潰瘍性大腸炎・クローン病 症例報告

潰瘍性大腸炎やクローン病完治の症例報告Part64(コメントなし)更新2022.11.5

投稿日:2022年11月2日 更新日:

症例報告151例目

完治された病名1)クローン病

患者:43歳、男性

患者さんが25歳の時にクローン病と診断を受けました。幼い頃からお腹が弱く、日頃から当たり前のように下痢止めの薬を飲んでいたとのことです。また、アトピー性皮膚炎も患っていたため薬局のステロイド剤を塗って薬漬けの日々を送っていました。

高校2年生のとき、切れ痔の手術を受けました。その頃から頻繁に下痢が続くようになりましたが回数は一日1~2回程度の軟便と下痢の繰り返し。また社会人になるまでは激しい腹痛や発熱といった症状は全くありませんでした。

21歳、自動車販売会社へ勤務することになり、入社後多忙な日々を過ごされました。仕事に対してのストレスは日々増していきましたが、まだ当時は下痢や腹痛の症状はたまにしか起きなかったのでそんなに気にせず毎日を過ごしておられました。また、友人とお酒を飲みに行ったり遊びに行ったりと好きなことをしてストレス発散をされていました。

ある日、勤務中に突然下腹部に今までにない激痛が走り、うずくまったまましばらく立てない状態が続くことがありました。発熱もありましたが、下痢の症状はあまりなく軟便の繰り返しで1日2~3回程度であまり苦ではなかったそうです。その症状がしばらく続いたため、某総合病院を受診し、大腸カメラ検査を受けましたが結果は特に異常もなく、整腸剤と痛み止めの薬を処方されました。その後も全く症状は変わることなく下痢・腹痛・発熱に悩まされていました。

1998年7月頃、症状が改善されないのを理由に、今まで通院していた病院から別の総合病院を受診することになりました。今までの症状を総合病院の担当医師に伝えると、「クローン病の疑いがあるかもしれない」と言われ、後日に小腸造影検査を行うことになりました。数日後、先日受診した総合病院の担当医師から直接電話がかかり「突然で申し訳ないのですが、明日検査結果をお話ししたい。その後、そのまま入院の手続きをとって下さい」と言われたのです。

医師から直接電話が入ったので、何か命に関わる病気にかかったんじゃないかと急に不安な気持ちになりながらも翌日受診されました。診察室で検査結果のレントゲン写真を見ながら医師は「小腸の末端にこのように縦走潰瘍がありますね。これはクローン病という病気です。一生治らない病気で食事制限をしながら病気とうまく付き合って行かなければなりません。今日から入院してもらい、しばらく絶食しながら治療していきます」と言われました。その瞬間患者さんは頭の中は真っ白になり、入院手続きの最中一緒に同行していた母親は泣いていました。

7月7日に入院し、夕食は食べることができましたが翌日から絶食が開始され、エレンタール(粉末状でフレーバーと一緒に水に溶かして飲む。一袋約300カロリー)を1日7袋と、飲んだ後に1回4錠(1日12錠)のペンタサと点滴のみの生活が約1ヶ月続きました。とにかく不味くて何度も挫折しそうになりました。また、友人からクローン病に関する情報をいくつかもらい毎日勉強されていましたが、合併症など恐ろしいことばかりで絶望感に陥っていきました。

エレンタール及びペンタサを毎日飲み続け1週間後には下痢・腹痛はほとんどなくなっていました。1ヶ月経過後、少しずつ食事が始まり退院する前に胃カメラと小腸造影を行いましたが、縦走潰瘍だった所が治ってはいたものの狭窄になっていました。医師からは「狭窄部分が閉塞にならない限り手術はしません。切除した箇所からまた潰瘍等が発症してしまいます。食事には十分に気を付けてください」と告げられました。その後、8月下旬に無事退院することができ、9月頭から仕事復帰もされました。

退院後は月1回受診されていました。下痢の症状は落ち着いてはいましたが、回腸末端狭窄部分の痛みが毎日続いていました。また仕事もやはりハードであったため、ストレスでまた再発してしまうのではないかと恐れてしまい復帰後約1ヶ月で退職しました。翌年、幸運にも市役所試験に見事合格し、1999年に市役所に勤務することになりました。その後、4年間付き合っていた彼女と結婚、2人の子供と4人で暮らしていました。

発症後12年の年月が経ち、一生辛い思いをしながら病気と付き合っていく生活をしていくのは絶対イヤだと思い、ある日自宅のインターネットで「クローン病完治」とダメ元で検索してみると松本漢方クリニックがヒットしたのです。最初は半信半疑でしたが松本理論をよく読み翌日すぐに電話で予約されました。

平成22年9月、有給休暇をとって新幹線に乗り松本漢方クリニックを初受診しました。患者さんと診察していた中で「クローン病は治るで、お前自身が治すんじゃ、俺が治すんじゃないぞ。出世はあきらめろ、ストレスは溜めるな、ペンタサを徐々に減らし止めなさい」と最後に握手をしました。私に励まされた患者さんは「クローンは絶対治る、治してやる」と心に刻んだとのちに語ってくれました。その後、鍼灸治療も行ってもらい自宅でのお灸のやり方の説明を受けてもらいました。薬は、食前(下痢止め)、食後(痛み止め)の漢方薬2週間分と自宅用のお灸(カマヤミニ)、入浴用の漢方薬2袋(週1回)、抗ヘルペス薬、フロモックス(抗生剤)、アトピー治療の赤い塗り薬及び飲み薬、またアルブミンの値が低かったため飲み薬を処方されました。

漢方薬を飲み始めてペンタサを1回4錠から2錠に減らし、1ヶ月後には完全に止められました。今までペンタサで一時的に症状を抑えていたので、止めてから一週間後に下痢・腹痛の症状が今まで以上に酷くなり辛い日々を送っていました。しかし、これも完治させるためと我慢し数日後には徐々に回復していきました。また半年後、両腕にクラススイッチが起こりものすごい湿疹ができました。その後、5年半、漢方とお灸を続けることで自己免疫が上がり、以前は頻繁に風邪や発熱を繰り返していましたが、次第に年1~2回に治まっていきました。また、酷かったアトピーもほとんど完治されました。下痢・腹痛に関しては、治療前に比べ多少緩和したものの、症状が長引きました。やはり12年間ペンタサを飲み続けたことで体に化学物質が蓄積され、完治への妨げとなっているのでしょう。

地元の消化器内科を3ヶ月に1度受診されていましたが、病院で出される処方薬(抗生剤以外)は一切使用せず処分されていました。

現在、消化に悪いもの、香辛料の強いもの以外は基本何でも食べていますが、白米に関しては、発芽玄米をなるべく食べるようにされています。お酒も適量に飲んでおられます。普通の生活を送れるようになち、当院での治療を終了しました。

症例報告152例目

完治された病名1)クローン病

患者:25歳、男性

20歳ぐらいの時に痔を患い、あまりの痛みに病院を受診すると検査により痔瘻と判明し、シートン法の手術を受けることになりました。痔瘻がクローン病から来ている可能性があると言われ大学病院を紹介されました。大学病院に行くとクローン病は難病指定で今の医療では治せないと言われました。ネットで調べてある程度わかっていたつもりでしたが直接言われるとショックを隠せなかったそうです。

クローン病の治療が始まると、まだ症状が軽かったので最初はレミケードの点滴だけでしたが点滴はあまり効かず、食べる物も制限されほとんどエレンタールの栄養剤だけでした。しかしそれでもあまり効果が得られずレミケードの量がどんどん増えていくだけでした。

しばらくしてアレルギーにより治療が受けにくくなってしまい、さらに下痢や下血が続き24歳の時に腹痛と下血がひどくて倒れてしまい入院することになりました。入院しても絶食で栄養剤だけの日々でした。

退院が近づき、これから退院しても今の状態ではまたすぐに入院するはめになるから、主治医に人工肛門とヒュミラ、手術で腸を切るか提案されました。しかしどれも嫌だった患者さんは何か方法はないかと思い、ネットで調べて松本漢方クリニックの漢方がヒットしました。最初は漢方は本当に効き目があるのか怖かったそうですが、当時掲載されていた手記や松本理論を読んでみて、私の理論はかなり難しいので完全には理解できなかったそうですが当院の治療を受ける決心をされたのです。

漢方を始めるとすぐに効き目があり、腹痛も楽になり、下痢もほとんどなく普通便が出るようになり、下血もなくなりました。普通の食事をしても下痢をしなくなりました。リバウンドで大変な時期もありましたが想像していたよりも起こった症状は酷いものではありませんでした。クローン病を完治されたため、当院を無事に卒業されました。

症例報告153例目

完治された病名1)クローン病

患者:28歳、男性

この患者さんがクローン病を発症したのは就職活動が終わって少し経った頃でした。患者さんが就職活動をした時期はリーマンショック後の就職氷河期の頃でした。無事に内定は取れたものの、過度なストレス状態が数ヵ月続き、その反動で病気が発症したのです。

最初は高熱が出て下痢も止まらず血便が出て、体重がどんどん減少していきました。近くの病院で腸内カメラ検査をしたところ、クローン病の疑いがあるとの事でした。安静にしたところ症状はすぐに治まったため、本格的な治療はせずに済んだそうです。

数年間、問題なく生活出来ていたのですが、就職して2~3年経過したころ(25歳頃)に症状が再発しました。こちらも恐らく仕事のストレスが続いたことが原因でした。勤務地(東京)の近くに漢方でクローン病を治療しているところがあったため、そこで漢方治療を始めました。最初は症状が治まりましたが、「治まっては再発」を繰り返しなかなか完治とは程遠い状況でした。

東京の漢方治療は完治とは程遠く、症状も比較的安定していたため、1年ほどでやめました。その後、27歳の時に異動を機に業務負荷が上がり、また症状が再発してしまいました。酷いときは夜寝ている間も便意を催し、ろくに睡眠も取れず、高熱もすぐに出てしまうというつらい状況でした。

なんとかこの状況を変えたいと思い、「クローン病 完治」でネット検索したところヒットしたのが松本漢方クリニックだけだったのです。遠方で当院に通う事に不安がありましたが、遠方治療を行っていることと、当時掲載されていた患者さんの手記を読み、同じ症状で悩んでいる人がこんなにもいること、当院でなら完治に向けて治療できると思い、当院へ受診されることを決心されました。

私の理論を100パーセント理解するのは難しいですが、自分の免疫を上げるしか完治の道はないとしっかり理解されてこられました。変な薬に頼るのではなく、自らの力で治す、これが本当の完治なのだと納得できたそうです。

漢方と回数は多くできなかったそうですがお灸、主食を発芽玄米に変えて摂り続け、免疫力をあげる努力をしました。松本漢方クリニックで治療を始めて最初の数ヵ月は特に大きな変化はありませんでしたが、6ヵ月ほど経つと、便の回数が1日10回ほどから5~6回に少なくなり、体重も少しずつ戻っていきました。便も下痢ではなく固形になってきました。クラススイッチが起きてスネや太ももが痒くなりアトピーの様な症状も起こりました。普通の食事も気にせず出来るようになり、自分の免疫力が上がっている事を実感できたそうです。

いつも診察時に患者さんには「病気を治すのは自分」だと言いました。免疫力をあげるのはもちろんですが、患者さんは仕事において自分を追い込みすぎてしまうところがあり、そういった心の持ち方も改善していく必要があったからです。

無事に完治された後も仕事やストレスなどで多少体調を崩すときもあるそうですが、以前ほど酷い症状は出ていないそうです。ステロイドに手を出す前に松本漢方クリニックに出会えて本当に良かったですね!アハハ!副作用で今も苦しんでいたらと思うとぞっとしますね!

症例報告154例目

完治された病名1)クローン病

患者:17歳、男性

2014年2月 、高校1年生の息子さんの調子が悪く、おしりが痛むほど下痢が続き、やがて座ることもできなくなってしまいました。肛門科を受診すると、痔ろうと診断され、2月末に膿を出す切開手術を行い、3月初旬にシートン法による痔ろう根治手術を受けられました。しかしシートン法手術を受けた直後から下痢での痛みを怖がるようになり、食事を一切受け付けなくなり、衰弱してしまいました。

2014年3月~4月、家で安静にしていても良くならないため、地元の大きな病院へ。その後、すぐに大学病院へ転医されました。2014年4月、大学病院でクローン病と確定され、その日のうちに主治医から治療方針としてヒュミラを使用したいとの提案をされたとのことです。しかしどうしても使用が不安だった親御さんはネットで完治方法を毎日探し続けました。その中で松本漢方クリニックを見つけ、当時大量に掲載されていた患者さんの手記を見て当院を受診することを決心されました。

2014年4月、松本漢方クリニックを初受診。その頃には親子共々、心身ともに疲れ切っていました。私は息子さんの手を握って「わしが治すんやない。貴方が自分で治すんやで。大丈夫やからね。」と言って励ましました。必ず治す!と親子で心に決め、息子さんの漢方治療が始まったのです。

当院での治療を始めて1か月後、2014年5月、まったく食事ができなかったのが、少量ずつでしたが三食きちんと食べられるようになっていきました。下痢は少し回数が減り、泥状便と軟便の繰り返しでした。腹痛もありましたが、それでも歩くのがやっとだった最初の頃に比べれば、かなり体力は回復していきました。

治療3か月が経過した同年7月~8月、徐々に下痢が治まり、固形便になりました。しかし、数日ほどで便秘になったものの今度はひどい腹痛が始まりました。夏休みに入る頃には酷い腹痛がとにかく続き、起き上がることもできないほどのリバウンドが起こったのです。下痢と軟便の交互し、朝から晩まで腹痛との戦いの日々が続きました。

治療4か月経過した同年8月~9月、あんなに酷かった腹痛が徐々に治まり、穏やかに過ごせるようになっていきました。9月が始まる頃には固形便の回数も増え、便秘になることも増えていきました。下痢止めの断痢湯を自身の体調に合わせて調整してもらい、アシクロビル錠も痛い時だけ飲むように指導しました。

同年9月末~10月、治療を始めて5か月半を超えた頃には、完全なる固形便になり、腹痛もなくなり、辛いもの以外はほぼ何でも食べられる状態になっていました。11月頃に入ると毎日、快調快便の日々を迎えられるようになり、学校まで3駅の道のりを自転車で通えるまでに体力も回復していき、12月末にはどんなものも食べられる状態になり、快調快便。血液検査結果もほぼ正常値に戻りました。完全に普通の生活を取り戻し、毎日生き生きと暮らしております。

症例報告155例目

完治された病名1)クローン病

患者:15歳、女性

2012年の春頃、患者さんが小学校6年生の時、あきらかに痩せていく娘さんに異変を感じた母親は体重を測り始めたところ、一ヶ月で5キロも減っていました。只事ではないと総合病院を受診すると、検査の結果は、小腸大腸型の中等度のクローン病と診断(生検にて非乾酪性肉芽腫も検出され確定診断)され、そのまま入院となりました。この時の入院は中心静脈から2000cal/日の点滴(IVH)による絶食と、ペンタサ500mg2錠×3回/日の治療を受け、症状が改善されたため3ヶ月で退院となりました。

退院後は低脂質低残渣食を1日1回(昼弁当)のみ、他はエレンタールボトル300mlを一日4本から5本経口で、ミヤBM2錠とペンタサ500mg2錠×3/日をまじめに守って生活されていました。

ちなみにこの頃から父親が松本漢方クリニックの漢方治療の話を母親にしていましたが、医療職に就いていた母親は西洋医学の方を選んでしまい、当院へ受診されませんでした。のちのち大変後悔されてしまいましたがね。悲しい事です。

退院して9ヶ月後の中学1年の5月、今度は発熱後に痔ろうが発覚(CRP4.4)。その日の内にドレナージの手術を受け2度目の入院となってしまいました。中学受験のストレスが原因で発症してしまったのでしょう。この2度目の入院でIVHとドレナージ2本(早期に1本抜けて娘さんの痔ろうの程度にはちょっと足りなくなった)を入れてCRP1.0くらいまでに下がりましたが、そこからなかなか下がりませんでした。

ちなみに中心静脈栄養(Intravenous Hyperalimentation、略してIVH)とは、高カロリーの栄養輸液を体内の中心に近い太い静脈から継続的に入れる方法です。ドレナージとは、体内に貯留した血液・膿・浸出液を体外に排出する医療行為のことです。その際に「ドレーン」という管を使用され様々な用途に合わせた種類があります。

主治医からは、短期間での再燃ということでクローン病の活動性が高いと判断され、痔ろうにはレミケードが良く効くとの事で、レミケードと免疫調節薬への薬の変更を勧められたそうです。1)レミケード投薬前に膿瘍を叩く前処置でステロイドを投与する事、2)レミケード投薬後は感染力が弱まるので結核の予防薬も平行して飲み続ける事等々・・・。母親から聞くまで詳しい説明は一切されなかったため、何度か治療の説明を質問されたそうです。

しかもレミケード使用に付随する物を一括りとして考えるには一つ一つが重すぎました。小出しにして大事なことを出してくることにも驚愕されました。しまいには、レミケード投与の予後について主治医に伺ったところ 10年後は研究中と正直な答えに母親は唖然としました。さらに「効かなくなったら、ヒュミラもあるし、その後も治験がある。レミケードが嫌なら、抗体の出来ないヒュミラからでもいいよ。」と平然と言ったのです。10代初めの子供に難病だから仕方ないと大量の薬を出すのか?さらに大量の薬を一生飲み続けて膵臓や肝臓の機能は大丈夫なのか?駄目なら突然中止して、他に手は無いとか言って手術とか言われたりするのではないか?など、母親は泥沼にはまった様な恐怖と心の叫びを叫びそうになるのを必死に飲み込んで、専門書から薬と治療法とデータ、インターネットから患者さんの情報を調べました。

切羽詰った状況のなかでG-キャップ(白血球除去療法)が痔ろうには効かないと言われましたが、痔ろうに効いたという症例を見つけてドレナージのやり直しとG-キャップを強く希望し週に2回で10回施行されました。娘さんの複雑痔ろうの内口が閉じて単純痔ろうとなり、CRPも(-)となって退院されました。

その後、松本漢方クリニックで治療を受けていた当時高校生の娘さんを持つお母様のブログを見つけ、数回やりとりされ、実際に松本漢方クリニックへ通院している人が現実にいることを確認できたとのことで退院後すぐに松本漢方クリニックを受診したと面白いことをこの母親は言っていました!アハハ!当時、ホームページに当院で治療を受けていた患者の大量の手記が掲載されていたのですが実在しないと思ったのでしょうかね!ちゃんと手記を読んだらそんなことは思わないでしょう。

松本漢方クリニックでは鍼治療、痔ろう用の軟膏2種と漢方薬3種類、自宅で据える用のお灸に漢方風呂薬を処方しました。便の形状は直ぐに改善され、排膿は変わなかったですが、ドレナージしていた外口の赤みは直ぐに消えました。ペンタサは1ヶ月の段階を踏んで止めてもらいました。リバウンドがなかなか出ませんでしたが、G-キャップの効果が効いていたために免疫が上がらなかったのでしょう。

余談ですが、クローン病の診断と治療の本には「ペンタサについて臨床的症状が改善を認めている症例は多数あり、効果が期待出来ると思われるが、ペンタサには寛解導入、維持療法とも、有効性は確認出来なかった。その効果には疑問の点がある。」と書かれています。免疫学の先生の出されている本にも、「急性期の一定の期間、薬を使用するのもやむをえないが、早い段階で服用を止めないと難治化する。ステロイドを使用している場合でも、服用中止後は半年から1年位の間に何度かリバウンドを繰り返すが、治癒反応ですから心配いりません。免疫力が高くなれば治癒に向かいます。希望を持ちましょう。」と書かれていました。

実際、寛解期の初回退院から2回目入院までの9ヶ月、娘さんが飲み続けたペンタサは確かに寛解維持の助けになっていませんでした。しかし、初回入院時にレミケードを使用されず、小児だからとIVHを中心に治療したことは不幸中の幸いでしたね。

便の形状が固形に変わった頃、一年以上エレンタールと低残渣食で酷使されてこなかった肛門は裂肛となり、便器が赤くなる程出血されました。細い便でも、肛門は耐えられなかった様です。ステロイドが入っていない軟膏を排便毎に次の排便をカバーする為に入れていました。2週間程のスパンで出血が消えては、軟膏中止の繰り返しが2、3ヶ月程続きました。裂肛も繰り返すうちに傷が瘢痕治癒し肛門が狭窄してしまう場合もあります。

肛門病変のオンパレードになりました。しかし、完治には免疫を自然に戻すのみです。

当院での治療を始めて3ヶ月が過ぎG-キャップの効果も消えた頃、裂肛の出血も暫く見なくなって、もう大丈夫とちょっと過信していた年末年始。食事を急に普通にしてしまったところ、少し痔ろうに硬結を認め、便潜血が+になって再燃してしまいました。これがリバウンドだったのかもしれません。

それからは慎重に進めることにされました。当院で治療を始めて2年後、毎日漢方薬を飲み、鍼は1週間に一度程近くの治療院で行っていました。お灸は1年間位続けました。娘の腸は2年前にリセットされ、赤ちゃんに戻ったと考え、ダメな物は暫くして再度試す等、食事は2年かけて徐々に進めてきました。エレンタールも徐々に減らしていきました。

今はお蔭様で、揚げ物は控えていますが、それ以外は焼肉・カレー・ピザ・ラーメン・ケーキ・アイス・チョコレート・スタバのフラペチーノを家族や友達と普通に食べています。

娘さんの痔ろうは複雑から単純痔ろうになったとはいえ、高位にある深く大きい物でした。近くの大きい肛門科の病院で良い状態の時に3本から2本へ減らしてみた事もあるとのことでしたが、排膿がうまくいかなくなり、重力に従い膣の方向に向かって拡大してしまいました。炎症が波及すると、膣ろうに至るのは早く、膣ろうはそれこそ閉鎖しづらくなる事も学んだ親子はしっかりとしたドレナージが必要と判断し、1年半前からクローン病の痔ろうの症例数の多い外科で3本の太いドレーンにやり直し、3ヶ月から6ヶ月に一度、ドレーンの入れ替えと共に排膿の邪魔になる不良肉芽を掻爬して少しずつ小さくしていきました。

これも余談ですが、痔ろうはレミケード使用者と未使用者の3年半後の閉鎖率には違いがなかったとのデータもありました。

娘さんがMRI等を久々に検査した結果、裂肛も消えて良好で腸の広がりも良く柔らかい状態に改善されていました。クローン病の症状は終息傾向にある様で、痔ろうも外口近くの浅いところのみになってきていました。今回でドレーンは1本抜いてみることにし、残りあと2本も1年位で取れると外科の医者から言ってもらえましたそうです。漢方風呂にきちんと入っていれば、あともう少しで治るでしょう。

2回目の入院の際に再燃していなかったら、危機感もなくペンタサを飲ませ続け、自らの免疫に蓋をさせて、血液検査には出ない程度でも少しずつ病状を進ませ、低残渣低脂肪食で動かさない腸(腸は筋肉です)は薄くなり、硬くなっていたかもしれません。実際、大腸摘出手術を受けた患者の腸はペラペラで穴が開きそうでした。まあ、食べなかったからペラペラだったかもしれませんが。「一生治らない」と言われているクローン病の定義。この定義を大多数の方が最初に聞かされ、信じて、治ることを諦めています。10年20年後に、今この常識になっている定義は変わってくれているかもしれませんが、現患者の病状は、10年後には変わってしまっています。

クラススイッチが無事に起きてニキビができ、便は固形便で少し太くなりました。中堅の進学校に通い、ストレスを抱え込み過ぎないようにして元気に過ごせるようにまで良くなりました。無事に当院の治療を終了されました。

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