自己免疫疾患はない

なぜ自己免疫疾患がないのか?partⅡ 〜膠原病は全て治る〜

投稿日:2020年1月12日 更新日:

 皆さん、こんな大それたタイトルで現代医学を告発しようとしている松本仁幸を狂人とお考えでしょう。確かに15歳から20年以上も頭痛から発した鬱の為に苦しみ、自殺を願望してきたにもかかわらず、敢行できなかった心弱き勇気のない男でありますが、決して狂人ではありません。かろうじてこの苦難の時代を乗り切るために医者になったことが真実の医学を求めるキッカケとなったのは皮肉といえば皮肉です。20年の鬱が真実の医学に到達させたからであります。

 私が告発する以前にも、製薬メーカーに支配された現代医学、つまり西洋医学が病気を治すどころか薬で治療すればするほど新たなる病気を拡大再生産し、最後は殺人医学にまで堕落してしまう現代医学を告発してきた本当に優れた医者たちはいました。ところが彼らは証拠を何も持っていなかったのです。ただ薬が病気を治すどころか、症状を取るだけの薬は最後は命まで奪ってしまうことを知っていただけなのです。私のように難病中の難病といわれる、いわゆる自己免疫疾患を治す理論と証拠を何一つ持っていなかったので、負け犬の遠吠えのようにしか聞こえなかったので、伝統的な正統医学に対して説得力が何一つなかったのです。しかも時代が今ほど免疫学が解明される、いわんや免疫学を支える遺伝子学も解明されていなかったので、当然といえば当然でありました。ところが時代が変わりました。私のような奇形児が生まれだしたのです。自分の病気を治す為に免疫学をしつこく徹底的に勉強し、かつ正しい基礎的な免疫学を駆使して、のべ何十万人という患者さんから病気の本質を学び取ることができた臨床免疫学をものにした医者が出現したのです。免疫学の教科書は大学の教授が書いた本ではなくて、免疫学を体現している患者さんであることを誰よりもよく知った医者が現れたのです。

 一方、伝統的正統医学は相も変わらず病気の原因や実態を解明せずに、訳の分からない病名ばかりをまるで趣味のようにつけたがり、病気そのものを治せない医者たちが増えるばかりです。同じ原因であるにもかかわらず、症状だけですぐに医者は昔から病名をつけたがるので、この世の病気は病名の数で数えれば、それこそ医者が病名として用いる登録病名とか標準病名といわれる病名の数は22889種類となっています。私のように病気の原因を知り、従って病気を治せる医者に言わせると、病気の原因別に大きく分ければ病名は5つしかないのにもかかわらずであります。病気の原因は、まず第1は化学物質。第2はウイルス。第3は細菌。第4は贅沢病、つまり成人病であります。最後の第5は遺伝子病であり、合計5つしかないのです。遺伝子病にも、生まれ持った異常な遺伝子を持って病気になる人と、生きている間に突然変異を起こし、遺伝子病を持たざるを得なくなった人もいます。

 ところで皆さんは不思議に思うかもしれませんが、癌は病気ではないのです。癌になる遺伝子の基である原癌遺伝子は全ての人に生まれたときに分け与えられています。この原癌遺伝子が突然変異によって癌化しないように、アンチ癌遺伝子も人間は生まれつき持っているのです。この両者の遺伝子が長い時間の中で変異を繰り返すことによって初めて原癌遺伝子は癌遺伝子となり、癌遺伝子を持ってしまった細胞は癌細胞となってしまうのです。癌は長い時間かけてはじめて生ずるものなのです。つまり老化によるものなのです。

 見方を変えて言うと、長生きし過ぎて自分で生きられなくなってしまうと、他の若い人間の遺伝子に迷惑となるものですから、人間の遺伝子は自ら不必要となることに気がついて、遺伝子自らを亡き者にして自己の命までも処理しようとする遺伝子自殺病ともいうべきものであり、いわゆる人間アポトーシスであります。自分で働いて飯が食えなくなり、さらに人間の尊厳を失うような状態、例えばアルツハイマーとかになってしまった人間は死ぬことが務めなのです。私もいずれ癌で死ぬでしょうが、うるさい男が癌で死んだと喜びはやし立ててください。歳をとって癌で死ぬことに恐れを抱く必要は全くありません。

 以上挙げた5つの病気をさらに細かく分けて病気の本質を解明することができますが、根源的な原因はたった5つしかないことを知ってください。つまり人体にとって異物が免疫に認識されて、これを処理しようとする戦いが病気なのです。現代文明においては免疫が負けてしまうような敵である異物は何もないのです。従って病気は治るのです。(ここで精神病に関しては述べていませんが、これも心の異物が原因であるわけですから、この心の異物をどの様に処理するかが治療法になるのです。が今のところはコメントしません。)これらの5つの病気は、遺伝子病以外は全て自分の免疫で治す事ができるのですが、残念ながら現代の医療は免疫を抑える薬ばかりを作り続け、命を守る免疫の遺伝子の働きをいじめるばかりで、医者の責任も果たさずとんでもない金儲けをしています。ところが残念なことには、免疫を抑えるのは医者だけではありません。自分の心でストレスをかけて、副腎皮質ホルモンを出し続けて、自分で勝手に免疫を抑え続けて病気を作り、治せないようにしている人が多すぎるのです。膠原病は全て、アレルギーになるべきものが医者に免疫を抑える薬を投与されたか、ストレスに耐えるために自分の心で副腎皮質ホルモンを出し続けて免疫を抑えて作られたものなのです。

 とりわけ昔から難病といわれてきた病気は、いわゆる第1番目の化学物質による膠原病であります。ところがこのアレルギーや膠原病が先進国において怒涛のように全世界の人たちを襲い始めています。なぜでしょうか?それは先進国のみならずBRICSをはじめとする全世界の後進国が先進国になるために重化学工業を盛んにさせて、富を獲得しようと血眼になってしまったからです。この世にない化学物質を作れば作るほど便利になり、金儲けができ、と同時にどんどん地球上を化学物質で満たしてしまったからです。アレルギーと膠原病が増えたのは、まさに現代の科学技術が作り上げた文明の所産である化学物質が地球を汚染させてしまったからです。この事実をどの医学者も指摘しません。なぜでしょうか?彼らが使っている薬自身が化学物質であるために、口が裂けても言えないのです。残念です。

 私のホームページを読めばわかるように、私は全ての化学物質原因症であるアレルギーと膠原病を治してきました。アレルギーと膠原病は同じ化学物質をIgEで排除しようとするとアレルギーとなり、IgGで処理しようとすると全ての膠原病のいずれかになることも既にご存知でしょう。膠原病は、IgGと化学物質とが戦うことによって生じます。人間の免疫はこのIgGをIgEにクラススイッチすることによってアレルギーに変えることができ、膠原病をアレルギーに変え、さらにアレルギーは免疫の働きである自然後天的免疫寛容によってIgEが作られなくなって、最後は化学物質と共存することによってアレルギーも膠原病も治ってしまうのも何千回も述べました。

 ところが現代の治療は、膠原病にまつわる様々な症状である熱や痛みを除去するために使われているステロイドをはじめとする全ての解熱剤や鎮痛剤が使われれば使われるほど病状がおかしくなることに気がつき、自分たちの責任を逃れるために、医学者たちは「膠原病の原因は自己免疫疾患だ」と言い出し始めたのです。つまり自分自身の細胞を攻撃する免疫がある限りは絶対に治らない病気だと言い張り、従って治らない病気であるが故に本当は治療法も何もないのですが、脅かさないと患者は医者の言いなりにならないものですから、「自己免疫疾患で放置すると死んでしまう」とはやし立て始めたのです。しかもどんな薬を使おうが副作用については一言も言及せずに、よりどりみどりの毒薬を好き放題使い続けて、免疫をズタズタにさせても免罪符は勝ち得ることができたのです。医者は病気を治さなくてもお金が儲かるので幸せでしょうが、患者さんの方はたまったものではありません。患者さんはお金は取られるし、病気は治らないどころか新しい病気は作られるので踏んだり蹴ったりであります。

 この偽りの病名である自己免疫疾患というのは、本来は化学物質原因症というべきであるのに、間違った治療をした医者たちが自分自身の責任から逃れるために作り出した病名であると同時に、この間違った病気の治療を通じて新たに患者に不幸を作り出していることをこれから論証していきたいと思います。自己免疫疾患で最悪の疾患といわれているSLE(全身性エリテマトーデス)と称されている患者さんはアメリカで25万人、日本で5万人といわれていますが、私にいわせれば決して最難治の病気ではないのです。私の医院で仕事をしておられるスタッフの中にも、特定疾患に指定されているMCTD(混合性結合組織病)の患者さんもいますが、私よりも元気に仕事をしておられます!

 今日(2011/07/04)の仕事はこの程度にしておきます。実は私は既に、自己免疫疾患はあり得ないという根拠を述べたホームページを作成していたのですが、この過去の論文を基にして、さらに敷衍拡大し、自己免疫疾患などは絶対にあり得ないことを証明したいので、新たにpartⅡを書ききるつもりで今日の一日の仕事を始めました。やり遂げるのには時間がかかります。そこで皆さんはもう一度過去の論文を復習しておいてください。ここ1~2ヶ月は、膠原病は絶対に自己の免疫が自己の細胞を攻撃しているものではないということを論証し、従って膠原病は必ず治る病気であるという事を証明するために、毎月曜日を費やしたいと考えています。

 以下に復習の文章を掲げておきます。しっかり読んでください。これを読んでいけば、さらに私がいかに深く免疫学を勉強し、いかに膠原病は治るというたくさんの証拠を膠原病の患者さんから学んでいるかを理解していただけることでしょう。乞うご期待!世界中の膠原病の患者さんに幸せのメッセージを送ってあげます。

 2011/07/04

 さあ、今日は自己免疫疾患というインチキな病気がないという事を証明するために現代医学の本丸に乗り込んで現代医学の欺瞞性を明らかにし、虚構をぶっ潰してあげましょう。

 自己免疫疾患を唱える論者の根本的な原理は次の点であります。骨髄で作られたT細胞が胸腺という組織で、自己の細胞である突起を持った胸腺上皮細胞と強く結びつきすぎたり、全く結びつくことができないT細胞を除去し、中程度に結びつく細胞だけを生かして自己と反応するT細胞を除去するという考え方であります。除去できなかった人は自己免疫疾患になるという理論であります。自己の胸腺上皮細胞と強く結びついたり、全く結びつかない細胞が除去されるのを免疫学者は“T細胞がアポトーシスした”といい、つまりT細胞自身が自ら自殺してしまうと言い張り、これを“負の選択”と名づけています。これを英語ではT細胞のnegative selectionといいます。一方、胸腺の上皮細胞と適度に結びつくものは生かされて、リンパ管や末梢血管や組織に出て行くのでありますが、これを“正の選択”と名づけています。これを英語ではT細胞のpositive selectionといいます。このようなpositive selectionを受けたT細胞は自己の細胞と反応しないので、自己免疫疾患は起こらないというわけです。このような考え方は実を言えば全く嘘八百であるということを証明するために論陣を張りました。しっかり勉強してください。

 まず、Tリンパ球は骨髄で毎日毎日100億個近く作られているといわれています。胸腺は10代の終わりごろに人生の中で最大の大きさとなるといわれていますが、それでもせいぜい30gです。この30gの小器官に毎日100億個作られるTリンパ球の全てと結びつくためには、審判官である胸腺上皮細胞が一体どれぐらい必要でありましょうか?どの本を読んでもこの問題に対して一言も触れられていません。24時間ぶっ通しで胸腺上皮細胞が、ひとつひとつT細胞を試験するためには、何個の胸腺上皮細胞が必要であるかを計算してみましょう。まず1時間に100億÷24で約4億個のT細胞をチェックする必要があります。1分間では4億÷60で約700万個であります。それでは1秒間では700万÷60で約12万個であります。胸腺上皮細胞の数についてはどの医学書にも明確にされていませんが、いかに胸腺上皮細胞が敏捷であっても、1秒間に12万個のT細胞を瞬間的に強く結びつくとか結びつかないとか適度に自分と結びつくということを判断が可能だと思いますか?もちろんはじめに述べたように、強く結びつくとか結びつかないという言葉自身が免疫学者が勝手に捏造しただけですから、一見こんな議論も無駄に見えますが、あえて彼らの主張の矛盾を科学的に突いていきたいと思います。

 さらに骨髄から胸腺に到着した未熟な前駆T細胞は、1週間もの間、胸腺にいて成熟し、T細胞になった後増殖するという事が分かっています。ますます胸腺上皮細胞がチェックしなければならないT細胞が増えるばかりです。胸腺は一週間で100億×7日で700億個のT細胞をチェックしなければなりません。こんな膨大なT細胞をひとつひとつくっつけてチェックできると思いますか?胸腺上皮細胞は全然増えないのに、新たに毎日作られるT細胞の洪水で、それこそ胸腺上皮細胞は溺れ死んでしまいそうです。こんな大量のT細胞をひっつけてチェックすることは土台不可能な話です。ただ胸腺上皮細胞はサイモシンやサイモポイエチンというペプチドホルモンを産生し、このホルモンによってT細胞が分化したり増殖したりさせることは可能であるとは考えられます。つまりあくまでも胸腺は胸腺上皮細胞とT細胞をひっつけて自己と非自己を区別させる教育の場所ではなくて、単純に分化・成熟・増殖の場に過ぎないのです。この分化成熟し損なったT細胞だけがアポトーシス(自殺)してしまい、それらが胸腺の大食細胞に食べられて処理される場所でもあります。決して自己と非自己を区別することができないT細胞がアポトーシスするのではないのです。もちろんアポトーシスはあります。それはT細胞が正しいレセプターを持つように分化成熟できなかった場合だけなのです。

 胸腺でT細胞が成熟分化するということは、結局はT細胞が自分の全ての細胞が持っているMHCⅠタンパクと結びついた異物を正しく認識するためのレセプターを持つことであり、かつ4つの細胞から成り立っている抗原提示細胞といわれる、大食細胞・樹枝状細胞・Bリンパ球・胸腺上皮細胞だけが持っているMHCⅡタンパクと結びついた異物を正しく認識するレセプターを持つことに尽きるのであります。さらに詳しく述べると、自己のMHCⅠタンパクを認識できるように分化したTリンパ球は、CD4というタンパクを膜表面に表示しており、これがヘルパーTリンパ球であります。次に抗原提示細胞だけが持っているMHCⅡタンパクを認識できるように分化したTリンパ球は、CD8というタンパクを膜表面に表示しており、これがキラーTリンパ球であります。このようなそれぞれ正しいレセプターを持つことができないTリンパ球だけがアポトーシスしていわゆる“負の選択”が行われ、正しいレセプターを持っているTリンパ球だけがいわゆる“正の選択”を受け、末梢に出て生き残り、正しく異物を認識し、異物から人体を守る免疫の仕事をするだけの話なのです。つまりあくまでもTリンパ球は自己を認識するとかしないとかには全く関わりがないのです。MHCタンパクを認識できるレセプターをTリンパ球が持っている限り、全て“正の選択”がなされるだけであり、MHCタンパクを認識できないレセプターをTリンパ球が仮に持っているならば“負の選択”がなされて、アポトーシスによってTリンパ球が自殺してしまうだけの話です。このようにT細胞のレセプターは、他の異物を認識するために必要であるにもかかわらず、現代の免疫学は無理やりに自分を正しく認識するレセプターの問題にすり替えてしまったのです。

 つまり自分の異なった組織の細胞同士が、お互いに異物と認識し合うことなどハナから考える必要がないのと同じです。例えば食べ物を消化する酵素を出す膵臓の細胞は、他の組織の細胞を消化しないために他の自分の細胞を異物であるかどうかを判別するシステムを持つ必要があるでしょうか?相手の細胞を自己消化しないように膵臓の細胞は自己と非自己を区別する必要があるでしょうか?そんなシステムは全く必要ないのです。なぜこのような例を出したのか説明しましょう。免疫細胞も結局は最後は相手を殺すために様々な酵素を出すからです。相手を溶かして殺そうとするからです。誰かが反論しそうです。免疫細胞は動きまくっているから自己と非自己を区別する必要があるのだと。それに対しては私は次のように反論しましょう。膵臓の酵素を作る細胞は移動しないけれども、作り出した酵素は膵管から腸に流れて移動しますよ、と。結局細胞が移動するのと酵素が移動するのとは同じでしょう、と。

 なぜ賢い免疫学者たちはこんな間違いを起こしてしまったのでしょうか?あちこちで私はその理由を述べていますが、一言で述べるのはやはり難しいのです。ただ言えることは、38億年かかって出来上がった免疫の進化を素直に理解しようとする以前に、医学を快楽を生み出す金儲けの手段にしようとするからでしょう。現代の医学者たちは、傲慢すぎて強欲すぎて、真実よりも快楽を最大限に増やそうとするからです。福島原発の事故も人間の傲慢さと強欲のために生じたものであります。快楽よりも大事な自然の摂理や生命の安全と尊重というものを忘れてしまったために生じた人災であります。

 遺伝子を変えたりすることや放射能を弄んだりすることは、人知をはるかに超えた神の領域であるという事を忘れてしまったのです。正常な遺伝子の働きは理解することは許されても、絶対に変えてはならない領域であるということも忘れ去られてしまいました。私のホームページでいつも話題にしているiPSはまさに神の領域を超えた試みであります。名声と金銭欲の為に全世界は間違った人間の遺伝子操作に突き進んでいます。このしっぺ返しはいずれ人間に跳ね返ってくるでしょう。とどのつまりは福島原発事故も放射能による内部被曝がもたらす遺伝子の突然変異の問題が永遠に続くのです。津波や地震は単なる物理的な天災でありますが、放射能は現在のみならず未来の人間の遺伝子を変異させてしまうからこそ恐るべき災いの源となるのです。

 本題に戻りましょう。ところが胸腺でのT細胞のこのアポトーシスは、胸腺上皮細胞と結びつきが強すぎたり、あるいは全く結びつくことができないT細胞だけによって行われ、これを先ほど述べたように“負の選択”という言い方をしだしたのです。このアポトーシスによって、胸腺に入り込んだ前駆T細胞の98%が死んでしまい、残りの2%だけが末梢血管に出て行くのです。つまり2%のT細胞だけが“正の選択”を受けて生き残ることになるという考え方です。先ほど述べたようにこの“正の選択”というのは正しいレセプターを持ったT細胞だけを生かしたにすぎないのにもかかわらずです。

 このようなT細胞の“負の選択”と“正の選択”という考え方は、自然後天的免疫寛容を動物実験で見つけた東大の免疫学の教授でおられた高名な多田富雄先生が、国際免疫学会会長のときに彼が言い出したのではないかと考えています。彼が書いた『免疫の意味論』という本の中で、しきりにT細胞の自己と非自己の認識について述べ、かつ自己免疫疾患についても色々と書いていますが、彼らが提唱し国際学会で無理やりに認めさせた間違った理論が世界の免疫学を支配し続けるのは何も珍しいことではありません。一度権威ある学会である理論が多数の学者によって認められてしまうと、その間違った理論を変えることが難しいのです。私も『免疫の意味論』から随分教えられたこともありますが、今読み直すと間違いだらけの書物です。それでも彼はこの本を書いて大仏次郎賞をもらいましたが、今から思うとやはり文学に近い随筆集のようなものだったと言わざるを得ないのです。

 次に胸腺上皮細胞がT細胞と強く結びついたとか、結びつかないとかを判断する基準については、これまた一言も触れられていません。普通、物が何かに強く結びつくとか弱く結びつくとかを決めるのは、結びついた後に引き離す力が強いかどうかで決めるものです。この問題についても一言も免疫学者は言及しません。

 そもそも胸腺という器官は心臓の前、そして胸骨という骨の後ろに位置しており、新生児では約15gで、成長と共に大きくなり思春期に最大30gとなることは先ほど述べました。その後、加齢と共に脂肪組織に置き換えられどんどん小さくなり、60歳で10gまで縮小してしまいます。これは何を意味するのでしょうか?Tリンパ球は一生涯骨髄で毎日毎日100億個という同じペースで作り続けられるのにもかかわらず、このTリンパ球が自己と自己の細胞と反応するかどうかを見極める検査を行う胸腺上皮細胞が多くなったり少なくなったりするのはどうしてでしょうか?免疫学者や自己免疫疾患と言い立てている膠原病の専門医たちは、このような事実に対しても何の疑問も持っていないのです。おかしいと思いませんか?

 しかも自己の細胞と反応する検査を行う胸腺上皮細胞が一番少ない老人の膠原病が最も少なくて、さらに胸腺が小さい幼児期の膠原病などというものは皆無といってよいぐらいであり、逆に思春期から成人にかけて最も胸腺が大きいときに、まさに膠原病が一番多くなるのは一体どうしてなのでしょう?最も胸腺の働きが活発であるときこそ、自己と非自己を見極めることができるTリンパ球が一番多いのにもかかわらずです。これもおかしいと思いませんか?

 胸腺はT細胞が自己の細胞と反応しないように生まれた器官でないことを明々白々と証明する、とどめの一発を記しておきましょう。生まれつき胸腺のない“ディ・ジョージ症候群”という染色体異常による遺伝病を持って生まれてくる子供がいます。彼らは生まれつき胸腺がないものですから、一番自己免疫疾患にかかりやすいはずですが、全くそんな症例は何一つとして報告されていないのです。もちろん後で述べますが、あくまでも胸腺の働きはT細胞が分化成熟する場所であるに過ぎないので、成熟できないT細胞を持って生まれたディ・ジョージ症候群の子供たちは感染症になりやすいことは言うまでもありません。しかし絶対に自己免疫疾患にはならないのです。つまりディ・ジョージ症候群の患者は、胸腺は自己免疫疾患を起こさせないために必要な器官ではないという事を如実に証明しているのです。にもかかわらず、自己免疫疾患を捏造した医学者たちはこの事実に関しても見て見ぬ振りをしてしまうのです。至極残念です。まさに自己免疫疾患という病名は為に作られた虚構の病気であるに過ぎないのです。

 ディ・ジョージ症候群は自己免疫疾患がないという完璧な証拠になるので、さらに詳しく述べておきましょう。

 ディ・ジョージ症候群は、誕生時に胸腺が全くないか、あっても染色体異常により完全な胸腺が作ることができないためにTリンパ球の免疫の働きが低下し、真菌やウイルスや細菌や原虫などの感染症にかかりやすくなるのです。つまり先天性の免疫不全疾患であります。

 ディ・ジョージ症候群は、染色体異常のために起こる病気ですが、通常は遺伝性ではありません。胎児が正常に発育せず心臓、副甲状腺、顔面、胸腺に異常が起こります。胸腺は、Tリンパ球の正常な分化と成熟に必要なものであって、決してT細胞が自己と非自己とを区別するためにあるのではありません。したがって、この病気では、Tリンパ球の数が少なく感染症と闘う能力が十分にありません。誕生後まもなく感染症にかかり、再発を繰り返します。しかし、免疫システムがどの程度影響を受けているかは、患者によってさまざまでありますが、決して自己免疫疾患は起こしません。もともと自己免疫疾患という病気は存在しないわけですから、なりようがないのです。このような病気を考えついた医学者たちの天才的な鈍才ぶりにたまげてしまいそうです。ワッハッハ!

 さらに、ディ・ジョージ症候群の患児には、先天性心疾患や独特な顔つき、たとえば耳の位置が低い、小さく後退したあご、間隔の開いた眼など、免疫不全に関係のない特徴があります。それはこの病気が遺伝子によるものではなくて、染色体異常のために引き起こされるからです。また、血液中のカルシウム値をコントロールする副甲状腺が生まれつきありません。その結果、カルシウム値の低下が起こり、筋肉のけいれん(強直)が引き起こされます。

 こうした患児たちも、ある程度のTリンパ球を持っていれば、治療しなくても免疫システムは十分に機能します。ただし、感染症にかかったらただちに治療する必要があります。Tリンパ球がごくわずかか、全くない場合は、幹細胞や胸腺組織の移植で免疫不全を治せます。しかしながら何回も繰り返しますが、胸腺がないからといって自己免疫疾患であるといわれている膠原病になりやすいことは絶対にありません。この世の中には自己免疫疾患という病気はないのですから、かかりようがないのですが。

 ディ・ジョージ症候群をもった患者の筋肉のけいれんを防ぐには、カルシウムを補給して低カルシウムを治します。免疫不全よりも心疾患の方が重症であることもあり、重症の心不全や死亡を防ぐため、手術が必要となります。その後の経過は心疾患の程度によります。このように胸腺がないからといって、免疫不全で死ぬよりも心不全で死ぬことが多いのです。もちろんSLEやMCTDなどの自己免疫疾患で死ぬことは絶対にありません。なぜかというと胸腺はT細胞に自己と非自己を区別させる教育を行う器官でもないし、かつ区別させる必要もないからです。それは全ての人間は、T細胞をも含めて60兆個の全ての細胞に自分が自分であるという他人と異なる独自のMHCⅠタンパクが生まれつき分け与えられているので、今さら胸腺でT細胞に自己と非自己を教育する必要がないからです。あえて言えば、T細胞が成熟するという事は、このMHC遺伝子を発現し、MHCタンパクをT細胞の細胞膜に発現させると同時に、先ほど述べたように自己の他の細胞のMHCが異物と結びついたことを正しく認識するレセプターを作ることであるともいえます。

 もちろん胸腺上皮細胞はMHCⅠ遺伝子やMHCⅡ遺伝子や、さらにこの遺伝子によって発現されて作られたMHCⅠタンパクやMHCⅡタンパクを既に持っており、これについてはここを読んでください。

 さらに正常な胸腺を持っていた人が、何かの事故で思春期の後に胸腺が除去されても、自己免疫疾患が起こることはないということも証明されていることも付け加えておきましょう。これも胸腺はT細胞に自己を認識させて自己免疫疾患を起こさないようにするための器官ではないことを証明しております。

 さらにもうひとつ同じような証拠を挙げておきましょう。ディ・ジョージ症候群に類似したT細胞機能不全症を持った特殊なマウスであるヌードマウスの例があります。このマウスは先天的に胸腺が欠損しているマウスであり、このようなマウスは同時に先天的に無毛であるので、つまり裸であるのでヌードマウスと呼ばれるのです。実はこのヌードマウスも自己免疫疾患を起こすことは全くないのです。それどころか、このヌードマウスに他のマウスの組織を移植しても拒絶反応が起こらないので、臓器や組織移植などの実験によく使われます。つまりこれの意味するところは、人間と同じようにマウスも自分が自分であるというMHC遺伝子を持っているのですが、胸腺がないのでこのMHC遺伝子がMHCタンパクを作れないので、他のマウスの臓器を異物と認識できないことを物語っています。つまり胸腺は自己の成分をT細胞に認識させる組織ではなく、あくまでも他のマウスの異なったMHCを認識しているという事を証明しているのです。つまりMHCの役割は、自分の体内に入った異物をT細胞のレセプターに認識させる仕事をさせると同時に、他人のMHCをもT細胞のレセプターに認識させる仕事もしているということを語っています。

 これからが自己免疫疾患がないということを、免疫学を駆使して証明する本番となります。これから述べようとすることは極めて専門的な話になりますが、できる限り素人でも分かるように噛み砕いて話をするつもりですから、膠原病の患者の皆さんも覚悟して読んでください。膠原病は自己の免疫が自分自身を攻撃するという病気であるから絶対に治らないという医学者が勝手に作り出したアホ極まりのない理屈に過ぎないのですが、患者さんにとっては医者に膠原病と宣告されると、一生涯治らないので苦しまざるを得ませんよ、という刻印を専門家に押されて医者の言う事だから仕方がないと悲しい思いを一生し続けることになります。おまけに免疫の遺伝子を変えてしまう毒薬を盛り込まれて医者に新たなる病気を作ら、さらに不幸を背負わなければなりません。ところが実はそんな病気は、医者が勝手に作った架空の病気であるという事を理解していただければ、皆さんの病気が実は治る病気であり、絶望の淵から一瞬にして幸せの境地に戻れる真実の理論ですから、しっかり読んでください。

 医学界の巷では、骨髄で作られた未熟なTリンパ球がヒーローになりがちですが、実は膠原病の抗体を作るのはBリンパ球なのです。確かにTリンパ球があってこそBリンパ球が抗体を作ることができるのは言うまでもありません。ところが実はBリンパ球が作る抗体というのは、実はTリンパ球のレセプターと同じく、もともとはBリンパ球の膜の表面にあるレセプターがはがれて、リンパ管や血管や組織に出て行ってしまっただけなのです。一方、Tリンパ球のレセプターははがれることができないだけの話なのです。基本的にはTリンパ球のレセプターもBリンパ球の抗体も、作られ方は全く同じなのです。それではこれからどのようにしてBリンパ球のレセプターである抗体が作られるかについて、遺伝学的にまず詳しく述べましょう。このBリンパ球がBリンパ球の遺伝子によってどのように抗体が作らるかを理解できれば、Tリンパ球のレセプターの作られ方も簡単に理解できるからです。Bリンパ球のアポトーシスについてはその教科書にもあまり触れられていませんが、実はBリンパ球は骨髄で作られ、骨髄で分化成熟するのですが、作られたBリンパ球の九十数%がアポトーシスしてしまうのです。このBリンパ球のアポトーシスがどのようにして生じるかについて述べることが本論中の本論となりますが、今日はここで終わります。乞うご期待!

2011/07/14

 1942年に膠原病を世界で最初に報告したのは、アメリカのクレンペラーであり、彼は病理組織学的概念として報告しました。それまでは臓器ごとの病理医学や細胞組織ごとの細胞病理学が支配的であった時代であり、結合組織への関心が低かった時代でありました。ところが、彼は色々な病気が全身に広がる結合組織に炎症を引き起こすことに気がつきました。この結合組織は膠原線維でできているものですから、クレンペラーが初めてそこで炎症を起こす病気の一群を膠原病と名づけたのでありました。1950年に膠原病としてリウマチ熱、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症(scleroderma(SD))、多発性筋炎、結節性多発動脈炎の6つが示されました。病理学的な膠原病の概念の根本は、全身の結合組織にフィブリノイド壊死といって、炎症の結果、結合組織の抗原線維が膨らみ、線維構造がなくなり、免疫グロブリンや補体やフィブリノーゲン(線維素原)や血漿タンパクなどが沈着している全ての膠原病と呼ばれる疾患に共通する結合組織の変性病変であり、今現在も正しい所見であります。このような結合組織の変性病変は別名、類線維素変性とも呼ばれ、アレルギー疾患や膠原病に特徴的な病理組織学的病変であります。フィブリンというのは、炎症に際して血管から漏れ出た血液成分を凝固させたり、止血したり、感染の拡大を防御することによって、炎症をできる限り一箇所に封じ込めて組織の崩壊をできる限り少なくしようとしてくれるのです。クレンペラーが提唱した膠原病の概念は、それまでにあった感染症や中毒性疾患、腫瘍性疾患に属さない疾患であったので、医学界に大きなインパクトを与えたのです。

 元来、異物は人体に侵入すると、まず結合組織に広がり、結合組織で免疫の戦いが始まります。ところがウイルスは特殊な異物であります。なぜならばウイルスは結合組織では生き続けることができないからです。ウイルスは遺伝子だけを持っており、その遺伝子を発現する材料は何一つ持っていないので、他の生命の細胞に入り込み、さらに細胞の核に入り込んでその細胞の遺伝子をのっとって自分の遺伝子と入れ替えて、自分の遺伝子の命令に従わせ、自分を複製していくのです。ましてや現代文明の人類にとって最大の異物は化学物質でありますから、人体に取り込まれた化学物質は細胞には入り込めず、結合組織で異物として免疫に認識され、アレルギーや膠原病が起こるわけですから、19世紀に活躍したドイツの病理学者であるウィルヒョウが確立した細胞病理学を、いわば結合組織病理学に変えたという意味においてもクレンペラーは特筆すべき存在であります。感染症が跋扈していた19世紀~20世紀前半までは、細胞病理学の時代でありましたが、化学物質によって起こるアレルギー・膠原病全盛の現代は、まさに結合組織病理学時代であります。結合組織は基本的には線維芽細胞によって作られた、膠原線維によって埋めつくされた全ての組織に共通の細胞の発生母地であります。従って膠原病はいかに病理学者が電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察しても、膠原病の病名に応じた特異性がないので、膠原病の病理診断というのはあまり意味がないという事は以前に書いたことがあります。例えばクローン病も潰瘍性大腸炎も、あくまでも結合組織における化学物質と免疫の戦いに過ぎないので、病理組織を見ても二つの病気を鑑別することは不可能であり、意味のないこともついでに述べておきましょう。もちろん今をときめく癌はまさに細胞の遺伝子の癌化ですから、細胞病理学は今なお価値があることもついでに付け加えておきましょう。

 現代文明に見られる病気は、膠原病・アレルギーとウイルス・細菌感染症と癌の3つしかありません。1942年にクレンペラーが膠原病の概念を提出したのは、アレルギーの概念を初めて1906年に提唱したフォン・ピケと同じぐらいに優れた業績であります。ただクレンペラーにしろフォン・ピケにしろ、なぜ膠原病が起こるのか、なぜアレルギーが起こるのかについて全く無知であり、もちろんそのメカニズムも知らなかったのであります。その後学問が進み、アレルギーと膠原病は同じ原因で起こるというのが薄々知られてきたのでありますが、実はアレルギーも膠原病も文明が作り出した化学物質が原因であるということは口が裂けても言えないので、嘘をつくのに長けている優れた医学者たちは、いつの間にか膠原病は自己と非自己を見分けることができない異常な自己免疫疾患と言いだし、アレルギーについては過敏反応であると言いだし、いつの間にかそれが真実であるかのようになってしまったのです。私はこれが嘘であるということを彼らの武器である免疫学を駆使して、手を変え品を変えて反証しようとしているのです。

 既に何百回も述べているように、実はアレルギーと膠原病は全く同じ化学物質を優秀な人体の免疫は敵と認識し、IgGで処理しようとしたときに膠原病が起こり、IgEで処理するとアレルギーが起こるという事を私が明らかにしたのです。というよりも、抗体のクラススイッチによって同じ敵を処理するときに免疫の作る武器がIgGであれば膠原病になり、IgEになればアレルギーになることがクラススイッチの意味であることであるのに、世界中のどの医学者も気がついていないのを指摘しているだけです。何も私が世界で最も頭のいい男ではないのです。アッハッハ!世界中の私よりも優れた医者たちが必死でこの真実を隠そうと努力しているのですが、世界一素直な医者である私が、世界の医学を「裸の王様である」と簡単に指摘しただけの話なのです。ワッハッハ!私が単純にあらゆる膠原病をアレルギーに変えて治すという事実だけではどうしても世界の医学界は承知してくれません。だからこそこれから彼らの武器である免疫学を逆手にとってみたり武器にしたりして、自己免疫疾患などというものはないという事をこれから論理的に証明していきます。

 今これから述べようとしているのは、著名な故多田富雄先生方が最もお好きなアポトーシスの理論であります。つまり骨髄で作られた前駆T細胞が胸腺に流れ出ていき、胸腺で自己の成分を敵に回すようなTリンパ球が98%排除され、つまりアポトーシス(自殺)されてしまい、残りの選ばれた2%だけが自己と非自己を認識でき、自己免疫疾患という病気は起こらないというまやかしの理論であります。実際、胸腺から出て行くT細胞は2%であることは確かです。しかしこれは何も自己と非自己を認識できるT細胞が選ばれて末梢へ出て行くのではないということを証明するために、同じリンパ球の仲間であり、T細胞よりも単純なレセプターを持っているB細胞のアポトーシスがどうして起こるのかを詳しく具体的に説明してから、複雑なレセプターを持っているT細胞のアポトーシスの話へと進めていきたいのです。そしてT細胞のアポトーシスは何も自己の成分を攻撃しないために起こっているわけではないのだという事を証明したいのです。

 アポトーシスという専門的な生物学の用語が一世を風靡し始めたのは、まさに自己と非自己を判別できないT細胞がアポトーシスするという間違った概念が免疫学者の間で広まったことがきっかけであります。つまりT細胞が胸腺で成熟している過程において、自己反応性のTリンパ球が排除されるというドラマティックな話が、いかにも膠原病は治らないという免罪符を得たい免疫学者や臨床医学者にとっては、誠に好都合な話となったのでしょう。この時代の免疫学を指導した学会のお偉い方がこの概念に飛びつき、いつの間にか膠原病の原因もアポトーシスできなかったT細胞によって引き起こされるという思い付きが世界の膠原病学界を支配してしまったのです。一度出来上がった概念は、それを作った学者にとって利益であり続ける限りはどんどん一人歩きをし、嘘が塗り固められ、ますます嘘の理論が拡大再生産されていきます。ところが科学としての医学の論理から説明すると、矛盾ばかりが生み出だされてしまうので、医学者たちはずる賢く矛盾する事実を説明できなくなると、常に分からないとか、ときにはこの矛盾を説明できればノーベル賞をもらえるとか言って話をすり替えてしまうのです。私のように正々堂々と真実の事実に肉薄し、免疫の真実の理論を駆使して膠原病を治してあげようと思う医者や医学者が誰一人として現れないのは、現代の最大の悲劇の一つであります。残念です。

 しかも化学物質が原因であるアレルギーや膠原病は、毎年毎年既存の化学物質が生産され消費され続け、と同時にさらに新しい化学物質が発見され、大量に作られるにつれてますます増えていきますが、アレルギーや膠原病を治す薬は全く作られていないのに、医者たちは治療と称して病気を作り続けても責任は問われず、にもかかわらずお金はどんどん儲かるものですから、膠原病の間違った根本原理から生まれた自己免疫疾患の理論を根底から否定しようとしないのです。いわば自己免疫疾患を持っている患者は遺伝子が悪いからと言わんばかりに、間違った医療をし続けてもお金が儲かるものですから、しかも責任を取ったりすることもなく、罰せられることもないものですから、意気揚々といつまでもいつまでも稼いだお金を数えながらニコニコ幸せな間違った治療をし続けているのです。日本経済がどんどん落ち込んでいても、いつも一番稼いでいるのは医薬従事者たちだけです。社会保険医療費で日本中がヒーヒー苦しんでいるにもかかわらず、医療費は高騰するばかりです。儲ける側は最高な気分でしょうが、間違った治療をされて大金をぶんどられる患者の方はたまったものではありません。ところが患者の方も医学については100%無知ですから、医者が原因が分からないけれども治療しますと言われると治る気になり、どんどん病気を作られ続けているにもかかわらず医者に感謝をし、一生大枚をまきあげられ続けるのです。しかもこの上もない感謝の気持ちを込めて。ワッハッハ!

 イントロダクションはここまでにして、頭が柔軟になったところで本論に突入しましょう。そのタイトルは「Bリンパ球もTリンパ球も同じメカニズムでアポトーシスを起こすのだ。このアポトーシスは自分を攻撃しないようにするためではないのだ。成熟し切れなかったBリンパ球とTリンパ球だけがアポトーシスを起こすのだ。」であります。

 Bリンパ球がアポトーシスせざるを得ない理由をわかりやすく結論から申しましょう。Bリンパ球が骨髄で成熟するプロセスで正常なレセプターが作られるのですが、このレセプターが正常な機能を果たせないときにアポトーシスが起こるのですが、2つの場合があります。ひとつはBリンパ球のレセプターである重鎖と軽鎖の2種類のタンパクが正常に作られなかったとき。ふたつめは重鎖と軽鎖の2つのレセプタータンパクが正しく作られたときでも、重鎖と軽鎖が正常に結びつくことができなかったとき、の2つの場合です。もう少し詳しく書きましょう。Bリンパ球のレセプターは重鎖(Heavy chain)のタンパク質と軽鎖(Light chain)のタンパク質から成り立っています。この重鎖と軽鎖が結びついて一つの抗原を認識できるのです。この重鎖と軽鎖のレセプターが正常に作られ、さらに両者が正しく結びつかなければ抗原を認識できないのです。このいずれかがBリンパ球に生じたときは、そのBリンパ球は自殺(アポトーシス)を余儀なくさせられるのです。

 これをTリンパ球の場合に当てはめてみましょう。Tリンパ球のレセプターには2種類あります。Bリンパ球のレセプターは重鎖と軽鎖は1種類だけだったのですが、Tリンパ球は重鎖にあたるものが2種類のαとγがあり、軽鎖にあたるものがβとδの2種類があります。従ってBリンパ球のレセプターは1種類しかないのですが、Tリンパ球はレセプターの種類で分類すれば2種類あることになります。いわば重鎖のαと軽鎖のβでできたレセプターと重鎖のγと軽鎖のδでできた2種類のレセプターがあります。血中の95%ものTリンパ球のレセプターはαとβから成り立っており、γとδから成り立っているTリンパ球は5%であります。ところが粘膜にいる大半のTリンパ球のレセプターはγとδからできているのです。なぜ血中と粘膜にある違ったTリンパ球の分布が異なるかについてはまたの機会にお話しましょう。

 皆さん、日本で唯一の1987年度のノーベル生理学・医学賞を獲得した利根川進をご存知でしょう。彼の業績は何であったかご存知ですか?以前から人間の免疫はこの宇宙にある一切がっさいの人体にとってあらゆる異物を認識し、その異物から免疫は人体を守ることができるといわれてきました。だからこそ38億年の無限の時間を生命は絶滅せずに乗り越え進化し、人類を作ったのです。ところが1953年にワトソン、クリックがDNAの二重らせん構造モデルを見つけ出し、遺伝子はDNAであるということを証明し、タンパクは遺伝子の設計図によって作られているという事も明らかにしました。ところが遺伝子の設計図は2003年に人間のゲノムは30億対から作られ、約26000個の遺伝子から成り立っているということが明らかにされたように、人間の遺伝子の数は限りがあるのに、なぜ抗体タンパクが1000億種類までも作れるのかという事は長い間謎でありました。ましてや利根川進の時代は、遺伝子は生まれたときに全て確定しており、変わることはないとされていた時代でした。遺伝子が変わるという事は想像もできなかった時代でした。従って当時は26000個の遺伝子で1000億個の抗体タンパクを作ることは不可能だと考えられていたのですが、実はそれを可能にする遺伝子の巧妙なメカニズムを利根川進は世界で初めて発見したのです。

 抗体は先ほど述べたように重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)から成り立っており、このH鎖もL鎖も共に110個のアミノ酸から成り立っている可変領域(variable)と定常領域(constant)の2つの領域で構成されています。抗体の種類が違うというのは、可変領域のアミノ酸の組み合わせが変わることであり、骨髄でBリンパ球が成熟する間にこのアミノ酸を作る遺伝子の組み合わせがランダムに変わることによって多種多様な重鎖と軽鎖を作り出し、さらにその重鎖と軽鎖を組み合わせることによって、新たに多種多様な無限の抗体を作り出すことができるということを利根川進は証明し、ノーベル賞を獲得したのです。

 このような抗体の重鎖を作る遺伝子は、全ての人が第14番目の染色体に持っています。一方、軽鎖のタンパクを決める遺伝子は2種類あって、2番目の染色体と22番目の染色体にあります。皆さんご存知のように、一人の人間は60兆個の細胞を持っており、その細胞の全てが同じ染色体を持ち、父親由来の染色体23個と母親由来の染色体23個がペアになり、23対になっております。23×2で合計46個の染色体が全ての細胞に与えられています。(正確に言えば、相同染色体が22対×2=44本と、性染色体が1対×2=2本で、合計46本の染色体となります。)Bリンパ球の14番目の染色体や2番目の染色体や22番目の染色体もペアになっており、その1つの染色体は父親から、残りの1つの染色体は母親から受け継いでいます。それぞれの染色体の同じ位置に重鎖と軽鎖を決める遺伝子が乗っております。Bリンパ球が抗体を作るときに、父親から譲り受けた遺伝子と母親から譲り受けた遺伝子が、まず重鎖を作る競争をします。重鎖を作る遺伝子はV・D・J・Cの4種類の遺伝子から成り立っています。(ついでに述べておけば、軽鎖を作る遺伝子はV・Jの2種類の遺伝子から成り立っているのです。)ところがこれらのV・D・J・Cの4種類の遺伝子は1個から成り立っているのではないのです。例えばVの遺伝子は51個の異なった遺伝子から成り立っており、Dの遺伝子は27個、J遺伝子は6個、C遺伝子は10個から成り立っています。重鎖の遺伝子を作るときには、Vの遺伝子から一つだけ、D遺伝子から一つだけ、J遺伝子から一つだけ、C遺伝子から一つだけ、をランダムに取り出され、重鎖の遺伝子がひとつだけ決まってしまうのです。このV・D・J・Cの遺伝子の組み合わせからひとつずつだけの遺伝子を選び出して、その遺伝子によって決められた一つの抗体タンパクを作ることを“遺伝子の配列組み換え”といいます。父親由来の重鎖を作る遺伝子も、母親由来の重鎖を作る遺伝子も、自分の遺伝子をいち早く“遺伝子の配列組み換え”を行って、自分の遺伝子によって重鎖タンパクを作る競争をやるのですが、どちらかが早く作ってBリンパ球の膜に重鎖タンパクをつけた方が勝ちとなります。正常な遺伝子の配列組み換えができるこの勝負の勝率は、父親由来の14番目の染色体も母親由来の14番目の染色体もそれぞれ9分の1しかないといわれています。つまり9分の8は重鎖遺伝子の配列の組み合わせに失敗しているのです。なぜ9分の1のような低い勝率になるのかというと、Bリンパ球は毎日毎日10億個も作っているからです。この10億の9分の1の勝率で残ったBリンパ球はそれでも1億以上あるのです。人は毎日毎日1億以上の異物と出会う可能性は実際あるでしょうか?ほとんどないからこそこれで充分なのです。

 その後、戦いに勝ったこの重鎖を決める遺伝子の配列組み換えが正常にタンパクを作ったかどうかのテストがあります。この遺伝子が正常に働くかどうかということは、この遺伝子によって指定されたアミノ酸を正しく作り、かつタンパクを正確に作ることであります。このタンパクは細胞質にあるリボゾームという所で作られます。リボゾームでタンパクを作るときに、この遺伝子の情報をタンパクに翻訳すると専門家はいいます。この翻訳をするときに、いつまでもタンパクを作り続ける必要はありませんから、“翻訳をやめなさい”という暗号が必ず含まれています。この暗号遺伝子は3種類あります。ところが戦いに勝ったこの重鎖を決める遺伝子の配列が組み換えられた遺伝子の中に“翻訳をやめなさい”という3種類の遺伝子の暗号がタンパクが出来上がっていない途中にひとつでもあれば、リボゾームでこの遺伝子の情報はタンパクに翻訳することができなくなります。ここでタンパクの製造は途中で止まり、重鎖のタンパクが作れなくなります。出来上がったタンパクは意味のないタンパクであります。

 遺伝子の配列組み換えによって作り上げられた遺伝子が、正常な重鎖タンパクを作る勝率も9分の1といわれます。この9分の1の勝率を乗り越えて正常な重鎖タンパクが作られると、この重鎖タンパクはBリンパ球の膜に運ばれて、その後、勝ったことを他方の負けた父親か母親の染色体に情報を送り、重鎖の遺伝子の配列組み換えの仕事をやめさせるのです。どのようにして勝ったことを負けた側に伝えるかのメカニズムは今のところは分かっておりません。さらに父親の重鎖の遺伝子も母親の重鎖の遺伝子も、両方とも正常な重鎖タンパクをつくることができないこともあり、そのときは正常なレセプターが作られないので、このリンパ球は存在価値がないので、このBリンパ球はアポトーシスを強いられるのです。このBリンパ球がアポトーシスするのは、何も自己の成分と非自己の成分を判別できないからではありません。

 次に軽鎖を作る必要があります。軽鎖のタンパクを作るのも重鎖のタンパクを作るのと全く同じやり方で行われます。つまり同じように、14番目の染色体にある父親の軽鎖の遺伝子と母親の軽鎖の遺伝子とが、自分の遺伝子を発現させるための競争をします。全く同じように軽鎖の場合もリボゾームで正常なタンパクを作るかどうかのテストをされるのです。重鎖タンパクも軽鎖タンパクも正常に作られたからといってこれで話が終わった和歌ではありません。最後に新たなるテストを受けなければなりません。軽鎖のタンパクと重鎖のタンパクが結びついて初めて正常な抗体のレセプターができあがるのですが、この2つのタンパクが正常に結びついたかどうかのテストが最後に行われます。それが正常に結びついていなければ、このBリンパ球はアポトーシスとなるのです。このアポトーシスもBリンパ球のレセプターが自己と非自己を判別できないために生ずるわけではないのです。このようにBリンパ球の正常なレセプターを作るために2回もテストされてアポトーシスの運命にさらされるのであります。

 このようにして全ての成熟した1個のBリンパ球は、世界でたった1種類の組み合わせの重鎖と軽鎖を作り、従ってたった1種類のレセプターを持ち、従ってこの世で唯一の抗体を作ることができ、従ってたったひとつの異物を認識することができるのです。このようにBリンパ球のレセプター、つまり抗体を作るプロセスを理解していけば、成熟したまともなBリンパ球を作ることがいかに難しいことであるかがお分かりになるでしょう。しかもこのプロセスで大切なことは、Bリンパ球自身が自己を攻撃する抗体を作らないような努力を何一つする必要がないという事です。現代の自己免疫疾患があるのは、Bリンパ球が自分の成分に対して自己抗体を作るからだと医学者はほざいていますが、Bリンパ球に自分自身を攻撃するような抗体を作らせないアポトーシスを起こさせるわけではないのに、どうして自己抗体があり得るのか不思議に思いませんか?これに対しても現代の医学者たちは何の疑問も感じず、何の研究もしないで勝手に自己免疫疾患という病気を作り上げて、治る膠原病を治せないようにしているとんでもない無能集団と言っても言い過ぎではないと思いませんか?

 2011/07/21

 さあ、今日は未熟なT細胞(これをナイーブT細胞といいます)のレセプターが胸腺でどのように成熟分化していくかを説明しましょう。さらに胸腺は決して自己の成分と強く結びついたり、全く結びつかないTレセプターを持つT細胞をアポトーシスさせたり、適度に結びついたT細胞だけを生き残らせる免疫の中枢臓器になる必要はないことを同時に説明していきましょう。既にBリンパ球の成熟の過程を理解してもらっていますから、Tリンパ球の成熟過程はより理解しやすいと思います。

 Tリンパ球のレセプターは2種類あって、α鎖とβ鎖を持つレセプター、γ鎖とδ鎖を持つレセプターがあることは既に述べました。つまり異物と結びついて敵を認識するレセプターの種類によってTリンパ球を分けると、αβT細胞とγδT細胞の2種類があることになります。まず血液の中に一番多いαβT細胞について述べていきます。より理解しやすいように、Bリンパ球の重鎖(heavy chainといいHcとも表記します)がT細胞のβ鎖にあたり、Bリンパ球の軽鎖(light chainといいLcとも表記します)がT細胞のα鎖にあたると考えてください。β鎖の遺伝子が乗っている染色体は、Bリンパ球の軽鎖の遺伝子が乗っている染色体とは違って7番目の染色体にありますが、α鎖の遺伝子がある染色体は、第14番目の染色体であります。これはBリンパ球の重鎖の遺伝子がある染色体と同じ第14番目にあります。β鎖の遺伝子はV・D・J・Cの4つの遺伝子から成り立っており、α鎖の遺伝子はV・J・Cの3つの遺伝子から成り立っています。

 Tリンパ球のレセプターは、Tリンパ球の膜に永遠にひっついたままであるのですが、Bリンパ球のレセプターは剥がれるように作られており、Bリンパ球から剥がれた後、組織や血中に流れていきます。これを抗体といっているのです。従ってTリンパ球のレセプターは剥がれない抗体といってもよく、一方Bリンパ球のレセプターは剥がれるレセプターといってもよいのです。Bリンパ球の抗体がなぜ剥がれる必要があるのでしょうか?抗体の仕事はリンパ球から剥がれるからこそ可能となるのです。既にご存知のように、抗体にはC遺伝子によって作られた抗体のC部分に補体や大食細胞や好中球と結びついて、敵を食べやすくさせることを抗体のオプソニン作用(味付け作用)があります。さらにウイルスに感染した細胞とV部分で結びついた抗体のC部分にNK細胞が結びつくと、NK細胞は刺激されて、感染細胞をウイルスもろとも殺してしまうのです。これをADCCといわれるのも私のホームページのヘルペスの項目をしっかり読んでいる人はご存知でしょう。ついでに述べておけば、このような抗体をB細胞は、多いときは1秒間に10000個も作り出すことができるのです。

 一方、Tリンパ球のレセプターは剥がれては仕事ができないのです。このレセプターを役割から分類すると2種類に分けられます。ひとつは細胞の全てが持っているMHCⅠペプチドに結びついた異物を認識して、その細胞を殺すキラーT細胞と、2つめは抗原提示細胞といわれる4つの細胞(樹枝状細胞、大食細胞、Bリンパ球、胸腺上皮細胞の4つです)だけが持っているMHCⅡペプチドに結びついた異物を認識してB細胞に抗体を作らせるヘルパーT細胞の2種類があるのです。これも既に述べました。

 ここでも強調しておきたいことは、免疫のプレーヤーの全てはタンパクからできております。既に述べた重鎖、軽鎖、α鎖、β鎖、γ鎖、δ鎖、抗体、MHCⅠ、MHCⅡ、Bリンパ球レセプター、T細胞レセプターも、全てタンパクからできているのです。このタンパクはアミノ酸からできており、このアミノ酸は遺伝子の設計図に基づいて作られるという事も絶対に忘れないで下さい。つまり免疫の遺伝子によって作られたタンパクが人間の命を守っているという事です。近頃、生命科学が科学の中心になってきました。とりもなおさず生命科学とは分子生物学であり、とどのつまりは遺伝子学そのものであります。分子生物学、免疫学、遺伝子学を勉強すればするほど、神なる無限の時間である38億年の長きにわたって進化してきた遺伝子に支えられた生命の複雑さ精妙さ完璧さに感嘆せざるを得ないのです。この世で最高の存在といえる遺伝子の働きによって生じた病気、つまり症状が見かけ上都合が悪いからといって変えようとする輩が巷に溢れていることに憤激を感ぜざるを得ません。遺伝子に支配された真実の免疫学を勉強をすればするほど、遺伝子に神を見つけざるを得ないのです。現代の生命医学の中で最悪の研究はiPSであることは言うまでもないことです。Tレセプターのα鎖とβ鎖の話に戻りましょう。

 既に述べたように、Bリンパ球は遺伝子の命令により骨髄で成熟するのですが、Tリンパ球は胸腺で遺伝子の命令に基づいて成熟するのです。Tレセプターのβ鎖ができあがるのは、Bリンパ球の重鎖ができるのと全く同じです。β鎖の遺伝子は第7番目の一対の染色体にあります。父親からもらった染色体と母親からもらった一本ずつの染色体が2つ結びついて一対になっています。この父親の染色体と母親の染色体がβ鎖をいち早く作る競争を始めます。β鎖はV・D・J・Cの遺伝子からできています。V遺伝子の種類は57個あり、D遺伝子は2個、Jの遺伝子は13個、Cの遺伝子は2個から成り立っています。

 利根川進がBリンパ球が作る抗体の多様性は遺伝子の組み換えによって作られることを証明したように、T細胞のレセプターも全く同じ遺伝子の組み換えによって作られるのです。まずβ鎖の遺伝子のV遺伝子の57個から一つ取り出し、2個のD遺伝子から一つ取り出し、13個のJ遺伝子から一つ取り出し、最後は2個のC遺伝子から一個取り出し、完璧なβ鎖の遺伝子が決まります。このDNAに書き込まれた遺伝子の暗号がmRNA(messenger RNA)に伝えられ、この情報がmRNAによってリボゾームというタンパク製造工場まで運ばれ、ここでDNAの暗号がタンパクに変えられます。これを“暗号の翻訳”といいます。この翻訳が細胞質にあるリボゾームで行われるのでありますが、このリボゾームで翻訳する仕事を担うのがtRNA(tranfer RNA)であり、このtRNAが仮にmRNAの“タンパクを作ることをやめなさい”という暗号に出会えば、ここでタンパクの生産が中止され、β鎖のタンパク合成は失敗に終わります。この成功率は9分の1であるといわれています。もしβ鎖のタンパク合成に成功すれば、“私の染色体の方が勝ったよ”という情報が一方の染色体に伝えられ、負けた方の染色体はβ鎖を作ることをやめます。この情報がどのようにして伝えられるかは今なお分かってはおりません。父親の染色体も母親の染色体の命令もβ鎖タンパクを作ることに失敗すれば、このTリンパ球は意味のない無駄なリンパ球となるので、アポトーシス(自殺)して死んでしまいます。

 次に父親から一つの染色体と母親から一つの染色体がペアになった第14番目の染色体から、β鎖を作るときと同じように、父親の染色体と母親の染色体がいち早くα鎖になる競争をやるのです。このα鎖を作る父親の染色体と母親の染色体の戦いもβ鎖を作る染色体の戦いと全く同じであります。α鎖とβ鎖が成功裏に作られると、最後にα鎖とβ鎖の2つのタンパクがうまく結合できるかというテストが行われます。このテストにも失敗すれば、T細胞はアポトーシスをして死んでしまいます。遺伝子の命令によって大切なタンパクであるレセプターが作られなければ、T細胞は存在価値がなくなってしまうからです。このようにしてT細胞のレセプターは、唯一無二の特異性を持ったレセプターとなり、この世の唯一無二の抗原を認識することができるのです。

 従ってT細胞がアポトーシスを強いられる場面は2箇所あります。一箇所はα鎖とβ鎖の両方が正しく作れないときであります。2箇所目はα鎖とβ鎖が正しく結びついて完璧なレセプターを作ることができないときであります。

 Bリンパ球の重鎖と軽鎖を作るときの話を極めて具体的に既に書いたので、B細胞のアポトーシスについては充分に理解してもらっているはずです。骨髄で作られたB細胞の95%以上が不良品のレセプターを作ったという理由でアポトーシスするように、骨髄から胸腺に運ばれたT細胞の98%近くが同じように無意味なレセプターを作ったという理由でアポトーシスを受けなければならないことがご理解してもらったと思います。決して胸腺にある自己の成分の胸腺上皮細胞と強く結びつきすぎるT細胞や、全く結びつかないT細胞を排除するためにアポトーシスをしているわけではないのです。しかもなぜ強く結びつきすぎたり、全く結びつかなかったときにアポトーシスしなければ自己免疫疾患が起こるのかの根拠も何一つ示されていないのです。さらに適当に結びつくときには自己免疫疾患は起こらないという根拠も同じように何一つ示されていないのです。以上に述べたように、胸腺に骨髄から流入した未熟なT細胞の数と、胸腺から流出していく成熟したT細胞の数の比が100:2であることは確かでありますが、死んでしまった98%のT細胞は、自己免疫疾患を起こす可能性があるから死んだのでもないし、かつ生き残った2%のT細胞は自己免疫疾患を起こさないから生き残ったのではないという事を知ってもらいたいのです。単純に正常なレセプターを持ち、分化成熟が完璧に可能となったナイーブT細胞だけが末梢血管やリンパ管や組織に出る資格を得ただけなのです。

 このような分化成熟過程でアポトーシスが95%以上のBリンパ球やTリンパ球に起こるに加えて、お偉い免疫学者や臨床学者が言ういわゆる“負の選択”によって、もしさらにアポトーシスが起これば、生き残るBリンパ球やTリンパ球も0.数%以下になってしまうでしょう。確かに今論証したように骨髄でも胸腺でもアポトーシスはあるのですが、このアポトーシスは絶対に自己免疫疾患を起こすBリンパ球やTリンパ球を排除するためではないという事をさらに強調しておきたいのです。この世に自己免疫疾患などという病気は何もない!自己免疫疾患は学者の妄想に近いたわごとに過ぎないのだということを知っておいてください。この世に怖い病気は何もないのです。膠原病は免疫を抑制することによって起こる病気なのです。免疫を抑制しない限りは膠原病は起こり得ないし、仮に自分の心で免疫を抑えて膠原病になっても、ストレスをなくし自分の心で免疫を高めてしまえば自分で治すこともできるのです。自己免疫疾患と言われている世界中の患者さん、病気を恐れる必要はありません。偽りの病気であるからです。最も恐れるべきは医者であり、医者の出す免疫を抑える全ての薬であります。敵は本能寺にあり!です。

 2011/07/25

 ここまでは自己の成分を異物と認識し、自分の細胞成分や自己の核の成分を攻撃するT細胞を除去するために、胸腺でアポトーシスが行われているというのは原理的にも実際的にも起こりえないことを論じてみせました。既に述べたように、胸腺上皮細胞に強く結びつきすぎたり、全く結びつかないT細胞はアポトーシスしてしまい、適度にくっつくT細胞は生き残るなどという表現は医学の言葉ではありません。ありもしないことをあるのだと言い張るために思いついた苦肉の末に編み出した小説の一部と思わざるを得ません。科学である医学を小説に変えてしまうことは許されるものではありません。確かに免疫の中枢器官である胸腺においてT細胞のアポトーシスがおこなわれていることは言うまでもありません。しかしそのアポトーシスは自分を攻撃してしまうT細胞に自殺を促したのではなくて、あくまでも未成熟な役に立たないT細胞をアポトーシスに陥れただけであり、極めて当たり前のことです。

 さて、今日からは胸腺を離れて末梢に出たT細胞が、絶対に自分を攻撃するような過ちは起こすわけでもなく、従って自己免疫疾患を生み出すことも絶対にないことを証明してみせましょう。これを証明するために最初に明らかにしておくことがあります。元来、自己の免疫が自分を攻撃するというフレーズは耳にも電撃的であり目にも鮮やかであります。しかし一体自分の免疫が自分を攻撃するとは具体的には何を意味するのでしょうか?エセ自己免疫主義者は自己免疫疾患を次のように定義しています。

 「自己免疫疾患とは、自己抗原に対して免疫反応を起こして生み出される病気である。この自己抗原とは肉体の一部を形成するタンパクでありますが、ときには身体の炭水化物や脂質やDNAも攻撃することもある。」と。本当にこんな病気があるでしょうか?あり得るわけはないことをさらに前稿と違った角度で切り込んでいきましょう。

 自己免疫疾患だと認められた最初の病気は、1950年代なかばであり、病名は橋本甲状腺炎であります。別名、橋本病・慢性甲状腺炎・慢性リンパ球性甲状腺炎・自己免疫性甲状腺炎ともいわれています。最初に発見した日本人の橋本策(はしもとはかる)にちなんでつけられたのであります。橋本先生自身は1912年にこの病気の論文を発表していたのですが、1950年代になって橋本病に関する研究が進み、橋本病の患者の血液中に甲状腺ホルモンの合成に重要な役割を演じているタンパクであるサイログロブリンに対する抗体が証明されたのです。

 さらに専門的な話になりますが付き合ってください。一体サイログロブリンとは何かについて述べていきましょう。サイログロブリンは甲状腺ホルモンの前駆物質であり、甲状腺濾胞上皮細胞で合成される糖タンパク質であり、このタンパクを合成する遺伝子は人間では染色体の第8番目にあります。

 ついでに述べておきますが、福島の原発事故でヨード131という放射能が撒き散らされました。半減期は8日間でありますが、甲状腺で甲状腺ホルモンを作るためにはヨードが必要であります。正常なヨードであれば全く問題ではないのですが、ヨード131という放射能をもったヨードの同位元素が甲状腺に取り込まれると、甲状腺ホルモンにもこの放射性ヨードが取り込まれてしまうのです。どのようにして放射性甲状腺ホルモンが作られるか簡単に説明しましょう。まず甲状腺濾胞上皮細胞でサイログロブリンが合成され、次に人体に取り込まれたヨード131を血中から甲状腺に取り込まれ、このサイログロブリンとヨード131が結びつき、サイログロブリンをヨード化してはじめて甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)やトリヨードサイロニン(T3)が出来上がるのです。ところが放射性同位元素であるヨード131はいつまでも甲状腺に残り、サイロキシンやトリヨードサイロニンに取り込まれ、この甲状腺濾胞上皮細胞の遺伝子のミューテーション(突然変異)をいつの間にか起こしてしまい、甲状腺癌となってしまうのです。

 さぁ、ここから本格的な私の反論が始まります。つまり私の患者さんにも橋本病の人がたくさんいます。彼らはサイログロブリンに対するサイログロブリン抗体(抗TG抗体)が正常よりも高いのであります。まず問いかけたいのです。正常よりも高いという意味は、一体何なのでしょうか?橋本病がない人でも普通に抗TG抗体を作っているということです。抗TG抗体の正常値は28 IU/ml未満であります。28未満であれば橋本病ではないということです。橋本病は甲状腺機能低下症、つまり抗TG抗体が大量に作られると正常なサイログロブリンが減ってしまい、その結果甲状腺ホルモンであるT3、T4も作られる量が減るので、甲状腺機能低下症となるのです。

 それでは28未満の中で正常な人が作っている抗TG抗体は、橋本病で抗TG抗体を作るメカニズムとは全く別のものであるというわけでしょうか?そんなことは絶対にありません。同じメカニズムで作られている物質が多くなったときに問題を起こすというだけのことなのです。これがまず反論の第1撃です。それでは抗TG抗体の正体は何なのでしょうか?これについての私の考察は既に用意されているのですが、当面は必要がないので後の機会に書く事にしましょう。

 2番目の反論を続けましょう。この抗TG抗体はどのように作られるかについては、自己免疫学者は誰も述べていません。この反論の部分は深遠かつ広範であるので、覚悟して読んでください。自己免疫疾患の専門医のみならず、一般の臨床医も様々な検査結果や血液検査の値だけを見て病気を診断し、治療を始めます。ほとんどの治療が根本治療ではなく対症療法であるので、多くの場合必ず後で問題を起こします。ただ橋本病の場合は甲状腺機能低下症でありますから、甲状腺ホルモンを補充する治療法をやれば根本治療になります。ホルモン補充治療は数少ない根本治療の一つであります。サイロキシン製剤であるチラージンSという甲状腺ホルモンを補充すれば事足りるのです。

 ところが甲状腺専門医でもこの抗TG抗体がなぜ作られるのかについては、世界中の誰一人として追究しません。ただ単に自己免疫疾患の一つであり、甲状腺ホルモン製剤であるチラージンSを出し、正常なT3、T4を確認すれば終わりです。抗TG抗体が生まれるかという追究を最後までやれば、抗TG抗体は自分の成分を攻撃するために作られた自己抗体ではないということが実は分かるのです。それを難解ではありますができる限りわかりやすく証明しましょう。

 抗体が作られる原点に戻って話をします。抗体を作るのに関わるプレーヤーは、まず樹枝状細胞(Dendritic Cell=DC)です。次に補体です。そしてヘルパー1Tリンパ球(Th1)です。さらにBリンパ球です。さらに濾胞内樹枝状細胞(Folicle Dendritic Cell=FDC)が必要です。(この5種類のプレーヤーの名前を読むだけで混乱するでしょうが、我慢してついてきてください。)もちろんこれらの5種類の一般のプレーヤーの中でも、サイログロブリンだけを異物と認識できる特異的な5種類のプレーヤーだけが選ばれてリンパ節に集まる必要があります。もちろん3000箇所もリンパ節があり、その中でたった一つのリンパ節にこれらの特別なプレーヤーが5人集まる確率は極めて低いのです。人体には60兆~100兆の細胞があるといわれています。5種類の役割を果たせるプレーヤーはトータルで何兆個もあり、その中でサイログロブリンだけを敵とみなすことができる5人のプレーヤーがたった一つのリンパ節で出会い、お互いに刺激しあってBリンパ球にサイログロブリンだけに対する特異的な抗体を1種類だけ作れる可能性は天文学的な確率となります。

 さて、ここからひとつひとつのプレーヤーの役割も簡単に述べておきましょう。樹枝状細胞(DC)は異物を捕まえるとそれが刺激となり、その刺激が核に伝えられ、MHCⅡと共刺激(costimuration)分子(B7分子)を作る遺伝子がONになり、MHCⅡと共刺激(costimuration)分子(B7分子)が大量に作られ、異物のペプチド(抗原)をMHCⅡに結びつけた複合体を樹枝状細胞の細胞膜に乗せ、かつTリンパ球を刺激する共刺激分子(B7分子)も樹枝状細胞の細胞膜に大量に表出しながらリンパ節まで移動し、MHCⅡと抗原をナイーブなヘルパー1Tリンパ球に見せ、同時にB7分子をヘルパー1Tリンパ球のCD28に結びつかせます。これによってヘルパー1Tリンパ球が活性化されます。

 次に補体は同じ敵と結びついてこの敵をリンパ節まで運び、濾胞内樹枝状細胞と結びつき、この敵を濾胞内樹枝状細胞がBリンパ球に提示します。上で述べたヘルパー1Tリンパ球は、樹枝状細胞(DC)と結びつき、刺激され活動し始めます。この濾胞内樹枝状細胞は今まで述べてきた樹枝状細胞とは全く異なった細胞であり、リンパ組織にしか存在しないのです。このあたりを素人が理解するのは難しいので、免疫学は医者も本格的に勉強しようとしないのです。

 Bリンパ球はBリンパ球レセプターにこの敵を結びつけ、最後はこれら5つのプレーヤーの働きの結果、B細胞が特異的な抗体を作るようになります。ここまでの話でもあなた方はうんざりするでしょう。でもついてきてください。

 それではこの5種類のプレーヤーの働きについてさらに少し具体的に述べてみましょう。まず1番大事なのは樹枝状細胞(DC)です。この樹枝状細胞(DC)はあらゆる臓器の結合組織にばら撒かれ、結合組織の住人といえます。常に体内に侵入してくる怪しい異物を捕まえようと偵察している斥候であります。この樹枝状細胞(DC)は、皮下の結合組織ではじめてドイツの病理学者であるランゲルハンスが見つけたのでランゲルハンス細胞と名づけられました。ところがその後研究が進み、樹枝状細胞(DC)はあらゆる臓器の結合組織にあることが分かりました。なぜ樹枝状細胞(DC)と呼ばれるかというと、この細胞には細胞体から細長い突起が多数出ており異物を捕まえやすくしているからです。さらに大事なことは、この樹枝状細胞(DC)が異物を捕まえない限りは、最終的には抗体を作ることができないということが分かったのです。樹枝状細胞(DC)は先天免疫の一つでありますが、この細胞がなければ後天免疫であるTリンパ球はBリンパ球に抗体を作らせることができないのであります。この樹枝状細胞(DC)は敵を見つけない限りは、全ての結合組織にいて結合組織にある水性成分(細胞外溶液)をまるで酒飲みのごとく、自分の身体の4倍も飲み込むことができるのです。この水性成分に溶けている異物を見つけるためであります。

 ところがもしサイログロブリンが敵であるならば、このタンパクを樹枝状細胞(DC)は飲み込む必要がありますが、自己免疫学者の誰一人としてサイログロブリンがDCに食われて、それをヘルパー1Tリンパ球(Th1)に提示して初めて抗サイログロブリン抗体ができるのだという報告をしたことはありません。しかも仮にサイログロブリンを異物として飲み込んだとしても、飲み込むだけでは樹枝状細胞(DC)は一番近いリンパ節(所属リンパ節)へ持っていくことができないのです。なぜならばサイログロブリンは単なるタンパクに過ぎないので、樹枝状細胞(DC)は活性化されないからです。DCが活性化されるためには、感染症を起こす細菌の細胞壁やウイルスのタンパクやウイルスの特定のDNAでないと活性化されないということが分かったのです。つまり細菌やウイルスなどの炎症を起こす敵が人体に入って、その敵を殺したりする大食細胞やNK細胞が戦いが生じて初めて、大食細胞やNK細胞から炎症の様々なサイトカイン、例えばTNF-αは大食細胞から作られ、IFN-γはNK細胞から作られるのですが、これらのサイトカインがDCのサイトカイン受容体にキャッチされない限りは、DCは何の仕事もする必要がないのです。サイログロブリン自身は大食細胞にとってもNK細胞にとっても、単なるタンパク質の一つに過ぎないのですから、敵とみなすことは絶対にないのです。従ってサイログロブリンを大食細胞やNK細胞が取り込んでも、大食細胞がTNF-αを作ったり、NK細胞がIFN-γを作ることは絶対にないのです。従ってサイログロブリンを貪食してもDCに敵が来たという合図となるTNF-αやIFN-γをDCに送ることができないのです。つまり先天免疫による戦いにより生ずる症状を炎症と呼ぶので、このように大食細胞から作られ炎症を起こすTNF-αを炎症性サイトカインと呼ぶのです。(IFN-γを敵との戦いのシグナルといったり、TNF-αを敵が来たという警告のサイトカインともいったりすることもあります。)ちなみに古来からいわれている炎症の古典的4大主徴があります。発赤、腫脹、熱感、疼痛です。それぞれ順にラテン語で、rubor、tumor、calor、dolorであります。英語ではそれぞれ、redness、swelling、heat、painであります。

 それでも仮にサイログロブリンをDCが飲み込んでも、サイログロブリンは何の悪さもしないどころか、生死に全く関係がないので、DCは活性化されることもないので、このサイログロブリンをリンパ節に運ぶことができないのです。DCは敵に活性化されて初めてリンパ節へ移動することができるのです。活性化されないDCは永遠に同じ場所に居続け、いつまでも大量の水性溶液を飲み込んでは吐き出すというヘビードリンカーのような怠惰な生活をしているのです。このようなDCの働きをmacropinocyticといいます。DCが敵を取り込んでリンパ節に移動して、Th1に敵を提示しない限りは絶対に抗体は作られないのです。逆にサイログロブリンはタンパクですから、栄養分としてリサイクルできるものですから、何もDCはあたふたする必要もないのです。このような事実もまさに人間の免疫の遺伝子は38億年間かけて合目的に進化した所産である証の一つとなるのです。つまり免疫は人体が危機に瀕しない限り、免疫活動を始めることは絶対にないのです。

 ついでに述べておきますが、樹枝状細胞(DC)や大食細胞の研究の第一人者は大阪大学教授の審明静男(あきらしずお)であります。彼はこの研究により何年か前までは世界で最も論文が引用された学者となったことがありました。DCは極めて興味ある細胞でありますが、後で詳しく書きましょう。

 ここで樹枝状細胞(DC)と大食細胞の違いについて、念のために少し述べておきましょう。DCは一言で言えば、病原体センサーであり、危険察知センサーであり、完全に危険な敵(抗原)を今までに敵に出会ったことがない、未経験なヘルパー1Tリンパ球やキラーT細胞に専門的に初めて提示する仕事に専念しています。それも敵と戦うときに必ず炎症が起きます。この炎症を引き起こすサイトカインを炎症性サイトカインであることあ既に述べました。代表的な炎症性サイトカインであるTNF-αやIFN-γなどのサイトカインとDCが結びついて初めて活性化され、活性化されたDCだけが初めてリンパ節まで移動することができ、敵の情報を運び、T細胞に提示する資格を得ることができるのです。

 ここで炎症の本当の意味を知っておいてください。一言で言えば、危険な敵を殺すときに見られる炎症反応といえます。とどのつまりはIgG抗体を最終的に作れる免疫反応であります。つまりIgG抗体は抗原提示細胞によって敵を認識したヘルパー1Tリンパ球がBリンパ球を手助けして作らせるものでありますが、このIgG抗体こそが大食細胞やNK細胞や好中球と結びつき、適を殺そうとして戦いが始まったときに見られる様々な症状が炎症反応といえます。と同時にNKT細胞は敵が潜んだ細胞を直接殺すことによっても炎症反応が起きます。つまり炎症とは異物を殺そうとするときに見られる症状であり、それを漠然と医者は昔から炎症といってきたのです。

 一方、大食細胞は極めてたくさんの仕事をすることができますが、いくつか列挙しておきましょう。まず危険な敵を食べて殺すこと。二つ目が殺した敵のタンパクの断片であるペプチド抗原を組織で経験のあるヘルパーT細胞に提示することができること。三つ目は敵を食べたNK細胞から生み出されたIFN-γというサイトカインの信号をキャッチして活性化され、TNF-αというサイトカインをどんどん作り出し、敵が来た、敵を殺そうとする炎症が起こっているという情報をDCに送ってDCを活性化させ、DCをリンパ節に移動させることができるのです。ここまで読むだけでも、皆さんは頭が混乱するでしょう。あなた方は治療を受ける側ですから責任はありません。しかし私はあなた方の病気を治す義務と責任を負わねばならないのです。従ってこのように現代の免疫学の最先端を理解せねばならないのです。皆さんも私のやっている医療を理解してもらうためについてきてください。

 自己免疫疾患といわれて来た人は抗核抗体とか抗dsDNA抗体とか抗RNP抗体などの検査の専門用語を聞いたことがあるでしょう。これらの抗体は全て細胞の中にある核の成分に対する抗体です。核は自分の細胞の成分ですから、このような自己の成分に対して自分自身の免疫が様々な抗体を作るのは、自分を攻撃する自己免疫疾患の証であると自己免疫学者は自信たっぷりで患者に伝えます。しかしこのような抗体も以上に述べた橋本病のサイログロブリンに対する抗体と同じように、抗体を作るまでの正しい免疫の理論と実際から考えてもあり得ない自己免疫抗体であります。

 さらにこのような抗体を作るときも、世界中の免疫学者はどのようにしてこのような抗体が作られるのかのプロセスについても一切言及していません。しかもこのような抗体は多かれ少なかれ誰もが持っているものですから、抗体の量が多いからといって自己免疫疾患が起こり、抗体の量が少ないときには自己免疫疾患ではないなどという言い方も間違いです。例えば抗核抗体の正常は40未満といわれますし、抗dsDNA抗体の正常値も10未満であります。このような抗体を多く作るときの免疫のメカニズムと少なく作るときのメカニズムは決して異なるわけではないので、もしこのような抗体の量が多ければ自己免疫疾患となれば、少ない抗体の量を持っている人も自己免疫疾患と言わざるを得ないでしょう。

 リンパ節で刺激されなければならないのは、今まで述べてきたようにヘルパー1Tリンパ球だけではありません。Bリンパ球も活性化される必要があります。そのためにまずBリンパ球に敵(抗原)を提示する必要があるのです。ここで濾胞内樹枝状細胞(FDC)の登場となるのです。このFDCはリンパ節のBリンパ球の多いリンパ濾胞に住みつき、しかも樹枝状細胞と同じく突起がついているので、濾胞内樹枝状細胞といわれるのですが、末梢組織にいる敵を捕まえることはできません。それではどうしてBリンパ球に敵を知らせることができるのでしょうか?この敵を運んでくれるのが補体なのです。補体の話をするとさらに長い時間がかかるのでいずれ機会があればお話しますが、今のところは敵を捕まえてリンパ流や血流に乗ってリンパ節まで運んでくるのです。そしてBリンパ球に敵を提示するのです。Bリンパ球には補体と結びつくレセプターがあり、この補体と結びついている間に補体が運んできた敵(抗原)を取り上げて敵(抗原)と結びつき、Bリンパ球が敵を認識するのです。さらに抗体ができた後は、抗体と結びついた敵とさらに補体の3つが結びつき、抗原抗体免疫複合体となり、免疫複合体の補体とBリンパ球の補体レセプターが結びついて、抗原をいつまでもBリンパ球に提示し続けるのです。つまり濾胞内樹枝状細胞はBリンパ球に抗原を提示する仕事をしているのです。自己免疫学者はこの敵(抗原)が自己の成分であると言い張っているのです。ちゃんちゃらおかしいと思いませんか?だって彼らはこのような話はあらゆる自己免疫学の本には一切書いていないからです。なぜだか分かりますか?自己成分と結びつく補体というのは存在しないからです。補体は無限大にありますが、この無限大の補体と自己成分が結びつく現象などはありえないからです。彼らも見え見えの嘘、つまり簡単にばれる嘘はつきたくないからです。

 最近の免疫学はこれだけ詳しく免疫の実際を活き活きと解明しているにもかかわらず、補体が自分の成分が補体と結びつき、この補体と自己成分がリンパ節に運ばれ、この自己成分が異物としてBリンパ球に提示され、Bリンパ球と結びついてBリンパ球を刺激するという話を一行でも書いた自己免疫学者が世界に一人でもいるでしょうか?さらに自己成分と自己抗体と補体の3者が結びついた抗原抗体免疫複合体がさらにBリンパ球を刺激して、Bリンパ球に自己抗体を作らせ続けるという話をした自己免疫学者が一人たりともいるでしょうか?

 彼らは現代文明に残された最大の難病は自分の免疫が自分を攻撃するという自己免疫疾患だと言い張り続けるのみならず、永遠に治らない病気だと言い張り続け、説明ができなくなると、「分からない、分からない」と逃げの手を打つばかりで、なぜ私のように自己抗体が作られるまでのプロセスを、免疫の原理原則にのっとって理解しようとしないのでしょうか?これこそ現代医学界の最大の謎であります。自己免疫疾患などは起こりえないという事は極めて簡単に理解できるにもかかわらず、世界の医学者が自己免疫疾患は「不思議な病気だ、解明できない病気だ、治せない病気だ」と大合唱していますが、全ての間違いの根源は、ありもしない病気を捏造している間違いに全く気がついていないところにあるのです。いや気がついていないのではありません。私のような一介の開業医が知っていることを、世界中の優れた医学者が気づかないはずはないのです。とどのつまりは病気の全てを治すのは医者でも薬でもなく、結局は患者さんの免疫であることがバレてしまうことを恐れているからです。バレてしまえば病気を治すのに医者も薬もいらなくなってしまうからです。もちろん免疫を抑えない限り膠原病は治るどころか絶対に起こり得ない病気であることもバレてしまうからです。実際私は医者や病院や製薬メーカーがなくなれば病気は激減することを確信しております。現代の医療システムは患者の病気を治す為にあるのではなくて、医療や薬屋が病気を作ってお金を儲けるためにあるといっても過言ではないのです。ただ医薬業界は医者や薬剤師が医学知識を100%独占している談合の世界であるからこそ誰も手が出せないのです。医薬業界は病気を治す為にある世界ではないのです。なぜならば病気を治すのは患者の免疫の遺伝子だけであり、医薬業界はあらゆる種類の免疫を抑える化学物質を作って免疫の遺伝子を損ねて新たに病気を作っているのです。

 以上、リンパ組織で抗体が作られるまでの5種類のプレーヤーの仕事ぶりについてある程度までポイントを詳しく書きました。以上の話だけでも特定の敵(抗原)に対して特定の抗体が1種類作られるだけでも、いかに人間の免疫が複雑な働きを発揮するかが少しは理解できたでしょう。この免疫の働きは全て遺伝子によってコードされ、人体に抗原が初めて入ることによって、その抗原を処理するために免疫の遺伝子が瞬時に発動され、免疫のプレーヤーの全てが活性化されて敵と戦いを始めるのです。38億年かかって出来上がった免疫の遺伝子の働きは完璧であります。生命を守るためにその完璧な免疫の働きを変えようとして、お金のために病気を作っているのが現代の臨床医学であります。免疫の遺伝子の働きを素直に理解し、素直に従えば、全ての病気が治るにもかかわらず、現代医学は医療を金儲けのネタにしようとするからこそ病気を治せなくしてしまっているのです。

 免疫の遺伝子は損得を超えた絶対的な真実の世界であります。その真実の世界を損得で動き回っているのが現代の医学者たちです。金儲けのネタにしようとして作り出した最悪の病名が自己免疫疾患であります。捏造された病気は無数にありますが、その中で最も患者が被害をこうむっている病気が自己免疫疾患であります。この自己免疫疾患は実は現代文明が大量に、いや無限に作り出し、新たに作りつつある化学物質をIgGで排除しようとすることによって生じる免疫の遺伝子の正しい戦いなのです。自己を異物である化学物質から守るために免疫が戦っている症状に過ぎないのです。この化学物質に関しては自己免疫学者は一切口にしません。ただただ自己の成分を攻撃するというとんでもない病名をつけ、免疫の遺伝子を傷つけ、治せない病気に仕立て上げている現代医学に対する大いなる憤激を感じながら書いています。

 自己免疫疾患は自分の成分と自己の免疫が戦っているのではなくて、化学物質と戦っているということを証明する必要があります。私の考えは簡単です。基本的には大量に人体に摂取された化学物質が様々なタンパクと結びつき、これが異物となり免疫の敵となっているのです。この化学物質をハプテンといい、タンパク質をキャリアタンパクということは既に何百回と書きました。ハプテンの定義を日本で最も優れた歴史のある南山堂出版の医学大辞典第19版から書き添えておきましょう。

 ハプテン(不完全抗原)- 抗体と結合するが単独で抗体産生を引き起こすことができない抗原であるので、不完全抗原ともいいます。適当なタンパクと結合すると免疫を刺激して抗体を作ることができる完全抗原となります。一部の糖質、脂質、核酸、単純化学物質がハプテンとなります。各種自己免疫疾患患者の血清中に抗体が検出されるDNAやRNAや免疫応答の解析に用いられる化学物質のDNP基やFITC基などがハプテンになる。ペニシリンなどの薬剤もハプテンとなり、人体の組織のタンパクと結合して免疫反応を起こし、アナフィラキシーや溶血性貧血などを引き起こします。さらにキャリアタンパクと結合したハプテンは、完全抗原となり、ハプテン部分がB細胞に認識され、キャリアタンパク部分がT細胞に認識されて、B細胞とT細胞が結びつき抗体産生を促進します。

 皆さん、このハプテンの定義を読めば、頭のいい人ならばすぐに自己免疫疾患がないという事がお分かりでしょう。と同時に自己免疫疾患の原因は化学物質であることもお分かりになるでしょう。この定義はまさに“我が意を得たり”の一言に尽きます。なぜならば私は世界中の自己免疫学者を敵に回しているのですが、その敵が塩をくれたのです。実は敵の城の天守閣の中に味方を見つけたのです。このハプテンの定義に書かれている事実が私のいう自己免疫疾患であるのです。このように医学大辞典を執筆している一流の免疫学者はここまで知っているにもかかわらず、これを世間一般に知らせようとしないのです。私もこの定義を知ってビックリ仰天です!!!

 さらに現代医学の間違いを正すために一刻も惜しんで免疫学を勉強しております。免疫学は勉強すればするほど奥が深く、いつまでも興味が尽きない学問です。しかもお金よりも大事な全ての人間の生命を保持し続けるという喜びを与えてくれる学問です。66歳の死にぞこないの一介の開業医でありますが、今なお臨床に励み、かつ免疫学の勉強に情熱を注いでいるのは、最大の幸せをこのようにもたらすことができるからです。私がもたらすのではなくて、患者さん自身が、患者さん自身の免疫の遺伝子が病気を治してくれることを知ってもらいたいために、死ぬまで飽くなき免疫学の勉強を続けるつもりです。みなさん、病気を治すのは医者でも薬でもないのです。あなた方自身の持っている免疫の遺伝子なのです。私が名医であるのではないのです。あなた方の免疫の遺伝子こそが最高の名医なのです。ストレスを上手に逃げてください。ストレスは鬱にならないために副腎皮質ホルモンを大量に作らせ続けます。免疫の遺伝子を変えてしまうこのようなステロイドホルモンを出し続けると膠原病になるどころか、永遠に膠原病を治せない病気にしてしまうからです。自分が不幸でも他人の幸せを心から喜んであげなさい。そうすればステロイドホルモンは不必要に作られることもなく、膠原病も一切生ずることはないのです。最後は化学物質と共存できるような体になってしまうのです。もちろん永遠の心の幸せも手に入れることができるのです。

 今日はここまでです。2011/08/08

 3番目の反論をしましょう。膠原病はアレルギーのひとつですから、アレルギーの分類で橋本病は第4番目の遅延型過敏反応に分類されています。まずなぜアレルギーの4つの分類の中に膠原病が含まれてしまうのかという疑問です。世界中の免疫学者はアレルギーと膠原病は薄々同じ敵と戦っている似た病気であると気づいてはいるのですが、私のように膠原病とアレルギーの相似点と差異が明確に認識されていないのです。松本医学が常に実証しているように、自己免疫疾患だといわれている膠原病は、アレルギーと同じ敵と戦っている点が相似点であり、差異は患者の免疫が用いる武器がIgGとIgEの違いがあるだけなのです。どの点がIgGとIgEが同じであるかというと、IgGもIgEも“Y”の形になっており、上部の2つの手で捕まえる抗原が同じであり、違っている点は下の一本足に結びついてくれる細胞が違うのです。この細胞の違いが大きな違いを生み出すのです。つまりIgGの一本足につく細胞は殺すために仕事をする好中球であり、大食細胞であり、NK細胞であり、補体であります。一方IgEの一本足につく細胞は殺すのではなくて排除するために仕事をする肥満細胞や好酸球や好塩基球であります。これらの細胞はまさにアレルギー症状を起こして異物を排除しようとしているだけなのです。従って殺すときの症状と排除するときの症状に違いがあるのは当然であり、症状により病気の名前をつける限りは、見かけの病名は様々につけられるのです。従って免疫にとって敵である異物は全く同じであり、膠原病を起こすときはIgGで戦い、アレルギーを起こすときはIgGをクラススイッチしてIgEで戦っているに過ぎないだけであることを現代の偉い免疫学の先生方はご存じないのです。実は大知りなのですが言えなのです。なぜならばアレルギーのアレルゲンと自己免疫疾患である膠原病の抗原とは同じものであるということを認めてしまうと、自己免疫疾患の概念自身が完全に崩れ去ってしまうからです。それではどのようにしてこのような間違ったアレルギーの概念や自己免疫疾患の概念が生まれ、1963年にクームスとゲルのアレルギーを4つに分ける分類法ができあがったのかのいきさつと、今なお愚かにも間違った分類が続けられているかについて説明していきましょう。まずアレルギーについて説明しましょう。

 このクームスとゲルの分類は1963年に提唱されたものですが、50年近くたった今でも用いられていますが、私に言わせると意味のない分類です。一番シンプルな分類はIgE抗体で戦う病気だけであり、クームスとゲルの分類では第Ⅰ型の分類だけがアレルギーとなるのです。他のⅡ型、Ⅲ型、Ⅳ型はIgGと戦う病気としてひとつにすべきものです。

 そもそもアレルギーを日本語に直せば、人間にとって不利益な過敏性の反応を起こす疾患という意味であります。本来最初に出会った抗原が2回目に出会ったときには、人間の免疫は普通は防御的に処理し症状は楽になるはずであるのに、アレルギーに関しては逆に有害な不利益な反応を起こす一連の免疫反応をアレルギーと捉えたわけです。ところがクームスとゲルによる4つのアレルギーの分類の中で第Ⅰ型のアレルギーに関与する抗体であるIgE抗体が見つけられたのは1965年であります。日本の石坂公成夫妻によってであります。彼は利根川進が1987年にノーベル生理学・医学賞を授与されるまでは、日本人として最初のノーベル医学賞の候補として取りざたされてきた人でしたが、残念にも授与されませんでした。つまりクームスとゲルはⅠ型のアレルギーにIgE抗体が関わっていることを知らないでアレルギーの分類を作り上げたのです。それでは1963年にクームスゲルのアレルギー分類ができるまでのアレルギーの研究についての歴史を振り返り、どのようにしてアレルギーと膠原病が混同される間違った概念が生み出されたかを見ていきましょう。

 アレルギーという現象は古くからあり、前1世紀のローマの詩人・哲学者であったルクレティウスも、「ある人にとっての薬は別の人にとっては毒になる」と言っていますが、古代の薬は薬草に決まっているので、薬草が毒にも薬にもなるという事をアレルギーの意味を知らずして書き残しています。これは天然の薬草に含まれている成分が人によって異物と認識される度合いが違うことを意味しています。つまりMHCⅡ遺伝子の違いを、いわゆるアレルギーの現象のように認識されていたことを物語ります。さらにユダヤ教の聖典であるバビロニア・タルムードには卵白によるアレルギーがあったことも記されています。その後もアレルギー性鼻炎や喘息などが、あらゆる世界の書物に記載されていることが知られていますが、現代のアレルギーと違ってその原因は天然の異物であったのです。鶏に卵を産ませた飼料に天然の異物が大量に含まれていたので卵アレルギーのような症状が見られたのです。しかしアレルギーの学問としての研究が始まったのは20世紀に入ってからであるのです。その歴史について詳しく書きましょう。

 フランスとつながりが強かったモナコ公国の皇太子であったアルバートと船乗りをしていたモナコの王室海洋研究所で仕事をしていたフランス人の医者であったチャールズ・リシェに、皇太子が口にしました。「カツオノエボシ(電気クラゲ)に刺された毒素に強く反応して苦しんで死ぬ人もいるがどうしてなのか?」と。これを聞いたリシェは興味をもってポール・ポルティエと研究を始めました。1902年のことでした。犬にカツオノエボシの抽出液を注射すると、1回目は何の反応も見られなかったのが、残った抽出液を2回目に注射すると呼吸困難や下痢や下血などをきたして死ぬことを見出しました。つまり現代の言葉で言うと、犬の気管支喘息であり、犬のアレルギー性腸炎や犬のクローン病や潰瘍性大腸炎にも似た症状が見られたのです。この現象はリシェが予想していたフォン・ベーリングや日本の北里柴三郎によって見出されていた病気を予防してくれる免疫とは逆の反応であったのです。この現象をアナフィラキシーと名づけました。

 皆さんも良くご存知のように、アレルギーの強い人がそばを食べたときに引き起こされるアナフィラキシー・ショックのアナフィラキシーであります。“アナ”というのは“反対”という意味であり、“フィラキシー”というのは“防御”という意味であり、従って“アナフィラキシー”の意味は“反防御”であります。このとき彼らは次の実験もすべきだったのです。大量の生のカツオノエボシを2回とも食べさせたら犬はどんな反応を起こすのか、さらにカツオノエボシを煮たり焼いたりして食べさせたらどのような反応を起こすのか、さらに1回目は注射で毒素を注入し、2回目に食べさせるという実験もすべきだったのです。現代のアレルギーの学者がやるべきでありますが、私はその報告を見たことがありません。結論から言うと、様々な結果が出るでしょうが、多様な免疫の遺伝子を持った人はクローン病や潰瘍性大腸炎に、普通の免疫の遺伝子を持った人はおそらく経口トレランス(免疫寛容)を起こし、何の症状も出ないでしょう。彼は1913年にこのアレルギーの研究でノーベル賞を受賞しました。その当時は全く知られていなかったのですが、実は彼の仕事はⅠ型のアレルギーであるIgEが関わる即時型アレルギーの研究であり、一部はIgGが関わる膠原病の研究であったのですが、彼はそこまでは気づいていなかったのです。

 さらに1903年にフランスのニコラス・アルサスは、ウサギの皮膚に馬の血清を繰り返し注射すると、注射するたびに反応が強くなり、注射した局所に発赤が見られ、さらに出血・壊死が起こり、最後は潰瘍が生じることを見つけ出しました。アルサス反応といわれる第Ⅲ型アレルギーである免疫複合体反応であり、血清病といわれたり、ときには全身性エリテマトーデス(SLE)が属する膠原病を引き起こすのです。アルサスはアレルギーの研究をしているつもりだったのですが、上記のリシェと同じく実は膠原病の研究をしていたことに気がついていなかったのです。なぜ気がつかなかったかについて具体的にもっと詳しく述べましょう。この免疫複合体はどのように作られ、さらに免疫複合体反応がどのようにして起こるかを説明しましょう。

 馬の血清は何からできているかというと、まさに馬が作ったγグロブリンであり、このγグロブリンは馬が作ったIgGであります。このIgGはタンパクからできており、ウサギにとっては異物タンパクそのものであります。このような異物タンパクをウサギに注射すると、ある馬の血清の主成分である馬の作ったIgGに対して、ウサギがIgG抗体を作ったのです。このウサギの作ったIgG抗体の“Y”の2つの手の部分に異物である馬のIgGが結びつき、免疫複合体となります。この複合体が好中球や大食細胞に食べられ尽くされると、一時的な反応で終わるのですが、大量に馬の血清が入れられると、補体(complement)という先天免疫に属するタンパクが免疫複合体のIgG抗体の“Y”の一本足にあるFc部分に結びつき、この補体が活性化されてC5aやC3aが作られます。C5aやC3aはアナフィラトキシンといわれ、先ほど述べたアナフィラキシーに似た症状を生み出します。このC5aやC3aが血管の平滑筋を収縮させ、かつ血管の透過性を高めて血管から炎症を起こす様々なサイトカインや抗体や大食細胞や、さらに補体を組織に漏出させるのです。さらにC5aやC3aは組織にある肥満細胞と結びつき活性化させ、ヒスタミンやTNA-αを放出させて、同じような仕事をさせるのです。こうしていわゆるアルサス反応が起こるのです。全てを語ることは難しすぎて語りつくせません。アルサス反応はここまでにしておきます。もちろんアルサスはその当時、今述べたような現象については全く知らなかったのです。アルサスアレルギーではなくて膠原病を起こしていたことも当然知らなかったのです。

 しかし現代の医療で様々な治療の際にアルサス反応が起こり、新たなる膠原病を作っている医原病があることを示しておきましょう。その代表的な一つは4歳以下の乳幼児に好発する川崎病で、他人の免疫グロブリンを大量に静脈投与されることがあります。この病気は私はヨウレン菌(溶血性レンサ球菌)が作る多種類のエクソトキシンという毒素と免疫が戦って、中和抗体を作ることができなかった乳幼児の血管内細胞の結合組織にとどまり、とりわけ冠動脈の結合組織でレンサ球菌のエクソトキシンと戦いが続き、その結果冠動脈瘤ができ心筋梗塞や突然死をきたすことがあると考えています。このときにレンサ球菌の様々なエクソトキシンに対してIgG中和抗体が含まれている他人の免疫グロブリンを川崎病の子供に投与すると、この他人のIgG中和抗体と患児のレンサ球菌のエクソトキシンと結びつきます。これを好中球や大食細胞が食べ尽くすと川崎病もよくなるのです。

 ところがこの他人のIgG中和抗体を大量に入れすぎると、これらは他人のタンパクの異物でありますから、これを異物と認識した患児の免疫が排除しようとします。すると上に述べたアルサス反応が生じ、ショックを起こすことがあるのです。アルサス反応は馬の血清をウサギに投与して生じたのですが、免疫グロブリン大量静脈注入は結局のところ他人の血清を川崎病の患者に入れることによって同じことが起こるのです。さらに他人の異物に対して膠原病を起こすことがあるのです。私の子供の患者さんでSLEが何人かいます。彼らはほとんどが川崎病や川崎病の疑いで大量に他人の血清である免疫グロブリンを投与された経験を持っています。つまり大量に入れられた免疫グロブリンが異物となり、徐々に膠原病を作り、極めて珍しい子供のSLEを生じさせたのです。

 ちなみに川崎病についてコメントをしていきましょう。川崎病の間接的な原因は、子供が風邪をひいたときに免疫を抑える解熱剤や痛み止めなどを投与することによって、風邪のウイルスと同時に喉に感染したレンサ球菌がこっそり増殖したために起こったレンサ球菌感染症の結果エクソトキシンが大量に作られたためだと考えています。風邪はウイルスによって起こされるのでありますから、風邪のウイルスを殺す薬は全くありません。医者にかかっても風邪を治しているのは医者でもなく薬でもなく、患者さんの免疫しかウイルスを殺す方法はありません。このときに抗生物質を入れられずに解熱剤だけで投与されると、免疫が落とされてしまうと喉の扁桃やアデノイドの陰窩に隠れているレンサ球菌はどんどん増殖し、レンサ球菌との戦いが長引き、最終的には川崎病のような病気を引き起こすと考えております。私の子供の患者さんが風邪をひいて熱があるときに抗生物質を投与するのはこのことを常に念頭に置いているからです。

 時代の流れとして抗生物質はウイルスを殺せないから入れるべきではないとか、抗生物質を使いすぎると耐性菌ができるからやめた方がよいと考える医者がいますが、私はそうは考えません。なぜならば畜産物に含まれている抗生物質について考えてみたら分かります。病気でない全ての牛・豚・鶏に入れられている抗生物質の量は医者が風邪でときに投与する抗生物質とは比較ができないほど大量に入っており、毎日毎日否が応でも抗生物質を大量に食べさせられているからです。

 さらにアレルギーの減感作療法というのがあります。これほど原理的にも意味のない、しかも時間と費用と労力と不愉快さをかけても絶対にアレルギーは治らないと保証できる治療も珍しいといえるぐらいです。アレルギーを治す方法は松本医学が実証しているように、サプレッサーT細胞(レギュラトリーT細胞)にインターロイキン10とTGF-βを作らせることによって生ずる自然後天的免疫寛容しかありません。その結果、アレルゲンである化学物質と共存するしかないのです。この減感作療法というのは同じアレルゲンに対してIgE抗体を作らせるのではなくて、人体に徐々に徐々にアレルゲンを時間をかけて投与すると、IgE抗体ではなくIgG抗体が作られ、痒みや鼻水などを起こさせないようにできるようです。IgEではなくIgGが作られることを実験的に確かめて治療に応用されたのです。ところがどうしてIgEを作らせるアレルゲンを注射することによってIgGを作らせるかという原理について一言も言及されていません。さらに問題点があります。異物に対して作られたIgG抗体が実は大変な悪さをするのです。つまり膠原病を作ってしまうのです。私の患者さんでアレルギーを治すというふれこみで騙され、減感作療法によっていわゆる自己免疫性肝炎や他の膠原病を作られた人が何人かいます。現代の医療は病気を治すのではなくて、まさに病気を作ることに精を出しているようです。残念です。

 ところが実はこの人体実験は極めて示唆的な意味を持っています。アレルギーを膠原病にできるという実験です。つまりアレルギーと膠原病は同じ病気であるという事を示唆しているのみならず、アレルギーを起こすヘルパー1T細胞(Th1)の世界を膠原病を起こすヘルパー2T細胞(Th2)の世界に変えることができることを意味しています。私は現代の病気の中で最も難病といわれる膠原病を治す事が出来るという事を理論的に証明するために自己免疫疾患などというものはないというテーマで難しい免疫を皆さんに分かりやすく説明してあげようとしているところです。ところが減感作療法では簡単にアレルギーの世界を形成しているTh2とIgEの世界を、いとも簡単に膠原病の世界を支配するTh1とIgGの世界に変えてしまうことができるのです。このメカニズムを理解することができれば、私が証明している膠原病をアレルギーに変えて最後は免疫寛容によって膠原病もアレルギーも全て治ってしまう完璧な理論を最後に作り上げる可能性が出てきたのです。もっと簡単に言えば、インターロイキン4がTh1をTh2に変えてしまう決定的なファクターであることは分かっているので、このインターロイキン4をいかにして作るかが私のクラススイッチの要となるのです。逆に減感作療法ではこのインターロイキン4を絶対に作らせないようにしているからこそ、IgEがIgGに変わってしまうということになるのです。この問いに対する考察は次回に回しましょう!いずれにしろ膠原病とアレルギーは結局は同じ病気であることを頭に叩き込んでおいてください!

 今日はここまでです。2011/08/22

 前回最後に述べたように、リンパ節で抗体を作るべく活性化されたBリンパ球は、クラススイッチのサイトカインであるIL-4と出会うと、IgM抗体やIgG抗体からIgE抗体に作り変えるように遺伝子が働き出します。仮にBリンパ球がIL-4に出会っても、ステロイドホルモンを入れてしまうと、クラススイッチを命令する遺伝子群の転写が不可能となり、IgMとIgGからIgEにクラススイッチをすることができなくなります。転写とはDNAの遺伝子の暗号をRNAに写し変えて新しいタンパクを作ることは既に述べました。自己免疫疾患といわれる病気に対して現代の医療に用いられている薬の全ては、神から与えられた自然な免疫の遺伝子の命令を実行に移すことをさせないだけですから、このようなIgMやIgGがアレルギーの抗体であるIgEに変わることさえ気がついていないのです。いや、気がついてはいるのですが、頬被りをしているだけです。間違った治療をしているにもかかわらず、治る膠原病を「治らない治らない」と言い張って、挙句の果てに自分の免疫が自分を攻撃しているというとんでもない病気を捏造し、治らないのは医者の責任ではなくて神なる免疫の遺伝子のせいにしてしまっているのです。悲しいことです。

 いわゆる自己免疫疾患は、Th1によって異物と戦う世界であります。Th1はIFN-γやIL-2、さらにTNFを出してIgGを作らせ、異物を殺すために熱や痛みや様々な炎症症状を起こすのでありますが、一方、Th2はIL-4やIL-5やIL-10やTGF-βを出してBリンパ球をクラススイッチさせ、異物を殺すのではなくて排除するアレルギーの世界となると同時に、IL-10はTh1に対して増殖するなという命令を出して、Th1の世界を終わらせようとします。何回も述べているように、サプレッサーT細胞はIL-10とTGF-βを出して全ての免疫の働きを停止させて自然後天的免疫寛容を起こさせるのでありますが、既にTh2もサプレッサーT細胞と同じように一部はサイトカインのIL-10やTGF-βを出し始めることによって、共存できる敵である化学物質との戦いをやめさせようとし始めるのです。従って人間の免疫は極めて利口であり、38億年かかって確立した免疫の遺伝子は、いずれ自然後天的免疫寛容を起こす敵とは戦いをやめるべき運命を予知しているが如く、クラススイッチを起こさせるサイトカインを出すTh2の段階でも、既にIL-10やTGF-βを出し始めているのです。ところが同時にIL-4も出しているので、アレルギーの戦いをしながら、かつ戦いをやめさせるブレーキをもかけているわけですから、戦いを続けるべきかやめるべきかのどっちつかずの中途半端な状態になり、全ての免疫の戦いをやめさせるために、免疫の進化の中でサプレッサーT細胞が新たに登場したと考えられます。

 事実、Th0からサプレッサーT細胞が出現するのは、Th2から出されるIL-10に刺激されるからだということが分かってきました。さらにインターフェロンα(IFN-α)といわれるサイトカインがあります。このIFN-αはウイルス性肝炎でよく用いられるのでご存知だと思いますが、このサイトカインはウイルスを複製するのを阻止したり、様々な細胞の増殖を抑制したり、さらに免疫反応の抑制作用があるという事は知られていました。このIFN-αは様々な白血球によって作り出されるのでありますが、このIFN-αによってもサプレッサーT細胞がTh0から出現してくるということも分かってきました。

 ここで思い切って自然後天的免疫寛容を起こすサプレッサーT細胞の3つのサブタイプについて述べておきましょう。この話は自己免疫疾患がないというタイトルとは直接関係がないのですが、絶対に治らないとされている自己免疫疾患と名づけられた膠原病は治るという根拠を述べることによって、より積極的に自己免疫疾患を否定することになるので述べておきます。

 私が今までサプレッサーT細胞と述べてきたのは、多田富雄先生が国際免疫学会の会長でいらっしゃった20年前頃に、彼自身が見つけた免疫を抑制するT細胞が一時話題になりサプレッサーT細胞と呼ばれた時代がありました。ところがこのような抑制性のT細胞の研究が一時下火になったことがあります。しかしながら再びサプレッサーT細胞が脚光を浴びるようになり、世界中の学者が競って研究を再開し、このサプレッサーT細胞には3種類あることもわかるようになりました。これらの細胞は全て細胞の膜の表面にCD4というタンパクのマーカーを持っています。CD4についてはT細胞が胸腺で成熟分化する話をしたときに既に書きました。このCD4というタンパクを膜に持っているのはサプレッサーT細胞だけではなくて、Th1もTh2も持っていることは既にご存知でしょう。このCD4というマーカーを持っているT細胞で、免疫を抑制する仕事をする細胞のひとつが、私がいつも述べてきたサプレッサーT細胞であり、これが現在はレギュラトリーT細胞と呼ばれ始めました。このレギュラトリーT細胞のひとつをTr1と表示するようになりました。

 新たに発見された2つめのレギュラトリーT細胞は、さらにCD25というタンパクを膜の表面に持っています。この細胞をCD4+CD25+T細胞といいます。この細胞は全てのT細胞の働きを抑えてIL-2の産生を抑え、かつCD4T細胞やCD8T細胞の増殖を抑えてしまうのです。ご存知のようにIL-2はTh1細胞が産生するサイトカインであり、これがなければTh1細胞は増殖できないのです。もちろんこのCD4+CD25+T細胞はまさにTr1細胞と同じくIL-10とTGF-βを作り出して、自然後天的免疫寛容を起こさせます。

 最後に3つめのレギュラトリーT細胞についても述べておきましょう。この3つ目の細胞はTh3と名づけられ、TGF-βを分泌します。Th3は特に粘膜に多く見られ、粘膜において抗原を提示されたときに活性化されるといわれています。いずれにしろこれらのレギュラトリーT細胞は全てTGF-βを大量に産生し、戦う意味のない敵とは共存するために、免疫の戦いをやめさせようとするのです。

 私が以前から言っているように、自然後天的免疫寛容を起こす主役はまさにTGF-βというサイトカインであり、脇役はIL-10といえます。このように人体には無駄な戦いをやめさせようとする免疫のシステムが全て備わっているにもかかわらず、現代の医学は闇雲に全ての免疫の遺伝子を一時的に変えて、その働きを抑えて無理やりに戦いをやめさせるだけであり、最後は自然後天的免疫寛容を起こす働きをも抑制していることを知らないのです。残念です。しかも免疫の遺伝子を変えてしまうことによって新たなる病気を作り出すと同時に、免疫の遺伝子の修復が起こり、免疫の働きの回復がもたらされたときのリバウンドでどれほど患者が苦しんでいることさえもご存じないのは本当に悲しいことです。まさにリバウンドは医原病そのものであります。残念です。

 今日はここまでです。2011/08/29

 今日述べようとすることはさらに難しくなります。今私がしようとしていることは無知な患者さんを教育しているのではありません。世界の臨床医学会、さらに臨床医学会に支配されている医学の基礎である免疫学会に物申しているのです。私以外の世界中の医学者たちは自己免疫疾患が存在し、この病気を治すのがいかに困難であり、不可能であるかを吹聴しまくっていますが、実は自己免疫疾患などは起こりえないのだということを論証しているのです。つまり世界中の医学会、医学者、医者たちを全て敵に回しているのです。敵が100万人いようとも“真実の道を我一人行かん”という心意気で、あくまでも真実を徹底的に追究している、いわば真実のドンキホーテの道をただ一人突き進んでいるのです。ドンキホーテは駿馬に乗って風車をめがけて槍を振り回していたのでありますが、私は敵が見つけ出した免疫学の正しい基礎の理論の上に乗ってペンを振りかざして医学界という敵地に乗り込んでいるのです。いずれ私は抹殺されるでしょうが、たとえ私が抹殺されたとしても私を支えてくれる患者さんがいる限り、私の後を誰かが引き継いでくれることを確信しています。ましてや永遠不滅の真実は私亡き後にも残り続け、この真実を新たに求め続ける私のような医者が生まれることも必定の理であるからこそ、今日も私は真実を求めてホームページを作り続けます。ますます私の免疫学講義は難しくなりますが、真実を知りたい人はついてきてください。

 今まで何回も人間の免疫は38億年の遺伝子の進化の中で最高度に発達し、万物の霊長に成りあがったのです。特に他の生物との戦いに勝ち抜いたのは2つ大きな要素があります。1つは知恵の戦いであります。2つ目は体内に入った異物との戦いであります。大脳を発達させることによってあらゆる生物の中で最もずる賢い生物に進化しました。しかしこれは目に見える生物との戦いであり、人間以外の生物を全て自由自在に支配できるようになりました。目に見える他の生物を全て食い物にすることも可能となったのです。ところが見えない敵が人体に侵入し、この敵との戦いの際に病気が現れ、この戦いに勝つために人間は免疫の遺伝子の進化を高度に発展させてきたのでありますが、見えない敵もさることながら、殺されまいとして必死の進化を遂げてきたのです。それが風邪のウイルスでありヘルペスウイルスであり、アフリカに見られる熱帯病を起こすウイルスであり、今なお跳梁跋扈しているマラリア原虫であり、住血吸虫であり結核菌でありレンサ球菌でありブドウ球菌であります。しかしながらこれらのウイルスや細菌は人間の免疫を上げるワクチンでほとんどがたいらげられました。さらにウイルスは免疫を助ける抗生物質では殺すことはできないのですが、細菌は抗生物質で殺すことができるようになったのです。その結果、目に見えない敵によって人間の免疫が敗北して死ぬということも皆無となってしまいました。ところが神経節に隠れているヘルペスウイルスだけに関しては、人間の免疫が低下するたびに増殖し、免疫が正常に戻ったときに戦いが始まるのですが、殺しきれず様々な症状で人間は悩まざるを得ないのです。ヘルペスウイルスだけは特別なウイルスであり、これについては別のところで詳しく書くつもりです。

 このように文明社会に住む人類は目に見えない敵を全て倒しきることができたと思った矢先に、新たなる見えない敵が人体に侵入しだしたのです。皆さんもうご存知でしょう。現代の見えない最大の敵は言わずと知れた化学物質であります。化学物質がアレルギーを起こし、膠原病を起こすことは明々白々でありますが、化学物質だけを作り、化学物質だけを売りまくっている製薬メーカーに支配された医学界は殺されても口に出していえないのです。製薬メーカーの作った薬の全てに副作用があるのは、まさにこの化学物質を異物と認識した免疫が排除しようとする戦いのときに見られる症状、つまり病気を副作用と称しているだけなのです。ほとんどの副作用は薬疹と言われるアトピーであり、さらに膠原病のすべてを薬で引き起こすことができることを証明しているのが副作用の一覧表であります。しかもどうして薬がこのような副作用が起こすかという研究を誰もしないのです。

 皆さん、なぜ医学会や薬学会が副作用の研究をしないのかご存知ですか?答えは極めて簡単です。1000を超えると思われる種々様々な医学会は製薬メーカーが支えているからです。医学研究という名によってなされている研究の費用は大半が製薬メーカーから出ているからです。大義名分は「患者の為に医学研究をしている」といいながら、薬を投与することによって生じる副作用については全く研究しない理由がお分かりになったでしょう。

 さてここで本論に戻りましょう。薬によってもたらされる重大な副作用である膠原病、つまり自己免疫疾患はあり得ないことをここで新たなる視点で述べていきましょう。自己免疫疾患の証拠として抗核抗体(ANA)や抗dsDNA抗体とか、抗RNP抗体とか、抗Sm抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、抗Jo-1抗体などの遺伝子であるDNAに関わる抗体値を見て、自己免疫疾患だと現代の医学会は言い張っています。ところがどのようにしてこれらの人間の全ての細胞の核に含まれているDNA関連の抗体ができるかについて一言も説明していないのです。既に別の切り口で述べたように、誰もが膠原病でない人でもこのような抗体を、少量を持っていることを述べたことを記憶しておられるでしょう。今回は免疫学を駆使してもっと直裁的にDNAそのものに対して絶対に抗体が作られないことを論証したいと思います。

 今までもどのように初めて出会った特定の異物(抗原)に対してリンパ器官(リンパ節)で抗体が作られるかについて詳しく述べました。復習しておきますと、リンパ小節にある特定の異物を認識した5つのプレイヤーが共同作業をして初めて抗体を作ることができることを述べました。この5つのプレイヤーは、まず抗原、補体と結びついた抗原、抗原を捕食してそれをT細胞に提示することができる樹枝状細胞、補体から抗原を奪い取ってそれをBリンパ球に渡すことができる濾胞樹枝状細胞、最後にこの特定の抗原を認識できるT細胞、の5つであります。この仕事に関わっている先天免疫は補体と樹枝状細胞と濾胞樹枝状細胞の3つであります。後天免疫はBリンパ球とTリンパ球の2つであります。つまり直接的にはBリンパ球が抗体を作るのでありますが、先天免疫の働きがなければ絶対に抗体は作ることができないのです。(もちろん2回目に同じ抗原に出会ったときに樹枝状細胞の代わりに大食細胞やB細胞がT細胞に抗原提示をすることもできることを付け加えておきましょう。)この事実を自己免疫疾患を唱える免疫学者をはじめ臨床学者は一言も触れていないのです。つまり自己の細胞の中にあるDNAをどのようにして樹枝状細胞や大食細胞が食べ、かつ補体がどのようにして細胞の中のDNAに結びつき、これらの自己のDNAをリンパ節まで運び、抗体を作らせるのかというプロセスに関しては一行も触れていないのです。これは抗体を作る原理原則を完璧に故意に無視し、化学物質が原因であることを隠蔽し、虚構の理論を打ち立て、分からない分からないと言い張り、その間は免疫を抑える薬を作り続け、病気を作りながらお金を稼いでいるのです。人間は結局は自己のためにしか生きられない“利己的な遺伝子”しか持っていないので、医者といえども単なる職業集団に過ぎず人間であることに変わりはないので、このようなあやまちが白昼堂々と行われているのです。病気を治すのは医者でも薬でもなく、患者自身の免疫の遺伝子であるということを口が裂けてもいえないのです。

 さらに本論を述べていきましょう。問題点はTリンパ球やBリンパ球が自己の成分であるDNAを異物と認識するかどうかは、まさに先天免疫によるものであることを言いたいのです。つまり樹枝状細胞にしろ補体にしろ濾胞樹枝状細胞にしろ、DNAに含まれた自己のタンパクを異物として認識することができないということであります。つまり言い換えると自分のDNAに対して炎症を起こしうるかの問題であります。さらに述べることはますます難しくなりますがついてきてください。

 例えばBリンパ球はヘルパーTリンパ球の援助無しに、実は抗体を作れるのです。普通Bリンパ球がIgGなどの抗体を作るときにTリンパ球の助けが要ります。この手助けをするので、このようなリンパ球をヘルパーTリンパ球と名づけられたのです。このようにTリンパ球の助けを得てBリンパ球が抗体を作ることができるのは、Bリンパ球が異物を認識したうえで同じ異物を認識したTリンパ球の膜に表出されるCD40LというタンパクとBリンパ球が結びつかなければなりません。このBリンパ球の側のレセプターはCD40であります。Tリンパ球のCD40Lを共刺激分子といいます。このようにBリンパ球が抗体を作るためには単純にBリンパ球が異物を認識するだけでは不十分で、もうひとつの刺激、つまり共刺激が必要なのです。

 Tリンパ球はタンパクだけしか異物として認識できないのですが、Bリンパ球は実は人間にとって宇宙の全ての有機物、つまり炭水化物や脂肪も異物と認識でき、それに対してIgM抗体だけは作ることができるのです。なぜ共刺激がTリンパ球から与えられていないのにIgM抗体が作れるかについては長い間謎でした。確かにBリンパ球のレセプターに結びついた異物となる炭水化物や脂肪が大量にBリンパ球のレセプターに結びつくと、そのBリンパ球は増殖していき、IgM抗体を作ることができるのです。共刺激がTリンパ球から与えられているのにどこから共刺激を得ていたのでしょうか?最近の研究でやっと答えが分かったのです。つまり先天免疫が作り出すIFN-γが共刺激の役割を果たすことが分かったのです。このIFN-γというサイトカインを作り出すのは樹枝状細胞であり、大食細胞であり、NK細胞であります。これらは全て先天免疫を担う免疫細胞であります。これらの細胞がタンパクや炭水化物や脂肪を敵だと認識しない限りはIFN-γは作り出されることがないのです。

 それでは人間のDNAをこれらの先天免疫細胞は異物と認識できるかという問題になります。答えは絶対にNOなのです。試験管で人間のBリンパ球を取り出し、人間の細胞のDNAを入れて実験すれば簡単に答えが出るのですが、どんな学者もこんな簡単な実験さえやろうとしません。ここで言いたいことは、宇宙にある全ての有機物に対して抗体を作れるBリンパ球でさえ、IgG抗体を作るのに必要な先天免疫が作り出すサイトカインであるIFN-γ(インターフェロンガンマ)の働きがなければ自己のDNAに対して作れないことが証明されたのです。つまり自己のDNAは絶対に先天免疫に異物と認識されることがないということです。それでは抗dsDNA抗体(double stranded DNA抗体)とか抗核抗体の実態は何なのでしょうか?これについてさらに考察しましょう。

  抗核抗体というのは、細胞の核の成分を抗原として検出される自己抗体の総称であります。どのようにして抗核抗体が現在測定されるかを説明していきましょう。概要を言えば、膠原病の人の血液の中の血清を採って、その中に自分の核に対する抗体があるかを調べるものです。最も正しい検査方法は、自分の細胞を取り出して培養し、その細胞の核を取り出して自分の免疫が抗体を作っているかどうかを見るのが一番正しいのですが、現在の検査はそこまで進んでいません。そのために他人の咽頭癌の癌細胞を培養して、その細胞の核成分を抗原として膠原病の患者の血清にこの他人の核成分に対する抗体ができているかを見るわけです。用いられる他人の核の材料により抗体の特異性があり、異なるパターンが観察され、5つの形に分けられます。膠原病の患者により抗体の名前が5つに分けられるのです。1番目はSLEに見られる、抗DNAヒストン抗体と反応すると均質型、2番目はMCTDに見られる、抗Sm抗体や抗SS-B抗体などに反応する斑紋型、3番目はシェーグレン症候群に見られる、抗核小体抗体を持っている核小体型、4番目は強皮症に見られる、抗トポイソメラーゼⅠ抗体を含む均質型+核小体型、最後の5番目は全身性硬化症のクレスト症候群に見られる、抗セントロメア抗体を含む散在顆粒型に分けられていますが、実はこのような抗体の形を分けても、症状が全くない人がいるのです。ただたまたまこのような検査をされて「一生治らない病気だ」と大病院で脅かされて、当院に来られる人がたくさんいます。症状がなくて検査だけで全てを決める医学とは一体何でしょうか?

 このような検査は他人の細胞、しかも癌細胞を使って見ているだけですから、自分の成分である核に対して作った抗体が、たまたま異なった抗原性を持った他人の核と反応していることを示していますが、これが自己抗体であるということはどうして言うことができるでしょうか?これが現代の医学の限界です。

 今日はここまで 2011/09/05

 さぁ、久しぶりに自己免疫疾患は医者がどんな間違った治療をしても許されるという免罪符を得るために、賢すぎる医者たちが捏造したインチキな病気であると同時に病名であることを証明し続けましょう。既に書き終わった証拠だけでも自己免疫疾患はないという事は明々白々ですが、今日はとどめの一発を世界中の学者にお見舞いしましょう。 自己免疫疾患といわれる病気の証拠に現代の学者が持ち出す自己抗体というものがあります。つまり自分の様々な成分に対して様々な抗体を作り、自分の体を攻撃し続け、最後は死ぬという武器になると勝手にエセ自己免疫学者が名づけている自己抗体であります。前回は自己抗体の検査の意味のなさについて論陣を張りましたが、今日はこのような自己抗体が人体の免疫が絶対に作ることはないということを証明したいと思います。この証明は簡潔明瞭ですから素人の患者さんにも理解してもらえると思います。

 何回も書きましたが、胸腺は自己と非自己を教育する場所だと自己免疫学者は主張しています。私は単に胸腺はT細胞が分化成熟する器官に過ぎないという事を述べてきました。それでは仮にエセ自己免疫学者が言うように、胸腺で自分を攻撃するようなT細胞が除去されてしまえば、当然自己免疫疾患は起こり得ないということになりますね。ところが彼らは『自己免疫疾患が起こるのは胸腺の機能が不完全なために、自分を攻撃するT細胞が漏れ出てしまい、自己免疫疾患が起こる』という言い方はしません。ただ漠然と『胸腺上皮細胞と強く結びつくT細胞と結びつかないT細胞の両者はアポトーシス(細胞自殺)により除去されてしまい(ネガティブ・セレクション)、適当に結びつくT細胞だけが胸腺から出て行く(ポジティブ・セレクション)』といっているだけなのです。つまり『自己免疫疾患を起こすT細胞のアポトーシスが充分に行われていないので自己免疫疾患が起こる』という言い方もしません。この点においても論理的に矛盾だらけであり、自分たちの自己免疫疾患の理論が自家撞着していることにも気がつかないのです。世界の大医学者が優れているのか、嘘つきの天才なのか私は判断に迷うぐらいです。前置きが長くなりましたが今日の本論に入りましょう。

 それでは確かに自分を攻撃する能力のあるT細胞が末梢に出て、自分の成分を敵と認識できるT細胞がどんどん胸腺から体内のリンパ節やリンパ管に出て行くとしましょう。さぁその後が問題です。今年のノーベル生理学・医学賞は例の樹枝状細胞(樹状細胞)を見つけたアメリカのブルース・ボイトラー、フランスのジュール・ホフマン、アメリカのラルフ・スタインマン3人の医学者に与えられました。既に書いたように、まさにこの樹状細胞が敵である自分の成分を食べて、それをTリンパ球に提示する必要があることは皆さんも既にご存知でしょう。ところが自己免疫疾患があるという学者たちは自分の成分を食べる樹状細胞のことは一言も書いていません。なぜでしょうか?自分の成分を食べる人食い樹状細胞などは絶対にありえないからです。もしあれば人間はとっくの昔に自分の体の中に飼っている樹状細胞に食い荒らされてしまうだけで既に死んでしまい、人類という種は絶滅してしまっているでしょう。何もわざわざT細胞に自分の成分を提示するまでもなく、人類は樹状細胞に食われて滅び去ってしまっているでしょう。

 このような樹状細胞を世界で初めて見つけたが故に彼ら3人にノーベル生理学・医学賞が与えられたのです。皆さん、人食い樹状細胞にノーベル賞が与えられたとお思いですか?こんな間違いを無視して初めて自己抗体というものが生み出されるのです。こんな事がありえると思いますか?

 まぁ、万歩譲ってこんなアホなことを認めるアホな医学者たちの言い分を聞いてあげましょう。はい!人食い樹状細胞が現れたとしましょう!そして自分の成分を食べてリンパ節まで持って行かせましょう!既に述べたようにリンパ節でどのように抗体が作られるかはもう一度皆さん復習してください。さらに追い討ちをかけましょう。リンパ節で自己の成分をBリンパ球に伝えるために何が必要だったか覚えていらっしゃいますか?そう、補体です。組織にいる補体がその組織の自己の成分と結びついてリンパ節まで運び、リンパ節に住んでいる濾胞樹枝状細胞に自己の成分を手渡す必要があります。この濾胞樹枝状細胞がBリンパ球に自己の成分を提示する必要があります。エセ自己免疫学者はこれについても一言も触れていません。補体が自己の成分をリンパ節に運ぶことさえエセ自己免疫学者は口を閉ざしています。まさに嘘と沈黙で塗り固められた理論で捏造された病気が自己免疫疾患なのです。

 皆さん、知っていますか?抗体を作るというのは凄いことなのです。ワクチンを投与するだけで病気になりにくいというのはご存知ですが、抗体を作るまでにどれほど皆さん方の人体の免疫の遺伝子が必死の思いで複雑きわまるプロセスを経て抗体を作っているのかをお分かりになっていますか?その働きを休む事なく続けている免疫の遺伝子に感謝したことがありますか?免疫は38億年かかって命を守るために作られた完璧なこの上もなく精妙で精巧なシステムなのです。このシステムをつぶそうとしているのが現代医学の免疫破壊治療であり、従って造病医学となり、挙句の果ては殺人医学となってしまうのです。

 さて、このような免疫の働きを具体的に詳しく書けるのは私の特権ではありません。私はただただ素直に基礎の免疫学者が書いた免疫学を晩学ながらやり続けてきたからこそ書けるのです。それだけではありません。いわゆる自己免疫疾患を最後までついてきてくれた患者さんの全てを治すことができたからこそ、他の医者よりも免疫学に強い興味を抱き、なぜ他の医者が治せない病気を治す事ができるのかという根拠を探し出すために、医学の中で最も難しい学問とされる免疫学をさらにさらに勉強しているがゆえに書けるのです。

 一方、他の医学者は治せない病気を真剣に勉強しないのは当然であります。だって治せない原理を見つけたところで何の意味があるでしょうか?勉強しなくてもお金が儲かる限りは誰も勉強するはずもないのです。反対に私は世界でただ一人自己免疫疾患を治せるがゆえに、さらに全ての膠原病を治したいために、激しい情熱と向学心を燃やして治る根拠を探し求めるために免疫学を深く深く勉強し続け、このような真実を自信満々に書けるようになったのです。さぁ本論に戻りましょう。これから先が今日の本論の真骨頂です。

 よしんば自己の成分を認識できるTリンパ球に自己の成分を食べた人食い樹状細胞が自己の成分を提示することができて、T細胞が自己の成分と結びついて異物だと認識したとしてあげましょう。皆さん、これで話が済んだわけではないのです。T細胞は異物を認識するだけでは、刺激されてヘルパーT細胞となり、Bリンパ球に抗体を作らせることは絶対に絶対にできないのです。もうひとつの刺激が絶対に必要なのです。これを免疫の2つの鍵のシステムといいます。つまり銀行の貸金庫にお金を入れて、取り出すときに自分のキーと銀行のマスターキーの2つが要ります。それになぞらえてtwo key systemといいます。自分のキーが免疫学では共刺激といわれるものです。マスターキーはT細胞が異物を認識する鍵となります。この共刺激を与えることができるのは、まさに樹状細胞そのものなのです。この共刺激を与えることができる樹状細胞の細胞膜に表出される分子をB7といいます。このB7がなければ自己を異物と認識したT細胞は死んでしまうか無力化されてしまうのです。このT細胞が死んでしまうことをアポトーシスといいます。T細胞が無力化されることを専門用語でアネルギーといい、いずれにしろT細胞は仕事ができなくなってしまうのです。これについても免疫学者もエセ自己免疫学者も一言も触れていません。

 それでは樹状細胞はどうしたらB7という分子を表出することできるのでしょうか?まさに先ほど述べたように自己成分をウイルスや細菌と同じように取り込んで、炎症を起こさなければ絶対に表出されないのです。実は樹状細胞は全ての組織に存在している抗原提示細胞といわれる細胞であることはご存知ですね。彼らはウイルスや細菌が来ない限りは組織に見られる人体の成分の代謝産物や液性物質や水を食べたり飲んだりして遊んでいるのです。ときには自分の体の大きさの4倍も飲んだり食べたりして敵でない限りは吐き出したりしているのです。まさに自分の成分の断片を食べたり吐いたりして遊んでいるだけで、敵でない限りは興奮しないのです。

 ノーベル賞に関心のある方なら新聞でお読みになったと思いますし、さらにこの私の論文のはじめに書いたことがありますが、樹状細胞は先天免疫の要であり、異物を最初に認識する極めて大切なトールライクレセプター(TLR)という受容体を持っていることを書いたことも覚えておられることでしょう。日本では阪大の審良静男先生がこのTLRの研究では世界の第一人者であるということもご存知でしょう。実は今年のノーベル賞はひょっとすれば審良静男先生も3人の1人に選ばれた可能性があったのですが、ノーベル賞は何でも最初に見つけた人に与えられるのが原則ですから、TLRについての優れた研究をされた審良静男先生には与えられなかったのは極めて残念なことです。このTLRこそ敵となる異物をレセプターにひっつけて刺激されて初めてB7という分子が作られ、異物とB7の2つのキーがTリンパ球と結びついて、はじめてTリンパ球が活性化されるのです。残念なことに、というよりも当たり前のことでありますが、このTLRのレセプターには自己の成分を異物と認識するレセプターは何もないがゆえに、樹状細胞は自己の成分を絶対に異物と認識することができないのです。このような簡単な事実も世界中の免疫学者は知らないのは、一体どうしてなのでしょうか?答えはただひとつ、医薬業界の繁栄を守るためだけです。現代の医薬学は人間の人体を守るためにあるのではなくて、医薬業界が永遠にお金を稼ぎ、快楽の狂宴を末代まで続けるためなのです。

 命を守るべき医者たちでさえ金の為に悪事を成し続けている現実を知れば知るほど、人間が犯罪に手を染めないということがありえないということがお分かりになったでしょう。人間は相手が無知であればその弱みに付け込み、したい放題、嘘つきたい放題やりつくし、自分のエゴを満たすために生き続ける存在であることが如実に分かってもらえるでしょう。それこそリチャード・ドーキンスではないですが、人間は利己的な遺伝子に命じられて生き続けているだけです。病気を治す免疫の遺伝子も自己の遺伝子だけを永続させるために活動しているにもかかわらず、医者に免疫の遺伝子を傷つけられていても全く無知である患者が滑稽千万の極みでありますが、人間の無知こそ幸せの源泉の一例でしょう。だって真実を知れば医者に対して怒りと憎しみが沸々と湧き出て、幸せが崩れてしまうからです。このように遺伝子研究も進んだ現代文明においても、神が世界を造り人間を作ったと信じている人々がいるのも無知こそ幸せの源泉であるからでしょう。万歳!人間の愚かさと無知よ!万歳!永遠に無知なる人類に乾杯!人類の幸福のために!

 追記:近藤誠先生の考え方は全て正しいと思います。彼は「患者よ、がんと闘うな」という本の中で樹状細胞を使った癌の免疫療法でお金を取れば詐欺だと述べています。このようなはっきりした言い方は、私のお株を奪ってしまっています。彼は慶応大学医学部の万年講師であるのは、権威や権力に気を使わずに真実を語りすぎたためです。もちろん彼はこの本の中でも明確に出世を諦めたと言っていますが、私よりもはるかに気骨のある人物です。原子力学者の京大の万年助手でおられる小出裕章先生と似ておられます。私はもともと地位も権威も何もない死にぞこないの男ですから、言いたいことはいくらでも言えますが、彼らの方が私よりもはるかに立派な男たちであるかが分かります。

 ノーベル賞受賞のニュースでご存知のように3番目のスタインマン氏はノーベル賞受賞の発表の3日前に亡くなられたようであります。4年半前に膵癌と診断され、自分自身が見つけた樹状細胞を使って免疫療法をやっていたようでありますが、悲しいことに免疫療法は癌には効かないという事をノーベル賞受賞者自身が証明したことは似肉と言えば皮肉です。膵癌といえばもう一人、最近癌死したかの有名なスティーブ・ジョブスがいます。彼も膵癌でした。スティーブ・ジョブスは兆万長者ですから、金に糸目をつけず肝臓移植以外におそらく免疫療法もやっていたことでしょうが、やはり近藤誠先生が言うように、本物の癌は必ず死を迎えるものです。私がいつも言っているように本物の癌で死ぬことは恐れることはないのです。皆さん、ぜひぜひ近藤誠先生の本を読みまくってください。私の論文と同じように。癌検診なんかは何の意味もないことがすぐにお分かりになるはずです。結局、癌専門医も膠原病専門医と同じく、人のためではなくて自分の為お金の為に、様々な癌治療をやっていることがお分かりになることでしょう。

 2011/10/20

<補足>

 以下に特定疾患に指定されている病気について、今後詳しくコメントするためにwikipediaから抜粋しておきました。このような特定疾患に指定される根拠についても疑問が多く、治る病気を治らない病気とされ、にもかかわらず医者と薬屋が儲かるようなシステムは変えるべきだという思いもあり、ひとつひとつ難病疾患であるかどうか、治らないかどうか、原因がどうかについて少し時間をかけて論評していきたいと思います。

 これらの疾患は原因が分からないために、従って治療法がない、従って治らないという三段論法で難病であるという理由で特定疾患に指定され、無料で治療してあげるというわけです。この特定疾患に含まれる病気の中に一部いわゆる遺伝子病があり、これは永遠に治す事ができないと思います。遺伝子を改変して遺伝子病を治そうという試みは既にあちこちで行われてきましたし、現在も行われていますが、今まで成功したためしはありません。最近iPSやES細胞が話題になっており、再生医療に貢献できそうだとマスコミは取り上げて、人間が神なる遺伝子を自由に操れるとはやし立てているようですが、一時的に遺伝子を変えても必ずその後に神なる遺伝子から逆襲を受けることになるでしょう。遺伝子は愚かな人間が自由に都合よく変えられると考えるのは神の領域を超えた傲慢のきわみの代物であることを自覚すべきです。

 遺伝子病以外の特定疾患に指定されている病気は、「無料で治療してあげる」というおためごかしな治療が行われていますが、ここに論理の飛躍があります。治す事ができないと言いながら、実はやっていることは、結局は免疫の働きを止める薬を出し、治す事ができる病気を治さなくしているだけなのです。

 これらの病気は、結局は異物と免疫とが戦っているだけであり、免疫の遺伝子が異常であるわけではないのにもかかわらず、命を守ってくれる免疫の働きを闇雲に抑えるだけで、敵である異物が何であるかを解明しようとしないので、このように特定疾患と銘打ち、研究を続けても一向に病気を治す事ができないのも当然のことなのです。病気を治す原点は人間の免疫にとって異物と認識せざるを得ない敵を見出すことでありますが、そのような努力が全くなされていないのが不思議でたまりません。

 現代文明に見られる人体にとっての異物の中で最大量侵入してくる敵は化学物質であります。この化学物質について一言も触れられていないのが、このような特別疾患の原因がいつまでもいつまでも解明されない一番大きな理由であります。化学物質がこれらの病気の最大の原因であることを認めることは、現代文明、いや人間が営々として築いてきた科学文明を否定することになるので、誰もが認めようとしないのです。至極残念です。

 先ほど述べたように治らないにもかかわらず、人工化学物質でできた免疫を抑える薬を投薬し続けることによって、免疫の遺伝子が変わり、これがさらに新しい訳の分からない病気を作っていることに世界の医学者の誰一人気づいていないことも悔やまれます。しかも薬という化学物質が人体に蓄積され、新たなる難病、つまり膠原病を拡大再生産していることに誰も気づいていないことがさらに悔やまれます。つまり新たなる一時的遺伝子病である人工的特定疾患を作っていることに誰も気がついていないのです。

 結論から言うと、現在難病といわれる病気は遺伝子病と膠原病しかないのです。膠原病は人体の免疫が人類発生以来、出会ったことがない化学物質を本来IgEで処理すべき異物をIgGで処理しようとするために生じた現代文明病であります。人工化学物質さえ環境に存在しなければ、このような病気は起こりえない病気なのであります。人類がこの世に存在しなかった化学物質を大量に作ったために、これを異物と認識した人体の免疫の遺伝子が排除しようとする正しい免疫の働きを新たなる免疫を抑える化学物質で治療しようとするものですから、これらの病気は全て治らない難病になってしまうことに誰も気がついていないのは文明の皮肉の極致といえましょう。

 人間の免疫は宇宙にある無限大のあらゆる種類の異物を認識し、それを排除する戦いを行う能力をアプリオリに遺伝子の組み換えという特別なやり方で組み込まれている免疫の大原則さえも医学者は都合よく忘れ去っているのも不思議千万であります。そして患者を無視し、学問の目的を忘れ、金儲けに奔走している医学者の体たらくぶりに目まいがしそうです。人間が快楽を求めて文明を構築することに邁進してきた結果、このような難病を作り出したことにも誰一人気がついていないのです。

 特定疾患の1~56の病気の原因を、私が明らかにしたと考えている現在の見解を病名の後ろに簡単に記しておきましょう。さらに今後私が勉強を続けることで修正せざるを得ないときがありますが、そのときは率直に間違いを認め、その根拠を具体的に述べるつもりです。

 何十回も述べているように、現代文明に見られる人体の免疫にとって敵になる異物は4つしかないのです。もちろん、4つの原因が複合的に絡んでいるときがありますが、1つ目は化学物質、2つ目はヘルペスウイルス、3つ目は風邪のウイルスを含めたその他のウイルス、4つ目は細菌であります。5つ目は言うまでもなく遺伝子病です。病名は実はどうでもよいことなのです。ただ化学物質を免疫が処理するときにIgGで処理すれば膠原病となり、IgEで処理すればアレルギーになることも今さらいう必要もないでしょう。

特定疾患の病名と原因

 クロスリアクションについて少し触れておきましょう。6. 再生不良性貧血については、まず何らかのウイルスや細菌の感染症があり、これらを殺すために免疫が抗体を作るのですが、この抗体が骨髄の血液幹細胞の細胞膜とひっついて、それを大食細胞や好中球やNK細胞が攻撃して、血液幹細胞をも殺してしまう反応をクロスリアクション(交差反応)といいます。10. 特発性血小板減少性紫斑病の場合は、ヘルペスウイルスを殺そうとして免疫が作った抗体がヘルペスウイルスだけではなく血小板にもひっついて、ウイルス共々同時に自分の血小板も殺してしまうのでクロスリアクションというわけです。

 以上、56の特定疾患の原因について書き入れました。25年の開業医の臨床の中で全国から受診される延べ何十万人の患者さんから学び取った医学を総括して原因を考えたのです。医学は本来患者の病気を治す為に存在している学問でありますが、病気を治す為には原因を知らなければ絶対に病気を治すことはできません。病気の原因を知ることが臨床医の第一歩であります。巷には絶対に治らないとされている56の難病が特定疾患と指定されて治らない治療が営々として行われていますが、遺伝子病以外は全ての自分の免疫の遺伝子で治す事ができるのです。難病の中でも特定疾患とされていない病気も数多くあります。化学物質が原因である現代の難病といわれている膠原病は全て原理的に自分の免疫で治す事ができるのです。膠原病を治すのに医者も薬も何も要らないのです。あえて必要なのは免疫を上げる患者さんの心のあり方と、免疫を上げる漢方煎剤や漢方風呂であり、免疫を上げてくれる医者だけです。

 特定疾患で実際に私が治したり、手記も書いてもらったり、今現在治療中である病気を列記しておきましょう。このような病気の治療中にリバウンドで症状が激しくなり死ぬような恐れがない限り、膠原病の全ては医者や薬ではなく、患者自身の免疫で治す事ができるように運命づけられているといってもよいでしょう。死ぬという事は単に肉体が消滅するのみならず、目の機能がなくなり盲目になるとか、あるいは腎臓の機能が落ちて透析をしなければならないとか、あるいはリバウンドの為に耳が完全に聞こえなくなり元に戻らないとかの機能の死が差し迫ったときには、神様はその時に使うようにステロイドを私たちにプレゼントしてくれたのです。ステロイドはむやみに使ってはならないのです。ステロイドは病気を治す為に使う薬ではなくて、肉体の死や機能の死を避けるときだけのために使うべきものなのです。病気は自分の免疫で治すことができるものであり、この文明の世の中に遺伝子病以外に治らない病気はないのです。もちろん癌も遺伝子病のひとつですから、原理的には治すことはできないのです。ちなみに癌については慶応大学の放射線科の講師でいらっしゃる近藤誠先生の本を買ってどんどん読んでください。彼は絶対に信頼できる先生であり、癌については私よりもはるかにはるかに優れた大先生です。癌は近藤先生にお任せします。私も癌については彼の正しい考え方を猛烈に学びつつあるところです。

 それでもリバウンド中に最も怖い敵はウイルスであり、細菌であり、そのために敗血症になって死ぬことであります。もちろん私は延べ何十万人の患者を見てきましたが、誰一人殺したことはありません。古来人類は感染症と戦ってきたのでありますが、やはり現在でも特定疾患には指定されていないのですが、感染症が重篤になり敗血症で死んだりするほど怖い病気はないのです。病気は感染症で始まり感染症で終わるのです。いや永遠に感染症には終わりはないでしょう。

3. 重症筋無力症
4. 全身性エリテマトーデス(SLE)
9. 強皮症/皮膚筋炎および多発性筋炎
10. 特発性血小板減少性紫斑病
11-2. 顕微鏡的多発血管炎
12. 潰瘍性大腸炎
15. 天疱瘡
17. クローン病
19. 悪性関節リウマチ
29. 膿疱性乾癬
31. 原発性胆汁性肝硬変
34. 混合性結合組織病 (MCTD)
36. 特発性間質性肺炎
49. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎

 2011/10/20

-自己免疫疾患はない
-

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