症例報告33例目
完治された病名1)関節リウマチ2)アトピー性皮膚炎3)突発性難聴
患者:62歳、女性
初期症状が出始めてのは2008年5月の連休あたりのことでした。首、肩、手首が痛み始め、寝違い、五十肩、腱鞘炎だと思った患者さんは近所の整形外科に受診されました。しかしレントゲンを取っても異常は見られず、湿布と痛み止めを処方されました。痛みはなくならず1週間後に総合病院の整形外科を受診されました。右肩は大きく腫れ上がって滑膜に水が溜まっていると言われ、注射器で水を抜かれました。その後に「楽になりますよ」とステロイドを入れられたようです。処方された薬はプレドニン、アザルフィジン、セレコックス、胃腸薬でした。
2008年6月半ば、松本漢方クリニックに初受診。血液検査を受け、漢方煎じ薬を処方しました。1週間後に血液検査の結果により、リウマチと確定診断し、再び漢方煎じ薬と漢方風呂を処方しました。
それからは毎日漢方を煎じて飲み、体の痛いところにはお灸をしてもらい、漢方風呂は出来るだけ長く浸かってもらいました。免疫が上がるようにと近所の鍼灸院でも鍼を受けておられました。
闘病中はリバウンドにより以下の症状が起こっていました。
・右肩には激痛が走り、手首は痛くて曲がらなくない。
・右の二の腕あたりがピリピリと痛くて手が上がらなくなる。
・腕に電気を流したような、針で突かれるような、締め付けられるような、何とも言えない不愉快な痛みの種類が常に襲ってきた。
・右足の指に違和感を覚え、そのうちに固い痛みが住み付いたようになった。
・足が重たくて普通には歩けない期間が長く続いた。
・指先には力が入らなくなり、まともに字も書けなくなった。
・ペットボトルの蓋が開けられなく、布巾もしぼれなくなった。
・冷蔵庫のドアも両足を踏ん張らないと簡単には開けにくくなってきた。
・もちろん包丁など危険で持てなくて料理は無理な状況になった。
毎日、煎じ薬を飲み続けること約2か月後、足の甲、首、背中、お腹、両腕にアトピーが現れてきました。やがて日を追うごとに数が増えていき、1ヶ月で顔以外の全身にアトピーが広がっていきました。クラススイッチが起こってアトピーが出てくるとリウマチの痛みが痒みに変わるのですが、患者さんの場合は痛みの方がきつく、さらにそれまでのリバウンドによる身体の痛みで体力が奪われているところにアトピーの出現で追い討ちをかけるように気力まで減っていきました。変わらず不愉快な痛みは四六時中消えることはありませんでしたが、リウマチの痛みでアトピーの痒さを我慢できるのはまだましな方だと自分に言い聞かせアトピーが治まるのをひたすら耐え続けました。
生々しかったアトピーが少しずつ枯れ始め、新しい皮膚ができて古い皮膚がアカとなって剥がれていき、患者さんが歩いて移動するだけで身体中の皮膚の皮がこぼれ落ちていました。それからのアトピーとの8か月もおよび、アトピーの恐ろしさ、凄まじさに身体も心もぼろぼろになり、神経はすり減っていってしまいました。
患者さんの場合は知らない間に他院でアレルギーもしくはリウマチでステロイドを注射ないし内服、塗って体内に入れていたか、更年期直後だったか、様々なストレスが長くかかり続けてきた人だったのかもしくは全て当てはまっていたのでしょう。身体は正直に症状として出しきろうとして身体中の皮膚から異物を排除しようとアトピーとなって症状が起こったのです。
患者さんは知らない間に自分は何かを間違ったのだと諦めて前向きに治療を続けました。しかしアトピーのリバウンドは治りきらないうちにまた次のアトピーが出現しました。
・足のアトピーは悪化し、足の甲は皮膚が崩れてリンパ液が止めどもなく流れ出し、常に足を椅子の上に上げておかないとベタベタになる。
・足の裏は堅い岩のようになり、深い「あかぎれ」が多数できた。
・足全体がパンパンに脹れ、かがむこともできない。
・手も例外ではなく、細かい砂粒のようなブツブツが何日かかかって、手の両面、指先に出始める。
・そのブツブツがつながって、皮膚が硬くなり、これも又「あかぎれ」になる。
手が裂けているようになり手も足も1日最低2回は傷口の消毒、漢方エキスで湿布、塗り薬や、エルタシンを塗り、ガーゼ、包帯などで保護をされていました。肩や手首が痛くて、手当が思うように出来ず1日の大半を治療に費やしていました。ガーゼ、包帯、絆創膏、手袋など、いくらあっても足りません。真夏というのに寝る時も、包帯をした足を締め付けないソックスを掃き、手袋をして就寝。痛みや痒みは想像以上で毎晩、睡眠導入剤が必要になるほどでした。この頃には食欲もなくなり、48キロあった体重が43キロまで落ち込んで体力は限界、栄養状態も最悪で「アミノバクト」と「プロテイン」を飲んでもらいました。プロテインは1日スプーン9杯は飲むようにと指導しましたが、患者さんはそれよりも倍近く飲まれました。
不安な闘病生活を続けて2か月くらいかかった頃、足のリンパ液の流出がやっと止まりました。浮腫みも徐々に引いていき、足の骨が手で触ってわかるようになりました。そして次は首回り、背中、脇の下のリバウンドが始まりました。油断していた口の周りから徐々に広がり始め、ピリピリとしびれるようになっていきました。このピリピリ、ヒリヒリ感の原因は正しくヘルペスウイルスの仕業なのです!抗ヘルペス剤アシクロビルを処方しましたがなかなかすぐには効いてくれませんでした。足と手のようにリンパ液の流出は無かったが、首回りは真っ赤になり、何か所も深い横じわとなり、首筋が裂けてあかぎれた。首筋から耳にまで達し、耳の皮膚も何度もはがれました。背中は、魚のうろこのようになり、広い範囲でガサガサになった。両脇の下はもともと激しくアトピーが出た場所で、その後、無数のヘルペスが広い範囲で発症し、痛みと痒みに何ヶ月間もの間、悩まされました。
同時にこの頃から耳が聞こえなくなってしまいました。耳に栓をしたような感じで、頭が重くて毎日が憂鬱になりました。この状態も半年ぐらい続きました。漢方風呂の入浴のあとは血流がよくなるのか、傷口が泣きたくほど痛くなりました。しかし、自分の病気をまず受け入れないと始まらない。良くもなりはしない。治りたいという意識により辛いのをただ黙々とやり過ごして、何も考えまいと時が過ぎさるのを待ちました。もう無理と思いながら、それでも何回も何回も、繰り返すリバウンドに耐え続けました。
アトピーが出始めてから、7,8か月、首回りから少しずつ傷が癒えてきた。背中も皮膚がつながり、痛みが消えていきました。身体が楽になり、安らかな気分で過ごせるようになる日が増えていきました。
当院の治療を始めて10か月で体調のいい日が続いていました。このまま順調にいけばいいなと思っていると、部分的にアトピーのリバウンドは繰り返し、一度発症すると治まるまでにひと月はかかりました。しかし徐々に症状は小規模になっていきずいぶん楽になっていったそうです。少しくらいのアトピーが出てきても、放っておき、煎じ薬だけは毎日飲み続けられました。足に少しの痛みが残ったのを最後に、長い長いリバウンドの繰り返しからようやくリウマチの痛み、アトピーの痒さから解放されたのです。そして1年後2009年6月初旬、最後の血液検査結果では何も問題もなく、力強い握手を交わして薬は処方せずに診察を終わりました。
症例報告34例目
完治された病名1)関節リウマチ
患者:68歳、女性
2003年6月、最初のリウマチの症状で膝の痛みが出てくるようになりました。しかし5月下旬から無理をし過ぎて疲労が重なったと思った患者さんは休めば治るとそのままにされていました。
膝の痛みは引かず、整骨院へ行くようになりました。しかし今度は手首の関節まで痛くなり、腫れて歪み、さらにこわばりと次々と症状が現れ、リウマチかと考えた患者さんは整形外科へ受診されました。レントゲンを撮ると異常は見られず病名もはっきりと付かなかったが膝が腫れていたため水を抜かれ、注射を打たれました。のちにこの注射がステロイドだったそうです。事前に何も説明されずに注射を打たれたことで整形外科に通うのをやめました。患者さんは知人でリウマチで苦しみ、副作用で病み、やがて障害者となってしまった人を知っていたからです。
それからはどこの病院も行かず、しかしどうすればいいのかもわからないまま悶々とした日々を過ごされていました。病状は急速に悪化していき、手首の腫れ・痛み、膝の痛み、歩行は勿論、腰の痛みで寝返りも起床もできなくなりました。介助が必要となってしまい、洋式トイレもままならぬ状態にまでいきました。痛みで夜も目が覚め、自分の始末が出来なくなってしまいました。激痛に耐えながらどうしたらいいのかと絶望の淵に彷徨っていた時、長男夫婦からインターネットで松本漢方クリニックの事を見つけ出してくれました。
遠方で移動に丸一日かかるほどの遠距離でしたが、道に迷いながらもご夫婦で松本漢方クリニックに来院されて来られました。診察と鍼灸治療も受けてもらい、漢方煎じ薬と漢方風呂、お灸を毎日してもらうように指示しました。
帰宅後、指示通りに治療に専念されていました。また患者さんは幸運なことに子育てを終えて治療一本に専念できたこと、治療を始めた時期が夏のしかも冷夏だったため暑すぎず寒すぎず、漢方風呂に何度も入ることができ、煎じ薬も二番煎じ・三番煎じを沢山飲むことができました。数多のお灸を悲鳴をあげながらも耐え続けられました。しかし免疫を上げ続けると体力の消耗が激しいので大量のプロテインを飲んで補給してもらいました。
血中には2種類の蛋白が含まれています。ひとつは免疫グロブリンといわれる主にIgG抗体を含んでいる蛋白であります。もうひとつはアルブミンであります。このアルブミンの一番大きな仕事は、血管の中に水分を維持させる力であります。血管から水分がなくなると、血管の圧力がなくなり血流を維持することができなくなってしまいます。
ところがリウマチの炎症を自然クラススイッチ、さらに自然後天的免疫寛容を起こすまで抑制せずに続けていくと、グロブリンがどんどん作られ、消費され続けるにつれてアルブミンがどんどん減っていきます。このアルブミンが減り過ぎると人血流量が減少し、そのために急性腎不全を起こすことがあります。ひどい時には透析を行わなければならないことがあります。このような事態になれば、取り返しのつかないことになります。さらにアルブミンは色んな栄養素を運ぶ仕事もしています。このアルブミンが減れば、人体にとって必要な栄養素が細胞に運ばれなくなり、栄養不良の状態になります。免疫に必要な栄養は、単純に蛋白だけというわけではありません。鉄や銅、セレニウム、亜鉛なども必要であり、さらにビタミンA、B6、C、E、葉酸が必要です。これらの栄養素が欠如すると、人体の新陳代謝が全て阻害され、単なる免疫の問題だけにはとどまらなくなります。言い換えると、アルブミンの高さは栄養状態の指標といえます。従って、常に不足すれば、アルブミンの元になるプロテインやアミノ酸を補わなければならないのです。
治療に明け暮れ、やがて体中にむくみ、痒み、ムーンフェイスにより手足顔が太ってむくんでいきました。峠を越すと段々症状が治まっていき、クラススイッチが起こったのか痒みが身体中に出てきました。治療を始めて1ヶ月後にはいつの間にかこわばりも痛みも徐々に薄れて快復していきました。こんなに早く改善されたのは今までリウマチの治療を受けたのが最初のステロイドの注射一本だけだったことも一つの要因です。この方も無事に当院を卒業されました。