– 漢方によるアレルギー性気管支喘息の自然後天的免疫寛容による完治の理論と証拠 –
漢方でアレルギー性気管支喘息は必ず治してあげます。)
(免疫反応を抑制せずに症状だけを漢方煎剤で取れば完治する。)
松本漢方クリニック 院長 医学博士 松本仁幸
(京都大学卒業、大阪外国語大学中退、京都府立医科大学卒業)
アレルギー性気管支喘息とは環境の汚染物質が大気によって運ばれ気管支から侵入するときに排除しようとする高貴な戦いであり、症状が出るということは勝っていることを意味します。アレルギー性気管支喘息が治るということは、強大な大気汚染環境との戦いに負ける、つまり人体の武器であるIgE抗体が自然に作れなくなることであります。ところが現代医療のアレルギー性気管支喘息の全ての治療はステロイドや抗アレルギ-剤や抗ヒスタミン剤を用いてIgE抗体の産生と使用を一時的に抑えて見掛けだけ症状を取る、つまり一時休戦するだけですからIgE抗体の産生能力が保持され続け、薬が切れると再び作られ、使用され、戦いが再開されるいたちごっこになり永遠に根治出来ない医者の作った病気になります。私のアレルギー性気管支喘息の治療法が革命的であるのは、一切免疫を抑制しないで完治させるからであります。漢方煎剤は免疫を抑制をせずに症状を楽にし、最後に戦いは終わり、IgE抗体も作られなくなりアレルギー性気管支喘息のみならず他のアレルギーも全て完治してしまいます。
革命的アレルギー性気管支喘息の根本治療法
(1)私の治療法が何故革命的アレルギー性気管支喘息の治療法になるのか?
まず私の治療法や考え方が革命的である理由を結論から箇条書きにします。
●現在の正統的なアレルギー性気管支喘息の治療法は免疫を抑えることが全てでありますが、一切免疫を抑えなければ必ず治ることを証明したこと。
●従って免疫抑制剤であるステロイドや抗アレルギー剤や抗炎症剤を治療に用いてはならないことを証明したこと。
●アレルギー性気管支喘息は人間が作り出した人工化学物質と戦っていることを証明したこと。
●アレルギー性気管支喘息を治すことは結局全てのアレルギーを治すことと同じであることを証明したこと。
●してはいけない事はただ一つ、日本に住み続けることである事を証明したこと。(ただ日本に住み続ける限りは人工化学物質との戦いに敗北し共存する以外に無いことを証明したこと。)
●アレルギー性気管支喘息を治すのは体質を変えるということではなく、戦いに負けることを証明したこと。(体質などというのは、元来定義不可能であり、変えるなどという事はできるものではないことを証明したこと。)
●アレルギー性気管支喘息は制御するものでもなく、一生付き合っていくものでもなく、完治できるということを証明したこと。
●アレルギー性気管支喘息の治療の99%が医者の作った医原病や薬の作った薬害病であることを証明したこと。
あらゆるアレルギーの権威ある書物を読んでみて共通することは、まず深く考えずに勝手にアレルギーそのものがハナから否定的に捉えられていることであります。何故このように先入観的にアレルギーが有害だと決め付けられてしまったのでしょうか?その根拠は幾つかあります。アレルギーの研究の歴史を見ますと、普通の人間の生活では決して起こり得ない不自然な実験、例えばイソギンチャクの毒素を犬に注射したり、牛の血清を兎に注射するなどの実験からアレルギーの研究が始まっています。このような実験結果は異常でないはずはないのです。ちょうど死刑囚に毒薬を大量に入れて刑を執行するようなものです。毒薬でも少量であれば人間の免疫は処理できるのですが、そのときに見られるのがアレルギーであり膠原病であることに学者は気がついていないのです。このような実験は死刑囚を毒殺するのと同じく、最悪の場合は死に至るような悪い結果が出るものですから、異物の入れ方にかかわらず、どんな異物が人体に入ってもそれを排除しようとする反応(アレルギー) は全て悪いものだという印象を植え付けました。
そのようないろいろな実験から、1906年にオーストリアの小児科医ピルケがこのように異物が体に入り、人体にとって有害に見える症状を起こすときに、アレルギーという言葉を提唱したのであります。その語源はALLOS(OTHER)とERGON(WORK)の二つの語を引っ付けて、本来の働きとは異なる(変わった)仕事(反応)すなわち、変わった反応、つまり奇妙な反応という考え方から生まれました。この名称は極めて示唆的であります。というのは、ピルケの時代はあくまでもアレルギーという言葉は学問上の言葉であり、一般の人は誰も知りませんでした。その後、世界は科学文明をどんどん発達させ、十万種類以上の人工化学物質を大量に世界中にばらまいてしまいました。その結果、最近アレルギーはどこにでも見られ、アレルギーという言葉を知らない人は誰もいなくなりました。元来免疫というのはIgM抗体やIgG抗体を作り、その結果2度と病気に掛からないようにしてくれる正しい仕事と考えられてきたのであります。ところが最近の研究で分かったのですが、まず排除すべき抗原と出会ったBリンパ球がIgM抗体を作り、次に別のヘルパー1Tリンパ球の指令を受けて同じBリンパ球がIgG抗体を作るのであります。これを免疫の抗体のクラススイッチと言います。ここでクラススイッチが終わればアレルギーは起こらないのでありますが、人間の免疫はさらに深遠なクラススイッチを行います。つまりさらにヘルパー2Tリンパ球の指令を受けて、IgE抗体を作ることができるのです。
ピルケの活躍していた1900年代の初めは、このようなクラススイッチはおろか、抗体という概念さえも無かったのです。従ってこの意味で、ピルケはこのアレルギーのクラススイッチの事実を予言していたとも考えられます。しかしこのようなIgE抗体までを作るクラススイッチを、果たして否定的に捉えて良いのでしょうか?人体は合目的に進化を遂げてきたのであります。必要でなければ進化の過程で不必要な機能は廃棄されたり退化し、必要な機能はさらに改善されてきたのです。ところが誰もがIgG抗体の一万分の一くらいのIgE抗体は常に保有しています。免疫の発生の胎生期に人体は自己の成分に対して免疫反応を起こさないように、自分の成分に対しては免疫寛容(麻痺)というプロセスを経て先天的に非自己だけ反応するよう決められているのであります。これを先見的免疫寛容(麻痺)と名付けて良いでしょう。1個の受精卵が10ヵ月後に3兆個の体細胞にまで増大成長するなかで、DNAによって作られた遺伝子は全ての細胞に同じ受精卵から生まれた細胞であることを示すために全て同じMHCⅠというタンパクを細胞に持たせたのです。従って自分の成分に対して自分の免疫が攻撃しないようになっているのです。これを私は先見的免疫寛容と名づけたのです。
しかしながら人体に侵入しても増殖はしないが人体にとって有害である物質、つまりいわゆる毒が侵入したときに生理学的に排除できないときや、また生理学的には排除できる有害物質が大量に侵入したために排除できなくなったときに、人体はどうするでしょうか?その目的の為に密かにIgE抗体を作る能力を温存しておいたのだと私は考えます。つまり、そのような毒がある濃度を超えると、人の生命を奪う可能性があるときに(人間が作った化学物質は、ほとんど全てがあるレベルを超えて人体に侵入すると必ず人を殺してしまうでしょう。)それを排除するために最後に免疫を発動させ、このときに使う武器としてIgE抗体を作るわけです。これこそ免疫の中に密かに隠されていた最後の正しい手段ではないのでしょうか?そうでなければわざわざ最後にクラススイッチしてIgE抗体を作る余地を残さなかったはずであります。それなのに何故学者はこのような考え方ができないのでしょうか?答えは簡単です。人体から排除すべき化学物質というのは科学文明によって生み出され、必ず人間の幸せを増やすと盲目的に考えられているものですから悪いことをするはずが無いと思い込まれています。現代の人間は、ましてや文明の最先端にいる科学者は、本能的に自分たちが支えている文明が悪をなしているとは決して思いつかず、無意識の内に否定してしまっているからであります。
このような間違った考え方は抗体の世界だけではありません。免疫には抗体による免疫の働き以外に細胞性免疫というのがあります。例えば、結核菌に対する免疫の働きは過剰反応のひとつで、遅延型過敏反応を起こすので、人間の免疫が悪事を成しているのだと考え、間違った免疫の働きだと考えられています。これも大間違いです。今でこそ抗生物質ができたので結核もずいぶんと減りましたが、免疫が結核菌に敗北したのは何も免疫の働きが間違いではなくて、ただ結核菌が人間の免疫よりもさらに進化し、ずる賢くなっていただけです。結局このような間違った考え方の出発点は、生命の中で人間が最高位に属しているという傲慢さから生まれたのです。免疫は結核菌をやっつけようと全力を尽くしているのにもかかわらず、相手が強すぎただけなのです。このような考え方は人間がいかに自己中心的でうぬぼれの強い存在であることを示しているのです。38億年かかって作り上げられた免疫の遺伝子の発動である免疫の働きは絶対なのです。ただ進化しすぎた人間の脳は同時に自分の快楽を最大限に求めようとする利己心も拡張しすぎてしまったのです。
例えば、天然に見られるクラゲやイソギンチャクに刺されて、その毒を排除しようとしてアレルギーを起こすのは当たり前のことです。なんとならば、この地球上には人間以外に約8千万種の生命がいます。その全てが人間に好意的であるはずがありません。人間は単なる種の一つにすぎないのです。このような天然の種が作り出している天然の異物が、人間にとって有害である異物というのは無限に存在し、それを摂取した後に異物として認識し排除するのは当たり前なのです。宇宙が誕生して150億年、地球が誕生して45億年、生命が誕生して38億年、人類が誕生して250万年といわれます。この生命誕生以来の言わば無限の時間の中でそれぞれの種は敵と味方を分類し、お互いに領域を荒らさずに共存してきたのであります。
例えば、アレルゲンはタンパクしか成り得ません。にもかかわらず人間は他の動植物のタンパクを摂取して生存し続けました。どうして食べ物として食べるこのようなタンパクがアレルゲンにならないのでしょうか?それは無限の時間の中で自分の生存に必要なタンパクを免疫が異物と認識しないように自然と免疫的に共存できるようになったと考えます。私はこれを進化的免疫寛容と名付けたいのであります。ところが生存のためには不必要な自然に見られるタンパクは、進化的免疫寛容は成立しなかったわけであります。従って古来から天然の異物に対してアレルギーを起こすことは何も不思議なことではないのです。アレルギーを起こさないためには、そのような異物を避ければ良かっただけの話だったのです。ところがアレルギーを起こしたときは、わざわざそのような異物と接触した人間の無知が問題だったのです。触れればかぶれたりするならば触れなければ良いわけであり、食べたり飲んだりしてアレルギーを起こすならば口に入れなければ良かったわけです。ところが現在の文明においては、生きるために嫌が応でも科学技術によって生み出された言わば新種の異物と接触し、吸い込み、飲み込み、食べなければ生きられないが故に、アレルギーが文明病的な最も多数の人が患う病気になってしまったわけであります。21世紀は全ての人がアレルギー患者になっているということを自信を持って予言できます。
私達の身の回りを見てみましょう。科学技術文明の恩恵を受けない生活必需品があるでしょうか?衣食住の全てのものが、何らかの形で人工的な物質が加味されております。江戸時代を思い出してください。この時代は全てが自然から得たものを形を変えただけのものが生活必需品だったわけであります。全て自然循環の中で暮らせば良かったのです。したがってこの時代は100%人工的アレルギーとは無縁の時代でありました。まさにアレルギーとは人工化学物質文明が生み出した文明病なのであります。
このような時代にアレルギーを避ける方法は二つしかありません。一つは、文明を否定して人工化学物質の無い自然の状態に生活を戻すことです。例えば日本を逃げ出してアマゾンやパプアニューギニアの原住民と一緒に生活することです。無理なことです。二つ目は、アレルゲンを受け入れて化学物質と共存することであります。アレルギーを起こす人はアレルゲンと戦い、それを排除する戦いに傷つきながらも勝利していることを意味するのです。アレルゲンを受け入れるということは、武器である免疫のアレルギー抗体であるIgE抗体が自然と作られなくなるまで我慢することです。昔は放っておけばアレルギーは自然と治ると言ったのはこのことなのです。問題はIgE抗体が作られなくなるまでアレルギーの戦いが続くということです。このアレルギーの戦いは避けることはできないわけですから、どのようにアレルギーの不快さに対処するかが治療法になるわけです。
ところが現代の医者たちは、アレルギーの意味や全貌を全く理解せずに、重箱の隅をつつくことばかりをしています。まず、原因さえ分かろうとしません。今まで何千年もの間、人間が何の問題もなく食べてきた食べ物をアレルゲンと言ってみたり、人間の生活に貢献してきた全ての草木の花粉が鼻炎を起こすなどというような愚かなことを言い続け、何の疑問も感じていないのであります。これらの花粉は単なる化学物質の運び屋に過ぎないのです。除去すべきは食べ物や花粉ではなく、その中に運ばれている農薬や自動車排気ガスに含まれる全ての化学物質なのであります。
さらに残念なことに、学者はその治療の為に正しいアレルギーの免疫をいかに抑制すれば良いのかということばかり研究しております。例えて言いますと、丁度このようなアレルギーの免疫を抑制する医者は、細菌が体内に入ってきて熱が出るときにIgM抗体やIgG抗体を作る免疫の為に生じる熱であるから、解熱させるためだけにこのような抗体の働きをいかに抑制するかに埋没している学者に似ています。つまり命の泉である免疫の働きを全否定してしまうような治療法を考えているだけです。ただこのような愚かな学者が存在しないのは、このような研究をしている内に細菌のために人が死んでしまうからです。ただアレルギーの場合は、悠長に的外れな研究が続けられるのは、アレルギーによって排除される異物は、少なくとも当面人の命を奪うものではないからです。
ここで考え方をまるっきりかえて、コペルニクス的転回をすればアレルギーに対する治療法も極めて簡単なものになるわけです。これを世界で初めて考え出し行ったのは私なのであります。まさに天動説を地動説に変えた革命的なコペルニクスの考え方と同じく、私の考え方は革命的なのであります。まず第一に、アレルギー反応は正しい。第二に、人間の頭脳が作り出した有害な化学物質がアレルゲンであること。第三に、従って絶対にアレルギーの免疫を抑制してはいけないこと。第四に、免疫反応の結果生じた症状の後始末だけをすれば良いこと。第五に、IgE抗体が使われる免疫反応の戦いは必ず負けるわけですが、つまり環境と平和的に共存できることになるわけですから勝つことになります。この五番目の考え方が私の提唱している後天的免疫寛容(麻痺)であります。もっと的確には後天的免疫敗北と言った方が良いかもしれません。つまり負けて勝つという高等戦術であります。私の治療は、何故全ての人に対してアレルギーを完治させる理論に成り得るかというと、どんな戦いも全戦全敗という結果を目指しているからであります。これほど簡単な勝利はないからです。つまり、初めから負けることが勝利であるという奇妙な戦いであるからです。
私の理論がこのように逆説的に聞こえるのは、まさにアレルギーが人間の文明が作り出した病気であるからです。どんな人でも、こんな戦いは自信を持ってできるわけであります。私がその司令官であるわけです。無限の汚染環境を敵に回して、有限である人間が勝てるわけがありません。さらに環境がなければ私達は生き続けることは不可能なのです。従ってこの戦い(アレルギー)の戦術(治療法)は、相手(汚染環境)を倒そうとするのではなくて、傷ついた味方の兵士(皮膚)をいたわることです。つまり皮膚が傷つけば免疫を抑制せずに出きる限り早く皮膚の傷を治し、そこに増殖する細菌が増えないようにすること、喘息であれば免疫を抑制せずに呼吸を楽にしてあげること、鼻炎であれば免疫を抑制せずに鼻水・鼻詰まりを取ってあげることであります。このような仕事は漢方煎剤の本領とするところであります。以上で私の革命的アレルギー治療法の意味は十分に理解してもらえたことでしょう。
最後になぜ漢方が免疫を強めるかを念のためにもう一度書き添えます。草根木皮は全て植物です。植物も害虫と常に戦い勝ち続けるために免疫の力を持った成分をたっぷり作っています。この苦い成分こそ免疫をアップしてくれるのです。
(2) 何故アレルギー性気管支喘息が増加したのか?
元来免疫とは細菌やウイルスなどが気管支などの人体に侵入し増殖して生命を脅かす異物に対する感染防御の働きを意味しました。細菌やウイルスを殺す武器は体の中で作られるIgM やIgG と言われる抗体であります。一方、アレルギーは医学的には不必要な過剰免疫反応と否定的に考えられてきましたが、すでに述べたように私に言わせると免疫の正しい働きの一つであり、微量では生命を脅かさないが、大量では人間に害を与え、人体では増殖できない異物である天然・人工化学物質に対する排泄反応、防御反応であり、戦いに用いられる武器はIgE 抗体であります。食べた異物である化学物質を皮膚から排泄する時はアトピ-性皮膚炎、鼻から入ってくる化学物質を排除するときはアレルギー性鼻炎、目から入ってくる化学物質を排除するときはアレルギー性結膜炎、気管支から入ってくる化学物質を排除するときはアレルギー性気管支喘息であります。これらはすべて化学物質が体内に蓄積し生命を脅かさないように人体を守ろうとする働きであり、武器はすべてIgE抗体が用いられ、使われる場所が異なるだけであることが最近明らかにされました。従ってこれらの全てのアレルギーを同時に治療するために新しくアレルギー科の標榜が許されたのであります。気管支喘息も以前は内科で診ていたのですが、現在では主にアレルギー科で診られるようになったのです。
文明が進歩するにつれて人間は科学の力によって人間だけに都合の良い便利な人工物質を大量に作りだしました。現代人の衣食住の生活の場で完全に自然から得られた物は何ひとつとして無いと言っても過言ではありません。とりわけ人体に取り込まれる水、食物、空気の中に人体にとって異物と認識され、毒にはなっても無益な化学物質が極めて多く含まれ、それらが無理やり人体に入り込むようになり、人体はこれを排除しようとするのは全く当然のことであり正しい体の働きであります。例えば気管支に大気に運ばれた汚染物質であるホルムアルデヒドをはじめとする揮発性有機化合物や、防虫剤・殺虫剤などや、排気ガスの粒子や煤煙の粒子が入り込んできたらどうするでしょうか?このときはじめて異物をその場で排除するために人体の奥の手である免疫を発動させ、咳き込ませたり、ゼーゼーと聞こえるほどに気管支を狭くして異物を入れまいとするのは間違いでしょうか?間違いを犯しているのは文明の名の下で大気を汚染し尽くしつつある人間の浅はかな知恵ではないでしょうか?その内に汚染されていない空気を売る商売が生まれるでしょう。だって汚染されていない高価な山の水がよく売れているのですもの。
(3) 真のアレルギー性気管支喘息の根本治療はなにか?
アレルギ-を起こすアレルゲン、つまり人体の蛋白や植物の花粉の蛋白と結びつく人工化学物質を大気を通して気管支や人体に入れないことです。積極的には文明社会から化学物質を一切除去することです。すくなくとも日本でディーゼルエンジンやガソリンの自動車の使用を禁止することです。しかしこれは不可能なことです。政治的にも経済的にも社会的にも文明的にも無理な話です。( しかし最近、電気自動車が脚光を浴びつつあります。)消極的には自動車や農薬や他の化学物質のない国に永久移住することです。どちらも無理なことです。ただ気管支喘息は他のアレルギーと異なる点があります。それは気管支の筋肉の収縮や拡張が自律神経に大きく支配されている点です。しかしほとんどの気管支喘息はベースにアレルギーがあり、それに自律神経の影響が重なるときにひどくなることがありますが、こんな場合もアレルギーさえ治しておけば喘息の症状で苦しむことはないのです。
(4) 次善のアレルギー性気管支喘息の根本治療は何か?
気管支喘息は他のアレルギーと違って、放っておけば息ができなくなり死ぬことがあるので、症状が取れるまで放っておくというわけにはいきません。従って、すぐに気管支を拡張し、呼吸を楽にしてあげることがまずしなければならないことです。しかし、その為に一時的にも免疫の働きを抑えてはならないのです。免疫を抑えないで気管支の収縮を解除してあげられるのは漢方煎剤だけであり、免疫を抑えない限り、最後は気管支から異物を排除しようとする戦いは必ずできなくなるのです。言わばアレルギー性気管支喘息とは汚染環境物質を気管支から排除する戦いであり、永遠に排除し続け勝ち続けられる戦いではないからです。何故ならば人体は有限でありますが、環境は無限であるからです。しかもいかなる戦いも最後は必ず決着がつきます。常に戦いは強い側が勝ちます。有限が無限に勝てることはありません。つまりこの戦いの武器であるIgE抗体は無限に作られるわけではなくて、自然に作られなくなり、無限の環境汚染物質との戦いに敗北してしまうのであります。この事実は私が発見したのであります。これが私のアレルギー根治の根本原理であり、アレルギー性気管支喘息根治の根本原理であります。
ただすべきことは戦いが終わるまでの呼吸困難の症状をいかに楽にさせることだけなのであります。このときに漢方煎剤の出番となるのです。喘息の症状をいとも簡単に除去してくれるのが漢方煎剤であります。漢方煎剤は一切免疫を抑制せずにいかなる他の西洋薬よりも症状を楽にしてくれます。このような完治の理論と実際とを教えてくれたのは、完治まで私の治療についてきてくれた気管支喘息の患者さんであり、他のアレルギーの患者さんであります。この事実を私は始めから知っていたわけではありません。私が始めから仮定をたてて、それを実践して証明したわけではなく、全てステロイドを使わずにアトピーやアレルギー性鼻炎・結膜炎や喘息を完全に治してあげた患者さんの経験から学んで打ち立てた理論であります。従ってこの理論は私のみが知っており、勿論優れた博士論文に成り得るわけであります。何故私だけがこの事実を知り得たかというと、恐らく世界で一切ステロイドや抗アレルギー剤を用いずにアトピーやアレルギー性鼻炎・結膜炎や気管支喘息の治療を行ってきた医者は私だけしかいないからです。ステロイドや抗アレルギー剤は炎症のみならずこのような貴重な理論と事実を隠してしまうこともあり得ることを考えると、本当に罪の多い薬と言えます。
さて、外部から侵入してくる異物を抗原またはアレルゲンと言います。しかし多くの場合は化学物質は分子量が小さく、それ自身だけではアレルゲンには成り得ません。必ず分子量の大きい蛋白と結びついてはじめてアレルゲンになるわけです。これらの化学物質をハプテンと言います。優れた免疫機能を持った人体はハプテンと人体が持っている蛋白とが結びついたアレルゲンを見つけると免疫機構を発動させて、最終段階でIgE 抗体を作りアレルゲンと結びついて、このアレルゲンを排除しようとする戦いを始め、最後はわざわざ気管支を閉じてアレルゲンを人体に入れまいとします。このときに呼吸困難の症状が起こります。にもかかわらず気管支から異物をどうしても排除しようとし続けるのは、その異物が体内に蓄積すると死をまねくという免疫機構の認識によるものであります。しかしこの抗原抗体反応の戦いは必ず敗北に至ります。何故ならば人体において特別に作られるIgE 抗体は有限でありますが、環境に見られる農薬や化学物質は人間が文明生活を続けるために無限に作り出し続けるからです。
昔から天然の異物に対して咳き込んだりゼーゼーしたりすることはあったのですが、昔は自然に治ってしまっていたのです。昔は現在ほど人口化学物質は無く、ただ少量の数少ない種類の天然の化学物質だけに不運にも出会ったときに、人間の免疫系は少量のIgE抗体を作って排除しようとして喘息の症状が見られたことがありました。しかし現在は毎日体内に無限に侵入してくる大量の多数のアレルゲンである自動車の排気ガスや、大気や花粉に運ばれる人工化学物質アレルゲンに対して、IgE 抗体は大量に作られ、体内に入れまいとして使われ続けられ、呼吸が3分以上できないと死んでしまうことが多く見られるようになったのです。この点がアレルギーの中で気管支喘息は他のアレルギーと大きく異なっているのです。つまり喘息は命の危険が常に伴うということです。従って常に喘息の治療は急を要するのです。いかに呼吸困難の症状を楽にしてあげるかが勝負のポイントになるのです。ここで漢方煎剤が出番となるのです。漢方煎剤は極めて簡単に呼吸困難の症状を除去し続けてくれます。漢方煎剤で気管支の収縮を取ってあげれば、遅かれ早かれ有限のIgE 抗体という兵士は作り尽くされ、使い尽くされて体内で起こっているアレルギーの免疫反応は終わってしまうわけであります。これがいわゆる自然後天的免疫寛容であるのです。この事実はいかなる優れたアレルギーの書物にも書かれたことがなく、私が初めて見つけ出した事実であります。
実を言えば私たちが見ている気管支の症状は何も気管支が病気を起こしているわけではないのです。あくまでも体内で生じている免疫の働きの最後の戦いの場が気管支にすぎないのです。気管支に侵入してくる大気汚染物質を入れまいとして、気管支を収縮させるときに起こる症状が喘息と呼ばれるものでありますが、気管支を収縮させるのは免疫の働きの最終段階であり、漢方煎剤は免疫を抑制せずにこの症状を簡単に除去することができるのです。気管支喘息の権威の書いた書物に一行も漢方煎剤がふれられていないことは誠に残念なことであります。ただ喘息はアレルギーだけが関与しているのではなく、他の様々なファクターが関わっていますが、アレルギーが重なっていない喘息というものは極めてまれであり、やはりアレルギー性気管支喘息を根治することが喘息発作の為に死ぬことから患者を救うことになるのです。しかしいずれにしろ漢方煎剤は様々な状況に対して極めて簡単に症状を取ること、つまり気管支を拡張することが可能なのであります。以前は免疫を抑制して気管支の収縮を除去する為にステロイドをよく使ったものですが、一度ステロイドを使うと止めることが難しい上に、必ずステロイドが知らぬ間に効かなくなり、リバウンドを起こし呼吸困難で死ぬ危険が増えることが認識され、できるかぎりステロイドは喘息の治療には用いられなくなりつつあります。しかし現代医学は根本治療を可能にする方法を見つけていません。漢方煎剤を用いることによってステロイドを断ち切り、ステロイドのリバウンド現象も乗り越えることができます。
さらに現代医学の治療により、体内でIgE抗体を一時的に産生したり使用することを抑制すると薬が切れたときに必ず禁断症状(薬の効果が切れたときの症状)が出現し、IgE抗体がさらに増産され体内を駆け巡り他のアレルギ-であるアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎・結膜炎をも引き起こしてしまうこともあるわけです。気管支喘息の治療で喘息は良くなったがアトピーが出現するということはしばしば見られる事ですが、私のアレルギー性気管支喘息の根治治療はIgE抗体を自然消滅させるわけですから、他の全てのアレルギーも完治させてしまうのです。
気管支喘息はアトピーと同じアレルギーでありながら、喘息の民間療法が皆無であるのは自然後天的免疫寛容に至るまでに死ぬ危険が常に伴い、民間療法では絶対に責任が持てないからです。しかし私は、アトピーも喘息も同じ原理で責任を持って根治することができるのです。
(5) 何故ステロイドホルモン剤や抗アレルギ-剤や抗ヒスタミン剤を用い続けるとアレルギー性気管支喘息は治らないのか?
症状を一時的に止めるということは、IgE抗体の生産と消費を見かけだけ抑制し同時に他の免疫反応を一時的に止め、その結果症状が一時的に良くなるだけです。つまり症状が良くなるのは免疫反応の抑制の結果、一時的には症状は起こらなくなりますが、薬が切れると再びIgE抗体の産生と利用が勢いよく始まりアレルギー性気管支喘息をさらに悪くするわけです。つまりステロイドホルモン剤、抗アレルギ-剤や抗ヒスタミン剤などを使えば使うほど見かけはIgE 抗体を減らすことは出来ますが、実際はIgE 抗体生産のシステムを一時的に寝かせているだけで、後でどんどんIgE抗体が増えていくのです。強力なステロイド内服剤やステロイド注射を用いればIgE抗体をほとんどゼロにすることもできます。しかし使用を止めると必ず抑制したぶんだけ勢いよくIgE 抗体生産が再開して症状が始めより必ず悪化するわけです。( 正常な人のIgE 抗体は100(IU/ml) 前後までと言われますが、70000(IU/ml) まで上昇したアレルギー患者がいました。) 元来、アレルギー性気管支喘息は気管支の細胞の問題ではないのです。気管支はただ単に体内に異物が入ってくるルートにすぎないのです。従って、アレルギー性気管支喘息は人体全体の免疫の問題であって、決して気管支の問題ではないのにもかかわらず、ステロイドホルモン剤を内服させ直接に体内に取り込ませたり、噴霧器などで気管支から吸収させたりして、体内の免疫反応を一時的に止めることによって、見掛けの気管支の炎症症状を良くするだけなのです。
抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤はステロイドの作用の一部を持っており、アレルギーの免疫反応の一過程の働きを一時的にブロックするだけですから、薬が代謝されてしまうと一時的な反応の阻止力が無くなり、また再び反応が勢いよく開始されるので多少ともステロイドと同じようなリバウンド現象が見られるわけであります。
(6) したがって松本漢方クリニックにおけるアレルギー性気管支喘息の根本治療は何か?
ステロイドホルモン剤、抗アレルギ-剤や抗ヒスタミン剤などの免疫抑制剤を絶対使わないで漢方煎剤を用いて自然後天的免疫寛容を目指すことであります。アトピーの場合と違ってアレルギー性気管支喘息の反応部位は極めて狭いので漢方煎剤を飲めば様々な症状は極めて短時間に消えてしまいます。
元来、誰でもIgE抗体 は100(IU/ml)くらいは持っています。(従って濃度の極めて濃い多種多様の異物が体内に侵入すれば、全ての人がアレルギーを起こす可能性がありますから、果たしてアレルギーが病気であるかどうかが問題になります。これについては後に議論します。)しかし異物を認識する能力の高い優秀な人はIgE抗体 を100(IU/ml) 以上に作って異物を排除しようとする時に目に見える症状がアレルギー症状として出るわけです。従って初めて症状がでたらすぐに来院され、漢方煎剤を飲まれればアレルギーの症状はたちどころに全て消えてしまいます。アトピーの場合は反応の起こる皮膚の広さが非常に広いので、ステロイド剤、 抗アレルギ-剤や抗ヒスタミン剤を使用してから来られると、必ず一時的に症状が悪化しリバウンド現象( 反跳現象、 禁断症状、離脱症状) が出現し、どんどんIgE 抗体が上昇して、IgE 抗体が上昇すればするほどアレルゲンとの結びつきが激しくなりどんどん症状も皮膚から出やすくなり激しくなります。しかしアレルギー性気管支喘息の場合は気管支という極めて限られた狭い場所がアレルギー反応が生じる場所なので、リバウンド現象というのはほとんどの場合見られません。しかし強力にステロイド剤の代表であるプレドニンなどを長期に服用してきたときは、プレドニンを急に止めるとリバウンドが出ることがあるので漢方煎剤を飲みながら徐々にプレドニンを減らすことができます。これが可能なのは、ステロイドよりも漢方煎剤が気管支を拡張したり、気管支の炎症を除去したりする力が遥かに強いからであります。このような優れた能力が漢方煎剤にあるにもかかわらず、医学部の教科書の気管支喘息の治療薬として載せられていないのは極めて残念です。
またアレルギー性気管支喘息の治療をしてきた人は、実を言うと知らず知らずの内にアトピーの治療をしてきたことになるわけです。というのは、アレルギーの種類が違っても現代のアレルギーの治療はとにかく人体で生じている正しい免疫反応を抑制するだけですから、全て同じ治療だからです。このような人は現代のアレルギー性気管支喘息の治療を止めて漢方煎剤を用いて気管支を拡張させてやると、喘息の症状は無くなりますが、逆にアトピーの症状が出ることがあります。これは抑制されてきた免疫が活性化されたためです。ところが気管支で使われるべきIgE抗体が皮膚で使われアトピーになるので気管支喘息で死ぬことが無いという保証を得たようなものでこれは都合のよいことなのです。(漢方煎剤が免疫を抑制しないで気管支を拡張できるメカニズムは現代医学では解明できません。これも今後の課題です。しかし漢方煎剤による喘息治療でアトピーが出るのは漢方煎剤が免疫を抑制しないという間接的な証拠にもなります。というのは、もし漢方煎剤に免疫抑制の力があればアトピーも出るはずはないからです。しかも最後はIgE抗体は作れなくなります。これを私は自然後天的免疫寛容と呼んでいます。)結局は現代のアレルギー性気管支喘息の治療はアトピーの治療と同じく免疫を抑制するだけですから、抑制が外れると出やすいところにリバウンド現象のアレルギーが出てしまうのです。このリバウンド現象はそれまで使ってきたステロイドや抗アレルギ-剤の量に比例します。またどのようなステロイドや抗アレルギ-剤を使ったかにも依ります。ステロイド注射が最悪です。つぎにステロイド内服剤や抗アレルギ-内服剤が悪者です。従って何はともあれ、まずはステロイドや抗アレルギ-剤、抗ヒスタミン剤や抗炎症剤の使用を止めさせることです。
ところで、ステロイドホルモンという薬は人体で必要な量だけ作られ、多くても少なくても病気を引き起こします。ところが、臨床においては病気の治療に最もよく使用されている薬であるにもかかわらず、何故すべての炎症に効くのか全く知られていない得体のしれないホルモンであります。(ステロイドが炎症に効くメカニズムを完全に解明すれば必ずノ-ベル賞をもらえるでしょう。) 現代の難病と言われる全ての膠原病や、リュウマチ、アレルギ-、アトピー、喘息などに用いられて、一時的に極めてよく効くのですが、止めると多かれ少なかれ必ずリバウンド現象( 反跳現象) が出ます。時には他の華々しい副作用が出ることがあります。ステロイドや抗アレルギ-剤を止めさせると口で言うことは簡単ですが、しかし実際はこれほど難しい事はないのです。何となれば弱いステロイドが効かなくなるとさらに強いステロイドを用いざるを得なくなります。ステロイドを止めると始めよりも症状がひどくなるのは、まさにステロイドは麻薬の性質を持っていると言えます。従って必ず禁断症状(薬を止めたときに出る症状)が出現します。もっとくわしく何故禁断症状が出現するかと言いますとステロイドや抗アレルギ-剤はリンパ球や他の免疫にかかわる細胞と結合して、それらの免疫細胞の遺伝子を変え免疫反応を一時的に抑制するだけですから、結合が切れると人体は自分の正常な遺伝子を取り戻す為に再び一挙にに免疫反応を行い症状がひどくなるわけです。(このリバウンドのメカニズムも本当は謎です。)ステロイドや抗アレルギ-剤や抗ヒスタミン剤の使用が多ければ、それだけそのような薬剤に結合しているリンパ球や免疫細胞が多いわけですから、多いぶんだけ薬を止めた時の免疫反応が強くなるわけです。このようなステロイドや抗アレルギ-剤で止められていた正常なアレルギ-の抗原抗体反応を起こさせ、最後は人体に大量に入り込んだ農薬をはじめとする化学物質という無限の抗原(アレルゲン)に対しては有限なIgE 抗体は永遠には作り続けることが出来ないのだという事を自然に知るようになるわけです。日本においても何千万人ものアレルギーを引き起こす汚染環境を敵に回して、一人の人間の免疫がそれを永遠に排除する戦いに勝つことは不可能なのです。これを自然後天的免疫麻痺、自然後天的免疫無活動、自然後天的免疫寛容と私は名付けています。(このメカニズムを完全に解明すれば必ずノ-ベル賞をもらえるでしょう。)このようにして最後は戦いに負けて環境と共存して生き延びていかざるを得ないわけです。人体は人間の頭と違ってあくまでも正直ですから正しい反応であるアレルギ-反応を抑制されたぶんだけ記憶し、自分の正常な免疫機能を取り戻す際にこの禁断症状がでるわけです。免疫は記憶のシステムであります。一度かかった伝染病には二度とかからないために敵を記憶しておくというのが免疫、つまり疫(病気)から免れる(かからない)という意味です。一方正しい免疫反応を起こしているときに、無理やりその免疫反応を抑制されると、その分より一層強く敵を記憶して抑制が取れたときに一挙に強いアレルギー反応、つまり禁断症状を起こしてしまうという側面が免疫にはあるのです。(このことを証明すれば何か優れた賞が取れるでしょう。)私の治療で一つのアレルギーであるアレルギー性気管支喘息を根本的に治すということは、結局すべてのアレルギ-であるアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎も同時にすべて治ってしまうことを意味するのです。
昔は喘息の治療でどんどんステロイド内服剤であるプレドニンやリンデロンを悪徳開業医が使って大いに稼いだ時代がありました。しかしリバウンドの為に、最悪の場合は死ぬことがあることが世間に知られてしまいました。その為にステロイド内服剤は開業医では滅多に使われることは無くなりました。ところが死ぬことが無いアレルギー性鼻炎の治療で、耳鼻科の悪徳開業医がステロイドの筋肉注射を全ての患者にする医院が大手を振って闊歩している時代になってしまいました。その結果、様々なリバウンド現象でアレルギーがひどくなり、アトピーになったり、喘息になったりして悩むアレルギー患者が多くなってきたことは極めて残念なことです。喘息やアトピーでステロイド注射や内服剤は悪いと知られてしまっているのですが、耳鼻咽喉科の医者が今でもこのような間違いを犯していることをあらためて声を大にして伝えておきたいと思います。
(7)漢方とアレルギー性気管支喘息
現代のアレルギー性気管支喘息治療は全てアレルギー性気管支喘息の症状の根本である免疫活動を一時的に抑制するだけですから永遠に治らないことは何度も述べました。私が発見した治療法は、いかなる自然の免疫の働きは正しい反応ですから抑制しなくても、いずれこの正しい反応も無限に続かなく、自然と終結するので症状の後始末だけをすれば良いということです。この時に漢方の出番になります。漢方煎剤は症状を簡単に除去してくれます。漢方煎剤は気管支を拡張するのみならず、免疫を高めて早くIgE抗体を使い切るのに大いに貢献していることは言うまでもありません。例えば、他のアレルギーのアレルギー性鼻炎・結膜炎や消化管アレルギーの場合も、漢方を飲めばたちどころに様々なアレルギーの症状を除去してくれます。しかしどんなアレルギーの漢方治療の場合も抑制されていたIgE抗体は必ず上がっていきますから、免疫を抑制しているわけではありません。にもかかわらず症状が楽になるという点が漢方の偉大さであります。ところが、この漢方を現代医学は科学することができないのです。その理由は幾つかあります。まず第一に、現代科学の力では一種類の生薬成分でさえ未だ完全には特定できていないことであります。(全ての成分を特定することは永遠に不可能でしょう。)従って、どの成分がどのように薬効を示しているかが全くわからないことであります。さらには様々な生薬の個々の成分の相互作用を考えると、今盛んに話題となっている複雑系の分野に属する事柄になり、さらに漢方の研究を難しくさせています。また漢方の経験処方は、必ず二つ以上の生薬から成り立っています。従って漢方薬の効能は単一の生薬の成分の効能によるものではないことは言うまでも無く、複数の生薬の成分の相加・相乗作用に基づく効果が発揮されていると考えられます。さらに副作用については逆に相減作用が働いていると考えられます。現代医学は単一の成分だけを用いるのが原則でありますが、漢方では単一の成分を用いるよりも複数の成分を併用することが、遥かに薬効を発揮でき、さらには副作用も軽減できることが経験的に分かっているのです。ここが現代西洋医学の要素還元主義的な薬の用い方とは異なり、漢方薬が複数の生薬を用いる所以であります。他方、現代医学は漢方の考え方とは違って、薬の相加・相乗・相減作用などをはなから認めようとしません。認め始めると現代医学が成り立たなくなるためです。逆に西洋医学の薬は併用することによって副作用が出ることがしばしば問題になります。このような意味においても、漢方と西洋医学とは土俵が違うわけであります。
古来から病気の大部分は見かけ上炎症という症状で現れます。この見かけ上の炎症を除去すれば結果として病気は治るということを、漢方を作った古代中国人は知っていました。勿論、免疫や抗体やウィルスや細菌などについては目に見えないものですから全く知らなかったわけですが、その代わりにいかにして患者の症状を楽にしてあげようかと努力を注いだのです。そしてまさにこの炎症から生じる症状を改善することの出来る草根木皮を探し尽くしたわけです。しかし炎症といってもいろいろあります。一番代表的な炎症は感染症によるものです。これについては細菌に対しては抗生物質により一応根本的に征服されたと考えられています。( しかし最近の大腸菌によるO-157 騒ぎはまだまだ細菌も手強い敵でありつづけているようです。) つぎにウイルスでありますがエイズウイルスでわかりますようにエイズウィルスそのものを殺すのにまだまだ時間がかかるようです。いずれにしろ漢方は結果的に人間自身が固有に持っている免疫力を上げることで対応し、さらに病人の症状だけをできるかぎり楽にしてあげようとした努力が漢方経験処方として私達に伝えられてきたのであります。
ここであらためて私が考案した漢方煎剤が免疫を抑制しないことを詳しく説明しておきたいと思います。勿論いろいろと説明の仕方はありますが、言わば毎日毎日臨床免疫学をしていると言える開業医としての私の立場から一つの答えを出しておきます。
免疫抑制剤の代表であるステロイド剤は使えば使うほどIgE抗体の産生を抑制することができます。IgE抗体をゼロにすることもできるのであります。例えば、アレルギー患者に毎日毎日ステロイドを注射するとか、ステロイド内服剤を毎日毎日大量に服用させれば理論的にはIgE抗体はゼロになってしまいます。ところが、そのステロイドを止めると急激に(ときには徐々に)IgE抗体の産生が始まり、抑制されたIgE抗体がどんどん上昇していきます。と同時に症状がどんどん激しくなっていきます。こんなときに再び症状を一時的に楽にする為にステロイドを用いると、症状も良くなると同時に再びIgE抗体が下がっていきます。これがステロイドの免疫の抑制の意味であり、基本的には現代医学のアレルギーの治療で行われていることであります。一方、ステロイドを止めさせると同時に漢方煎剤を用いてリバウンド症状を楽にしていくにつれてIgE抗体が上がっていきます。これは漢方煎剤が免疫を抑制することがないことの一つの証拠です。ここで賢い人は次のようなするどい質問をするかもしれません。「ステロイドの離脱症状の方が激しくて漢方煎剤の抑制作用が隠されているのではないか?さらにあなたの言う自然後天的免疫寛容というのは漢方煎剤の免疫の抑制の始まりを意味しているのではないのでしょうか?」と。それに対して私は次のように答えます。「ステロイドの抑制作用がいずれ取れ、同時にステロイドのリバウンド現象も終わったときに、もし隠されていた漢方煎剤の免疫抑制作用があればご指摘の通り再びIgE抗体は下がるでしょうが、同時にアレルギーが治ったから漢方煎剤を飲む必要が無いので漢方を止めるとしましょう。そうすれば再び漢方煎剤の免疫抑制作用の結果、必ずリバウンド現象が出てしまうでしょう。ところが私が後天的免疫寛容が生じ、全てのステロイドの副作用を除去できたのでアトピーが治り、鼻炎が治り、喘息が治ったので漢方煎剤を服用する必要は無いと宣言した患者には、絶対にリバウンドが出ることはないという事実をどのように説明できるでしょうか?つまり、漢方を止めたからといって再びIgE抗体が上昇することもなく、症状が再発することもないわけですから、漢方煎剤には免疫抑制の作用は絶対に無いのです。」と答えるつもりです。この質問は極めて優れた質問であり、自然後天的免疫寛容を漢方煎剤の免疫抑制の始まりと指摘するところにポイントがあるわけです。念を押しておきますと、漢方がアレルギー性気管支喘息を治しているのではなく、漢方は免疫を抑制せずに症状だけを除去するのに貢献しているのです。この漢方の謎を完全に解明すればノーベル賞が何個も貰えるでしょう。
今さら言う必要は無いのですが、様々な漢方研究施設で実験的にも漢方処方が免疫を促進させることを証明しております。
(8)実際の治療上の問題
アトピーと違ってアレルギー性気管支喘息の治療上の実際的な問題は皆無です。すでに述べたようにステロイドのプレドニンを長期に常用してきた人だけに対しては慎重にプレドニンを減らしていく必要があります。他の抗アレルギー剤はステロイドに比べれば免疫抑制作用については比べようも無い程に弱いものですから、漢方煎剤を飲む限り、即座に服用を止めても問題はありません。アレルギー性気管支喘息は炎症が生じる気管支自体が極めて狭いうえに、大気が無限大にあるので、そこに含まれている化学物質は大気に薄められているので通年のアレルギー性気管支喘息が見られるのはまれです。例えば公害で認定されている喘息患者も常に発作を起こしているわけではありません。通年の喘息が多く見られるのは自律神経が大きく関わっているアレルギーの患者さんだけです。しかし問題が起こるのはアレルギー性気管支喘息の患者さんが風邪を引いたときに喘息発作が出ることがあることです。従って喘息患者は常に風邪を引かないように心掛けなければなりません。しかもアレルギーで唯一生死に関わりがあるのが気管支喘息ですから、重篤度は喘息がダントツであることは言うまでもありません。しかしアトピーよりも遥かに喘息のほうが治しやすいのです。
最後に一言。
どうしても言っておきたいのは、私が特別な名医であるからアレルギー性気管支喘息を治せるというのではありません。漢方煎剤の持つ気管支拡張作用の賜です。免疫を抑制しないで症状だけを取るだけで、アレルギー性気管支喘息は自然治癒が原理的には可能であるからです。自然に逆らわなければ、必ず治る病気だからこそ、私が治せるのです。