コロナウイルスの後遺症はなぜ起こるのか?全てヘルペスか化学物質によるアレルギーによるものです。なぜでしょうか?
まずコロナ後遺症の主な症状を列挙しましょう。1)全身倦怠感、2)嗅覚障害、3)味覚障害、4)関節痛、5)咳と息苦しさ、6)胸の痛み、7)集中力低下と記憶力低下などです。
松本医学が確立した現代の病気の原因は、2つしかありません。1つめが化学物質であり、2つめが全ての人に感染しているヘルペスです。さらに症状が出るのは、化学物質がアレルゲンとなって、免疫が排除する戦いをするからです。免疫が弱いとき、例えばステロイドを投与されたときには症状は出ません。さらに免疫が弱いときには、ヘルペスがどんどん増えていきます。この時にもさらにステロイドを投与すれば症状は完全に一時的には消えてしまいます。それでは症状はどんなときに出るのでしょうか?免疫が上昇したときです。
新新型のコロナウイルスは遺伝子を改変された人類が初めて出会った人工ウイルスであります。世界中の医療界はなぜこのようなとんでもないSARS-CoV-2と名付けられたウイルスが出現したのかについては一言も言及していません。漠然とコロナウイルスが自然に変異した結果作られたと思い込んでいます。このSARS-CoV-2(COVID-19)は、コウモリかセンザンコウなどから人類に感染した人畜共通のウイルスによって起こったとか、あるいは中国とアメリカがコロナウイルスの遺伝子を改変して作ったなどと言い争っていますが、一番正しいのは既に述べたように、アメリカが最も進んだ遺伝子組み換えの技術であるクリスパーキャス9という、遺伝子を簡単に切る技術つまりハサミを用いて、遺伝子を切った部位にAIDSやエボラ出血熱やインフルエンザウイルスの遺伝子を入れ込んだと考えるのが一番妥当です。これについてはこちらに詳しく書いています。 もしコウモリやセンザンコウが人類に移したウイルスであるならば、とっくの昔に同じようなパンデミックが起こっていたはずです。この2つが原因であることはあり得ないと既に報道されています。
皆さん、ウイルスの突然変異はどんな場合に一番起こると思いますか?感染した獣や人間の細胞で増殖しようとするときに、RNAかDNAを複製する必要があります。感染する細胞が多ければ多いほど複製する回数が多くなるときに間違った塩基の複製が起こりやすくなり、その結果遺伝子が変異してしまうためです。コウモリにしろセンザンコウにしろ、爆発的に増えたわけでもないうえに、このような獣にSARS-CoV-2(COVID-19)の感染が爆発的に増えたという情報も一切流れてきません。
やはり一番考えやすいのは、中国では否定されましたが、アメリカなどではAIDSに効くカレトラという抗ウイルス剤や、治療薬として公認されたエボラ出血熱ウイルスに効くレムデジビルとか、あるいはインフルエンザに効くといわれるアビガンがSARS-CoV-2(COVID-19)に効果があるというので治療薬として認められた事実から考えると、クリスパーキャス9という遺伝子切断のハサミを用いれば誰でも作れるコロナウイルスにこれら3つの遺伝子を挿入して作ったバイオテロに用いるために作られたと考えるのが一番妥当であります。どの国が作ったか皆さん考えて下さい。
さらに非常に重篤な後遺症が出るのはなぜでしょうか?
SARS-CoV-2というウイルスは、感染力や病原性が極めて強いのは免疫に対して抗原性が強いウイルスであります。普通のウイルスは接触感染か飛沫感染によって伝染するのですが、SARS-CoV-2は、エアロゾルという空気の微粒子によっても感染できるのです。と同時に、ヘルペスウイルスと違って、免疫の落ちている人が死んでしまうという、極めて病原性が強いのです。いったん人体の呼吸器に感染すると、増殖する勢いが強くて、酸素と炭酸ガスを交換する1型肺胞細胞まで侵入し、息をできなくさせて死に至らせるほどの強い病原性をもっているのがSARS-CoV-2であります。抗原性が強くなればなるほど人体は対抗するために、あらゆる免疫システムを動員して免疫を高めようとします。この時、すでにヘルペスが一番大好きな人体の神経細胞をはじめとする様々な種類の細胞に感染しているヘルペスを見つけ出し、ヘルペスとの戦いも共に高まってしまいます。本来、呼吸器の疾患であるSARS-CoV-2というウイルスを自分の免疫でコントロールできてもとりわけ味覚神経や嗅覚神経や自立神経や血管内皮細胞などに潜んでいるヘルペスウイルスとの戦いの結果、ヘルペスが一番好きな神経細胞も傷つき、後遺症として残ってしまうのです。
しかも一度抗体ができても、抗体が消えるとか、一度SARS-CoV-2に感染しても免疫がつかないのは一体どうしてなのでしょうか?
その答えは極めて簡単です。まずウイルスに対する抗体というのは、ウイルスの遺伝子が作るタンパクが抗原となり、その抗原を貪食したり感染したりする抗原提示細胞(APC)である大食細胞や樹状細胞により、そのタンパクを提示することによってヘルパーT細胞の助けを借りたB細胞が抗体を作るのですが、4つの異なった遺伝子を挿入されたSARS-CoV-2は、様々な抗原をつくります。この様々な抗原に対して抗体を作っても、新たなる抗原となるタンパクが出現しますから、何に対して抗体を作っているのかさっぱり分からなくなるのです。しかも抗体というのは、初めはIgMを作りますが、IgMはIgGにクラススイッチするためには必ずヘルパーTリンパ球の助けを必要とします。ところがT細胞に依存しなくてもIgM抗体は簡単に作れるのです。ところがこのときに作られるIgMは決してIgGにクラススイッチができないのです。この時に抗体検査をやってもIgMの抗体は見つかり陽性となるのですが、IgGは作れないので後で抗体検査をやってもIgMは消えてしまっている上に、IgGが作られませんから抗体検査で陰性となるのです。
免疫がつくというのは、必ずヘルパーTリンパ球の助けを得て、抗体のクラススイッチを行って初めて、メモリーT細胞とメモリーB細胞が作られて初めて免疫がついて二度なし病となるのです。つまり免疫がついたということになります。ところが免疫がついたというのも、どの抗原に対してIgMをIgGにクラススイッチしたのかどの医者もまったく考えていません。従って、IgM抗体は永続して作られないので、抗体が一時的に陽性であっても消滅することはいくらでもあるのです。しかもIgGまで作ったとしても、4つの遺伝子を持った新型ウイルスでありますから、どの抗原に対して免疫がついたのかというのは、誰も説明していないのです。つまりSARS-CoV-2というウイルスに対しては免疫がつくのは少なくともAIDSとエボラ出血ウイルスとインフルエンザウイルスと元々のコロナウイルスに対して、メモリーT細胞、メモリーB細胞が作られない限りは決してワクチンが作ることができないのです。皆さんAIDSのワクチンが今までに作られましたか?できていません。エボラ出血ウイルスのワクチンが作られましたか?作られていません。インフルエンザウイルスのワクチンを一度接種したら二度と罹らないワクチンが作られましたか?作られていません。従って、完全な免疫がつくというのは、4つの遺伝子が作るタンパクに対してメモリーT細胞とメモリーB細胞ができないと、SARS-CoV-2に対して一度かかったら二度とかからないという免疫がついたとは言えないのです。SARS-CoV-2のワクチンがなぜできないのかについてはこちらを読んで下さい。
話が少しそれましたが、免疫というのは強い敵が来たときに、初めてそれに対する強い免疫が出来上がり、戦いが始まるのです。ところが一時的にIgMとかIgGの抗体ができたとしても、戦っているときに強い免疫が刺激されているので、全ての人が感染しているヘルペスとの戦いも始まるのです。
とりわけ、SARS-CoV-2の後遺症というのは、ほとんどが神経症状です。全身倦怠感は副交感神経にヘルペスが感染した人が、高い免疫で副交感神経でヘルペスと戦い副交感神経が傷つくからです。同じように味覚障害は顔面神経の味覚神経に感染したヘルペスと戦うと味覚神経が傷ついて味覚が働かなくなるからです。このような神経の障害がなかなか治らないのは、神経は一度傷つくと修復するのが非常に難しいからです。嗅覚障害も、嗅覚神経に感染したヘルペスと免疫が戦った後傷ついて、それが後遺症として残るのです。川崎病も後遺症として挙げられているようですが、川崎病の主要症状は、5日以上続く発熱や、両側眼球結膜の充血、口唇の紅潮や、いちご舌不定形発疹、手足の硬性浮腫や、掌蹠や指趾先端の紅斑、非化膿性頸部リンパ節腫脹などですが、これらも症状の出る部位の毛細血管の内皮細胞にヘルペスが感染し免疫が上がると、細胞が傷つき出る症状と最後の非化膿性頸部リンパ節腫脹の非化膿性というのはヘルペスは決して組織を化膿させる訳はない上に、取り込んだマクロファージや樹状細胞が頸部リンパ節に集まってリンパ節が腫大腫脹してしまうために起こる症状です。神経とヘルペスが戦って生じる症状であることはあちこちで書いています。
今後、以下に報道されている症状について詳しく説明するつもりです。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75063
ヘルペス8種類に対して世界中のほとんど全ての人が感染しているにもかかわらず、さらにヘルペスに対するワクチンができていないにもかかわらず、なぜヘルペスが原因で死ぬ人がいないのでしょうか?
現代の病気の原因は、化学物質とヘルペスウイルスしかないという松本医学の根本を、まず知ってください。残念ながら、ヘルペスよりも無限大に怖い3つめのSARS-CoV-2というバイオワォーのために作られた人工ウイルスが人類滅亡まで跳梁跋扈し続け、人類を殺し続けるでしょう。悲しいことです。この新新型のウイルスを作ったのも、現代の最新の技術を用いた命を救うべき医学者であることが一番残念でたまりません。
SARS-CoV-2が出現するまでの現代の病気は、化学物質とIgEとアレルギーとIgGで戦う自己免疫疾患という病名がつけられますが、免疫を上げることでIgGをIgEにクラススイッチさせて免疫寛容を起こせば異物である化学物質と共存できます。一方、ヘルペスは自分の免疫を下げれば増殖し、あらゆる細胞に感染し続けます。ところが免疫が上がるとヘルペスは感染した細胞に潜伏感染をして隠れ続けます。あらゆるウイルスが細胞に感染してしまうと高等免疫である抗体やキラーT細胞は全く無力です。ところが、SARS-CoV-2は人の命を奪ってしまうのです。ヘルペスウイルスの如き軟弱なウイルスではないのです。
なぜ細胞に侵入してしまったウイルスに対してキラーT細胞は無力なのでしょうか?それはウイルスが感染している細胞に気づいたキラーT細胞は、PD-1を作ります。ところが、全ての細胞にはPD-1と結びつくPDL-1というリガンドを持っています。何の為でしょうか?PD-1とPDL-1が結びつくと、キラーT細胞がその細胞を殺すことができなくなるためです。それは逆説的な言い方になりますが、キラーT細胞が細胞に感染したヘルペスを殺さないためです。というよりも、ウイルスに感染した細胞はウイルスが新たな細胞に感染し続けることを阻止するためです。
ノーベル賞を授与された本庶佑先生が見つけられた抗ガン剤のオプジーボは、活性化したキラーT細胞が発現するPD-1に対する人工抗体であり、PD-1にオプジーボがつくと癌細胞が持っているPDL-1がオプジーボが蓋をしてしまうためにPD-1とPDL-1が結合できなくなるので、殺すことができるのです。敵を見つけて活性化したキラーT細胞にPD-1(programmed death-1)というタンパクが出現するのは、進化の過程で全ての細胞にあるPDL-1にひっついて細胞を殺さないためなのですが、オプジーボを作った医学者の誰も気が付いていません。ところがこのオプジーボは、癌ではないヘルペスが感染している細胞を認識したキラーT細胞はヘルペスウイルスが感染したすべての細胞が持っているPDL-1にも結合してしまい、ガン細胞のみならず、無害なヘルペス感染細胞をも殺してしまうので、これらのPDL-1を持っている細胞が全て機能不全を起こし、1400種類の副作用を起こしてしまうことを避けることができなくなってオプジーボの副作用で死んでしまう人も見られるのは既に述べました。オプジーボについてはこちらを読んでください。
既にご存知のように、PD-1とPDL-1はキラーT細胞とヘルペス感染細胞との間の進化的平和条約であったのを、オプジーボを作った本庶佑先生は免疫とヘルペスとの平和条約を破ってしまったのです。いずれにしろ、ヘルペスは高等免疫である抗体とキラーT細胞では殺し切ることができないのです。ちなみに抗体は直接的にウイルスと結びついても、ウイルスを殺すのは抗体ではなくて、抗体はウイルスと結びつくことによって好中球や大食細胞に目印として示すとこれらの自然免疫に属する貪食細胞によって食べられやすくなって殺されてしまうのです。抗体は貪食細胞が食べやすいように目印になるだけであることを知っておいてください。高等免疫では細胞に感染してしまったヘルペスを始めとするあらゆるウイルスを殺してくれるのは、実は好中球や大食細胞と同じように進化度の低い自然免疫のインターフェロンα(IFN-α)とインターフェロンβ(IFN-β)というサイトカインによる自爆テロだけなのです。細胞に感染したあらゆるウイルスを細胞もろとも殺す唯一の特攻隊が原始的なインターフェロンα(IFN-α)とインターフェロンβ(IFN-β)だけなのです。インターフェロンαとインターフェロンβについてはこちらを読んでください。
新型コロナウイルスに感染している人たちの間で、感染していないので症状がない人、感染しているにもかかわらず全く症状がない人、抗体ができる人とできない人、抗体ができているのに感染力がある人、感染した後に後遺症が残る人、免疫が落ちている人が死にやすいとか、様々な情報が飛び交っていますが一体SARS-CoV-2という新新型のコロナウイルスは何なのかについて全体像を掴んでいる世界中の医者は誰も明確に把握していないので右往左往しまくっています。特に感染した後に様々な後遺症が残るのは、ヘルペスとの戦いの結果であることを世界中のどの医者も気がついていないのです。後遺症のほとんどは免疫が上がった後にヘルペスとの戦いによって出現した症状であることを誰も知らないので後で詳しく説明します。SARS-CoV-2が出現する前は、不明な病気の原因や自己免疫疾患と言われる病気はすべて化学物資とヘルペスであることも勿論世界中の医者は誰も知らなかったのです。
世界中の名だたる160社の製薬メーカーが新型コロナウイルスに対するワクチンを作り始めた中で、30社ぐらいの製薬メーカーが今すぐにでもワクチンができそうに喧伝していますが、作られていないワクチンの予約を裕福な先進国が莫大な金を投与して予約し、自国の国民に優先的に効きもしないワクチンを接種する無駄な権利をお金で準備し始めています。しかももし副作用があれば、製薬メーカーではなくて国が保証せざるを得なくなるという話がどんどん進んでいます。出来もしないワクチンが効かなかったらワクチンを買い取るために支払った予約金を製薬メーカーが返してくれるのでしょうか?まさにコロナウイルスは製薬メーカーにとっても一攫千金の夢のようなチャンスなのです。病気を作ってくれるバイオワォーに感謝感激ですね。アハハ!
私は既に絶対にワクチンはできないという根拠を述べましたが、こんな不確定な高価なワクチンに期待するよりも、先ほど述べたように、全ての人が持っている自分の自然免疫が作るインターフェロンα(IFN-α)とインターフェロンβ(IFN-β)に期待をかけるべきであり、ワクチンを作るよりもインターフェロンα(IFN-α)とインターフェロンβ(IFN-β)を人工的に作って患者に投与することが最高の治療にも関わらず世界中の製薬メーカーは全く関心を示しません。SARS-CoV-2というウイルスが起こすCOVID-19という病気がなくなると困るのは誰でしょうか?皆さん考えて下さい。アハハ!!
全ての人が生まれつき持っている免疫を抑えない限りは全ての病原体による病気は金を支払わなくても治すことができるのです。免疫は才能の問題ではないからです。絶対に作られそうもないワクチンと違って、既にサイトカインの一つであるインターフェロンα(IFN-α)やインターフェロンβ(IFN-β)が、どのように生体の自然免疫機構があらゆるウイルスに対して産生している機構は既に100%解明されているのです。後で詳しく述べましょう。中華圏で使われている清肺排毒湯という生薬を大量に服用すれば免疫が上がりIFN-αとIFN-βがどんどん作られることを前もって述べておきましょう。だからこそ中華圏ではCOVID-19の患者がほとんど増えないので死者も少ないんのです。他方白人はワクチンと抗生物質を作ったのは西洋医学であるので漢方生薬はハーブと同じで効くわけはないと考えているので、世界最高の西洋医学が進んだアメリカでは患者数が560万人を超え、死者も18万人となっています。白人たちは製薬メーカーが作った薬が最高だと思い込み、免疫を高める唯一の薬は中国医学が確立した薬草医学であることに全く気が付いていないのです。最高の薬は遺伝子が作った免疫のタンパクが最高の薬であることにも気が付いていないのです。残念ですね。アメリカのCOVID-19の患者は年内に1千万人を超えかつ死者は優に30万人を超えることを予言しておきましょう。
手前みそな話になりますが当院では漢方生薬の上で述べた清肺排毒湯を予防投与のみならず治療投与も電話診察でできることも伝えておきましょう。
INFは英語のinterfereからきた言葉で、日本語で妨害するという意味で、インターフェロンは、ウイルスの増殖を邪魔をする因子という意味であり、サイトカインの一種です。ウイルスの増殖を抑えるのみならず、殺すこともできるのです。ウイルスが人体の細胞に感染すると、その宿主感染細胞は1型インターフェロンであるINF-αとINF-βを産生し分泌します。特にウイルスが樹状細胞の中のplasmacytoid dendritic cells 、略してpDCに感染すると、INF-αとINF-βを専門的に作りだすのです。いわばpDCはもっぱらINF-αとINF-βを作るために進化したウイルスに対する最高の戦士といえます。このpDCは自分自身が作った1型インターフェロンであるINF-αとINF-βをpDC自身のレセプターにオートクリンのように結合させ、自らのpDCをさらに活性化させ、より多くのINF-αとINF-βを作り続けるのです。INF-αとINF-βは、全ての細胞が持っているINF-αレセプターとINF-βレセプターに結合し、ウイルスが侵入したということを未感染の細胞に伝え、ウイルスに対抗できる準備をさせ、INF-αとINF-βを予防的に作り出させるのです。実際にウイルスが感染すると、アポトーシスを起こして、自分の細胞もろともウイルスも殺してしまうのです。それではどのようにしてINF-αとINF-βが作られるのかを例のごとく難しいので少しずつ説明していきましょう。
インターフェロンα(IFN-α)とインターフェロンβ(IFN-β)はどのようにして作られるのか?
インターフェロンα(IFN-α)やインターフェロンβ(IFN-β)は、以前書いたようにヘルペスウイルスや新新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)が特殊な樹状細胞であるpDC(plasmacytoid dendritic cells)に感染すると、まずpDCはIFN-αやIFN-βは作り出します。このIFN-αやIFN-βは全ての細胞が持っているIFN-αレセプターやIFN-βのレセプター(受容体)に結びつくと、受容体関連キナーゼを活性化します。受容体関連キナーゼは、プロテインキナーゼ(PK)ともいわれ、2種類あります。プロテインキナーゼは、1つめのチロシンキナーゼと、2つめのセリン/スレオニンキナーゼに大別されます。チロシンキナーゼはさらに、1つめの受容体型チロシンキナーゼと、2つめの非受容体型チロシンキナーゼの2つに分類されます。従って、受容体関連キナーゼであるプロテインキナーゼは合計3種類あることになります。
プロテインキナーゼとは?
プロテインキナーゼは、下図に描かれているように、ATPやGTPの3つのリン酸基のうち、γ位のリン酸基を基質タンパク質のアミノ酸のチロシンやセリン/スレオニンのヒドロキシル基へ転移させる酵素です。これらのキナーゼ(リン酸化酵素)はホスファターゼ(脱リン酸化酵素)と共役して働くことで、遺伝子発現、細胞骨格形成、細胞接着、細胞周期の進行そして分化を精密にコントロールしています。シグナル伝達がうまく働かないと、癌や循環器疾患や糖尿病となどの疾病になります。プロテインキナーゼは、チロシンキナーゼとセリン/スレオニンキナーゼの2つに大別され、チロシンキナーゼはさらにに受容体型チロシンキナーゼと非受容体型チロシンキナーゼとに分類されます。ちなみにキナーゼは、リン酸化転移酵素と言った方がより正確です。プロテインキナーゼのことを特にキナーゼと呼ぶことが多いのです。
1)受容体型チロシンキナーゼファミリー(膜貫通ドメインを持つ受容体)
2)非受容体型チロシンキナーゼファミリー(膜貫通ドメインを持たない受容体)
3)セリン/スレオニンキナーゼファミリー(cAMPまたはcGMP、またはジアシルグリセロール、またはカルシウムイオン、またはカルモジュリンの4つによって調節されます。)
INF-αやINF-βは非受容体型チロシンキナーゼによって情報が細胞内に伝達される。
プロテインキナーゼである非受容体型チロシンキナーゼを用いて、IFN-αやIFN-βが細胞内にウイルスが感染したという情報を伝えていくのです。従って、ウイルスが人体に感染した情報を伝えるシグナル分子はIFN-αとIFN-βです。その情報を細胞の非受容体チロシンキナーゼであるTyk2やJAK2によってさらに情報を伝えていきます。それではTyk2やJAK2は、何をリン酸化するのでしょうか?それはSTAT1とSTAT2です。STATについては下で詳しく説明します。
非受容体型チロシンタンパク質キナーゼJAKやTyk2とは何でしょうか?JAK-STATシグナル伝達経路とは何でしょうか?
JAKは英語でJanus kinaseといい、日本語でヤヌスキナーゼといいます。ジャックと発音することもあります。すぐ上で説明した非受容体型チロシンキナーゼの1つです。Jakに属するファミリーは4種類あり、機能や遺伝子の位置の違いからJak1、Jak2、Jak3、Tyk2の4つに分けられています。JAKsは、細胞膜に隣接し、box1/box2領域と呼ばれる各細胞内ドメイン内のアミノ酸のプロリンが多い領域と会合します。会合とは、同種の分子が比較的弱い分子間力によって2個以上結合し、一つの分子単位のように行動する現象であり、またこのような単位を会合体と呼びます。単位を構成する分子数によって二量体、三量体などと呼びます。受容体が例えばIFN-αやIFN-βなどのサイトカインと結合した後、立体構造変化を経ると、2つのJAKが接近し、お互いにリン酸化してしまうのです。これをJAKの自己リン酸化といい、自己リン酸化によって、立体構造の変化を引き起こし、さらにSTATと呼ばれる転写因子をリン酸化し、STATを活性化することによって細胞内シグナルを核に伝達することが可能になるのです。従ってSTATは、英語でSignal transducer and Activator of Transcription、またはSignal Transduction And Transcriptionといい、略してSTATと呼ばれ、日本語でスタットと読み、シグナル伝達兼転写活性化因子と訳します。活性化されたSTAT(スタット)は受容体から解離し、細胞核に移動する前に二量体を形成し、核内でSTATによって選択された遺伝子の転写を行う転写因子となります。これをJAK-STATシグナル伝達経路といいます。
この経路を使用する分子の例は、今述べたサイトカインであるIFN-αやIFN-βが、ウイルスが人体の細胞に感染したという情報を核に伝えて、同じIFN-αとIFN-βを作らせて、最後はアポトーシスを行わせ、細胞もろともウイルスも殺してしまうのです。アポトーシスに至るまでの詳しい説明や、インターフェロンαとインターフェロンβについての詳しい説明はこちらを何回も読んでください。 IFN-αやIFN-β以外の数多くのサイトカインや、コロニー刺激因子(CSF)や、プロラクチン(乳管への乳汁分泌作用と性腺抑制作用を持つ)や、成長ホルモンなどが、シグナル分子としてこのJAK-STATシグナル伝達経路を用い、最後はSTATを転写因子として核の遺伝子を発現させて、シグナル分子の情報に相応しいタンパクを作らせ、それらの細胞増殖、生存、発達そして分化に深く関わっているのです。特に免疫細胞や血球系細胞において重要な役割を果たしているのは、IFN-αとIFN-βの説明で充分に理解できるでしょう。特に、非受容体型チロシンタンパク質キナーゼであるJAKファミリーの一員であるTYK2は、IFN-α、IL-6 、IL-10およびIL-12の免疫に関わるシグナル伝達にも関わっています。
以上、難しすぎましたが、細胞に感染した全てのウイルスが、細胞もろともIFN-αやIFN-βによる自爆テロでしかヘルペスウイルスや新新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を殺すことができないことを知ってください。
今日はここまでです。2020/08/24
新聞報道で様々な情報が飛び交っていますが、アットランダムにその情報の意味付けをしていきましょう。
4月25日にWHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスの抗体が出来ても、再感染する可能性があると警鐘を鳴らしている。
抗体が陽性になったり陰性になったりするのは既に述べました。述べた以外にアメリカの遺伝子研究所、つまりバイオウォー(Bio war、生物戦争)をやるためにバイオウェポン(Bio weapon、生物兵器)を作り出すアメリカの医学研究者たちも初めは2003年に起こしたSARSと同じような帰趨をCOVID-19もとるだろうと考えていたようですが、全くありないと思っていたことが大事件に発展したので彼ら自身も驚天動地の思いで右往左往しながら悔しい思いをすることでしょう。だって、彼ら自身もどうすることもできなくなってしまったからです。
8月25日の報道では、香港の科学者らは24日、新型コロナウイルスに4カ月半前に感染して回復した30代の健康な男性が、再び感染したことを確認したと発表しました。再感染の確認は世界初となりました。科学者らによると、1回目と2回目に感染した新型ウイルスは遺伝子の配列から、「明らかに異なる」ものだと確認したのです。この事実は何を意味するかといいますと、私が以前から予言していたようにSARS-CoV-2ウイルスはまさに普通感冒のコロナウイルスの遺伝子を組み変えたというよりも、クリスパーキャス9の遺伝子挿入の技術を用いて新たなるウイルスの遺伝子であるAIDS、エボラ出血熱ウイルス、インフルエンザウイルスを組み入れたという証拠となります。ある新聞報道は一週間で新型コロナウイルスは自然に変異した記事を読んだことがありますが絶対にありえないことです。
ウイルスに対して免疫が抗体を作るということはそもそも本質は何なのか説明してあげましょう。答えは極めて簡単です。ウイルスの遺伝子はタンパクを作るために存在しています。ウイルスが人体に感染したときにタンパクを異物である抗原と認識した時に抗体を作ります。この抗体が何種類もあるということはSARS-CoV-2のウイルスに何種類かの抗原となりうるタンパクを作らせる遺伝子がそもそも存在していたということです。したがって一度感染して1種類の抗原に対して抗体ができ、かつメモリーT細胞、メモリーB細胞ができたとしても、再びSARS-CoV-2が感染すると新たなる別の遺伝子がタンパクを作り、新たなる抗原として免疫が認識すれば別の種類の抗体を作ることになるのです。
SARS-CoV-2の完全な免疫がつくということはそれぞれの遺伝子が作る全ての抗原に対してメモリーT細胞、メモリーB細胞、さらにメモリーキラーT細胞が作られる必要があるのです。だから、言い換えるとSARS-CoV-2に感染するということは多種類のウイルスに同時に感染したということになるのです。
さらに現代のPCRの検査は2種類の遺伝子だけを確認してSARS-CoV-2の診断をしているようですが、どの部分の遺伝子を確認しているのかその情報が一切確認されていないので疑問が色々あるのですが、いずれにしろPCRの検査もどのようにしてその2つの遺伝子を選んだのかも明らかにされていないので、新型のSARS-CoV-2の医学界の対応は混乱が増すばかりであります。いずれにしてもSARS-CoV-2に対するワクチンが絶対できないことはここに予言しておきましょう。ワクチンの話について再掲します。ワクチンの全てについて復習のために私の別のブログで掲載したワクチン関連の記事を再掲しておきます。なぜならば世界中の政治や経済の全てがワクチン頼みの一辺倒ですから警鐘を鳴らす意味で、SARS-CoV-2に対するワクチンが残念なことに絶対に作られないことをもう一度再確認しておきましょう。さらにワクチンが作れなくとも免疫を上げる唯一の漢方生薬である清肺排毒湯で免疫を上げて治すことができるということを皆さんにお知らせしておきたいのです。ワクチンが作れない限りは自分の免疫でしかSARS-CoV-2のウイルスを征服できないということを再確認してください。しかも、一番期待が持たれているワクチンは新しいワクチンであるDNAキャリアワクチンですが、これこそ最も永続的なワクチンができにくいタイプのワクチンであることを下の文章を読んで理解しておいて下さい。
ワクチンの種類
4種類があります。1)不活化ワクチン、2)弱毒化ワクチン(生ワクチン)、3)トキソイドワクチン、4)DNAキャリアワクチンの4種です。
不活化ワクチンとは
まず不活化ワクチンについて詳しく述べましょう。不活化ワクチンは英語でinactivated vaccineと訳します。さらに不活化ワクチンは非活化ワクチンとも言われることがあり、英語でnon infectious vaccines ともいい、日本語で非感染性ワクチンと訳します。別名、死菌ワクチンともいいます。
不活化ワクチンには、①ジフテリア、英語でdiphtheriaと書き、略してD、②百日せき、英語でpertussis、発音記号は、〔pərtʌ́sis〕であり、略してPで別名whooping coughです。③破傷風、英語でtetanusと書き、略してT、 ④ポリオ、英語でpoliomyelitis、日本語で急性灰白髄炎といい、不活化ワクチンは英語でinactivated poliovirus vaccine、略してIPVといいます。⑤日本脳炎、⑥インフルエンザ、⑦A型肝炎、⑧B型肝炎、⑨肺炎球菌、の9つがあります。
ここで書いておきたいことは、不活化ワクチンでは終生免疫はつかないということです。なぜならば終生免疫がつくために必要なメモリーキラーT細胞が不活化ワクチンでは生まれないからです。メモリーT細胞が生まれるためには、樹状細胞に直接ウイルスが感染しなければなりませんが、不活化ワクチンは死んだウイルスですから、樹状細胞に感染しようがないからです。
ちなみに四種混合ワクチンというものがあり、DとPとTとIPVを4つ混ぜて一度に投与します。 これをDPT-IPV四種混合ともいいます。さらにDとPとT を3つ混ぜて三種混合ワクチン(DPT)として一度に投与します。さらに二種混合ワクチンというものもあり、DとTを2つ混ぜて1度に投与します。これをDT二種混合と言います。
不活化ワクチンは、病原性を無くした細菌やウイルスの一部を使います。生ワクチンに比べて免疫力がつきにくいので、何回かに分けて接種するのです。
ポリオワクチンは、口から飲む(経口)生ワクチンと注射の不活化ワクチンの2種類があり、日本の定期接種には生ワクチン(経口)のポリオワクチンが指定されていましたが、2012年9月からは注射の不活化ポリオワクチンに切り替わりました。というのは、ご存知のように、現在でもポリオワクチンには不活化ワクチンと弱毒化ワクチンの2つがありますが、弱毒化ワクチンはいわゆる生ワクチンであるので、ポリオのウイルスが生きているので生ワクチンは感染する危険があるので、日本でもようやく2012年9月1日から不活化ワクチンに切り替わりました。
それでは、不活化ワクチンの欠点は何かをもう一度復習してみましょう。2点あります。1つ目は、不活化ワクチンは、記憶ヘルパーT細胞と記憶B細胞を生み出すのですが、記憶キラーT細胞は作らない点が欠点です。なぜならば、不活化ワクチンは、APC(antigen presenting cell)に感染することができないからです。
2つ目の欠点は、不活化ワクチンによってつく免疫は、一般的には生きた微生物によるワクチン(弱毒化ワクチン)ほど長く続かないという点です。
弱毒化ワクチン(生ワクチン)とは
2つ目のワクチンは弱毒化ワクチン、英語でattenuated vaccineと訳します。attenuated というのは毒が薄められたという意味です。①麻しん(はしか)英語でmeaslesです。②風しん、英語でrubellaです、③水痘(みずほうそう)英語でchickenpoxです。ヒトに対して水痘(Varicella)と帯状疱疹(Zoster)を引き起こします。初感染時に水痘を引き起こします。治癒後の非活動期は神経細胞周囲の外套細胞に潜伏しており、ステロイドを投与して免疫力が低下するとウイルスが再び活性化し、帯状疱疹を引き起こします。したがって、潜伏してしまえばワクチンの効力はなくなるので、水疱瘡のワクチンはやる必要は全くありません。④BCG(結核)BCGはフランス語の略であり、Bacille de Calmette et Guérinと書き、日本語でカルメット・ゲラン桿菌と訳します。Bacille はフランス語で桿菌です。Calmetteは人の名前で、Guérinも人の名前です。⑤おたふくかぜ(mumps)、⑥ポリオ(poliomyelitis vaccine)の6つがあります。このポリオワクチンは、経口生ポリオワクチンと呼び、英語で訳すとlive oral poliomyelitis vaccineと書きます。ポリオの不活化ワクチンは非経口の注射で行いますが、弱毒化ワクチン、つまり生ワクチンの場合は注射で生きたワクチンを行うのは危険なので経口投与であります。
ちなみにM(Measles、麻しん)とR(Rubella、風しん)の2種のワクチンを一度に投与する混合ワクチンを二種混合ワクチンのMRといいます。以前には麻疹、おたふくかぜ、風疹等のウイルス感染症は1度かかると2度はかからない(終生免疫)と考えられていました。同じように、生ワクチン接種の場合も免疫は終生続くと考えられていました。しかし、感染を防ぐだけの抗体が維持されるのは、麻疹がときどき流行して、麻疹のウイルスと接触しているためと考えられてきましたが、これは間違っています。ひとたび本物の麻疹ウイルスに接触した時に、メモリーキラーT細胞(Memory CTL)ができない限りは、細胞内にウイルスが感染した時には抗体は手も足も出ないのです。メモリーキラーT細胞(Memory CTL)が生まれるためには、樹状細胞に生きたウイルスそのものが感染しなければ生まれないということが最近わかりました。従って、ウイルスの生ワクチンは決して本当の生きたウイルスではないので、樹状細胞に直接感染することができないので、抗体ができてもメモリーキラーT細胞(Memory CTL)は生まれないので、生ワクチンで終生免疫は不可能です。麻しんウイルスは、人体に感染すれば抗体は作ることができるのです。
生ワクチンは、生きた病原体のウイルスや細菌が持っている病原性を弱めたものです。これを予防接種すると、その病気に自然にかかった状態とほぼ同じ抗体を作る免疫力がつきます。しかしながらメモリーキラーT細胞(Memory CTL)が生まれないことを知ってください。
ポリオについてお話しましょう。かつて日本には多くのポリオ患者さんがいましたが、ポリオ生ワクチンの一斉投与が行われるようになってから、その数は急激に少なくなり、1981年以来日本ではポリオの患者さんの発生はありませんでした。ポリオの生ワクチンは、強毒化した病原性がほとんどないポリオウイルスを経口生ワクチンとして飲むことによって免疫ができ、野性ウイルスと呼ばれる自然のポリオウイルスの侵入が防止できます。しかし生ワクチンの欠点として、極めて稀に、ワクチンを飲んだ人に自然のポリオと同じ様な症状が現れてしまうことがあります。これがポリオワクチンによる麻痺例で、日本では約440万回接種あたり1件、数年間に1件生じました。またポリオのワクチンを飲んだ人の便からは、弱毒のワクチンウイルスが、1~2カ月間排泄され続けますが、これがポリオの免疫のない人の口から入ってしまうことがあります。ワクチンを飲んだ人の便から現れる弱毒のウイルスが、ポリオウイルスの遺伝子が変異し毒性が強くなる変異株となっていることもあります。このように生ワクチンは、時に副作用が出るので、日本でもようやく2012年9月1日から新しいワクチンである不活化ワクチンに切り替わったのです。
不活化ワクチンと(経口)生ワクチンの違いについてもう少し詳しく説明しましょう。不活性化ワクチンは血清中の抗体は誘導できますが、不活化ワクチンはタンパクなので腸管で消化されてしまうので腸管免疫を誘導できません。このため、ポリオウイルス感染による急性弛緩性麻痺発症予防は可能ですが、経口生ポリオワクチンより流行を阻止する力は劣っています。高等免疫のメモリーヘルパーT細胞や、メモリーB細胞はできやすいのですが、メモリーキラーT細胞ができにくいので、その結果免疫持続期間も短期的であり、一生免疫を持続させることができません。そのために定期的な接種が必要で、接種費用が高くなります。
一方、経口生ポリオワクチンは、咽頭と腸管での局所免疫と全身免疫の両者を誘導し、3つの高等免疫のうち2つのメモリーヘルパーT細胞や、メモリーB細胞ができて継続して抗体は作れますが、既に説明したようにメモリーキラーT細胞ができません。新新型コロナウイルスでも言われているように、集団免疫、英語でherd immunityや、herd effectや、community immunityや、population immunityや、social immunityなどといいますが、このherd immunityによるポリオ根絶には経口生ポリオワクチンが優れていますが、腸管で増殖したワクチン株ウイルスは便中に排泄され、周囲の人に感染し、周囲の感染を繰り返す中で強毒化する危険性があります。ちなみにherdは集団という意味です。
ポリオの不活化ワクチンと経口生ポリオワクチンのいずれにしろ、神経細胞に侵入したポリオウイルスに対して、最高の免疫の働きであるメモリーキラーT細胞ができないので、副作用のない安全な不活化ワクチンの方が良いのに決まっています。だからこそ、2012年に日本の厚労省は、ポリオのワクチンは不活化ワクチンに統一したのです。新新型コロナウイルスに関しては、スウェーデンが実践しているようですが、3つのウイルスの遺伝子を組み入れた人工コロナウイルスではherd immunityは絶対に起こり得ません。感染の第一関門である3密を規制しないスウェーデンは、新新型コロナウイルスの患者がさらに増え、死者数も増えていくでしょう。アメリカの患者数や死者数が増え続けているのは、移動の規制をしないでherd immunity(集団免疫)を狙っているからかもしれません。
弱毒化ウイルスワクチンの利点は2点あります。1つは、大抵は不活化ワクチンよりも長続きする免疫を与えることができます。なぜならば、弱いけれども生きたワクチンを投与された宿主で、ある程度複製できるのでそれによって自然感染を模倣できる可能性があるからです。
さらに大事な利点の2つ目は、弱毒化ウイルスワクチンは、不活化ワクチンと違って記憶キラーT細胞を生み出すことができる点です。なぜならば、生きた弱毒化ウイルスワクチンは、APCに感染することができ、免疫を刺激してCTLを生み出し、細胞に感染したウイルスを殺すことができるからです。しかしながら、弱毒化ウイルスワクチンは、感染性の生きたウイルスを含んでいるので安全性に問題があるのです。ワクチンを投与された人が接触した幾人かに感染するほど十分なウイルスが増えてしまうことがあります。感染した接触者が健康な人であれば、免疫学者がいうところの集団免疫を生み出されたならば利点になりますが、免疫の落ちている人に感染すると生きた弱毒化ウイルスを抑制することができなくなり、本当の病気になる可能性があるのが欠点です。
とにかく、弱毒化ウイルスワクチンというのは、ウイルスが死んでいるのではなく弱まっているだけなので、免疫抑制が強い人にとってはこの弱毒化ワクチンは重大な結果をもたらすことがあるのです。
集団免疫(Herd Immunity)
コロナウイルスでも、新聞紙上で集団免疫(Herd Immunity)という専門用語を目にしたことがありません?スウェーデンでは三密規制がありません。コロナ患者は、非常に多く死ぬ人も多いのですが、全ての人がコロナに感染すれば最後は集団免疫(Herd Immunity)が付くからいずれ感染がなくなるという考え方です。集団免疫(Herd Immunity)とは何でしょう?
集団免疫(しゅうだんめんえき、英語で herd immunity, herd effect, community immunity, population immunity, social immunity)とは、ある感染症に対して集団の大部分が免疫を持っていると、免疫を持たない人が新たに感染する度合いが少ないという意味で、未感染の一般大衆を保護する手段となる考え方です。多数の人々が免疫を持っている集団では感染の連鎖が断ち切られる可能性が高く、病気の拡大は収まるか緩やかなものとなります。あるコミュニティにおいて免疫を持っている人の割合が高ければ高いほど、免疫を持たない人が感染者と接触する可能性は低くなるので、いつの間にか感染が止まるというわけです。今、コロナ禍の真っ只中で世界でスウェーデンが唯一実行している集団免疫(Herd Immunity)が果たして成功するかどうかはやってみなければわかりません。私は絶対に失敗すると考えています。なぜならば、新新型コロナウイルスのワクチンができないということは、一度コロナウイルスに罹れば終生免疫ができないのと同義語です。ちょうどヘルペスウイルスと同じで、ヘルペスウイルスに対するワクチンができないのは、一度ヘルペスに罹ったからと言って永遠に再感染とか再活性化がないといえないからです。だからこそ、すでに述べたように水疱瘡のワクチンは意味がないのです。ヘルペスは、死ぬ病気ではないのですが、新新型コロナウイルスは死ぬことがあるのでこれからの人類の最大の敵となり続けるでしょう。今後、コロナウイルスに罹らないためには3密をさける必要が永遠にあるでしょう。
トキソイドワクチンとは
3つ目がトキソイドワクチンで不活化ワクチンとして分類されることもあります。なぜならば、もともと病原体が作り出す毒素(トキシン)は生命体でないので、その毒素を弱くしようが生きていないワクチンですから、不活化ワクチンとして分類していいのです。①ジフテリア、②破傷風の2種です。トキソイドは、細菌の産生する毒素(トキシン)を取り出し、免疫を作らせる能力は持っていますが毒性は無いようにしたものです。トキソイドとは、外毒素をホルマリンなどで処理することにより、免疫原性を有した状態でその毒性を消失させたものです。ホルマリンは、ホルムアルデヒドの水溶液です。トキソイドは類毒素と訳されます。不活化ワクチンの一種であるとされることもありますが、不活化ワクチンは、病原体そのものを対象とするのに対して、トキソイドは細菌の外毒素を対象とするものであり、両者は異なる概念であるとされていますが、免疫が認識するのは異物であるタンパクですから、両者が異なる概念であるとは言い過ぎです。トキソイドワクチンは既に述べたように、破傷風、ジフテリアの予防に利用されます。もちろん毒素が樹状細胞に感染することはないので、メモリーキラーT細胞が生まれるはずもないし、生まれる必要もないのです。
ここから4つ目のDNAキャリアワクチンについて述べます。
アンジェスの新新型コロナウイルスに対するDNAキャリアワクチンとはなんでしょうか?
阪大の森下教授のアンジェスが開発しつつある、新新型コロナウイルス表面に発現するスパイク(英語でspike、略してS)タンパク質遺伝子をコードしたDNAワクチンです。コロナのDNAワクチンは、対象とするコロナウイルスの病原体のスパイクタンパク質をコードする環状DNA(プラスミド)の接種で病原体タンパク質を体内で生産し、液性免疫や細胞性免疫が誘導されることで、新新型コロナウイルスに感染しにくくなるほか、重症化が抑制されるなどの効果が期待されていますが、頭のいい人は完全なワクチンとしては必ず失敗することはお分かりでしょう。
コロナウイルスはエンベロープを持つウイルスであり、人体の細胞に感染するのは、コロナ粒子が細胞の受容体に結合し、ウイルスのエンベロープと細胞膜と融合することです。コロナウイルススパイク(S)蛋白は、“王冠(コロナ)様”突起(スパイク)を持つので、コロナウイルスと名づけられたのです。スパイクは最外部が球状で,その下の棒状部位でウイルスのエンベロープに埋め込まれています。
DNAキャリアワクチンは、SARS-CoV2のスパイク蛋白に対するワクチンであるので弱毒化ワクチンと異なり、病原性がないなどの特徴があります。「大腸菌を用いて製造するため、極めて短期間で供給ができる。今回のような緊急事態にはDNAワクチンは非常に適している」と有用性を強調しています。アンジェスの報道によれば、DNA ワクチンは、生きた危険なSARS-CoV2の病原体を一切使用せず、ただスパイク蛋白(Sタンパク)を作らせるだけですから、安全かつ短期間で製造できる特徴があります。コロナウイルスという病原体のタンパク質をコードする環状 DNA(プラスミド)を接種することで、病原体のDNAがコードするタンパク質を体内で生産し、コロナウイルスに対する免疫を付与します。弱毒化ワクチンとは異なり、病原性を全く持たないため、安全です。とアンジェスは報道しています。念のために、私が名づけた新新型コロナウイルスはSARS-CoV2とかCOVID-19と名づけられていることを確認してください。
しかしこの論理には疑問があります。なぜならば、免疫は病原体全体のタンパク質に対して異物と認識し、様々な症状を起こし、病気を生み出します。従って、DNAワクチンを投与することによって作られたタンパク質に対して、人体がどのタンパク質の抗原に対してヘルパーT細胞や、Bリンパ球や、キラーT細胞が免疫記憶細胞となるかが全くわかりません。ましてやキラーT細胞が永久免疫を生み出すメモリーキラーT細胞(memory CTL)は、APCである樹状細胞(dendritic cell)に直接新新型コロナウイルス(SARS-CoV2)が感染しないと絶対に生まれないので、必ず失敗するでしょう。DNAワクチンは樹状細胞に果たして感染してくれるでしょうか?それがわかるまではアンジェスの株価は上がり続けるでしょう。アッハッハ!
さらに森下教授のDNAワクチンは一つ疑問が残ります。新新型コロナウイルス(SARS-CoV2)は全てRNAが遺伝子です。にもかかわらず、彼はDNAワクチンと言い続けるのでしょうか?それを説明しましょう。
アンジェスをはじめ前述した企業が手掛けているのは、メッセンジャーRNAやDNAなどの遺伝情報を基に、体内で抗原となるたんぱく質を作らせる新しいタイプのワクチンです。新型コロナウイルスが持つたんぱく質に対する免疫を誘導して感染を抑えます。これまで作られたRNAワクチンやDNAワクチンで承認されたものは未だかつて1つもありません。伝統的なワクチン、例えばインフルエンザワクチンの場合、鶏卵の中でウイルスを増殖させたあと、増殖能力を失わせる処理をして製造しています。遺伝子組み換え技術によって、ウイルスが持つ抗原のたんぱく質を大量生産したワクチンも、既に様々な感染症に対して承認されています。これらはDNAキャリアワクチンではありません。一方ただ、たんぱく質の設計図であるRNAやDNAから成るワクチンは、以前から研究されてはきましたが、まだ承認されてはいませんでした。このため、アンジェスが作ろうとしているこれらのワクチンについては、有効性もさることながら、安全性についてより慎重に検討する必要があります。理屈の上では安全性が高いと考えられても、多数の人に使用した場合に、予期しない副反応と呼ばれる症状が現れる可能性は否定できません。それでなくとも健康な人に予防のために投与するワクチンに対しては、治療薬よりも安全性に対する要求は厳しいのは言うまでもありません。緊急事態ですから、COVID-19(SARS-CoV2)に対する薬は効果性や安全性を無視して大歓迎である風潮がありますが、十分注意すべきです。最後に、なぜCOVID-19に対するワクチンができないのか論証します。
環状DNAであるプラスミドにワクチンを作る上で必要な遺伝子を加え、かつ新新型コロナウイルス(SARS-CoV2)はRNAですから、RNAをDNAに変えて大腸菌に導入するのです。従って、本来は新新型コロナウイルスはRNAウイルスであるのですが、これをDNAに変えてDNAに導入するので、元のRNAはDNAに変えられてしまっているので、DNAキャリアタンパクと言ってもおかしくはないのです。この大腸菌を培養することで、このDNA遺伝子を含んだプラスミドを大量に得ることができます。
このようにRNAをDNAに変えて新新型コロナウイルスのDNAワクチンを作らせるプラスミドのDNAに新型コロナウイルス(SARS-CoV2)の表面にあるタンパク質の一部(Sタンパク)を作り出すような遺伝子を組み込み、このプラスミドを体内に投与します。意図した遺伝子を組み込んだプラスミドDNAを体内に投与することによって、体内で治療に必要とされるタンパク質物質(抗原)が作られます。体内で目的のタンパク質(Sタンパク抗原)が作られると、次に免疫システムはそのSタンパク質を異物として認識し排除対象として免疫が戦いを始めます。具体的には、Sタンパクを認識するヘルパーT細胞や抗体を作るB細胞が生まれますが、その結果、ウイルスが体内に侵入してくると、ウイルスの表面にあるタンパク質を目印にして排除されるようになると言う訳です。ところが、あくまでもSタンパク抗原は単なる1つのタンパクに過ぎないので、このSタンパク抗原は人体の樹状細胞に感染することができないのでメモリーキラーT細胞を生み出すことはできません。SARS-CoV2が新たに細胞に感染してしまうと、メモリーキラーT細胞がないので感染が広がるばかりになります。だからこそ、アンジェスのDNAキャリアワクチンは絶対に感染を防ぐワクチンにならないので、絶対に失敗すると主張しているのです。
今までの不活化ワクチンや生ワクチンと比べて、DNAワクチンは大腸菌を増殖させればプラスミドDNAをいくらでも増やせるので、簡単に増産することが可能です。値段が比較的安いというのも一つの特徴です。また、ウイルスそのものを使うのではなく、ウイルスの遺伝情報をプラスミドに挿入して利用しているため、ウイルスのゲノム情報が公開されればすぐに開発に着手できる上に、DNAそのものは核酸ですから、核酸は極めて安全ですから、核酸の副作用については何も心配することはないのですが、上で説明した通り、不活化ワクチンレベルの効果がありそうですが、絶対的で完璧なワクチンには成り得ないのです。
新型コロナウイルスのDNAワクチンとして、アメリカのバイオテクノロジー企業のモデルナが新型コロナウイルスのDNAデータが公開されてから42日でRNAワクチン(DNAワクチンと似たタイプのワクチン)を作ることもできたのです。もちろん言うまでもなく、RNAそのもののキャリアワクチンを作ることもできるのです。アンジェスは3月5日に開発を発表して、3月24日にはDNAワクチンが完成させました。20日間で作れたのは世界最速の新新型コロナウイルスのDNAキャリアワクチンだったのです。
上に大腸菌とベクターであるプラスミド(遺伝子の運び屋)の関係図と、1個の大腸菌の細胞内のプラスミドの一部(濃い赤色)になっているコロナウイルスのSタンパク遺伝子によって作られるタンパク質の絵図を掲載しておきます。
ベクター(vector) とは、プラスミドそのものであると理解して下さい。新新型コロナウイルス(SARS-CoV2)の遺伝物質を大腸菌の細胞に人為的に運ぶために利用される遺伝子であるDNAやRNA分子です。大腸菌の大量培養により、大腸菌が分裂するたびごとに増殖し、新新型コロナウイルス(COVID-19)の遺伝子やDNA配列やRNA配列を増やし、目的のタンパク質をも増やすことができるのです。プラスミドとは大腸菌の細胞内で複製され、大腸菌が分裂する度ごとに娘細胞に分配される大腸菌の染色体以外のDNA分子の総称です。大腸菌の核様体のDNAとは独立して自律的に複製を行うことができ、一般に二本鎖環状構造をとります。大腸菌は原核生物ですから、核がないので核様態のDNAと表現するのです。
上 にベクターであるプラスミドの赤色と青色の二本鎖環状構造を図示しておきます。
キャリアワクチンとは何か?
キャリアワクチンの概念は素人には極めて難しいのでもう一度復習しましょう。今をときめく遺伝子工学の手法を用いて、病気を起こさないウイルスやプラスミドの中に新新型コロナウイルス(SARS-CoV2)の遺伝子を導入することによってワクチン製剤を作れるようになりました。このようにウイルスを遺伝子工学的に処理することによって人間の細胞の中に病原性のあるウイルスの遺伝子を運ばせることもできるのです。このような考え方は1990年代に生まれたのですが、すぐ上で述べたように、このような細胞(大腸菌)は、大腸菌自身のタンパクに加えて、遺伝子を挿入された病原微生物(新新型コロナウイルス)などを作り出すのです。その結果、キャリアワクチンを人体が取り込むと本当の病原体(新新型コロナウイルス)による未来の感染に対して守ってくれるメモリーキラーT細胞を生み出すはずなのです。ところが、SARS-CoV2そのもの全体を作りだすと正に新たなる感染が起こるので、SARS-CoV2の一部のRNAを運ばせるのです。この時、抗体は作れることができますが、細胞に入り込んだウイルスを細胞もろとも殺すメモリーキラーT細胞は作れないのです。なぜならば、何回も繰り返しますが大事なことは、キャリアワクチンが運ぶ一部のRNAやDNAが作り出すタンパクに対する抗体を作る可能性があるので、免疫がそのタンパクに対しては付くのウイルスが作り出す病気を引き起こす可能性が減ります。なぜならば、病原体(新新型コロナウイルス)の多くの遺伝子の中でウイルスが細胞に侵入するために絶対に必要な、ほんの少しの遺伝子だけがキャリアワクチンによって運ばれ、ウイルスが細胞に侵入する可能性が減るからです。ところが、一度ウイルスが細胞に侵入していまうとメモリーキラーT細胞ができないので、完璧なワクチンとは言えないのです。
この方法は、特にAIDSのワクチンを作るために用いるには完璧なものだと思われ、このタイプのワクチンが今なお試験されつつありますが、残念ながらこれまで認められたキャリアワクチンは一つもありません。
アンジェスは、このような難関に挑戦しているのですが、AIDSのワクチンを作る以上に難しい3つの遺伝子が組み入れられた新新型コロナウイルスに対するキャリアワクチンは、果たして阪大の森下先生は成功するでしょうか?無理です。
果たしてAIDSのワクチンが作れるでしょうか?絶対に無理です。
効果的なAIDSのワクチンを作るためには、メモリーキラーT細胞をワクチンに作らせなければなりません。したがって、他のウイルスや病原体に対して作られてきた不活化ワクチンはAIDSのウイルスに対しては全く役に立ちません。したがって、AIDS発症以来、AIDSウイルスに対する弱毒化ワクチンが、メモリーCTLを生み出すであろうワクチンをAIDSウイルスを弱毒化することによって用いられてきましたが、全て失敗しました。その失敗の理由の一つは、極めて高頻度な変異を行うので、最初に作らえらたワクチンが効かなくなることと、かつ、弱毒化ワクチンを一般の人に予防的に接種すると、本当のAIDSに罹り致命的になることがあるのです。したがって、AIDSウイルスの弱毒化ワクチンは一般の人に用いることができないのです。一方、キャリアワクチンは、メモリーCTLを生み出しAIDSウイルスの感染のリスクを、キャリアワクチンを受けた人に生じることがないかもしれませんが、今までのところ、このキャリアワクチンの戦略は強力ですが、同時に安全な免疫反応を生み出すワクチンは未だかつて認められたことはないのです。何回も繰り返すようですが、安全なキャリアワクチンがHIVに特異的なCTLを生み出すように設計されたとしても、AIDSウイルスの高頻度の変異率がそのようなCTLを生み出すことを難しくしています。HIVに感染した患者は、単にAIDSウイルスを持っているのみならず、少し遺伝子が異なった非常に多くの種類のHIVを体内に保持しているのです。したがって、このようなHIVの人が別の人にHIVを感染させると、この人は単に1種類の遺伝子を持ったAIDSウイルスに感染したわけではなく、違った種類のAIDSのウイルスの一団に感染していることになります。したがって、AIDSウイルスのワクチンを作るために使われる、ある1種類のHIVウイルスに対して感染を防いでくれるワクチンによってメモリーT細胞が生み出されたとしても、実際に感染を起こしている様々な変異型のHIVに感染してしまっているので1種類のワクチンだけでは無意味なのです。AIDSウイルスが実際に急速に変異してしまう能力を持ち続ける限りは、効果的なAIDSウイルスのワクチンを作るのに最大の障壁になってしまうのです。
今回のSARS-CoV2は、アメリカが中国に対してAIDSとエボラ出血熱とインフルエンザウイルスの3種類の遺伝子を組み込んでバラまいたと仄めかしているように、COVID-19コロナウイルスは様々な種類の遺伝子から成り立っているので、単一のワクチンだけでは全く意味がないのです。地球誕生以来、世界で初めての人工ウイルスであるSARS-CoV2に対するワクチンを作ることはAIDSウイルスのワクチンを作る以上になお一層難しいのです。
今なお、世界中で毎年100万人も殺しているマラリアや毎年300万人も亡くなっている結核に対しても、数十年以上に渡るこれらの病気に対するワクチン作りの努力も今なお成果を結んでいません。さらに、地球上の3分の1の人たちが単純ヘルペス(HSV)に感染していますが、HSVに対するワクチンさえ出来ていません。帯状疱疹(VZV)のワクチンが各国で接種されていますが、実はこれは既に述べように本当のワクチンではありません。なぜならば、VZVに一度罹ってもアトピーなどでステロイドなどを長期に用いて免疫を抑えれば、一度VZVに罹ったりあるいはVZVのワクチンを接種したにもかかわらず再感染のみならず、再活性化も常に生じているからであります。そんなVZVのワクチンをワクチンと呼べるのでしょうか?しかも、同じ仲間であるHSVに対してはワクチンができなくて、VZVに対してはワクチンができるという根拠が全く示されていないのです。
なぜワクチンにアジュバントが必要なのか?アジュバントとハプテンの関係
病原性のあるウイルスのような微生物の襲撃をまねるワクチンを作るためには、免疫系の樹状細胞がそのワクチンを異物であり、かつ危険なものとしてみなされなければなりません。ところが、たった一つとか数種類のタンパクからしか作られていない1種類のワクチンが、樹状細胞に危険なタンパクであると知らせることは実は結構難しいのです。実際、人体にとって異物であるというタンパクが人間に注射されるとしても、免疫系はそれを無視することが多いのです。なぜならば、その異物であるタンパクは免疫系の樹状細胞が危険だと認識しないことが度々あるからです。したがって、確実にワクチンが危険な敵であると樹状細胞が認識するためには、ワクチンをアジュバントと結合させることが必ず行われています。アジュバントというのは、すでに述べましたがラテン語で「手助け」という意味があり、英語でAdjuvantと書き、ワクチンと一緒に投与して、危険な異物である物質を免疫に強く認識させるために使用されます。ほとんどあらゆるワクチンで用いられるアジュバントは、アルミニウム水酸化物、英語でAluminum hydroxideであり、略してアラム(Amnu)が用いられており、重要な危険信号を免疫系の樹状細胞に伝えているのです。ワクチンに添加するアジュバントの働きの1つは、投与されなければならないワクチンの量を減らすことできることです。
アレルギーの時にハプテンという化学物資とタンパクが結びついてアレルゲンとなり、アレルギーを引き起こすのは皆さんご存知でしょう。アジュバントは、ハプテンと同じ仕事をしているのです。だから、アジュバントが人体にとって不必要な化学物資ですから、化学物資を入れられたくないためにワクチンを打たない人もたくさんいることを知っておいて下さい。
キャリアワクチンの小史
言うまでもなく、ワクチン接種は医学史の中で人類を病原菌(病気)から救った最も成功した免疫医学の華です。DNAワクチンは1990年代初頭から開発されている新しいワクチンです。DNAワクチンは有望であるように見えますが、既に述べたように、これまでに世界各国の厚生省で承認されたヒトDNAワクチンはありません。DNAワクチンやRNAワクチンを人体に輸送するシステムは、大腸菌などの生きた菌やウイルスをベクター(プラスミド)に入れ込んで運ばせています。大腸菌や乳酸菌のような生菌ベクターは、免疫システムによって認識されるので、強力な免疫応答を人体に誘発します。大腸菌ベクターによって使用される投与経路は、粘膜経路を通じてです。乳酸菌も、生菌ベクターとして最もよく使われる細菌の一つです。多数の研究により、生きた細菌ベクターがDNAワクチンを提供する有望な候補であることが示されましたが、終生免疫にとって一番大事なメモリーキラーT細胞は生まれません。
ここで、先ほど、「コロナウイルスという病原体のタンパク質をコードする環状 DNA(プラスミド)を接種することでコロナウイルスに対する免疫を付与します。」というアンジェスの説明がありました。それではプラスミドについて、上に書いたプラスミドの絵図だけでは不十分ですから、もう少し詳しく書きましょう。
プラスミド(plasmid)は、大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれる核外DNA分子であり、一般的には上のプラスミドの絵図に示したように環状の2本鎖構造をとり、大腸菌の染色体のDNAからは独立して複製を行います。細胞増殖など大腸菌が生育していくための遺伝情報は、染色体のDNAにあります。一方、プラスミドは通常の生命活動に必要な遺伝子はもっていません。しかし、細菌が特殊な環境(高温、乾燥、高塩分など)に置かれた場合や病原性を発揮する場合などに、プラスミドの遺伝子が独自に働くことがあります。特に大型プラスミド(Rプラスミド、Fプラスミド)の中には、接合に関わる遺伝情報をもつものがあります。これらと共存することにより、本来接合できない小型プラスミドも他の固体に遺伝情報を伝えることができ、無性生殖をする種の多様性において、重要な役割を果たしています。 また、プラスミドには薬剤耐性や酵素などの様々な遺伝子がありますが、大半のプラスミドがどのような働きをしているのかはわかっていません。
プラスミドはその独立した遺伝子複製機構から、遺伝子組み換え操作のベクターとして多くの研究や産業に利用され、キャリアワクチンも生まれ出そうとしているのです。既に先ほど簡単に述べた大腸菌を用いた新新型コロナウイルスと同じ遺伝子を大量に作り出すクローニングでは、まずプラスミドを回収し制限酵素で切断します。クローニングとは、同じ遺伝子型をもつ生物の集団(クローン)を作製したり、ある特定の遺伝子を増やすことです。プラスミドと同じ制限酵素で切断した、増幅させたいDNAをDNAリガーゼで今度はプラスミドに結合させるのです。DNAリガーゼは、英語でDNA ligaseと書き、DNA鎖の末端同士をリン酸ジエステル結合でつなぐ酵素です。このプラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌の大量培養により目的のDNAを増幅します。またアグロバクテリウム(土壌菌の一種)が持つプラスミドは自分でプラスミドを切断し、植物のゲノム上に遺伝子を導入する性質があり、植物の遺伝子導入において頻繁に利用されています。
果たして、新新型コロナウイルスにワクチンができるか
AIDSのウイルスにワクチンができるか
まずワクチンの目的はなんでしょうか?未来において、病気を起こすウイルスや細菌が侵入した時に、それらの病原体に対して、液性免疫である抗体を作ってくれる記憶B細胞を作ったり、細胞に侵入するウイルスや細菌を細胞もろとも殺すシステムを得るためです。ところが既に述べたように、ひとたび細胞に感染したヘルペスウイルスのように、エピソーム(円環状のDNA)でキラーT細胞に気づかれないように目眩しさせてしまうウイルスや、RNAウイルスであるレトロウイルスであるAIDZウイルスのように、細胞のDNAに隠れてしまうとキラーT細胞も打つ手なしとなります。しかもAIDZウイルスは免疫が落ちた時に再び細胞のDNAから脱出し、新たに全く新しいRNA(遺伝子)を作ってしまうので、この新しいRNAが作るタンパクを認識することができないので、免疫が殺すことができないのです。従って、ワクチンというのは、あくまでも新新型コロナウイルスが作るタンパクを利用してワクチンが作られるので、はじめに作ったタンパクとは違ったタンパクを作り出されると手も足も出なくなるのです。ちなみに一番効果のあったワクチンはジフテリア菌に対するワクチンでした。ジフテリア菌に対するワクチンがなかった時には毎年アメリカでは35万人以上がかかっていたのですが、今や年間に5人しかジフテリアになっていません。
それではどのようにして記憶Tリンパ球や記憶Bリンパ球や記憶キラーTリンパ球が生まれるのでしょうか?私の免疫学を理解しておられれば既にお分かりでしょうが、もう一度説明しましょう。
ウイルスや細菌が人体に侵入すると、樹状細胞(dendritic cell)がそれらの病原体や、病原体の断片ペプチドを消化して、近くの所属二次リンパ節まで移動します。そこで侵入者のタンパク由来の断片ペプチドをクラスⅡMHC分子と結びつけてBリンパ球やTリンパ球に提示します。従って樹状細胞のことをantigen presenting cell (APC)ということもご存知ですね。たまたまその所属リンパ節で運んできたペプチドを認識できる数少ないヘルパーTリンパ球と出会えば、そのヘルパーTリンパ球は増殖し始めます。
同じように、Bリンパ球のレセプターが二次リンパ節にリンパや血流によって運ばれてきたウイルスやペプチドを認識した時に、そのリンパ球は活性化されます。活性化するということは増殖するということです。つまり同じレセプターを持ったリンパ球を増やし続けるのです。ヘルパーTリンパ球は同じ敵を認識したBリンパ球に結びつけば、Bリンパ球は記憶リンパ球になるのです。ヘルパーTリンパ球の語源は、Bリンパ球が記憶リンパ球になる手助け(ヘルプ)をしているからです。
最近わかってきたことですが、メモリーTリンパ球とヘルパーTリンパ球が効率よく生み出されるのは、どんな免疫の細胞、例えばAPCとなりうる樹状細胞や大食細胞やBリンパ球がウイルスなどの病原体によって感染していないときでも可能なのです。後で述べますが、一方、メモリーキラーTリンパ球が生まれるのは、他のAPCになりうる樹状細胞やB細胞や大食細胞が病原体によって感染させられなければならないのです。
ここでしっかり確認してもらいたいのは、ウイルスのペプチド断片を摂取する(ingest)ことと、生きたウイルスが感染する(infect)とは全く違うということを理解してください。なぜならば、ウイルスのペプチド断片は死んだ感染力のないペプチド(抗原)であるので、決して隣の細胞に感染することがないのですが、一方、生きたウイルスが感染すると、その感染した免疫細胞であるAPCを利用し増殖し続け、利用し尽くした後その細胞を殺してしまい、さらに隣の様々な細胞に感染し続けるという違いがあるからです。ということは、APC(抗原提示細胞)が死んでしまうと、抗原をキラーT細胞に提示できなくなるからです。ということは、ヘルパーT細胞の働きや、Bリンパ球の働きよりも、はるかにキラーT細胞の働きの方が複雑であるということを意味しているのです。なぜならばウイルスなどは殺さない限りは永遠に生き続けて細胞を殺し続けることによって、最後は肺炎などで細胞のみならず人体をも殺してしまうからです。
現在、微生物から人体を守るためのワクチンを開発するのに利用される幾つかの違った方法があります。のみならず、さらに従来のワクチンと違って改良され新しいワクチンの設計図が治験されつつあります。例えば、阪大の森下教授が指導しているアンジェスはDNAワクチンを作ろうとしています。結論から言うと、DNAワクチンは絶対に成功しないと思いますが、アッハッハ!
例えば、現在1日に約6000人に感染しているウイルスであるHIV-Ⅰ(AIDSウイルス)に対するワクチンは、いろいろなタイプのワクチンが議論されていますが、果たしてHIV-Ⅰに対して役に立つかどうかはわかりません。さらに問題なのは、最後は安全で効果的なAIDSのワクチンを設計することは非常に難しい挑戦になることです。優れたワクチンができても、ワクチンの副作用のために患者が死んでしまえば全く意味がありません。
繰り返して言うように、AIDSのワクチンを作り出す道への一つの大きな障害は、どんなタイプの記憶細胞が必要とされるかが確かでないことです。先ほど言ったように、単にただ記憶B細胞を作り出して抗体を作るだけのワクチンで治験したとしても、その結果はたいして意味がないのです。なぜならば、AIDSウイルスは感染した細胞のDNAに隠れてしまうと記憶B細胞が作る抗体などはまるで役に立たないからです。実際にAIDSウイルスに感染し、その抗体ができていても、AIDSウイルスに抵抗するのに一番大事なのは、キラーT細胞に抗原を提示する必要があります。つまり、最も効果的なAIDSに対するワクチンは記憶キラーT細胞を生み出さねばならないのです。
残念なことに、記憶キラーT細胞(CTL)の産生には、ワクチンとして用いられる抗原は、先ほど述べたように、抗原提示細胞(APC)に感染することができるワクチンでなければならないのです。AIDSワクチンは抗原提示細胞(APC)に感染して初めてメモリーキラーT細胞を作ることができるのです。これが可能で安全なAIDSワクチンのタイプには、おのずから厳しい制限が出てしまうのです。この難題を乗り越えることは、おそらく現代医学では不可能だと思います。従って、新新型コロナウイルスにAIDS遺伝子を入れたことが人類を永遠に不幸にさせると私は考えています。
7月6日にはスペインの保健省が、新型コロナ感染後に体内で作られる抗体が、短期間で減少したとする研究結果を明らかにしている。この研究は約7万人を対象に3ヵ月にわたり3回の抗体検査を行い、1回目の検査では陽性だった被験者の14%が3回目の検査で陰性となった。最終的に抗体を保有しているのは被験者全体の5%にとどまった。
さらに、7月14日には韓国政府が国内の3055人を対象に新型コロナの抗体ができているかどうかを検査した結果、1人しか抗体が確認されなかったと明らかにている。朴ヌンフ保健福祉相は「抗体を持つ人がほとんどいないということは、韓国社会が集団免疫を形成することが事実上、不可能ということだ」とコメントしている。
新型コロナについては以前から、「エアロゾル」と呼ばれる霧状の微粒子となっても感染するとの指摘もあり、空気感染の可能性について議論がなされている。WHOも日本政府も新型コロナの感染は、咳やくしゃみなどによる「飛沫感染」と主に口や鼻の粘膜から感染する「接触感染」によるものとし、そのための感染防止策として飛沫を除去するための“手洗い”や2メートルの“ソーシャルディスタンス”などを勧めている。
この他、新型コロナウイルスが変異しているという研究結果も多数見られている。直近では、海外メディアで8月17日に世界の複数の地域で確認されている「D614G」と呼ばれている感染力が10倍高いウイルス株の感染拡大が報道されている。
例えば、新型コロナにより全身の血管が炎症状態になる「川崎病」と類似した症状が発生するケースは一部のメディアで紹介されているが、この他にも新型コロナの後遺症としては以下のような研究結果が発表されている。
・イタリア・ジェメッリ大学病院などが7月、退院患者143人を追跡調査した結果、回復から平均2か月の段階で87.4%の患者に後遺症があった。目立ったのは、疲労(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)といった症状。
・中国の孫文大学第五附属病院が退院30日後の患者を調べたところ、半数以上に肺拡散容量の低下、呼吸筋力の低下、肺画像異常が認められた。
・米国の医学誌『JAMA』に掲載されたイタリア・パドヴァ大学などの研究では、発症から4週間経過した軽症患者113人のうち、46人(40.7%)は味覚または嗅覚障害が完全には良くならず、12人(10.6%)は症状が変化しないまたは悪化していた。
・英国マンチェスター大学が7月31日、新型コロナに感染し退院から8週間が経過した121人を対象に調査したところ、8人が聴力の悪化、8人が耳鳴りの症状など、合わせて16人が聴覚の異常を報告。
・「キドニー・インターナショナル」誌の調査では、ニューヨークの医療法人の新型コロナ患者3分の1以上で急性腎障害が見られ、15%近くで人工透析が必要になった。
・イタリアのジョバンニ23世病院では600人近い新型コロナ患者の予後に、肺機能の障害が約30%、神経学的な問題が10%、心臓の問題が10%、慢性的な運動能力障害が約9%に見られる。
・ドイツのフランクフルト大学病院の研究チームが新型コロナから回復した100人以上の人々の心臓の健康を調べ、そのうち50人が感染前に健康で、57人が心臓病のリスクが高いグループに属していた。
では、なぜ海外のこうした研究や調査結果が国内で取り上げられることが少ないのだろうか。
都内の総合病院の内科医は、「多くの病気には後遺症がある。例えばインフルエンザ・ウイルスでも呼吸器やあるいは内蔵疾患につながることもあり、新型コロナの様々な後遺症を取り上げることに、あまり意味はない。それよりも、新型コロナを予防すること、感染初期の段階で治療し、重症化させないことの方が重要」という。
COVID-19のワクチンは実際にどのようにして作られるのか?ワクチンの製造工程を見ていきましょう。
ワクチンの製造には病原性のない病原体を大量に増やす必要があります。
現在、①ふ化鶏卵培養法、②動物接触法、③細胞培養法、④遺伝子組み換え法の4つの製造方法があります。
①ふ化鶏卵培養法
有精卵(ふ化鶏卵)の中に微量のインフルエンザウイルスを接種してウイルスを培養、精製してワクチンにします。日本の新型インフルエンザウイルスワクチンはこの方法を用いています。
②動物接種法
動物の体内にウイルスを接種してウイルスを増やす方法です。
大量のウイルスを得ることが可能で、過去の日本脳炎ワクチンはこの方法で製造されていました。
③細胞培養法
栄養液だけで生育させた動物の細胞にウイルスを接種して培養し、培養液中にでてきたウイルスを不活化した後、精製してワクチンとする方法です。この方法では混入するのが細胞成分だけなので精製が上記で示した①、②の方法より簡単であることと有精卵(ふ化鶏卵)やマウスなどの原材料の供給量に制限されることなく短期間に、しかも大量にワクチンを製造することが可能なことが長所です。
平成21年度からこの方法で製造された新しい日本脳炎ワクチンが予防接種に用いられるようになりました。他にMRワクチン(MRは英語でMeasles
mixed with
rubellaの略語がMRです。)Measlesは麻しんで、rubellaは風しんです。水痘ワクチンなどがすでに実用化されています。海外のインフルエンザワクチンには細胞培養で作られたものもあります。
④遺伝子組み換え法
あらかじめ増殖させた特殊な細胞にウイルスの遺伝子を挿入し、ウイルスの抗原性に係わっているタンパクだけを細胞に作らせた後、これらを取り出して精製する方法です。ワクチン製造期間が大幅に短縮でき、製造に感染性のあるウイルスを用いないことから、ワクチンを安全に生産することが可能です。この方法は、酵母細胞を使ったB型肝炎ウイルスの製造に用いられ、すでに実用化されています。
今回のSARS-CoV-2という生物兵器について詳しく勉強しましょう。
生物兵器とは、細菌やウイルス、あるいはそれらが作り出す毒素などを使用し、人や動物に対して使われる兵器であり、建前上、国際法であるジュネーヴ議定書で使用が禁止されていても遵守する気もない世界で最も強い国が好き放題作れる兵器です。なぜならば強い国を罰する国がないからです。生物兵器を使用した戦闘を生物戦(Bio war)というのは既に述べました。
生物兵器は歴史的には、医学や細菌学の研究、生物兵器に対する防御法の研究という建前でひそかに各国で生物兵器の開発が行われていたし、今なお行われています。この研究によって作られたのがSARS-CoV-1であり現在のSARS-CoV-2であります。
生物兵器は核兵器などに比べて簡単に入手ができ、ある程度の知識と設備があれば培養も容易であります。例えば、オウム真理教が炭疽菌を培養して散布した例があります。与える被害が非常に大きいのでバイオ国家テロリズムとして使われるのです。なぜならば核兵器の開発は高度な技術と手に入れにくい原料や大規模な施設が不可欠であり、またマスタードガス(イペリット)やサリン、VXガスなどの化学兵器も十分な量を製造するためにはそれに伴う規模の施設と原料が必要となります。核兵器、生物兵器、化学兵器の3つをあわせて大量破壊兵器といい、これら3つは英語 Nuclear、Biological、Chemicalという形容詞がつく兵器ですからNBC兵器とか、核兵器は原子爆弾ですからAtomic bombですからこのAを取ってABC兵器とも呼ばれます。この中でも生物兵器は、最も費用対効果に優れている上にどの国がばらまいたかわからないので使いやすいのです。その反面、使用時の気象条件や、敵国に与える被害を予測しにくいことなどが問題となります。
生物兵器が化学兵器と大きく違うところは、細菌兵器は例にとると感染してもすぐには効果が現れにくいのですが、新型のウイルスはバイオウイルスは人から人へとすぐに感染を起こす上に、感染者が移動することにより広範囲にわたって影響を及ぼしてしまいます。まさにSARS-CoV-2そのものであります。丸一日あれば飛行機で世界のどこにでも行けるほど移動手段が発達しているため、想定を大きく超えた被害が発生してしまったのがSARS-CoV-2ウイルスであります。
生物兵器テロ事件の例としては、2001年のアメリカ炭疽菌事件、日本国内では、オウム真理教による1993年の亀戸異臭事件では炭疽菌を使用し、失敗に終わったテロ未遂事件となりました。さらに同教団による1995年の霞が関のボツリヌス菌散布も失敗に終わりました。
生物兵器の歴史
古代ギリシアでは、アテナイ軍がヘレボルスという有害な植物をキルハの水源に投入し、住民は激しい下痢をおこし、アテナイ軍は侵略することができた事件は有名です。
東ローマ帝国は城壁都市に昆虫爆弾を使い、トンネルに蜂を放って敵を撃退したり、サソリを入れた爆弾を投げつけたりしたのも知られています。
西暦1000年から1300年には、蜂の巣の投下が行われました。
1348年にはジェノバの港街カッファでモンゴル軍が生物兵器として病気の患者の死骸を投下し、ペストを広めました。最初にペストがバイオウォーで使われたので生物兵器の歴史には必ず出てきます。
1710年、エストニアのタリン(レヴァル)でペストがまかれました。
1776年のアメリカ独立宣言の少し前の1763年6月、英国はアメリカインディアンを撲滅するためにインディアンが起こしたポンティアック(オブワンディヤグ)の叛乱で、インディアンに和平の印として天然痘に汚染された毛布やハンカチが配布したのは、英国のジェフリー・アマースト少将であり、忌まわしい人種であるインディアンを絶滅させるために送ったのでした。また、1776年のアメリカ独立革命でインディアンを絶滅させるためにこっそり天然痘の病原体を繰り返しまき散らしたので、しばしば天然痘が人為的に発生したのもバイオウォーの1つであります。
ここでポンティアック戦争について詳しく説明しましょう。
ポンティアック戦争(Pontiac’s Rebellion)は、1754年から1763年の7年間続いたフレンチ・インディアン戦争とか七年戦争と呼ばれた戦いが終結した後、原住民のインディアンたちはイギリスの五大湖地方支配に不満を抱いていたので侵略者であるイギリス白人に対して1763年に戦いを挑んだのがインディアン戦争であります。このインディアン戦争のことをポンティアック戦争と言われるのは、多くのインディアンの部族をとりまとめ、英国の侵略者の交渉の矢面に立ったオタワ族の酋長、ポンティアックにちなんでいます。自動車の好きな人はアメリカの自動車会社のGMが作った有名な自動車の名前がポンティアックとつけられているのはこのポンティアック戦争にちなんだ名前であります。もちろん英国が結局が勝利を勝ち得た戦争だったのでそれを記念してポンティアックという名前を車のブランドにしたのです。
1763年5月、イギリス軍のジェフリー・アマーストがインディアンに押し付けてきた民族浄化政策に対して、インディアンたちがイギリス軍の多くの砦や入植地を襲ったことから1763年からポンティアック戦争は始まったのです。五大湖地方からイギリス軍と白人入植者を追い出すために、多くの部族のインディアン戦士が立ち上がりました。1764年、イギリス軍のアメリカへの遠征から次の2年間にわたるポンティアックなどを中心として和平交渉が進み、敵対行動は収まったのですが、もちろんインディアンたちはイギリス人を追い出すことができなかったのです。この蜂起によってイギリス政府の占領政策を修正を少しはさせることになったのですが、インディアン戦争は苛烈で、捕虜の殺害や、一般市民を攻撃目標にしたり、また他にも民間人への残虐行為が双方で見られました。今日でも知られている出来事としては、ピット砦のイギリス軍士官が天然痘のウイルスに汚染された毛布を贈り物にし、周辺のインディアンにこれを感染させたことです。紛争の冷酷残忍さはイギリス人入植者というよりも強い非道な略奪者とインディアンの間の増幅する民族間対立の反映であったのです。
生物学兵器の病原体のすべて
1)天然痘ウイルス、2)エボラウイルス(エボラ出血熱)、3)マールブルグウイルス、4)クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、5)ラッサウイルス、6)アレナウイルス(南米出血熱の病原体)、7)ハンタウイルス(腎症候性出血熱)、8)黄熱ウイルス、9)デングウイルス(デング熱の病原体)、10)SFTSウイルス(重症熱性血小板減少症候群の原因ウイルス)、11)ベネズエラウマ脳炎ウイルス、12)ウエストナイルウイルス、13)日本脳炎ウイルス、14)炭疽菌、15)ブルセラ属(マルタ熱の病原体)、16)オウム病クラミジア、17)コレラ菌、18)ペスト菌、19)ボツリヌス菌、20)破傷風菌、21)赤痢菌、22)腸管出血性大腸菌O157、23)野兎病菌、24)鼻疽菌、25)類鼻疽菌、26)腸チフス菌、27)パラチフス菌、28)サルモネラ菌(1984年アメリカ)、29)ジフテリア菌、30)結核菌、31)コクシジオイデス、32)クルシディオイドマイセス、33)クリプトコッカス、34)リケッチア・プロワゼキ(発疹チフス病原体)、35)コクシエラ・バーネッティ(Q熱病原体)、36)ロッキー山紅斑熱、37)ボツリヌス毒素、38)ブドウ球菌毒素(エンテロトキシン)、39)破傷風菌毒素、40)ベロ毒素、41)志賀毒素、42)コレラ毒素、43)リシン、44)貝毒
以上を上げた生物兵器として使われる細菌やウイルスは、ほとんどがワクチンが作れないものです。ワクチンが作れないもしくは作らない1つの理由は、感染者が特定の地域の貧困の人たちですから、作っても製薬メーカーは儲けることができないからです。人の命よりも金が大事な資本主義ですから仕方ないことですね。残念なことです。
ここで一番大量に作られているもしくは作られそうな主な生物兵器である炭疽菌と天然痘について勉強しましょう。特に天然痘は地球上から絶滅させたはずなのですが、生物兵器研究所ではこっそり残されているのです。
代表的な生物兵器の炭疽菌やペスト菌
1)炭疽菌。細菌である炭疽菌は非常に取り扱いやすく、発芽するまでは各種薬品や紫外線などに対する耐性も非常に強い上に、肺に感染する肺炭疽にかかった場合には致死率が90%前後に達するので、炭疽菌は従来より生物兵器の代表格であり、2001年には実際にアメリカでテロに使用され、死んだ人もいました。日本でも、1993年にオウム真理教が東京都江東区亀戸の新東京総本部で実際に使われました。亀戸異臭事件として報道され、死傷者はなかったのですが悪臭が周辺に漂う大騒動となりました。
自然界における人間が炭疽菌に感染するのは、炭疽菌が含まれる土壌などに人が接触し、皮膚炭疽と言われる皮膚に炭疽菌が感染するだけですが、治療を行わなかった場合は致死率は約20%、適切な治療を受ければ約1%まで下げることが可能です。兵器として使用する場合は空気中に散布して肺に感染させる必要がありますが、エアロゾル化するのにはある程度の技術力が必要です。炭疽菌に有効なワクチンは存在するが、接種に手間がかかり、しかも1年ほどしか効果がなく、弱いながらも副作用が発生する可能性が比較的高いので、一般には炭疽菌のワクチンは使用されることはありません。炭疽菌の兵器としての欠点は感染力が弱いことで、人から人へ感染はほとんどありません。他方でこれは、兵器を使用した側が使用した地点に軍隊を進出させても被害を受けない利点になります。SARS-CoV-2においては、世界中の人たちが苦しんでいるどころか当のアメリカが一番被害を被っていることは皮肉なことですね。
2)天然痘
天然痘は1980年に撲滅がWHOから宣言され、以降世界で種痘の接種は行われなくなりました。そのため現在では無接種の多くの人が天然痘に対する耐性を持っていない状況で、天然痘によるバイオテロが起きた場合、速やかな対処は不可能です。撲滅宣言後にも、ソ連やアメリカは天然痘ウイルスを生物兵器として極秘に量産、備蓄しており、ソ連崩壊後にウイルス株や生物兵器技術が流出した可能性があります。
万が一の事態に備え、各国では天然痘に限らず、各種ウイルスに対するワクチンの保管をある程度行っており、アメリカは天然痘のバイオテロなどに備えて、全国民に接種できる量の天然痘ワクチンの備蓄を行っています。
米国疾病予防管理センターによる生物兵器の格付け
米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、略して米国CDC)は生物兵器として利用される可能性の高い病原体のリスクについて3段階の格付けをつけています。1)カテゴリーA、2)カテゴリーB、3)カテゴリーCの3段階に分けています。
1)カテゴリーAには炭疽菌、ペスト菌、ボツリヌス菌、野兎病菌、天然痘ウイルス、各種出血熱ウイルスなどが含まれます。これらの病原体は国の安全保障に最も影響を及ぼす最優先の病原体です。容易に人から人へ伝播され、高い致死率で公衆衛生に大きなインパクトを与え、社会にパニックや混乱を起こすおそれがあり、かつ公衆衛生上、特別の準備を必要とするからです。
2)カテゴリーBには、腸管出血性大腸菌O157や赤痢菌など経口感染する病原体が入ります。これらの病原体は、比較的容易に伝播され、中程度の発病率と低い死亡率が見られ、CDCの診断能力の強化と疾病サーベイランスの増強を必要とするからです。
3)カテゴリーCには、ニパウイルスやハンタウイルスなど新興感染症の病原体が含まれ、かつ潜在的に脅威となり得る病原体です。
米国CDCによる生物兵器の格付け
カテゴリー | ウイルス | 細菌 | 真菌、原虫、寄生虫 | 毒素 |
カテゴリーA | 天然痘ウイルス 各種出血熱ウイルス エボラウイルス マールブルグウイルス クリミア・コンゴ出血熱ウイルス ラッサウイルス アレナウイルス ※ここに分類されるウイルスはすべて世界保健機関(WHO)のリスクグループ4の病原体に指定されており、実験室・研究施設で取り扱う際のバイオセーフティーレベルは最高度の4が要求される。 | 炭疽菌 ペスト菌 ボツリヌス菌 野兎病菌 ※ボツリヌス菌以外はWHOのリスクグループ3病原体であり、バイオセーフティレベル3以上の実験室でのみ取り扱うことができる。ボツリヌス菌はリスクグループ2。 |
| ボツリヌストキシン |
カテゴリーB | ベネズエラウマ脳炎ウイルス 東部ウマ脳炎ウイルス 西部ウマ脳炎ウイルス など | コクシエラ・バーネッティ 発疹チフスリケッチア ブルセラ菌 鼻疽菌 類鼻疽菌 オウム病クラミジア 黄色ブドウ球菌 経口感染する病原体 腸管出血性大腸菌O157 赤痢菌 腸チフス菌 パラチフスA菌 サルモネラ菌 コレラ菌 など | クリプトスポリジウム | ベロ毒素(志賀毒素) 黄色ブドウ球菌エンテロトキシン リシン |
カテゴリーC | ニパウイルス ハンタウイルス 黄熱ウイルス ダニ媒介性脳炎ウイルス など | 結核菌 |
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生物学兵器は、アメリカだけではなく戦争に負けなくない全ての国がこっそり秘密裏に研究し作成し貯蔵していざという時に備えていることは残念ながら言うまでもないことです。資本主義と中国の国家資本主義が続き、かつ宗教戦争が続く限りは永遠に戦争は続かざるを得ないのです。
遺伝子工学とは?
ここで遺伝子工学によってどのようにしてSARS-CoV-2が作られたのかテーマに変えましょう。現在用いられている遺伝子工学の手法や道具には思いつくまま羅列していくと、1)制限酵素、2)DNAリガーゼ、3)形質転換、4)ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)、5)遺伝子破壊、6)突然変異の導入、7)遺伝子ノックアウト、8)遺伝子ノックダウン、9)遺伝子ノックイン、10)遺伝子組み換え、11)融合遺伝子、12)CRISPR-CAS-9、13)ヒト受精卵の遺伝子操作、14)クローン技術などがあります。
遺伝子工学(genetic engineering)とは、遺伝子を人工的に操作する技術を指し、特に生物の自然な生育過程では起こ得ない人為的な作成を行う学問です。遺伝子導入や遺伝子組換え(組換えDNA)などの技術で生物に遺伝子操作を行う事です。
遺伝子工学は、DNAを分離し、操作し、細胞もしくは生物に再導入して、そのDNAが増殖できるようにする過程から成り立っています。細胞中で、タンパク質の構造は、DNAの配列によって決定されるため、DNA操作によってタンパク質の改変や、新たなタンパク質を発現させることもできます。
その一つの方法として、遺伝子を含むDNA断片を分離し、遺伝子を切り出して、他のDNAの部分に導入できます。遺伝子工学は、細胞融合やクローン技術などをバイオテクノロジー(生物学的技術)と言います。遺伝子工学を用いる目的は、有用なタンパク質の発現、新たな形質を持つ生物の開発などです。遺伝子工学を活用した例として、細菌や培養細胞によるインスリンやエリスロポエチンなどの薬効成分の生産、除草剤耐性などの性質を加えた遺伝子組換え作物、遺伝子操作した研究用マウス(トランスジェニックマウス)、遺伝子治療などがあります。生物学や医学の実験技術としても、遺伝子操作が盛んに行われています。
まず遺伝子工学の歴史を見ると1970年代初頭までに、DNAを特定の位置で切断する制限酵素、DNA断片をつなぎ合わせるDNAリガーゼ、DNAを細胞に導入する形質転換の技術が開発され、これらが組換えDNA技術の基礎となりました。さらに1980年代には今をときめくポリメラーゼ連鎖反応 (Polymerase chain reaction、略してPCR) によって目的とする遺伝子の複製が容易に行えるようになりました。
様々なゲノムプロジェクトの進展により、遺伝子科学は新しい段階に入り、存在が明らかになっても機能が不明な遺伝子が増え、これを調べる逆遺伝学(Reverse genetics)が生物学でますます重要性を増しました。生物学の中心は個別の遺伝子やタンパク質から、膨大なタンパク質の間の相互作用と各種生命現象との関係が中心になりつつあります。これらの研究にも遺伝子操作技術は不可欠であり、遺伝子破壊による遺伝子の機能を失わせる技術を用いて、特定の遺伝子の人工突然変異によって何が起こるかを明らかにでき、特に発生学への寄与に貢献しています。これには動植物や微生物を対象として、個体群にランダムな突然変異を導入し、子孫の中から目的の変異を持つものを選抜する方法は従来から用いられてきた方法ですが、これに新たに遺伝子操作によって特定の遺伝子を破壊する方法を遺伝子ノックアウトという方法が用いられるようになりました。動物においては、組換えDNAを胚性幹細胞に取り込ませ、元来持っていた遺伝子と新たに導入して操作した遺伝子と置き換え、この細胞を胚に注入して新たな遺伝子をもった個体にまで育成する技術も出来上がったのです。
ノックアウトに類似の方法で、遺伝子ノックダウンという手法があり、遺伝子自体を破壊するのでなく、RNA干渉などにより遺伝子の発現を阻止する方法であり、ノックアウトよりはるかに容易に実行できます。
遺伝子ノックアウト(gene knockout)は、ある生物に機能欠損型の遺伝子を導入することによってその遺伝子の正常な働きが知ることができる遺伝子工学の技法の1つです。ノックアウトは遺伝子をだめにするとか、だめにされたという意味です。この技法は、DNAの配列(DNAシークエンス)は既知でありますが、機能がよくわかっていない遺伝子を研究するときに用いられます。DNAシークエンシング(DNA sequencing) とは、DNAを構成するヌクレオチドの結合順序(塩基配列)を決定することであります。DNAは生物の遺伝情報のほとんど全てを担う分子であり、基本的には塩基配列の形で符号化されているため、DNAシークエンシングは遺伝情報を解析するための基本手段となっています。
遺伝子ノックダウン(gene knockdown)とは、特定の遺伝子の転写量を減少させる操作を指すことが多いのですが、翻訳を阻害する操作についても用いられます。ノックアウトマウスなどの遺伝子そのものを破壊する遺伝子ノックアウトとは異なり、遺伝子の機能を大きく減弱させるものの完全には失わせないのです。
ノックイン(gene knock-in)は、ノックアウトとは逆に、ある遺伝子の機能を増強する方法です。これには遺伝子コピー数を増やす方法と、発現量を増やす2つの方法があります。クローニング(Cloning)において、生物の染色体の特定の遺伝子座にタンパク質をコードする相補的DNA配列を挿入する遺伝子工学的手法の1つです。この技術が使いやすく、また胚性幹細胞が扱いやすいので、通常はマウスに対して行われます。クローニング(Cloning)とは同じ遺伝子型をもつ生物の集団(クローン)を作製することから転じて、分子生物学においては、ある特定の遺伝子を増やす、つまり遺伝子を単離することを意味します。転じて一般に遺伝子の複製を行わせることにも使われるようになりました。
さらにトラッキング(追跡)という方法があり、目的のタンパク質を追跡して、細胞内での局在や相互作用について情報を得る方法です。このトラッキング(追跡)の方法の一つとしては、野生型遺伝子をGFP(green fluorescent protein)遺伝子の細胞内への導入は容易であることから、生命現象のイメージング(可視化)を可能にするレポータータンパク質として用いられ、レポータータンパク質との融合遺伝子に置き換える方法もあります。GFP遺伝子のGFPとは英語でgreen fluorescent proteinといい、略してGFPであり日本語で緑色蛍光タンパク質です。レポータータンパク質とは,細胞内でのタンパク質発現や局在をイメージング(可視化)するために用いられるタンパク質のことです。このレポータータンパク質には、緑色蛍光タンパク質(GFP),発光タンパク質ルシフェラーゼ(Photo-protein luciferase)などがあります。この手法により目的タンパク質がリアルタイムで可視化できるのです。
最初の遺伝子組換え医薬品はヒトのインスリンで、アメリカで1982年に承認され、もう一つの初期の応用例にはヒト成長ホルモンがあります。この成長ホルモンは以前には人間の死んだ遺体から抽出されていたのです。1986年には最初のヒト用組換えワクチンであるB型肝炎ワクチンが承認されました。これ以後、多くの遺伝子組換えによる医薬やDNAワクチンが導入され始めました。
このほかに遺伝子工学の応用としてよく知られるのは、すでに実用化されている遺伝子組換え作物などを含む遺伝子組換え生物 (Genetically modified organism略してGMO) です。このGMOが人体の遺伝子にどのような影響を及ぼすかについては完全には答えが出ていません。さらにまだ実用化はされていないが有望視され研究されているものは、経口用ワクチンやアレルギー治療用ペプチドを、作物で安価に生産する試みがあります。しかしながらアレルギー治療用ペプチドはアレルギーの免疫を抑えて免疫寛容を起こせなくしますから作ってはならないのです。
ヒトを遺伝的に「改良」することは倫理上の重大問題だとする意見がある一方、体の一部の細胞に必要な遺伝子を導入することは生物種としてのヒトを変えることにはならないので不足や欠失している機能を補うだけですから、人間に対する遺伝子治療はすでに治験段階に入っています。
1970年代の遺伝子工学の発展により、生物学や医学に対する無限の可能性が生まれたと多くの研究者が考えたのに対し、バイオハザードの現実的危険を訴える声も挙がり、倫理的問題も指摘されています。ポール・バーグによる最初の本格的な遺伝子組換え実験を契機として、1975年のアシロマ会議で遺伝子組換え実験の規制に関する議論が行われ、その後の自主的規制の基礎的枠組みが作られました。
バイオハザード(biohazard, biological hazard)は日本語で生物学的危害と訳し、有害な生物による危険性を指します。生物災害と訳すこともあります。古典的には病院や研究所の試料や廃棄物など、病原体を含有する危険物を指してきましたが、20世紀末からは農薬耐性遺伝子や農薬内生遺伝子を有する遺伝子組み換え作物等も含まれてきています。
さらに病原体の培養物やその廃棄物、注射針等の医療廃棄物、生物兵器といった、病原体等を含有する物質を感染物質(infectious substances)といわれるようになり、これらの物質が病原体をうつしやすいので、これらの物質もバイオセーフティーやバイオセキュリティー上の規制に繋がるようになりました。バイオセーフティーとは実験室での感染防止、漏洩防止と訳します。
2003年には生物多様性保護の観点からカルタヘナ議定書が締結されたことはすでに述べました。カルタヘナ議定書の正式名称は「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」といいます。2016年にも世界で2例目のヒト受精卵のゲノム編集が中国で行われ、同年10月に世界初のゲノム編集の人体応用となる臨床試験、翌年2017年3月には世界初の正常なヒト受精卵へのゲノム編集も中国で行われ、さらに2018年11月には中国人科学者が世界で初めてデザイナーベビーが誕生しました。この中国人科学者はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に罹患しない耐性を与えることを目的としたこの遺伝子操作が脳機能と認知能力の強化をもたらしたとする動物実験に言及していたことから人間強化の一種である知能増幅を行った可能性も懸念されました。すでに述べたCRISPR/Cas9をはじめとした、ゲノム編集技術に対しては、ヒトの受精卵等の生殖細胞についての倫理的な懸念がもたれていましたが、着床させる操作が国際的な学会の合意により自主規制されることになりました。
遺伝子組換え技術は、ある生物から目的とする遺伝子(DNA)を取り出し、別のターゲット生物のゲノムに導入することで、その生物に新しい性質を付与する技術です。生物が持っている遺伝子の数は生物によって異なりますが、高等動植物では数万個の遺伝子を持っています。ここに遺伝子組換えによって導入される遺伝子の数は、通常は1~数個です。遺伝子組換え技術では、あらゆる生物の遺伝子が利用可能です。たとえば、農作物に遺伝子を導入する時、導入する遺伝子は交配不可能な植物や、微生物や動物の遺伝子も使うことができます。そのため、交配では実現困難な形質を付与することも可能で、農作物の育種(品種改良)の可能性を大きく広げることができます。
遺伝子組換え技術は、研究開発、医薬品や工業品の製造、農作物の品種改良、新たな機能性をもつカイコの開発、食品や飼料への添加物の製造など、様々な場面で広く活用されています。 研究開発では、遺伝子の機能を調べるための実験に不可欠です。これらの研究成果が、様々な分野で実用化されています。ほかにも、実験や検査に使う試薬や酵素の生産にも、遺伝子組換え技術が用いられているものが多数あります。 医薬品としては、ヒトのインスリン、成長ホルモン、インターフェロンなどが遺伝子組換え微生物を利用して大量生産できるようになり、医療の現場で大いに役立っています。これらは化学的な人工合成が困難で、生物から抽出精製するしかありませんでしたから、供給量は極めて少なく、とても高価でした。糖尿病の治療に必要なインスリンは、かつてはブタからインスリンを取り出し、そのまま使用するか、化学反応を用いてヒト型と異なる部分のアミノ酸をヒト型に変換してヒトインスリンを作っていましたが、1982年に遺伝子組換え技術によってヒトインスリンの遺伝子を大腸菌に組み込まれ、大量に生産できるようになりました。 これによって高品質で副作用のより少ないインスリンの大量供給が安価に可能となり、インスリン注射が必要な多くの糖尿病患者を救うことができるようになりました。1982年以降、インスリン以外でも様々な医薬品が遺伝子組換え技術を用いて生産されるようになっています。
2020/8/29