潰瘍性大腸炎・クローン病 症例報告

潰瘍性大腸炎、クローン病完治の症例報告Part45(コメントなし)更新2022.7.22

投稿日:2022年7月20日 更新日:

症例報告98例目

完治された病名1)潰瘍性大腸炎

患者:52歳、男性

この患者さんは発病から約1ヶ月、潰瘍性大腸炎と診断されてからだと約2週間で松本漢方クリニックを受診したため、松本漢方クリニック以外での治療経過があまりありません。おかげで病状は順調に快調し、約3ヶ月で完治されました。

2015年12月上旬、腹痛・下痢から始まり、そのうちに治るだろうと放置されましたが、粘血便が出だし、12月16日に消化器内科を受診。その時は病名を言われず整腸剤のビオフェルミン、胃腸薬のトリメプチンを処方されるも効果はありませんでした。

12月21日に大腸内視鏡検査。直腸S状結腸あたりに炎症が有り、12月28日生検結果により潰瘍性大腸炎と診断される。ペンサタ座剤を処方され、2週間使用するもほとんど効果は見られなかった。

元々現代西洋医療には懐疑的だった患者さんと奥さんは正月にネットで当院のHPを見つけました。松本理論や当時掲載されていた患者さんの手記を読んですぐに受診することを決められたそうです。東洋医学、伝統医療、民間療法等に関心を持っていたため、松本理論には非常に惹かれるものがあったからです。

2016年1月12日、電車内での便意のことが気がかりで別医院にて処方されたアサコール錠を昼食後3錠を1回服用してから、午後に松本漢方クリニックを受診されました。その後、アサコールは廃棄されました。

鍼灸、アシクロビル錠、フラジール(フラジールは途中で中止)、漢方薬の服用を指導しました。初診日、初めて鍼灸治療を受け、処方したアシクロビル3錠・フラジール1錠を服用され帰宅すると、その夜からこれまでに経験したことのないような強烈な腹痛(直腸を搾り出すような痛み)と大量の下痢症状が始まりました。早速リバウンドが起こったのです。1日半くらい続いた後、今度はさっきの痛みや下痢が嘘のようにピタッと治まりました。それ以降、便が固まりにくい状態ではあるものの、他には問題はなく、通常の生活を送れるようになっていました。

2回目検査結果でGOTとGPT数値が少し高くなっていましたが全く問題ないことを患者さんに説明しました。実際に次の3回目の血液検査では下がっていました。リンパ球は43.8まで上がりGOTは27、GPT39と基準値に戻っていました。(初診1月12日時点でリンパ球25、GOT19、GPT13)アトピーは出なかったが3月中旬に便秘となり下痢止めの断痢湯を止めていました。

またこの時、サイトメガロウイルス感染が判明。前回検査結果で判明のEBウィルス感染と合わせて、初めて聞くウィルス名に患者さんは不安を覚えましたが、ヘルペスウィルスは殺しきる事はできないから数値を気にする必要はないと説明し、不安を取り除きました。

またHPを読むだけでもそうですがそもそも病気とは何か?というところから学ぶことができ、病気を治す理論を無償で掲載しています。「人の喜びを自分のことのように喜びなさい」「ある程度は諦めて、受け入れる」など私自身の経験も載せて説得力があるのでしょう!アハハ!

そして4月12日の血液検査結果に問題が見当たらなかったので患者さんに完治宣言をしました。それからは当院へ来られていません。嬉しい限りですね!アッハッハッハ!!

症例報告99例目

完治された病名1)潰瘍性大腸炎

患者:43歳、女性

この患者さんは松本漢方クリニックで治療を始めてからわずか4ヶ月程で14年間患った潰瘍性大腸炎に完治の兆しが見えました。

2001年8月、潰瘍性大腸炎と診断を受けました。当時、大阪の医療機関で受付業務をしていた患者さんは内向的な性格で、多いときに1日千人が来所される職場での接客業は毎日緊張の連続でいつも自分に自信が持てず、コンプレックスのかたまりだったそうです。自信をつけるには行動するしかないと休日も専門学校に通ったりされていました。とにかくスケジュール帳を予定でうめることで自信に繋げようとしていました。平日は毎日残業、休日は専門学校、一人暮らしだったので食事はファーストフード中心など、毎日の強いストレスに対抗しようと患者さんの体の中で大量にステロイドホルモンを出し続けていたのです。

そんな生活の中、潰瘍性大腸炎の症状が出始める前に下半身に蕁麻疹ができて、他院で処方された薬が劇的に効き、症状がなくなったことがあったそうです。処方された薬はおそらくステロイドが入っていたのでしょう。このあたりで逆クラススイッチが起こり、潰瘍性大腸炎の症状が起こるきっかけになったのです。

トイレに行っても、行っても、治まらない残便感。強い便意があっても粘液や粘血便しか出ないのに我慢がほとんどできず、間に合わないことも何度もありました。トイレに響いてしまう排便の音、年一回の拷問のようなCF(大腸内視鏡)。さらに患者さんの職場のトイレはお客さんと同じなのに個室が1つしかなく、音を気にしたり長く入っていられなかったりと本当に辛く大変な日々を過ごされていました。

また患者さんの職場はほぼ病院だったのですが、クローン病を患っている医師がおり、その医師と病気について話す機会が何度かあったそうです。話の中でも、「潰瘍性大腸炎は気の毒な病気だ」と言われ、医師も自分で治せないのだと、やっぱり潰瘍性大腸炎=難病=完治しないと刷り込まされてきました。

ほぼ毎日サラゾピリンを服用し、炎症が強い時は、ステロネマも使用して症状を抑えて生活されていました。その間、何度か自己判断で薬を止めたことがありましたが、ひどい蕁麻疹や粘血便を起こして驚き、主治医のもとに駆け込んで叱られ、結局は元の服薬生活に戻りました。またインターネットで調べて訪れた専門病院での医師の第一声が「まず言います。潰瘍性大腸炎は治りません。治そうと思わないで下さい。」と、患者さんの中で病気と一生うまく付き合っていくしかないと受け入れていく考えになりました。

それから40歳で結婚し、他県へ引っ越すことになり、19年勤めた会社を退職。会社を辞めればストレスが減り、病気が完治するかもしれないと予想され、薬を自己判断で半分に減らしてみると症状が悪化することなく過ごせていました。ステロイドホルモンを出さないようにストレスを溜め込まないようにすることは、ステロイド剤を止めるよりもはるかに良くなってくるのです。それぐらいステロイドホルモンは免疫を抑制する力が強いのです。そして、病気をもっての高齢出産でしたが、子供も健康に産まれました。出産後も調子がしばらく良かったのですが、子供が一歳になる頃からだんだんと症状が戻ってきました。主治医に相談すると、薬の量を増やして様子をみるよう指示されました。しかしこの時、初めて何か違うという気持ちを持ち、薬を増やすことで症状を抑えるのではなくて、何か自分にできることで落ち着かせる努力をしなくてはいけないと考えました。そこで食事療法や有効なツボなどを調べようと「潰瘍性大腸炎完治」と検索をかけました。そして、松本漢方クリニックのHPにたどり着いたのです。すぐに来院したいと思い、家族にも当院のホームページを見てもらい、そして来院することとなったのです。

初診から早速、漢方を飲み始めました。サラゾピリンの服用も止めました。

翌日、大量の泥状便が一週間ほど続き、その後軟便が出始め、血も混じらなくなりました。

しかし、そこから粘液が混じるようになり、漢方服用から一か月後に粘血便に変わっていきました。夜中も便意で目を覚まし、粘血便が頻繁に出るようになり、どんどん症状が酷くなっていきました。外出先で間に合わず、漏れてしまうことも何度かありました。一日に10回以上、トイレに駆け込む日々が3ヶ月程続きました。患者さんは結婚されてからは専業主婦なのでゆっくり治療することができました。また旦那さんは仕事で疲れている時もお灸と漢方の煮出しを手伝ってくれました。二歳になる息子さんも患者さんがトイレに入っている間、おとなしく待っていてくれました。

「何か不安だったり怖かったら電話しておいで」と診察時には必ず言って握手し治療によって生まれたストレスを軽減させました。また当時掲載できていた多くの患者さんたちによる闘病手記にも助けられました。『クラススイッチをして免疫寛容をおこすんだ!リバウンドなくして完治なし!』と、呪文のように唱え、お腹をなでながら、くじけないように気持ちを奮い立たせていたそうです。『明けない夜はない、夜明け前が一番暗い・・・』など、励みになる言葉を探して、ノートに書きだしたりもしていました。そして、少しずつ、便意が我慢できるようになり、粘血便のみが出ることも少なくなり、形のある便が混じるようになり、乾いたガスがでるようになってきました。 11月の終わりごろには、一日10回以上だった便が、4~5回となり、血便もおさまりました。そして完治に近づいてくると一日2~3回普通便が出るまでになりました。腹痛は少し残っていましたが、次はアトピーとの戦いとなる日が近いのかもしれません。しかし、完治が見えてきて、潰瘍性大腸炎になったからこそ考えたこと、知ったこと、出会えた場所、出会えた人など、病気から本当に沢山の大きなものを得たと、潰瘍性大腸炎は幸運の病気だったと思えるほど普通の生活を送れるようになっていきました。現在では完治されたため、当院には通院されていません。

症例報告100例目

完治された病名1)潰瘍性大腸炎

患者:56歳、男性

・松本漢方クリニック受診までの経緯

平成18年5月、職場で脳梗塞を発症し、入院されました。幸い軽度の梗塞であったため、3週間ほどで退院できましたが、以後、血圧降下剤2種類と抗血小板剤(血が止まらなくなる薬)を毎日服用することになりました。そして9年以上に亘り同じ薬を服用し続けました。

平成23年9月、人間ドックで便潜血が陽性であったため、大腸内視鏡検査を受けた結果、潰瘍性大腸炎(全腸型)との診断を受けました。診断を受けた時点(平成23年9月)で、ネット上で当院の存在を知っていましたが、当時の特定医療費(指定難病)制度によって薬代は無料だったのと、遠方だったため、近隣の医療機関で一般的な対処治療を受けることを選択されたのです。

重症には至っておらず、ステロイドは使用されませんでしたが、ペンタサを1日8錠服用することとなり、以後4年近く服用を続けました。ペンタサ服用から1年を経過した頃から、発作的な便意が酷くなりました。長時間の会議や外出が苦痛となってきたので、主治医に相談し、平成25年2月からロペミン(強力な下痢止め)を会議や外出の前に服用するようになりました。

その後、トイレに間に合わないことが起こり更に悪化し、ちょっとした外出等も苦痛となりました。主治医に相談した結果、過敏性腸症候群を併発しているという診断を受け、平成25年10月よりコロネル(便の硬さを調整する薬)を1日に3錠服用しましたが、効果は十分でなく、平成26年1月よりコロネルをそれまでの倍の6錠服用するようになりました。以後、排便回数は多いものの、なんとか想定の範囲内に治まりました。

平成26年10月下旬から平成27年2月中旬にかけて仕事が繁忙となり、ストレスが蓄積され対抗するように患者さんの中の副腎皮質からステロイドホルモンを出し続けて免疫を抑えていたので症状の悪化は起こりませんでした。そして、仕事が一段落しストレスが軽減され同時にステロイドホルモンも減り免疫が再び働き始めたので出血が始まりました。2月下旬のことでした。以前は2~3日で止まっていた出血が、1週間以上続くため、やむを得ず過去に処方を受けストックしていた痔の軟膏(ネリプロクト軟膏)を使用し、出血を止めました。

勤務先の決算作業等が一段落した平成27年6月中旬より、症状が再び悪化しました。今度は腸にガスが溜まるようになり、頻繁にトイレに駆け込むようになり、トイレではガスとともに体液(リンパ液)が出ました。就寝中も2~3回トイレへ行くようになり、排便時の出血も始まりました。この時の出血時にも痔の軟膏を使用していました。

平成27年7月下旬、年1回の大腸内視鏡検査を受けました。これまでで最悪の状態(直腸からS字結腸まで連続したびらん)となっており、このまま酷くなるようであれば、強い薬(ステロイド)を使うと主治医より示唆されたとのことです。ガスと体液の件を相談するも「腸の中がこのような状態では、ガスも体液も溜まるでしょう。」と一蹴されました。

この検査によって当初よりステロイド使用への強い抵抗があったこと、平成27年1月から薬代に自己負担(2割)が発生していたこともあり、ステロイドを使用せず完治させる松本漢方クリニックで治療することを決断したのです。

・松本漢方クリニック初診

8月2日よりペンタサの服用を自主的に止め、問診票の作成に取り掛かりました。問診票はB5サイズ4枚に及ぶ詳細なもので、作成に3日ほど要されましたが、薬剤の使用歴等、これまでの自分を振り返るとともに、現状を認識するのに良い機会となったそうです。問診票完成後、初診の予約と鍼灸治療の予約を入れました。

勤務先に休暇届を提出し、初診まで私が書いてブログに掲載している「潰瘍性大腸炎の完治の理論と根拠」を頭に入れ、平成27年8月12日、奥さんと一緒に松本漢方クリニックに到着しました。待ってもらうこと1時間半、やっと患者さんの名前を呼ぶことができました。対面の診察と並行して遠方の患者さんのために電話診療を行っているのですぐに診察ができなかったのです。今は激減してしまいましたが、昔は多くの人が受診されていたので1時間待たせてしまうなんてざらでした。電話診療が終わったのを見計らって、挨拶と自己紹介を早々にすまし「わしが治したるから安心しなさい!」と激励を飛ばし、握手を交わしました。患者さんを治すのは患者さんの免疫自身です!私はそのヘルプをしているにすぎませんがね!アハハ!

その後、提出してもらった問診票と過去の血液検査の結果を見ると、やはり誤った治療を受けてきた事により免疫がかなり落ちており、1年前の時点で既にリンパ球の割合が21%まで落ちていました。

これからは免疫を上げる漢方の飲み薬と入浴剤、お灸を始めてもらいました。お灸は奥さんの協力が必要であり、病気を治すのは自分(の免疫力)で、私はその手伝いをするだけと力強く説明しました。何か困っていることはないか確認すると、腸にガスと体液が溜まり苦しんでいることと、痔を持っていたため、それぞれに効く薬を出しておきました。最後に約10年脳梗塞のアフターケアで飲み続けている血圧降下剤2種類と抗血小板剤ですが、血圧測定で(最高)105mmHg(最低)55mmHgと低血圧になっていたため、薬を止めることに落ち着きました。問診終了後、血液検査のための採血を受けてもらい、漢方風呂について説明を受けてもらった後、鍼灸治療を受けてもらいました。お灸の説明を受けてもらった後、生まれて初めての鍼灸治療を受け、若い女性の先生ということもあり、特に緊張もせず、心地良い施術を受けられたそうです。鍼灸治療終了後、鍼灸セットと処方した薬を受け取るとともに漢方薬の煎じ方の説明を受けてもらってから帰宅してもらいました。

患者さんが行っていた治療の流れを以下に載せます。

①平日
5:00   奥さんが漢方薬を煎じる(所要時間40分)

6:15   起床→血圧・体温を測定し記録

6:20   食前の煎じ薬を服用→朝食→食後の煎じ薬及び内服薬を服用

7:30   出勤(煎じ薬を入れた保温マグカップ2本を持参)

12:00   食前の煎じ薬を服用→昼食→食後の煎じ薬及び内服薬を服用

18:30   帰宅

18:45   食前の煎じ薬を服用→夕食→食後の煎じ薬及び内服薬を服用

19:30   入浴

21:00   お灸(入浴後1時間空ける必要あり・所要時間45分)

23:00   内服薬を服用後、就寝

②土・日・祝日
平日のスケジュールに漢方風呂が加わります。準備に1時間、入浴に2時間の合計3時間が必要でした。

下痢止めと腸管の炎症をとる2種類の漢方煎じ薬をそれぞれ食前食後に1日3回服用するように指示しました。食前に飲んでもらった下痢止めはかなり苦く最初は飲みにくかったそうですが、直ぐに慣れていきました。飲み始めた翌日には泥状の便が軟便となりました。その後、飲み続けていくと、徐々に便は固形化していきました。食後の腸管の煎じ薬は食前のものほど飲みにくくなかったそうですが、飲んだ後に口内が少しヒリヒリされました。香辛料が入っているような感じだったそうです。出血がほとんど無くなっていきました。

初診時に腸にガスと体液が溜まる症状を改善するため、腸管の悪玉菌であるウェルシュ菌を殺すフラジール(抗生剤)を3食後及び就寝前に1錠処方しました。服用してすぐに効果が現れ、2週間でほとんど症状がなくなり、3週間で服用を終了しました。

“直腸からS字結腸まで連続したびらん”と不快な症状“ガスと体液(リンパ液)”はウェルシュ菌によるものでした。詳しく説明した「ウェルシュ菌について」はここです。

初診時の血液検査の結果、単純ヘルペスのEIA価が178.4(基準値2.0)、水痘帯状ヘルペスのEIA価が56.6(基準値2.0)と異常に高かったため、アシクロビル錠(抗ヘルペスウイルス剤)を開始しました。アシクロビルはヘルペスウイルスの増殖を抑える薬で、殺すことはできないので自分の免疫で退治することになります。そのため、フラジールほどの即効性はないものの、服用を続けるうちにじわじわと確かな手応えを感じてきます。

またヘルペスウイルスには毒性を発揮するが、感染した人には安全な画期的な薬であり、その発見はペニシリンの発見にも匹敵するほどです。アシクロビルを発見した研究者は、アシクロビルの開発を含む一連の功績により、1988年のノーベル医学生理学賞を受賞しています。ですが抗ヘルペス剤が保険適用にならないのは本当に残念ですね!アハハ!

お灸も最初の1ヶ月は頑張って毎日続けられました。体の前面のツボ6箇所(天枢2、血海2、足三里2)、背面のツボ2箇所(大腸兪2)に灸(施術)をしてもらい、着火後6分で1セットとし、これを3セット行ってもらいました。前面と背面は同時にできないので、前面18分、背面18分かかり、灸の取替え時間を含めると45分程度必要です。これを毎日行うのです。大変でしょうがやってもらいました。

施術後、お腹が温まった感じがし、お尻がピリピリとむず痒くなりました。漢方薬と同様に劇的な効果はありませんが、体が温まり、免疫力が高まっていくことを実感できました。しかし、食後は1時間、入浴の前後は1時間空けてから行う必要があるため、早起きして漢方薬を煎じている奥さんに負担をかけるのも気が引けていき、1日置き、2日置きへと徐々にペースダウンしていきました。また、施術中は換気のため窓を開けるのですが、季節が秋から冬へと移ることで外気が冷たくなり、お灸をしているのか体を冷やしているのかわからなくなってきたこともありました。12月13日に3回目の鍼灸治療を受けた際、この事について鍼灸師に相談すると、火を使わないお灸の併用等を含めて検討した結果、患者さんは特に足の冷えが気になるので、膝から下の施術箇所を2箇所から6箇所に増やして平日行い、お腹(天枢)と腰(大腸兪)は土・日曜日に行うということになりました。

8月15日、初めての入浴。脱水状態になってはいけないと、スポーツドリンクで水分を補給しながら、湯船に入ったり出たりしました。患者さんは比較的長風呂でしたが、さすがに2時間は長く感じられ、体重は入浴前69kgだったのが入浴後66.5kgになり、2.5kg減少してしまいました。翌日も若干湯温を下げて抑え目に入浴するも、入浴前67.5kg、入浴後65.2kgでした。電話診察で漢方風呂の相談を受け、無理して長湯せず、ゆっくりリラックスして入ってもらうように言いました。その後は、2時間の入浴にもすっかり慣れ、湯船に浸かって軽い筋トレをしたり、ツボ・マッサージをしたりしながら、ゆったりとした時間を過ごせるようになりました。

また痔の調子が悪い時、就寝前と出勤前に塗り薬の中黄膏を患部に塗るように指示しました。お灸の際の接着剤として使用している塗り薬の紫雲膏も併せて塗るように言っていましたが、中黄膏だけでも1~2日で痔の症状が軽快しました。

1ヶ月ほど自宅周辺で一番大きい診療所で週1回、治療受けておられましたが、当院ほど効果は感じられず、結局通わなくなりました。

初診時に脳梗塞のアフターケアで服用していた血圧降下剤2種類と抗血小板剤(血が止まらなくなる薬)を止めましたが、その代わりに毎日血圧、脈拍、体温を測って記録し、異常があれば相談するよう指導しました。以後、起床後と就寝前の1日2回血圧と体温を測定し記録してもらっています。体重、BMI、体脂肪率等は以前よりある程度管理しておられました。近時の状況は以下の通りです。

血圧は、起床後の方が低く、(高)130mmHg前後(低)75mmHg前後、就寝前は(高)140mmHg前後(低)85mmHg前後。脈拍も起床後の方が少なく、70(回/分)前後、就寝前は70~90(回/分)で時々不整脈があり。不整脈の原因はヘルペスです。体温は、起床後の方が高く、36.3~36.7℃、就寝前は35.8~36.3℃です。体温は36.5~37.0℃が良いとされています。就寝時間が遅めなので体温が下がってしまっているのかもしれません。早寝早起きを心がけてもらいました。

体重は、一時65kg前後まで落ち込みましだが、最近は67kg前後で落ち着いてきました。身長が175cmなので、BMIは22前後、完全な標準体重です。ちなみに、昨年の今頃の体重は73kg前後でした。体重の維持に漢方風呂が大いに役立ったそうです。数カ月は、月~金曜日で68kg前後へと増えた体重が、土・日曜日の漢方風呂入浴を経て、月曜日の朝食後には66k前後後に減るということを繰り返しました。

当院での血液検査にて、CRPは1回目0.12㎎/dl、2回目0.08㎎/dlでした。1回目は過去最悪だったようで以前の病院ではステロイドの使用を示唆されていました、検査結果としては基準値以下でした。2回目はかなり症状が改善された状態であり、1回目より0.04㎎/dl下がりました。リンパ球は1回目では17.0%と基準値以下で、2回目も21.6%と低水準でした。加齢によりリンパ球の産出は減っていくので、比率を上げるのに時間がかかりますが、『病気を治すのは自分の免疫である』を肝に銘じて精進されていました。血沈(赤血球沈降速度)は1回目12と基準値をオーバー、2回目は2となり基準値に納まりました。数値が改善したのは、初診後の治療により症状が改善したからです。コルチゾール「糖質コルチコイド」と呼ばれる成分の一種で、副腎皮質から分泌される「副腎皮質ホルモン」の一つです。主要栄養素の代謝に関与する人体にとって欠かすことのできないホルモンですが、副腎皮質ホルモンとしてはかなり強い作用を発揮するステロイドホルモンであります。1回目19.8と基準値をオーバー、2回目は9.8となり基準値に納まりました。ストレスの影響を受け、分泌量がコントロールされており、1日の中で分泌量が大きく変化するホルモンのため、数値の変動が大きいのです。患者さんの場合は1回目は症状が悪化していたことや、初診による不安等からストレスがあり、2回目は症状が改善し2度目の受診ということでストレスも下がり、数値が向上したのです。

いずれにしても、人間は強いストレス状態が長く続くと、過剰に糖質コルチコイド(ステロイドホルモン)を分泌し、外部からステロイドホルモンを取り入れたのと同じような状態になるのです。患者さんの潰瘍性大腸炎が発覚したのが、子会社に出向して間もなくのことでした。親会社でストレスを抱え仕事をしていた間は、体内で過剰に分泌されるステロイドホルモンの抗炎症作用により発症せず、子会社に出向したことによりストレスが減り、ホルモンの分泌が減ったことから発症したものだったのです。外部からステロイドは取り入れていなくとも長期間体の内部で必要以上に分泌すると潰瘍性大腸炎やクローン病を発症するケースもあるのです。患者さんは自分で自分の免疫力を低下させていたのです。

ACTH、副腎皮質刺激ホルモンで視床下部-下垂体-副腎皮質系の疾患の診断と病態の解明に不可欠な検査です。副腎皮質機能低下症の原因検索やステロイド長期服用患者の副腎皮質の委縮状態を推定するのに有用であり、常にコルチゾール値と対照して異常を考える必要があります。基準値7.3~63.3のところ、患者さんは1回目10.2、2回目7.3と、少し低めでしたが基準値の範囲内でした。

単純ヘルペス、水痘帯状ヘルペスの検査値はともに、1回目、2回目も異常な高値でした。免疫力が低下していくのに乗じてヘルペスウイルスは増殖していったのです。そして、ヘルペスウイルスは殺しきることができないので抗ヘルペス剤で増殖を抑えながら、自身の免疫を高めていく以外に方法はないのです。依然高値ではあるものの、2回目の検査値は1回目に比べて低下しました。リンパ球比率が17.0%から21.6%に向上したことが検査値の低下につながったのでしょう。

4年前に潰瘍性大腸炎が発覚して以降、食生活をある程度コントロールし、適度な運動も継続していたこともあり、一昨年、昨年の人間ドックの血液検査の結果は『全項目基準値内で異常なし』とのことでした。しかし、年1回、特定医療費(特定難病)受給者証更新のため、CRP、白血球分析等の検査を受けると、主治医は結果を見ても、いつも「CRPも正常だし、特に検査結果に異常はない。」と言って首をひねるばかりだったそうです。

そういったことから患者さんは、血液検査の結果に異常がないのに何故潰瘍性大腸炎なのだろう?という疑問をずっと抱えていました。そして、その疑問は当院で受けた血液検査によってやっと払拭されたのです。

・当院による治療を始めて4ヶ月半後

初診時の腸内のガス、体液がでる不快な症状は大幅に改善され、腹部の膨満感、痛みはほとんどなくなりました。便の形状は固形中心で、前日の食べ物や、当日の体調により軟便、泥状便が混じりました。出血もほとんど無く、月に131~2回の微量の出血は痔によるものでした。排便回数は治療開始前に比べ半減したものの、食事を摂ることにより不安定になり、1度の排便を数回に分けて行っていました(朝3回前後、昼2回前後、晩1回前後)。

クラススイッチがなかなか起こらなかったとのことで、後頭部から耳の後ろに湿疹ができた時は期待するも、漢方風呂に入るときれいに消えてしまいました。

初診時の自覚症状は、気になる順番で、肩痛、耳鳴り、寝汗、異常な汗かき、倦怠感などでした。アシクロビルを服用し始めてから4ヶ月経過すると激痛が走っていた肩痛は、多少違和感がある程度にまで改善されました。耳鳴りは、多少気にはなるものの、以前と比べ半減したとのことです。寝汗、汗かき、倦怠感もかなり改善されました。

血圧降下剤を服用しなくとも、若干不整脈はあったものの、血圧、体温に問題はありませんでした。体重は、BMI22前後で推移しており、一般的には理想的な状態です。倦怠感等も軽減し体調全般が改善されてきていると患者さんは言っていました。

現在では、潰瘍性大腸炎もヘルペスも改善され、もう当院には通院されておりません。

-潰瘍性大腸炎・クローン病, 症例報告

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