なぜシリーズ 疾患解説

大腸菌で人工的に作られるインスリンと膵臓で作られるインスリンは全く同じですか?同じです。更新2025.6.27

投稿日:2025年6月27日 更新日:

基本的に大腸菌で人工的に作られるインスリンと、膵臓で作られるインスリンは同じものです。どちらも同じアミノ酸配列を持つタンパク質であり、同じように血糖値を下げる働きをします。ただし、製造過程の違いから、微量な違い(例えば糖鎖の有無など)が生じる可能性はあります。

人工的なインスリン(インスリン製剤)と膵臓で作るインスリンの比較:①同じアミノ酸配列:人工的に作られるインスリンは、ヒトのインスリン遺伝子を大腸菌に組み込み、大腸菌にインスリンを合成させます。この過程で、アミノ酸配列は膵臓で作られるものと全く同じになります。②同じ働き:インスリンの主な働きは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませて血糖値を下げることです。人工的に作られたインスリンも、この働きを同じように行います。③微量な違いの可能性:大腸菌は、ヒトの細胞とは異なる構造を持つため、インスリンの修飾(例えば糖鎖の付加)が完全に同じようには行われない可能性があります。しかし、この微量な違いが、臨床的に問題になることはありません。④インスリン製剤:医療現場で使われるインスリン製剤は、多くの場合、遺伝子組み換え技術によって大腸菌で作られたインスリンを使用しています。これは、安全性が確立されており、効果も膵臓で作られるインスリンと同等であることが確認されています。

-なぜシリーズ, 疾患解説
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

何故、どのようにして癲癇が起こるのでしょうか?②更新2022.7.10

前回の「何故、どのようにして癲癇が起こるのでしょうか?①」の続きとなります!まだ前回の物を読まれていない方は読んできて下さい!! シナプス結合の選択性は錐体細胞と非錐体細胞には違いがあります。錐体細胞 …

no image

炎症とは何でしょう?更新2022.4.9

炎症とは何でしょう。 Herpesが人体に侵入して免疫と戦うと炎症で生体を刺激する化学物質が作られその化学物質に対して人体が示す防御反応であり、かつ炎症によって損傷した組織を治療していくプロセスのいち …

no image

なぜ一度傷ついた糸球体が修復されにくいのか? なぜ腎炎の炎症がないのにもかかわらず尿にタンパクや赤血球が出ていくのか?

 他の腎炎の論文に書いたように、糸球体で原尿が作られるときに、糸球体の毛細血管からは分子量が大きいタンパクや血球は濾過されないのです。ここでもう一度、糸球体の毛細血管からどのようにして血液が濾過される …

no image

なぜユダヤ人は遺伝的に頭が良いのか

 ユダヤ人がなぜ遺伝的に頭が良いのかを語る前に、神経細胞の構造について詳しく語りましょう。これはユダヤ人がなぜ遺伝的に知能が高い民族であるかという説明の伏線にもなりますから、難しいですがついてきてくだ …

no image

Herpesによる神経炎症による老廃物をミクログリアはどのように処理するのか?更新2022.4.8

Herpesによる神経炎症による老廃物をミクログリアはどのように処理するのか? 基本的には末梢神経にいるマクロファージと同じ仕事をしています。ミクログリアはマクロファージと同じく様々な受容体を発現して …