DNAと遺伝子は全く別物です。にもかかわらずDNAの変異は遺伝子の変異と同じと言い張っています。癌は遺伝子の変異であるのにもかかわらずDNAの変異であると言い続けているので、癌が起こる理論と癌の治療のすべてが間違うことになるのです。遺伝子の変異をもたらすのは現代の癌ウイルスであるヘルペスウイルスが主要な癌ウイルスであることを認めようとしないのです。DNAと遺伝子の違いは物質と概念の違いであり一言で言うと、DNAは「物質(モノ)」であり、遺伝子は「情報(中身)」という違いがあります。
わかりやすく例えると、以下のようになります。
①項目 ②例え(本で例にとると) ③解説
①DNA ②紙とインク ③情報を記録している「物質」そのもの。長い鎖のような構造をしています。
①遺伝子 ②本の文章の内容 ③DNAという長い鎖の中に書かれた「特定の意味を持つ部分」のこと。タンパク質を作るための設計図であり情報そのものです。
①ゲノム ②本一冊すべて ③その生物が持つDNAに含まれる「すべての遺伝のすべて情報」のセットを指します。
ところが実はDNAのほとんどは「遺伝子」ではないしDNAが物質として並べた3つのヌクレオチドが偶然に「遺伝子」となることはあります。人間のDNA(全長約2メートル)のうち、実際に「遺伝子」として情報の役割を果たしているのは、わずか1.5%〜2%程度にすぎません。残りの大部分は、遺伝子の働きを調節したり、構造を維持したりするための領域(かつてはジャンクDNAとも呼ばれていました)です。
DNAは父と母から受けついだ30億個ずつの2セットのヌクレオチドの合計の60億個のヌクレオチドからできていますが1個のヌクレオチドの大きさはどれくらいになるでしょうか?ヒトのDNAにおいて、1個のヌクレオチド(正確には1塩基対分)の長さ(厚み)は、約 0.34nm(ナノメートル)です。ナノメートルの単位は10億分の1mです。
ヌクレオチドとはDNAやRNAといった核酸を構成する最小単位(単量体)の物質。リン酸、糖(リボースまたはデオキシリボース)、塩基の3つの成分が結合した構造を持つ。遺伝情報の保持、エネルギー代謝(ATP)、情報伝達(cAMP)において重要な役割を果たし、多数つながるとポリヌクレオチド(核酸)となる。
ヌクレオチドの詳細な特徴
基本構造: リン酸+五炭糖+塩基から成り立つ。
構成成分の分類:
糖が「リボース」の場合はリボヌクレオチド(RNAを構成)。
糖が「デオキシリボース」の場合はデオキシリボヌクレオチド(DNAを構成)。
塩基の種類: DNAはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、RNAはチミン(T)がウラシル(U)になります。
ヌクレオチドの役割:
核酸の構成: DNA・RNAの「文字」として遺伝情報を記録。
エネルギー代謝: ATP(アデノシン三リン酸)など、生体内のエネルギー通貨。
情報伝達: cAMPなど、細胞内シグナル伝達。
関連物質: ヌクレオチドからリン酸が外れたものは「ヌクレオシド」と呼ばれる。
DNAやRNAといった核酸を構成する最小単位(単量体)の物質。リン酸、糖(リボースまたはデオキシリボース)、塩基の3つの成分が結合した構造を持つ。遺伝情報の保持、エネルギー代謝(ATP)、情報伝達(cAMP)において重要な役割を果たし、多数つながるとポリヌクレオチド(核酸)となる。
DNA鎖の構造とは?
1: DNA鎖におけるヌクレオチドの間隔 DNAは2重らせん構造をしており、ヌクレオチドが梯子の段のように積み重なっています。この隣り合う塩基対との距離(1ステップの高さ)は物理的に決まっており、およそ0.34nm (3.4times 10-10m)です。
2: 全体の長さの算出方法は 「60億個のヌクレオチド」を、1セットの設計図(約30億塩基対)として直線状に並べた場合の計算は以下の通りです。3times 109 (塩基対) times 0.34times 10-9m approx (約)1.02m。ヒトの細胞(二倍体)には約60億対の塩基があるため、細胞1個分に含まれるDNAをすべて繋ぎ合わせると、全長は約 2m に達します。Timesは×の意味でありapproxの意味は約という意味です。
3: 幅のサイズ 長さ方向だけでなく、DNAの2重らせん構造そのものの「幅(直径)」は約2nm です。つまり、DNAは「非常に細くて長い」糸のような物質といえます。
何故昔は「遺伝子」として情報の役割を果たしていないDNAはジャンクDNAと言われたのでしょうか?「ジャンクDNA(ジャンクDNAはガラクタDNA」という言葉は、1972年に遺伝学者の大野乾(おおの すすむ)氏によって提唱されました。そう呼ばれた主な理由は、「タンパク質の設計図(遺伝子)」としての役割を持っていないように見えたからです。
なぜ「がらくた(ジャンク)」とされたのか?
役割が不明だった: 当時の1972年の科学では、DNAの主要な役割は「タンパク質を作ること」だと考えられていました。そのため、タンパク質をコードしていない領域(非コードDNA)は機能を持たない無意味な部分だと解釈されました。
あまりに膨大すぎた: ヒトの全ゲノムのうち、タンパク質を作る「遺伝子」はわずか約2%しかありません。残りの98%が何をしているのか分からなかったため、「進化の過程で蓄積したゴミ」や「過去の遺伝子の残骸」と見なされたのです。
現在の評価:実は「司令塔」だった。研究が進んだ現在では、この領域は「ジャンク」ではなく、極めて「現場監督」や「司令塔」としての重要な役割を持っていることが判明しています。
実は「司令塔」や「現場監督」の仕事の内容は何?
「司令塔」や「現場監督」という言葉は、かつて「ゴミ(ジャンク)」だと思われていた98%の領域が、実は2%の遺伝子(設計図)を「いつ」「どこで」「どれくらい」その遺伝子を働かせるかを全て決定していることが判明したために使われます。つまり設計図だけあっても、家は建ちません。いつ柱を立て、いつ壁を塗るか指示を出す「現場監督」や「司令塔」がいなければ、高等な人体という完璧な正常な構造体は作れないのです。
司令塔の役割とは、具体的には、以下の3つの役割をこなしています。
1. 遺伝子の「発現する場所とタイミングの調整」
非コード領域は、特定の遺伝子のスイッチを「強める(エンハンサー)」あるいは「弱める(サイレンサー)」役割を持っています。
例えば、指を作る遺伝子は「手の先」だけで発現してONになり、他の場所ではOFFになります。この「場所とタイミング」の命令を出しているのが、司令塔である非コード領域です。
2. 細胞の「キャラクターの設定」
私たちの体は、脳の細胞も筋肉の細胞も、持っているDNA(設計図)は全く同じです。
それなのに形や役割が違うのは、非コード領域が「お前は脳の設計図だけ読みなさい」「お前は筋肉の設計図だけ使いなさい」と、細胞ごとに使うべき情報を指定しているからです。
3. 外敵(ウイルス)への「防衛指令」
「一度であったウイルスの断片の再利用」に関わりますが、非コード領域に潜むウイルスの断片は、新しいウイルスが侵入した際に免疫系へ同じ免疫の敵となるウイルスが侵入してきたという「緊急配備」のサインを免疫系へ送るセンサーとしても機能しています。この意味は「ウイルス断片の抗原を認識している」のではなく非コード領域に潜むウイルスの断片は、新しいウイルスが侵入した際に免疫系へ「緊急配備」のサインを送るセンサーとしても機能しています。
「抗原を認識している」というよりも、さらに深いレベルである「死んだウイルスの核酸(DNAやRNA)という『形』や『動き』を感知して記憶している」という意味に近いです。
専門的には「ウイルス・ミミクリー(ウイルス模倣)」と呼ばれる現象が関わっています。
1. 「抗原認識」との違い
通常、私たちがイメージする「免疫がウイルスを認識する」プロセス(抗原認識)は、生きたウイルス表面のタンパク質などの形を、T細胞やB細胞が「外敵の顔」として覚えて記憶しているのです。
これに対し、非コード領域に潜むウイルスの断片である内在性レトロウイルス英語でEndogenous Retrovirus 略してERV)が行う「緊急配備」のサインとは、何でしょうか?
数百万年前に祖先の生殖細胞に感染したウイルスがゲノムの一部として定着したもので、ヒトゲノムの約8%を占めています。
Endogenous Retrovirus 略してERVの生命における主な役割
かつては「ジャンクDNA(ゴミ)」と考えられていましたが、現在ではヒトの進化や健康に不可欠な「ゲノムの制御装置」としての役割が判明しています。
1. 胎盤の形成(生殖への貢献)
最も有名な役割は「シンシチン(Syncytin)」というタンパク質の提供です。
もともとはウイルスの「細胞に侵入する力」でしたが、ヒトはこれを母体と胎児をつなぐ胎盤を作るために再利用(共用)しています。これがなければ、ヒトは今の形で出産することができません。
2. 遺伝子のスイッチ(調律機能)
ERVに含まれる「LTR(長い末端反復配列)」という部分は、近くにあるヒトの遺伝子のスイッチ(プロモーターやエンハンサー)として機能します。LTR(Long Terminal Repeatで日本語訳は長い末端反復配列)です。
長い末端反復配列(LTR)のその驚くべき役割とは何でしょうか?
長い末端反復配列(LTR)とはレトロウイルスのゲノムの両端(5’端と3’端)に存在する、数百〜数千塩基対の同じ塩基配列の繰り返しを指します。
長い末端反復配列(LTR)の主な役割
LTRは単なる配列ではなく、ウイルス(または内在性レトロウイルス)が活動するための「司令塔」として機能します。
1. 遺伝子のスイッチ(プロモーター・エンハンサー)
LTRの最も重要な役割は、ウイルス遺伝子やその周辺にあるヒトの遺伝子を働かせるための「スイッチ(プロモーター)」や「増幅器(エンハンサー)」としての機能です。
5’側(上流)のLTR: 遺伝子の読み取りを開始させるエンジンになります。
3’側(下流)のLTR: 読み取りを終了させる「停止サイン」としての役割(ポリA付加シグナル)を担います。
2. ゲノムへの「組み込み」のガイド
ウイルスがヒトのDNAの中に自分自身をコピーして挿入する際、LTRが「ここが端っこですよ」という目印になり、インテグラーゼ(組み込み酵素)が働く場所を提供します。
3. ヒトの進化と多様性への貢献
数百万年の間に、ウイルスの本体部分は壊れて消えても、LTRだけがポツンと残る(ソロLTR)ことがあります。
これらがヒトの遺伝子の近くに残ることで、本来はなかった場所で遺伝子を働かせたり(例:唾液でのアミラーゼ産生)、胎盤の形成を制御したりと、進化のアクセルとして利用されてきました。
4. がんとの関わり
がん細胞では、本来オフになっているはずのLTRスイッチが異常にオンになり、近くにあるがん遺伝子(オンコジーン)を強制起動させてしまうことが、がん悪化の一因となります。
ここでLTRの話は終わり再び内在性レトロウイルス英語でEndogenous Retrovirus 略してERVの本論に戻りましょう。
例えば、唾液に含まれるアミラーゼ(デンプンを分解する酵素)は、ERVが特定の場所に入り込んでスイッチを入れたことで、膵臓だけでなく唾液腺でも作られるようになりました。
3. 免疫システムの訓練
ERVは「敵」であるウイルスの断片であるため、体が免疫応答を維持するための訓練材料になります。
初期の胚開発において、あえてERVを少しだけ動かすことで、将来のウイルス感染に備える免疫系の準備を整えていると考えられています。
「内在性レトロウイルス(ERV)」とは、数百万年前に祖先の細胞に感染し、現在ではヒトゲノムの約8%を占めている「ウイルスの名残」です。非コード領域に潜むウイルスの断片(内在性レトロウイルス:ERV)は通常は眠っていますが、がん細胞ではこれが「目覚める」ことで、がんを悪化させる一方で、治療の標的にもなるという二面性が注目されています。
ウイルスによる「目覚め」: 新しいウイルスが細胞に侵入すると、その刺激で、普段は眠っているゲノム内の「ウイルスの断片」が一時的に目覚めて、RNAを吐き出します。
「ウイルスが侵入した!」というダミー信号: 出てきたRNAは、細胞から見れば「本物の外来ウイルスのRNA」と区別がつきません。細胞内のセンサー(PRR)は、これを「今、細胞内にウイルスがいるぞ!」という危険信号としてキャッチします。
細胞内のセンサー(PRR)とは細胞内のセンサー(PRR)の英語と意味とは細胞内のセンサー(PRR)とは、英語で Pattern Recognition Receptors の略称です。日本語では「パターン認識受容体」と訳されます。
PRRの意味と役割
PRRは、私たちの免疫システム(特に「自然免疫」)において、侵入者を見分けるための最初の検知器の役割を果たします。
Pattern Recognition(パターンの認識):
ウイルスや細菌などの病原体が共通して持っている「特有の目印(パターン)」を検知します。特定の個別の名前(抗原)を識別するのではなく、「これはウイルスにしかないRNAの形だ!」「これは細菌の壁の成分だ!」というように、大まかなグループごとの特徴を捉えます。
細胞の表面や内部のReceptors(受容体):
細胞の表面や内部(細胞質、エンドソームなど)に配置されている、情報をキャッチするための「受け皿」です。
どこにReceptors(受容体)はあるのか?
PRRは細胞内のさまざまな場所に配置され、死角をなくしています。
細胞の表面: 外から近づいてくる細菌などを監視。
細胞の内部(細胞質や核の周り):ウイルスが細胞内に侵入して放出したDNAやRNAを直接検知します。
代表的なPRRの例
TLR (Toll-like Receptors): 最も有名なセンサー。細胞膜や小胞にあり、ウイルスや細菌の成分を広く検知します。
RLR (RIG-I-like Receptors): 特にウイルスのRNAを検知するのに特化した、細胞質内のセンサーです。
RIG-Iとは英語で Retinoic acid-inducible gene I の略称です。日本語では「レチノイン酸誘導遺伝子I」と呼ばれます。
RIG- Iの意味と役割とは細胞の内部(細胞質)に存在するウイルスセンサー(PRR)の代表格です。主に「ウイルスが侵入してきたこと」を検知し、免疫システムにアラームを鳴らす役割を担っています。
そのRIG- I (RIG-I-like Receptors)のメカニズムと重要性は以下の通りです。
「ウイルスのRNA」をピンポイントで検知
ヒトなどの多細胞生物が持つRNAと、ウイルスが持ち込むRNAには、末端の構造にわずかな違いがあります。RIG-Iはこの「ウイルス特有のRNA構造(5’三リン酸など)」を瞬時に見分け、結合します。
インターフェロンの放出を指令
RIG-IがウイルスRNAをキャッチすると、細胞内で信号が伝わり、「インターフェロン」などの抗ウイルス物質を作るスイッチが入ります。これにより、自分自身の増殖を抑え、隣の細胞にも「ウイルスが来たぞ!」と警告を発します。
「非コード領域」との関係(ウイルス・ミミクリー)
前述の通り、がん治療などで非コード領域に眠る「ウイルスの断片」を意図的に目覚めさせると、このRIG-IがそのRNAを検知します。すると細胞は「ウイルスに感染した!」と勘違いし、免疫細胞を呼び寄せてがんを攻撃し始めます。
なぜ「非コード領域」と関わるのか?
先ほどの話に繋がりますが、細胞がウイルスに感染すると、非コード領域に潜むウイルスの断片(ERV)からRNAが作られます。
繰り返しERVとは何ですか?ERVの英語と日本語は以下の通りです。英語: Endogenous Retrovirusです。
日本語: 内在性(ないざいせい)レトロウイルス、または内因性(ないいんせい)レトロウイルスです。ERVとは?太古の昔にヒトの祖先の生殖細胞に感染したウイルスが、ゲノム(全遺伝情報)の一部として取り込まれ、数百万年にわたって子孫に受け継がれてきたものです。かつては「ジャンクDNA(がらくた)」と呼ばれていましたが、現在では「胎盤の形成」や「免疫の活性化」、さらには「がんの抑制」といった重要な役割を担っていることが分かっています。すると、このPRR(特にRLRなど)がそのRNAを「外来ウイルスが来た!」と誤認してスイッチが入り、強力な免疫応答(インターフェロンの放出など)を引き起こすのです。
細胞内のセンサーである PRR とは、英語で Pattern Recognition Receptors の略称です。
日本語では「パターン認識受容体」と訳されます。
PRRの意味と役割
PRRは、私たちの免疫システム(特に「自然免疫」)において、侵入者を見分けるための最初の検知器の役割を果たします。
Pattern Recognition(パターンの認識):
ウイルスや細菌などの病原体が共通して持っている「特有の目印(パターン)」を検知します。特定の個別の名前(抗原)を識別するのではなく、「これはウイルスにしかないRNAの形だ!」「これは細菌の壁の成分だ!」というように、大まかなグループごとの特徴を捉えます。
Receptors(受容体):
細胞の表面や内部(細胞質、エンドソームなど)に配置されている、情報をキャッチするための「受け皿」です。
PRRはどこにあるのか?
PRRは細胞内のさまざまな場所に配置され、死角をなくしています。
細胞の表面: 外から近づいてくる細菌などを監視。
細胞の内部(細胞質や核の周り): 東京大学医科学研究所などの研究でも重要視されていますが、ウイルスが細胞内に侵入して放出したDNAやRNAを直接検知します。
代表的なPRRの例
TLR (Toll-like Receptors): 最も有名なセンサー。細胞膜や小胞にあり、ウイルスや細菌の成分を広く検知します。
RLR (RIG-I-like Receptors): 特にウイルスのRNAを検知するのに特化した、細胞質内のセンサーです。
なぜPRRは「非コード領域」と関わるのか?
先ほどの話に繋がりますが、細胞がウイルスに感染すると、非コード領域に潜むウイルスの断片(ERV)からRNAが作られます。すると、このPRR(特にRLRなど)がそのRNAを「外来ウイルスが来た!」と誤認してスイッチが入り、強力な免疫応答(インターフェロンの放出など)を引き起こすのです。
細胞がウイルスに感染すると、非コード領域に潜むウイルスの断片(ERV)からRNAが作られます。ウイルスが死んだのにどうしてウイルスのRNAをウイルスが作れるのですか?この理解は間違っていますか?
「ウイルスが死んでいる(=感染性のある外来ウイルスがいない)」のにRNAが作られる理由は、「ウイルスの断片(ERV)」がもはやウイルスそのものではなく、あなたの「自分自身の遺伝子(DNA)」の一部になっているからです。
あなたの理解を補足・整理すると、以下のようになります。
1. 「ウイルスのRNA」ではなく「自分のRNA」として作られる
外来のウイルスは細胞の外では「死んでいる(不活化している)」ことがありますが、ERV(内在性レトロウイルス)は数千万年前にヒトの祖先のDNAに入り込み、今ではヒトゲノムの約8%を占める「自分の設計図」の一部です。
そのため、ウイルスが新しくRNAを作るのではなく、細胞自身のコピー機(RNAポリメラーゼ)が、自分のDNA(非コード領域など)を読み取ってRNAを作ってしまうのです。
2. なぜ「ウイルスに感染する」と作られるのか?
普段、これらのERV領域は、細胞によって「勝手に動かないよう」厳重にロック(メチル化など)されています。しかし、他のウイルス(インフルエンザ、コロナ、ヘルペスなど)に感染すると、以下の現象が起きます。
ロックの解除: 感染によるストレスや炎症反応で、DNAのロックが外れてしまいます。
スイッチの起動: 外来ウイルスが持ち込んだタンパク質や、細胞がウイルスに対抗するために出した物質が、間違ってERV領域の「転写開始スイッチ」を押してしまいます。
3. これが「ウイルス・ミミクリー(ウイルスの擬態)」
こうして作られたERV由来のRNAは、細胞にとって「自分の設計図から出たもの」ですが、形がウイルスに似ているため、細胞内のセンサーが「また別のウイルスに感染した!」と勘違い(擬態)して激しく反応します。
これが免疫系を呼び寄せる刺激となり、がん治療などでは「あえてこの擬態を起こさせて、がんを攻撃させる」という研究が行われています。
感染性のある外来ウイルスがいない)」のにRNAが作られる理由の結論:
「ウイルスがRNAを作っている」のではなく、「ウイルス感染という刺激によって、細胞が自分のDNAに刻まれたウイルスのコピー(ERV)を勝手に読み取ってしまっている」というのが正確な仕組みです。
免疫系の一斉活性化: この「自作自演のダミー信号」のおかげで、本物のウイルスが本格的に増える前に、細胞はインターフェロンなどの防御物質を大量に出して、周囲の細胞にも「緊急配備」を命じるのです。
2. 進化上のメリット
ウイルスが侵入した際、相手のタンパク質の形(抗原)を認識して攻撃態勢を整えるのには時間がかかります。しかし、このゲノム内のセンサーを使えば、感染の初期段階で「何かがおかしい」という核酸の異常を瞬時に検知し、即座に防御を開始できるというメリットがあります。
3. 最新医療への応用
この仕組みを逆手に取ったのが、最新の「がん免疫療法」です。
あえてがん細胞の中にある「ウイルスの断片」を目覚めさせる薬を投与し、がん細胞が「ウイルスに感染した」と免疫に勘違いさせて、免疫細胞にがんを攻撃させる治療法が研究されています。
つまり、非コード領域のウイルス断片は、「敵の顔(抗原)」を知らなくても「敵が来た気配(異常な核酸)」を即座に増幅して伝える増幅装置のような役割を果たしているのです。
非コード領域(司令塔)の結論
「遺伝子(設計図)」が「何を作るか」を決めるのに対し、非コード領域(司令塔)は「どう生きるか(調整・維持・防衛)」を支配しています。
遺伝子のスイッチ: どの遺伝子を・いつ・どこで働かせるかをコントロールする「調節領域」としての役割。
構造の維持: 染色体が正しく折り畳まれたり、形を維持したりするための土台。
病気との関わり: がんや生活習慣病、難病などの発症に、この「ジャンク」とされていた部分の変化が深く関わっていることが分かっていますが遺伝子そのものではないのです。
現在では「ジャンク」という言葉は避けられ、「ノンコーディング(非コード)DNA」と呼ばれるのが一般的です。
DNAと遺伝子は同じものではありません。
簡単に言うと、「DNAは材料・媒体(本そのもの)」であり、「遺伝子は情報(本の中の重要な文章)」です。
具体的にDNAと遺伝子とはどのような違いがあるのか?
1. 構造と実体 (DNA = 物質、遺伝子 = 機能的単位)
DNA (デオキシリボ核酸): 遺伝情報の本体である巨大な分子(物質)です。二重らせん構造を持つ、物質そのものを指します。しかし遺伝子そのものではありません。
遺伝子: DNAという長い紐状の物質のなかに、タンパク質などを作るための「具体的な設計図情報」が含まれている特定の領域(セグメント)のことです。
2. 量と範囲 (DNAすべてが遺伝子ではない)
DNAは非常に長く、その全体がすべてタンパク質の設計図であるわけではありません。
ヒトの場合、DNAの大部分(約98%以上)は「遺伝子ではない」部分であり、タンパク質の情報を直接持っていません。
DNAの中で、形質(目の色、髪の質など)を表す情報として機能する部分(遺伝子)は、ごく一部です。
3. たとえで言うと
DNA: 設計図の書かれた「本(または手紙)」
遺伝子: 本の中に書かれた、意味のある「文章」や「レシピ」の情報です。
DNAという本の中には、偶然に重要な文章(遺伝子)もあれば、その間を繋ぐ、まだ役割がよく分かっていない部分(ジャンクDNAと呼ばれることもある)もたくさんあります。
DNAと遺伝子についてのまとめ
DNA:設計図を書く物質そのもので生体高分子である 物質に過ぎないのです。
遺伝子:DNAに含まれる、具体的なタンパク質の設計図となる一部のセグメント
したがって、DNAは遺伝子を含んでいますが、DNAのすべてが遺伝子というわけではありません。DNAの1,5%だけが遺伝子なのです。
DNAと遺伝子についてのまとめは「DNAという素材でできた巨大な紐の中に、遺伝子という設計図が断片的に書き込まれている」だけです。
DNAと遺伝子との違いのすべてについて
「DNA」と「遺伝子」は混同されやすいですが、役割は全く違っています。「物質(モノ)」か「情報(役割)」かという決定的な違いがあります。
1. 概念の決定的な違い
一言で言うと、「DNAという素材でできた巨大な紐の中に、遺伝子という設計図が断片的に書き込まれている」という関係です。
DNA(デオキシリボ核酸):
正体: 物質(生体高分子)そのものです。例えれば カセットテープの「テープの磁気体」や、本でいう「紙とインク」に相当します。
遺伝子(ジーン):
正体: DNA上の特定の並び方をした「情報の断片」です。一つの遺伝子情報が決められているわけではないのです。例えれば テープに録音された「曲」や、本に書かれた「物語」の内容に相当します。
2. 構造と割合の違い(驚くべき事実)
実は、人間のDNAのすべてが「遺伝子(設計図)」として働いているわけではありません。
遺伝子の割合: 全DNAのうち、タンパク質を作る設計図(遺伝子)として機能しているのは、わずか1.5%〜2%程度に過ぎません。この領域をコード領域といいます。
非コード領域: 残りの98%以上は、かつて「ジャンク(ゴミ)DNA」と呼ばれていましたが、現在はコード領域の遺伝子のスイッチをオン・オフすることによって遺伝子情報をタンパクに発現するかどうかを「制御する機能」を持つ重要な領域なのです。
全遺伝情報のセットをサイズの包含関係を大きさの単位で見ると、全遺伝情報のセットは以下の順で核の中に収納されています。
全遺伝情報のセットはどこに収納されていますか?全遺伝情報のセット(ゲノム)は、私たちの体を構成する約60兆個ある細胞ひとつひとつの中心にある「核(かく)」という部分に収納されています。
収納の仕組みと工夫
ヒトの場合、1つの細胞に含まれるDNAをまっすぐ伸ばすと約2メートルにもなりますが、細胞核の大きさはわずか数マイクロメートル(1ミリの1000分の数倍)しかありません。この巨大な情報を小さなスペースに収めるために、以下のような工夫がなされています。
巻き取り: DNAは「ヒストン」というタンパク質の芯に糸巻きのように巻き付いています。
折りたたみ: 巻き付いたDNAはさらに細かく折りたたまれ、「染色体(しんしょくたい)」と呼ばれるコンパクトな構造体として整理されています。
セットの数: 通常、1つの細胞核には父親由来と母親由来の2セット(計46本の染色体)が収納されています。1つの細胞核には父親由来と母親由来の2セット(計46本の染色体)が収納されています。この2セット一本につながれて2メートルの長さになって一本の染色体になっているのですね?
いいえ、実は「1本に繋がって2メートル」になっているわけではありません。
ここが非常に誤解されやすいポイントなのですが、実際には2メートル分のDNAが、バラバラの「46本の糸」に分かれて収納されています。
整理すると以下のようになります:
1. 2メートルは「合計」の長さ
細胞1個の中にあるDNAをすべて取り出し、1列に並べると合計で約2メートルになります。しかし、それは1本の長い紐ではなく、46本の独立したパーツ(染色体)の合計です。
2. 収納のイメージは「46冊の百科事典」
全遺伝情報(ゲノム)をひとつの巨大なマニュアルだとすると、それは1冊の分厚い本ではなく、「46冊の分冊」として管理されているイメージです。
父親由来: 23冊(23本の染色体)
母親由来: 23冊(23本の染色体)
合計: 46冊(46本の染色体)
この46本の糸が、細胞核という狭い部屋の中に、絡まないように綺麗に折りたたまれて入っています。
3. なぜバラバラになっているのか?
1本に繋がっていないのには、重要な理由があります。
コピーと分配がしやすい: 細胞分裂の際、1本の2メートルの紐を正確にコピーして分けるのは至難の業ですが、46本に分かれていれば、1本ずつ丁寧にコピーして新細胞へ受け渡すことができます。
情報の整理: 「この情報は1番の染色体」「あの情報は2番」と場所が決まっているため、必要な時に必要な「司令塔(非コード領域)」や「設計図(遺伝子)」を素早く見つけ出すことができます。
DNAは46本に分かれている染色体のまとめ
DNAは1本ではなく「46本の独立した糸(染色体)」として存在し、その合計の長さが2メートルになります。
この46本の糸が、分裂するときだけX字型の「染色体」としてギュッと凝縮される様子は、まさに生命のパッキング技術の結晶です。
「核」以外にある遺伝情報
実は、核以外にも遺伝情報を持っている場所があります。細胞の中でエネルギーを作る工場である「ミトコンドリア」です。ここには独自の「ミトコンドリアDNA」が含まれており、核にある全遺伝情報とは別の小さなセットとして機能しています。
このように、生命の設計図は非常に高度なパッキング技術で細胞の中に大切に保管されています。
全遺伝情報のセットとは何でしょうか?「全遺伝情報のセット」とは、その生物が個体として生きていくために必要な最小限のDNA(遺伝情報)の集まりのことで、これを「ゲノム(Genome)」と呼びます。
私たちの体の中では、この「セット」という考え方が非常に重要です。
1. 「1セット」の正体
ヒトの場合、23本の染色体に書かれた情報が「1セット(ゲノム)」です。
内容: 体を作るタンパク質の設計図(遺伝子)だけでなく、それをいつ使うかを決めるスイッチ役(非コード領域)もすべて含まれます。
規模: 文字にすると約30億文字(塩基対)分の膨大な情報です。
2. 私たちは「2セット」持っている。
ヒトの体細胞(普通の細胞)には、父親から受け継いだ1セットと、母親から受け継いだ1セットの合計2セット(46本の染色体)が入っています。
この「2セット持っている状態」を二倍体と呼びます。
一方が故障しても、もう一方のセットに正常な設計図があればカバーできるという、生存のためのバックアップ構造になっています。
3. 「1セット」に戻る場所
精子や卵子といった生殖細胞が作られるときは、特別な分裂(減数分裂)によって正確に「1セット(23本)」へと戻されます。
これにより、受精したときに再び「1セット+1セット=2セット」になり、次世代へ正しく情報が引き継がれます。
「全遺伝情報のセット」は、いわば「生命を構築するための1冊の完全なマニュアル」のようなものです。
全遺伝情報のセットの成り立ちのまとめ
- ゲノム: 全遺伝情報のセット(本棚1セットすべて)。「全遺伝情報」とは、一般的に「ゲノム(Genome)」のことを指し、ある生物が持つすべての遺伝的な設計図をまとめたものをいいます。
- ゲノム(Genome)の言葉の由来は「遺伝子(gene)」と「すべて(-ome)」を組み合わせた造語で、私たちの体の作り方や動かし方の全データが含まれています。
- 全遺伝情報(ゲノム)に含まれるものがゲノムそのものです。ゲノム)に含まれるものには何があるのか?
- 「全遺伝情報(ゲノム)」とは、その生物が形作られ、生きていくために必要なすべての設計図のことです。ヒトの場合、細胞の核にあるDNAのセット(約30億塩基対)と、ミトコンドリアにある少量のDNAを指します。
- 具体的には、以下のものが含まれています。
- 遺伝子領域(約1.5%〜2%)
- タンパク質を作るための直接的な指示が含まれる部分です。ヒトには約2万個の遺伝子があります。
- 非コード領域(約98%以上)
- 非コード領域はかってはジャンク(ゴミ)DNA」と呼ばれていましたが、現在では非常に重要な役割があることがわかっています。
- 非コード領域には遺伝子スイッチ(調節領域)がありどの遺伝子を「いつ・どこで・どれくらい」働かせるかをコントロールするプロモーターやエンハンサーなどが含まれます。
- 構造を支える領域には染色体の端を守るテロメアや、分裂に不可欠なセントロメアなどです。
- 太古のウイルスの名残(ERV)には先ほどお話しした内在性レトロウイルスなどの繰り返し配列もここに含まれ、ゲノムの約半分近くを占めています。
- ミトコンドリア・ゲノムも全遺伝情報に含まれています。
- 核のDNAとは別に、細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアにも独自の小さな環状DNAが存在し、これも全遺伝情報の一部です。
- まとめると、ゲノムは単なる「遺伝子の集まり」ではなく、「遺伝子(主役)」と「それらを動かす仕組みや歴史的な記録(演出・舞台装置)」がすべてセットになったものと言えます。
- 単に「遺伝子」と呼ぶときは、主にタンパク質の作り方が書かれた部分を指しますが、「全遺伝情報」はそれ以外の部分もすべて含みます。
- 遺伝子とは体を構成するタンパク質を作るための直接的な設計図(ヒトでは約2万〜2.2万種類)です。
- 非コード領域(旧称:ジャンクDNA)とは遺伝子のスイッチをオン・オフしたり、DNAの形を整えたりする「司令塔」の役割を持つ部分。
- ヒトの場合の全遺伝情報の規模。
- 文字数: A、T、G、Cという4種類の塩基が約30億対(全体で約60億個)並んでいます。
- データ量はコンピュータ上のデータに換算すると、約750MB(メガバイト)〜1.5GB(ギガバイト)程度と言われています。メガは「メガ(mega、記号:M)」は、単位の頭につけて100万倍(106)を表す言葉です。
- 所在は私たちの体の約60兆個ある細胞一つひとつの「核」の中に、折りたたまれて収納されています。
- 染色体: DNAが折り畳まれた塊(本1冊)
- DNA: 長いひも状の物質(本のページ)
- 遺伝子: DNAの一部分(ページに書かれた「レシピ」の一節)
4. なぜ「遺伝子の変異」と「DNAの損傷」を使い分けるのか?
DNAの損傷: 紫外線や放射線などで「物質(紙)」が物理的に傷つくことです。これは日々起きており、体内で修復されます。
遺伝子の変異: DNAの傷が修復ミスなどで定着し、「情報(レシピの内容)」が書き換わってしまうことです。DNAの傷が修復ミスなどで遺伝子の変異が定着するからではありません。DNAの傷による変異と遺伝子の変異は全くべつのものです。遺伝子の変異の場所が「がん遺伝子」や「がん抑制遺伝子」の区間であると、細胞が異常に増えるだけです。す。
DNAと遺伝子の違いのまとめ
DNA = 情報を記録している「物理的なメディア」で情報ではありません。
遺伝子 = DNAの中に書き込まれた「意味のあるプログラム」で情報そのものです。
DNAが傷ついた時にその傷のうち1~2%に過ぎない遺伝子のうち癌原遺伝子は何パーセントになりますか?またどのようにして傷ついたDNAのどの部位に癌原遺伝子があるかをどのようにして突き止めることができるのですか?グーグルのAIモードで検索するとこの質問にかかわる10 件のサイトが紹介されているだけでこのトピックの調査に有用な上位のウェブ検索結果は次のとおりです。以上の短い回答が紹介されていましたが答えにはなっていませんでした。何故でしょうか?まず私が疑問に感じた質問に対してまともな答えがないからです。何故でしょうか?嘘に対する答えはないからです。言い換えるとがんの原因はDNAの突然変異によっておこるのではなくロイヤルレイモンド博士が見つけた癌ウイルスであるヘルペスウイルスによる「遺伝子の突然変異」による「増殖過剰細胞」にすぎないのです。「増殖過剰細胞」は決して癌細胞ではないですよ。ときに「増殖過剰細胞」は細胞の核の中でヘルペスの何十万個も増えすぎた子供であるビリオンが核の中の全ゲノムを荒らしまわってヘルペスウイルスの遺伝子が細胞のDNAに組み込まれ、細胞分裂を制御するブレーキ役の遺伝子を壊したり、アクセル役(癌遺伝子)を暴走させたりします。DNAのみならずコード領域の遺伝子のみならず非コード領域にも遺伝子にも影響を与えてガン以外の原因不明のとんでもない病気を作ってしまうのです。
非コード領域にも遺伝子がありますね?
現在の科学の定義では、「非コード領域にあるものは(タンパク質を作るという意味での)遺伝子とは呼ばないのですが、非常に重要な『機能単位』が隠されている」と整理されています。ただし、最近では「遺伝子」の定義そのものが広がっており、以下の3つのポイントが重要です。
非常に重要な『機能単位』が隠されているの『機能単位』とは何ですか?「機能単位」という言葉は、少し難しい響きですが、簡単に言うと「何らかの具体的な役割(仕事)を果たすために、ひとまとまりになったDNAの区間」のことです。
これまでの科学では「タンパク質のレシピ」だけが仕事の単位(遺伝子)だと考えられてきましたが、実は非コード領域には、タンパク質を作らなくても重要な仕事をこなす「装置」が隠されていることが分かってきました。
代表的な3つの機能単位とは?
1. 司令塔としての単位(制御エレメント)
遺伝子のスイッチを操作する「リモコン」のような場所です。
プロモーター・エンハンサー: 近くや遠くにある遺伝子に「今すぐタンパク質を作れ!」「今は休め!」と命令を送る区間です。
なぜ重要か: この機能単位が壊れると、設計図(遺伝子)が無事でも、タンパク質が作られすぎたり全く作られなかったりして、癌などの病気の原因になるんではなく増殖過剰細胞になるだけでガンという病気はこの世には存在しません。
2. ツールとして働く単位(機能性RNA)
DNAからコピーされた後、タンパク質にならずに「RNA」という形のまま道具として働く区間です。
マイクロRNA (miRNA): 非常に短いRNAの断片で、他の遺伝子の働きを細かくチューニング(調整)します。
長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA): 染色体の構造を変化させたり、細胞の進化を制御したりする巨大なツールです。lncRNAとは?lncRNAは、英語の Long Non-coding RNA(ロング・ノンコーディング・アールエヌエー)の略称です。日本語では「長鎖非コードRNA」と呼ばれます。
タンパク質の設計図にはならない(非コード)ものの、200塩基以上の長さを持つRNA分子の総称です。
主な役割
かつては「ゲノムのゴミ」と考えられていましたが、現在は細胞内の「司令塔」として、極めて重要な役割を果たしていることが分かっています。
遺伝子のスイッチ調節(転写制御):
DNAに直接作用したり、タンパク質と結合したりすることで、特定の遺伝子のスイッチをオン・オフします。
細胞の足場づくり(スキャフォールド):
複数のタンパク質を特定の場所に集め、化学反応を効率化させる「プラットフォーム」のような役割を果たします。
がんの進行への関与:
がん細胞で異常に増えるlncRNA(例:HOTAIRやMALAT1)があり、これらががんの増殖や転移を加速させることが判明しています。
X染色体の不活性化:
女性の2本あるX染色体のうち1本を休止させる働きを持つ持つ産物となるXist(イグジスト)は略してXistで英語でX-inactive specific transcriptと書き訳してX不活性化特異的転写産物である特別なRNAが、生命の根本的な仕組みを支えています。Xist(イグジスト)とは、女性(XX)の2本のX染色体のうち、どちらか一方を眠らせる(不活性化させる)ために働く特別なRNAです。
英語の X-inactive specific transcript(X不活性化特異的転写産物)の略称で、タンパク質を作らない「長鎖非コードRNA(lncRNA)」の代表例です。
転写産物(てんしゃさんぶつ)とは、DNAの情報を書き写して作られた「コピー品」であるRNAそのものを指します。英語では transcript(トランスクリプト)と呼び、細胞が遺伝情報(設計図)を利用しようとするときに生じる「最初の成果物」のことです。「細胞内にあるすべてのRNAは、DNAから作られた転写産物である」と言い換えることができます。
Xistの主な役割と仕組み
遺伝子量の補正: 女性はX染色体を2本持っていますが、そのままでは男性(XY)に比べて遺伝子の働きが2倍になってしまいます。これを防ぐため、片方を働かないようにして男性とのバランスをとります(これを遺伝子量補正と呼びます)。
染色体を「包み込む」: Xist RNAは、不活性化される方のX染色体から作り出され、そのままその染色体全体をモコモコと覆い尽くします。
スイッチをオフにする: Xistに覆われた染色体には、遺伝子の働きを抑えるタンパク質が集まってきます。その結果、DNAが固く折りたたまれて「バール体」と呼ばれる塊になり、ほとんどの遺伝子が読み取れなくなります。
バール体(Barr body)とは、女性などX染色体を2本以上持つ細胞において、不活性化されてギュッと硬く凝集したX染色体のことです。
1949年にカナダの解剖学者マレー・バールらによって発見されたため、この名がつきました。
バール体の正体と特徴
顕微鏡で見える「点」: 細胞が分裂していない時期(間期)に、核の端っこに濃く染まる小さな塊として観察されます。
不活性化の証: 前にお話ししたXistというRNAによって包み込まれ、遺伝子のスイッチがほぼ完全にオフになった状態のX染色体です。
ヘテロクロマチン: DNAが非常に密に折り畳まれた構造(ヘテロクロマチン)になっており、物理的に読み取れないようになっています。
- なぜバール体ができるのか?
男性(XY)と女性(XX)で、X染色体にある遺伝子の働く量を同じにするためです(遺伝子量補正)。
女性の細胞: 2本あるうちの1本がバール体になり、残りの1本だけが働きます。
男性の細胞: Xが1本しかないので、バール体は現れません。
臨床的な意味
かつてはオリンピックなどの性別検査で、口の中の粘膜細胞をこすり取り、バール体があるかどうか(XXかXYか)を判定する簡易的な方法として使われていました。
ポイント:
バール体は、細胞が正常に機能するために「余分な情報を眠らせた結果」できた、機能的な塊と言えます。