自己免疫疾患は全て難病とされています。ところが自己免疫疾患よりももっと治療が難しい難病が他にもあるのです。これらの難病を全て特定疾患に定めたのです。特定疾患とは何なのでしょうか?これらの疾患は、一生治らないとされているので、無知な患者は死ぬまで医者にかからざるをえません。ものすごい金がかかります。治りもしない病気に莫大な金を個人が医者に払い続けるという経済的負担に耐え切れないので、特定疾患助成という名において治療費のうち患者負担を無料にしたのです。
この特定疾患については、「なぜ自己免疫疾患はないのか」という論文のパート2に一覧表としてまとめてあります。この表を見ていただければ、赤字で疾患ごとの原因が書かれています。特定疾患とされている病気の原因は、6種類あります。1番目は、一番治すことが難しい先天的遺伝子病であります。2番目は後天的遺伝子病であります。3番目はヘルペスウイルスが原因である病気です。このヘルペスウイルスには8種類がありますが、このヘルペスウイルスによる病気の中には、どの種類のヘルペスウイルスが原因であるかについて特定されていないものもあることを知ってください。4番目は、いわゆる膠原病と言われる病気の原因は化学物質であります。5番目がクロスリアクションと書かれている特定疾患があることに気がつかれるでしょう。クロスリアクションについては、すぐ後で説明します。この4番目と5番目の病気を世界中の医学者は自己免疫疾患と呼んでいるのです。6つ目にはストレスによる特定疾患を挙げていますが、この病気は実はストレスホルモン、つまり自分で作ったステロイドホルモンや医者が飲ませる人工ステロイドホルモンにより、一時的に遺伝子の転写因子を変える事によって、半永久的な病気になり、特定疾患として指定されてしまったのです。したがって、特定疾患の原因は以上の6つしかないということを知っておいてください。
このパート3で書こうとしているのは、パート1とパート2で触れなかった自己抗体という診断に必須な検査がインチキであることを証明することで、さらに自己免疫疾患が絶対にないということを証明したいためです。
自己免疫疾患を診断するための、あらゆる種類の抗核抗体の検査がインチキであるということを論証しましょう。つまり、これらの抗核抗体の検査試薬は患者の成分に対して作られる成分ではないということをまず証明しましょう。パート2で掲げた自己免疫疾患に対する診断根拠となる患者の細胞の核に含まれている様々な核蛋白に対する核関連抗体の全てを、今日の最後の列挙しておきます。その前に結論を先に書きます。それは、膠原病とは、自分自身の成分に対して、自分自身の免疫が異物と認識して、抗体を作り自己免疫疾患になっているわけではないという事です。言い換えると、膠原病はあるけれども、自己免疫疾患は存在しないということです。
それでは膠原病はどうして起こるかを、まず復習しておきましょう。まず、三つの原因があります。一つ目は、化学物質とひっついたIgGのFcγに対するレセプターを持った大食細胞や好中球によって起こされる膠原病。二つ目は、IgG抗体のクロスリアクションによって生じる膠原病。三つ目は、人体に侵入した病原体の断片である抗原に結びついたIgA抗体やIgG抗体を抗原抗体複合体といいます。この抗原抗体複合体が大きすぎたりすると、大食細胞に処理されずに血液中に流れて、腎臓や肺の組織に沈着し、そこで新たに炎症が起きるのです。ちなみに抗原抗体複合体は免疫複合体ともいいます。この三つの原因について詳しく説明しましょう。
まず一つ目は、いつも言っているように、膠原病は化学物質を異物と認識し、IgEでなくIgGで殺そうとする戦いであることは、皆さんご存知でしょう。アレルギーは化学物質をハプテンとし、そのハプテンにキャリア蛋白が結びついて、トータルで異物として認識されて、IgE抗体を作って肥満細胞を利用して、痒みで排泄しようとするのもご存じでしょう。一方、膠原病は、同じ化学物質に対して、IgG抗体を作って、好中球や大食細胞で殺そうとして、組織に炎症が起こるのです。つまり、本来化学物質は殺す必要がありませんから、免疫は化学物質が病原体ではないということに気がつくと、抗体のクラススイッチという奥の手を使って、IgG抗体をIgE抗体に変えることで、殺しの世界から排泄の世界に変えて、最後は免疫寛容を起こし、化学物質と共存することができるのも、既にあちこちに詳しく何回も書きました。化学物質とIgGで戦うときに生じる炎症を自己免疫疾患と名付け、人体のどの部位で戦うかによって、さらに抗体検査によって、50種類あまりの病名を決めているのです。
ここで私が論証したいことは、このような抗体検査に用いられる試薬は、もともと自己の成分を用いているわけではないので、従って自己抗体を検出できるはずもないのです。だって試薬に含まれている成分は自己の成分でないからです。この論文を、自己免疫疾患は存在しないという大テーマのパート3としたのは、まさにパート1とパート2で述べていなかった「自己抗体がない」という真実を新たに初めて皆さんに提示したいためです。世界中の膠原病の専門学者たちは自己免疫疾患の最終診断を、この自己抗体検査試薬の反応の度合いによって決めています。ところがこの自己抗体検査試薬には、一切患者の自己抗原が入っていないので、全く無意味な検査であることになるのです。このインチキを世界中の免疫学者の誰一人として気づいていないのはなぜでしょうか?ただ一つ言えることは、存在し得ない病気を診断するために、高価な検査薬を作り続けて間違った病名をつけ、その病気は難病であり、絶対に治らないと断言しているにもかかわらず、治療と称して一生遺伝子を変える毒薬を飲ませ続けることによって永遠に医薬業界が栄えることは確かでしょう。悲しいですね〜。
皆さん、既に書いたのですが、自己抗体といわれる抗体は自然に多かれ少なかれ誰もが作り出していることは説明したはずですね。現代の医学は、偽医学ですから自己免疫疾患というものはないにもかかわらず、自己免疫疾患を診断する検査薬(抗原)として試薬が多数にあることも既に述べました。試薬検査メーカーがこの試薬を作るのでありますが、決して自己免疫疾患という病名をつけられた患者の人体から取り出して作ったものではありません。つまり自己抗原ではないのです。それでは、患者の免疫はどうして出会ったこともない検査試薬(抗原)に対して抗体が作れたのでしょうか?その答えを明確にしましょう。
皆さんは、オーストラリアのバーネットという動物行動学者が、抗体のクローン選択説という理論で1957年にノーベル賞をもらったのはご存知でしょうか?クローン選択説とは、英語で“clonal selection theory”と言います。クローンとはなんでしょうか?ここで使われているクローンという意味は、1種類のBリンパ球が作り出す同じ1種類の抗体の集まりと考えておいてください。クローン選択説というのは、1つの抗原が1種類の特異的な抗体を作り出すBリンパ球を選び出して結びついて、1種類の抗原の対して特異的にマッチする抗体をBリンパ球に大量に作らせると考えてください。バーネットが唱えた時代には、DNAが遺伝子という概念が明確でなかった時に、このクローン選択説を唱えたので、正しい予言者としての功績に対してノーベル賞が授与されたのです。というのは、DNAが遺伝子であることがワトソンとクリックに発見されたのは1953年であったからです。
ちなみに私はアレルギーと自己免疫疾患は化学物質が原因で、IgEで化学物質(ハプテン)と戦うのはアレルギーであり、IgGで化学物質(ハプテン)と戦うのは自己免疫疾患であることを発見しました。しかもIgGで戦う自己免疫疾患もアレルギーのIgEにクラススイッチして全てアレルギーに変え、最後は自然にTh2にIL-10を作らせ、iTregにTGFβを作らせて、両者のサイトカインに自然後天的免疫寛容を起こさせれば、アレルギーも自己免疫疾患も全て治るということを理論的に予言し、かつ治しているわけですから、当然私はノーベル賞をもらうべきですね!アッハッハ!イヤイヤ、既に私はもらった気になっていますよ、アッハッハ!ノーベル賞をもらったからといって、何が嬉しいんでしょうかね?アッハッハ!アッハッハ!真実の医療をやって病気を治すことほど嬉しいことはないですよね?アッハッハ!
バーネットのクローン選択説に戻りましょう。1種類だけの抗体を作るクローンとしてそれぞれのB細胞は存在し、1種類の抗原が体内に侵入すると、その1種類の抗原に対して特異的に反応する1種類のクローンとしてB細胞は急激に増殖し、IgG抗体を産生する形質細胞へ成熟するというバーネットの考え方が、もちろん今完全に正しいということが証明されたのです。ところがいわゆる自己抗体を作るB細胞は、検査試薬(抗原)に出会ったこともない上に、刺激されることもなく、従って反応したこともないにもかかわらず、なぜ検査試薬(抗原)に対して抗体を作っておくことができたのでしょうか?それはある意味においては、現代の医学会はバーネットの説を十分に理解していないのです。なぜならばB細胞は生まれた時に、抗原と出会わなくても既に10数億以上の、あるいは無限個と言われる種類のIgMとIgDを、アプリオリ(先天的)にB細胞の膜に付着させて生まれるのです。これを膜抗体といいます。従って、以前に書いたことがあるのですが、必ず自己免疫抗体はIgMであるのです。この膜抗体であるIgMは膜から自然に剥がれて血中に存在しているので、採血をして自己抗体検査試薬と呼ばれる試薬(抗原)と反応させるとピッタリ合うIgMが少ない人は、自己免疫抗体が陰性となるのですが、多い人は抗体陽性となり、自己免疫疾患だと診断されてしまうのです。言い換えると、この自己免疫抗体をたくさん作れるMHCⅡの遺伝子が強い人は、大量のIgMを作ってしまうのです。この事実も自己免疫疾患がないという答えになるということはお分かりになるでしょう。このような抗体を多種多様にしかも多く作れる人たちは、免疫機能が高いので、免疫の天才といっても良いでしょうね!アッハッハ!にもかかわらず、現代の間違った医学によって永遠に治らない自己免疫疾患の烙印を押されてしまうのです。悲しいですね!
病気を治すことができるのは、38億年の臨床経験を有している患者さんの免疫の遺伝子だけなのです。神なる免疫の遺伝子で治せない病気は誰も治すことができないのです。言うまでもなく、治せるような薬も何もないのです。ただ、患者の免疫を手助けできる漢方や鍼灸やワクチンや抗生物質や抗ヘルペス剤などの抗ウイルス剤だけは、免疫を助けてくれるので唯一使う価値があるのです。ましてや、免疫の遺伝子を抑える薬を用いれば、病気を治せるどころか、新たに後天的遺伝子病を作るだけなのです。自己免疫疾患というのは、自己の免疫が自分の成分を攻撃しているという医者が作った架空の病気でありますから、医者は免疫を抑えるしかないと嘘を言い続けているだけです。生きている限り免疫を抑えなければ見かけの症状は取れないので、一生遺伝子を変える薬を飲まざるをえないようにされてしまうのです。言うまでもなく、免疫を抑える限りは絶対に病気は治らないので、死ぬまで儲け続けるのは医薬業界だけであります。まさに生命までもが資本主義の金儲けのために弄ばれていることを思うと、資本主義社会を作った人間の悪徳ぶりにただただ絶望するだけです。
二つ目のクロスリアクションによる膠原病は、化学物質が原因ではないのです。それでは、クロスリアクション(交差反応)はどのように生じるかについて詳しく説明します。交差反応とはどういう意味を持つのでしょうか?交差という意味を理解するために、二本の線が交っている十文字をまずイメージしてください。十文字の一本の線が異物に対する抗体分子であり、二本目の線は、自分の細胞の一分子であることを理解してください。この自分の成分に対してではなく、他の異物に対して作り上げた抗体分子が、たまたま自分の細胞の蛋白分子と結びつき十字形を作ったのです。この十字形の抗体分子と結びついた好中球や大食細胞が、自己の細胞ごと貪食して炎症を起こしてしまうので、交差反応と呼ぶのです。この交差反応で起こった炎症を、世界中の医学者は、自己の成分に対して攻撃していると考え、自己免疫疾患と呼んでいるのです。おかしいと思いませんか?なぜならば、免疫が直接攻撃しているのは自分の成分ではなくて、たまたま別の異物に対して作られた抗体がたまたま自己の細胞にひっついて起こした炎症ですから、免疫が自己の成分を異物として認識して生じた炎症反応ではないのです。せいぜい“とばっちり疾患”とか、“巻き添え疾患”と呼ぶべきでしょう、ワハハ。ついでに言えば自己抗体は“とばっちり抗体”というべきものでしょう。なぜならば、異物が体内からなくなると、この“とばっちり抗体”作られなくなり、“とばっちり疾患”もなくなってしまうからです。もちろん始めから自己免疫疾患はないので、自己免疫疾患を論ずる必要もないのです。
三つ目は、はじめに述べたように、抗原抗体複合体を敵として、毛細血管が非常に多い腎臓や肺臓の組織で戦ったときに生じる膠原病です。人体に侵入した病原体の断片である抗原に結びついたIgA抗体やIgG抗体を抗原抗体複合体とか、免疫複合体ということは既に述べました。この抗原抗体複合体が大きすぎたり、たまたま大食細胞や好中球に処理されずに血液中に流れて、腎臓や肺の血管や組織に沈着し、この免疫複合体を処理するためにそこにいる補体や大食細胞によって新たに炎症が起きるのです。
どのようにして新たに炎症が起きるのでしょうか?二つの機序があります。まず一つ目は、免疫複合体を形成しているIgA抗体やIgG抗体のFc部分に、そこにいる好中球やマクロファージなどの貪食細胞が結合し、免疫複合体全体を貪食します。するとこれらの貪食細胞から活性酸素や酵素や強力な化学物質が放出され、腎臓や肺の組織に炎症が起こり、組織が破壊されます。腎臓や肺の組織が一旦破壊されると、腎臓や肺の細胞は甦ることがないので、治らない病気として原因不明の自己免疫疾患という名前がつけられてしまったのです。二つ目は、免疫複合体の抗原にさらにそこにいる補体が結びつくことがあるのです。免疫複合体の抗原に抗体と補体が結びつくと、ますます好中球やマクロファージなどの貪食細胞が、この免疫複合体の抗原を食べやすくなるのです。なぜならば、抗体も補体もいずれもオプソニン(味付け)作用を持っており、貪食細胞の食欲を2倍も増やすことができるからです。その結果、免疫複合体が沈着した組織の炎症がさらに激しくなり、組織が破壊されます。これが腎炎の起こる原因の一つとなっているのです。
ついでに付け加えておきますと、腎炎が起こる原因は、実は二つ目のクロスリアクションによる場合もあります。結論から言うと、腎臓の糸球体の毛細血管の基底膜細胞に対して、別の抗原によって作られた抗体が、たまたまこの基底細胞に結びつくことによってクロスリアクションに起こるのです。ここではっきりしておきたいことがあるのです。免疫複合体にいる腎炎とクロスリアクションによる腎炎が起こる機序は全く別なのです。なぜならば、一つは免疫複合体にひっついている抗体とクロスリアクションを起こす抗体とは、全く別物であるからです。二つ目は、仮に同じ抗体であっても、免疫複合体の抗体には既に抗原がひっついているので、新たなる抗原にひっつくというクロスリアクションはできないからです。ところが、免疫複合体による腎炎と、クロスリアクションによる腎炎とは、見かけ上は蛋白尿や尿潜血が見られるものですから、原因が同じと考えられがちです。しかしながら今述べたように、いずれも腎臓障害を起こすことは確かであるのですが、原因が全く異なっていることを知っておいてください。だからこそ腎炎の種類が色々生じるものですから、それを確定するためにも腎臓専門家は腎生検をやりたがりますが、実は腎炎が起こる根本原因については彼らは何も知らないのです。しかも生検をやって病名をつけたところで、使うのはステロイドだけですから、腎炎という病気を根本的に治すのには生検は絶対に必要とは言えないのです。腎炎については既に腎炎のコラムに書いたのですが、さらに勉強の成果を付け加える予定です。
今日の追加分はここまでです。2015/06/18
それでは人間が死ぬまで殺しきれない(体内からなくしきれない)敵が果たしているでしょうか?言い換えるとその敵に対して、死ぬまで抗体を作り続け、しかも殺しきれない敵は何でしょうか???????????皆さん考えてください。
さあ皆さん答えはわかったでしょうか?わかりましたね。その答えはただ一つ、あの例の8種類のヘルペスウイルスの仲間たちなのです。実は、この8種類のヘルペスウイルスに対する抗体は8種類だけではないのです。なぜでしょうか?まず、1種類のヘルペスウイルスに対して作る抗体は1種類だけでないのです。1種類のヘルペスウイルスは様々な蛋白からできているので、その蛋白のどの部分を免疫が抗原として認識するかによって、一人の人間の免疫が作る抗体は一つのヘルペスウイルスに対して何種類もできてしまうのです。
免疫が抗原として認識する蛋白をエピトープといいます。言い換えると一つのウイルスは多数の蛋白抗原を持っているので、無数のエピトープがあるということです。それぞれのエピトープに対して作られる抗体も全て異なっているのです。このエピトープを異物と認識するのはなんだと思いますか?例の樹枝状細胞や大食細胞です。これらの細胞を抗原提示細胞と言います。これらの抗原提示細胞は、抗原蛋白を取り込んだ後、その蛋白をペプチドという断片まで分断し、そのペプチドを自分のMHC蛋白と結びつけてはじめて、その蛋白をTリンパ球に提示して抗体を作り始めるのです。このMHC蛋白というMHC遺伝子によって作られるのです。このMHC蛋白を多種多様作れる遺伝子を持っている人は、MHC遺伝子の多様性が高いと言われます。MHC遺伝子の多様性が高い人は、それだけ数多く異物をTリンパ球に提示しやすいので、膠原病になりやすいと言えるのです。先ほど述べたように、免疫が殺しきれないヘルペスは8種類あるので、この8種類のウイルスに対して無数の様々な抗体を作れる免疫の遺伝子を持っている人がいるのです。
ついでに言えば、様々な多様なMHC蛋白を作りやすい人は、癌細胞ができても、この癌細胞に特異な蛋白と結びつくMHC蛋白の種類が多いので、癌細胞に対する抗体やキラーT細胞が作られやすく、癌になりにくいのです。さらに言い添えると、膠原病になった人は、常に免疫が高まっているので癌細胞もやっつけやすいとも言えるのです。免疫学とは一筋縄で話が済まない事が多い事がおわりでしょう。だから、免疫学はおもしろいのです。
ちなみに、インフルエンザのウイルスに感染しているか調べる抗体価検査も、その試薬にどのようなエピトープが含まれているかによって、抗体価が陽性や陰性になることがあるのです。
クロスリアクションによって生じる自己免疫疾患と言われる病気の原因についての結論は、次のようになります。8種類のヘルペスウイルスに対する抗体が自己の細胞の成分と結びついて、クロスリアクションを起こして炎症が続き、この炎症を自己の免疫が自己の細胞に対して攻撃し、自己免疫疾患となると間違って言われているのです。
もちろん、風邪のウイルスや、インフルエンザウイルスや、さらに連鎖球菌や黄色ブドウ球菌の数多くのエピトープによって作られた抗体が引き起こす、クロスリアクションによる膠原病は一時的に見られることがあります。しかし、これらのウイルスや細菌は殺しきることができ、体外からなくすことができるので、一時的な膠原病が生じることはありえるのです。しかしながら、インフルエンザウイルスワクチンによって、しばしば見られるⅠ型糖尿病は悲劇的な結果をもたらすことがあります。なぜならば、インフルエンザウイルスワクチンのエピトープに対して、免疫が作った抗体のいくつかがインシュリンを産生する膵臓のβアイレットとの細胞の膜にひっついてクロスリアクションを行うと、時に、完全にβアイレットが死滅して、生涯インシュリンを作れなくなることがあるからです。子供の時にこのような、クロスリアクションが起こってしまうと、死ぬまでインシュリンを打ち続けなければならないのです。
ちなみに、クロスリアクションは、モレキュラーミミクリー(molecular mimicry )による反応と呼ぶことがあります。モレキュラーミミクリーというのは分子模倣と訳します。なんの分子を模倣しているのでしょうか?先ほどクロスリアクションについて詳しく述べたのでありますが、異物の分子が自分の細胞の分子を模倣していると考え、分子模倣反応と言うのです。ここで、今日は終わりますが、下にクロスリアクションによる、抗体検査の一覧表を掲載しておきます。詳しい説明は次回の予定にしています。この表を読んでもさっぱり意味がわからないのは当然でしょうが、次回わかるように説明しますから、乞うご期待
M社自己免疫疾患検査使用抗原
検査項目(患者の細胞の中にある核のいろいろな成分に対する抗体) | 検査方法 | 使用抗原 |
抗核抗体 | CLEIA法 | 核抗原結合磁性粒子 |
抗核抗体 | ELISA法 | 核抗原 |
抗核抗体 | FA法 | HEp-2培養細胞 |
抗ds-DNA抗体 | CLEIA法 | 2本鎖DNA抗原結合磁性粒子 |
抗ss-DNA抗体 | CLEIA法 | 1本鎖DNA抗原結合磁性粒子 |
抗ss-DNA抗体 | ELISA法 | 1本鎖(ss)DNA画分 |
抗ds-DNA抗体 | ELISA法 | 2本鎖(ds)DNA画分 |
抗DNA抗体 | FA法 | Crithidia luciliae |
抗Sm抗体 | CLEIA法 | Sm抗原結合磁性粒子 |
抗RNP抗体 | CLEIA法 | リボ核蛋白質抗原結合磁性粒子 |
抗SS-A/Ro抗体 | CLEIA法 | SS-A/Ro抗原結合磁性粒子 |
抗SS-B/La抗体 | CLEIA法 | SS-B/LA抗原結合磁性粒子 |
抗Scl-70抗体 | CLEIA法 | Scl-70抗原結合磁性粒子 |
抗Jo-1抗体 | CLEIA法 | Jo-1抗原結合磁性粒子 |
抗Sm抗体 | ELISA法 | Smたん白質 |
抗RNP抗体 | ELISA法 | RNPリコンビナント70K蛋白質、RNPリコンビナントA蛋白質、RNPリコンビナントC蛋白質 |
抗SS-A/Ro抗体 | ELISA法 | SS-A/Ro たん白質 |
抗SS-B/La抗体 | ELISA法 | SS-B たん白質 |
抗Scl-70抗体 | ELISA法 | Scl-70 たん白質 |
抗Jo-1抗体 | ELISA法 | Jo-1たん白質 |
抗ENA抗体 | 二重免疫拡散法 | ウサギ胸線抽出液(凍結乾燥品) |
抗ENA抗体 | 二重免疫拡散法 | ブタ脾臓抽出液(凍結乾燥品),ウサギ胸線抽出液(凍結乾燥品) |
抗ENA抗体 | 二重免疫拡散法 | ウサギ胸線抽出液(凍結乾燥品) |
抗ENA抗体 | 二重免疫拡散法 | ブタ脾臓抽出液(凍結乾燥品) |
抗ARS抗体 | ELISA法 | ARSたん白質 |
抗RNAポリメラーゼⅢ抗体 | ELISA法 | リコンビナントRNA ポリミラーゼⅢたん白質 |
抗セントロメア抗体 | CLEIA法 | CENP-B抗原結合磁性粒子 |
抗セントロメア抗体 | ELISA法 | CENP-Bリコンビナントたん白質 |
抗ミトコンドリアM2抗体 | CLEIA法 | M2抗原結合磁性粒子 |
抗ミトコンドリアM2抗体 | ELISA法 | M2抗原蛋白質 |
抗ミトコンドリア抗体、抗平滑筋抗体検査 | FA法 | ラット胃・腎小切片 |
抗LKM-1抗体 | ELISA法 | CytochromeP450 IID リコンビナント蛋白質 |
抗カルジオリピン抗体 | ELISA法 | カルジオリピン |
抗カルジオリピン抗体(IgM) | ELISA法 | カルジオリピン |
抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体 | CLEIA法 | CCP(Cyclic citrullinated peptide)抗原結合磁性粒子 |
抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体 | CLEIA法 | – |
抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体 | 免疫クロマトグラフィー法 | (CCP)抗原 |
抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体 | CLEIA法 | 合成環状シトルリン化ペプチド |
抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体) | CLEIA法 | GBM抗原結合磁性粒子 |
抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA) | CLEIA法 | ミエロペルオキシターゼ抗原結合磁性粒子 |
抗好中球細胞質抗体(PR3-ANCA) | CLEIA法 | プロテイナーゼ3抗原結合磁性粒子 |
抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA) | ELISA法 | ミエロペルオキシターゼたん白質(MPO たん白質) |
抗好中球細胞質抗体(PR3-ANCA) | ELISA法 | プロテイナーゼ3たん白質(PR3 たん白質) |
抗好中球細胞質抗体 | FA法 | ヒト好中球細胞 |
抗皮膚抗体 | CLEIA法 | デスモグレイン1抗原結合磁性粒子 |
抗皮膚抗体 | CLEIA法 | デスモグレイン3抗原結合磁性粒子 |
抗BP180抗体 | CLEIA法 | BP180NC16a抗原結合磁性粒子 |
抗デスモグレイン1抗体 | ELISA法 | 組換えデスモグレイン1たん白質(組換えDsg1 たん白質) |
抗デスモグレイン3抗体 | ELISA法 | 組換えデスモグレイン3たん白質(組換えDsg3 たん白質) |
抗BP180抗体 | ELISA法 | 組換えBP180NC16a蛋白質 |
一番右端の使用抗原を見てください。この使用抗原は患者さんの成分の抗原ではないのです。それでは何の成分であり、どうして反応が陽性と出た人を自己免疫疾患と言えるのでしょうか?まず、使用抗原の成分は読んでお分かりのように、100%患者さんの自己成分ではないということに気づいてください。それでは、次に左端の検査項目の列をご覧ください。この項目には、患者が作る多種多様な自己抗体とされる抗体が掲げられています。このいわゆる自己抗体が高い人が様々な自己免疫疾患の病名をつけられていくのです。なぜこんなバカな検査が世界中の病医院で行われているのでしょうか?それでは自己抗体でなければ何の成分に対する抗体を調べているのでしょうか?自分の成分以外の物質に対するクロスリアクションによる抗体を調べているのです。この意味は次回詳しく説明しましょう。頭の良い人は一週間考えて答えを出しておいてください、ワハハ。
2015/6/16
皆さん、上の表を全て理解するために、まず免疫学の初歩を復習しましょう。免疫の初歩といっても全てを語ることができませんので、抗体がどのようにして作られるかに的を絞りましょう。なぜならば、この世に存在しない自己免疫疾患という病気の最終的診断は、この自己抗体を患者が作っているかどうかで診断されるからです。
抗体は血液中に流れているものですから、この抗体を作る免疫を液性免疫といいます。本当は抗体は粘膜上にもたくさんあるものですから、液性粘膜性免疫というべきものですが。ご存知のように、病原体が人体に侵入すると、免疫の最後の働きはその病原体だけに対して特異的な抗体を作りますね。この特異な抗体という意味を十分に理解してくださいよ。この抗体と病原体とが結びつくと、これを抗原抗体複合体というのですが、既に書いたように抗体のオプソニン作用によって病原体(抗原)が貪食細胞に抗体もろとも、つまり抗原抗体複合体がまるごと食べられてしまい、病原体は一巻の終わりとなります。例えば、抗原であるインフルエンザウイルスが侵入すれば、インフルエンザウイルスだけに結びつく特異的な抗体が作られると、この抗体がインフルエンザと結びつき、貪食細胞に食べられてしまうというわけです。ここで、インフルエンザにかかれば熱も出るし喉も痛くなるという問題は抗体はどのように関わっているか、と疑問に思う人がいるでしょう。このような症状は炎症といいますが、炎症には抗体は直接的には関わっていないことを知っておいてください。炎症の意味とか抗体が作られるまでのプロセスについては、あちこちで書きまくっていますから、私のホームページをよく読んでもらえば必ず理解できると思います。ワクチンはこのような抗体を作ることによって一切症状が出ないように、つまり病気が起こらないようにワクチンを打つこともご存知でしょう。知らないうちに病原体を免疫が殺してしまっているからです。
この世に免疫というのは人間にとって有害な異物を除去するために38億年かかって出来上がった人間の命を守るためのシステムが免疫そのものなのです。「自己免疫疾患はない」のパート1に、『自分の一部である自己の成分を異物として認識できないので、自己免疫疾患はあり得ない』と論証していたのを覚えていますか?一人の人間は、自分が自分であることを証明するMHCという遺伝子から作られた独自のMHCタンパクを持っていることを述べました。それは全ての免疫細胞は全ての細胞の成分と同じMHCを持っているので、同じMHCを持っている限り、異物とみなすことはできないということが、自己免疫疾患がないという根拠の一つになっていることも述べました。ところが自己免疫疾患論者は、自分を攻撃する特異的な抗体を自分の免疫が作っているということを証明するために、自己抗体を自己免疫疾患患者が作っているという検査を最後の切り札として編み出したのが自己抗体なのです。もちろんこのような自己抗体がどのように作られるのかについては一切述べていないのです。ただただ上の表の左端に述べているような自己抗体は、自分の成分に対して作られているわけではないのにもかかわらず、好き勝手に羅列しているだけなのです。
ここで私が論証したいことは、この自己抗体というのは、実は他人のガン細胞や、豚やウサギやラットの成分を抗原と用いて、様々な検査方法を用いたまやかしの検査で陽性と出たので、患者の血液に自己抗体があると捏造したのです。それでは自己免疫疾患はないのにもかかわらず、このような検査で陽性に出るのは一体どうなっているのでしょうか?
かなり賢い人は他人のガン細胞や豚やウサギやラットの成分がアレルゲンとなり、このアレルゲンに対して抗体ができたという人もいるでしょう。ところが残念ながら、この自己免疫疾患に際して作られる抗体はIgEではなくてIgGであるので、アレルギーではないのです。というよりも、人体の中に直接他人のガン細胞や豚やウサギやラットの成分を入れれば、まずIgGが作られ、クラススイッチを行った後にIgEが作られ、大量にこれらの抗原を入れ続ければ、アレルギーでアトピーのみならず喘息発作やさらにアナフィラキシーショックを起こすことは確かでしょう。ところが、この自己抗体検査は患者さんの血液を体外に取り出して、他人のガン細胞や豚やウサギやラットの成分を混ぜて、複雑な検査プロセスを経て、最後に抗体が陽性であると診断しているので、アレルギーが絶対に起こらないのは本当に運のいい検査ですね!アッハッハ!
それでは、この検査が陽性に出る人と陰性に出る人の違いはなんなのでしょうか?皆さん、分かりますか?よく考えてください。上の表をじっとご覧になればわかるように、一番左の検査項目を見てください。この検査項目は、多くが細胞の中にある核の様々な成分に対する抗体検査であります。ときにミトコンドリアや細胞質や皮膚の成分に対する抗体検査も検査項目に含まれています。これらの成分は、細胞が潰れなければ漏れることはありません。どのようにしてこのような自己の成分が漏れ出てくるのでしょうか?答えを先に出しましょう。この抗体検査は、実は自分以外の異物に対して作られた抗体がクロスリアクションして陽性に出たのです。ちょっと難しいですが、その理屈を1週間考えてください。
今日はここまでです。2015/06/25
まず、自己免疫疾患とは、自分の成分に対して自分の免疫が抗体を作って攻撃する病気というわけです。それでは、自分の体の成分は一体何からできているのかを復習してみましょう。自分の身体は器官と組織と細胞から成り立っていますね。ミクロの免疫の抗体は、マクロの世界の器官や組織や細胞はあまりにも巨大すぎて、直接攻撃することはできません。具体的には、抗体の大きさは数nm(ナノメートル)であります。1ナノメートルというのは、10億分の1メートルのことであります。一方、人体は約200~300種類、約60兆個の細胞で構成されています。細胞の大きさは、種類により大きさも形もさまざまです。多くは直径10μm~30μm(マイクロメートル)ですが、もっとも大きいのが成熟卵子で約200μm、もっとも小さいのが精子で約2.5μmです。1マイクロメートルは、100万分の1メートルであり、1000nmであります。つまり、数nmの抗体が1000倍以上も大きい細胞を直接攻撃するなどということはできないことがおわかりでしょう。従って、もし抗体が攻撃することができるとすれば、細胞のもっとはるかに小さい成分の何かであるはずです。
それでは細胞は何からできているのでしょうか?細胞は細胞膜で囲まれています。細胞膜に囲まれている内側を細胞質といいます。細胞質の中には何があるでしょうか?細胞小器官と呼ばれるものです。この細胞小器官に中に、核やミトコンドリアや小胞体やゴルジ体やリボソームなどがあります。それでは核の大きさはどれぐらいだと思いますか?10μmであります。さっき言ったように、抗体の大きさは数nmであります。核の大きさに比べると、抗体がいかに小さいかがおわかりでしょう。したがって、抗体が直接的に核を攻撃しているとは考えにくいのです。それでは、この核の中には何が入っていると思いますか?
現在、知られている自己免疫疾患の抗体検査は100種類程度あります。上の表の抗体検査は、細胞の中にある核を形成している微小な成分に対する抗体検査がほとんどを占めています。残りは、細胞にある細胞質に対する抗体や、皮膚にある結合組織の成分に対する抗体や、血管の基底膜に対する抗体であります。のちほど、上記の抗体検査の正常値と異常値、つまり自己免疫疾患が診断される陽性値を示します。
自己免疫疾患があるかないかを調べる手始めとして、つまり自己免疫疾患のスクリーニング検査として、抗核抗体という検査をします。抗核抗体は英語でANAといいます。これは“Anti Nuclear Antibody”の略語です。この検査が陽性である場合に、次のステップとして、どの種類の核の成分に対して陽性なのかを詳しく調べます。それが上の表の左端を見ればわかるように、抗dsDNA抗体であり、抗RNP抗体であり、抗RNP抗体の一つである抗SS-A/RO抗体などであります。
抗核抗体検査では、先程言ったように、スクリーニング検査として、まず必ず抗核抗体の値を調べます。ANAが40未満が正常値で、40以上が異常値であります。自己免疫疾患がない健常者の95%以上の抗核抗体の値が40未満であるので、40未満を正常値と決めているだけです。それでは、なぜ自己免疫疾患がない人の抗核抗体の値が0にならないのでしょうか?疑問に思いませんか?この抗核抗体の検査で全ての人が多かれ少なかれ値が出てくるのは、全ての人間が自己免疫疾患の可能性を秘めているのでしょうか?そんなことはないでしょう。その答えはなんだと思いますか?答えを出しましょう。
人間は60兆個の細胞から成り立っています。この細胞は毎日毎日3000億〜4000億個も新陳代謝で入れ替わっています。要するに、細胞が毎日潰れているということです。細胞が毎日入れ替わるということは、細胞膜が潰れ、細胞内のあらゆる成分が断片になって処理されて消えていくことです。当然、細胞小器官である核も細胞質もミトコンドリアも、全て結合組織や体外に流れ出ていきます。つまり正常な人でも毎日3000億個も細胞が潰れていくと、結合組織に核の老廃物が溜まり、最後は大食細胞に処理されます。
いわゆる自己免疫疾患といわれる病気の成り立ちは、3つあることは既に述べました。上で説明したように、1つは、化学物質をハプテンとし、このハプテンに結びついたキャリアタンパクが免疫に異物と認識されてIgGで戦うときに生じます。2つめは、例のクロスリアクションで起こります。3つめは、免疫複合体である抗原抗体複合体が組織に沈着し、それを大食細胞や好中球が貪食し、組織に炎症を起こします。以上の3つであります。3つの中で、ひとつめの化学物質をIgGで戦う病気を本来は膠原病であると考えるべきなのです。なぜならば、2つめと3つめの膠原病は、いわば化学物質ではない他の異物に対して作られたIgGが、その本来の異物をたまたま上手に処理しきれずに、新たに別の戦いが始まり、別の組織で炎症を起こした“とばっちり病”というべきものなのです。この3つの自己免疫疾患の成り立ちを、現代の世界の医学者たちは区別することができないので、ますます自己免疫疾患という病気が難病であるとか原因がわからないなどと言われるようになってしまったのです。
本来、膠原病とは、いつも言っているように、化学物質をIgEで処理できるのに、自分のステロイドホルモンや医者の使ったステロイドで、免疫のクラススイッチができなくなり、つまり逆クラススイッチしてしまってIgGで戦わざるを得なくなった病気が膠原病というべきなのです。言い換えると、例えばハウスダストやダニに対してIgEがあるように、ハウスダストやダニに対してIgGが必ず存在しているのです。このようなIgGも血液検査で確認できるので、この検査こそが膠原病、つまり自己免疫疾患である唯一の検査であるべきなのです。にもかかわらず、表に載せたように、様々な無駄な抗体検査がなされているのです。
7〜8年前までは、ハウスダストやダニに対するIgG検査も、あらゆる医学研究所では行われていたのですが、膠原病とアレルギーが同じ病気であることを知られると医薬業界は存続できないので、その検査試薬を作ることさえ止めてしまったのです。なぜならば誰もが知っているアレルギーと絶対に治らない難病と言われている自己免疫疾患の原因は実は同じであるということが、たったひとつの血液検査だけでバレてしまうので、医薬業界のお偉い方は誰も口にしないのです。この真実を一番よくご存知のお方は、文化勲章を受賞された京都大学の名誉教授であられる本庶佑先生であります。なぜならば、彼がIgGからIgEに変わるクラススイッチの遺伝子を見つけたその人だからです。わかりやすく言うと、IgEが捕まえている抗原と、IgGが捕まえている抗原は同じであるということを、彼は証明したのです。この遺伝子を見つけたので、本庶先生は長い間ノーベル賞候補にもなっておられたのです。残念です。
「自己免疫疾患はなぜないのかパート3」を書くのに随分と手間取っています。なぜでしょうか?今私は、世界中の誰一人として知らない「自己免疫疾患がない」ということを証明しようとしています。私は、自分が納得できない医学の論理を書きたくないのです。できる限り現在わかっている医学、特に免疫学を勉強し、この成果を基礎にして、自分の免疫が自分の成分を攻撃するというようなアホな病気は絶対にないことを完璧に証明したいのです。世界で最も優れた大学であるハーバード大学、オックスフォード大学、スタンフォード大学の医学部の教授さえもが、自己免疫疾患は存在しないという真実を知らないので、これを明らかにしようとすることが、いかに困難かわかってもらいたいのです。ひょっとすれば私はきちがいかもしれませんね。アッハッハ!
さて本論に戻りましょう。それではなぜ細胞の核関連の抗体の検査ばかりが多いのでしょうか?ご存知のように、いずれにしろ、偽の自己抗体にしろ、あらゆる種類の真実の抗体はタンパク質に対してしか作られません。これだけ核に対する偽の自己抗体が作られるのは、核だけに存在するタンパク質が極めて多いということを示唆しています。
実は人間の体はほとんどタンパクからできていると言っても過言ではないのです。簡単に言うと、タンパク質というのは、人体から骨と脂肪と水分の3つを除いた残りの全てといってもいいのです。したがって、莫大な種類があります。10万種類を超えると言われています。これらのタンパク質は全て細胞内で作られ、細胞の構造を維持し、かつ細胞のあらゆる働きを担っているのです。ついでにいえば、タンパク質の種類は、細胞の形を維持する構造タンパク質と、細胞の機能を担う機能タンパク質の2つに分かれます。構造タンパク質は細胞や組織に機械的な強度を持たせます。機能タンパク質は細胞の働きを維持していますが、そのひとつが酵素であり、もうひとつが分泌タンパク質であります。免疫の成分も分泌タンパク質のひとつであります。酵素は、ご存知のように、人体の化学反応を円滑に進めさせる触媒の働きがあります。これらの分泌タンパク質は、細胞間どうしの情報を伝える働きを持っています。その情報を担う分泌タンパク質で有名なのがホルモンであり、免疫の働きを持つサイトカインであります。サイトカインやホルモンを受け取った細胞は性質が変化します。このように、別の細胞や物質に作用して特定の変化を引き起こすタンパク質は、◯◯因子という名がつけられます。このようなタンパク質を作る設計図が載せられているのが核のDNAであります。このDNAに載せられている遺伝子が全部で23000個程あることもご存じでしょう。
ところが実は、このDNAには特異的に結合するタンパク質があることがわかりました。これが転写因子とよばれるものです。なぜ転写因子と呼ばれるのでしょうか?真上で説明したように、DNAという化学物質に結びつくタンパクで、DNAの働きに変化を引き起こすので、因子がつきます。転写というのは、DNAという遺伝子の情報をRNAに写し替える、つまり転写するので、転写因子という名前がつきました。この転写因子であるタンパク質は、核の中にだけあり、1800種類もあるのです。しかも、この1800種類もあるタンパク質は、単独に働くのみならず、他のタンパク質と複合体を形成して、転写因子の仕事をするのです。つまり、核だけにしかない多数の、しかも多種類のタンパク質が核にあるので、これに対する抗体も様々作ることができるのです。このタンパク質は、核にしか存在しないということを重々に知っておいてください。だからこそ数多くの核関連の自己抗体といわれる抗体があるのです。
何回も言いますが、検査によって決められたこの核にある自己抗体は、確かに患者が自分の免疫の働きで作った抗体ではあるのですが、決して自己の核の成分に対して作ったものではないことを再確認しておいてもらいたいのです。ちょっと難しいでしょうが。あくまでも試薬検査屋が自己抗体を調べると勝手に銘打った検査薬であることを知っておいてください。繰り返し述べますが、試薬検査屋が作った検査薬は、患者さんの成分を用いて作った抗原ではなく、全く患者の成分とは縁もゆかりもない異物であることを知っておいてください。
今日もどのようにして検査屋の試薬が患者の抗体と反応させたら陽性に出るのかという本質、つまり陽性が出るのは、患者自身が作った抗体が検査屋の試薬(抗原)とクロスリアクションをしたにすぎないという詳しい説明まで書けなかったのはご容赦ください。次にご期待ください。
今日はここまでです。2015/07/02
私は、常に物事の本質が理解できなければ、納得できないタチです。したがって、常に何か出来事があれば、なぜその現象が生じ、その現象がどんな意味を持つのかを、常に知りたくてたまりません。知るためには勉強する以外にありません。お偉い医学者や学者が言ったことが正しいとは限らないからです。なぜならば、すべからく世の中はエゴの快楽を満たすために動いているからです。決して真実と正義を実現するために人間は生きているわけではありません。それでは、最大の快楽を得られるのはなんだと思いますか?政治権力であり、他人を支配できる知識や才能などの種々の支配力であり、最後は富であり、お金であります。いずれにしろお金の取り合いをやっている世界が資本主義の競争世界であります。これらの力を手にいれるための最大の武器は頭脳であります。知識であります。だからこそ世界中の先進国は教育に熱中するのであります。例えば今問題にしている抗体の検査薬も、病気を正しく診断して正しく病気を直すために作られているのではありません。最も頭のいい薬学者が、このような嘘八百の検査試薬を作ることによって、愚かな大衆を騙し、お金を儲けるためだけというのは言い過ぎでしょうか?
ここまで言い切った以上、どのようにして人間の免疫の遺伝子が自分の敵に対して抗体という武器を作るのかについてふれざるを得なくなりました。もう一度抗体というタンパク質が遺伝子から作られるまでのプロセスを復習してみましょう。上で述べたように、ある特定の抗原に対して、その抗原にピッタリ結びつく特定のIgG抗体がどのように作られるかを説明しましょう。
人間は毎日毎日、リンパ球を作る骨髄で何億という抗原を認識できるTリンパ球やBリンパ球を何十億個も作っています。ここで特定の抗原Aを認識するT細胞をT細胞Aと仮に名付けます。同じように特定の抗原Aを認識し、この抗原に対して作られる抗体を抗体aと名付けて話を進めます。
さて、樹状細胞に捕まえられた抗原Aがリンパ節に運ばれ、そこで抗原Aを認識する特別なヘルパーT細胞Aと出会って、まず結びつきます。ご存知のように、抗原Aに対して抗体aを作るのは、T細胞ではなくて抗体aを作ることができる特定のB細胞aが必要になります。このB細胞aは補体に運ばれてきた抗原Aを認識し、リンパ節でヘルパーT細胞Aの助けを得て、B細胞aは抗体aを作ることは、みなさんは既にご存知でしょう。ここからがB細胞aがどのようにしてIgG抗体aを作るかの話になります。
IgG抗体aを作るときには、まずDNA上にあるIgG抗体a遺伝子の一部にRNA(ribo-nucleic acid、これをリボ核酸といいますが)を合成する酵素であるRNAポリメラーゼが結びつきます。すると、DNAのIgG抗体a遺伝子の情報をmRNA(messenger-RNA、これを伝令RNAといいますが)という物質に写しとります。つまり遺伝子を写し取るといってもいいのです。これを転写といいます。上で述べたように、転写因子というのは、DNAという化学物質に結びつくタンパクで、DNAの働きに変化を引き起こす因子であります。転写というのは、DNAという遺伝子の情報をmRNAに写し替える、つまり転写するきっかけを与えるので、転写因子という名前がついたことは既に述べました。
さぁ、このような遺伝子DNAがmRNAにどこで転写されると思いますか?もちろん細胞の中にある核内であります。さらに詳しくIgG抗体aというタンパク質が最後に作られるまでのプロセスを説明しましょう。IgG抗体のようなタンパク質が合成されることを「設計図である遺伝子が発現される」といいます。私たちの生活は毎日毎日、10万種類以上のタンパク質を知らずに合成しているのですが、言い換えると、遺伝子の発現を人体は知らないところで必要に応じて、瞬間瞬間に行っているのです。つまり遺伝子の発現があってこそ、私たちの生命は生き続けることができることを知ってください。だからこそ遺伝子の発現の詳細について説明しているのです。
さて、遺伝子はDNAから成り立っています。このDNAは二重螺旋構造になっています。DNA上の遺伝子の情報は二重のままではmRNAに情報を移し替えることはできないのです。というのは、遺伝子情報は、二本のそれぞれのDNAに載せられているのです。したがって、抗体を作るための情報が載っている二重のDNAをヘリカーゼという酵素を用いて一本にほどく必要があるのです。どのようにほどくのかを説明するのは、難しすぎるので、とにかく二重螺旋の一部分が一重になることを知ってください。この一本になったDNAの鎖に設計されている必要な遺伝子を発現するために、まずピッタリとくっつくRNAのヌクレオチドが結合し、RNAポリメラーゼ(RNA合成酵素)によってRNAのヌクレオチドがどんどん繋がり、mRNAが合成されます。さぁ、このRNAのヌクレオチドは一体なんでしょうか?またどこで作られるのでしょうか?
まずDNAは、二重鎖螺旋構造になっています。言い換えると、DNAは核酸が連なった一本の鎖が二本の鎖になったものといえます。核酸とはなんでしょうか?ヌクレオチドが連なった鎖です。ヌクレオチドとはなんでしょうか?ヌクレオチドは核酸を作る単位といえます。DNAやヌクレオチドは、リン酸と、糖(五炭糖)と、塩基から成り立っています。一番外側にはリン酸があり、真ん中には糖(五炭糖)があり、一番内側には塩基があります。一番外のリン酸は、隣のヌクレオチドの糖(五炭糖)と結合する仕事をします。一番内側にある塩基は、どんな仕事をするのでしょうか?DNAは、二本の鎖が結合したものです。この二本の鎖がどのように結合するのでしょうか?まさに二本の鎖のそれぞれ一番内側にある塩基どうしが結合することで二本鎖になるのです。この説明でDNAが二重鎖螺旋構造になっているイメージが描けるでしょうか?
DNAの二重鎖螺旋構造を理解するのにはポイントが2つあります。ひとつめのポイントは、DNAの一重鎖がどのように連なって鎖になっていくかということをまず理解してください。次に2つめのポイントは、出来上がった一重鎖がどのように二重鎖になるかを理解することです。
まず一重鎖がどのようにして連なっているかをまとめましょう。一重鎖のDNAの一番外側にあるリン酸が、糖(五炭糖)にどうしを結びつける仲介の役割をしています。五炭糖は5つの炭素を持った環状構造をしています。5つの炭素には1’、2’、3’、4’、5’の5つの番号が付いています。ひとつのリン酸は、2つの五炭糖を結びつけるのです。ひとつめの五炭糖とは5’の部位で結合し、もうひとつの五炭糖には3’の部位で結合します。この結合は「リン酸ジエステル結合」といいます。それは、2つの炭素原子の間がリン酸を介して2つのエステル結合によって強く結びついているので、リン酸ジエステル結合といいます。「ジ」というのは「2つ」という意味なのです。このリン酸ジエステル結合がリン酸と五炭糖の間で繰り返されて、長い一重鎖状になるのです。つまり五炭糖-リン酸-五炭糖-リン酸-五炭糖-リン酸…とどんどんと鎖がのびていくのです。
DNAの転写や翻訳のはじめは方向が決まっております。というのは、必ずDNAはヌクレオチド単位が連続して結びついてできているので、必ずヌクレオチドは「リン酸・五炭糖・塩基」で成り立っていますから、どの遺伝子を見てもリン酸と五炭糖が結びついている部位が必ずわかります。転写や翻訳が始まるスタート地点はリン酸が五炭糖に結びついている5’位から始まり、当然次に3’位が転写や翻訳がされるという繰り返しがみられます。言い換えると、転写や翻訳によって複製されて生まれ出てくる遺伝子の単位であるヌクレオチドの赤ちゃんは、必ず5’から生まれ出て、そのあと3’が続きます。これを繰り返すと5’3’5’3’5’3’…の連続したヌクレオチド、つまり遺伝子が生まれ出てくるのです。これを「転写や翻訳は必ず5’位から3’位への方向に進む」といいます。なお、出来上がった一重鎖には必ず両端が存在します。この両端には必ずヌクレオチドがあります。したがってこの両端のヌクレオチドには必ずリン酸があります。末端のヌクレオチドの五炭糖の5’にリン酸が結合して切れている側の方を5’末端、反対側を3’末端と呼んで区別します。また、隣り合う核酸上の領域の、5’側を上流、3’側を下流といいます。
次に、2つめのポイントである、出来上がった一重鎖がどのように二重鎖になるかを説明しましょう。わかりやすい画像があったのでコピーして説明します。
左の絵を見てもらえばおわかりのように、DNAは3つの成分から成り立ったヌクレオチドが連続して繋がって二重鎖になっています。DNAの塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4つであります。(RNAの塩基はアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)まではDNAと同じですが、チミンがウラシル(U)に変わっています。)左の図で一目瞭然ですが、まさに塩基どうしが二本の鎖を結びつけているのです。つまり一重鎖の塩基どうしが結びついて二重鎖のDNAになるのです。このとき必ず結びつく塩基どうしは決まっているのです。AとTか、GとCどうししか結びつくことはないのです。
みなさん、これらのDNAやRNAの原料である塩基と糖とリン酸はどこで作られると思いますか?核の中ではなくて、細胞質で作られるのです。細胞質で作られたこれらの原料は、核膜孔といわれる穴から核に運ばれるのです。みなさん、核の中では遺伝子DNAからRNAが作られる話を今しています。詳しくは次回になりますが、このRNAから酵素やあらゆるタンパク質が作られます。ところが、核酸であるDNAやRNAの材料であるヌクレオチドは逆で、アミノ酸や酵素からRNAの材料であるリボヌクレオチドが作られ、そこからDNAの材料であるデオシボリボヌクレオチドが作られるのは何か変な気がしませんか?「鶏が先か、卵が先か」という話と繋がっているのです。つまり「遺伝子が先か、アミノ酸が先か」という疑問につながります。これも実は答えがあるのです。皆さん考えてください。まず考えてもらいたいのは「鶏が先か、卵が先か」という質問の答えです。乞うご期待。
今日はここまでです。2015/07/09
まず、「鶏が先か、卵が先か」という問いの答えは、「こんなつまらない質問はするな」という一喝で終わります。冗談を言いましたが、このような質問を出す人は、勝手に「永遠にニワトリが卵を産み、卵が鶏になり続ける」と思い込んでいる人であるからです。だからこそつまらない質問だというのです。このような質問は、短期間のみの物事の変化しか認識できない一般大衆のレベルの質問なのです。つまり目の前の事実は永遠に変わらないと思い込んでいるのです。生命の誕生以来、38億年かかっていますが、その間に生命が進化する中で、脊椎動物が生まれ、さらに鶏が生まれていくという見えない真実を知らないのです。ですから、本当に頭のいい人だったら、「鶏が先か、卵が先か」という質問を絶対にしないのです。皆さん、今後、こんなつまらない質問は自分の愚かさだけを強調することになりますから、二度としないでくださいね、ワッハッハ!同様に「遺伝子が先か、アミノ酸が先か」という質問を本当に答えようとすれば、難しすぎて一大研究テーマになります。この答えもつまらない質問といえると同時に難しすぎる質問だといえます。いずれの問いも、実は生命がどのように発生したかという難題に繋がるのです。
今回は、地球上のあらゆる生物が共通して行っている遺伝子をタンパク質に作り変える話から始めます。遺伝子の情報をタンパク質に作り変えることを遺伝子発現といいます。「遺伝子発現」という言葉と、「遺伝子が働く」という言葉を混同しないように説明しておきましょう。「遺伝子発現」というのは、基本的にはmRNAとタンパク質の2つが合成されることを示します。ときに、mRANとタンパク質の2つを合わせて遺伝子産物ということがあります。一方、「遺伝子が働く」というときには、転写も翻訳も終わり、さらに合成されたタンパク質が、なんらかの仕事を行うことを指します。
遺伝子発現の大きな流れとしては、生命の設計図であるDNAの情報が、まずmRNAに転写されます。次に、mRNAは核から細胞質へと移動し、細胞質にあるリボソームという細胞小器官の中でmRNAの情報をアミノ酸の鎖に写し替えます。これを翻訳といいます。さらにこのアミノ酸がいくつか繋がれて長い鎖になります。これをポリペプチドといいます。このポリペプチドがさらにいくつか結合してやっと成熟したタンパク質となるのです。このようにDNAがmRNAに転写され、次にmRNAがアミノ酸に翻訳され、最後はアミノ酸がタンパク質になるというストーリーは、地球上のすべての生物が行っている生命の大原則であるので、この原理をセントラルドグマ(中心命題)といいます。この原理を提唱したのは、遺伝子はDNAの二重鎖であることを見つけたフランシス・クリックであります。
さぁ、長い間寄り道をしていましたが、以前に残しておいた疑問に対して答えを出していきましょう。その疑問とは、『どのようにして検査屋の試薬が患者の抗体と反応させたら陽性に出るのかという本質、つまり陽性が出るのは、患者自身が作った抗体が検査屋の試薬(抗原)とクロスリアクションをしたにすぎない』という疑問に対して答えていきたいと思います。
以前、掲載したM社の自己免疫疾患検査使用抗原を思い出してください。この使用抗原の全ては、自己免疫疾患という病名をつけられた患者さんの自己の成分では全くないことをまず確認してください。ひとつひとつの使用抗原について資料を集めたのですが、あまりにも詳しくなりすぎるのでやめます。何度も繰り返すようですが、これらの使用抗原は自己免疫疾患の患者さんの自己成分とは何一つ関わりがなく、縁もゆかりもない抗原であるのです。にもかかわらず、なぜ患者さんの血液から採った血清に含まれる様々な抗体のひとつに反応する傾向があるのか、という疑問に対する答えが、以前書いたクロスリアクションであります。クロスリアクションは、交差反応といわれるのですが、何と何が交差して反応しているのかをまず説明しましょう。つまり患者さんがM社の使用抗原と交差して反応する抗体を既に作っていたのです。患者さんはM社の抗原と反応する前に、何に対して抗体を作っていたと思いますか?
既に書いたように、いわゆる自己免疫疾患と呼ばれる膠原病が起こるメカニズムを3つ書きました。一番多いのはハプテンである化学物質と、キャリアタンパクとが結びついた複合体であります。このキャリアタンパクは、自分の成分のタンパク質でもかまわないし、もともとハプテンと引っ付いた外部のタンパク質でもいいのです。キャリアタンパクで一番多いのは、やはり自己の成分であるタンパク質であります。この複合体に対して既に作り上げられたIgG抗体が、M社の作った抗原と結びついて、つまり交差反応を行って陽性反応が生じたのです。これだけの話なのです。
それでは、もう一度M社の自己免疫疾患検査の表を見直してください。検査項目が50近くありましたね。それぞれのM社の使用抗原を用いて患者の血清と反応させるのです。検査方法の項目を見てください。上からCLIEA法とかELISA法とかFA法とか二重免疫拡散法などが並んでいますね。これらの検査法は要するにM社の使用抗原と、患者の血清の中にある抗体とが反応すると、抗原抗体複合体ができます。この抗原抗体複合体の量を調べているのですが、極めて微量な抗原抗体複合体の量なので、その量を拡大したり、さらに可視的な反応として確認できるように、いろいろと工夫された検査法が使われるのです。いずれにしろ、抗体の量が高ければ陽性となり、自己免疫疾患と判断され、抗体の量が低ければ陰性となり、自己免疫疾患ではないと診断されるのです。
ところが、自己免疫疾患がないときの、これらの抗体の正常値(基準値)は、0になることは絶対にないのです。例えば、一番上の抗核抗体の正常値は40未満であります。抗Jo-1抗体の正常値は10以下であります。抗Sm抗体の正常値は10以下であります。というように、50種類の抗核抗体のすべての基準値は絶対に0にはならないのです。なぜだと思いますか?
まずこれらの抗体検査に用いられる多くの使用抗原は、HeLa細胞由来のHep2細胞成分であります。それではHeLa細胞とはなんでしょうか?HeLa細胞(ヒーラさいぼう)は、ヘンリエッタ・ラックスという女性の子宮頸癌由来の細胞を培養して得られた細胞です。試験管を用いて行われる研究や実験で幅広く用いられています。抗核抗体を調べるときにも用いられるのです。1951年に子宮頸癌で亡くなった30代黒人女性のヘンリエッタ・ラックスのHeとLaの二文字ずつをとって、HeLa細胞と命名されたのです。皆さん、このHeLa細胞の成分は自己免疫疾患の患者にとっては異物です。なぜならばヘンリエッタ・ラックスは他人だからです。
それでは、なぜ試験管の中でHeLa細胞の成分と患者さんの血清の中にある抗原抗体複合体を作るのでしょうか?というのは、HeLa細胞を血液に注入されれば、人体は異物であるHeLa細胞に対して、新たに初めてHeLa細胞に対するIgGを作る可能性はあります。ところが、試験管でHeLa細胞と患者血清を入れただけで、新たにIgG抗体を作ることは不可能です。それなのにどうしてほとんどすべての人が、抗原抗体反応を多かれ少なかれ起こすのでしょうか?これもクロスリアクションをしているためなのです。つまり人間は知らぬ間に抗原が人体に侵入しなくても、、毎日毎日Bリンパ球の遺伝子の組み替えを行って、様々なIgDやIgMを作っています。これを自然抗体といいます。自然抗体とは一体なんでしょうか?自然抗体とは、抗原の刺激やヘルパーT細胞の手助けがなくても自然に作られる抗体であるので、自然抗体というのです。言い換えると、骨髄で毎日作られているBリンパ球は、アトランダムに抗体の遺伝子の組み替えを行って無限と言ってもいいぐらいの多種類の抗体を作り、Bリンパ球の膜にIgDとIgMとして付着し、Bリンパ球の抗原を認識するレセプターとして存在しているのです。IgDは膜から剥がれることはないのですが、ときにIgMが剥がれて血中や組織に運ばれていくのです。これらのBリンパ球をB1リンパ球といわれることがあります。IgDやIgM以外に、IgGやIgEを作るBリンパ球をB2リンパ球というのです。言い換えると、Bリンパ球の中で、レセプターに抗原が一度もつかないものをB1リンパ球といい、Bリンパ球の中で、レセプターに抗原がひっつくと、B2リンパ球になるといってもいいのです。このB2リンパ球だけが5種類の抗体を作ることができるのです。
佳境に来ましたが、今日はここまでです。次回をお楽しみに。2015/07/16
ここで長年疑問に感じていた世界中のどんな医学者も答えを出さなかった難問に対する答えを出してあげましょう。皆さんはご存知のように、輸血の際に生じる血液型不適合という話は聞いたことがあるでしょう。赤血球の表面には250種類以上の抗原がひっついています。特にA型抗原とB型抗原は、代表的な抗原であります。なぜ抗原とよぶかというと、血液型の違う赤血球を他人に輸血すると、その赤血球に対して抗体が作られるからです。この抗原の種類によって、人の血液型が決まるのです。赤血球の表面にA抗原があるときにはA型といい、B抗原があるときにはB型といい、ABの両方の抗原があるときにはAB型といい、両方の抗原がないときにはO型といわれるのもご存知でしょう。ところが、A型の人の血液(血漿)中には、B抗原に対するB抗体(抗B抗体)があり、B型の人の血液中には、A抗原に対するA抗体(抗A抗体)があり、AB型の人の血液中には抗A抗体も抗B抗体もいずれもなく、O型の人の血液中には抗A抗体と抗B抗体の両方が存在することも学校で学ばれたことでしょう。O型の血液型の人は、どんな人に対しても輸血をしてあげることができるのに、自分と同じO型以外の人からは輸血してもらえないので、損な血液型を持っているとひがんだことがありませんか?逆にAB型の血液型の人は、誰にも輸血をすることができないのにもかかわらず、全ての人から輸血をしてもらえるので得だと思ったことはありませんか?ここでよく混乱が生ずることがあるので、念のために重ねて書いておきます。輸血とは他人の異物である抗原をもらうことあることを忘れないでください。この抗原に対して、輸血される人が抗体を持っていなければ血液型不適合は起こらない、ということをさらに確認してください。今でも覚えている悲しい授業があります。生理学の教授が血液型不適合の授業で全く反対のことを言い続けていたことです。この教授の評価は一挙に低下し、物笑いのタネになったことを今でも覚えています。
ところが、血液型にまつわる4つの疑問が生まれます。少し難しいですがついて来てください。そのひとつが、なぜA型の人には抗A抗体ができないのか、さらになぜB型の人には抗B抗体ができないのかの説明がどの教科書にも書かれていないのです。二つ目の疑問は、A抗原を持っていない人には、抗A抗体が自然にでき、B抗原を持っていない人には、自然に抗B抗体ができると説明されているのですが、なぜできないのかについても説明は一切ないのです。三つ目の疑問は、A型の血液型の人にB型の血液を輸血したり、逆にB型の血液型の人にA型の血液を輸血すると、血液型不適合となり輸血した後、1週間ぐらいで拒絶反応が起こるので、血液型の違った人同士の輸血は行われないのですが、どのようにして拒絶反応が起こるのか、全く説明されていないのです。四つ目の疑問は、同じA型の血液型であっても、輸血というのは他人の赤血球を入れることになるにもかかわらず、なぜ拒絶反応を起こさないのか、であります。この4つの疑問に対して答えを出してあげましょう。この答えも世界で初めての答えになるのです。現代の医学は間違いだらけ・疑問だらけですから、真実が大好きな私の答えは、常に世界で最初の答えになるのです。世界一新しいもの好きな男かもしれませんね、アッハッハ!
まずひとつめの疑問である、なぜA型の人には抗A抗体ができないのか、さらになぜB型の人には抗B抗体ができないのか、に対する答えを書きましょう。結論から言いますと、人間の免疫は自分の成分である血液型を持っている赤血球に対しては、絶対に異物と認識できないからです。つまり言い換えると、自己免疫疾患がないという答えにもなるのです。なぜでしょうか?極めて難しい話になりますが、ついてきてください。
皆さんは、東大の免疫学の教授でいらっしゃった多田富雄先生が書かれた「自己と非自己」というベストセラーになった本を読んだことがありますか?この本のポイントを説明しましょう。全ての人間はMHCⅠとMHCⅡという2種類のMHC遺伝子を持っています。このMHCは“major histocompatibility complex”の略語であり、日本語では、major が主要であり、histoが組織であり、compatibilityが適合であり、complexg複合体であります。まとめて「主要組織適合遺伝子複合体」という遺伝子を持っています。MHCⅠという遺伝子によって作られた糖タンパク質を「主要組織適合遺伝子複合体抗原」とか「MHCⅠタンパク」とか「MHCⅠ分子」と呼びます。ひとりの人間が持っている60兆個の細胞の全てに、同じMHCⅠ分子が存在しています。
ところがこのMHCⅠという遺伝子は、ひとりひとり異なっており、従って異なった遺伝子によって作られた糖タンパクであるMHCⅠ分子は人により全て異なっているのです。従って、このMHCⅠ分子という糖タンパクは、自分が自分であるという旗印になっているのです。つまり多田先生は、「MHCⅠの遺伝子が、自己と非自己を区別する決定因子である」主張されたのであります。免疫は非自己を攻撃するだけであると主張されました。しかし残念なことに、彼が書かなかったことは、当然の理として自分の成分の細胞も自分の免疫の細胞も、同じMHCⅠを持っているので、自分の細胞を攻撃して拒絶するというようなアホなことは絶対にしないということを書かなかったことです。つまり自己免疫疾患はないということを主張されなかったことです。逆に言い変えると、他人の臓器を移植したら必ず拒絶反応が起こるのは、非自己の細胞が自己の細胞に入り込むと免疫が攻撃するからです。ということも残念ながら書かなかったのです。彼が東大の教授であったので、自己免疫疾患がありえないなどという真実を書けば、彼は東大の教授職はもとより、医学会から葬り去られてしまっていたでしょう。アッハッハ。このMHC分子は感染病原体の排除や、癌細胞の排除にも、実は絶対に必要な分子なのです。少し復習してみましょう。
MHC分子には2つのタイプ、つまりMHCⅠとMHCⅡがあることを思い出してください。MHCⅠ分子は全ての細胞にあります、ところがMHCⅡ分子は抗原を提示する細胞といわれる大食細胞、樹状細胞、Bリンパ球、胸腺の上皮細胞の4種類の細胞にしかないことも思い出してください。さらに、どのように病原体に特異的な抗体が作られ、どのように病原体に特異的なキラーT細胞が作られるかをも思い出してください。まず抗体を作る最初の出発点は、樹状細胞や大食細胞が病原体を貪食すると、その病原体の断片をMHCⅡ分子と結びつけて、初めてヘルパーT細胞にその病原体を認識させることができるのです。このように、自己のMHC分子を異物と結びつけることを、多田先生は「自己の非自己化」と名付け、自己を非自己化することによってヘルパーT細胞に異物を認識させることができると主張されたのです。さらに抗体を作るためにはBリンパ球の働きが必要なことも思い出しておいてください。
自分の細胞にウイルスが侵入したときには、ウイルスの断片と自分の細胞のMHCⅠ分子に結びつけて初めてキラーT細胞にウイルスの断片を認識させることができ、キラーT細胞は俄然奮い立って、ウイルスに感染された細胞を殺しにかかり、同時にウイルスも排除されることになるのです。もちろんキラーT細胞もヘルパーT細胞の助けが必要であることも思い出してください。イントロダクションはここまでにして本論である、「なぜA型の人には抗A抗体ができないのか、さらになぜB型の人には抗B抗体ができないのか」に戻りましょう。
その答えを一言で言えば、A型の赤血球も自分の成分であり、抗A抗体を作るのも自分の成分である免疫であるからという答えでケリがつきそうですが、実はそんなに簡単ではないのです。なぜならば、末梢血に流れているA型の赤血球には、MHCⅠ分子がないからです。つまり自分が自分であるという旗印を失っているのです。従って、古くなった赤血球が、大食細胞や樹状細胞が食べてヘルパーT細胞に提示し、ヘルパーT細胞はB細胞を手助けして赤血球に対して抗体を作らせる可能性が出ても不思議ではないのです。どうしてこんなことが起こらないのでしょうか?思い出してください。赤血球も大食細胞も樹状細胞も全て骨髄で生まれてきます。赤血球は骨髄にある間は、核やMHCⅠ分子を持っています。このような病弱な赤血球を赤芽球といいます。MHCⅠ分子を持っている赤血球が骨髄にいる間に、大食細胞も樹状細胞も、自分の一部であるということを認識しているので、大食細胞や樹状細胞とも末梢血に出ても赤血球を敵とみなさないのです。しかも赤血球の寿命は120日ですから、赤血球と一緒に骨髄で生まれた樹状細胞や大食細胞は、赤血球を自分の仲間として覚え続けているのでしょう。
二つ目の疑問は、A抗原を持っていない人には、抗A抗体が自然にでき、B抗原を持っていない人には、自然に抗B抗体ができると説明されているのですが、なぜできないのかに対する答えです。しかもこれらの抗体はIgMであることが分かっております。骨髄で毎日毎日作られているBリンパ球は10の8乗にのぼる多種類の抗体をアトランダムに自然に作れます。10の8乗は1億であります。もちろん毎日毎日人体に1億種類の抗原が侵入しているのではありません。ご存知のように、抗体はIgD、IgM、IgG、IgA、IgEの5種類があります。これらの5つの抗体は、実はBリンパ球の膜のレセプターにもなっているのです。IgDとIgMの2種類の抗体だけは、Bリンパ球が生まれて成熟した時に、全てのBリンパ球の膜に必ずひっついているのです。IgD抗体は、Bリンパ球の膜から剥がれにくいので、血中にはIgD抗体は極めて少ないのです。ちなみにこのIgD抗体の働きは長年不明であったのですが、最近一部やっとわかりました。扁桃腺と上気道に住んでいるBリンパ球からIgD抗体が剥がれて、好塩基球から発熱誘導物質や様々な抗菌物質が放出され、感染病原体を除去することが分かったのです。つまりIgD抗体は、他の4つの抗体の働きとは少し異なっていて、中和抗体になったりオプソニン作用をすることはないのですが、呼吸器感染に対抗できる働きを持っていたのです。
次のIgMは、膜結合型抗体ともいわれますが、自然に膜から剥がれて血中に流れ出すことも知られています。このように抗原との出会いがなくてもBリンパ球の膜から自然に離れていくIgMのことを自然抗体と呼ぶのです。もちろん病原体などの異物が侵入してくると、膜に結合したIgM抗体はその異物と結びついて大量に作られ、IgMの血中濃度がどんどん上昇すると同時に、徐々に抗体のクラススイッチを行い、IgGやIgAやIgEに抗体を作り変えていくのです。つまり、抗体の出発点はIgMから始まるといえるのです。言い換えると、アトランダムに毎日1億個の種類の抗体を作っているという意味は、毎日1億個のIgM抗体をまず作っているということです。このBリンパ球が生まれて自然に作る抗体がIgMであるので、IgMは自然抗体ともいわれるのは既に述べました。この自然抗体であるIgMの中に、自分の赤血球の型とは異なる血液型に対する抗体が、抗原と出会わずに自然と作られているのです。
このような抗体がBリンパ球の膜から剥がれて、血中に流れ出している時に、自分とは違った他人の血液型が違う赤血球が輸血されると、この抗体が違った血液型の抗原と結びついて抗原抗体複合体を作り、それを大食細胞や好中球が貪食し、血管内で赤血球が破壊され、溶血と呼ばれる現象が起こります。溶血を起こした赤血球は、細胞としての形や大きさを失い、漏出したヘモグロビンによって血液が赤く着色し、尿は茶色に染まります。さらにヘモグロビンからビリルビンが生じ、胆汁に溶かされて便を黄色くさせるのです。もちろんビリルビンが血管内に多くなると黄疸になります。自覚症状的には、頻脈、呼吸促迫、血圧低下、顔面紅潮などの副作用が見られ、生命にかかわることもあります。血液型不適合に関わる抗体は、IgMが多いのですが、1週間以上も続く場合はIgG抗体も関わることがあります。それは抗体のクラススイッチがIgMからIgGに変わるのに1週間かかるからです。
三つ目の疑問は、A型の血液型の人にB型の血液を輸血したり、逆にB型の血液型の人にA型の血液を輸血すると、血液型不適合となり輸血した後、1週間ぐらいで拒絶反応が起こるので、血液型の違った人同士の輸血は行われないのですが、どのようにして拒絶反応が起こるのかを説明しましょう。一言で言うと、自然抗体であるIgMが成せる業なのであります。
IgMは、膜結合型抗体ともいわれますが、自然に膜から剥がれて血中に流れ出すことも知られています。このように抗原との出会いがなくてもBリンパ球の膜から自然に離れていくIgMのことを自然抗体と呼ぶのです。もちろん病原体などの異物が侵入してくると、膜に結合したIgM抗体はその異物と結びついて大量に作られ、IgMの血中濃度がどんどん上昇すると同時に、徐々に抗体のクラススイッチを行い、IgGやIgAやIgEに抗体を作り変えていくのです。つまり、抗体の出発点はIgMから始まるといえるのです。言い換えると、アトランダムに毎日1億個の種類の抗体を作っているという意味は、毎日1億個のIgM抗体をまず作っているということです。このBリンパ球が生まれて自然に作る抗体がIgMであるので、IgMは自然抗体ともいわれるのは既に述べました。この自然抗体であるIgMの中に、自分の赤血球の型とは異なる血液型に対する抗体が、抗原と出会わずに自然と作られているのです。
このような抗体がBリンパ球の膜から剥がれて、血中に流れ出している時に、自分とは違った他人の血液型が違う赤血球が輸血されると、この抗体が違った血液型の抗原と結びついて抗原抗体複合体を作り、それを大食細胞や好中球が貪食し、血管内で赤血球が破壊され、溶血と呼ばれる現象が起こります。溶血を起こした赤血球は、細胞としての形や大きさを失い、漏出したヘモグロビンによって血液が赤く着色し、尿は茶色に染まります。さらにヘモグロビンからビリルビンが生じ、胆汁に溶かされて便を黄色くさせるのです。もちろんビリルビンが血管内に多くなると黄疸になります。自覚症状的には、頻脈、呼吸促迫、血圧低下、顔面紅潮などの副作用が見られ、生命にかかわることもあります。血液型不適合に関わる抗体は、IgMが多いのですが、1週間以上も続く場合はIgG抗体も関わることがあります。それは抗体のクラススイッチがIgMからIgGに変わるのに1週間かかるからです。
四つ目の疑問は、同じA型の血液型であっても、輸血というのは他人の赤血球を入れることでありますが、同時に赤血球以外の他人の様々な他の血球や血液成分を輸血することになるにもかかわらず、なぜこれらの他人の血液成分に対して拒絶反応を起こさないのか、であります。
まず、血液型というのは、血液内にある血球の持つ抗原の違いをもとに決めた血液の分類のことであります。抗原は、赤血球の膜の表面にだけあるわけではありません。それ以外の血小板や白血球の膜のみならず、血漿などにも存在し、数百種類が知られており、その組み合せによって決まる赤血球型以外の血液全般にわたる血球の持つ抗原の違いの組み合わせによって決まる血液型は膨大な数となり、数兆通り以上にもなります。世界中を捜しても、一卵性双生児でもない限り自分と完全に同じ血液型をしている人は誰もいないのです。ちょうど、世界の歴史上のどこを探しても、卵子と精子の遺伝子の組み合わせが全く同じである人間がいないのと同じことです。
それでは、なぜ他人の血を輸血するときに、とりわけ赤血球を輸血するときにABO型だけが問題になるのでしょうか? 輸血をする場合、ABO式などの赤血球の型については、自然抗体が形成され、型違いの血液を混ぜると凝集や溶血が起きるために型合わせする必要があることは既に詳しく述べました。また、血液型によって、凝集や溶血反応の度合いは様々です。血液の形が合わないときに反応が一番激しいとされているのは、jr(a+)型が合わないときであります。もちろんjr(a+)型がどのような意味を持つのかを説明するのは至難の業ですから、知っておくだけにしておいてください。機会があればまた説明することになるでしょう。
ここで、赤血球や白血球の膜が持っている抗原の種類に基づいて決められる血液型の一つであるABO式血液型以外の様々な血液型の分類方法とその名称を紹介しておきましょう。
1、Rh式血液型
赤血球膜の抗原による分類法のひとつであり、皆さんも生まれた赤ちゃんがRh(+)とかRh(-)とかについて産科の医者に言われたことがあるでしょう。1940年ごろから明らかにされ始め、現在は40種以上の抗原が発見されています。その中でもD抗原があれば陽性とし、D抗原がなければ陰性と表示します。つまり、Rh(+)(D抗原陽性)とRh(−)(D抗原陰性)となります。
Rh(−)型の人にRh(+)型の血液を輸血すると、血液の凝集、溶血等のショックを起こす可能性があります。その根拠も説明するのは長くなるので省きます。ただ覚えてもらいたいのは、Rh(−)型の女性がRh(+)型の胎児を妊娠することが2回以上になると、胎児の赤血球が破壊されやすくなるため、重症の貧血が起こったり、流産の原因となることがあります。日本人の99.5%はRh(+)であります。
2、ヒト白血球型抗原(HLA型抗原)
白血球の抗原の分類による分類方法であり、皆さんご存知のように、MHCⅠ分子とMHCⅡ分子のことであります。他人にとっては異物となるので抗原という言い方をするのです。現在では白血球のみならず、全ての組織の細胞にあるので、臓器移植の際に必ず問題となり、この白血球型抗原を合わせないと必ず拒絶反応が起こります。ヒトの遺伝子上で白血球の抗原を決める部位は、主要なものだけでもA、B、C、DP、DQ、DRの6箇所があり、父親と母親の2人から子供が受け継ぐそれらの部位の遺伝子のタイプの組み合わせは数万通り以上あり、人間同士でHLA型が完全に一致することはまずあり得ないのです。
3、ダフィー(Duffy)式血液型(Fyシステム)
赤血球表面の抗原(糖鎖)の多様性による分類法であります。赤血球表面には糖鎖抗原が他種類あります。この抗原は血友病患者であったDuffyという患者に初めて見つけられたのでDuffy血液型と名付けられ、Duffy血液型はFyシステムともいわれますが、FyはDuffy氏の語尾のFyであります。このFyシステムの分類法は、2つの抗原であるFy(a)という抗原とFy(b)という抗原の有無によって4つの血液型に分けられます。Fy(a+b+)、Fy(a+b-)、 Fy(a-b+)、 Fy(a-b-)の4つです。a+というのはFy(a)という抗原があり、a-はFy(a)がないのです。同様に、b+というのはFy(b)という抗原があり、b-はFy(b)がないのです。
三日熱マラリア原虫はヒトの体内で赤血球表面にあるFy(a)とFy(b)の2つの抗原に結合して赤血球に侵入、増殖します。Fy(a)とFy(b)のどちらの抗原も持たないFy(a-b-)型は三日熱マラリアに抵抗性を示します。Fy(a-b-)型はアフリカのサハラ以南の三日熱マラリア流行地に遺伝的起源を持つ人に非常に多いのに対して、それ以外の地域に起源を持つ人にはほとんど存在しないのです。つまり、三日熱マラリア流行地に住んで生き残っている人は、三日熱マラリア原虫が赤血球に結びつくことができなかったので、感染しなかったので生き残ったのです。一方、熱帯熱マラリア原虫は三日熱マラリア原虫とは赤血球への侵入様式が異なるため、ダフィー式血液型は熱帯熱マラリア抵抗性とは全く関係がないのです。
4、Kidd式血液型(Jkシステム)
これも、赤血球表面の抗原(糖鎖)の多様性による分類法であります。赤血球表面には糖鎖抗原が他種類あることは既に述べました。この抗原は新生児溶血性疾患の子供を産んだ母親であるKiddという女性に初めて見つけられたのでKidd式血液型と名付けられ、Kidd血液型はJkシステムともいわれます。Jkは母親の名前の略字です。このJkシステムの分類法は、2つの抗原であるJk(a)という抗原とJk(b)という抗原の有無によって4つの血液型に分けられます。Jk(a+b+)、Jk(a+b-)、Jk(a-b+), Jk(a-b-)の4つです。a+というのはJk(a)という抗原があり、a-はJk(a)がないのです。同様に、b+というのはJk(b)という抗原があり、b-はJk(b)がないのです。
。ただし遺伝関係の確認や警察の鑑識においてなど、可能な限り詳細な情報が必要な時に用いられるだけです。
今日はここまでです。2015/09/17
5、MN式血液型
MN式血液型とは、M型、N型、MN型に分類する方式の血液型であります。
輸血においては、問題にならないので、皆さんはMN式血液型という言葉さえも聞いたことがないでしょう。さらにS因子とs因子という遺伝子にも関わりがあるので、正式には、『MNSs式血液型』ともいいます。しかしながらSs式血液型にふれるとややこしくなるので、ここではMN式血液型についてだけ述べておきましょう。しかしMN式の話を理解するのも難しいですがついてきてください。Ss式血液型の原理もMN式血液型と同じことなのです。
MN式血液型は、1927年、Landsteiner & Levineによって発見されました。ご存知のようにラントシュタイナーこそがABO型血液型を発見した、その人なのです。このラントシュタイナーが1900年に見つけ出したABO型が血液型分類の始まりです。ラントシュタイナーは、オーストリア・ハンガリーのユダヤ人の医学者であります。様々な血液型の発見により1930年にノーベル生理医学賞を受賞しました。やっぱり今も昔もユダヤ人は賢いですね!
M遺伝子とN遺伝子は第4染色体上にある対立遺伝子であります。ここで簡単に対立遺伝子について説明しましょう。真核生物は、両親から配偶子(精子と卵子のことです。)を通してそれぞれ1セットのゲノムを受け取ります。ゲノムというのは、生物が生き続ける機能を持ち続けるために必要な最小限の遺伝子群を含んでいる染色体の一組全体を指します。これでは理解しにくいでしょうし、もう少し詳しくゲノムについて説明しましょう。
人間は23対の染色体を持っています。対というのは、同じ種類の個性を規定するでありますが、実は違った遺伝子を持った染色体2本がひっついて対になり、1組つまり1対を成すものであります。1組とか1対のことを1セットともいいます。23対の染色体とは、いったい何でしょうか?1対というのは同じ種類の2本の染色体のことですから、23×2=46本の染色体を持っていることになります。23本は父親からもらい、残りの23本は母親からもらっているのです。同じ種類の形質を決める遺伝子が父親から1本と母親からの1本が結びついて対になり、1セットとなるのです。実は人間は父親からもらった23本の染色体だけでも生きられるし、また母親からもらった23本の染色体だけでも生きられないことはないと思います。有史以来、そんな人間は存在したことはないですけれども。もし23本だけの染色体を持つ人間がいれば、「一倍体の染色体を持った生物」といえます。ところが実際は父親からの23本の染色体と、母親からの23本の染色体の2本を併せ持っているのです。このように23対の染色体を持っている生物である私たちは、「二倍体生物」といいます。このため人間の体細胞には2組のゲノムが存在すると考えられるのです。なぜ一倍体の染色体でも生きられそうなのに、二倍体の染色体の方が都合がよいのかの話はさらに複雑になりますからやめます。実は一倍体の染色体の生物もいるのです。それは細菌のような原核生物やウイルス等であります。これらの一倍体生物においては、1本の染色体に乗っているDNAそのものをゲノムといったり、DNA上の全遺伝情報をゲノムという使い方もします。
人間は計2セットのゲノムを持つことがお分かりになりましたか?23本の染色体には1番〜23番までの番号が付いています。それぞれの番号の染色体はすべて異なっており、その違った染色体に暗号されている遺伝子も違っています。それらの遺伝子によって人間の様々な個性が決められるのです。人間は、父親の同じ番号の染色体と母親の同じ番号の染色体とが結びついて1対になり、合計23対の染色体を持って生まれるのです。(精子と卵子が受精するときに、なぜ別の番号どうしが結びつかないようになっているかについては、どこにも書いてありません。残念ながら。)
とにかく違った番号の染色体どうしが結びつくことはないのです。言い換えると、受精のときにひとつの個性を決める父親と母親の遺伝子どうしが互いに結びつくように染色体は対になるのです。この似たような遺伝子どうしが存在する場所を遺伝子座といいます。言い換えると、遺伝子座とは、染色体やゲノムにおける遺伝子が存在する位置のことであり、例えば、顔の形や美醜や頭の良し悪しなどを決める遺伝子が集まる位置を遺伝子座というのです。英語などでは Locus(ローカス)と呼び、これはラテン語で場所を意味する単語で、複数形は Loci(ローサイ)といいます。例えば、父親の頭の良さを決める遺伝子のある場所と、母親の頭の良さを決める遺伝子のある場所は、同じ番号の染色体にあり、その遺伝子座も当然同じ番号の染色体の同じ場所にあります。この遺伝子座にある父親からの遺伝子と母親からの遺伝子どうしを対立遺伝子と呼びます。対立遺伝子という言い方は誤解を招くことがあります。対立するという意味は、異なったという意味が含まれますので、「対立遺伝子」を「対立か並立かの遺伝子」と言い変えた方が理解しやすいのです。なぜならば、両親から同じ対立遺伝子を引き継いだ状態、言い換えると並立遺伝子を受け継いだ状態、例えば「金髪の遺伝子と金髪の遺伝子」や「黒目の遺伝子と黒目の遺伝子」を引き継いだ状態をホモ接合、異なる対立遺伝子を引き継いだ状態、言い換えると、まさに対立遺伝子を引き継いだ状態、例えば「金髪の遺伝子と黒髪の遺伝子」や「黒目の遺伝子と青目の遺伝子」をヘテロ接合と呼びます。ホモ接合の個体はホモ接合体といい、ヘテロ接合の個体はヘテロ接合体といいます。このように対立遺伝子という言葉は、「対立か並立かの遺伝子」といった方が理解しやすいのです。さらにもっといい言葉は、対立遺伝子を「ついりつ・いでんし」と読ませればよかったのです。なぜならば、同じ種類の個性を決める父親の遺伝子と、母親の遺伝子とが向かい合って、「つい」になっているからです。
それではなぜ対立遺伝子という言葉がいつまでも使われているのでしょうか?それは違った遺伝子が発現するときに、どちらが遺伝形質として決められるかという問題が出てきます。なぜならば、左目が黒目で右目が青目であることは決してないからです。従ってどちらかを決めなければならないので、必ず発現する遺伝子と発現しない遺伝子に優劣があるのです。常に発現する遺伝子を優性遺伝子といい、英語でドミナント(dominant gene)といいます。一方、発現しない隠された遺伝子を劣性遺伝子といい、英語でリセシブ(recessive gene)といいます。メンデルの法則を思い出してください。このように父親からもらった染色体と、母親からもらった染色体が対になるときには、ほとんどの場合はお互いに遺伝子が異なり、優劣関係になるのが普通であるからです。言い換えるとヘテロ接合となるからです。
対立遺伝子のうち、野生集団の多くが自然に持つものを野生型遺伝子 (wildtype gene) と呼ぶことがあります。野生型遺伝子は、その遺伝子が自然な正常な状態であり、本来の機能を有していると考えられます。一方で、野生型遺伝子でない他の対立遺伝子は、野生型遺伝子の変異であると考えられます。つまり、野生型遺伝子に変異が生じることにより別の対立遺伝子が生じるのです。
さて、寄り道が長くなりました。しかし遺伝子の話も染色体の話も面白いでしょう。皆さん、対立遺伝子や優劣の意味も完全に理解できたでしょうから、本論のMN式血液型の話に戻りましょう。M遺伝子とN遺伝子は第4染色体上にある異なった対立遺伝子であります。この対立遺伝子によって発現したタンパクであるM抗原とN抗原はわずかにポリペプチド鎖の1番目と5番目に位置する2つのアミノ酸が違うだけです。M遺伝子はアミノ酸のセリンを1番目に、アミノ酸のグリシンを5番目にコードしています。N遺伝子はアミノ酸のロイシンを1番目に、アミノ酸のグルタミン酸を5番目にコードしています。3つの表現型はM遺伝子とN遺伝子によって決定されています。表現型というのは、遺伝子の発現によって作られたタンパクのことであります。そのタンパクには3種類あり、MMタンパク、MNタンパク、NNタンパクであります。これをMM抗原とか、MN抗原とか、NN抗原といってもいいのです。
M因子(M遺伝子)とN因子(N遺伝子)との間には、優劣の関係はないので、どちらの遺伝子も発現します。従ってM型はMM型であり、N型はNN型となります。また、M遺伝子とN遺伝子の両方を持っていれば、MN型となります。どちらの遺伝子が発現するかの優劣の関係はないのですが、遺伝子が作らせるタンパクの量が異なるので、これを「量効果」といいますが、 M型の抗原とN型の抗原の量が変わります。その結果、ホモ接合体のM型(MM型)やN型(NN型)の方が、ヘテロ接合体であるMN型よりもM型やN型の凝集反応が強く出るのです。(ちなみにABO式には 「量効果」はないとされます。例えばB型を例にとるとBB型でもBO型でも、凝集反応の強さには差がないことがわかっています。)
ついでに抗M抗体と抗N抗体について述べましょう。時としてN型のヒト血清中に抗M抗体、M型のヒト血清中に抗N抗体が存在しますが、抗M抗体と抗N抗体の多くはIgMの自然抗体であり、室温以下でよく反応します。ABO型分類では、必ずA型の人はIgMの自然抗体である抗B抗体を持ち、B型の人はIgMの自然抗体である抗A抗体を持ち、O型の人はIgMの自然抗体である抗A抗体と抗B抗体の両方を必ず持っています。この違いはどこから出てくると思いますか?既に説明しましたが、 もう一度自然抗体の復習をしましょう。
自然抗体は必ずIgM抗体であることを思い出してください。骨髄で正常な成熟したBリンパ球が作られるときには、必ずBリンパ球の膜には異物と結びつくIgDとIgMというB細胞の膜のレセプター(BCR)が同時に作られます。このBCRの種類は10の8乗個(1億個)あるということは述べました。本来BCRは、外部から異物が入った時に、その異物と結びつくBCRを持ったBリンパ球がクローン的に増えていくのもご存知でしょう。ところが異物が入らなくても、1億種類のBCRの中には、必ずA型の抗原とB型の抗原と結びつくIgMが大量に生まれているのです。一方、MN型分類のM型の抗原とN型の抗原と結びつくIgMが1億個のBCRに必ずしも含まれているわけではないうえに、量も少ないという違いが、時としてN型のヒト血清中に抗M抗体、M型のヒト血清中に抗N抗体が存在することもあるのです。わかりますか?ちょっと難しいでしょう。
さらに抗M抗体はごくまれにIgGの免疫抗体が認められる場合もあり、輸血時の副作用や新生児溶血性疾患の原因となることもあります。このようにごくまれにIgGの免疫抗体が認められるのは、なぜだかお分かりですか?輸血の際に大量のM抗原が入るからです。つまりIgG抗体は、異物が入らない限り作られないのです。なぜならば、自然抗体であるIgMを作り出すBリンパ球は、IgMをIgGにクラススイッチができないからです。抗N抗体は、IgM型自然抗体で寒冷凝集素であり、この抗体は、まれにしか検出されず輸血時の副作用や新生児溶血性疾患の原因となることはないのです。なぜこのような抗M抗体と抗N抗体の違いが出てくるのでしょうか?頭のいい方は既にお分かりでしょう。自然抗体である10の8乗個のIgMの中には抗M抗体が抗N抗体よりも自然にたくさん存在しているからです。分かりますか?難しいでしょう?
一方、M型やN型はすぐに分かるので、M型やN型のタンパクを作る命令を行う遺伝子があるかもすぐに分かります。従って、この遺伝子が分かるので親子鑑定に用いられる有用な血液型でもあります。既に述べたように、同型接合のMM型の血球は強い凝集を示し、異型接合のMN型の血球は弱い凝集を示しますが、この反応の変化を量的効果というのも既に述べました。
私がこれほど血液型にこだわるのは、全ての血液型に対して、血液型抗原なしに自然に作られる抗体は自然抗体であるからです。この自然抗体は、IgMのクラスに属するものであり、異物が人体に入り込んで初めて作られる抗体ではない自然抗体であるからです。にもかかわらず、この自然抗体であるIgMが自己免疫疾患を起こす自己抗体だと自己免疫学者は間違って診断しているので、皆さんに十分に自然抗体であるIgMのことを理解してもらいたいのです。確かにIgM自然抗体は自分が作った抗体ではありますが、自分の成分を攻撃する自己抗体では断じてないことを知ってもらいたいためです。つまり、自分自身の血液型が持っている自己抗原を自分の免疫が攻撃することは絶対にないのです。同じように、自分の成分が持っている自己抗原を自分の免疫が攻撃することも絶対にないので、自己免疫疾患もありようがないのです。
それでは IgM自然抗体は、何に対して攻撃を仕掛けているのでしょうか?自己免疫疾患を診断する時に、様々な自分の成分でない抗原が用いられます。この抗原に対して患者の血液に含まれる抗体と反応させて、沈降反応が出たり、様々な検査法によって陽性に出たときに、自己免疫疾患と診断されてしまうのです。実は、患者のIgM自然抗体と人為的に作られた検査用抗原と反応しているに過ぎないことを知ってもらうために、IgM自然抗体の意味を完全に理解してもらいたいために、しつこく血液型の説明をし続けているのです。輸血の際に血液型が合わないというのは、IgM自然抗体と他人の血球とが結びつき、凝集反応を起こしているからなのです。同じように、自己免疫疾患の診断に用いられる様々な検査抗原は、同じようにその検査抗原とIgM自然抗体と結びついたときに初めて凝集沈降反応が出たり、陽性反応が出るということを知ってもらえましたか?もちろん自己免疫疾患の診断の際に陽性が出るのは、IgM自然抗体の成せる業だけではありません。クロスリアクションもあることも知っておいてください。「自己免疫疾患はないパートⅢ」をよく読んでください。
6、Lewis式血液型
ルイス式血液型抗原は、タンパク質あるいは脂質によって輸送される糖決定基で,赤血球表面の糖脂質に存在します。他の血液型抗原とは異なり、赤血球系の組織ではルイス式血液型抗原の合成は起こらず、他組織から赤血球膜を通して輸送されます。ルイス抗原を運ぶ糖脂質は血漿中を循環し、血漿リポタンパクに結合あるいは水分に散在した形で、受動輸送により赤血球に吸収されます。ルイス抗原は主に内皮細胞、消化管など上皮細胞で、あるいは乳や尿に含まれるオリゴ糖から合成され、様々な組織でタンパク質と結合しています。ルイス式血液型抗原については詳しく書くことはやめますが、ルイス抗体もIgM型の自然抗体であるので、少し詳しく書きましょう。
ルイス式抗体には、2種類の抗Lea抗体、抗Leb抗体があります。これらの抗体は自然に産生されたIgM型自然抗体で、一部のLe(a-b-)の人に見い出されています。時に抗Leb抗体がLe(a+b-)表現型の人によって産生されることもあります。Le(a-b+)の人は、血漿中に少量のLea抗原を含むので、抗Lea抗体は産生しないのです。なぜならば、自分のタンパクであることを示す標識となる同じMHCⅠが抗原にも抗体に含まれているので、自己の免疫は自己のタンパクを攻撃することは絶対にないからです。抗Lea抗体は多くはIgMであることから胎盤を通過せず、また新生児赤血球はLe抗原を欠いていることから、この血液型は新生児溶血性疾患の原因にはなりません。抗Lea抗体は時として強い溶血を起こす副作用が見られます。このため37℃で反応するか、あるいは試験管内で溶血を起こすような場合には、患者に交差適合試験を行うべきです。抗Leb抗体は臨床的意義はほとんどないとされています。抗Leb抗体のうち、O型のLe(a-b+)血球と強く反応するものを抗LebH抗体、ABO型に関係なく反応する抗Lebl抗体があります。抗Leb抗体の多くは抗LebH抗体であります。したがって、患者のABO血液型と同型の血液との交差適合試験はほとんど適合します。
7、その他の分類方法
P式、Diego式血液型、Kell式血液型、など約300種類が発見されています。分類法としてはそれほど知られていないのは、人間の病気と関わりが少ないからです。ただし遺伝関係の確認や警察の鑑識においてなど、可能な限り詳細な情報が必要な時に用いられるだけです。
今日はここまでです。2015/09/24
はじめに問題を提起していたのですが、抗核抗体検査では、スクリーニング検査として、まず必ず抗核抗体の値を調べ、ANAが40未満が正常値で、40以上が異常値であります。それでは、なぜ自己免疫疾患がない人でも抗核抗体の値が0にならないのかという疑問に答えるつもりで長々と書いてきました。これに対する答えも実は極めて難しいのですが、答えを出す自信はあります。この答えに関しても、ABO型の不適合輸血に自然抗体が関わっていることをお話ししました。この自然抗体とは何かをさらに深く追求することによって、膠原病がない人でも抗核抗体が0ではなくて40未満になる根拠を示すことができるので、もう一度自然抗体について詳しく勉強しましょう。
まず現代医学が自然抗体についてどのような捉え方をしているかを示します。言うまでもなく、自然抗体がどのようにして作られるかについては誰も解明していません。というのは、抗原刺激によって初めて抗体ができるという免疫学の大原理に反して、抗体ができてしまうのは説明不可能であったからです。従って、抗原なしに自然に生まれた抗体という意味で、自然抗体と名付けたのですが、どう考えても体外からの抗原がないので極めて不自然であるので、自然抗体という名前は「不自然抗体」と言ったほうがいいのかもしれません。アッハッハ!従って、大原理に背く原理を正しく説明することは、実はノーベル賞級の仕事なのです。ちょうどノーベル医学賞を受賞した利根川進先生が、それまでは生まれ持った遺伝子は絶対に変えられないという原理を覆して、遺伝子を組み替えることによって新たなる遺伝子を人体は作り出すことができることを証明したのと同じぐらいに、抗原なしに抗体を作る原理を新たに示すことは極めて難しい仕事になるのです。この難問を解いた証拠をこれから少しずつ証明していくつもりなので、ノーベル賞をもらってもいいのではないかと心密かに思っている次第です。ワッハッハ!既に自己免疫疾患などという病気は絶対にないことを証明してしまっているので、もう既にノーベル賞をもらった気になっているので、今更どうでもいいことであるかもしれませんね、ワッハッハ!
前回にも書いたように、なぜA型の血液型の人がA型に対するIgM抗体やIgG抗体を作らないのかの根拠を既に簡単に述べたのですが、骨髄で作られた無数のBリンパ球は、自分自身の細胞の膜に10の8乗に及ぶ異なった種類のIgD抗体とIgM抗体を集団として自然に持って生まれてきているのです。このIgD抗体とIgM抗体こそが、生まれた時に自然に与えられた抗体であるがゆえに、自然抗体というべきであるにもかかわらず、こんな簡単なことさえ優れた医学者の誰も気がついていなかったのです。1900年にユダヤ人の医学者であるカール・ラントシュタイナーがABOの血液型を発見して以来、こんな簡単な真実を100年以上かかっても誰も気づいていなかったのはなぜでしょうか?わかりません。簡単すぎて誰も気づかなかったのでしょう。ワッハッハ!
この発見は、現代先進国における病気に原因は、化学物質とヘルペスしかないという発見と同じぐらいに重要な発見であることを知ってもらいたいのです。なぜならば自然抗体であるIgMこそが、解明されていないあらゆる病気が起こるメカニズムを解明する鍵となるからです。例えば、自然抗体が先天免疫と獲得免疫の橋渡しをするという問題の答えのきっかけを与えてくれるし、さらに膠原病がないのにもかかわらず、いわゆる自己免疫疾患の抗体が高くなる正常な人がいる理由とか、自己免疫性溶血性貧血がどうして起こるかについても、そのほか様々な難問に対して答えを出してくれるのです。このような難問は誰一人として答えを見出していないのです。このような難問について、今後、このブログでひとつひとつ答えていくつもりです。あまりにも難しすぎてついてくる人が減るかもしれませんが、私の生きがいは免疫が治せない病気はないという根拠を、免疫学の理論を通じて立証することだけですから、私のブログも皆さんに勉強してもらうために作っているのではなくて、自分の勉強の成果を皆さんに知ってもらうためですから、ますます難しくなるのは仕方のないことです。これからも真実を求める私の長い勉強ぶりをごらんください。お願いします。
今日はここまでです。2015/08/06
自然抗体は「自然」という言葉がついているので、自然免疫の一部であることは確かです。ところが自然抗体という言葉に違和感を感じませんか?なぜかというと、自然抗体という言葉から連想されるのは、自然免疫によって作られる抗体というイメージが浮かびます。ところが抗体というのは、適応免疫とか獲得免疫によって作られるタンパクであるので、自然免疫で作られるタンパクではないからです。従って自然抗体というのは矛盾をはらんだ言葉なのです。その本体が十分に明確にされていないので、今なお使われている言葉が自然抗体なのです。
このような矛盾を避けるためには、自然抗体IgMという言葉を使わないで、「膜型IgM抗体」に変えてしまうのです。一方、従来の抗体を「血中遊離型抗体」といえばいいのです。ところが膜型IgM抗体も、血中遊離型抗体になれるのです。つまり膜についていたIgM抗体が、自然に膜から離れて、血中に流れ出し、この膜型IgM抗体も血中遊離型抗体になれるのです。この血中に見られる抗体を自然抗体と呼んでいるので、ますますややこしくなるのです。(どのように膜型IgM抗体が膜から剥がれて自然抗体になるかについては誰も解明していません。いずれ答えを出すつもりです。)
この自然抗体、つまり膜型IgM抗体が10の8乗種類もあるものですから、この抗体に結びつくことができるのものも、無限にあるのです。人体には2兆個のリンパ球があるといわれています。血液中のリンパ球のだいたいの比率は、T細胞が80%、B細胞が15%、NK細胞が5%程度といわれています。従って、2兆個×0.15=3000億個のBリンパ球があります。全てが異なったBリンパ球ではないので、3000億個の自然抗体がもちろんあるわけではないのですが、いずれにしろ無限大ともいえる種類のリンパ球があり、莫大な数の膜型IgM抗体があるのです。このリンパ球の膜型IgM抗体に結合する抗原も無限大あるといえます。言い換えると、このBリンパ球の自然抗体である膜型抗体に結合したり、あるいは血中に遊離した自然抗体に結合する抗原となりうる物質はそれこそ多種多様であるのです。この地球上に存在するあらゆる種類の細菌、ウイルス、寄生虫、カビ、花粉、化学物質、薬剤、食品などの断片が抗原となるのみならず、自己の成分の断片も抗原となりうるのです。
ここで問題になるのは、自己の成分の断片が自然抗体IgMに結合した時に、何が起こるでしょうか?この点を明らかにするのが今日の仕事なのですが、時間が尽きてきました。既に述べたように、自己免疫疾患の検査試薬に対して患者が作っているといわれる自己抗体というのは、ほとんどがIgMであるのです。(ときにIgGもあるといわれますが、実は自然抗体IgGや自然抗体IgAが存在することも知られていますが、その理由は後で書きます。)皆さん、覚えていますか?自己免疫疾患といわれる患者は、自己免疫疾患を診断する検査試薬に対して陽性になりやすいのは、試薬に対するクロスリアクションが起こっていることを書きました。ところが最近、自己免疫疾患を防ぐのは自然抗体であるということがいわれだしました。これについも詳しくは次回解説します。難しすぎますが、私が感じた疑問をひとつひとつ解き明かすのが、私の生き甲斐となっています。
今日はここまでです。2015/08/13
IgMが、自然抗体であることはこのコラムも読み進めて来られた方には既にご理解いただいていることでしょう。この自然抗体であるIgMは、IgMを作る遺伝子の組み合わせによって何億種類も作ることができるのです。 この生まれたばかりのBリンパ球にEBVが感染すると、感染したEBVは、はじめは潜伏感染という状態でおとなしくしていますが、患者の免疫が落ちると、EBVが突然暴れだし、このBリンパ球は、EBVによって活発な増殖能を持つリンパ芽球様細胞に変わります。 これをLCLといいます。LCLとは英語で“Lymphoblastoid Cell Line”といい、“blastoid”が「芽球様」という意味であり、“Line”は「細胞系列」という意味であります。 LCLになったBリンパ球は、細胞分裂を繰り返すとともに、細胞の寿命を決めるテロメアの長さが短縮して、細胞の染色体が不安定化し、死滅してしまう LCL もあるのですが、どういうものか、なかには不死化(immortalize)する LCL も出てくるのです。 不死化というのは寿命がないことです。寿命がない細胞はこの不死化したLCLの中から生まれる腫瘍、つまりガンになることもあるのです。 この不死化のメカニズムについてはまだ誰も知りません。
さて、生まれたばかりのBCLという自然抗体であるIgMを持っているBリンパ球にこのEBVが感染した当初は潜伏感染でありますが、免疫が落ちると俄然このリンパ球は増殖を始めます。正常なBリンパ球は、元来はBCLに抗原がついて形質細胞に変わって初めて増殖するのですが、EBVが感染したBリンパ球は、EBVの遺伝子によって無理矢理に形質細胞に変えられてクローンのIgMを作るのみならず、クラススイッチをさせられて同じクローンのIgGを作り、どんどんIgMやIgGを血中に放出し続けるようになります。もちろんIgAやIgEにもクラススイッチさせてしまうこともあります。 従って、EBVが感染したBリンパ球に作らせたIgMもIgGも抗原なしに作られたものですから、どちらも自然IgMと自然IgGといっても間違いではないのです。
さらに考えを進めていくと、EBV感染によって不死化したBリンパ球は単にIgMやIgGのみならず、IgEやIgAも作ってしまうので、これらの抗体も自然IgEや自然IgAといってもよいでしょう。例えば、アレルゲンが全くないのにアレルギー症状が突然ひどくなる人がいます。当然アレルギーでステロイドをたっぷり使ってきた患者さんであり、免疫を抑えてきた人ですから、必ずEBVに感染しています。ですから、原因不明のアレルギーというのは、EBVがBリンパ球にIgEを作らせた病気であると断言できるのです。
この考え方をあらゆる原因不明の病気に敷衍していくことができるのです。言い換えると自己免疫疾患を含めて、あらゆる現代の原因不明の病気や特発性の病気といわれる病気の原因は、全てEBVに感染したBリンパ球が作り出した多クローン性の抗体によるものだと言っても過言ではないのです。 もっと具体的に説明しましょう。さぁ、これからが山場の話となります。
EBVはひとつの種類のBリンパ球、言い換えると1種類のIgMだけを作るクローンのBリンパ球だけに感染するのではなくて、非常に様々な多種類の異なったIgMを持った多くのクローンのBリンパ球にも感染していきます。 EBVは膨大な数のBリンパ球に感染するのです。その結果、本来抗原を認識して様々な段階を経て初めてBリンパ球は抗体が作れるにもかかわらず、EBVがBリンパ球に感染することだけで、多クローンの抗体、つまり多種類のIgMを作ることになります。これは極めて恐ろしいことです。しかし実際に起こっていることです。
なぜ怖いのでしょう?なぜならばEBVがリンパ球に感染することによって作られた様々なIgM抗体が、さらにクラススイッチしたIgGやIgAやIgEが人体の様々な成分と結びついてしまうとどうなるでしょうか?何の目的もなしに EBV が Bリンパ球に作らせた膨大な種類の抗体が血中にどんどん流れ始めると、交差反応(クロスリアクション)が起こり、この無数に作られた抗体と結びつく人体の成分が必ず存在しますから、結びつくとまさに様々な不都合を生み出し、いわゆる見かけは自己免疫疾患という病気が生じてしまうのです。 SLEの様々な症状はEBVと極めて関わりがあります。例えばループス腎炎とよばれる糸球体腎炎はEBVが関わる腎炎なのであります。
ここでSLEに関する病名と症状を掲げましょう。 発熱、全身倦怠感、疲労感、食欲不振、体重減少などがみられます。皮膚・粘膜の症状には、蝶型紅斑(頬にできる赤い発疹で、蝶が羽を広げた形に似ている)が特徴的です。また、顔面、耳、首のまわりなどにできる円形の紅斑で、中心の色素が抜けてコインのようになるディスコイド疹もみられます。日光過敏を認めることが多く、強い紫外線を受けたあとに、皮膚に発疹、水ぶくれができ、発熱を伴うこともあります。また、手のひら、手指、足の裏などにできるしもやけのような発疹も特有な症状です。その他、大量の脱毛や、口腔内や鼻咽腔に痛みのない浅い潰瘍ができたりします。 関節の症状には、手指にはれや痛みがあるために関節リウマチと間違えられることもありますが、SLEでは関節リウマチと異なって骨の破壊を伴うことはほとんどありません。 臓器の症状では、腎症状としては、急性期に蛋白尿がみられ、尿沈渣(ちんさ)では赤血球、白血球、円柱などが多数出現するのが特徴です(テレスコープ沈渣)。糸球体腎炎 (ループス腎炎)と呼ばれる腎臓の障害は約半数に現れ、放っておくと重篤となり、ネフローゼ症候群や腎不全に進行して透析が必要になったり、命にかかわったりすることがあります。 心臓や肺では、漿膜炎、心外膜炎や胸膜炎の合併が約20%に起こります。間質性肺炎、肺胞出血、肺高血圧症(はいこうけつあつしょう)は頻度としては低いですが、難治性です。 腹痛や吐き気がみられる場合には、腸間膜の血管炎やループス腹膜炎、ループス膀胱炎に注意が必要です。 中枢神経の症状には、中枢神経症状(CNSループス)。多彩な精神神経症状がみられ ますが、なかでも、うつ状態・失見当識・妄想などの精神症状とけいれん、脳血管障害が多くみられます。 その他の症状では、貧血、白血球減少、リンパ球減少、血小板減少などの血液の異常もよくみられます。また、抗リン脂質抗体という抗体がある場合は、習慣性流早産、血栓症、血小板減少に基づく出血症状などの症状、抗リン脂質抗体症候群などです。
皆さん、この症状の全てが実はEBVが感染したBリンパ球が作り出す抗体によるものなのです。なんとびっくり仰天でしょう!!!
今日はここまでです。2016/04/26