なぜシリーズ 理論

LDの上昇は、肝臓、心臓、腎臓、赤血球など、全身の多くの細胞が何らかの障害によって破壊され、細胞内のLDが血液中に漏れ出すことで起こります。何らかの障害とは何でしょうか?更新2025.11.14

投稿日:

LD(乳酸脱水素酵素)の上昇は、肝臓、心臓、腎臓、赤血球など、全身の多くの細胞が何らかの障害によって破壊され、細胞内のLDが血液中に漏れ出すことで起こります。LD酵素の役割は、糖質をエネルギーに変える 解糖系の最終段階で働くこと、そして細胞が損傷した際に漏れ出る逸脱酵素として、細胞傷害の有無や程度を把握するための指標となることです。

LDが上昇するメカニズム
細胞・臓器の障害と逸脱: LDは体内のほとんどの細胞(特に肝臓、心臓、腎臓、赤血球など)に多く存在します。
血液中への漏出: 肝炎、心筋梗塞、筋疾患、腎不全など、何らかの病気でこれらの細胞が破壊されたり、細胞膜の透過性が高まったりすると、細胞内にあったLDが血液中に漏れ出し、血中濃度が上昇します。
広範な分布: LDは全身に広く分布しているため、特定の臓器だけでなく、様々な疾患で上昇する可能性があります。激しい運動後や妊娠後期など、病気以外の原因でも一時的に上昇することがあります。

LD酵素の役割
エネルギー産生の触媒: LDは、解糖系(糖がエネルギーに変わる過程)の最終段階で、ピルビン酸と乳酸の反応を触媒する役割を担っています。
細胞傷害の指標: 臓器や組織が損傷を受けるとLDが血中に逸脱するため、血中LD値の上昇は「細胞が傷ついているサイン」として、全身の細胞傷害の有無や程度を示すスクリーニング検査として用いられます。
原因特定のための補助: LD単独では原因疾患を特定することは難しいため、上昇した臓器を推定するために、LDアイソザイム(LDには5種類のアイソザイムが存在する)の測定が行われます。また、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)など他の酵素との比を調べることもあります。

-なぜシリーズ, 理論
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

漢方はなぜ免疫を上げるのか part2 〜ファイトケミカルと免疫について〜

 「侵入した異物との出会いによってのみ免疫が活動し始める、つまり免疫が上がる」とどこかに書いたことがあります。それでは飲むと免疫が上がる漢方生薬は何をしているのでしょうか?漢方を飲むと風邪はひきにくく …

no image

何故多くの癌性血液細胞が「不死」であるのでしょうか?更新2025.6.2

何故多くの癌性血液細胞が「不死」であるのでしょうか?何故癌細胞は不死化するのでしょうか?何故herpesウイルス(EBウイルス)はBリンパ球に感染してBリンパ球の遺伝子を癌化させるのか? 主な理由は、 …

no image

医学には東洋医学も西洋医学もなく病気を治せる医学が真実の医学である。

まず医学とは何かについて述べざるを得ません。辞書的に定義されている医学とは次のようです。『医学とは、生体の構造や生理機能についての探求や、疾病の性状、原因について調査し、その診断、治療、検査、予防等に …

no image

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とはherpesが原因であるので抗herpes剤投与で治ります。更新2025.8.25

ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis 略してALS訳して筋萎縮性側索硬化症)とはherpesが原因であるので抗herpes剤投与で治ります。筋肉を動かすための運動神経が侵 …

no image

人体の組織の正しい分類法 〜脂肪組織〜 2020.6.19更新

脂肪組織の構造、脂肪細胞の構造 皆さん、脂肪や脂肪細胞や脂肪組織という言葉から連想されるのは、単純に食べた脂肪や、摂りすぎた糖分が脂肪になって、皮下脂肪や内臓脂肪になって太って格好悪いというイメージし …