理論

クラススイッチをさせるIL-4はどの細胞が一番最初に作るのか?

投稿日:2019年12月28日 更新日:

 どのようにしてIgGを作るのに必要なIL-2やIFN-γやTNF-αなどのサイトカインを作られ、かつIgEを作るのに必要なIL-4が作られるかを説明しておきましょう。難しい話ですがついてきてください。

 人体に侵入してきた化学物質や細菌やウイルスは樹枝状細胞や大食細胞にまず食べられると、まずIL-12を出します。このIL-12は未熟なT細胞をヘルパーT1リンパ球(Th1)に変えてくれるのです。するとTh1はIL-2やIFN-γやTNF-βを出します。これらのサイトカインの中で、IFN-γが直接的にBリンパ球のIgMをIgGに作り変えるよう、1回目のクラススイッチをさせるのです。つまりIFN-γはIgGを作るのには絶対に必要なサイトカインなのです。と同時にこのIL-2やIFN-γやTNF-β樹枝状細胞や大食細胞を刺激して、さらに異物を処理する能力を高めてくれるのです。

 まずこのようにしてIgGが作られて、このIgGがアレルギーを起こす肥満細胞の膜のレセプターに結びつくと、徐々に肥満細胞がIL-4を作り始めます。ここで強調しておきたいことがあります。IL-4はあくまでもIgGが作られてこそ、初めて作られ始めるのです。このIL-4は骨髄で作られた未熟なT細胞と結びついて、IL-4を作るヘルパー2Tリンパ球に分化させるのです。このヘルパー2Tリンパ球は、IL-4をどんどん作り出し、このIL-4がIgMやIgGを作っているBリンパ球に結びついてBリンパ球のAID遺伝子を再びONにさせ、自分の作る抗体をIgGからIgEに変えていくのです。

 ここで注意しておきたいのは、AID遺伝子を見つけたのは我が母校の京大の本庶佑でありますが、今なお作用機序を彼は明らかにしていないことを知っておいてください。いずれにしろ一度AID遺伝子の発現を抑制してしまうと、正常な遺伝子の働きを戻すのが大変なのです。

-理論
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

何故真夏に熱中症が起こるのか?更新2025.5.20

何故真夏に熱中症が起こるのか?身体が37度前後の体温よりも真夏の酷暑にさらされると体温を調節する中枢である視床下部からは「熱を放出せよ」という指令が出ます。毛細血管を拡張させて末端の血流をよくすること …

no image

レチノイン酸と腸管の免疫寛容について 2018.11.8更新

レチノイン酸はビタミンAの代謝産物であり、このレチノイン酸が腸管の樹状細胞から作り出され、Bリンパ球からIgAの産生を促進します。さらにレチノイン酸が腸管にいる形質B細胞にIgAを分泌させたあと、他の …

no image

生まれつきの遺伝子癌は存在しないのですが何故癌になりやすい人が生まれるのでしょうか?更新2025.9.1

生まれつきの遺伝子癌は存在しないのですが何故癌になりやすい人が生まれるのでしょうか?父親と母親から受け継いだ癌抑制遺伝子の対立遺伝子の一つが生まれつき喪失しているからです。これを英語でLoss of …

no image

トリガーポイント注射とは何でしょうか?更新2022.4.8

トリガーポイント注射とは何でしょうか? 痛みの発生源に注射(ブロック)を行う治療法をトリガーポイント注射といいます。筋肉が硬結していることで血流が悪くなり酸素不足になり痛みや炎症の元となる発痛物質(ブ …

no image

なぜ自己免疫疾患はないのか?partⅢ 〜膠原病は全て治る〜 2019.4.11 更新

自己免疫疾患は全て難病とされています。ところが自己免疫疾患よりももっと治療が難しい難病が他にもあるのです。これらの難病を全て特定疾患に定めたのです。特定疾患とは何なのでしょうか?これらの疾患は、一生治 …