アルツハイマーとか認知症と言われる老人性痴呆の原因はアミロイドβと言われていますが実はherpesが大脳辺縁系の海馬体に感染したherpes感染症によって生まれた脳変性疾患に過ぎないのです。何故アミロイドβが原因と言われるようになったかの経緯とアミロイドとかアミロイドーシスとは一体何であるかを詳しく解説しましょう。さらに認知症の進行もこう抗herpes剤で止めることが可能である説明しましょう。
アミロイドとは、体内の正常なタンパク質が異常な形に変化し、水に溶けにくい線維状の塊となった物質です。このアミロイドが体の臓器や組織に蓄積して機能障害を起こす病気を「アミロイドーシス」と呼びます。アミロイドの元となるタンパク質は30種類以上あり、種類によって蓄積する臓器や症状が異なります。
アミロイドの特徴
不溶性で線維状:水や血液に溶けにくく、線維状に集まった物質です。
異常タンパク質:元々は体内で正常な働きをしていたタンパク質が変性したものです。
沈着による病気:体の臓器に沈着すると、正常な機能を妨げる「アミロイドーシス」を引き起こします。
代表的なアミロイドと関連する病気
アミロイドβ:脳内で生成されるタンパク質の一種で、健康な人にも存在しますが、異常なアミロイドβが蓄積すると、アルツハイマー型認知症の原因になると考えられています。
トランスサイレチン:肝臓で生成されるタンパク質で、このアミロイドが心筋に沈着すると、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR心アミロイドーシス)を引き起こします。
免疫グロブリン軽鎖:骨髄腫などと関連して、このアミロイドが全身の様々な臓器に沈着すると、ALアミロイドーシスを引き起こし、心不全や腎障害などの原因となります。
アミロイドとは、私たちの体にあるタンパク質が、通常とは異なる形に変化して凝集し、臓器や組織に沈着した、水に溶けにくい線維状の物質のことです。この異常な沈着が臓器の機能を損なう病気を「アミロイドーシス」と呼びます。
特徴
タンパク質の構造変化:アミロイドは、正常なタンパク質が「ミスフォールディング(折りたたみ異常)」を起こし、特定のβシート構造へと変化したものです。
線維状の集合体:この構造変化が連鎖的に広がり、複数の分子が重合して、枝分かれしない固い線維の束を形成します。
不溶性:水や血液に溶けにくいため、一度形成されると除去されにくい性質を持っています。
主なアミロイドと関連疾患
アミロイドの原因となるタンパク質は数十種類あり、それぞれ関連する疾患が異なります。代表的なものをいくつか挙げます。
アミロイドβ(Aβ):
原因:脳内のアミロイド前駆体タンパク質(APP)から切り出されたタンパク質が凝集します。
関連疾患:アルツハイマー病の原因と考えられており、脳に沈着して老人斑を形成します。
免疫グロブリン軽鎖:
原因:骨髄の形質細胞が作る異常な免疫グロブリン軽鎖が沈着します。
関連疾患:ALアミロイドーシスを引き起こし、心臓、腎臓、消化管など全身のさまざまな臓器に沈着します。
トランスサイレチン(TTR):
原因:肝臓で生成されるTTRタンパク質が不安定化し、線維化します。
関連疾患:ATTRアミロイドーシスを引き起こし、心臓や神経系に沈着して、心不全や神経障害の原因となります。
アミロイドーシス
アミロイドが臓器に沈着することで機能障害が引き起こされる病気全般を指します。日本では特定難病に指定されており、治療法の研究が進められています。
症状:沈着する臓器によって異なり、心臓に沈着すれば心不全や不整脈、腎臓に沈着すれば腎機能低下、神経系に沈着すればしびれや痛みなどが現れます。
免疫グロブリンアミロイドの原因となるタンパク質は数十種類ありますが最も多い蛋白は免疫グロブリンの仲間であるβミクログロブリンですか?
いいえ、最も多い原因タンパク質はβ2ミクログロブリンではありません。
アミロイドーシスの原因タンパク質は数十種類ありますが、免疫グロブリンの仲間である免疫グロブリン軽鎖(ALアミロイドーシス)や、トランスサイレチン(ATTRアミロイドーシス)、血清アミロイドA(AAアミロイドーシス)などが代表的です。
β2ミクログロブリンはアミロイドーシスの一種である透析アミロイドーシス(Aβ2Mアミロイドーシス)の原因物質ですが、全身性アミロイドーシス全体で最も多いわけではありません。
主なアミロイドーシスと原因タンパク質
アミロイドーシスは原因タンパク質によって分類されます。
主なアミロイドーシス | 原因タンパク質 | 主な原因 |
ALアミロイドーシス | 免疫グロブリン軽鎖 | 骨髄の形質細胞が作る異常な免疫グロブリン |
ATTRアミロイドーシス | トランスサイレチン(TTR) | 遺伝的要因や加齢 |
AAアミロイドーシス | 血清アミロイドA(SAA) | 慢性炎症性疾患 |
Aβ2Mアミロイドーシス | β2ミクログロブリン | 長期血液透析 |
補足
β2ミクログロブリンと免疫グロブリンの関係: β2ミクログロブリンは免疫機能を担うクラスI組織適合性抗原というタンパク質複合体の一部であり、厳密には免疫グロブリンそのものではありません。
透析アミロイドーシス: β2ミクログロブリンは腎臓で分解・排泄されますが、長期の透析患者では十分に除去できずに体内に蓄積し、アミロイドーシスを引き起こします。
アミロイドの原因となるタンパク質は数十種類ありますが共通する特徴的な成分はコラーゲンですかそれとも元の蛋白の立体構造ですかそれとも繊維成分である蛋白の量ですか?
数十種類あるアミロイドの原因タンパク質に共通する特徴は、元のタンパク質の立体構造が変化し、「クロスβシート構造」と呼ばれる特殊な線維構造になることです。
ご提示の選択肢との比較は以下の通りです。
「コラーゲン」ではありません。アミロイドはコラーゲンとはまったく異なる種類のタンパク質です。
「元のタンパク質の立体構造」が変化します。この変化が、アミロイド線維を形成するプロセスそのものです。
「線維成分であるタンパク質の量」ではありません。タンパク質の「量」だけが問題なのではなく、その構造異常がアミロイド化を引き起こす本質です。
アミロイドの共通の性質
原因となるタンパク質の種類は異なりますが、アミロイド線維には以下の共通した性質があります。
クロスβシート構造: 元のタンパク質がミスフォールディング(折りたたみ異常)を起こし、規則正しく何層にも積み重なったβシート構造に変化します。
線維状の形態: クロスβシート構造を持つタンパク質分子がいくつも重合し、直径7~13nm程度の細く固い線維の束を形成します。
不溶性: 一度形成されると水に溶けにくく、分解されにくいため、臓器に蓄積します。
コンゴーレッド染色: 特異的な染料であるコンゴーレッドによって赤橙色に染まり、偏光顕微鏡下で特徴的な緑色の複屈折を示します。この染色反応は、原因タンパク質の種類を問わずアミロイドの診断に用いられます。
元のタンパク質がミスフォールディング(折りたたみ異常)を起こし、規則正しく何層にも積み重なったβシート構造に変化するのはなぜですか?ウイルスがかかわっているのですか?
いいえ、ウイルスだけが原因ではありません。 アミロイドの形成は、ウイルス感染を含めた様々な要因によって引き起こされる、複雑なプロセスです。根本的な理由は、タンパク質が持つ不安定性と、βシート構造の安定性の高さにあります。
βシート構造への変化が起きる理由
1. タンパク質の「不安定な状態」
遺伝子変異: タンパク質の設計図である遺伝子に変異が起こると、アミノ酸配列が変化し、本来の正常な立体構造を保ちにくくなります。
環境ストレス: 高温や酸性環境など、細胞内外のストレスが原因で、タンパク質がほどけたり、不安定な状態になったりします。
加齢: 細胞のタンパク質の品質管理システム(プロテオスタシス)が加齢とともに衰え、異常なタンパク質を処理しきれなくなることがあります。
タンパク質濃度の増加: 異常なタンパク質が過剰に作られると、凝集するリスクが高まります。
2. βシート構造の「安定性」
熱力学的安定性: βシート構造は、通常のタンパク質の立体構造よりも熱力学的に安定な状態であり、一度この構造になると、元の構造に戻りにくくなります。
凝集の連鎖: 不安定になったタンパク質がたまたまβシート構造を形成すると、その構造をテンプレート(鋳型)として、他の正常なタンパク質までもが次々とβシート構造に変化して凝集する「核形成依存性重合」というプロセスが起こります。
ヘルペスウイルスとアミロイドの関係性
ウイルスは直接の原因ではありませんが、アミロイド形成の誘因や促進因子になる可能性が指摘されています。
ヘルペスウイルス感染による炎症: ウイルス感染が引き起こす慢性的な炎症は、AAアミロイドーシスの原因タンパク質であるSAAの過剰産生につながることがあります。
ヘルペスウイルスタンパク質のアミロイド形成: ウイルスのタンパク質自体がアミロイドを形成する性質を持つことが報告されています。特に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質やヌクレオカプシドタンパク質がアミロイド線維を形成するという研究結果があります。
細胞ストレスや遺伝子ストレスの誘発: ヘルペスウイルス感染が、細胞内のストレス応答や遺伝子ストレスなど)を引き起こし、タンパク質のミスフォールディングを促進することがあります。タンパク質のミスフォールディングとは、タンパク質がアミノ酸の鎖から本来の立体構造(ネイティブ構造)を形成する際に、誤った折り畳み方をしてしまうことです。この異常な構造のタンパク質は、正常な機能を果たせないだけでなく、他のタンパク質と凝集して「アミロイド線維」などの有害な集合体を形成することがあります。
ミスフォールディングが引き起こす問題
機能不全:誤って折り畳まれたタンパク質は、本来の働きができなくなります。
アミロイド線維の形成:ミスフォールドしたタンパク質が凝集してアミロイド線維を形成し、これが細胞に蓄積します。
疾患の原因:アミロイド線維の蓄積が、アルツハイマー病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病などの神経変性疾患を引き起こす原因となります。
ミスフォールディングのメカニズムと対策
原因:アミノ酸配列の変異や、細胞内の環境変化などが原因となります。
防止メカニズム:シャペロンと呼ばれるタンパク質が、タンパク質の正しい折り畳みを助け、ミスフォールディングや凝集体形成を防ぐ役割を担っています。
治療へのアプローチ:ミスフォールディングしたタンパク質の形成を阻害する薬や、ミスフォールディングしたタンパク質を分解する薬などが開発されています。
まとめ
アミロイド形成の根本原因は、タンパク質の構造がより安定なβシート構造に変化してしまうことです。この変化は、遺伝的要因や環境ストレス、加齢など様々な要因で引き起こされます。herpesウイルスは直接的な原因とは限りませんが、感染による炎症や細胞ストレスなどを通じて、アミロイド形成を間接的に促進する可能性が研究されています。
「クロスβシート構造」とは何でしょうか?アミロイド線維を形成するタンパク質に特徴的な、きわめて安定した特殊な立体構造です。
通常のタンパク質は、アミノ酸の鎖が複雑に折りたたまれて、特定の立体構造(三次構造)をとることで、固有の機能を発揮します。しかし、何らかの原因でミスフォールディング(折りたたみ異常)を起こすと、この正常な立体構造が崩れ、アミロイドに特有の「クロスβシート構造」に変化します。
クロスβシート構造の仕組み
βシート構造の積層: タンパク質のアミノ酸鎖の一部が、ジグザグに伸びた「βシート」というシート状の構造に変化します。
水素結合による安定化: このβシート同士が、水素結合によって層状に積み重なります。
線維の形成: この積み重なった層が、さらに多数集まって、きわめて頑丈で水に溶けない線維(アミロイド線維)を形成します。
クロスβシート構造の特徴
高い安定性: 非常に安定な構造であるため、一度形成されると分解されにくく、体内に蓄積していきます。
テンプレート作用: この構造が鋳型となり、他の正常なタンパク質を次々と異常なβシート構造へと変化させ、凝集を拡大させていきます。
コンゴーレッド染色: この構造を持つアミロイド線維は、コンゴーレッドという特殊な色素で染色すると、特徴的な緑色の複屈折を示します。この反応は、アミロイドーシスの診断に用いられます。
つまり、「クロスβシート構造」は、タンパク質が本来の機能的な立体構造を失い、病的なアミロイド線維へと変化する際の、決定的な構造変化だと言えます。
何が原因でクロスβシート構造ができるのですか?
クロスβシート構造は、タンパク質が何らかの原因で不安定になり、その結果として熱力学的に安定な凝集体を形成するために起こる現象です。これは、遺伝的要因、環境的要因、そして「シード」と呼ばれる異常なタンパク質の存在など、複数の要因によって引き起こされます。ウイルス感染は、アミロイド形成を間接的に促進する要因の一つではありますが、唯一の原因ではありません。
主な原因
1. タンパク質の不安定化
遺伝子変異: タンパク質の設計図である遺伝子に変異が起こると、アミノ酸配列が変化します。これにより、本来であれば安定した立体構造を保つはずのタンパク質が、不安定になりやすくなります。
環境的ストレス: 高温、酸化ストレス、pHの変化など、細胞内外の環境ストレスによってタンパク質の立体構造が崩れることがあります。
翻訳・修飾エラー: DNAからタンパク質が作られる過程(翻訳後修飾)にエラーが生じると、タンパク質が正しく折りたたまれなくなることがあります。
2. βシート構造の熱力学的安定性
不安定になったタンパク質は、エネルギー的に最も安定な状態を求めます。その結果、本来の機能的な立体構造から、熱力学的に非常に安定したβシート構造へと変化します。この状態は非常に安定なため、一度形成されると分解されにくくなります。
3. 核形成依存性重合(シーディング)
「タネ」の役割: βシート構造を形成した異常なタンパク質がごく少量でも存在すると、それが「核(シード)」となって、正常なタンパク質を次々と異常なβシート構造へと変化させます。
連鎖的な凝集: この「シード」が鋳型となり、他のタンパク質を巻き込んで、連鎖的に凝集が進みます。プリオン病が感染性を持つのは、この「シーディング」の性質によるものです。
ヘルペスウイルスとの関連
ウイルス感染が直接の原因となるわけではありませんが、間接的な要因として関与する可能性が示唆されています。
炎症の誘発: ヘルペスウイルス感染による慢性的な炎症は、炎症性疾患に続発するAAアミロイドーシスの原因タンパク質であるSAAの産生を増加させることがあります。
細胞ストレスの促進: ヘルペスウイルス感染は、細胞のストレス応答(ERストレスなど)を引き起こし、タンパク質のミスフォールディングを促進する可能性があります。
ヘルペスウイルスタンパク質のアミロイド形成: 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のタンパク質がアミロイドを形成する性質を持つという研究報告もあります。