なぜシリーズ 理論

何故クローン増殖がT細胞ができるのか?更新2025.8.1

投稿日:2025年8月1日 更新日:

CD40LとCD40とは何か?クラススウィッチと体細胞突然変異の両方ともB細胞上の共刺激分子であるCD40Lの相互作用が記憶細胞を生み出すのには重要です。実際記憶B細胞はT細胞の助けがなければ産生されません。

ヘルパーT細胞の表面にCD40L 蛋白の発現が上昇します。そしてこのT細胞の表面医CD40L蛋白が樹枝状細胞のCD40蛋白にはまり込むといくつかの顕著な出来事が生まれます。成熟した樹枝状細胞はリンパ節に入り込むときにはMHCと共刺激分子であるB7を発現していますがAPCのCD40蛋白がヘルパーT細胞の40 蛋白と結合するとMHCと共刺激分子であるB7蛋白の発現が増加します。しかもAPCのCD40蛋白が樹枝状細胞の寿命を増やすのです。この長い寿命は多くのこのヘルパーT細胞の活性化する手助となるのです。つまり成熟した樹枝状細胞も未熟なT細胞もどちらもお互いに刺激し合うことになるのです。

お互いの活性化が完全になった後、ヘルパーT細胞と成熟した樹枝状細胞は分かれます。成熟した樹枝状細胞は他のT細胞を活性化することを続けます。すでに活性化しきったヘルパーT細胞は増殖分裂してどんどん数を増やし続けます。例えばヘルペス感染の間に、1個の活性化されたT細胞は1週間の増殖の間に1万個の娘細胞を増やします。この増殖は増殖因子であるIL-2によって駆動されます。ナイーブT細胞いくらかのIL-2を産生できますが表面にはIL-2のReceptorは持ってはいません。だから自分が作ったIL-2というサイトカインには反応できません。これとは対照的に活性化されたTh細胞は大量のIL-2を産生して、しかもこのIL-2に対するレセプターも持っているので新しく活性されたヘルパーT細胞は自分自身の増殖を刺激できます。このようにT細胞の活性化と成長因子のreceptorとが共に協調して増加することがT細胞のクローン選択の本質なのです。言い換えるとTCRが艇を認識するので活性化するように選ばれT細胞その成長因子を増やして増殖した結果同じT細胞のクローン(そっくりなもの)を形成することになるのです。

クローンT細胞があるようにクローンB細胞も存在します。B細胞は、体内に侵入した異物(抗原)に特異的に反応する免疫細胞で、特定の抗原に結合する受容体(B細胞受容体)を持っています。抗原と出会うと、その抗原に特異的なB細胞が活性化され、活発に増殖して同じ抗原に反応するB細胞のクローンを形成します。これらのクローンB細胞は、抗体を大量に産生し、体内の異物を排除する役割を担います。

B細胞のクローン形成と役割:1. 抗原認識:骨髄で生まれたB細胞は、様々なB細胞受容体を持つように分化し、それぞれ異なる抗原に反応する準備をします。2. B細胞の活性化:抗原が体内に侵入すると、その抗原に特異的なB細胞が活性化されます。3. 増殖:活性化されたB細胞は、活発に分裂・増殖し、同じ抗原に反応するB細胞のクローンを形成します。4. 分化:クローンB細胞の一部は、形質細胞に分化し、大量の抗体を産生します。また、一部はメモリーB細胞となり、再び同じ抗原が侵入した際に迅速に対応できるようにします。

クローンB細胞の重要性:1.免疫記憶:メモリーB細胞は、一度感染した病原体に対する免疫記憶を担い、再感染時に迅速かつ強力な免疫反応を可能にします。2.抗体産生:形質細胞は、抗体を大量に産生し、体内の病原体や異物を排除します。3.免疫応答の効率化:クローンB細胞の形成により、特定の抗原に対する免疫応答が効率的に行われます。

-なぜシリーズ, 理論
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

M1型とM2型のマクロファージについて 2018.10.19更新

さてそれでは、常在細菌の中の悪玉菌である大腸菌(有毒株)やウェルシュ菌(Clostridium perfringens)やクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)以 …

no image

何故自己免疫疾患は存在しないのか?自然免疫が自己抗原となるペプチドを敵と認識しないからです。更新2024.7.2

何故自己免疫疾患は存在しないのか?自然免疫が自己抗原となるペプチドを敵と認識しないからです。すべての自己免疫疾患は完治できます。何故ならば自己免疫疾患は存在しないので難病といわれる自己免疫疾患は私が自 …

no image

IgAがどのように腸管にいる細菌と共存しているか 2018.11.1更新

免疫グロブリンの中に含まれているIgAが腸管免疫の中でどのように腸管にいる200兆個の細菌と共存しているかという話をしましょう。 まずIgGとIgAはどこが違うのでしょうか?いつもいつも言っていますよ …

no image

何故真夏に熱中症が起こるのか?更新2025.5.20

何故真夏に熱中症が起こるのか?身体が37度前後の体温よりも真夏の酷暑にさらされると体温を調節する中枢である視床下部からは「熱を放出せよ」という指令が出ます。毛細血管を拡張させて末端の血流をよくすること …

no image

活性酸素とは何でしょうか?

活性酸素とは何でしょうか? 活性酸素(Reactive Oxygen)とは、大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称のことです。何故、活性酸素(Reactive Oxyge …