症例報告167例目
完治された病名1)クローン病
患者:13歳
2016年元旦、中学1年生の時におせちを食べている途中で腹痛を起こして横になっていました。この日から食事の途中に何度か休むようになり、あまり食べられなくなりました。だんだんお腹が痛いと言って横になる事が増え、痛みも強くなっていきました。
冬休みが終わって学校が始まり、マラソン大会の練習が始まると、元気が取り柄だった患者さんは走ると腹痛を起こして走るのが辛くなりました。どんどん痩せ細っていく患者さんの様子に母親はおかしいと思い、病院に受診させました。内視鏡検査の結果、食道から十二指腸にかけて潰瘍があると言われ、その日は胃酸を抑える薬を処方されました。薬を飲んでいる間は症状は少し和らいでいたようです。しかし、もしかしたらクローン病かもしれないという事で、大学病院を受診する事になりました。よくわからない病名と難病という言葉にご家族は不安でいっぱいになってしまいました。
後日、大学病院で大腸内視鏡検査を行いました。時間がかなりかかり、終わったのはお昼前でした。そして、検査結果はクローン病と確定診断されたのです。見せてもらった腸内画像は酷い状態だったそうです。医師からクローン病のパンフレットが渡され、今後の流れが説明されました。治療に高額なヒュミラを勧められました。この時、CRPは6.89でした。薬の副作用、食事の事、これからの生活の事、息子の将来の事。母親は頭が真っ暗になり、体に力が入らず、息子さんが寝た後は毎晩泣いていました。他に方法はないか、必死に探し回り、そして松本漢方クリニックにたどり着いたのです。
3月、午前中にCT検査を受け、その足で松本漢方クリニックを受診されました。次の週から、学校で4泊5日のスキー合宿だったようで、母親は心配し何度も休むように説得されたそうです。しかし好きなことは何でもやったら良いと伝え、緊急時のために私の個人携帯番号を教えました。旅行中も漢方煎じ薬を飲んでもらうように旅行用の漢方の作り方も指導しました。診断後に鍼灸の施術も受けてもらい、自宅でのお灸のやり方を教えて毎日お灸をすえるように指導しました。ちなみに帰路の途中に息子さんは、「何でも食べたらええ!」と言われたことによって今まで我慢していたたこ焼きとシュークリームをすごく美味しそうに食べ、母親はその様子を見てうれしくて涙がでたそうです。一生、食事制限をしなければならないと思っていましたたからね。
早速、自宅で漢方を煎じましたが、独特な苦味に患者さんは最初、ジュースと交互に飲んで全部飲み切るのに大変苦労されましたが、慣れてくると漢方を一気飲みした後に一口甘いものがあれば大丈夫になりました。漢方は濃ければ濃いほど免疫が上がって早く治るのですが、味は強烈です。
翌日の夕方、寒い日だったにもかかわらず、暑い暑いと言いながら息子さんが学校から帰宅しました。元気でしたが熱を計ると38度ありました。母親は心配して薬は飲ませず早めに休ませました。翌朝には平熱に戻りましたが、しばらく寝汗のすごい日が続きました。そんなに気温は暑くないのに、パジャマが寝汗でぐっしょり濡れるほどでした。
2回目の鍼灸を受けた日の夜、背中が痒くて掻きむしり赤くなっていました。鍼灸を受けて血流が良くなり、さらに免疫が上がって戦っている証拠です。スキー合宿も無事に行くことができました。学校の先生も病気の事を理解して下さり、息子さんは「すごい上達した!楽しかった!」と言って無事に帰って来る事ができました。
4月に入って、患者さんのイライラが激しいと相談を受け、アシクロビル錠を2倍の量にして処方しました。
寝汗、腹痛、体力の低下が続き、学校で発熱を起こしては夕方には下がる日々が続きました。CRP4.28と変わらず高値。部活の大会や登山遠足もあって体に無理が続いていた事と、ファーストフードや、コンビニ食、化学物質の塊のお菓子を食べていた事もあり、症状が起こったようです。
毎日部活に行き、家に帰ってきたらスマホゲーム、ライン、テレビを見たりと患者さんは好きなようにして過ごされていました。しかし母親はいくら楽しくて好きな事だとしても、どうしてもゆっくりしているとは思えず疑問に思っていました。そんな時に、手記に書いた私のコメントに答えを見つけました。「ゲームやテレビ、携帯電話は、免疫を上昇させる副交感神経の世界を子供たちから奪い去っている。」手記を印刷して息子にも読ませました。また、人工甘味料や添加物についても勉強しました。しかし、今ではまた違った根拠を見つけました。副交感神経と免疫の関係について詳しく知りたい場合はここを読んで下さい。
5月、学校の発育測定で身長は全国平均まで伸び、体重は1年前と同じでガリガリでした。ガリガリでも温泉に行ったり、半年ぶりに家族旅行にも出かけたりと元気に過ごされていました。少し体調が良くなり、家でもバスケや野球をしたり、外で活動する時間が長くなり、走ったりする動きも良くなってきました。
6月、腹痛も治まり、体つきも少しがっしりしてきました。しかし、当院の血液検査のデータは悪化していました。CRP5.19(5/14 検査分)と上昇していました。この悪い結果は好き勝手に生活していた4月の時にでたストレスによって抑制されていた免疫が解放されて免疫が上がり戦いが起こった証拠でした。しばらく様子を見るため、このままの生活を続けてもらいました。
7月、CRP2.56とまだ高値ではあるものの今までで一番低い数値が出ました。筋力がついてきて姿勢がよくなり、身長もすくすく伸びていきました。夏休みに2泊3日の富士登山合宿に鉄剤と漢方薬と抗ヘルペス剤を持って無事に登頂し、ご来光を拝めたそうです。
8月、CRP2.37とあまり変化は起こりませんでした。2泊3日で東京の大会に出場しました。大会で頑張りすぎたのと、外食が続いたため、血液検査のデータは良くなりませんでした。ちなみに大会では全国4位だったそうです。
その後もまだまだCRPは高い状態、貧血状態も続いていました。しかし、腹痛はほとんどなく、部活も学校行事も参加できていたそうです。治療を続けて約1年が経つと、腹痛、貧血状態もほとんどなくなり、普通の生活を過ごされていました。好きなものも食べられていました。現在では当院での治療を受けておりません。
症例報告168例目
完治された病名1)クローン病
患者:14歳
2014年5月頃から、扁桃炎など、熱を出しては抗生剤服用を繰り返し、学校を休みがちになりました。当時、息子さんは学校で色々嫌な役割をすることになっていたようでストレスでステロイド治療をしたような状態になっていたこともわかりました。
2014年8月インフルエンザになり、その後も下痢、昼から熱が上がるなどの症状が1ヶ月ほど続き、血液検査を受けることになりました。この時、貧血の症状とウイルス検査にてEBウイルスの抗体が陽性となり、以前にも感染した形跡があることがわかりましたが、医師から今は問題ないとされ、そのままになりました。「とにかく、パナドールで治まらなければ、イブプロフェンをあげなさい」と言われました。ですが母親はあまり解熱剤はあげたくないと伝えると、それでは治らないと願いは通りませんでした。話を一緒に聞いていた患者である息子さんは頭痛と熱を抑えるために解熱剤を飲んでいました。この解熱剤で免疫を下げ続け、のちに逆クラススイッチが起きてクローン病が起こったのです。
しかし解熱剤を飲み続けても夕方からの熱や下痢の症状は酷くなる一方でした。学校にも行けず10キロ痩せてしまいました。食べ物も色々気遣った母親は心配で途方に暮れていました。そんな時、大学病院で熱の原因を調べるのにと解熱剤を大量摂取させられて血便が出るまで悪くなってしまいました。その時の血液検査に出ていた貧血、炎症を示す結果などから、息子さんはクローン病なのかもしれないと考えた母親はネットで調べているうちに松本漢方クリニックのホームページに出会ったのです。
色々読んでいくうちにすべて納得した上で母親は息子さんにも話しました。そして息子さんの学校が終わったらすぐ日本に行こうと決心されました。帰国する前にオーストラリアでクローン病を克服された方にも色々な話を聴いたり相談したりして、心強い気持ちで日本へ向かう準備をされました。オーストラリアの大学病院の専門医には、血液検査の結果からクローン病の疑いがあるが診断するには内視鏡などで検査をする必要があるということ、クローン病では栄養治療を行なうが、潰瘍性大腸炎はステロイド治療になるということ、治らない病気であることを言われたので、すべて断り日本に帰省されました。息子さんの病気を治せない医師に診てもらっても意味がないと思ったからだそうです。しかし、時にして“親が間違ったことをしている”として、罰せられることもあると後になって知りました。ですが母親は自身の判断は正しいと確信していたとのことでした。
2014年12月の始めに松本漢方クリニックに初受診されました。下痢には断痢湯、免疫を上げるために補中益気湯を処方し、鍼灸治療も受けてもらいました。ご実家に帰って早速漢方煎じ薬を飲み始めると、1 週間で便が固くなって背中に蕁麻疹のような湿疹が出ました。断痢湯は飲みづらいようでしたが、ハチミツをなめると飲用できたそうです。食べ物によっては下痢になる時もありましたが、少しずつ体力が回復していきました。6週間の滞在期間に何回か通院し、オーストラリアにも漢方薬を持っていきました。
しかし帰国の際、すべての生薬の翻訳や英文の診断書も付けたのですが、運悪く検疫で漢方を取られてしまいました。その後、処方箋を薬局で調達し、オーストラリアのチャイナタウンで、処方してもらうことになりました。漢方薬の味が同じになるように、煮詰める時間を調節したりして飲むのを再開しました。
最初の2、3か月は、学校が始まると調子が悪くなったり、風邪をひくと逆戻りしたような症状が出たりすることもありました。飲み始めて半年ほどで、断痢湯を飲まなくてもお腹の調子が良くなってきました。補中益気湯を飲み、クローン病からアトピーになってクラススイッチするのを待ちました。血液検査をしていないので、クラススイッチができているかどうかは確認できていませんが、肌にはブツブツが出ているところもあり、アトピーかもしれませんがざらついていました。それから1年以上経過すると、患者さんは前のように元気に普通の生活を送れるようになりました。