ガン なぜシリーズ 理論

老化した細胞が増殖しなくなるのは何故か?更新2025.8.26

投稿日:2025年8月26日 更新日:

細胞の老化とは正常組織の細胞を培養すると細胞分裂がある回数に達した時点で分裂をやめることです。これは分裂のたびごとに不可逆的な変化が積み重なるからでありこの不可逆的な変化とはテロメアの短縮です。すべての染色体の末端部にあるテロメアには数ヌクレオチドの反復配列があります。人ではTTAGGGの反復配列であり分裂するたびにテロメアこのテロメアが短くなります。しかしテロメアの部分に細胞周期(増殖・分裂)の遺伝子があるわけでもないので分裂を止めるのはテロメア短縮そのものが分裂を止めるのではなく何か他に理由があるはずです。

実は分裂を止めるのは)テロメアの短縮そのものが直接の原因ではなく「テロメアの短縮」を異常事態と感知する細胞周期のチェックポイントが働くために細胞周期がストップするのである。細胞周期のチェックポイントで中心的な役割をするのはp53でありDNA損傷チェックポイントのと場合と同じくp21Cip1を介して細胞周期を停止させるのです。p53の働きを抑えるとテロメアが短くても細胞は更に分裂を続けるようになります。それでも最終的には2本の染色体のテロメア同士が癒着をきたすと染色体構造の維持そのものに支障をきたして物理的に細胞分裂不能となってしまいます。この結果、テロメアの短縮反行くが本当の限界に達してしまうよりも前に物理的に細胞分裂不能となって分裂の停止という予防措置が取られるのです。

細胞周期のチェックポイントとは細胞周期チェックポイントとは、細胞が分裂する細胞周期の各段階で、DNAの損傷や染色体の複製・分配に異常がないか監視し、問題があれば細胞周期の進行を一時的に停止・抑制して正常化を促す制御機構です。このチェックポイントが正常に機能することで、正確な遺伝情報が次世代の細胞に伝達され、遺伝子異常やがんの発生を防ぐ役割を担っています。

p21Cip1とはp21cip1(別名 p21、CDKN1A)は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害因子であり、細胞周期の進行を制御する重要なタンパク質です。がん抑制因子であるp53によって誘導され、DNA損傷などのストレス時に細胞周期のG1期停止を引き起こします。また、DNA複製や損傷修復にも関与し、アポトーシスにも寄与すると考えられています。

サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害因子とはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞周期(増殖・分裂)の進行を制御する主要な酵素群であり、サイクリンと結合することで活性化されます。それぞれのCDK-サイクリン複合体は細胞周期の異なる段階(G1期、S期、M期など)を駆動し、DNA損傷などの異常を監視するチェックポイントの役割も担います。がんではCDKが過剰に活性化することがあり、その阻害薬はがん細胞の増殖を抑制するために用いられます。

サイクリンとはサイクリンは、細胞周期を推進する「エンジン」のような役割を果たすタンパク質群です。細胞周期の各段階に応じて特定のサイクリンが発現し、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と結合して活性化することで、細胞周期の次の段階への移行を制御します。サイクリンは周期的に発現量が変化し、細胞分裂を正確に進めるために不可欠な分子です。細胞周期におけるサイクリンの役割とは①エンジンとしての機能:サイクリンは、細胞周期を進行させるための「エンジン」として働きます。②CDKとの結合:サイクリンは単独では不活性なサイクリン依存性キナーゼ(CDK)に結合し、その複合体を活性化させます。③標的タンパク質のリン酸化:活性化したサイクリン-CDK複合体は、特定の標的タンパク質をリン酸化することで、細胞周期の進行を制御します。④時期特異的な活性:細胞周期の各時期において異なる種類のサイクリンが発現し、特定のCDKと結合して機能することで、細胞周期が秩序だって進行します。⑤細胞周期の進行の制御:サイクリンの量的な変化が、次の細胞周期段階への進行を制御する役割を担っています。

サイクリンの例①サイクリンA:DNAの複製に関わるS期やG2期で重要な役割を果たします。②サイクリンD:細胞周期のG1期からS期への移行を調節するタンパク質です。

サイクリンと細胞分裂の関わりはサイクリンは、正確なDNAの複製と細胞分裂を保証するために、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と共に細胞周期の精密な制御に関わっています。 CDK に結合することで、CDK/サイクリン複合体の形成を促進し、これが活性キナーゼによるリン酸化の特定の基質を効果的に標的とします。 サイクリンと CDK のこの複雑な相互作用により、細胞周期の連続的な進行が調整され、正確な細胞分裂とゲノムの完全性の維持が保証されます。

がん細胞がテロメアを短縮させないのは、テロメラーゼという酵素が活性化しているためです。テロメラーゼは、細胞が分裂するたびに短くなる染色体の末端部分(テロメア)を伸長させる働きがあり、これによりがん細胞は「無限に分裂できる不死化」した状態となり、短縮による細胞の分裂停止を防ぎます。

テロメアとテロメラーゼの役割①テロメアの役割:染色体の末端にあり、染色体がむき出しになったり他の染色体と結合したりするのを防ぐ保護キャップのような役割をしています。②細胞分裂とテロメアの短縮:通常の細胞は分裂を繰り返すとテロメアが短くなります。テロメアが一定の長さを下回ると、細胞はそれ以上分裂できなくなり老化やアポトーシス(細胞死)に至ります。③テロメラーゼの活性化:がん細胞では、テロメラーゼという酵素が活性化しています。この酵素がテロメアを伸長させることで、テロメアの短縮が補われ、がん細胞は細胞分裂の寿命を迎えずに無限に増殖し続けることができます。8/26今日はここまで

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