なぜシリーズ ヘルペス関連 理論

ゾビラックス(アシクロビル)はEBウイルスにも効果がある経験を何回かしたのですが効くメカニズムを何でしょうか?更新2025.11.15

投稿日:

EBウイルスに対する効果を示すアシクロビルの作用メカニズムとは。
1.EBウイルスDNAポリメラーゼの阻害

アシクロビルは、活性型の「アシクロビル三リン酸」に変換されると、EBVのDNAポリメラーゼに対して高い親和性を示します。これにより、EBVのDNA複製を強く阻害します。

2.HSVやVZVとは異なる活性化経路
HSVやVZVの場合、ウイルスが産生する「チミジンキナーゼ」によって効率よくアシクロビルがリン酸化(活性化)されますが、EBVにはこの特異的なウイルス酵素がないか、あってもわずかしか働きません。そのため、EBV感染細胞内でのアシクロビルのリン酸化は非常に効率が悪いです。

3.EBV(EBウイルス)ポリメラーゼの感受性の高さ
しかし、EBVのDNAポリメラーゼは、細胞内のDNAポリメラーゼよりもアシクロビル三リン酸に対する感受性が非常に高いため(約100倍)、わずかに生成された活性型のアシクロビルでもウイルスのDNA合成を強力に阻害できるのでEBウイルスはDNAの複製ができなくなるのです。 

4.潜伏感染にはアシクロビル(ゾビラックス)がEBウイルスに対して無効であっても問題はありません。
アシクロビルが効果を示すのは、HSVやVZVの場合と同じくherpesウイルスが活発に増殖している溶解(増殖)期の感染細胞のみですから、アシクロビルは極めて効率の良い抗EBV増殖抑制薬となれるのです。EBVは体内でB細胞などに潜伏感染する特徴があり、潜伏感染状態のウイルスにはアシクロビルは全く効果がなくても最高のEBV増殖抑制薬なのです。癌細胞を作り増やすEBVのDNA複製ができない限りEBVのビリオンが増えないので、新たなるEBウイルス感染細胞が生まれることはないので自己免疫疾患や癌細胞を作ることができないので潜伏感染には無効であっても何も問題ないのです。

EBVは体内でB細胞などに潜伏感染する特徴があるので免疫が落ちだすと潜伏感染から溶解(増殖)期の感染に変わりEBVのビリオンが勢いよく増えだします。増えすぎたEBVのビリオンはB細胞膜を破ってあらたなるB細胞に感染してバーキットリンパ腫を生み出す可能性を大きくしてしまいB細胞のがん関連遺伝子(増殖関連遺伝子)の2種類の遺伝子を突然変異させてしまいバーキットリンパ腫となるのです。

-なぜシリーズ, ヘルペス関連, 理論
-, , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

なぜユダヤ人は遺伝的に頭が良いのか

 ユダヤ人がなぜ遺伝的に頭が良いのかを語る前に、神経細胞の構造について詳しく語りましょう。これはユダヤ人がなぜ遺伝的に知能が高い民族であるかという説明の伏線にもなりますから、難しいですがついてきてくだ …

no image

インフルエンザワクチンが必要でない理由と副作用について

 インフルエンザウイルスは他のウイルスと大きな違いがあります。それは他のウイルスの遺伝子はDNAでありますが、インフルエンザウイルスはRNAが遺伝子となっていることです。RNAを遺伝子に持つ医学的に重 …

no image

鍼灸はなぜ免疫を上げるのか?

 鍼灸はなぜ免疫を上げるのか?どうして鍼灸が免疫を上げることができるのでしょうか?考究していきましょう。  皆さん、何のために中国人は鍼やお灸をやり始めたと思いますか?言うまでもなく痛みを止めるためで …

no image

ネクロトーシスやネクロプトーシスとは一体何でしょうか?更新2021/4/21 

ZBP1(DAI)がA型インフルエンザウイルス(IAV)感染中に生成されたZ型RNAを感知し、ネクロトーシスと呼ばれるカスパーゼ非依存性の炎症性細胞死が起こることが最近、発見されました。ZBP1(DA …

no image

ヘルペスによる部位特異的遺伝子組み換えによって生ずる細胞の形質転換によってうまれるのは癌細胞(増殖過剰細胞)以外に現在知られている異常な症状や異常な遺伝子の発現のすべてを列記しておきます。更新2025.8.18

ヘルペスによる部位特異的遺伝子組み換えによって生ずる細胞の形質転換によってうまれるのは癌細胞(増殖過剰細胞)以外に現在知られている異常な症状や異常な遺伝子の発現のすべてを列記しておきます。 1.細胞増 …