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Herpesによる神経炎症による老廃物をミクログリアはどのように処理するのか?更新2022.4.8

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Herpesによる神経炎症による老廃物をミクログリアはどのように処理するのか?

基本的には末梢神経にいるマクロファージと同じ仕事をしています。ミクログリアはマクロファージと同じく様々な受容体を発現しており、脳のherpes感染や外傷などの際には第一の防御機構として働く。Herpes感染の際には、ヘルペスウイルスの外膜であるエンベロープの糖蛋白などがミクログリアに貪食されこの糖タンパクを認識するミクログリアが持っているToll様受容体(TLR)に結合しミクログリアは活性化されます。DAMPs(ダメージ関連分子パターン)(ここを読んでください。)なども同様にToll様受容体を介してミクログリアを活性化させる。DAMPs(ダメージ関連分子パターン)とはヘルプスによる神経細胞死や神経細胞の損傷などの結果,侵害されたり死んだ細胞のごみや断片のくずであります。ヘルペスが感染した神経細胞の危機を知らせるアラームとして機能している。DAMPsは,神経細胞のタンパク質から核酸までの細胞が崩壊して細胞外に放出された多岐にわたる細胞の成分です。

さて末梢組織で感知された痛みの刺激情報は最初に痛みを伝えるので一次ニューロンであるAδ神経線維とC神経線維の二種類の神経線維で脊髄後角に伝達されますが、Aδ線維とC線維は脊髄に到達する部位が異なる上に伝える情報も異なり更にこの情報を伝える二次ニューロンも異なります。又、Aδ線維で伝わる痛みは初めに速く脳に伝わる痛みなので一次痛と呼びC線維で伝わる痛みを一次痛より遅れて伝わるので二次痛と呼びます。

Aδ線維が脊髄後角に入る部位は、二次ニューロンである特異的侵害ニューロン(NSN)とシナプスを形成できる脊髄後角のⅠ層・Ⅱ層・Ⅴ層三つの層に入ります。特異的という言葉が付くのは傷つけられて生じた痛みだけを脳まで伝えてくれる特定の神経細胞(ニュウロン)とだけシナプスするからです。一方、C線維は脊髄後角のⅠ層・Ⅱ層・Ⅳ層・Ⅴ層・Ⅵ層の五つの広い範囲に入り、Ⅰ層・Ⅱ層・Ⅴ層にある二次ニューロンである特異的侵害受容ニューロン(NSN)に加えてそれ以外のⅣ層・Ⅵ層にある二次ニューロンともシナプスします。従ってC線維がシナプスする二次ニューロンを広作動域侵害受容ニューロン(WDRN)と呼ぶのです。

二次ニューロンである特異的侵害ニューロンの英語の略字であるNSNの元の英語はnoci‐ceptive specificでありnoci‐ceptiveのnociは「のうし」と発音し意味は「障害の」や「痛みの」でありceptiveは発音は「せぷてぃぶ」で意味は「受容体の」でspecific は「特異的な」でneuronは神経細胞という意味です。合わせて特異的侵害受容ニューロン(NSN)となります。

一方、二次ニューロンである広作動域侵害受容ニューロンの英語の略字であるWDRNの元の英語はwide dynamic range neuron でありwide は「広い」でありdynamic は「活動的な」でありrangeは「領域」でありneuronは神経細胞で合わせて広作動域侵害受容ニューロンとなります。

Aδ線維は脊髄後角のⅠ層・Ⅱ層・Ⅴ層の三つの層に存在する二次ニューロンである特異的侵害受容ニューロン(NSN)とシナプスを形成します。

一方、C線維は脊髄後角のⅠ層・Ⅱ層・Ⅳ層・Ⅴ層・Ⅵ層の五つの広い範囲に入るのは二次ニューロンであるWDRNとシナプスするためです。つまりC線維はAδ繊維が入るⅠ層・Ⅱ層・Ⅴ層にある特異的侵害受容ニューロン(NSN)に加えて更にⅣ層・Ⅵ層に存在する二次ニューロンにもシナプスするのでその結果、広作動域侵害受容ニューロン(WDRN)と言われるニューロンともシナプスを形成することになるのです。

NSNニューロンは侵害性の機械的刺激に興奮しますが、弱い機械的刺激では興奮しません。

一方で、WDRNニューロンは侵害刺激だけではなく非侵害刺激にも興奮するという特徴があり、WDRNニューロンは繰り返し刺激により感受性が増すワインドアップに関わるほか、痛み刺激以外でも痛みとして伝達するようになってしまうアロディニアにも関わっています。このように、末梢組織で感知された痛みは、脊髄後角でNSNニューロンとWDRNニューロンに伝達され、そこから脳へと上行します。

アロディニアとは何でしょうか?

通常では痛みを引き起こさないような非侵害刺激(接触や軽度の圧迫、非侵害的(組織を傷害しない)な温冷刺激など)で痛みを生じてしまう感覚異常のことです。末期がん、糖尿病性ニューロパチー、帯状疱疹後、脊髄損傷などで発症する神経障害性疼痛の代表的症状の一つでもあります。

ミクログリアは諸刃の剣と呼ばれ、活性化に伴い炎症性サイトカイン、一酸化炭素、活性酸素、興奮性アミノ酸、ATPなどの神経障害因子を産出し、同時に様々な抗炎症性サイトカイン、神経栄養因子、神経保護因子をも産出する。マクロファージには炎症性に働くM1と抗炎症性に働くM2が知られることからミクログリアにも同様のサブポピュレーションが想定されるが明らかになっていない。

それではヘルペスが炎症を起こし細胞を侵害するとその刺激が痛みとして脳にまで伝わるのでしょうか?詳しく説明しましょう。

細胞の外側と内側には電位差があります

 細胞は細胞膜によって外側と内側に分けられています。細胞の外側と内側に存在するイオン分布には差があるので、全ての細胞において膜内外には電位差があります。この電位差を膜電位といいます。神経細胞の情報伝達だけでなく、ゾウリムシの繊毛の動きや、オジギソウの葉っぱが触れることによって動くことも、膜電位の変化によってコントロールされています。  

細胞内外の電位差は様々な種類の膜タンパクによって生じています。

 細胞膜は脂質二重層という構造になっていて、イオンを透過することはありません。しかし、細胞膜には様々な種類の膜タンパクが埋め込まれていて、この部分はイオンを細胞膜を越えて行き来させることができます。イオンポンプはATPなどのエネルギーを利用して、特定のイオンのみを能動輸送します。イオンチャネルはエネルギーを用いないただの通り道で、特定のイオンのみを受動輸送します。

神経細胞ではNa+-K+ポンプとK+漏洩チャネルにより静止膜電位が生じます

 神経細胞の細胞膜にはNa+-K+ポンプというイオンポンプが存在します。このイオンポンプはK+の細胞内への能動輸送とNa+の細胞外への能動輸送を行っています。3つのNa+を細胞外に排出すると同時に二つのK+を細胞内に取り込むので、細胞外よりも細胞内が電位が低くなります。また、K+はK+漏洩チャネルというイオンチャネルによって細胞外に出て行こうとします。K+が出ていこうとする力とK+を内部に引き留める力が釣り合う力により、-70mVという静止膜電位が維持されます。

神経細胞では活動電位という形でシグナルが伝達されます

 活動電位とは、何らかの刺激によって細胞膜に生じる一過性の電位変化のことです。刺激がない場合、細胞では上で述べたように-70mVという静止膜電位が維持されていますが、これが急激に変化します。ミリ秒(ms,1000分の1秒)という短いタイムスケールの間に、膜電位は一気に-70mVから50mVまで上昇します。その後、同じぐらいすばやく50mVから元の70mVにまで低下します。神経細胞ではこの電位変化という形でシグナルが伝達されます。

活動電位は電位依存性Na+チャネルが開くことによって生じます

 神経細胞が信号を受け取ると、膜電位がわずかに+の方向に動きます。この変化により、電位依存性Na+チャネルが開き、Na+が濃度差によって細胞内に流入します。これにより膜電位はさらに+の方向に動き、一気に膜電位が逆転します。これを脱分極と呼びます。神経細胞では、樹状突起で受け取った刺激が細胞体を経由して軸索上へと、次々と一方向に伝達される形で活動電位の伝導が起きます。

活動電位は局所的な脱分極が閾値を越えたときのみ引き起こされます。

 刺激を受けても活動電位が起きない場合もあります。最初に受け取った刺激が「閾値」(約-55mV)を越えない場合は、活動電位は生じません。閾値を越えれば、一気に脱分極が起き活動電位の伝導が起きます。閾値に達するか達しないかで、個々の神経細胞の反応は最大値(50mV)か、全く反応がない(-70mVのまま)かの2つに分かれます。このことを全か無かの法則と呼びます。

一気に上昇した活動電位は再び元の静止膜電位に戻ります

 膜電位が上昇すると、今度は電位依存性Na+チャネルが不活性化されチャネルが閉じます。また、電位依存性K+チャネルが開き、膜外へK+が流出します。この2つの機構により、膜電位は再び元の静止膜電位に戻ります。このあと、不応期と呼ばれる刺激に反応しない期間があります。これがなければ、活動電位が一方向に伝わりません。不応期によって活動電位の逆流が防がれているのです。

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