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分裂が活発である細胞ほど、放射線の影響を強く受けるのはなぜですか?更新2025.8.22

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分裂が活発な細胞ほど放射線の影響を強く受けるのは、DNAへのダメージが修復される前に細胞分裂のプロセスが進むため、そのダメージが次の細胞に伝わりやすくなり、さらに細胞分裂の途中でDNAが損傷すると、そのまま異常な細胞が生成される可能性が高まるからです。特に、①細胞分裂の頻度が高い組織、②将来の細胞分裂の機会が多い組織、③未分化な細胞ほど放射線感受性が高くなるという「ベルゴニー・トリボンドー(Bergonié-tribondeau)の法則」が知られています。

ベルゴニー・トリボンドー(Bergonié-tribondeau)の法則とは、放射線に対する細胞の感受性に関する法則です。この法則は、細胞分裂の頻度が高いほど、将来の細胞分裂の回数が多いほど、また細胞が未分化な状態ほど、放射線感受性が高いことを示しています。①細胞分裂の頻度が高いほど:活発に細胞分裂を行っている組織は、放射線によって損傷を受けやすく、感受性が高いとされています.②将来の細胞分裂の回数が多いほど:まだ多くの細胞分裂を繰り返す必要がある若い組織は、放射線によってより大きな影響を受ける可能性があります.③未分化な細胞ほど:細胞が分化していない幹細胞である状態は、放射線感受性が高いとされています.④若い個体は、細胞分裂や代謝が活発なため、放射線感受性が高い傾向があります.

⑤骨髄や腸の粘膜なども、細胞分裂が盛んな組織は、放射線によって大きな影響を受ける可能性があります.⑥リンパ球は、骨髄で未分化な状態で生成される際にも、成熟した後にも放射線感受性が高いとされています.

⑦このベルゴニー・トリボンドーの法則の例外も存在します.例えば、リンパ球は、骨髄で未分化な状態でも、成熟した後でも放射線感受性が高いことが知られています.ベルゴニー・トリボンドーの法則は、放射線生物学における基本的な法則の一つであり、放射線影響を理解する上で重要な概念です.

 

ベルゴニー・トリボンドーの法則の根拠は、未分化で細胞分裂が活発なほど放射線感受性が高いという観察結果であり、これは細胞が分裂し多くの細胞に増殖する過程で放射線の影響を受けやすいため、あるいは未分化な細胞は分化・成熟した細胞よりも放射線による損傷からの回復が困難であるためです。このベルゴニー・トリボンドーの法則は、ラットの睾丸を用いた実験で導き出され、一般的に生体組織の放射線感受性の傾向を示すものとして広く受け入れられています。

「ベルゴニー・トリボンドーの法則が成り立つ具体的な根拠」①細胞分裂の頻度が高いこと:細胞分裂が頻繁に行われる組織(若い個体の睾丸など)は、分裂中に細胞が放射線によって損傷を受ける確率が高くなります。②再生能力が大きいこと:将来の細胞分裂の回数が多い、つまり再生能力が高い組織ほど、放射線の影響を大きく受けやすいのです。③形態・機能が未分化であること:未分化な細胞は、すでに分化・成熟した細胞よりも放射線の影響を受けやすく、損傷からの回復が困難であると考えられています。

この「ベルゴニー・トリボンドー(Bergonié-tribondeau)の法則は、特に放射線感受性の高いリンパ組織、生殖腺、骨髄などで見られます。

脳のような未分化な細胞が少なく、細胞分裂が活発ではない組織は放射線感受性が低く、これが放射線の影響が少ない理由の一つです。

放射線感受性は、個体の年齢にも依存し、若い個体の方が細胞分裂や物質代謝が盛んなため感受性が高いとされています。

 

放射線が細胞に与える影響のメカニズム①DNAの損傷:放射線は細胞のDNAを切断したり、細胞内の水分子と反応して活性酸素を発生させ、その活性酸素がDNAを損傷したりします。②修復の限界:放射線によって受けたDNAの損傷を細胞は修復しようとしますが、放射線の影響が大きかったり、損傷が深刻だったりすると、修復が追いつかないことがあります。

分裂が活発な細胞で影響が大きくなる理由①DNAの露出:細胞が分裂する際、特に分裂の準備段階(細胞周期)ではDNAがより露出され、放射線による損傷を受けやすくなります。②修復の機会の喪失:。細胞が分裂して増殖する際には、分裂の途中でDNAが正常な状態から異常な状態へと変化していきます。このとき、正常なDNAとは異なる形になっていると、放射線によってさらなる損傷を受けやすくなり、修復が困難になります。

ベルゴニー・トリボンドー(Bergonié-tribondeau)の法則は:造血幹細胞など、活発に分裂して特定の細胞に分化する細胞は、この法則に当てはまるため、非常に放射線感受性が高いと考えられています。このように、分裂が活発な細胞は、放射線によって損傷したDNAを修復する前に細胞分裂のプロセスが進行するため、細胞へのダメージが蓄積しやすく、結果として放射線の影響を強く受けることになるのです。

癌に対する放射線治療とベルゴニー・トリボンドーの法則との関りは、全くないのです。何故ならば癌という病気は存在しないからです。癌とは「増殖過剰細胞」に過ぎないのです。それでは何が普通の正常な細胞を「増殖過剰」にしてしまったのですか?herpesウイルスです。放射線治療で癌を治すことはできない上に幹細胞を持っている正常な細胞も新しい細胞と入れ替えるために必ず細胞を定期的に増殖分裂する必要があるのですが間違った癌治療である放射線治療で殺されていくので正常な細胞もどんどん減少してしまうのです。ベルゴニー・トリボンドー(Bergonié-tribondeau)の法則は、細胞分裂が活発で未分化な組織ほど放射線に感受性が高いという法則であり、癌細胞の治療に放射線が有効であることの根拠となっていますが同時に副作用としては正常な細胞の新陳代謝となる細胞分裂もできなくなります。また癌細胞は正常細胞よりも分裂頻度が高く未分化な場合が多いため、放射線によってDNAにダメージを受けやすく、正常細胞よりも死滅しやすいため、この法則は放射線治療の効果を説明する上で重要な原理です。と同時に幹細胞の細胞分裂が活発で未分化な細胞から分化して正常細胞になるべき細胞も死んでいくことになるのです。

ベルゴニー・トリボンドーの法則は、生体組織の放射線感受性について、以下の3つの特徴で説明されます。

①細胞分裂の頻度が高い癌組織ほど、放射線感受性が高い。②将来、細胞分裂を続ける回数が多い癌組織ほど、放射線感受性が高い。③形態的・機能的に未分化な癌細胞ほど、放射線感受性が高い。④放射線がこのような法則に合う特性を持つ癌細胞に照射されると、DNAにダメージを与えて細胞を死滅させます。

ベルゴニー・トリボンドーの法則と放射能によるがん治療との合致:ベルゴニー・トリボンドーの法則によれば、分裂頻度が高く未分化な癌細胞は放射線感受性が非常に高いため、正常細胞よりも効率的に死滅させることができます。ベルゴニー・トリボンドーの法則は、放射線が細胞分裂の活発な癌組織に特に影響を与えるという基本的な性質を示しており、癌の放射線治療が有効である科学的根拠を提供しています。

具体例
リンパ球の例:造血器官にある未分化なリンパ球は放射線感受性が高いとされます。
精巣の例:精子を作り出す精巣の細胞は、放射線感受性が非常に高い組織であり、放射線に曝されると不妊を引き起こす原因となります。

癌の放射線治療が正常細胞に与えるベルゴニー・トリボンドーの法則の副作用とは何でしょうか?
このベルゴニー・トリボンドーBergonié-tribondeau)の法則に基づき、放射線治療では以下のような細胞や組織が影響を受けやすいのです。
①リンパ球:末梢の成熟したリンパ球も放射線感受性が高く、放射線治療後に数が減少することがあります。②造血幹細胞:白血球や赤血球などの血球を作り出す造血幹細胞は放射線感受性が非常に高く、放射線による骨髄抑制など、血球減少の副作用の原因となります。③生殖腺細胞:精巣などで精子を作る細胞も放射線感受性が高いことが知られています。したがって、放射線治療では、これらの高感受性細胞が多く存在する部位での副作用が起こりやすいのです。

 

放射能が発がんリスクを高めるメカニズムは、細胞のDNAが放射線によって損傷を受け、そのDNAの修復に失敗することでがん化することがあるためです。被ばく線量が大きくなるほどリスクが増加し、白血病は被ばく後に比較的早期に発生する一方、固形がんは長い年月をかけて発生します。ただし、細胞にはDNAの修復機能があるため、放射線を浴びても必ず発がんするわけではなく、低線量ではリスク増加を明確に示すことは困難です。

放射線と癌の関係
①DNA損傷と発がん:
放射線は細胞内のDNAを傷つけます。細胞には傷ついたDNAを修復する能力がありますが、修復能力を超えた大量の放射線に被ばくすると、修復が追いつかず細胞が死滅したり、がん化したりします。

②放射線は細胞内のDNAをどのように傷つけます?放射線は、細胞内のDNAの分子鎖を切断したり、活性酸素を介して間接的にDNAを傷つけることで、DNAを損傷します。DNAの損傷が修復されると元の状態に戻りますが、修復ミスが起きたり、修復しきれないほどの損傷が蓄積すると、遺伝子の突然変異を起こしたり、細胞が死滅したりすることがあります。これらの細胞レベルでの変化が、がんの発症や細胞・組織の障害につながります。

③DNAの直接的な損傷には鎖の切断は放射線が細胞内のDNAに直接当たると、DNAの分子鎖が1本または2本切断されます。複雑な損傷は放射線は局所にエネルギーを与えるため、複数のDNA損傷が組み合わさった複雑な損傷を引き起こすことがあります。

④DNAの間接的な損傷には活性酸素の生成によるものがあります。放射線は、細胞内の酸素を活性化させて活性酸素を生成します。この活性酸素がDNAを攻撃し、損傷させる力が強まります。放射線の影響の大部分(約85%)は、この活性酸素を介した間接的な損傷によるものです。

⑤損傷後の細胞の反応にはDNAの修復があります。細胞にはDNAを修復する機能が備わっています。少量の放射線による傷は、修復酵素が働き、元の状態に修復されます。

⑥修復ミス(変異)はDNAの修復が完全に行われなかったり、修復ミスが起こったりすると、DNAの配列が変化し、遺伝子に突然変異が起きることがあります。

⑦細胞死は損傷が大きすぎる場合や修復が追いつかない場合、細胞は死滅します。

⑧癌や遺伝性影響は修復ミスによって変異した細胞が生き長らえたり増殖したりすると、がんの発生や遺伝性の障害の原因となる可能性があります。

⑨がんの種類と潜伏期間は放射線被ばくによるがんは、白血病と白血病以外の固形がんがあります。白血病は被ばく後比較的早期に発生し、固形がんは数年以上の長い年月を経て発生します。

⑩被ばく線量とリスクは放射線による発がんリスクは、被ばく線量が増加するほど高まります。

⑪発癌のしきい値の有無とは放射線による発がんには、ある程度の線量を超えるとリスクが発生する「しきい値」がないとされています。わずかな量でも発がんの確率が増加すると考えられていますが、低線量(100ミリシーベルト未満など)では他の要因による発がんリスクに隠れてしまい、放射線によるリスク増加を明確に証明することは難しいのです。

⑫細胞の修復機能とは放射線によるDNA損傷は、通常は細胞が持つ修復機能によって元に戻ることがあります。修復ミスが起きた遺伝子によって、細胞ががん細胞へと変化することがあります。

⑬高線量と低線量とは大量の放射線被ばくは、細胞の分裂能力を低下させたり、造血障害や消化管粘膜の損傷を引き起こす可能性があります。一方、低線量の被ばくでも発がんリスクがある一方で、その効果を明確に確認することは困難です。

⑭職業的な放射線管理とは日本では、放射線業務に就く人々は年間20ミリシーベルトという厳格な被ばく線量限度が定められています。

 

抗がん剤とは何か?
抗がん剤とは、がん細胞の増殖を抑えたり、死滅させたりする目的で使用される薬剤の総称です。

がん細胞を攻撃:抗がん剤は、がん細胞の増殖を阻害したり、DNAを損傷させたりすることで、がん細胞を攻撃します。

全身を巡る:抗がん剤は、血液の流れに乗って全身を巡るため、転移したがんにも効果が期待できます。

様々な種類の抗がん剤(薬物療法)とは抗がん剤には、作用の仕方や種類が異なる様々な薬剤があります。①細胞障害性抗がん剤、②分子標的薬、③内分泌療法(ホルモン療法)④免疫チェックポイント阻害薬の4つがあります。

治療の目的:抗がん剤治療は、がんの根治を目指すだけでなく、がんの進行を遅らせたり、症状を緩和したりする目的でも使用されます。

他の治療との併用:抗がん剤は、手術や放射線治療と併用されることも多く、集学的治療の一環として用いられます。

 

がんの薬物療法で使われる薬にはさまざまな種類があります。
がんの薬物療法で使われている薬は、作用の仕方によって、①「細胞障害性抗がん薬」:細胞が増殖する仕組みの一部を阻害することで、がんを攻撃する薬です。②「分子標的薬」:がんの発生や増殖に関わるタンパク質などのさまざまな分子を標的とし、その機能を抑えることでがんを攻撃する薬です。③「内分泌療法薬(ホルモン療法薬)」:ホルモンの分泌や働きを阻害することでがんを攻撃する薬です。ホルモンを利用して増殖するがんに対して使います。④「免疫チェックポイント阻害薬」:がん細胞が免疫細胞にかけたブレーキを外して、免疫細胞ががんを攻撃できるようにする薬です。などの4つの種類に大きく分けることができます。

細胞障害性抗がん薬とは、がん細胞の増殖を抑えるために、細胞の増殖過程に作用して攻撃する薬です。主に細胞分裂を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。このタイプの抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えるため、副作用が出やすいという特徴があります。

作用機序:
細胞障害性抗がん薬は、細胞分裂の過程でDNAの合成を阻害したり、細胞骨格に作用して細胞分裂を阻害したりすることで、がん細胞の増殖を抑制します。
副作用:
がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えるため、吐き気、脱毛、口内炎、倦怠感、骨髄抑制など、様々な副作用が生じることがあります。
種類:
細胞障害性抗がん薬は、作用機序によって様々な種類に分類されます。例えば、DNAの複製を阻害する薬剤、細胞分裂を阻害する薬剤などがあります。
使用方法:
主に点滴で投与され、がんの種類や病状によって、他の抗がん剤と組み合わせて使用されることもあります。
分子標的薬との違い:
分子標的薬は、がん細胞に特有の分子を標的にして攻撃する薬であり、細胞障害性抗がん薬よりも副作用が少ないとされています。
補足:
細胞障害性抗がん薬は、がん治療において重要な役割を果たしていますが、副作用を考慮しながら、慎重に使用する必要があります。
近年では、副作用を軽減するための支持療法も進歩しており、より安全に抗がん剤治療を受けられるようになっています。

分子標的薬は、がん細胞に存在する特定の分子(タンパク質や遺伝子など)にだけ作用するように設計された薬です。従来の薬が正常な細胞にも影響を与えるのに対し、分子標的薬は標的となる分子だけをピンポイントで攻撃するため、正常細胞へのダメージが少なく、副作用が抑えられると期待されます。ただし、それぞれ特有の副作用が存在するため、医師や薬剤師からの説明をよく聞き、理解することが重要です。

分子標的薬の特徴
選択的な作用:
がん細胞に特有の分子を標的にするため、正常細胞への影響が少ない。
副作用の低減:
正常細胞へのダメージが少ないため、従来の抗がん剤に比べて副作用が抑えられると考えられています。
個別化治療の推進:
患者さんの遺伝子情報などを基に、より効果的な分子標的薬を選択する個別化医療が進んでいます。
主な副作用の例
分子標的薬の副作用は、薬剤の種類によって異なりますが、以下のようなものが見られることがあります。
皮膚障害(発疹、乾燥など)
消化器症状
高血圧
肝機能障害
間質性肺炎(重い副作用の場合がある)
分子標的薬の種類
構造と作用する場所の違いによって、主に以下の2種類に分けられます。
小分子化合物:
細胞内に入り込み、細胞内の特定の分子に作用します。
抗体薬:
細胞の表面にある分子に作用し、その働きを阻害します。

 

癌内分泌療法薬(ホルモン療法薬)は、乳がんや前立腺がんのようにホルモンの働きによって増殖するがんに対し、ホルモンの分泌や作用を抑えることでがんの増殖を抑制する薬です。男性ホルモンを標的とする前立腺がんでは男性ホルモンの分泌を抑える薬や作用を阻害する薬が、女性ホルモンを標的とする乳がんでは女性ホルモンの作用を抑える薬などが用いられます。

主な作用機序
ホルモン分泌の抑制:
ホルモンの分泌工場である卵巣や精巣の働きを抑えます。
ホルモンの作用阻害:
がん細胞がホルモンを取り込むための「受容体」に結合するのを妨げる、あるいはホルモン自体を減少させることで、ホルモンの働きを阻害します。
適用となるがんの種類
乳がん:
がん細胞にエストロゲン受容体(ER)かプロゲステロン受容体(PgR)がある「ホルモン受容体陽性」の乳がんに対して有効です。
前立腺がん:
男性ホルモンの働きによって増殖する性質を持つため、男性ホルモンの働きを抑えることでがんの増殖を遅らせます。
具体的な薬剤の例
乳がん:
タモキシフェン:エストロゲン受容体に結合し、女性ホルモンの働きを阻害します。
アロマターゼ阻害薬:閉経後の女性において、アンドロゲンからエストロゲンが合成されるのを阻害します。
前立腺がん:
LHRHアナログ(GnRHアゴニスト製剤):閉経前の女性の卵巣や男性の精巣からのホルモン分泌を抑えます。
副作用の例
乳がん:
ほてり、のぼせ、発汗など、体内のエストロゲン減少に伴う更年期症状が見られることがあります。
前立腺がん:
女性化乳房、性欲低下、勃起障害、気分の落ち込みなどが生じることがあります。

 

免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞によって抑制されていた免疫細胞のブレーキ(免疫チェックポイント)を解除し、がん細胞への免疫応答を活性化させてがんを攻撃する新しいタイプのがん治療薬です。免疫細胞ががんを攻撃する力を回復させることで、従来の化学療法などとは異なるアプローチで効果を発揮します。PD-1、PD-L1、CTLA-4などの分子がこのブレーキ機能に関与しており、これらの分子の働きを阻害する薬剤が開発されています。
免疫チェックポイント阻害薬の仕組み
1. 免疫のブレーキ:
私たちの体には、免疫細胞が過剰に活性化して自分の体を傷つけないように、免疫にブレーキをかける「免疫チェックポイント」という仕組みがあります。
2. がん細胞による利用:
一部のがん細胞は、この免疫チェックポイント分子に結合することで、免疫細胞の攻撃にブレーキをかけ、免疫細胞から逃れています。
3. ブレーキの解除:
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が利用するこのブレーキを解除し、免疫細胞の攻撃力を回復させます。例えば、抗PD-1抗体は免疫細胞にあるPD-1に結合してブレーキを解除し、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにします。
治療対象
免疫チェックポイント阻害薬は、メラノーマ、非小細胞肺がん、腎細胞がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫など、様々ながん種に保険適用され、臨床試験も数多く行われています。
副作用(免疫関連有害事象: irAE)
免疫のブレーキを解除することで、免疫反応が過剰に起こり、以下のような副作用(免疫関連有害事象:irAE)が現れることがあります。
比較的多い症状:皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎、下痢
特殊な副作用(重篤な場合):
ホルモン分泌障害::間質性肺炎、1型糖尿病、甲状腺機能障害など
肝・腎機能障害
神経筋症状:重症筋無力症、筋炎
副作用は全身のどこにでも起こりうる可能性があり、治療開始後しばらくしてから現れたり、治療終了後に発現することもあります。症状を早期に発見し、適切な対処をするためには、患者さん自身が副作用について理解しておくことが重要です。

 

 

抗がん剤は、DNAを障害するもの、微小管に作用するもの、特定の分子に作用するものの3種類に分けられ、作用の仕方や種類によって様々な薬剤があります。これらは手術や放射線治療と組み合わせて行われ、がんの種類や進行度、治療段階に応じて使い分けられます。
抗がん剤の種類と作用機序
抗がん剤の主な作用機序には、以下の3つがあります。
1. DNAを標的とするもの:
細胞の中にあるDNAを直接傷つけ、細胞の障害を引き起こす薬剤です。
2. 微小管に作用するもの:
細胞内にある微小管に働きかけ、細胞の分裂や増殖を阻害する薬剤です。
3. 特定の分子に作用するもの:
がん細胞の増殖に関わる特定の分子(標的分子)の働きをピンポイントで抑える薬剤です。
治療における位置づけ
標準治療:
手術、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療の3つががん治療の大きな柱であり、これらを単独で行うか、複数組み合わせて行うのが標準治療です。
薬剤選択の要因:
どのがんの種類か、進行度はどのくらいか、初めての治療か、2回目以降の治療か、といった患者さんの状況によって、最適な薬剤の選択肢が複数存在します。

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