アシクロビル(ゾビラックス)は単純ヘルペスや水痘・帯状ヘルペスのみならず乳がんや胃がんの原因となるEBウイルスにも効果がある経験を数多くしたのですが効くメカニズムは何でしょうか?アシクロビル(ゾビラックス)は、経験的にEBウイルス(EBV)感染症の症状軽減や治癒に効果が見られますが、その効果は単純ヘルペスウイルス(HSV)や水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の場合とは異なるメカニズムであります。
EBウイルスに対する効果を示すアシクロビルの作用メカニズムとは。
1.EBウイルスDNAポリメラーゼの阻害
アシクロビルは、活性型の「アシクロビル三リン酸」に変換されると、EBVのDNAポリメラーゼに対して高い親和性を示します。これにより、EBVのDNA複製を強く阻害します。
2.HSVやVZVとは異なる活性化経路
HSVやVZVの場合、ウイルスが産生する「チミジンキナーゼ」によって効率よくアシクロビルがリン酸化(活性化)されますが、EBVにはこの特異的なウイルス酵素がないか、あってもわずかしか働きません。そのため、EBV感染細胞内でのアシクロビルのリン酸化は非常に効率が悪いです。
3.EBV(EBウイルス)ポリメラーゼの感受性の高さ
しかし、EBVのDNAポリメラーゼは、細胞内のDNAポリメラーゼよりもアシクロビル三リン酸に対する感受性が非常に高いため(約100倍)、わずかに生成された活性型のアシクロビルでもウイルスのDNA合成を強力に阻害できるのでEBウイルスはDNAの複製ができなくなるのです。
4.潜伏感染にはアシクロビル(ゾビラックス)がEBウイルスに対して無効であっても問題はありません。
アシクロビルが効果を示すのは、HSVやVZVの場合と同じくherpesウイルスが活発に増殖している溶解(増殖)期の感染細胞のみですから、アシクロビルは極めて効率の良い抗EBV増殖抑制薬となれるのです。EBVは体内でB細胞などに潜伏感染する特徴があり、潜伏感染状態のウイルスにはアシクロビルは全く効果がなくても最高のEBV増殖抑制薬なのです。癌細胞を作り増やすEBVのDNA複製ができない限りEBVのビリオンが増えないので、新たなるEBウイルス感染細胞が生まれることはないので自己免疫疾患や癌細胞を作ることができないので潜伏感染には無効であっても何も問題ないのです。
EBVは体内でB細胞などに潜伏感染する特徴があるので免疫が落ちだすと潜伏感染から溶解(増殖)期の感染に変わりEBVのビリオンが勢いよく増えだします。増えすぎたEBVのビリオンはB細胞膜を破ってあらたなるB細胞に感染してバーキットリンパ腫を生み出す可能性を大きくしてしまいB細胞のがん関連遺伝子(増殖関連遺伝子)の2種類の遺伝子を突然変異させてしまいバーキットリンパ腫となるのです。