なぜシリーズ

NF-κBとは何でしょうか?更新2021.4.9

投稿日:2021年4月9日 更新日:

  NF-κBは英語でnuclear factor-kappa Bで、訳して核内因子κBで、読み方はエヌエフ・カッパー・ビーです。NF-κBは1986年に、David BaltimoreらによりB細胞で選択的に発現する免疫グロブリンのκ軽鎖のエンハンサーに結合する転写因子として同定されました。DNA上の塩基配列領域にあるエンハンサーは遺伝子の発現制御において中心的な役割を担っており、このエンハンサーに転写因子が結合すると、標的遺伝子の発現にスイッチが入り、タンパク質を生成するのです。エンハンサーは、遺伝子活性化因子である転写因子と結合することで遺伝子の転写量を大幅に増大(enhance)させることから、エンハンサーと命名されました。

発見当初はB細胞に特異的なものだと考えられていたのでNFにB細胞のBと、B細胞の軽鎖の1つであるκ(カッパー)が付け加えられたのです。ところが後にB細胞のみならず動物のほとんど全ての細胞に発現していることがわかりました。しかも高等生物に限らずショウジョウバエやウニなどの無脊椎動物の細胞においてもNF-κBが発現しています。NF-κBはストレスやサイトカイン、紫外線等の刺激により活性化されます。言うまでもなく、NF-κBは免疫反応において中心的役割を果たす転写因子の一つであり、急性および慢性炎症反応や細胞増殖、アポトーシスなどの数多くの生理現象に関与しています。転写因子というのはタンパク質の設計図である遺伝子であるDNAやRNAをタンパク質の合成の指示書であるmRNAの遺伝子に移し替える(転写する)ことです。NF-κB活性制御の不良はクローン病や関節リウマチなどの炎症性疾患をはじめとし、癌や敗血症性ショックなどの原因となり、特に悪性腫瘍では多くの場合NF-κBの恒常的活性化が認められると言われていますが、これらの病気にはとりわけヘルペスウイルスが絡んでおり、その結果、NF-κB活性制御の不良が起こるからです。人類最後に残る病原体はヘルペスウイルスであり、ヘルペスウイルスを増殖させるようなNF-κB活性制御の不良は免疫の低下によってもたらされ、免疫の低下が改善される時に増殖したヘルペスウイルスとの戦いが始まることによってあらゆる原因不明の病気やありえない自己免疫疾患が増え続けることになるのです。

-なぜシリーズ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

グルコースにL型とD型があるのは何故でしょうか?2020.9.26更新

①グルコースにL型とD型があるのは何故でしょうか? 6単糖の5番目の炭素の右にOHがあるのをD型といいます。英語のdexterous(器用な、右利きの)のDですね。カルボニル基から最も遠い不斉炭素(C …

no image

コロナウイルスの後遺症はなぜ起こるのか?2020.8.29更新

コロナウイルスの後遺症はなぜ起こるのか?全てヘルペスか化学物質によるアレルギーによるものです。なぜでしょうか? まずコロナ後遺症の主な症状を列挙しましょう。1)全身倦怠感、2)嗅覚障害、3)味覚障害、 …

no image

癌になると何故痩せるのか?がん悪液質とは何か?更新2025.1.14

癌になると何故痩せるのか?がん悪液質とは何か?がんが栄養を奪うからではなくて癌細胞を作るヘルペスウイルスが無限大にヘルペス粒子(子ども)を増殖させ続けるために正常細胞や癌細胞から栄養素のみならずエネル …

no image

側頭動脈炎はどんな病気でしょうか?更新2022.5.15

側頭動脈炎は自己免疫疾患の一つで難病に指定されていますがステロイドしか効かないのはヘルペスが原因であるからです。 側頭動脈炎はどんな病気でしょうか?自己免疫疾患と言われていますが嘘です。それでは自分の …

no image

マクロファージとは何でしょうか?更新2025.3.19

マクロファージとは何でしょうか?炎症とは何でしょうか?マクロファージはどのようにして癌細胞を殺すことができるのでしょうか?またどのようにしてherpes感染細胞をも殺すことができるのでしょうか?更にマ …

S