潰瘍性大腸炎・クローン病 症例報告

潰瘍性大腸炎やクローン病完治の症例報告Part66(コメントなし)更新2022.11.11

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症例報告159例目

完治された病名1)クローン病

患者:15

14歳に右下腹部に違和感を感じ、その部分を押すと痛みがありました。身体の異変には過剰に反応する性格だったため、「虫垂炎」や「憩室炎(けいしつえん)」などといった病名が浮かび大変な病気だと判断された患者さんはその日の晩に母親に相談し、5日後の午前中にかかりつけの小児科を不安な気持ちで受診されました。診断結果は、最近流行しているウイルス性腸炎と言われ、整腸剤などを1週間処方され様子見となりました。

当時5月下旬に中学校最後の体育祭が終わり、6月半ばにある期末試験に向けて試験勉強をされてストレスがかかったのに加え、元々神経質な性格によるストレスにより鬱にならないようにステロイドホルモンが大量に放出されている状態でした。これによりステロイドホルモンによって逆クラススイッチが起こってIgEの排除の世界に変換されずIgGの殺しの世界のまま免疫の戦いが起こり症状が現れたのです。

その後の1週間、薬を服用されると、右下腹部を押しても痛みは出なくなりましたが、その代わりに腹痛が出始めました。今まで腹痛が起こった場合は、形状問わず排便の時とお腹が冷えた時しかなかったので患者さんは不安で焦りましたが、この時はすでに医者に診てもらった後だったのと、期末試験が迫って腹痛は二の次になってしまい、ほっとけば治るだろうと思いそのままにされました。そして期末試験が終わった後、夏休みが楽しみで腹痛など特に気にせず学校生活を送っていました。

そして夏休みに入り、受験生ということもあって毎日5時間勉強されていました。もともと長時間勉強してこなかったため無理をされていたのでしょう。それも第一志望の「公立」高校に入るという目標を達成するためでした。患者さんは3兄弟の長男なので、金銭的な理由から絶対公立高校に入ると決めていたそうです。絶対に落ちることはできない。そう自分を奮い立たせて毎日机に向かっていました。この時すでに腹痛はだいぶ強くなり、便もゆるくなっていました。

夏休みの半分を過ぎた8月上旬、夕飯の後、急に気持ち悪くなり、ついさっき食べたものが喉の半分くらいまで戻ってくるような感覚をされ覚えました。この日を境に夕食後には必ず強烈な吐き気がやってきましたがそのたびに吐くのを我慢されました。それと同時に、食事中にもいつもの腹痛が起こるようになりました。腹痛が来るとご飯は食べられないので一度箸を置いて腹痛が治まるのを待ち、そしてまた食事を再開する、ということが当たり前になってしまいました。

これには様子が流石におかしいと思ったのか、父親が病院の受診を勧めてくれましたが、楽観的に考えていた患者さんは軽く流してしまいました。そして模擬試験が終わった8月下旬、ついに腹痛が本気を出してきました。夜寝ているときも襲ってくるようになり、夜中に5~6回目覚めるのが当たり前になっていきました。ここまで来て流石にマズイと思った患者さんはこの大事な時期に体調を崩すわけにはいかない(正確にはもう崩していましたが)そう思った患者さんは夏休み最後の週に胃腸科を受診しました。

診断結果は、夏の暑さからくる消化不良と診断され、消化の良い物や乳酸菌を積極的に摂るように言われ、整腸剤を処方されました。しかし、整腸剤のおかげで下痢は治まったものの他の症状は治まらず、腹痛は日を増すごとに強くなり、吐き気も夕食後に必ず起こしました。おかしいと思いつつ、二学期を迎えました。

二学期が始まっても症状は変わらず出続けました。しかし学校ではストレスによりステロイドホルモンが放出され免疫が抑制されていたため症状が出なかったのです。患者さんは不思議に思いながらも「これはラッキー!」と考え学校生活を送られました。

そして9月の中旬、ある日の夜に血便が出ました。これには頭が真っ白になり、一刻も早くと病院へ向かいました。近所のメディカルクリニックを受診したところ、消化不良の症状ではないかもしれないということで、一度、市立病院で検査を受けるように紹介状を渡されました。検査という言葉が聞き慣れないせいもあり、純粋に怖く感じられました。そして2日後の月曜日、患者さんは中学校を休み、市立病院を母親と受診されました。その日受けた検査は血液検査・尿検査・CT 検査(造影剤無し)・エコー検査・心電図検査を半日かけて受けました。結果がすぐには出ないものもあるので、2日後に予約をいれてこの日は帰宅されました。そして2日後、また学校を休み市立病院を受診。検査の結果、CRP 値が高いことと、白血球の数値が高いことから、炎症が起きている可能性があることがわかり、潰瘍性大腸炎の疑いが上がりました。精密検査(大腸内視鏡・胃カメラ)をしたいので4日ほど検査入院をしてほしいと言われました。

突然の入院によりバタバタしながらも、入院1日目の夜、翌日の大腸内視鏡検査のための下剤を飲み、人生で初めて病室で寝ました。しかし翌日の大腸内視鏡検査はすることができませんでした。浣腸で腸内洗浄もしましたが、経口腸管洗浄剤を2L 飲むことが出来なかったため便が透明にならず、医師の判断で検査は翌日に繰り下げになりました。入院3日目も昨日と同様、午後3時からの大腸内視鏡検査のために経口腸管洗浄剤を飲み続け前日から絶食しているということも相まって便が透明になり検査が受けられることになりました。初めての検査ということもあって大腸内視鏡も胃カメラも共に苦しい思いをしながらなんとか検査を終えて担当医から検査結果を母親と一緒に聞くと、胃カメラの検査結果は特に問題なく、大腸内視鏡で大腸にクローン病による潰瘍が見られたと言われました。

当時、クローン病の恐ろしさを知らなかった患者さんは他人事にように聞いていましたが、小腸やその他合併症の検査、診察が必要ということで退院が引き延ばされ、引き続き2週間ほど入院することになりました。入院中の食事は全て経口栄養剤、さらにペンタサの服用も追加されました。検査が終わったら退院して、またいつも通り学校生活を送り、美味しいご飯を食べられる、と心を躍らせていた患者さんにとって、それは地獄に突き落とされたかのような気持ちになる言葉でした。

その後、CT検査を造影剤の副作用により嘔吐しながら検査を受け、眼科の診察を受け、地獄のような苦痛だった小腸造影検査をなんとか終えて、翌日、上記の検査結果を踏まえての医師からの説明がありました。小腸造影検査の結果、回盲部に狭窄が見られ、小腸と回盲部に瘻孔が見られました。眼科での診察の結果、目に合併症は見られませんでした。

インターネットで調べた知識があったので、狭窄と瘻孔があると言われたことに大変ショックを受けました。どちらも手術が必要だと思っていたからです。さらに医師は、「瘻孔に関しては、まだ不確実なところがあるので大腸造影検査もしたい」と言いました。やっと全て終わって退院できると思っていた患者さんは、裏切られたように感じ、この頃から医師に対して嫌悪感と疑心を抱くようになりました。その日のうちに肛門科で診察を受けた結果、2か所の痔瘻が認められました。2日後に大腸造影検査を受け、さらに2日後に担当医から総合的な説明があり母親と患者さん2人で聞きました。

全ての検査結果からしてクローン病と確定診断。大腸に潰瘍、回盲部に狭窄があり、痔瘻が2か所ある。瘻孔は、小腸造影検査では見られたが、大腸造影検査では確認できなかった。ここの病院では専門の医師がいないので専門病院に転院するまでここに入院してもらい、絶食(経口栄養剤を飲む)とペンタサの服用を続けるとのことでした。しかし、明らかにおかしい説明がありました。瘻孔が確認できなかった?では結局それはあるのかないのかどちらなのか?医師に聴いたところ、何やら長々と説明されたものの要約すると「わからない」とのことだったそうです。この時点で何かがおかしいと思った。

母親は患者さんがCT 造影検査(造影剤有り)を受けていた時に、すでに松本漢方クリニックのホームページに辿り着いていました。そして、徹夜をして私の論文を読み終え、そして10月18日入院38日目、ついに退院の日となりました。お土産に段ボール箱一杯の経口栄養剤とペンタサを持たされ、帰宅されました。松本漢方クリニックを患者さんが知ったのは退院してからのことでした。

退院して4日後の10月22日、都内の某医療研究センターの消化器外科を受診。そこでも「瘻孔の有無が明確ではないので、小腸造影が必要になります。痔瘻もあったようなので、内瘻が無いかの確認のため MRI 検査をします。そのためには一度入院が必要です。」とあの地獄のような検査をまたしなければならないと言われました。結局その日は少し考えさせて欲しいと父親が言い、その場を後にしました。この時、ご両親は松本漢方クリニックを受診すると決めていたそうです。

松本漢方クリニックを受診する前に、ご両親と患者さんはしっかりホームページを読まれていました。当時中学3年生だった患者さんも完治の理論や患者の手記を当院に受診するまでの2日間でなるべく多く読まれたそうです。

そして松本漢方クリニックの初受診。尿検査をしてもらって、院内に置いてある手記を読んで診察の順番を待つこと1時間ほどで順番が来ました。診察のなかで私は何回か患者さんと握手を交わしていました。患者さんはここまで安心させてくれた医師は初めてだったので嬉しくなったそうです。

診察も終盤にさしかかった時、私はいま一番つらいことは何か?と患者さんに聞きました。「固形物が食べられないことです。」前院に入院してから検査の引き延ばしが続き、経口栄養剤とペンタサしか口に入れることが許されなかったことが続いたため、今回も同じだろうと諦めていました。しかし私が「何食べてもいい。」と患者さんに言うと泣きながら嬉しそうにされていました。早速、診察と鍼灸が終わった後、当院の近くのうどん屋に入り、約40日ぶりに経口栄養剤でもなく、お茶でもない味を舌で感じました。今まで我慢してきたことが一気に報われたように思ったそうです。「食べられる」とはこんなにも素晴らしいことなのかと痛感し、同時に絶対に免疫抑制剤やステロイドは使わないと心に決めたとのことです。

ペンタサを数週間しか飲んでいなかったからか、漢方を飲み始めて2日でリバウンドが来ました。腹痛と下痢、嘔吐が主な症状で、腹痛は入院する前の5倍位の痛みで、死んだ方がましだと思うほどののたうち回る痛みが数分おきにやってきました。そこに追い打ちをかけるように下痢と嘔吐がやってきました。1日に2回は吐き、10回はトイレに駆け込んでいました。昼夜問わずこの症状が襲って来るため、夜も眠れず、起きていても痛い毎日が続きました。いつこの症状が治まるのかは分からず、リバウンド中はただひたすらに耐えて続けました。必ず治ると確信していたからです。

リバウンドが始まってから3週間程たった11月中旬、38°Cの熱が急に出ました。その時は熱のせいで頭痛がひどく、すぐ気が付かなかったそうですが熱が出ていた時は腹痛と嘔吐が全くありませんでした。また、その熱を境に地獄のようなリバウンドが治まりました。腹痛は入院前より弱くなり、嘔吐はしなくなりました。下痢も1日4回ほどに減りました。しかし、食べ過ぎたりハズレの食べ物を食べてしまうと腹痛が強まったり嘔吐してしまうこともあったため、食べ物には気を付けながら過ごされました。

松本漢方クリニック2回目の受診。1か月半ぶりに対面しました。今回も「今一番困っていることは何か。」を聞くと、リバウンドが始まってから一回も学校に行けていなかったことでした。私は食後の漢方を炎症を抑える、または免疫を上げる漢方に変えてみました。また、お腹が張って苦しいとのことだったので、フラジール錠も処方しました。患者の困っている症状を聞いて、それを解消する薬や漢方を処方しつつ免疫を上げ、最終的に患者自身の免疫で治すのです。そして患者さんと力強く握手をしてから診察が終わりました。診察後採血をして、松本漢方クリニックを後にしました。

食後の漢方が変わると、腹痛が弱くなり、しかも腹痛の頻度も減りかなり驚かれました。食事も1日3回食べても嘔吐することはなかったです。しかし、学校に復帰できるまでは回復していなかった為、三学期から学校に行くと決めた。それまではしっかり休んで少しでも免疫を上げようと努力しました。12月24日のクリスマスイブの夜に家族でパーティーをしました。調子が良かった患者さんは、そこで揚げ物(あの有名なおいしいフライドチキンなど)をたらふく食べてしまいました。不安に思いつつ寝ると、案の定、夜中に盛大に嘔吐してしまった。そして、その日からまたプチリバウンドが来ました。腹痛で思うように動けない日が続きました。大晦日になってもまだ痛みがありました。

年が明け、1日経った1月2日、またしても熱が出ました。この時も腹痛は全く出ませんでした。熱が苦しかったようですが1日で下がりました。そして熱が下がると、何をしても腹痛が来なかったのです。思いっきりジャンプをしても、前回りをしても、大声を出しても。何にも増して得難い喜びでした。残りの冬休みは街中のデパートへ行ったり毎回の食事を楽しんだりされたとのことです。症状が出てから今まで普通のことが出来なかったことが出来るようになった充実した冬休みでした。

一方中学校卒業後の進路は、既に先生方が患者さんを私立高校に推薦してくれていました。入院してからほとんど勉強出来ていなかった患者さんが、必死に勉強していた他の受験生と戦っても負けることは目に見えていたため、この推薦入試は患者さんにとって非常に有り難いことでした。しかし推薦入試をすることは、公立高校を諦めなければならなかったですが、私立高校に進むか高校に行かないかの選択だったので、前者を選ぶしかありませんでした。両親に申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも無事に高校進学できました。

三学期の2日目に早速ダウンしてしまいました。今まで一日中家でゴロゴロし、好きなことをしていたので、ただ普通に学校に行くだけでも相当ストレスを感じてしまったのでしょう。しかし3日程で回復することが出来ました。徐々に体調が良くなるまでにかかる時間が短くなってきたそうです。それからは遅刻と早退を組み合わせて授業を受けられました。2月も同様にしていましたが、休むことはありませんでした。

3月に入ると、卒業式の練習が始まりましたが、卒業合唱の練習や卒業証書授与の練習など立ちっぱなしだったので、練習すべてに参加するのは不可能でした。しかし、先生方がとても気遣ってくれたおかげで、所々ではあるが練習に参加することが出来ました。友人たちもいつも通り接してくれたので、ストレスなど一切感じなかったそうです。クローン病の方も落ち着いていました。1週間に2日ほど体調が悪くなる日があったそうですが、病気になる前の様な「明るさ」を取り戻せていました。

3月の中旬に卒業式が挙行され、患者さんの体調も絶好調で、友人たちと変わらず参加できました。卒業祝いとして、出前をとり、家族でパーティーを行いました。揚げ物や消化の悪そうなものばかりだったそうですが、それらを食べても特に腹痛や下痢になることはありませんでした。

高校に入ってからは、どんなに腹が痛かろうが下痢がひどかろうが絶対に休まないと決めていたとのことです。患者さんが通うことになった高校は単位制であり、単位が必要数に達しないと進級・卒業ができない規則があったからです。しかし、高校の先生方はクローン病や今受けている治療について理解してくれ、様々なサポートをしてくれました。見学する時もあるが、心配していた体育も受けられました。通学は電車・バス・徒歩でしたが、途中で座り込むこともなく、普通の人と同じように通学出来ていました。1週間のうち、大体水曜日に欠席してしまう傾向があるので、火曜日はアシクロビルを少し多めに飲むなどして対策をしながら通学していました。また、患者さんの場合「睡眠不足」が一番影響するので、出来るだけ早い時間に寝るようにもされました。

4月の下旬に2泊3日の宿泊行事があり、千葉へ行かれましたが、特にトラブルもなく参加することが出来たそうです。今までに2回あった定期試験も休むことなく受けることが出来、成績もあまり心配しないで平気な点数だったそうです。

クローン病の症状が出て松本漢方クリニックの治療を受けてから1年以上が経ちました。腹痛は睡眠不足やストレスを感じると起こる時があるようですが、上手く症状と付き合っているそうです。

この治療を始めた時、「考え方を変えなさい。周りは気にするな。」と言いました。それからは、周りがどうだろうと他人は他人、自分は自分と思うようになったとのことです。また、人生や食に対する価値観も、病気になる前よりかなり変わりました。特に食に対しても、何気なく毎日3回食べていたのが、1か月を超える絶食を経験して「食べられることの幸せ」を痛感され、以前よりも食べ物に貪欲になりました。今では調子が良すぎて、自分がクローン病であることを忘れる時すらあるそうです。

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