アトピー性皮膚炎 症例報告 腎炎

アレルギー性紫斑病完治の症例報告Part2(コメントなし)更新2023.3.1

投稿日:

症例報告3例目

完治された病名1)紫斑病2)腎炎3)ネフローゼ症候群4)アトピー性皮膚炎

患者:38歳、男性

この患者さんは幼い頃からアトピーにより、肘と膝裏に少しブツブツが出てきました。五女の姉が他院にてリンデロンを使っていたため、患者さんも一緒に塗っていたそうです。小学3年生あたりから中学卒業まで唇が良く切れること以外は症状が出なくなりました。

10人兄弟だった患者さんは、中学を卒業してすぐに大工見習として父親の出身である山口県で就職されたのですが、諸々の都合で大工ではなく、木工所に行くことになりました。患者さん曰くこの時が一番のストレスだったとのことです。親のつてで就職したためすぐに辞めることもできず、「石の上にも三年」と思い我慢してきました。ストレスがピークにまで来たためか、その頃から少し身体に痒みを感じるようになりました。また木材の種類の中には一時的に多少痒くなるものがあり、患者さんも一時的に痒くなったりしました。しかしだんだんと慢性的な痒みになり、腕から首、胸、背中と広がり、ついには顔にも湿疹が出てきました。患者さんは顔にまで湿疹が出たことで皮膚科へ行き検査を受けることにされました。診断の結果、成人型アトピー性皮膚炎と言われ、当たり前のようにステロイド剤を処方されました。平成5年(1993年)当時ではアトピー治療にステロイド剤を出すことは当たり前のことだったのです。無知だった患者さんはステロイドを塗るとすぐ痒みがなくなったため、喜んで患部にステロイド剤を塗り続けておられました。しかし、薬が効かなくなってくると強い薬を出されるようになり、10年間同じようなことを繰り返されてステロイドを使い続けておられました。

平成16年(2004年)になるとステロイドを非難する声が高まり「民間のアトピービジネス」が目立ってきました。患者さんはその頃には全身にアトピーが広がり、一番強いステロイドを使っていました。そしてまた薬が効かなくなりステロイドを塗っても痒みや赤みが治まらなくなり、慌ててかかっている皮膚科へいくと「もうあなたに効く薬はありません。大きな病院で入院し、点滴でステロイドを投与するしかないですね。」と言われたのです。

しかし患者さんは脱ステロイドを訴える皮膚科に受診され、仕事をしながら一気に脱ステロイドをされました。10年間もステロイドを使い続けてきたのでリバウンドは相当な覚悟が必要です。想像をはるかに上回る苦しみで、足の先から頭のてっぺんまでリンパ液が吹き出し、動けば皮膚が裂け、身体中が腫れて匂いも臭い、そんな酷いリバウンドの状態でも仕事に行っておられました。患者さん曰く、むしろ仕事をしていると集中して家にいるよりアトピーのことを忘れられて良かったそうです。どうしても家にいると何もしたくないと思うほど辛いので弱気になってしまい「脱ステロイドを止めようかな」「でもここで止めたら今まで耐えたことが無駄になる」などと毎日葛藤する日々でした。リンパ液が止まると次は乾燥が起こり、身体中がツッパって、魚の鱗のような皮が毎日毎日ボロボロと剥けました。痒みで眠れない毎日でした。脱ステロイドに踏み切って一年でやっと一度落ち着きました。65kgあった体重が47kgまで激減してしまいました。しかしこの経験のおかげでのちにアトピーで何度も何度も酷い状態になっても乗り越えることができました。

その後、毎年5~10月の間、少しのリンパ液、乾燥、落屑を何度も繰り返しておられました。脱ステロイドをしてから数年が経ち、家庭が上手くいかずギクシャクし始めました。ストレスでまたアトピーがいつもより酷くなり始めた頃、離婚されました。離婚後に脱ステロイドを唱えていた医師が「アトピーに画期的な薬ができた。非ステロイド剤だから安心して使える」と言われ、ある軟膏タイプの薬を渡されました。それはプロトピック軟膏でした。患者さんはこの医師を信用していたため、また厄介な薬を身体中に塗りたくってしまいました。

プロトピックはステロイドと比べて免疫抑制の力ははるかに劣っています。しかしプロトピックの一般名はタクロリムスで免疫抑制剤の一種で、臓器移植または骨髄移植を行った患者の拒絶反応を抑制する薬剤です。こんな移植の際にも散られる強い薬がアトピー性皮膚炎に対する塗布剤としても用いられるのは全く理解できません。

5年間、症状が酷い時にプロトピック軟膏を使用し、もう一つ別の軟膏と一緒に処方されていました。全身に塗ると息苦しさを感じ、次第に皮膚科の薬に疑問を抱くようになりました。インターネットで調べるとプロトピック軟膏ではない軟膏の方に石油から作られていることがわかり、ついでにプロトピック軟膏も調べるとステロイドと同等の危険性があることがわかり、患者さんはすぐに処方された薬を全て処分し、この時から医者に不信感を抱きだしました。

新しいパートナーがインターネットで天然自然な化粧水や保湿剤などの様々なものを調べてくれたことで脱プロトピックを乗り越えることができたとのことです。しかし、常に朝、昼、特に風呂あがりに化粧水と保湿剤を塗らないと体が乾燥して大変なことになる毎日が20年続いていたので今度は「人間の本来持っている保湿力や免疫力を取り戻すために脱保湿をしよう」と考え、実行されました。そして数カ月で脱保湿にほぼ成功しました。風呂あがりに少し保湿するぐらいまで身体が正常化していきました。とはいえ相変わらず秋~春はアトピーで痒く、眠れない日々が続きました。しかし、簡単に書いていますが「脱○○」といういわゆるリバウンドのようなものは全て、かなりの精神力と忍耐力、体力も必要です。以前、当院でリバウンド時に免疫を出し続けて体重と体力を落とさないようにプロテインを飲んでもらっていました。

2015年4月5日、お風呂上りに足の甲に赤い斑点が数個できていました。翌朝になると斑点が増えて少し痛みが伴いましたがそのまま仕事に向かわれました。午前中、脚立に上がるたびに筋肉痛のような酷い痛みが起こりましたが筋肉痛かと思われました。そして午後から痛みが酷くなり歩くことも困難になっていました。しかし仕事を中断することができず、何とか夕方まで仕事を続けられました。帰宅途中の車の運転の際にもアクセルとブレーキを踏むたびに激痛が走りました。帰宅直後、脚を見てみると斑点の数が増えて膝から下が少し腫れ上がっていました。夜寝る時も痒みもあり、氷枕などで脚を冷やしたりされましたが、痛みと痒みでで熟睡できませんでした。

秋~春にかけてアトピーで睡眠不足が続いていたことによって身体に疲労が蓄積されてストレスとなりステロイドホルモンが放出され、免疫が抑制されている間にヘルペスウイルスが増殖し、ホッとした時やわずかの睡眠で免疫が戻ったときに増えたヘルペスを見つけて戦いを起こしてアトピーの症状がでたのです。

4月7日、仕事現場の段取りだけ済ませて地元の内科に行きました。血液検査と尿検査を受けるもいくつかの項目の数値が高いだけで、腎臓機能にはなんの問題も無く、尿検査も問題無しでした。しかし脚はアトピーの掻き傷と無数の斑点でわけがわからない状態だったため、近くの国立病院の皮膚科を紹介され、歩行困難な患者さんだけでは行くことができなかったので、看護師によって連れて行ってくれました。

国立病院の皮膚科でも同様に血液検査と尿検査を受け、結果も同じような内容でした。医師から「脚の細胞を採取し生検したい。治療法はプレドニン錠(ステロイド剤)5㎎1日4錠を服用するしかない」と言われましたが、患者さんは断りました。すると「生検は米粒程度だから痛みもないし、生検をしないと何の病気か判断できない。ステロイド剤も飲まないと今以上に悪化し、最悪歩けない可能性もあるし、痛みも全身に回る可能性がある」とまるで脅すように言われ、怖くなった患者さんは渋々承諾されました。

後日から仕事を休職して自宅療養に入り、インターネットで自身の症状について色々調べられ「紫斑病」が一致したので、もっと調べ進めると60%の人が腎炎を発症することを知りました。

4月10日、ステロイドの効果で脚の痛みとアトピーは楽になり出しましたが、脚の紫斑とむくみは酷くなっていました。国立病院で生検結果を聞くと「血管炎」と診断されました。患者さんは紫斑病ではないか?と医師に聞くも全く相手にされませんでした。のちに1週間後の血液検査と尿検査の結果から「当てはまる血管炎がない。紹介状を書くから広島の病院にいる私の先輩に一度診てもらってください」と言われその通りにされました。

4月20日、広島の病院の皮膚科を受診しました。しかしその時点ではステロイドの効果で紫斑も浮腫みもアトピーも以前より収まっていたので、「血管炎ならこんなに早く治らないので、この状態からは紫斑病だったとしか言えません。紫斑病の延長線上に血管炎があるのですから、若医者は判断に迷ったので、私の意見を聞きたかったのでしょう。若医者にステロイドを徐々に減らすように手紙を書きます」とのことでした。次の受診は5月1日だったので、もうその時に「ステロイドを一気に止める」と言うつもりでいました。しかし、この時、患者さんはステロイドの副作用の怖さをまだまだ甘く考えておられました。

4月25日、脚の痛みも紫斑もアトピーも見た目的にも感覚的にも治まっていたので5月から復職するつもりでいましたが、夕方に血尿のようなものが出て、27日に地元の内科を受診しました。血液検査と尿検査の結果、血尿と蛋白尿(+++)で総蛋白もアルブミンも他の数値も7日に比べて増悪していました。腎炎と診断され、医者に明日にでも広島の腎臓内科に入院するつもりで受診してくださいと言われました。紫斑病の患者さんは60%の確率で腎炎を発症してしまいます。

4月26日、20日に受けた広島の病院の腎臓内科を受診し、また血液検査と尿検査を受けられました。結果、紫斑病性腎炎、ネフローゼ症候群と診断されました。「難病で長期戦になりますから覚悟して下さい」と言われました。その後、患者さんは耳を疑いました。「何でステロイド使ったんやろ?紫斑病は痛みに耐えたら、ほっといても自然完治するのに・・・。よっぽど酷かったんやな」と医師が言っていたのです。患者さんは紫斑病で腎炎を患うのはステロイドによるものだと気づきました。医者に聞くとはぐらかされたそうですが。4日後に地元の腎臓内科で腎生検の検査入院のための予約を入れて診察を終えました。

その日からインターネットで腎生検と病気についていろいろ調べられました。どこを見ても最後は腎不全になり、人工透析になると書かれているのを見て、このままでは薬漬けになってしまうと思った患者さんは他に何か対策がないかインターネットで検索し続けました。また今までの経緯から医者に不信感を抱き、西洋医学より東洋医学の方が理にかなっていると考え、以前から風邪を引きかけたら「葛根湯」を飲んでいたこともあり、今回も東洋医学で何とかしたいと思い、「漢方薬」「漢方内科」「腎臓病と漢方」などと様々な単語で検索して出てきたサイトを片っ端から読んでいきました。そして調べ続ける事3日目に私のブログのコラムを見つけられたのです。内容は専門書の様に難しかったと思いますが「漢方は免疫を上げ自己免疫力で病気を治す」「医師も漢方薬もヘルプをしているだけで病気を治すのは自分自身であること」、最後に「腎生検は許されるべきことではない人体実験のひとつであります。」と締めくくっていました。患者さんは心に一筋の光がさしたように感じました。ちなみに患者さんがみつけたコラムが気になる方はここを読んで下さい。

4月30日、地元の腎臓内科を初受診し、血液検査と尿検査を受けた結果、血尿・蛋白尿ともに(+++)、全体的に数値が悪く、次回に腎生検を行い、そのまま点滴でステロイドを投与し数か月の入院が必要と言われました。患者さんは腎生検を受けず、ステロイドもしないとはっきりと言い、松本漢方クリニックで治療すると担当医に伝えました。すると担当医はやんわりと止めてきましたが最後は両親とよく話し合って5月14日に返事を聞かせて欲しいとうことでこの日の診察を終えました。

5月3日、三女の姉に付き添ってもらい松本漢方クリニックに初受診されました。しかし患者から今までの経緯を聞き、かなりの量のステロイド剤を飲んできたことから相当ひどいリバウンドがやってくることが絶対に治せるという保証はできないと言いました。患者さんは事前に患者による闘病手記を読んできていたので、私がいつも患者に言っている「絶対に治したる!」を言われず、また握手もなかったので予想外だったそうですが、それでも漢方で治したいと私に訴えました。とりあえず血液検査を受けてもらい、ステロイド剤はまだ続けるように指示し、薬を処方して診察を終えました。後日、血液検査結果が出たので患者さんに連絡しました。その数値も最悪で改めて相当きついリバウンドが来ることを伝え、当院で治療をするかどうかは自分で判断して下さいと言いました。患者さんの気持ちは変わらず、当院で治療を続ける意思を伝えてこられました。

5月11日、山口県の自宅に帰り、職場に入院もせず腎生検もせずに漢方薬で治療すると報告されました。しかし会社側は「いつから仕事復帰するのか、だいたいの見当も付かないなら、入院して医者の言うことを聞くべき」と猛反対しました。患者さんはそういう反応をされるのを想定されていたため、治療に専念するために退職することを切り出したそうです。止められましたが、23年間勤めた会社を退職しました。

実家でも看護師だった兄弟姉妹から心配された上での反対意見を言われましたが、患者さんは「医者の俎板(まないた)の鯉にはならん!漢方とお灸で免疫あげて自分で治す」と言い切ったので、それ以上は誰も何も言われなかったとのことです。

5月14日、約束の返事をするために地元の腎臓内科へ行かれました。全ての治療と検査を断り、漢方で治療すると返事をすると、担当医は了承しステロイドは服用して1ヶ月で腎臓に影響はないが、リバウンドでアトピーが出るので徐々に減らす方がいいと言われたそうです。ですが患者さんは以前にもアトピーでリバウンドを耐えてきた自信があったため一気にステロイドをやめることにされました。その日のうちに私の方へ連絡されました。私はいつもの調子で「関わりたくない」と言いましたが、「病院には断った、ステロイドも全部捨てた。リバウンドも怖くない。何があっても自己責任や。漢方で免疫を上げて自分で治したいから、先生の力を借りたい」と自分の思いを伝えてこられました。その患者さんのその意志を受け取り、引き続き漢方煎じ薬を続けてもらいました。家で安静にしてもらって体を休め、さらに免疫を上げるため毎日お灸、週1回漢方風呂に入ってもらいました。また近所で鍼を受けてもらうようにも指示しました。規則正しい生活を送り、食事は発芽玄米と和食中心のものにするようにしてもらいました。そして自分自身で病気を作ったことで自分の心を見つめ直すように指導しました。

毎日漢方煎じ薬とお灸、週1回の漢方風呂と鍼、食事は発芽玄米を主食として和食中心にしてもらい、規則正しい生活を過ごし、ゆっくり休んでおられました。また整骨院で腎臓機能の施術も一緒に受けていたそうです。自宅で定期的に尿検査をされていたそうですが約3ヶ月間はまだ尿蛋白も血尿も(+++)のままでした。

9月頃になると少しですが尿蛋白と血尿がゆっくり回復していきました。最初にお世話になった地元の内科で定期的に血液検査と尿検査を受けておられましたが、数値が徐々に徐々に回復していきました。内科の医者も最初は漢方治療に反対されましたが、徐々に数値が良くなっていく現実に直面して、素直に驚いておられたそうです。そして10月の検診で、なんと蛋白が(-)になりました!

11月、血尿はまだ(+)でしたが、血液検査の結果、遂にネフローゼ症候群の状態は抜け出しました。(まだ検査は定期的に来てくださいと言われましたが。)アトピーのリバウンドも乗り越え、自分の免疫力を信じ、「必ず治る」と自分に言い聞かせ、今までの人生を振り返り、改めるべき所は素直に改める努力をしてきた結果、漢方治療を始めて6ヶ月、ゆっくりと回復し、ついにほぼ完治されました。現在は当院には来られていません。

-アトピー性皮膚炎, 症例報告, 腎炎
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

アトピー性皮膚炎完治の症例報告Part2(コメントなし)更新2022.1.16

症例報告17例目 治した病名:1)アトピー性皮膚炎、2)掌蹠膿疱症 患者さんのアトピーは軽症でしたが、仕事に支障をきたし、6年間も汚い皮膚と痒みに悩まされてきました。しかし当院を見つけ治療を受けると、 …

no image

アトピー性皮膚炎完治の症例報告Part18(コメントなし)更新2023.6.13

症例報告71例目 完治された病名1)アトピー性皮膚炎 患者:40代、女性 患者さんが22歳の時、勧められた化粧品を使いだしてから湿疹などひどくなりました。しかし、その化粧品でアトピーや肌トラブルがなく …

no image

アレルギー反応に分類される4つのタイプについて更新2022.6.12

アレルギー反応に分類されるタイプがⅠ~Ⅳ型がありますが、ひとつひとつについてその意味について解説しましょう。 Ⅰ型のアレルギーは、即時型アレルギーで、IgE型といわれるものであり、ときに液性型アレルギ …

no image

精索静脈瘤・過敏性腸症候群完治の症例集(コメントなし)更新2023.5.7

症例報告1例目 治した病名:1)精索静脈瘤、2)過敏性腸症候群、 奥さんがアトピーの治療で当院に通院していたため、治療を受けることが出来ました。 患者:当時42歳、男性 最初に精索静脈瘤を発症したのは …

no image

潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part16-①(コメントあり)更新2022.3.26

症例報告37例目 完治された病名1)潰瘍性大腸炎 患者:13歳、男性 この世には原因の分からない病気などはひとつもありません。病気とは一体何でしょうか?病気という言葉には実体がありません。病気とは単な …