型マクロファージは組織常在性マクロファージがIL-4やIL-13などTh2型サイトカインを受けて分化し、組織修復などにかかわるといわれています。』

この文章を敷衍修正しながらさらに詳しく説明すると次のようになります。M1型マクロファージは炎症性マクロファージと呼ばれ“pro-inflammatory maclophage”と英語で訳します。M1型マクロファージは、TNF-αやIL-1、IL-2、IL-6、IL-12、IL-19、IL-23、IL-36、IL-37などの殺しのサイトカインを出します。このような以上のサイトカインをTh1型サイトカインと言います。ヘルパー1T細胞(Th1)と協力して病原体や寄生虫感染防御と殺菌に働きます。さらにNK細胞やTh1が作る炎症性サイトカインであるIFN-γなどとも協力して細菌を殺す炎症を起こします。

一方、M2型マクロファージは組織常在性マクロファージのみならず、血管から組織に出たM2型マクロファージがIL-4やIL-5、IL-10、IL-13、IL-24、IL-27などの敵と共存できるサイトカインを出します。このようなサイトカインをTh2型サイトカインと言います。ヘルパー2T細胞(Th2)と協力して腸管で炎症が起こらないようにして敵と共存する働きを持っています。だからこそこのようなマクロファージを“non-inflammatory maclophage”と呼ぶのです。ちなみにIL-13は、B細胞の増殖と分化を刺激し、Th1細胞を阻害し、殺しの戦いをやめさせ、上に述べたマクロファージの非炎症性サイトカイン産生を促進します。

それでは最初の最初に上に述べた様々な数多くのサイトカインは、どのマクロファージが出すのでしょうか?この答えはまさに胚発生(embrionic development)の時に胎児と一緒に既に生まれ始めていたマクロファージ、つまり“resident macrophage”が最初に作ったサイトカインであることは既に述べました。

人体に入っている細菌のほとんどは殺す以外にないのですが、そのために最初にM1型(Th1型)のサイトカインをだすマクロファージは、やはり“inflammatory resident macrophage”であるのです。さらに生まれてから死ぬまで共存せざるをえない細菌に対しては、最初にM2型(Th2型)のサイトカインを出すマクロファージも、やはり“non-inflammatory resident macrophage”であるのです。

以上の説明で、マクロファージについて2つの発見があることに気づきませんか?1つは、共存することのできる細菌や化学物質に対しては、M2型マクロファージである“non-inflammatory macrophage”で対応し、殺すべきコレラ菌やサルモネラ菌や赤痢菌が入ってきた時には、“inflammatory macrophage ”であるM1型マクロファージで炎症を起こして人体を怖い細菌から守るようなシステムが作られたのです。

アレルギーや自己免疫疾患というのは全て化学物質が原因であるのですが、世界中の医者は誰も認めません。アレルギーは過敏反応だと言ったり、自己免疫疾患はないのにもかかわらず免疫の過剰な働きが自己を攻撃しているとか、訳の分からない話をしていますが、全て間違いだということがお分かりになりますね。アッハッハ!つまりM2型マクロファージは腸内細菌のみならず化学物質と共存するために生まれたのです!!

2つ目の発見が、胚発生(胎児)の時からあらゆる組織に住み始めて、生まれてから死ぬまで組織に住み続けている“resident macrophage”が最初の最初にサイトカインを作ることができる張本人であるということです。

-コラム

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

なぜ一度傷ついた糸球体が修復されにくいのか? なぜ腎炎の炎症がないのにもかかわらず尿にタンパクや赤血球が出ていくのか?

 他の腎炎の論文に書いたように、糸球体で原尿が作られるときに、糸球体の毛細血管からは分子量が大きいタンパクや血球は濾過されないのです。ここでもう一度、糸球体の毛細血管からどのようにして血液が濾過される …

no image

RNAウイルスであるコロナウイルスの侵入と増殖のメカニズム 2020.5.14更新

 RNAウイルスのコロナウイルスの侵入と増殖のメカニズムについて詳しく説明しましょう。下にコロナウイルスが細胞の膜から侵入し、自分と全く同じコロナウイルスであるビリオンを感染細胞の機構を利用して複製し …

no image

緑内障について

1.緑内障とは2.緑内障の原因とされてきた眼圧とは3.眼圧の調整機構について4.眼圧上昇によって起こる視神経乳頭陥凹拡大について5.緑内障の治療薬について6.緑内障の原因とは7.緑内障の正しい治療法と …

no image

4種類のワクチンについて 2020.6.10更新

ワクチンの種類には4種類あります。1)不活化ワクチン、2)弱毒化ワクチン(生ワクチン)、3)トキソイドワクチン、4)DNAキャリアワクチンの4種です。順番に説明しましょう。 1)不活化ワクチンとは   …

no image

膠原病とアレルギーは同じ病気である

8年前に膠原病とアレルゲンについて書いてから一度も手を加えていませんでした。8年の間にさまざまな新しい知見を得ることができました。8年前と考え方は根本的には何も変わりません。病気に対する考え方も全く変 …