理論

胸腺は自己と非自己を区別できるTリンパ球を教育する場所ではなくて、単純にTリンパ球の分化成熟の場所に過ぎない。

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感染症が抗生物質とワクチンで征服されて、今ときめいている病気は膠原病と癌であります。膠原病は別名、自己免疫疾患と呼ばれていますが、以上に自己免疫疾患は存在しないと論証したのですが、現在の常識では膠原病は自己と非自己を見分ける免疫の機能の破綻の結果生じるとされています。この自己と非自己を見分けるTリンパ球の働きは胸腺で教育されると言うわけです。つまり、胸腺で自己の成分と強く結びつくものや、逆に結びつきの弱すぎるものは排除されて、自己の成分と適当にひっつくT細胞だけが生き残り、マッショへ出て行くというわけです。骨髄で作られたTリンパ球の97%が細胞自殺(アポトーシス)によって排除され、残りの3%だけが生き残るのです。もともとT細胞は骨髄で作られるときにMHC抗原分子を発現させられている上に、胸腺にある全ての細胞も既に自分の目印であるMHC抗原分子を保持しているわけですから、何も改めて自己と非自己を見分ける力を教育する必要はないのではないでしょうか。

 ましてやT細胞が自分の細胞と強く結びついたからといって何の問題があるのでしょうか。さらにまた、T細胞が自分の細胞と結びつくのが弱すぎるからといって他の生き物の違ったMHC抗原分子を認識する力とどのように関わりがあるのでしょうか。また、強く結びつきすぎたり弱すぎたり、あるいは適当に結びつくというのはどのようにして決めるのでしょうか。ただ言えることは、骨髄で作られた未熟なT細胞がそれぞれのT細胞の役割を明確にされるために、ただ単にCD4(+)T細胞や、CD8(+)T細胞やさらに、CD4(-)T細胞や、CD8(-)T細胞に分化させるためだけに胸腺があるのではないのでしょうか。もし、本当に自己を攻撃しないために絶対に胸腺が必要であれば、なぜ二十歳前後に最も大きな30gという臓器になり、年をとればとるほど退縮し、脂肪組織に置き換わるという臓器になってしまうのでしょうか。

 このように年をとれば胸腺の働きが減弱していけば、年をとればとるほどいわゆる自分を攻撃する自己免疫疾患といわれる膠原病が飛躍的に増えるはずなのに、老人に膠原病が少ない理由はなぜなのでしょうか。それどころか自己を見分ける胸腺の働きが一番強い若い人に自己免疫疾患が多いのはなぜでしょうか。このように胸腺についての通説は矛盾に満ち溢れています。さらにマウスの胸腺を取ったからといって免疫の働きが落ちると言うことは知られていますが、いわゆる自己免疫疾患が圧倒的に増えたと言う実験結果を私はまだ目にしていません。従って、胸腺は単純にT細胞の分化成熟の場に過ぎないと考えた方が妥当ではないでしょうか。大体学者は面白おかしく新しい発見を誇大に宣伝しすぎる傾向があるように思われます。何よりも事実が偉大であり、その事実を素直に受け入れることが一番大事なのではないでしょうか。つまり、屁理屈をいろいろ並べ、ありもしない自己免疫疾患という見た目は衝撃的な理論を学者は好むようです。

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