コラム

オプジーボについて_その1 2018.12.13更新

投稿日:2018年12月6日 更新日:

まず、ノーベル賞を受賞された本庶佑先生がおっしゃられていたように、オプジーボは免疫の働きを利用した全く新しいタイプの抗ガン剤であり、かつガン治療薬において細菌病原体に絶滅させた嚆矢となったペニシリンと同じ位置を占めることができると公言されました。本当にそうなるかどうかを検討したいのと、さらにもう一つ重大な問題を検討したいと思います。それは副作用であります。

オプジーボは2014年に初めて日本において公認されたのですが、華々しい副作用が報告されています。その重大な副作用を羅列していきますと、1)間質性肺疾患、2)重症筋無力症、3)心筋炎、4)筋炎、5)横紋筋融解症、6)大腸炎、7)重度の下痢、8)Ⅰ型糖尿病(劇症Ⅰ型糖尿病を含む)、9)免疫性血小板減少性紫斑病、10)肝機能障害、11)肝炎、12)甲状腺機能障害、13)神経障害、14)腎障害、15)副腎障害、16)脳炎、17)重度の皮膚障害、18)静脈血栓塞栓症、19)筋ジストロフィーなどがあります。これらの症状はどうして出るのでしょうか?オプジーボ投与により死に至る重篤な自己免疫疾患が多数発生しており、合計すると1割以上の発生率と報告されています。その原因は、T細胞がガン細胞が発現するPDL-1のみならず、PDL-1を発現している正常細胞を攻撃すると考えられるからです。本当にこれらの病気は自己免疫疾患なのでしょうか?これを免疫学の観点から詳しく論じたいと思います。さらにオプジーボで本当に全てのガンが治るのでしょうか?という問いに対しても答えていきたいと思います。

活性化したキラーT細胞が発現している膜のタンパク質であるPD-1が、ガン細胞が発現しているPDL-1と結びつくと、キラーT細胞の働きがなくなってしまいます。するとガンを殺す力もなくなってしまうので、PD-1にPDL-1が引っ付かない抗ガン剤が作られました。これがオプジーボです。極めて高価なオプジーボは、既存の抗ガン剤で効かなかった人にしか使えません。ところが既存の抗ガン剤を使って来た人や、あるいは放射線治療を受けたり、あるいは外科的治療を受けた人たちは極めて免疫が下がっている状態です。言うまでもなく、ガンになると言うことは免疫がよほど低下している人でありますから、いずれにしろガン患者は健康な患者に比べて、極度な免疫低下の状態にあります。その間に全ての人が多かれ少なかれ持っている8種類のヘルペスウイルスが無限大に増殖しております。ステロイドをはじめとする免疫を抑制する薬はすべからくヘルペスを増やし続けるという事実を世界中の医者の誰一人として気がついていません。人類の最後の消滅まで残り続ける病原体は8種類のヘルペスであるということを誰も知らないのです。しかももっと無知なことは、免疫が回復したら増やし続けたヘルペスとの戦いが始まり、原因不明とされるあらゆる病気を発症することも世界中の医者は誰も知らないのです。いうまでもなく、オプジーボによってもたらされる副作用としての19種類の病気は、実は全てヘルペスと免疫との戦いで生じた病気であることを、本庶佑先生ご自身もご存知でないのです。それではオプジーボはステロイドと同じく免疫を抑制する薬なのでしょうか?オプジーボは絶対にステロイドではありません。もちろんオプジーボは免疫抑制剤でもありません。それではなぜオプジーボを抗ガン剤として使用した時に、ヘルペスウイルスが無限大に増え、オプジーボを減らした時に、あるいはやめた時に、ヘルペスウイルスとの戦いが生じ、死をもたらすこともあるぐらいに一生治らない病気になってしまうのでしょうか?この答えも順番に出してあげましょう。

オプジーボを用いている時に、免疫がゼロになっているわけではありません。残り少ないキラーT細胞をはじめとする免疫細胞は、必死で増えたヘルペスウイルスと戦おうとしていますし、実際に戦っています。ヘルペスと戦うためにT細胞を刺激するためにはCD28というレセプターが発現します。ところがT細胞が活性化すると、同時にPD-1というレセプターが発現します。このレセプターは免疫抑制レセプターともいわれます。キラーT細胞が戦うためにはCD28というレセプターが必要でありますが、一方キラーT細胞に戦うことをやめさせるレセプターがPD-1であります。T細胞が戦っているときに戦いをやめさせるPD-1を作らせるのは矛盾だと思いませんか?これに対する答えも後で詳しく述べましょう。

私はこのPD-1は、世界一ずる賢い天才ヘルペスウイルスの遺伝子が、人間の免疫が殺すために働き始めたキラーT細胞に無理やり発現させたのです。なぜでしょうか?人間の免疫がヘルペスに対する殺しかたを見つける前から、ヘルペスは人間の免疫から回避する様々な戦略を見つけていたのです。この戦略については後で詳しく述べます。

私がいつも常々言っていますように、最後に人類を悩ませるのは殺しきれないヘルペスであるというのは、何を意味していると思いますか?それは人間の免疫の遺伝子はヘルペスの遺伝子に敗北し続けているという意味です。全ての生命は、遺伝子が作り上げた操り人形に過ぎないのです。操り人形の種類が38億年かかって進化という遺伝子の変異によって作られたのが1000万種類といわれる種(species)なのであります。その種の中でヘルペスウイルスは人間の免疫のみならず、全ての生命が持っている免疫の働きを騙し、逃げ隠れし、決して絶滅しない戦略を身につけた天才ヘルペスに対して、人類はオプジーボという最高の贈り物を与えてしまったのです。なぜでしょうか?後で詳しく説明します。皮肉な話になりますが、ノーベル賞受賞者である本庶佑先生に、ヘルペスウイルスの仲間たちは彼にノーベル賞以上のものを与えたいと密かに思っているはずです!ワッハッハ!なぜならば、PD-1は一言で言えば、「ヘルペスと人間との熾烈な戦いを永遠に休戦しましょうという条約のハンコ」であったからです。免疫はできる限りヘルペスウイルスを攻撃することはやめますという誓いの休戦条約をオプジーボは破ってしまったのです。この理由も後で詳しく説明しましょう。

8種類のヘルペスウイルスの全ては、永久に人体の全ての細胞に隠れ続け、絶対に殺しきれないのみならず、人体の免疫が落ちた時に増殖し、免疫が戻った時に免疫によって絶滅させられないように再びあらゆる細胞に隠れ続ける戦略を取り続けてきた天才ウイルスであリます。その戦略も詳しく後で書きます。ヘルペスは免疫を抑えるステロイドをはじめとするあらゆる免疫抑制剤を少しでも投与されると増殖する上に、ストレスのない人間はこの世に誰一人存在しないわけですから、競争を第一義とする資本主義全ての人は多かれ少なかれ過剰にストレスホルモンを出して免疫を抑えて生活をしています。世界一金持ちのAmazonのジェフ・ベゾスとアメリカ大統領のトランプだけが例外でしょうが。ワッハッハ!

さぁ、これから一から十まで詳しくPD-1、PDL-1、抗ガン剤オプジーボ、ガン、さらにPD-1に対する抗体であるオプジーボ、最後にヘルペスウイルスが免疫との関わりにおいてどのような位置を占めているかについて順に詳しく説明しましょう。また上に記したいくつか問いに対して答えも出していきましょう。私にとっても手強いテーマでありますが、楽しいテーマでもあります。アッハッハ!

私は一介のアホな開業医にすぎません。医学博士号は持ってますが、決して研究者ではありません。にもかかわらず、なぜこのようなとてつもないテーマに手を出すことができるのでしょうか?答えは極めて簡単です。遺伝子をも含めた生命体は生き続けるために、生命誕生以来38億年の臨床経験を持った遺伝子を私は絶対的に信頼しているからです。この遺伝子の働きは全て遺伝子が作り上げた生命体を生き続けさせるために病原体と戦い、殺したり共存したりするために進化(遺伝子の変異)を38億年間やり続けてきた、いわば最高の臨床医師である遺伝子を信じているからです。つまり遺伝子というのは最高度にエゴなる存在であり、その自分だけの遺伝子によって作り上げた遺伝子の操り人形である全ての生命体のエゴの意味を理解することだけが私の仕事であるので、研究者が断片的に提供してくれる事実を、ジグソーパズルのように正しく組み立てさえすれば、生命体の実相が明らかにすることがとっても楽しい仕事になるのです。

しかしながら、こんジグソーパズルには単純な医学の知識だけでは解決できないのです。複眼的な哲学が必要なのです。単線思考では絶対に完成されないジグソーパズルなのです。このジグソーパズルを完成させるためには、世界中の医者が知らないヘルペスの存在を頭に入れなければ答えが出ないのです。かつガンはガン細胞の問題ではなく、遺伝子の変異に過ぎないのです。たまたま人体を構成する40兆の細胞の中のたった1個の細胞の遺伝子の変異が増殖に関わる遺伝子(ガン遺伝子)と増殖を抑制する遺伝子(ガン抑制遺伝子)の2つにたまたま生じた結果、この一個のガン細胞が無限に増え、その結果、ガンと認識されるに過ぎないのです。決してガンは細胞の問題ではなくて、生命体の根源である遺伝子の変異に過ぎないのです。殺しきれないヘルペスと遺伝子の変異の意味の2つをしっかり頭に入れておかなければ、このジグソーパズルは完成しないのです。この2つの真実を頭に入れておけば、PD-1やPDL-1やオプジーボの意味を理解することは極めて簡単であるのです。なぜならば38億年間臨床医師をやってきた人間の免疫の遺伝子さえ処理できない敵がヘルペスウイルスであることと、ガンは細胞の病気ではなくてたまたま生じた遺伝子の変異に過ぎないということを私以外に誰も知らないので、私しか答えが出せないのです。徐々に答えを出していきましょう。アッハッハ!

後で説明しますが、遺伝子と生命は実は同じものなのです。なぜならば生命の始まりは実はRNAであるのです。RNAという遺伝子は、自己複製が可能であると同時に、そのために必要な酵素も作ることができるからです。これは、RNAはまさに生命である証であるのです。研究者は、遺伝子は生命の設計図で生命体ではないと言いたがりますが、私は、遺伝子は生命の設計図をも内蔵している生命体と考えています。その理由も後で詳しく書きます。

それではまずPD-1というのは一体何なのでしょうか?まずどのような細胞が膜のレセプターとしてPD-1を発現しているのでしょうか?PD-1は、T細胞やB細胞や顆粒球や大食細胞や単核細胞などの免疫細胞が活性化された後に、細胞の膜に発現するITIMを含んだ受容体(receptor)であります。それではITIMとは何でしょうか?ITIMは英語で、“immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif”の頭字語です。“inhibitory”を日本語に訳すと「抑制する」という意味です。このITIMは、細胞質にある様々なphosphataseという酵素に結びついています。日本語でホスファターゼといいますが、リン酸エステルやポリリン酸を加水分解してリン酸基を除去する働きがあります。一方、リン酸基を逆に付加する酵素をホスホリラーゼといいます。これらのリン酸基を持っているタンパク質をITAMといい、ITAMからホスファターゼの働きでリン酸基を奪い取ると、ITAMの働きがなくなってしまうのです。ITAMというのは、英語で“immunoreceptor tyrosine-based activation motif”の頭字語です。“activation”は「活性する」という意味です。結局ITIMとITAMは逆の仕事をすると覚えておいてください。ITIMは細胞の働きを抑制し、ITAMは細胞の働きを活性化するのです。キラーT細胞とガン細胞が結びつくと、キラーT細胞のホスホリラーゼという酵素が活性化して、キラーT細胞はガン細胞を殺そうとするのですが、リン酸基がなくなると抑制され、キラーT細胞はガン細胞を殺せなくなります。

PD-1は、CD4T細胞、CD8T細胞、CD4Treg、B細胞、APC、単球、マクロファージ(大食細胞)などが活性化された後に、細胞膜に発現します。CD4T細胞は、ヘルパーT細胞です。CD8T細胞は、キラーT細胞です。CD4Tregは制御性Tリンパ球のことです。iTregという言い方もします。APCはご存知のように、Antigen presenting cellの略であり、抗原提示細胞ですね。dendritic cellのことであり、樹状細胞や樹枝状細胞とも言います。言い換えるとPD-1はほとんど全ての免疫細胞が活性化された後に発現します。

なぜこれらの細胞の膜にわざわざ免疫を抑制するITIMを含んだ受容体(receptor)をさせるのでしょうか?しかもなぜPD-1はほとんど全ての免疫細胞が活性化された後に発現するのでしょうか?ここが世界中の医者が誰も理解できないポイントであります。これに対する答えは、この世に自己免疫疾患が存在するわけがないという答え以上に難しいものですが、必ず答えを出してあげます。医学を知らないバカでもアホでも、正直でピュアな心を持っている人なら自己免疫疾患がないということはすぐにわかるはずです。ところが、オプジーボはなぜ19ものヘルペスとの戦いでのみ見られる副作用が起こるのか、という答えのみならず、これに関連する問題に対しても答えを出すのは、やはり免疫学の本質を理解しなければ誰も出せないのです。私だけしか答えを出せないとも言い切れます。この答えを出す前にPDL-1の話もする必要があります。

それではPDL-1は一体何者であり、どんな仕事をするのでしょうか?PDL-1は、免疫細胞であるCD4T細胞、CD8T細胞、CD4Treg、B細胞、APC、単球、マクロファージ(大食細胞)、マスト細胞、血管内皮細胞などの細胞膜に常時発現しています。これらの細胞が活性化されなくても常に細胞膜に発現しています。病原体との戦いの結果、上にあげた免疫細胞が生み出す様々な炎症性サイトカインによってPDL-1を持つ細胞にシグナルが送られ、かつPDL-1とPD-1が結合すると、免疫抑制レセプターであるPD-1の発現が抑制され、炎症がどんどん進む反応が増えるはずなのです。ところが不思議なことに、慢性の感染症においてPD-1が表出されている広範囲の細胞がT細胞の活性化を逆に減らしてしまうという現象が見られるのです。なぜでしょうか?とにかくPD-1とPDL-1の意味付けを考えるときにはなぜなぜという疑問の連続です。その疑問に答えてあげようとしているのです。

皆さん、現在に慢性感染症という病気があると思いますか?ないのです。医者たちが様々な慢性疾患の病名をつけたがりますが、このような病名は全く実態のない病名にすぎないのです。面白いことに慢性疾患の病気の原因は二種類、つまり2億種類の化学物質と8種類のヘルペスしかないもかかわらず、慢性疾患の病名は2万以上もあります。医者たちは病名作りの天才と言えますね。アッハッハ!言い換えると、病気がないのに病名だけが横行しているだけです。

私は以前から、現代文明の病気の原因は無限に作り出される異物となる化学物質とヘルペス8種類しかないと言ってきました。抗生物質とワクチンによってあらゆる病原体は駆逐されてしまったのです。現在、慢性疾患というのはあらゆるアレルギー疾患といわれるものと、原因不明の治せない慢性疾患、つまり自己免疫疾患と、症状を取るために免疫を抑制する結果、増え続ける医原病であるヘルペス感染症だけであります。もちろんいうまでもなく、免疫を抑えている間にヘルペスが増え続けるのでありますが、一生免疫を抑えるステロイドを使い続ければ病気は起こらないのです。このパラドックスは現代の医者は知らないのです。いや最も賢い人たちが医薬業界のトップに君臨している人たちが知らないはずがないのです。私が世界で一番頭がいい男だと思いますか?私は子供時代に確かに頭が最優秀の子供の一人であったはずです。ところがヘルペス性脳炎になったために右目が失明し、右の脳は半分機能不全となり死んだも同然です。左の脳だけで生きているアホ極まりのない男です。その男が知っている真実を、最高の頭脳を持った医学会の最高の指導者が知らないと思いますか?知っているのです。が、それを認めると現代の全ての病気は医原病であり、免疫を抑制する薬しか作れない製薬メーカー、そしてその免疫を抑制する薬を用いるしかない医者共々医薬業界の破滅をもたらすことになるので認めようとしないのです。いや、ひょっとしたら世界で一番賢い男は私であり、私しか知らない真実かもしれませんね?ワッハッハ!!なぜこんなバカなことが起こるのでしょうか?それはヘルペスが人類最後に残った慢性感染症の原因であることを認めないからです。

次の本論に戻りましょう。ガン細胞をTCR(T細胞受容体)でガン細胞を認識したキラーT細胞がなぜガン細胞の細胞膜に発現したPDL-1とT細胞に発現しているPD-1と結びつくと、なぜキラーT細胞の殺しの力が減るのでしょうか?PD-1がT細胞に発現しても、PDL-1がT細胞のPD-1と結びつかない限り、T細胞の働きは減ることはないのです。それではなぜキラーT細胞の働きは病原体(ウイルス)が感染した細胞やガン細胞を殺すために生まれたはずなのにもかかわらず、しかもそのような敵によって刺激されて活性化した元気のいい実行部隊となったT細胞の働きをわざわざPD-1を作って、なぜ減らそうとするのでしょうか?むちゃくちゃ矛盾ですよね。だって免疫は病原体を殺すために生まれたにもかかわらず、ガン細胞のPDL-1と結びつくためにPD-1をわざわざ作るのでしょうか?

既に述べたようにPDL-1は、CD4T細胞、CD8T細胞、CD4Treg、B細胞、APC、単球、マクロファージ(大食細胞)、マスト細胞、血管内皮細胞などの細胞膜に常に発現しています。PD-1はあくまでも活性化された時だけ免疫細胞に発現し、一方PDL-1は刺激されなくても常にほとんど全ての免疫細胞と血管内皮細胞に発現しているのです。この違いの意味はなんでしょうか?これも後で答えを出しましょう。特にPDL-1は免疫細胞でない人体に1000億個もある血管内皮細胞に発現していることをもしっかり覚えておいてください。

あちこちの細胞にT細胞の活性化されたキラーT細胞に一時的にPD-1というレセプターが出現しても、このPD-1のリガンドであるPDL-1が引っ付かない限りは戦いをやめさせることができないのです。PD-1とPDL-1が結びつくと、戦いをやめなさいというシグナルがキラーT細胞の核に伝わります。それでは、PD-1というのはどんな細胞に出現し、PDL-1はガン細胞以外のどんな正常細胞に発現しているのか、PD-1とPDL-1の働きについて、現在成書に認められている一般的な性質をもう一度説明します。

生きるために人間どうしでも常に戦い続けているのと同じぐらいに、見えない人体で人類はヘルペスと戦っています。この時に発現されるPD-1の働きを、賢いヘルペスは自分を殺さないようにPDL-1を作ってPD-1の働きを抑えてしまいます。そうすると敵と戦うことをやめさせるレセプターがPD-1でありますから、敵は始めはヘルペスウイルスだったのですが、ガンになった人は、今度はガン細胞が持っているPDL-1と結びつくと、ガンとも戦うことができなくなります。この時に、本庶佑先生が閃かれたのがオプジーボであります。つまりガン細胞が発現しているPDL-1がキラーT細胞のPD-1にひっつかないようにする薬を作ればガンは治るのではないかと。この閃きが本庶佑先生をノーベル賞への道を開いたのです。簡単に結論を言えば、PD-1というレセプターを発現したキラーT細胞に、PDL-1というリガンドを発現したガン細胞が結びつけば、キラーT細胞のガンを殺す力がなくなるので、引っ付かない薬を作ればいいということですが、そうはいかないのです。そうはいかないからこそオプジーボの重大な副作用が19種類も出てしまったのです。なぜこのような副作用が起こったのでしょうか?

それではなぜ治らないガンもたくさんある上に、様々な怖い副作用が出るのかとか、副作用で死ぬ人もいるという話を詳しくする前に、先ほど約束した通りにPD-1やPDL-1が何であるかについて、今までとは別の観点から話をします。さらにガンとは何かについてもおいおい話を進めたいと思います。とにかく一筋縄では説明しきれないのが慢性感染症であるヘルペス感染症なのであります。

PD-1とかPDL-1のPDはどういう意味でつけられたのでしょうか?PDは、programmed deathという英語の頭字語です。つまり「遺伝子に前もって計画され、組み込まれてしまっている死」という意味で、アポトーシスと同じ意味です。アポトーシスとはなんでしょうか?病的な細胞死ではなくて、細胞内小器官の構造は保たれながら、核つまり遺伝子であるDNAが凝集し、断片化することで細胞が死んでいくことです。なぜならば人間の細胞は遺伝子によって生かされているからです。遺伝子がなくなった細胞は死ぬしかないからです。

実際PD-1とPDL-1が結びつくと、アポトーシスが起こるということはどこにも書かれていません。正しくは、PDはinhibitory receptorと名付けるべきであったのです。なぜならばPD-1にPDL-1がつくことで、直接PD-1を持っている細胞が殺されるわけではないからです。あくまでもガン細胞を殺すキラーT細胞の力がなくなるだけです。既にキラーT細胞がガン細胞の特異的な抗原を認識している時に、このキラーT細胞が持っているPD-1にガン細胞が表出しているPDL-1が引っ付くと、キラーT細胞のT cell receptor(TCR)からの「ガン細胞を殺せ」という信号が抑制され、無視されてしまい、その結果、ガン細胞は生き続け増殖し続けるだけです。つまりリンパ球の活性化を抑制するシグナルが細胞の核の遺伝子に伝えられるからです。いわばPD-1とPDL-1が引っ付くと、結果的には、キラーT細胞はガン細胞を殺すという仕事をやめてしまうのです。それでは、PD-1とPDL-1が結び付くと、どのように抑制シグナルが核の遺伝子に伝えられるかを勉強しましょう。

まずPD-1というのは、既に述べたように、繰り返しますが、T細胞やB細胞や顆粒球や大食細胞や単核細胞などが活性化された後に、細胞の膜に発現するITIMを含んだ受容体(receptor)であります。それではもう一度ITIMを復習しましょう。ITIMは英語で、“immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif”の頭字語です。“inhibitory”を日本語に訳すと「抑制する」という意味です。このITIMは、細胞質にある様々なphosphataseという酵素に結びついています。日本語でホスファターゼといいますが、リン酸エステルやポリリン酸を加水分解してリン酸基を除去する働きがあります。一方、リン酸基を逆に付加する酵素をホスホリラーゼといいます。これらのリン酸基を持っているITAMからホスファターゼの働きでリン酸基を奪い取ると、ITAMの働きがなくなってしまうのです。ITAMというのは、英語で“immunoreceptor tyrosine-based activation motif”の頭字語です。“activation”は「活性する」という意味です。結局ITIMとITAMは逆の仕事をします。ITIMは細胞の働きを抑制し、ITAMは細胞の働きを活性化するのです。キラーT細胞とガン細胞が結びつくと、キラーT細胞のホスホリラーゼという酵素が活性化して、キラーT細胞はガン細胞を殺そうとするのですが、リン酸基がなくなると抑制され、キラーT細胞はガン細胞を殺せなくなることは既に書きました。

いずれにしろ、このキラーT細胞の細胞膜にあるinhibitory receptorの細胞質にある尻尾にはITIMというタンパクがひっついています。これをモチーフ(motif)といいます。モチーフ(motif)とは、タンパク質三次元構造に見られるαヘリックスやβシートから成り立っている特徴的な部分的構造をいいます。難しすぎますがついてきてください。

従って、ガンを見つけたキラーT細胞がITAMによって活性化している時にPD-1が出現し始め、かつガン細胞のPDL-1がひっつくとITIMがONになり、ITAMがOFFになりITAMの働きが抑制されて、キラーT細胞の殺す力が減ってしまうのです。

PDL-1というのは、別名B7-H1といいます。PDL-1は、既に述べたように常に広範囲に様々な細胞に発現しています。CD4T細胞、CD8T細胞、CD4Treg、B細胞、APC、単球、マクロファージ(大食細胞)、マスト細胞、血管内皮細胞などです。PDL-1はどんな仕事をするのでしょうか?PD-1とPDL-1が結びつくと、初めてPD-1の仕事ができなくなります。ということは、PD-1単独では細胞の働きを抑制する仕事はなにもできないのです。PDL-1が結びついて初めてPD-1の抑制の仕事が始まるのです。既に述べたようにPD-1が発現している細胞は免疫細胞だけでしたね。もう一度復習すると、PD-1を発現している細胞は、CD4T細胞、CD8T細胞、CD4Treg、B細胞、APC、単球、マクロファージ(大食細胞)の7つだけでしたね。この免疫細胞が活性化されて初めてPD-1が発現することも確認しておいてください。つまり7つの免疫細胞のレセプターに抗原がついて初めてPD-1が発現することを確認してください。7つの免疫細胞が活性化した後にPDL-1が引っ付くと、PD-1の本領が発揮されるのです。つまり7つの免疫細胞の働きが減ってしまうということです。

従ってPDL-1がPD-1につくと、7つの免疫細胞の働きが弱められます。7つの免疫細胞の大部分は炎症を引き起こす様々なサイトカインを作ることです。このサイトカインが減ると、炎症反応が減ってしまいます。サイトカインの産生によって細胞に伝わるシグナルは、PD-1の発現を抑制することができます。主な炎症性サイトカインとして、TNF-α、IL-1、IL-6、IFNγ、IL-8、IL-12、IL-18があります。IFNγは、細菌抗原やIL-12、IL-18などによって活性化されたヘルパーT細胞から産生され、抗ウイルス作用を高め、マクロファージを活性化します。IL-8は好中球の強力な遊走活性を有するケモカインです。IL-12は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞などから産生され、炎症性・抗炎症性サイトカインの産生を高めます。また細胞性免疫を高め、Th1リンパ球への分化を促進します。IL-18は、活性化されたマクロファージから産生され、IFNγの産生を高めます。また細胞性免疫に加え抗体を作る液性免疫を強めることができます。

さぁ、ここで再び複眼思考を始めましょう。皆さんご存知のように感染症がなくなったので、飛躍的に全世界の先進国の寿命が伸びました。先進国おいては感染症であるとすれば急性感染症しかありませんね。せいぜい風邪ぐらいですね。風邪は病気というほどのものではありません。それでは常々述べているように、10人のうち9人以上が感染しているにもかかわらず、殺しきることができない病原体はなんでしょうか?ヘルペス8種類以外に何があるでしょうか?しかも免疫が下がって増え続け、免疫が戻って再び戦いが始まるという繰り返しを続ける病気を起こす敵はなんでしょうか?ヘルペスですね。従って、ヘルペスは急性慢性感染症と名付けるべきですね、アッハッハ!

皆さん、考えてみてください。免疫は何のために38億年かけて進化したと思いますか?人体に外部から病原体が侵入した時に、病原体を殺すか共存するか押し込むかの3つの手段によって病原体と戦いを止めることが病気を治すことです。それでは病気とは何でしょうか?症状が病気ではないのです。世界中の医者は病気を症状と同じだと勘違いしております。症状は殺すか共存するか押し込むかの3つの結果をもたらすためのプロセスにすぎません。ところが1つだけ例外があります。いうまでもなくその例外はヘルペスです。ヘルペス以外のほとんどの病原体はワクチンと抗生物質を用いて免疫の力を借りて殺すことができます。次に化学物質に関しては、免疫寛容によって共存することができます。それでは腸管の常在菌に対しては、免疫はどのような態度をとっているのでしょうか?殺し切ることもできないので、やはりできる限り免疫寛容を起こして共存する道を選びました。それでは世界中の医者が誰一人認めない殺しきれない最後に残る唯一の病原体である8種類のヘルペスウイルスに対して無力な免疫はどのような戦略をとったと思いますか?

皆さん、世界の覇権を巡って米中貿易戦争をきっかけに米国と中国は戦いを始めていますね。殺し合いの道でしょうか?共存の道でしょうか?それとも覇権大国米国は中国に譲歩するでしょうか?いずれその答えは出るでしょうが、長い歴史を見る限りは、結局は強い国が勝つという法則は貫かれることになるでしょう。永遠に覇権を保持することは絶対に無理だということは歴史が証明していますがね。ところがヘルペスとの戦いに対する人間の免疫の答えは、実を言えば何億年前に出ていたのです。

結論から言いましょう。ヘルペスとは戦わないという戦略を免疫が生み出したのです。つまり、ヘルペスと戦うことによって病気を起こすという無駄を免疫はやめたのです。戦っても勝てる訳ではないということを免疫は悟ったのです。というよりも戦っても自分の免疫の遺伝子が傷つくだけであるということを悟ったのです。その悟りがPD-1を生み出し、PDL-1を生み出したのです。言い換えると、ヘルペスウイルスだけに対しては敗北を認めざるを得なかったのです。

今日はここまでです。

 

 

 

 

 

 

古来から感染症の始まりは急性感染症といわれる、突然に病原体が人体に侵入し、突然に症状が現れ、免疫が勝つか病原体が勝つかという趨勢は激しい症状を伴って短い経過をとって短期間で決まっていました。麻疹(はしか)・インフルエンザ・腸チフス・赤痢(せきり)・コレラ、ペスト、天然痘などがありました。一方、発病後の症状の発現が徐々で、経過も緩慢な感染症を慢性感染症とされ、結核・ハンセン病・梅毒などが残っています。しかしいずれもワクチンと抗生物質で消滅しました。

それでは古来よりヘルペスとの戦いはそのように認識されていたでしょうか?おそらく一過性の命に関わりのないどうでもいい病気として一蹴されていたのです。だけれども外から見えない免疫としてはあらゆる病原体の中で最も厄介な敵であると認識されていました。なぜならば永遠にヘルペスとの戦いは、免疫では決着がつかないからです。現代も免疫を抑えない限りは病原体としては取るに足らない敵なのです。免疫が正常である限りは、ほとんど100%近い人が一度かかってしまうと増殖することがないので、ますます病原体として認識されることはなかったのです。確かにストレスに耐えるために自分のステロイドホルモンを出し続けた人もいたでしょうが、人体が副腎皮質ホルモンで作り続けるステロイドホルモンは限られているのです。しかも寿命が短かったので生涯に渡って自分の副腎皮質で作り出すステロイドホルモンははるかに少なかったのです。現代のように死ぬまで生きるためにお金を稼ぐためにストレスをかけ続けるという時代ではなかったのです。なぜならば農耕社会だったからです。現代ほど競争社会でもなくゆったりと過ごせる農耕社会ではストレスホルモンは生理的なレベルでしか出す必要がなかったのです。

ところが、現代のように欲望が極大化し、従って競争が子供の頃から始まり、さらに交通や通信が発達しすぎて、常に副腎皮質を刺激せざるを得ない現代文明では、毎日毎日、夜も昼も生理的ホルモンをはるかに超えた極大のステロイドホルモンを出しすぎている時代において初めてヘルペスの存在がクローズアップされ出したのです。ましてや国民皆保険によって極めて安価で簡単に手に入る免疫抑制剤によって、ますます外部から免疫を抑えるステロイドをはじめとする様々な病気によく効く、つまり症状をすぐにとってしまう薬が地球規模的にヘルペスを増やしてしまったのです。

今日はここまでです。

 

 

 

 

 

そもそも免疫が正常であれば90%以上が感染しているヘルペスとの戦いは起こり得ないのです。なぜオプジーボを使っている間にヘルペスウイルスが最大限に増殖し、オプジーボをやめるとヘルペスウイルスとの戦いによる副作用が出るのかという話に発展していきます。現在世界中で使われている薬の中で、免疫をあげてくれるのは唯一植物の遺伝子が作った免疫成分が含まれている生薬である漢方以外にありません。世界中の製薬メーカーが作っているのは、抗生物質とワクチンを除いて、全て免疫を抑制し症状を取るだけの毒薬であります。免疫を抑える薬は患者の症状を取ることによって一時的に快楽を与えることができるので、愚かな患者は大好きな薬です。

 

 

 

 

 

 

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