また後程、詳しい説明とコメントを一緒に載せたものを上げますので乞うご期待!!
症例報告1例目
治した病名:1)皮膚筋炎、2)深在性エリテマトーデス
漢方煎じ薬と抗ヘルペス剤とストレスを避ける心の在り方を変えると、疲労感がなくなり、改善されました。
患者:当時36歳、女性
この患者さんが診断された皮膚筋炎という病気は、体の様々な筋肉が炎症を生じることにより、体のだるさや痛みを感じたり、筋肉の力が入りにくくなる多発性筋炎という病気に加えて、さらに発疹を伴う場合や、筋肉の炎症がなく単に発疹がある場合に皮膚筋炎と診断されます。
この患者さんは、平成20年、背中に激しい痒みのある紅斑ができ、なかなか治らず、数が増えていくので、皮膚科を受診されました。飲み薬、塗り薬をもらい1度使うが、症状に変化がないため飲むことをやめました。その後、痒みがなくなったため放置していましたが、体調はあまり良くならない日々が続きます。紅斑以外の症状としては、頻繁にめまいがしたり、平らな場所でよくつまずいたりされていました。その頃は旦那さんが転職し、家をあける事が多くなり、家庭環境が変わった事や職場でのストレスなどが強かったそうです。
平成22年、胸の間にも赤斑ができたため、大学病院を受診し、血液検査と皮膚の検査の結果、深在性エリテマトーデスと診断されました。さらにその後、詳しい血液検査で多発性筋炎とも言われました。聞いた事もない病名に不安が渦巻いたそうです。
CRP 0.363(正常値 0.3以下)炎症や組織細胞の破壊度
CPK 1289(正常値30~172)筋肉の炎症度
AST 54(正常値8~38)肝細胞の破壊度
ALT 84(正常値4~43)肝細胞の破壊度
2人目のお子様が産まれたばかりで育児が忙しく、そこまで生活に支障がなかったため通院しながら、血液検査で経過をみていく事になりました。紅斑にステロイド軟膏を処方されましたが、使用しても変化がないため中止されました。悪化したら入院という事でしたが、授乳中だったので薬と入院以外の方法は何かないかと探す事にしたそうです。
平成22年6月、「免疫を高めると病気は勝手に治る」という本を見つけられ、本に記載された病院へ鍼治療を受けに行きます。そして本に書かれた免疫を上げる内容を色々と実践されました。具体的には、食事を玄米食に変えたり、電気針で毎日ツボを刺激することなどです。これで便秘が治り、頻繁に起こり始めためまいが少なくなり、疲労感も少し緩和されたようでしたが、CPKの値が下がることはありませんでした。免疫を高めようとよく笑うようにしたが、心の中で不安は重く深かったとのことです。
鍼治療病院の血液検査の結果
H22年
6月:AST 44、ALT 63、リンパ球32.0
大学病院の血液検査の結果
7月:CRP 0.049、CPK 1190
8月:CRP 0.070、CPK 860
10月:CRP 0.139、CPK 1227、AST 45、ALT 56
その後色々と治療法を探して、ビオチン療法、プロティンを飲んでみるなど試してみるが変化がなく、そのうち忙しい毎日で検査にもなかなか行けず放置ぎみとなりました。
H23年9月:CPR 0.135、CPK 6225
忙しい生活の中、徐々に体調が悪化し、酷く辛くなっていきました。全身が常に酷く疲労していて、腕が上がりにくく、着替えや家事など全てが困難になりました。脚は重く歩くのさえ辛い状態で、横になると何かにつかまらないと起き上がる事が出来ません。手の皮膚は常に乾燥している部分があり、激しい痒みを伴う紅斑が背中と胸の間にありました。やらなければならない事だらけなのに体は言う事をきかず、心はあれもこれもやらなければと焦ってしまいました。そんな時に追い討ちをかけるようにお父様が重病になり入院されました。心も体も限界を迎え、患者さんは病院を受診され、即座に検査入院をすることになりました。 ちなみに患者さんのCPKは6255でしたが、トライアスロン(水泳、自転車ロードレース、長距離の3種目を連続して行う耐久競技)選手の競技後のCPK数値が約10000ということらしく、日常生活で毎日トライアスロンをしているような疲労状態でした。幸い痛みはありませんでしたが、疲労感のしんどさが家族に理解してもらえない事が辛かったそうです。
血液検査、筋生検、筋電図、CTなどの検査があり、ステロイド治療(プレドニン)について説明を受けましたが、副作用があまりに多く、その副作用を抑える為にさらに薬を飲まなければなりません。またステロイドは途中でやめる事ができないと説明されました。なぜ薬を飲んで、逆に副作用で多くの病気になるのか不思議でならず、納得はできませんでした。なぜ多発性筋炎になるのかと質問すると、医師は、原因不明の自己免疫疾患だと説明されました。また、なぜ途中でステロイドはやめる事ができないのかと聞くと、急にやめると危険だからと説明しました。なぜAST、ALTも高値になるのかという質問には、これも自己免疫疾患だと答えるだけでした。なぜ普通は痛みが伴うはずなのに自分には痛みがないのかと聞くと、1割ぐらい痛みのない人もいると言いましたが、理由については答えてもらえませんでした。
結局患者さんは、多発性筋炎は治らないと言われているのに、さらに多数の副作用が増えるステロイド治療を受けることは納得できず拒否されました。ただ病室の方々や子供の面倒を見てもらっている両親に、早くステロイド治療をするよう何度も言われ、葛藤しましたが、拒否を貫かれました。もう後がなく、携帯で膠原病は治らないのか、完治した人はいないのかと安堵も検索していたところ、当院のホームページを発見されました。
治療せずに退院したい思いは医師や看護師はわかってもらえましたが、ご両親はとてもお怒りになり、理解してくれませんでした。医師や看護師にご両親へ説得をしてもらい、なんとか納得させてくれ退院することができたそうです。退院することは許してもらえましたが、必ず通院するように言われました。
入院期間中の血液検査の結果は、
H23年
11/2:CRP 0.189、CPK 4113、AST 133、ALT 231、リンパ球20.6、抗核抗体40倍
11/11:CRP 0.070、CPK 3684、AST 129、ALT 233、リンパ球24.7
11/15:CRP 0.035、CPK 3786、AST 130、ALT 220、リンパ球29.8
退院したあと、時間が許す限り何時間も当院のホームページを読み続けたそうです。ホームページの内容はすぐに信じられるような内容ではなく半信半疑でしたが、このまま家にいても治らないし、当時掲載されていたたくさんの患者の方々の手記を読み、当院の受診を決断されました。漢方薬は苦くて、長期飲まないと効かないというイメージだったそうです。患者さんは青森に住んでおられるため、受診するとなると交通費だけで多額のお金がかかりますが、お姉さんが用立ててくれたそうです。
はじめに当院にはお電話をいただきました。ホームページを何度も読んできて下さいと伝え、鍼の予約もしてもらいました。当時、筋炎の手記はなかったので、リウマチの手記を読むように伝えました。そして平成23年の12月、重い体を動かして、はるばる青森から大阪の当院まで来られました。診察中も、患者さんはひょっとしたら死ぬかもしれないという心の闇がとれなかったそうで、終始不安そうな表情をされていました。その後、予約しておられた鍼灸をしてもらい、少しずつ体が温かくなっていくと安心されたのか表情が緩やかになっていきました。
血液検査の結果は
H23 12月
CRP 0.05以下、CPK 5043、AST 143、ALT 258、リンパ球21.9、抗核抗体40倍、γG 21.0(正常値 10.5~20.3)、ZTT 15.4(正常値 2.0~12.0)、LDH 739(正常値 121~245)、 クレアチニン 0.30(正常値 0.47~0.79)、IgE 16、IgG 1768(870~1700)、単純ヘルペス 194.4(2.0未満)、水痘ヘルペス 34.9(2.0未満)
漢方煎じ薬2種類を2週間分と抗ヘルペス剤2週間分(1日4回2錠ずつ)、漢方塗り薬を2種類、漢方風呂 2回分(週1回)、家でのお灸用のもぐさを処方しました。
初診から数日後、漢方煎じ薬の服用を開始されました。一度飲んだだけで、体の奥から力が湧いてくるのが分かったそうです。それから毎日欠かさず漢方煎剤と、抗ウイルス剤を飲み、電子針とお灸、漢方風呂を続けてもらいました。漢方風呂を続けることにより、常に36度以下であった体温が、36度8分まで上がっている事が多くなりました。
近隣の病院にて血液検査をしたところ、
H24
1月:CRP 0.04、CPK 3684、AST 132、ALT 180、リンパ球28.0
2月:CRP 0.06 、CPK 3252、AST 81、ALT 141、リンパ球25.3
4月:CRP 0.09 、CPK 2103、AST 53、ALT 62、リンパ球20.1
5月:CRP ― 、CPK 1428、AST 40、ALT 48、リンパ球27.3
6月:CRP ― 、CPK 1675、AST 41、ALT 38、リンパ球31.4
H25
4月:CRP ― 、CPK 686、AST 22、ALT 19、リンパ球29.5
7月:CRP ― 、CPK 628、AST 22、ALT 17、リンパ球34.3
治療開始から5ヶ月で、順調に CPKが毎回落ち、AST、ALTも比例したように下降していくのがわかります。リンパ球が2月から4月にかけて低くなっていますが、この時、患者さんには多大なストレスがかかっていたとのことです。それでもCPKが落ち続けたのは抗ウイルス剤の効果であります。4月の血液検査の結果を見た時、完治するという実感が湧いたそうです。ただし、患者さん自身がストレスに耐え続けて自分でステロイドホルモンを出してしまうと、免疫が抑えられてしまうので、心の在り方を強く指導しました。
ストレスを避ける心の在り方を実践され、その結果、5月には重く疲労感ばかりの体は楽になり、無理をしなければ日常生活を普通に過ごせることができました。6月には、ストレスになる事をすべて避けはじめ、心にも体にも負担がかからない生活を始め、リンパ球の値が31.4まで上がりました。CPKの値は少し上がりましたが、5月に一時期、漢方煎じ薬飲み服用し、抗ヘルペス剤、漢方風呂、電子針、お灸をやめてしまった時期がありました。この頃、胸の間にあった紅斑はきれいに消えました。背中の紅斑は消えたり、ストレスを感じたころに新たに出来たりと繰り返している感じでした。
平成25年になり、少し時間が空きましたが4月に血液検査を実施し、CPKの値が686となり3桁まで下がりました。CPK以外のAST、ALT、LDH、クレアチニン、その他の項目は全て正常値まで落ちていました。リンパ球は29.5に下がっていたため、再び心の在り方の指導をしました。この頃、手のひらにたまに痒みのある湿疹がポツポツとでき始めたので、アトピーの漢方煎じ薬を処方しました。IgG からIgEへとクラススイッチが起こり始めました。
平成25年、7月。CPK628 リンパ球34.3となり、抗ヘルペス剤はほとんど飲んでおらず、漢方煎じ薬を薄めにして服用していました。心の在り方を指導して以来、リンパ球は上がっています。具体的には、あきらめる、受け入れる、いい顔をしない、やんちゃになる、などであります。
この患者さんはステロイド治療を拒否されましたので、これまでに目立ったリバウンドは、治療を開始してまもなく2度ほど激しい腹痛が10分程度あったぐらいでした。
現在は完治して、通院はしておられません。