理論

ストレスを自律神経はどのように制御しているのか? 更新2023.4.19

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ストレスを自律神経はどのように制御しているのか?

ホメオスタシスと言われる生命の恒常性を制御し維持している自律神経はどのような働きで内臓器官の機能を制御しているのでしょうか?

自律神経系はあらゆる組織や内臓を含むあらゆる臓器の感覚神経や運動神経と並走して脊髄から末梢に出ていきます。しかも自律神経系はすべての内臓の感覚神経と繋がっています。皮膚や内臓の臓器の感覚神経の種類には触覚、痛覚、温覚、冷覚、圧覚があり皮膚や内臓臓器やあらゆる器官にはこのような感覚を感じ取るセンサー(受容器)が全身の臓器のいたるところにあります。この内臓臓器のセンサーが感知した人体の変化してやまない新しい情報が人体のホメオスタシスを維持するために間脳の視床下部にある自律神経の中枢である室傍核(Paraventricular hypothalamic nucleus, 略してPVN)に送られます。

視床下部には多くの神経核が密集しており,それぞれの神経核が異なった生理機能を有しています。因みに食欲、性欲、疼痛、口渇(こうかつ)などの中枢もここにあります。特に自律神経や内分泌の統合中枢として機能しているのが視床下部です。内臓を含めて全身からの感覚情報、全身に分布している自律神経からの情報、生体のホメオスタシス(恒常性)を乱す情報などが集中し、生体のすべての細胞が最適な環境に置かれるように、自律神経やホルモンや血流を介してコントロールしています。

自律神経の統合中枢である視床下部は感覚神経と繋がっている自律神経がもたらしてくれた最初の感覚神経の情報に対して自律神経を介して内臓の臓器に何をしたらいいのかの判断をしてあげる義務があります。つまり内蔵の器官の異変に対してどのように対処すべきかを命令して内臓臓器を自律神経に制御させるのです。

視床下部はまず命令の信号を延髄や脊髄の神経細胞に神経線維を伝って神経節まで伝えさせます。この神経線維を節前線維と呼びます。さらに神経節で神経細胞を乗り換えて節後繊維として目的の臓器器官に信号を伝えさせます。

顔の筋肉が、無意識に動いたり意志によっても動かすことができるのは、何故でしょうか?それは脳の支配を受ける運動神経と、支配を受けない自律神経が一緒に走っているからなのです。交感神経の中枢は脊髄にあります。脊髄の両側には交感神経幹が走っており、交感神経の中枢である脊髄から出た神経繊維はここに入って、各臓器へ分布しています。

 一方、副交感神経は脳幹(中脳・橋・延髄)と仙髄から伸び、顔面や、迷走神経として腹部内臓などに分布しています。脳幹は大脳の支配を受けているので、副交感神経は大脳と密接にかかわっているのです。

自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれ、たとえば心臓の拍動を増加させるのが交感神経、拍動を抑えるのが副交感神経というように、二つは相反する働きをしています。そして、身体の内と外の環境によって自動的に切り替わりながら、調整し合っています。

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