なぜシリーズ 用語解説

RAG1とRAG2とは何か?更新2024.10.5

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RAG1とRAG2とは何か?RAG(recombination activating gene) ‑1とRAG(recombination activating gene) ‑2は,リンパ球特異的に働くリコンビナーゼ であり,リンパ球がその発生段階で抗原受容体 を形成しているときのみ発現される.私たちの体には、免疫システムと呼ばれる、ウィルスや細菌などの感染から体を守る機能があります。免疫システムには、⾃然免疫と獲得免疫の⼆つがあり、この⼆つが協⼒して病原体から体を守っています。⾃然免疫は、主に病原体の構造を認識するのに対し(⾮特異的反応)、獲得免疫はウィルスなどの細かいタンパク質(抗原)の違いを認識し、特異的な反応を起こします。獲得免疫は、B 細胞と T 細胞が特異的な抗原を感知して起こす反応で、ウィルスに対する感染防御や、癌免疫反応、アレルギー反応などが獲得免疫によって⾏われます。この特異的な反応は、遺伝⼦を組み換えることで作られた特殊な受容体(抗体、T 細胞受容体)により⾏われます。この遺伝⼦の組換えを⾏っているのが、Rag1, Rag2 という分⼦です。Rag1/Rag2 分⼦は、B 細胞と T 細胞だけが発現できる⾮常に特殊な分⼦です。⾔い換えると、獲得免疫(B,T 細胞)始まりは、Rag1/Rag2 分⼦が発現するかどうかで決まるのです。

それではこの分⼦は、どうして獲得免疫の細胞だけ発現して、他の細胞は発現しないのでしょうか? そして、この Rag1/Rag2 の発現をコントロールする因⼦は、⻑年議論されてきた、『獲得免疫と⾃然免疫の分かれ道はどういう因⼦によって調節されているのか?』の答えになるとも考えられます。遺伝⼦の発現は、エンハンサーと呼ばれる DNA ゲノム上の領域により調節されています。これらのエンハンサー領域には、B 細胞に特異的な転写因⼦や、T 細胞に特異的な転写因⼦が多数集まっていたことから、どの因⼦が⼀番重要なのかを検討しました。多くの因⼦の中で、転写因⼦ E2A は B 細胞でもT 細胞でも共通の因⼦としてエンハンサー領域に結合していたことから、E2A に着⽬しました。転写因⼦ E2Aは、E ボックスと呼ばれる特徴的な DNA 配列に結合し、標的の遺伝⼦の発現を誘導します。そこで、エンハンサーにおける E2A の重要性を⽰すために、T 細胞のエンハンサー領域の E ボックス配列だけを⼊れ替えたE ボックス変異マウスを作製しました。これにより、E2A は結合できないが、他の因⼦は結合できるエンハンサーができたことになります。予想した通り、E ボックスの変異マウスでは Rag1/Rag2 の発現が障害されていたことから、転写因⼦ E2A が Rag1/Rag2 の発現に⾮常に重要な因⼦であることが証明できました。このことから、獲得免疫の細胞になるのか、それとも⾃然免疫の細胞になるのかは、転写因⼦ E2A の働きで決まるとも⾔え、⻑年の議論に答える結果と⾔えます。転写因⼦ E2A がこのエンハンサー領域に結合することで、コヒーシンや CTCF といったクロマチンルーピングを誘導する分⼦を呼び寄せ、この遺伝⼦座がスーパーエンハンサーと呼ばれる特殊な構造を形成し、それによりエンハンサーと遺伝⼦のプロモーターが相互作⽤し、Rag1/Rag2 が発現することがわかりました。    

 

活性化誘導シチジンデアミナーゼとは、 AICDA、AID、一本鎖DNAシトシンデアミナーゼとしても知られ、ヒトではAICDA遺伝子によってコードされている24 kDaの 酵素です。シトシン塩基の脱アミノ化によってDNA に変異を引き起こし、 シトシン塩基をウラシル(チミンとして認識される)に変えます。言い換えれば、C:G塩基対をU:Gミスマッチに変えます。細胞のDNA複製機構はUをTとして認識するため、C:GはT:A塩基対に変換されます。Bリンパ球の胚中心の発達の過程で、AID作用後のエラーを起こしやすいDNA修復によって、C:GからA:Tへの変異など、他の種類の変異も生成されます。AIDはAPOBECファミリーのメンバーです。APOBECの正式の英語はapolipoprotein B mRNA editing enzyme, catalytic polypeptideです。

ヘルペスウイルスのよって変異したAPOBEC遺伝子ファミリーが各種の癌の悪性化と進行の原因であるのです。がんは日本国民の半数が罹患してしまい癌患者の半分が癌死してしまう病気です。多くの癌で新規治療法が日々開発されているにも関わらず、現在でも癌のすべてを根治することができません。この難治性の原因の一つが、抗がん剤に対してヘルペスが遺伝子を変えてしまい耐性化がすぐに起こり効果を失ってしまうからです。それはヘルペスによって癌関連遺伝子変異が蓄積することのみならずAPOBEC遺伝子もヘルペスによって 変異してしまい、変異したAPOBEC遺伝子によって作られた変異してしまったAPOBECタンパクは シトシン脱アミノ化反応を触媒し、結果としてシトシンをチミンに変換し、遺伝子変異を引き起こしてしまい抗がん剤が効かなくなるのです。

APOBEC遺伝子は、DNAやRNA上のシトシンをウラシルやチミンに変換する酵素群で、遺伝子変異を引き起こします。APOBECファミリーには、APOBEC1、APOBEC2、AIDなどが分類されています。APOBEC1はRNA編集酵素、AIDは抗体遺伝子の改変現象を司る機能を持っています。APOBEC3Gは、1本鎖DNAのCをUに変換することで、G/A hypermutationをウイルスゲノムに導入し、その複製を阻害します。一方、HIV-1 Vifはユビキチン・プロテアソーム径路を用いてこれを分解し抑制します。

リンパ節のB細胞では、AIDは抗体の多様性を生み出す変異を引き起こしますが、同じ変異プロセスがB細胞リンパ腫を引き起こすこともあります。この遺伝子はシチジンデアミナーゼファミリーに属するDNA編集デアミナーゼをコードする。このAIDタンパク質は免疫系のB細胞における免疫グロブリン遺伝子の体細胞超変異、遺伝子変換、クラススイッチ組換えに関与している。AID遺伝子(活性化誘導シチジンデアミナーゼ)は、DNA中のシチジン基からアミノ基を取り除く、24 kDaの酵素である。 AIDは現在、リンパ節に御置ける活性化Bリンパ球の二次抗体の多様化のマスター制御因子なのです。AICDA(活性化誘導シチジンデアミナーゼ)がその開始に関与しているのは、3つに分かれた免疫グロブリン多様化プロセスである①体細胞超変異(somatic hypermutation 略してSHM)、②クラススイッチ組換え(class switch recombination略してCSR)、③遺伝子変換(gene conversion略してGC)の三つです。①の細胞超変異(somatic hypermutation 略してSHM)では、抗体遺伝子が最小限に変異して抗体変異体が生成され、その一部は特定の抗原に対して、その近縁変異体よりも高い親和性を持つ。②のクラススイッチ組換え(class switch recombination略してCSR)では、B細胞がIgMからIgGまたは他の免疫型に発現を変化させます。CSRやSHMには、活性化誘導シチジンデアミナーゼ (Activation-induced cytidine deaminase略してAICDA)という酵素が必須です。AID (AICDA)の過剰発現は、異常な体細胞突然変異や染色体転座を惹起し、腫瘍形成に関与する可能性があります。③遺伝子変換(gene conversion略してGC)は、脊椎動物である人の抗体遺伝子に突然変異を引き起こすプロセスです。

AID は4つの英語と日本語の名前を持っています。①活性化誘導シチジンデアミナーゼ ②英語でAICDA(Activation-induced cytidine de-aminase)、③AID、④一本鎖DNAシトシンデアミナーゼの4つです。

AID は、in vitro(試験管内)で一本鎖 DNA 上で活性があることが示されており、従って④の一本鎖DNAシトシンデアミナーゼともいわれ、脱アミノ化活性を発揮するためには活発な転写が必要であることが示されている。 AID 活性は、免疫グロブリンの「可変」領域では、AID 活性の影響を受けることが知られているゲノムの他の領域よりも数桁高いため、 Cis調節因子の関与が疑われている。シス調節因子とは、転写領域のDNAと同一の分子(シスの位置)に存在する塩基配列(シスエレメント)に対応するタンパク質で、転写因子(転写調節因子、調節タンパク質)とも呼ばれます。シスエレメントとは転写活性に影響を与える塩基配列で、転写にとって必要な塩基配列です。転写因子はこのシスエレメントに結合して転写を促進したり抑制したりします。

シスエレメントとトランス制御因子(転写因子)の相互作用によって、特定の細胞タイプや細胞外刺激に応答した遺伝子発現が調節されます。トランス制御因子(転写因子)とは、ゲノムDNA上の特定の塩基配列に結合して、RNAポリメラーゼによる転写を促進または抑制するタンパク質です。転写因子は、DNAにさまざまな組み合わせで結合して会合体を形成し、DNAに刻まれた遺伝情報を引き出します。これにより、細胞がどのような機能を果たすのかが決定されます。転写因子の活性は、細胞の状態を表す重要な情報です。また、複数の遺伝子の発現に関与し、それらが協調して働くことを可能にするため、シス制御と比べてより広範囲のストレスに対する遺伝子発現に影響を与えるのです。これは、ゲノムに組み込まれた人工レポーター構築物やトランスジーンにも当てはまる。最近の出版物では、スーパーエンハンサー活性により反対側の DNA 鎖の転写が収束すると、いくつかの非免疫グロブリン標的で高い AID 活性が達成されることが示唆されている。人工レポーター構築物とは実験室内で、レポータ遺伝子(細胞内のある遺伝子の発現を可視化するために使用される外来遺伝子)、関心の対象であるいくつかの遺伝子、制御因子などを人工的に結合させて作られるDNA配列のことです。トランスジーンとは、遺伝子工学によって個体の遺伝情報を変化させる技術において、次世代の個体に受け継がれるなど安定的に導入されたDNA遺伝子を指します。

トランスジェニック技術は、受精卵などの細胞に特定の遺伝子を注入(顕微注入やマイクロインジェクション)することで、その遺伝子情報が生物の遺伝情報に取り込まれるようにします。

トランスジェニック技術を用いて作られた生物は、遺伝子組み換え生物(GMO)とも呼ばれます。トランスジェニック動物は、宿主がもたないタンパク質を発現させたり、野生型や変異型のタンパク質を過剰に発現させたりする目的で作製されることが多く、生命現象の解明や人間のタンパク質の生産などに役立っています。遺伝子組み換え生物(Genetically Modified Organism 略してGMO)とは遺伝子工学の技術を用いて遺伝物質を改変させた植物や動物、微生物を指します。遺伝子組換え技術では、生物の細胞から有用な遺伝子を取り出し、別の細胞の遺伝子に組み込むことで、新しい性質を持たせることができます。生産者や消費者のニーズに合致した性質を効率よく付与できるほか、種を超えてさまざまな生物から有用な遺伝子を得られるという特徴があります。日本では、大豆、ナタネ、とうもろこし、じゃがいも、綿、テンサイ、パパイヤ、アルファルファ、カラシナの9作物がGMOとして認められています。食品として利用されているGMO作物としては、コーン油、ダイズ油、ナタネ油、綿実油などの食用油や、コーンスターチ、コーンシロップなどがあります。また、家畜の飼料としても多く使われています。科学界では、GMOに危険性がないことが証明されており、消費者や環境に対する安全性は繰り返し、広範囲に試験されています。

最近、活性化誘導シチジンデアミナーゼ(Activation-induced cytidine deaminase略して AICDA)は活性DNA脱メチル化に関与しており、AICDAは5-メチルシトシンを脱アミノ化し、塩基除去修復によってシトシンに置換することができる。

AIDが働く機構は多段階のメカニズムでSHM(細胞超変異somatic hypermutation 略してSHM)を引き起こすと考えられている。AIDは標的DNAのシトシンを脱アミノ化する。ホットスポットモチーフ内に位置するシトシンは優先的に脱アミノ化される(WRCYモチーフW=アデニンまたはチミン、R=プリン、C=シトシン、Y=ピリミジン、またはその逆RGYW G=グアニン)。結果として生じる間違ったU:G(U=ウラシル)ミスマッチは、いくつかの運命のうちの1つに従う。

間違ったU:G の不一致は複製されて 2 つの娘種が作られ、1 つは変異せず、もう 1 つは ピリミジン間のC → T 遷移変異を起こします (U は DNA の T に類似しており、複製時にそのように扱われます)。遷移変異とは塩基置換のことであり、プリン間 ( A ←→ G ) やピリミジン間 ( C ←→ T ) の 置換である転位 ( トランジション:transition ) と,それ以外の 置換である転換 ( トランスバージョン:transversion ) とがある.一般に, トランジションの方が起こりやすい。トランスバージョン(transversion)とは、生化学においてピリミジン塩基とプリン塩基が入れ替わる変異、または塩基転換を指します。塩基転換とは、DNAの塩基対が変化する変異の一種です。DNAの塩基対は、A(アデニン)とT(チミン)、G(グアニン)とC(シトシン)の4種類の塩基で構成されており、これらの塩基が結合した対を指します。

塩基転換には、プリン間(A ←→ G)やピリミジン間(C ←→ T)の置換である転位(トランジション)と、それ以外の塩基置換である塩基転換があります。

また、DNAの塩基対が1つ変化した変異を点変異といい、この点変異には、塩基→ピリミジン塩基の変化とプリン塩基→ピリミジン塩基 or ピリミジン塩基→プリン塩基の変化の2種類があります。前者をトランジションといい、後者をトランスバージョンといいます。

塩基編集技術では、ゲノムDNAに精密な塩基の変更を加えることができます。疾患の原因遺伝子の発現抑制や、疾患に関連する点変異の修正、細胞治療の最適化などに使用されています。

塩基とは何でしょうか?塩基には、二二つの意味がります。①水に溶けて水酸化物イオン(OH-)を生じる物質で水に溶けて水酸化物イオン(OH-)を生じる物質を塩基といいます。水に溶けている塩基をアルカリと呼び、アルカリ性は塩基の持つ特性を指します。②DNAやRNAなどの核酸を構成する有機化合物でDNAやRNAなどの核酸を構成する有機化合物を塩基とも呼びます。DNAやRNAはヌクレオチドと呼ばれる化学物質が連なって構成されており、ヌクレオチドに塩基が結合しています。DNAの塩基はアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類、RNAではチミン(T)の代わりにウラシル(U)となります。ヌクレオチドの並び方を塩基配列と呼びます。

核酸とは何でしょうか?核酸は、リボ核酸(RNA) とデオキシリボ核酸(DNA) の総称で、塩基と糖、リン酸からなるヌクレオチドがホスホジエステル結合で連なった生体高分子である。糖の部分がリボースであるものがRNA、リボースの2’位の水酸基が水素基に置換された2-デオキシリボースであるものがDNAです。

ウラシルはウラシル DNA グリコシラーゼ(UNG)によって切り出され、無塩基部位が生じる。この無塩基部位 (または AP、アプリン/アピリミジン) はDNA ポリメラーゼ イータなどの損傷乗り越え合成DNA ポリメラーゼによってコピーされ、4 つのヌクレオチド(A、G、C、T) のいずれかがランダムに組み込まれる。また、この無塩基部位はアプリンエンドヌクレアーゼ(APE) によって切断され、デオキシリボースリン酸骨格に切断が生じる。この切断によって通常の DNA 修復が行われるが、このような切断が 2 つ発生し、どちらかの鎖に 1 つ発生すると、交互に発生する二本鎖切断 (DSB) が形成される。スイッチ領域または Ig 可変領域のいずれかでこれらの 二本鎖切断 (DSB) が形成されると、それぞれ CSR または GC につながると考えられている。GCとは遺伝子変換(いでんしへんかん、英: gene conversion)は、あるDNA配列が相同な配列(英語版)によって置換され、同一な配列となる過程である。遺伝子変換は対立遺伝子間(alleic)の変換、すなわちある遺伝子の一方のアレルが同じ遺伝子の他方のアレルを置換する場合と、異所性(ectopic)の変換、すなわちあるパラログ配列が他のパラログ配列を置換する場合とがある。パラログ配列とは、同じ遺伝子から生じた兄弟の遺伝子であるパラログのDNA配列です。

パラログは、同一の生物種内で遺伝子重複によって生じたホモログ遺伝子(相同遺伝子)を指します。時間の経過とともに異なる機能を獲得することがあり、通常は同じ機能を持つ遺伝子です。

CSR(クラススイッチ組換え)とは、抗体遺伝子の定常領域のDNA配列を標的として、DNA2本鎖切断とその断端の結合による反応です。CSRは、抗原を認識する可変領域は変化させずに、抗体のDNAに起こる一連の変化です。免疫グロブリン(Ig)遺伝子のクラススイッチ組換えには、DNA切断と切断端の修復を行う分子であるAIDが必須です。

U:G ミスマッチはDNA ミスマッチ修復(MMR) 機構によっても認識される可能性があり、具体的には MutSα(アルファ) 複合体によって認識されます。MutSα はMSH2とMSH6からなるヘテロ二量体です。このヘテロ二量体は、U:G DNA ミスマッチと一致する、DNA バックボーン内の主に 1 塩基の歪みを認識できます。MMR タンパク質による U:G ミスマッチの認識は、エキソヌクレアーゼ活性による DNA の処理につながり、DNA の 1 本鎖領域が露出し、その後、エラーが発生しやすい DNA ポリメラーゼ活性によってギャップが埋められると考えられています。これらのエラーが発生しやすいポリメラーゼは、DNA ギャップ全体にランダムに追加の変異を導入すると考えられています。これにより、AT 塩基対での変異の生成が可能になります。

B細胞におけるAID活性のレベルは、AID発現の調節によって厳密に制御されています。AIDは転写因子TCF3(E47)、HoxC4、Irf8、Pax5によって誘導され、PRDM1(Blimp1)とId2によって阻害されます。転写後の制御レベルでは、AID発現は、IL – 10サイトカインB細胞シグナル伝達によって制御される小さな非コードマイクロRNAであるmir-155によってサイレンシングされます。

 

抗がん剤とは、何でしょうか?がん細胞の増殖を妨げ、死滅を促す目的で作られた薬剤です。点滴や注射、飲み薬として処方され、体内に入ると血液に乗って全身を巡り、がん細胞を攻撃します。

抗がん剤は、がんの進行度や患者の健康状態を総合的に判断して行われる薬物療法(化学療法)の一種です。手術や放射線療法が適応とならない場合や、血液やリンパのがんのように広い範囲の治療が必要な場合などに用いられます。

抗がん剤には、殺細胞性抗がん剤(狭義の抗がん剤)、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の3種類があります。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管、がんを攻撃する免疫に関わるタンパク質などを標的にしてがんを攻撃します。 抗がん剤治療では、がんが小さくなり、場合によっては消えてなくなりますが、9割以上の方は数カ月から数年後に再発します。治療期間中に経験するつらさとしては、「疲れる・だるい」「不安がある」「精神的につらい」「経済的につらい」「味覚がおかしい」「髪の毛が抜ける」「吐き気や嘔吐がある」などが挙げられます。

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