なぜシリーズ 理論

ストレスとステロイドホルモンの関係について更新2022.4.26

投稿日:2022年4月26日 更新日:

ストレスとステロイドホルモンの関係について詳しく説明しましょう。元来糖質ステロイドホルモンや副腎皮質ホルモンと言われるコルチゾールは短期間のストレスに大切な脳を守るために脳の進化とともに生まれたのです。と同時にコルチゾールの役割手助けするために副腎髄質ホルモンと言われるアドレナリンも作られるようになりました。ストレスに耐えきれないと最終的には脳の病気である鬱になってしまうのです。

ストレスが脳にかかると最初にストレスを認知するのは脳の視床下部です。視床下部は内分泌機能や自律神経機能(交感神経機能と副交感神経機能)を全体として総合的に調節している中枢です。ストレスが長くかかりすぎると最後はどのように鬱が生じるのですが何故鬱になってしまうのかをすべてを詳しく説明しましょう。

視床下部(Hypothalamus)にストレスの情報が入るとCRHというホルモンが作られこのCRHは真下にある下垂体(Pituitary)に伝えられるとACTHというホルモンを作りこのACTHというホルモンが副腎皮質(Adrenal gland)に伝わりここで副腎皮質ホルモンであるコルチゾール.が作られます。このように視床下部、同じく脳の下垂体、そして腎臓の上にある副腎の3つは互いに深く関連しており、三つの英語の頭文字をとってHPA系といいます。視床下部は自律神経の中枢でありますから視床下部がストレスによって刺激されると交感神経を刺激することになりアドレナリンが副腎髄質で作られ末梢血管を収縮させ血圧が上がり心拍出量も増えストレスに対処するために中枢神経を刺激して脳の働きを高めさらにグリコーゲンを分解して脳が使えるエネルギーのグルコース(糖分)を増やしてさらにストレスに対抗しやすくしているのです。ストレスホルモンと言われるコルチゾールもアドレナリンと同じように、血糖・血圧を上げます。しかしコルチゾールは免疫力を低下させて炎症を抑えますがアドレナリンは免疫を抑えることはありません。血糖が上がれば脳へ糖分(栄養分)が届きやすくなるし、血圧が上がれば全身へ酸素を送りやすくなります。炎症を抑えてくれることで身体の痛みやつらさを感じにくくなると同時に炎症に使うエネルギー(糖分)を脳に集中させることができます。ストレス負荷がかかった時に私たちが頑張れるのは、実はこのストレスホルモンのおかげなのです。

しかし、ストレスが過剰に続いてコルチゾールの分泌量が多くなりすぎると、コルチゾールの働きも過剰になり糖尿病や高血圧になってしまったり、免疫力の低下から感染症などの病気にかかりやすくなってしまいます。コルチゾールの過剰にならないようにするために、HPA系にはフィードバック機構があります。コルチゾールが出すぎる時には、視床下部や下垂体がそれを感知しそれぞれCRHの分泌とACTHの分泌を弱めることで、コルチゾールの分泌を減らしてくれるのです。ところがストレスが過剰にかかった場合、このHPA系のフィードバック機構が壊れてしまいコルチゾールが作りっぱなしになってしまいコルチゾールの副作用が問題になってくるのです。

なぜステロイド分泌にはフィードバック機構があるのでしょうか?コルチゾールが増えすぎると、先ほど説明した糖尿病、高血圧、感染に弱くなるなどの危険以外に中枢神経に対する毒性が出現し始め脳の破壊が始まるのです。過剰なコルチゾールは脳の神経を破壊してしまうのです。具体的には、脳の海馬という部分の細胞や神経の減少、海馬におけるBDNF(神経由来成長因子)の減少、神経新生の抑制が起きてくるのです。とりわけ記憶や学習をつかさどる海馬は過剰なコルチゾールの毒性を一番受けやすくこれを「海馬神経毒性」と言います。実際にストレスに耐えすぎたためにうつ病患者さんになった人の脳をMRIなどで画像撮影してみると、健常人と比べて有意に海馬が萎縮しているのです。

この過剰なコルチゾールによる「海馬神経毒性」はいったいなぜ起こるのでしょうか?それはコルチゾールが海馬の神経細胞に自由に侵入して海馬の神経細胞の遺伝子に侵入して海馬の機能を破壊してしまうからです。どのように神経細胞の遺伝子に入り込むかについては「ステロイドが、どのように細胞に入り込み、遺伝子の発現を狂わせるのか?」の長い説明を読んでください。

アルツハイマーは「海馬神経毒性」も原因の一つですが過剰なコルチゾールの結果herpesが脳の海馬に増殖しすぎて海馬神経細胞が破壊されてしまったからなのです。この大量のステロイドがherpesを増やすのかの話がこれから始まります。

実はもっと重大で怖い過剰なコルチゾールの副作用がherpesの過剰増殖なのです。コルチゾールは免疫を抑制すると病原体を増やしてしまうことはすでに述べましたね。結論から言うとすべて人の神経根細胞に隠れ住んでいるヘルペスウイルスがコルチゾールが増えれば増えるほど神経根細胞から脊髄神経やさらに大脳のあらゆる中枢神経に感染していくのです。下に後根神経節の図を示します。

その結果アルツハイマー、パーキンソン、てんかん、ADHD、統合失調症、強迫観念症そのほかのあらゆる精神障害や神経変性疾患の原因となるのです。私の右脳の海馬の細胞にはherpesがうようよ巣食っていることを感じ取れます。右目はherpes性網膜炎で失明しましたが言い殺しきれないherpes自体は私の右目の網膜のみならず網膜神経、視細胞、網膜上皮素細胞にとぐろを巻いているので毎日不愉快でたまりません。ヘルペスが増えないように大量の抗ヘルペス剤を服用しながら生きています。悲しいですね。

コルチゾール(Cortisol)は、副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であり、医薬品としてヒドロコルチゾン (hydrocortisone) とも呼ばれる。炭水化物、脂肪、およびタンパク代謝を制御し、その代わりに糖質を増やすための生体にとって必須のホルモンであります。人体が作る3種の糖質コルチコイド(コルチゾール、コルチゾン、コルチコステロン)の中で最も生体内量が多く、糖質コルチコイド活性の約95%はコルチゾールです。

さてストレスと戦うためには新しく大量にステロイドホルモンやアドレナリンを作るためには必ず大量のエネルギーが必要です。人体が用いるエネルギーは電気でもなく石油でもなく人体のエネルギー通貨と言われるATPという化学物質です。脳がこのストレスに対抗できるために必要なエネルギーであるATPを直接作る原料はまさに糖質(糖分)であるのです。というのは脳がストレスがかかったらすぐに使えるATPを作る原料は糖質しかないので糖質ホルモンと言われるステロイドホルモンを視床下部は副腎皮質に作ってくれという命令を出すのです。副腎皮質より分泌される糖質ホルモンこそ、戦うか逃げるか反応において重要な役割を果たすのです。

さらに繰り返しになりますが脳の次に大量の病原体とすぐに戦うために免疫に必要なエネルギーを奪い取るために一時的に免疫を働かせないためにたステロイドホルモンに免疫を抑える働きを進化はステロイドホルモンに与えたのです。もう少しアドレナリンについて述べておきましょう。

アドレナリンはストレスがかかると自律神経の中枢である脳の視床下部は交感神経興奮させストレスに対抗できるアドレナリンを副腎髄質から出させます。すなわち「人間を含めて動物が敵から身を守るために戦うとか、逆に全速力で逃げるかの状態に対応するストレス応答を、全身の器官に引き起こすのがアドレナリンなのです。コルチゾールのストレスは専ら精神的なストレスに耐えるためのホルモンですがアドレナリンは肉体的によりストレスから離脱できるためのホルモンといえます。従ってアドレナリンは闘争か逃走か (fight-or-flight)」のホルモンとも呼ばれます。例えば喧嘩になった時に分泌されて、血まみれや骨折の状態になっても全く痛みを感じないようにさせるのがアドレナリンです。具体的なアドレナリンの肉体に及ぼす作用を上げておきましょう。

1)運動器官への血液供給増大を引き起こす反応2)心筋収縮力の上昇3)心、肝、骨格筋の血管拡張4)皮膚、粘膜の血管収縮5)消化管運動低下6)呼吸におけるガス交換効率の上昇を引き起こす反応7)気管支平滑筋弛緩8)感覚器官の感度を上げる反応9)瞳孔散大10)痛覚の麻痺11)勃起不全

そして、同時にストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されると上記のアドレナリンの1)と2)と3)の働きで、心拍数や血圧を上昇させるので脳に血糖を運びやすくなると同時に心拍数や血圧を上げることで気持ちを高めて、心理的負担に負けないような状態をアドレナリンが作ってくれます。

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