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ヘルペス脳炎の主な種類 更新2025.9.27

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ヘルペス脳炎の主な種類には、ヘルペスウイルスが原因で発症する「単純ヘルペス脳炎」と、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で発症する「水痘・帯状疱疹ウイルス脳炎」があります。特に成人の単純ヘルペス脳炎はHSV-1が原因で、左右非対称に側頭葉や辺縁系に炎症が広がり、重症化しやすいのが特徴です。側頭葉に生じたherpes脳炎はどの脳の機能を傷害するのでしょうか?側頭葉に生じたヘルペス脳炎は、主に記憶、言語、聴覚、感情、人格などに関わる脳の機能を障害します。特に海馬を含む辺縁系が障害されるため、重篤な記憶障害を引き起こすことが特徴です。ヘルペス脳炎の完治を目指す原因療法である 抗herpes剤の大量療法が最高の唯一の治療法となります。

ヘルペス脳炎で側頭葉が障害された場合に生じる具体的な機能障害は以下の通りです。
1.記憶障害①短期記憶の障害:
新しい情報を学習したり、最近の出来事を記憶したりすることが難しくなります。②長期記憶の障害: 過去の記憶の一部が失われたり、思い出せなくなったりすることがあります。③エピソード記憶の障害: 過去の経験や出来事(「何が」「いつ」「どこで」)を記憶することが困難になります。④右側頭葉の障害: 顔や視覚的な情報を記憶する能力に影響が出ることがあります。⑤左側頭葉の障害: 言葉や言葉に関する情報を記憶する能力に影響が出ることがあります。

2.言語障害(失語症)①理解力の低下: 他人の話す言葉を理解することが難しくなることがあります。②言語表出の障害: 言葉を発したり、文章を組み立てたりすることが困難になります。③左側頭葉の障害: 左の側頭葉には、言語を理解する「ウェルニッケ野」が含まれているため、言葉の意味を理解できなくなる感覚性失語が起こることがあります。

3.感情・行動の変化①人格の変化: 無関心になったり、逆に攻撃的になったりすることがあります。②幻覚・妄想: 幻覚や妄想といった精神病様の症状が現れる場合があります。③情動の不安定さ: 感情のコントロールが難しくなり、イライラしたり、不安定になったりします。

4.その他の障害①聴覚情報の処理障害: 聴覚皮質があるため、音の識別や音源の特定に問題が生じることがあります。②視覚情報の処理障害: 視覚的な対象物(特に顔)の認識が困難になることがあります。③発作: 脳の炎症により、てんかん発作を引き起こすことがあります。

大脳辺縁系に生じたherpes脳炎はどの脳の機能を傷害するのでしょうか?
単純ヘルペス脳炎が大脳辺縁系に生じた場合、特に記憶、感情、行動、嗅覚といった機能が障害されます。大脳辺縁系は、感情や本能的な行動、記憶などを司る重要な部位であり、ヘルペスウイルスはしばしばこの部位を標的にします。

具体的に、どのような脳機能が障害されるかは、影響を受けた大脳辺縁系の部位によって異なります。

1.海馬(かいば)の障害①記憶障害: 海馬は、短期記憶を長期記憶に変換する上で中心的な役割を担います。そのため、海馬が障害されると、新しい出来事を記憶できなくなる「前向性健忘」が生じることがあります。

2.扁桃体(へんとうたい)の障害①感情の異常: 扁桃体は、恐怖や不安、怒りなどの情動反応を処理する役割を担っています。扁桃体が障害されると、感情のコントロールができなくなり、不安、錯乱、怒りっぽい、あるいは感情の起伏がなくなるなどの症状が現れます。②行動の変化: 扁桃体は、攻撃性や性的行動にも関連しているため、行動の異常や変化が見られることがあります。

その他の大脳辺縁系構造の障害①嗅覚の異常: 大脳辺縁系は、嗅覚情報を処理する経路と密接に関連しているため、嗅覚に異常が生じることがあります。②てんかん発作: 炎症が神経細胞を刺激することで、けいれんてんかん発作が引き起こされることがあります。

てんかん発作と大脳辺縁系の関係のメカニズム
てんかん発作と大脳辺縁系には深い関連性があり、特に大脳辺縁系の一部である側頭葉内側部(海馬や扁桃体など)に生じる「側頭葉てんかん」は、成人の部分発作てんかんとして最も頻度の高い病型の一つです。 癲癇(てんかん)発作も大脳辺縁系に感染したherpesウイルスによる脳炎が原因です。大脳辺縁系は、感情や記憶、自律神経機能などを司る脳の重要な部分です。この領域にヘルペスの炎症による異常な電気的興奮が発生すると、その機能が影響を受け、特有の症状を持つてんかん発作を引き起こします。

1.大脳辺縁系が関わるてんかん発作のメカニズム①海馬硬化症:大脳辺縁系てんかんの最も一般的な原因とされているのが、herpesによる海馬の萎縮や神経細胞の減少を特徴とする「海馬硬化症」です。海馬は記憶形成に重要な役割を担っており、ここに病変が生じると、てんかん原性(てんかん発作を起こしやすい状態)を獲得します。②ヘルペス性の自己免疫性脳炎:自己免疫性大脳辺縁系脳炎(herpesによる大脳辺縁系脳炎)は、免疫の異常によって産生された自己抗体が大脳辺縁系の神経細胞を攻撃し、てんかん発作を引き起こすのではなくherpesの炎症によるものです。③神経伝達物質の異常:大脳辺縁系内での、ヘルペス感染のために興奮性神経伝達物質(グルタミン酸など)と抑制性神経伝達物質(GABA)のバランスが崩れることで、神経細胞が過剰に興奮し、発作につながります。④神経回路の再構築:てんかんの発生過程では、異常な神経結合が形成され、正常な脳活動が阻害されることがあります。

2.大脳辺縁系てんかんの症状大脳辺縁系にherpes感染の発作の焦点(中心)がある場合、その機能が関わる情動、記憶、自律神経の異常がみられます。①意識変容(ぼんやりする):発作中に意識がもうろうとしたり、周囲の状況を認識できなくなったりすることがあります。②自動症:口をモグモグさせる、手をもじもじさせる、体をなでるなど、無意識で目的のない行動が見られます。③記憶の異常:発作中の一時的な記憶障害(健忘)が生じたり、発作後の記憶障害がみられたりします。④感情・情動の異常:不安感や恐怖感、不快感、まれに多幸感などを感じることがあります。⑤自律神経系の症状:吐き気、上腹部の不快感、心拍数の増加などが現れることがあります。

3.癲癇の診断と治療
大脳辺縁系てんかんの診断には、発作時の臨床症状、脳波検査(特に睡眠中の脳波)に加え、高解像度MRIによる海馬の萎縮などの画像所見が重要となります。治療法としては、完治を目指す原因療法である抗herpes薬の大量投与による薬物療法が基本となります。

Herpes脳炎の症状の組み合わせ
大脳辺縁系全体の広範囲にherpesの炎症が及ぶことで、記憶、感情、行動の異常が組み合わさって現れることが一般的です。たとえば、混乱した言動、幻覚、人格の変化なども見られることがあります。早期に治療を開始しないと、脳の損傷がさらに広がり、重篤な後遺症が残る可能性があります。

ヘルペスウイルスによる脳炎の種類:
1.単純ヘルペス脳炎 (Herpes simplex encephalitis:HSE)①原因ウイルス:
単純ヘルペスウイルス(HSV-1またはHSV-2)。②特徴:成人の場合は、主に口唇ヘルペスの原因となるHSV-1が、三叉神経節などに潜伏していたウイルスが再活性化して脳炎を引き起こします。新生児期を過ぎた子どもから成人にかけて見られるヘルペス脳炎のほとんどは、HSV-1が原因です。③症状:左右非対称に側頭葉や辺縁系といった部位に炎症が広がり、出血や壊死を起こして重篤な症状になることが多いです。側頭葉や前頭葉など、脳の一部に限局した炎症を引き起こすことが多く、局所的な脳機能障害が起こります。記憶障害や言語障害、人格変化、けいれんなどの症状が現れます。一般的に「ヘルペス脳炎」という場合は、単純ヘルペスウイルスによるものを指します。

2.水痘・帯状疱疹ウイルス脳炎 (Varicella-zoster virus encephalitis)①原因ウイルス:水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)。②特徴:発症頻度は非常に稀で、帯状疱疹の合併症として起こることが多いですが、皮疹の前に発症したり、皮疹なく脳炎のみを起こすこともあります。脳全体に広範囲な炎症を引き起こすことが多く、より重篤な神経学的後遺症を残す可能性が高くなります。

3.新生児におけるヘルペス脳炎:新生児のヘルペス感染症には、以下の3つのタイプがあり、脳炎の症状を呈するのは全身型と中枢神経型です。①全身型:全身に症状が出ます。②中枢神経型:脳炎の症状を呈します。③表在型:皮膚や粘膜の症状が中心です。

4.診断と治療①診断:脳脊髄液中のヘルペスウイルスの遺伝子(DNA)を調べるPCR検査が確定診断に重要です。②治療:早期に抗ウイルス薬の投与を開始することが非常に重要です。

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