ヘルペス関連 ラムゼイハント症候群 理論

ラムゼイハント症候群のようなherpesによる治療で抗herpes剤とステロイド剤を同時併用することがしばしば見られますが矛盾する治療で止めるべきです。更新2025.9.26

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ラムゼイハント症候群(ハント症候群)は、子供の頃に感染した水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうのウイルス)が水痘治癒後、水疱瘡(水痘)ウイルスは、初感染して治った後も体内の神経節に潜伏します。特に、背骨の近くにある感覚神経を支配する脊髄後根神経節や、特に顔の感覚をつかさどる三叉神経節といった部位に隠れて、免疫が落ちない限り一生にわたって潜伏感染と言われる状態で住み着くこともあります。脊髄後根神経節は 背骨の近くにある神経節で、免疫が落ちた時には増殖して神経に沿って胸や背中にまで出て近くの細胞に感染してキラー細胞によって細胞ごとherpesも殺されて帯状疱疹を発症することもあるのです。症状は免疫がヘルペスと戦って時に見られるのです。
三叉神経節は 顔の感覚をつかさどる神経節で、顔や目の周りに帯状疱疹を発症することがありますがherpesを殺しているからです。
免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが再活性化してウイルスの子供であるビリオンが(増えて)、この脊髄後根神経節や三叉神経節から神経に沿って移動します。その結果、感覚神経に沿って帯状の発疹と強い痛みを引き起こす「帯状疱疹」として発症するので、顔面神経に感染して発症する神経障害です。

神経に感染したherpesはどのように神経を移動するのでしょうか?
ヘルペスウイルスは神経線維の髄鞘(ミエリン鞘)に感染して移動するのではなくヘルペスウイルスは、軸索内を移動します。神経細胞は、軸索と呼ばれる長い突起と、軸索を保護する髄鞘でできています。ヘルペスウイルスが神経内を移動する際には、以下のようなメカニズムが働きます。

1. 軸索内でのherpesの輸送ヘルペスウイルスが皮膚や粘膜の末梢神経から感染すると、ウイルスは神経の軸索末端に入り込みます。①逆行性輸送(Retrograde axonal transport): 初感染時、ウイルスは軸索内を通って神経細胞の中心部(細胞体)まで運ばれます。この輸送には、細胞内にある「微小管」というレールと、ダイニンなどのモータータンパク質が利用されます。②潜伏期: ウイルスは神経節(神経細胞体が集まった場所)に到達し、そこで休眠状態(潜伏感染)に入ります。
順行性輸送(Anterograde axonal transport): 免疫力の低下によってウイルスが再活性化すると、ウイルスは神経細胞体から再び軸索を通って末梢神経の先端(皮膚など)に向かいます。この移動には、キネシンなどのモータータンパク質が関与しています。

2. 髄鞘との関係
髄鞘は、軸索の周りを覆って電気信号の伝達速度を高める働きをします。ヘルペスウイルスは髄鞘に感染して移動するわけではありませんが、ウイルスが中枢神経系に広がり、髄鞘を形成する細胞(オリゴデンドログリア)に感染すると、髄鞘の破壊(脱髄)を引き起こす可能性があります。これは、多発性硬化症の原因の一つとしてヘルペスウイルスが関連している可能性を示唆する研究も報告されています。

まとめ
ヘルペスウイルスは、髄鞘の外側ではなく、神経細胞の軸索内部を、細胞の輸送システムを利用して移動します。髄鞘はヘルペスウイルスの感染と直接的な移動経路にはなりませんが、ウイルス感染が髄鞘に影響を与えることはありえます。

 

ヘルペスウイルスは潜伏感染時にウイルスゲノムが染色体とは独立したエピソーム(環状のDNA)の状態で存在する場合がありますが、神経節に潜伏するヘルペスウイルスなどのように、ウイルスゲノムが宿主細胞の染色体に組み込まれる「プロウイルス」という状態を取ることもあります。
Herpesの潜伏感染とエピソームとプロウイルスの関係①潜伏感染(Latent Infection):herpesウイルスが宿主細胞内で長期間、複製も疾患も引き起こさずに存在している状態です。②エピソーム(Episome):ヘルペスウイルスの核酸(DNA)が、宿主細胞の染色体とは独立して円環状などの形で存在する状態です。ヘルペスウイルスが自立した状態を保ちながら神経細胞である宿主細胞に潜伏刷るのはエプソープではなくします。プロウイルス(Provirus)です。③プロウイルス(Provirus):ヘルペスウイルスでは、潜伏感染時にウイルスゲノムが宿主細胞の染色体DNAに組み込まれます。④ヘルペスウイルスの場合:ヘルペスウイルスは神経節の神経に潜伏感染することが知られていますが、この潜伏ウイルスは宿主の染色体DNAに組み込まれている(プロウイルス化している)ことが多く、必ずしも独立したエピソームの形で存在しているわけではありません。まとめ:ウイルスが神経節で潜伏感染する際の核酸(DNA)の状態は、ウイルスの種類によって異なります。エピソームの形で潜伏する場合と、宿主の染色体に組み込まれるプロウイルスの形で潜伏する場合がありますがherpesが神経節の神経線維に隠れるときはプロウイルスです。

ヘルペスウイルスのみならずウイルスの再活性化とは何でしょうか?
ウイルスの再活性化とは、体内に潜伏していたウイルスが、免疫力低下などのきっかけで再び活動を開始し、増殖する現象です。ヘルペスウイルスなどが体内で活動を再開し症状を繰り返す場合や、B型肝炎ウイルス(HBV)のキャリアが免疫抑制療法によってウイルスの再増殖を起こす場合などがあり再再活性化してウイルスの数が増えることです。

ウイルスの再活性化のメカニズム①潜伏感染(不活性化):ウイルスが一度体内に感染すると、体の免役はウイルスを抑え込み、不活性化または休眠状態(潜伏感染)で体内の特定の細胞に潜伏します。②免疫の低下:ストレスや病気、免疫抑制療法などによって免疫力が低下すると、ウイルスの増殖を抑えていた免疫監視機構が弱まります。③ウイルスの活動再開:免疫力が低下した隙を狙って、潜伏していたウイルスが活動を再開し増えだします。④ウイルスの増殖:再活性化したウイルスは体内で増殖し、細胞を破壊したり、炎症を引き起こしたりすることで、再び症状が現れることがあります。

ウイルスの再活性化が起こりやすい例①ヘルペスウイルス:単純ヘルペスウイルスやヒトヘルペスウイルス6(HHV-6など)は、神経細胞などに潜伏し、免疫力が低下した際に再活性化して口唇ヘルペスや帯状疱疹などを引き起こすことがあります。②B型肝炎ウイルス(HBV):感染後もウイルスの増殖が抑えられていたキャリアが、抗がん剤治療などによって免疫が低下すると、肝細胞内でウイルスが再増殖し、劇症肝炎を引き起こすことがあります。再活性化したウイルスによる肝炎は劇症化しやすく、予後不良となる場合があるため、特に免疫抑制状態になる治療を受ける際には注意が必要です。

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