風邪をひいたあとに耳の周辺が痛くなって耳鼻科に行くと、耳鼻科の医者は「中耳炎、中耳炎」と言いまくりますが、彼らはどのようにして中耳炎が起こるかについてや、この炎症の原因についても絶対に一言も説明しません。風邪をひいたからといって中耳炎が起こるわけではありません。私なんか死に損ないの69歳でありますが、未だかつて中耳炎になったことがないのです。
中耳炎の時にどうして耳痛が起こるのでしょうか?結論から言いましょう。答えは簡単です。三叉神経の三番目の一番下の神経である下顎枝にいるヘルペスウイルスと戦うからです。
ところで中耳炎の中耳はどこにあるかご存知ですか?まず耳の構造を簡単に説明しましょう。音は耳の外耳道から鼓膜に伝わり、この鼓膜の内側が中耳と考えてください。この鼓膜の内側に人体中最も小さな耳小骨が連なっています。ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つであります。外から入ってきた音波を中耳と内耳神経のある中耳の前庭とを繋ぐ前庭窓という凹みがあり、アブミ骨の底にある骨の板がはまり込んでいます。この前庭窓の下方に蝸牛窓という穴があり、第2鼓膜によって閉ざされています。なぜ第2鼓膜というかというと、皆さんご存知のように、外耳道の奥に鼓膜があります。その鼓膜を本来ならば第1鼓膜というべきでありますが、これと区別するために第2鼓膜と名づけたのです。前庭窓は卵の形に近い円でありますが、蝸牛窓はまんまるに近いので正円窓ともいいます。
なぜ2つの窓があるのでしょうか?内耳の仕事は、平衡感覚を司る仕事と音を聞き分ける仕事の2つがあることはご存知でしょう。内耳の写真を見たことがあるでしょう。三半規管といって、3次元の座標であるX軸Y軸Z軸の面に3つのU字型の管があるのを見たことがあるでしょう。これが三半規管です。この三半規管を支配する神経は前庭神経であり、この前庭神経にヘルペスが居座り、免疫がこのヘルペスをやっつけると、殺そうとした時に炎症が起こり、めまいが起こったりするのです。
一方、蝸牛窓は何のためにあるのでしょうか?内耳はカタツムリのような構造をしていますね。このカタツムリの構造を蝸牛管といいます。この蝸牛管を支配する神経を蝸牛神経といいます。この蝸牛神経にヘルペスが居座り、免疫がこのヘルペスをやっつけると、殺そうとした時に炎症が起こり、耳鳴りや難聴が起こるのです。前庭神経と蝸牛神経のふたつをまとめて第八脳神経といったり、内耳神経といったり、前庭蝸牛神経ということもあります。この第八脳神経にいるヘルペスと免疫が戦う時にメニエール病が起こるのです。さらに完全なメニエール病はめまいと難聴と頭痛の3つが同時に生じるのです。
それでは頭痛はどうして起こるのでしょうか?既にメニエール病について述べたように、頭痛は三叉神経の一番上の眼枝が血管に沿って脳の中にのびていった脳血管神経で、ヘルペスウイルスと免疫が戦うと生じるのです。人によってめまいの症状だけの人や、ときに難聴だけの人や、耳鳴りだけの人や、頭痛だけの人がいるのは、免疫が戦う神経が異なるからです。免疫がヘルペスウイルスと戦う場所である神経の種類が多ければ多いほど、それだけ症状が多彩になるのです。