これから病原菌の中で最も手ごわかったウイルスをどのようにして人体の免疫は殺してきたのかと、その方法の全てを説明しましょう。ADCCについては既に述べましたから、それ以外のウイルスが細胞に入り込んだときにどのようにして人体の免疫が自分自身の細胞もろともウイルスも一緒に殺さざるをえないかを説明しましょう。
はじめに「最も手ごわかったウイルス」と過去形で書いたのを不思議に思いませんか?21世紀には普通の免疫の遺伝子を持って生まれた人間にとって怖いウイルスは実は何一つとしてないのです。なぜならば普通の正常な免疫が負けてしまうようなウイルスに対しては子供のときに前もってワクチンを投与し、本物のウイルスが入ってきたときにはすぐにIgG抗体をできる準備がほぼ強制的にされているものですから、全ての怖いウイルスも怖くなくなってしまったのです。
医薬業界はインフルエンザウイルスが怖い怖いと言いまくりますが、インフルエンザウイルスを怖がるべきは、免疫を医者たちに落とされるような薬を無理やり飲み続けさせられたりしている人たちだけなのです。例えばアレルギーや膠原病で、ステロイドをはじめとするあらゆる免疫抑制剤を投与されている人たちであり、免疫の細胞まで殺してしまう抗癌剤を投与されている癌患者だけなのです。従って一般の正常な免疫を持っている人はインフルエンザワクチンなどは何も要らないのです。自分の免疫でインフルエンザを殺すことが可能なのです。それ以外に医者が怖がらせるウイルスがいますか?ないでしょう。 だからこそ過去形で書いたのです。
ただヘルペスウイルスだけが人体にとって最もやっかいなウイルスとして人類が滅びるまで神経節に住み続けるのです。このヘルペスウイルスについて一切医者たちは知らぬ顔をします。なぜでしょうか?その答えはホームページのヘルペスの項目を見てください。ウイルスこそ進化の中で最も狡猾なウイルスなのです。現代の医者たちのようですね。ワッハッハ!ヘルペスウイルスは人の命を奪う策略を進化させなかった代わりに、人間の免疫から回避できる最高度のテクニックを進化させて我が世の春を謳歌してきたからです。なぜこんなにずるいのでしょうか?それは免疫から逃れる戦略を着々と身につけていったからです。ちょうど医者たちが一切医療界以外から批判を許さないという戦略を確立し、病気を治さなくてもお金を稼げる社会医療保険を作ったのと同じです。ワッハッハ!ヘルペスが免疫から回避する方法について詳しいことを知りたい人もホームページのヘルペスの項目を読んでください。従ってこれからの話も実際的には主に風邪のウイルスとヘルペスウイルスに対してであります。
さぁ、本論をこれから始めましょう。補体と好中球と大食細胞の話は既に終わったことにしておきます。これから話そうとするのは、ナチュラルキラーT細胞(NK細胞)とキラーT細胞の話です。ナチュラルキラーT細胞とキラーT細胞は全く違う種類の細胞なのです。この2つの細胞を同じものだと思い込んでいる人が多いので、気をつけてください。既にナチュラルキラーT細胞と抗体の話はADCCで説明しました。従ってADCC以外のナチュラルキラーT細胞の話をまずしてあげましょう。
ナチュラルキラーT細胞は先天免疫である好中球や大食細胞とは違った幹細胞から生まれてきます。ナチュラルキラーT細胞は、Tリンパ球やBリンパ球と同じリンパ球系の仲間の細胞なのですが、リンパ球と最も異なる点がひとつあります。ナチュラルキラーT細胞は敵を認識するのに樹枝状細胞や大食細胞などの抗原を提示される必要がないのです。言い換えるとナチュラルキラーT細胞は特異的な目印を必要としないのです。この点は敵であれば誰彼となしに食べて殺してしまう好中球や大食細胞と変わりはないのです。つまりリンパ球の仲間のひとつであるにもかかわらず、自然免疫の好中球や大食細胞と似た性質を持っているのです。かといって、好中球や大食細胞とまた違った性格があるのです。つまり大食細胞や好中球は闇雲に異物を食べて殺そうとしますが、ナチュラルキラーT細胞は殺していい敵か殺してはいけない敵かを見分ける能力を生まれたときから備えている天才なのです。言い換えると、ナチュラルキラーT細胞は自分の味方、仲間、細胞を殺さないようにしているのです。詳しく言うと自分が自分であるクラスⅠMHCを持っている細胞を殺すことはしないのです。殺すべき細胞はその表面に特別な炭水化物やタンパクを持っている細胞だけを殺すのです。つまり細胞がウイルスや細菌や寄生虫やカビに感染したり、癌細胞になったりしてその断片を表面に出している細胞だけを殺すのです。一言で言えば、ナチュラルキラーT細胞は自分自身の標的であるMHCⅠがない細胞だけを殺すといっていいでしょう。
それではどのようにして細胞を殺すことが出来るのでしょうか?2種類の殺し方がありますが、2つともウイルスが潜んでいる細胞を自殺させるといってもいいのです。その自殺のさせ方の1つは、まずナチュラルキラーT細胞はパーフォリンというタンパクとグランザイムBという酵素の混ざったものを殺すべき細胞にまず注入します。パーフォリンが殺すべき細胞の膜に引っ付き、穴を開けます。こうして細胞に入り込んで自殺させる酵素であるグランザイムBが細胞の細胞質に放出され、そこでその細胞が自殺することができるようにカスパーゼという酵素が連鎖的に活性化されます。すると細胞のDNAが自分自身の酵素、つまりカスパーゼによって崩壊してしまうのです。この働きはいわばグランザイムBという酵素によって“仕掛けられた細胞自殺”ともいえます。これをアポトーシスといいます。
2つ目の細胞自殺のやり方があります。ナチュラルキラーT細胞の上にFasリガンドというタンパクがあります。そのタンパクが感染した細胞の表面に表出されているFasプロテインと結びつくことが出来ます。結びつくと殺されるべき細胞内のカスパーゼという酵素が連鎖的に活性化されて、細胞自殺(アポトーシス)が起こるのです。
それではなぜアポトーシスによって自分自身の細胞を自殺に追いやる必要があるのでしょうか?答えは簡単です。自分自身の大切な細胞に入り込んだウイルスを他にどのような殺し方があるでしょうか?殺人犯が人質をとって建物に隠れたときに、その犯人をどのようにして殺すことが出来るでしょうか?最後は人質を殺しかねない突撃しかないでしょう。しかもウイルスは頼み込んでも降伏してくれる敵ではないのです。だからこそ生命の最小単位である、自分自身の細胞と一緒にしか細胞内のウイルスを殺すことが出来ないからです。
皆さん、自己免疫疾患という言葉はご存知でしょう。そもそも自分の免疫が自分を攻撃するという自己免疫疾患は、医学者たちが勝手に作り出した病気ですが、そんなに自己免疫疾患という病名を使いたければ、免疫が自分の細胞もろともウイルスを殺すときにのみ使えばよいのです。つまり細胞に隠れたウイルスだけをピックアップして殺すことが出来ないので、最後の手段として自分の細胞もろとも殺してしまうのです。これこそ自己免疫疾患というべきものです。ワッハッハ!愚かな医学者たちは訳も分からず膠原病は自分の免疫が自分の細胞を攻撃すると言い張っていますが、とんでもない間違いであるとは既にあちこちで述べました。改めて自己免疫疾患はないというホームページの項目を難しいですが興味のある人は読んでください。本当の自己免疫疾患は細胞に入り込んだウイルスを殺すために、自分自身の細胞を殺してしまうという、以上に述べたアポトーシスのことをいうべきなのです。
遺伝子しか持たないウイルスは、生きた人間の細胞に入り込んで増殖するための素材を生きた細胞からしか得られないので、生きた細胞に入り込むことによってしか生き続ける事ができないのです。このようなウイルスを殺すのは、ウイルスの住処である細胞と一緒に死んでもらうしかないので、自分の細胞を殺すというよりも、隣の細胞に被害を与えないためにウイルスが隠れている細胞だけ死んでもらうというシステムを人間の免疫は無限の時間をかけて進化させてきたのです。人間の免疫の進化はなんと素晴らしいかがお分かりになるでしょう。この進化の証拠である遺伝子を変えようとする愚かな医学者たちで世界は満ち満ちています。残念です。遺伝子万歳!
さて、実はもうひとつウイルスを殺す方法を持っている細胞があります。それがキラーT細胞というリンパ球であります。キラーT細胞はCTLともいわれます。実はCTLが細胞に入り込んだウイルスを殺してしまうのは、上に詳しく述べたナチュラルキラーT細胞の殺し方と全く同じなのです。つまりパーフォリンとグランザイムBを使う殺し方と、FasリガンドとFasタンパクを使う殺し方であります。同じ殺し方であるのに、なぜ免疫の進化は2種類も作り出したのでしょうか?その意味を説明しましょう。
先ほども述べたように、ナチュラルキラーT細胞とCTLは殺し方以外にいくつか違う点があるのです。CTLは必ず樹枝状細胞に敵を提示される必要があります。そしてその特別な敵をCTLが正しく認識しなければならないのです。つまり殺すべき細胞のMHCⅠと結びついたウイルスのペプチドを同時にCTLは認識して初めて殺しにかかるわけです。一方、ナチュラルキラーT細胞は、樹枝状細胞からウイルスの断片を提示される必要もないし、かつ認識する必要もないので、CTLよりもはるかに早くウイルスを殺すことができるのです。
さらにヘルペスウイルスはMHCⅠと結びつくことをさせないずるさを持っているので、CTLはヘルペスウイルスを非常に殺しにくいので、ますますナチュラルキラーT細胞がヘルペスウイルスを殺すときには極めて重要な役割を果たすのです。だからこそ医学が進んだ21世紀においてもほとんどの人達がヘルペスウイルスとの戦いに苦しんでいるのです。もしCTLしかなかったら、ヘルペスウイルスは人類の全ての人間の神経に増殖し、人間からあらゆる快適さを奪っていたかもしれないのです。極論すれば、ヘルペスウイルスのために対してだけ免疫が進化してナチュラルキラーT細胞を生み出したのかもしれません。だからこそ始めの始めに書いたように、ADCCによってナチュラルキラーT細胞や好中球や大食細胞が、ヘルペスウイルスが潜んでいる細胞を殺そうとするのです。そして様々なピリピリ感やヒリヒリ感やチクチク感が生じるのです。さらに細胞の細胞質はほとんどが水溶性成分であります。ADCCによって崩壊した細胞の細胞質からこの水溶性成分が出て、それが汗と似た体液となり皮膚の表面から滲出液として出続け、不愉快さが生じるのです。このADCCも一種の細胞自殺といってもよいでしょう。もちろんこの事実を世界の医学会は誰も認めようとしません。残念です。