誤嚥とは何でしょうか?まず嚥下とは食べ物を飲み込み、食道・胃へと送ることを指します。口へんに燕(ツバメ)という難しい漢字で、ツバメがエサを丸呑みする様子が由来です。誤嚥(ごえん)とは、本来は食べ物の通り道である食道の方に流れるべき飲食物や唾液などが、空気の通り道である気管支や肺の方に入ってしまうことです。食べ物が空気の通り道である気管に入らないように喉頭蓋(こうとうがい)があります。喉頭蓋は、飲食物などが気管に入っていかないようにフタをする役割を担っており、呼吸や発声時など、気管・肺の方へ空気を通したい時には気管にフタをせず、食べ物や飲み物をのみこむ嚥下のときには気管にフタをしてくれるのが喉頭蓋です。さらに嚥下という行為は自律神経によって普段は無意識に行っているですが、実は舌や喉、喉頭蓋、食道などの絶妙な連携プレーによって成り立っており、誤嚥しないようになっています。にもかかわらずなぜ誤嚥(ごえん)は起こるのか?なぜ気管に食べ物や飲み物が入っていくのか?
もともと脳卒中になったことがある方、認知症の方、寝たきりの方、口や喉に病気のある方などでは、喉周りの筋肉や感覚が衰えているので、間違って気管の方に飲食物が入りやすくなってしまうのです。何故ならばこれらの方はストレスが多いので自律神経の副交感神経にherpesが感染している人が多いからです。健康な方でも、急いで食べた場合や話しながら食べた場合などに、気管の方に飲食物が入ってしまうことはあります。唾液でも誤嚥や誤嚥性肺炎はしばしば起こります。何故、誤嚥性肺炎は起こるのでしょうか?人間の口の中には様々な常在菌が住み着いています。口の中の常在菌は数百種類以上にのぼります。代表的な菌としては、口の中にいるタイプのレンサ球菌やナイセリア属と呼ばれるものがあります。このような口の中の常在菌は毒性が弱く、他の毒性のある菌が口の中に住み着かないように守ってくれている良い働きもあります。ところが口の中とは異なり、気管、気管支、肺などは、無菌の環境です。したがって、唾液に含まれる口の常在菌が気管、肺へと落ちてきてしまうと、肺炎を起こしてしまうことがあるのです。喉の機能が正常な方の場合には、唾液は気管の方になかなか垂れこまないですし、仮に唾液が入りそうになっても自然と咳をして、肺まで唾液が到達するのを防ぎます。さらに仮に多少の常在菌が肺まで到達しても、健康な方の場合には毒性の弱い口の中の常在菌で肺炎にはなりません。喉の機能が落ちてきている方の場合には、唾液が気管に垂れ込んでしまうことがしばしばあります。また、垂れ込んでもご自身では気づかず、咳が出ないことも多いです。このように気づかないうちに唾液などを誤嚥しているのを不顕性(ふけんせい)誤嚥と呼びます。不顕性誤嚥は寝ている時に起こりやすいとされています。明らかに飲食物でむせ込んで誤嚥することを顕性誤嚥と呼びます。実は顕性誤嚥よりも不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎の方が多いのです。近頃は感染症による肺炎よりも誤嚥性肺炎で死ぬ老人が多くなって来ています。