なぜシリーズ 理論

細胞は分化と増殖を同時にできますか?更新2025.8.27

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細胞の増殖と分化は、互いに排他的な関係にあります。というのは増殖は同じ細胞を増やすことであり、分化は違った細胞に変えるからです。増殖とは同じ細胞が増えることです。一つの母細胞が細胞分裂により、それぞれが同じ染色体を持つ二つの娘細胞に分かれることで、細胞数が増加します。分化とは、元々は単一で同一の同質だった細胞が、複雑化・異質化して異なった細胞になることです。

細胞が増える「増殖」と、特定の機能を持つようになる「分化」は、多くの細胞では相反する関係にあります。発生過程では、まず細胞が増殖し、その後、次第に分化していくのです。

 

まず鳥取大学の研究で発見された、この分化しながら増殖を続ける心筋細胞とは一体何でしょうか?心筋細胞は幹細胞がないので生まれたときに終末分化細胞になるので分化しきった細胞ですから分化と増殖が同時に進行できる細胞が存在することを示す重要な発見と言われますが人間の心筋細胞では不可能なのです。もし人の心筋細胞に幹細胞があれば心臓癌になってしまうでしょう。何故ならば癌を起こす細胞は幹細胞を持っているからです。幹細胞と癌の関係についてはここを読んでください。さらに鳥取大学の竹内教授らの研究の対象動物は哺乳類ではありますが人と種の異なるマウスと両生類であるイモリですからこの研究の成果をヒトの心臓には利用できないからです。この研究を応用しようとする研究を続けても必ず失敗に終わるでしょう。種の違いを簡単に乗り越えることはできません。iPSと同じ失敗に終わるでしょう。

鳥取大学の竹内教授らの研究によると、成人の哺乳類(マウスなど)では、タンパク質「cyclin D1」の生成を強力に抑制することで心筋細胞の増殖が止まるメカニズムが働いています。一方で、イモリではダメージ時にcyclin D1が生成され、これによって心筋細胞が増殖し、心臓の再生が起こります。哺乳類の心筋細胞の増殖が止まるメカニズムを、増殖して再生する能力を持つイモリとの比較で解明したのです。主な発見は成人のマウスでは、タンパク質「cyclin D1」が強力に抑制されることで心筋細胞の増殖が阻止されている。一方、イモリでは、ダメージを受けるとcyclin D1が生成され、これが心筋細胞の増殖を促して心臓の再生につながる発見です。

人間の心筋細胞は、収縮機能に特化した特殊な細胞であり、生後に増殖する能力がほとんど失われるため、心筋梗塞で細胞が死ぬと回復が困難です。

心筋細胞は幹細胞を持っていますか?
いいえ、成熟した心筋細胞自体は幹細胞ではありません。心筋細胞は、生まれた直後からほとんど増殖しない、特殊な分化した細胞です。幹細胞のように自らを複製し、他の種類の細胞に分化する能力は持ちません。

成熟した心筋細胞の性質
心臓の拍動に特化した細胞であり、収縮機能に優れています。
細胞は分裂して増えることがほとんどなく、一度失われると再生が困難です。

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