どのようにして免疫は自己の成分と敵の成分とを明確に判別しているのでしょうか?自然免疫と獲得免疫は敵である非自己の病原体と自己の成分とを見分けることができるのでしょうか?何故自己免疫疾患は存在しないのか?
自然免疫と獲得免疫の両方が、非自己の病原体と自己の成分を区別することができます。自然免疫は、APC(病原抗原提示細胞)が病原体の体表面や病原体内部の特定のパターンを認識して人が持っていない非自己だと判断がすれば攻撃し、獲得免疫のT細胞は、APC(病原抗原提示細胞)が持っているMHCに病原体の抗原のである一部のペプチドを結合した複合体を認識して攻撃しません。これをMHC拘束と言います。MHC拘束とはT細胞が異物(病原体など)を認識する際に、同時に自分と遺伝的に同じMHC(主要組織適合遺伝子複合体)を持つ細胞を認識する性質であり、この性質により、T細胞は自己と非自己を区別し、免疫応答を適切に制御します。どちらも、自己の成分に対しては攻撃しないように、厳格な制御機構を持っているのは実はAPC(病原抗原提示細胞)なのです。何故ならばAPC(病原抗原提示細胞)は二つに役割を持っているからです。ひとつめが非自己と見極めた敵(病原体)だけを正しく選択してくれます。そ上に選択してくれた敵(病原体)のペプチドを自分と遺伝的に同じMHC(主要組織適合遺伝子複合体)に結合して獲得免疫のT細胞に示してくれるので100%正しい非自己である敵をT細胞に非自己か自己かを判断させることもなく非自己であることを保証してくれているからです。その結果自己免疫疾患がないことを二重に間接的に証明してくれているので獲得免疫は自己免疫疾患を起こすことはないのです。
自然免疫と獲得免疫の自己・非自己認識の仕組みとは自然免疫は、病原体(非自己)と自己の成分を、パターン認識受容体(PRRs)を介して識別します。PRRsは、英語でPathogen Recognition ReceptorsとかPattern Recognition Receptorsであり病原体に特有の分子パターンである病原体関連分子パターン(Pathogen-Associated Molecular Patternsで略してPAMPs)を認識し、自己成分には存在しないため、非自己であるのを正しく認識してPAMPsを持っている病原体だけを攻撃し、自己を攻撃しないようにします。
自然免疫系は、生まれつき備わっている免疫システムで、あらゆる病原体の侵入を迅速に検知し、排除する役割を担います。
この病原体を識別できるメカニズムとは何でしょうか?
1. パターン認識受容体 (Pattern Recognition Receptors で略してPRRs) の役割:
PRRsは、自然免疫細胞であるマクロファージや樹状細胞や膜抗体B細胞などの3つのAPC(抗原提示細胞)の表面や細胞内に存在します。これらの3つの受容体は、病原体に特有の分子パターン(病原体関連分子パターン:PAMPs)を認識します。PAMPsの例としては、細菌の細胞壁成分(リポ多糖など)、ウイルスのDNAやRNAなどが挙げられます。一方、自己成分にはPAMPsは存在しないため、PRRsをもった自然免疫細胞は自己を攻撃することはありません。
2. 自己・非自己の識別:
PRRsがPAMPsを認識すると、免疫細胞が活性化され、病原体に対する攻撃が開始されます。
この際、PRRsを持った自然免疫細胞であるAPC(抗原提示細胞)は自己成分を認識しないため、自己免疫反応を抑制し、自己を攻撃することはありません。
3. 免疫寛容は起こる必要がないのです。
自己に対する免疫反応を抑制する仕組みをといいますがもともと存在しないのです。何故ならば自然免疫においても獲得免疫においても二重に自己を非自己の敵としてみなすことができないので絶対に自己免疫寛容も自己免疫疾患も存在しないのです。自己免疫疾患は実はherpesとの戦いで生ずる感染症であり勿論herpesウイルスに対しては大しては免役寛容も起こり得ないのです。
免疫細胞は、成熟の過程で自己の成分を認識する細胞は排除されるか、免疫反応を起こさないように制御されることもあり得ません。
自然免疫系は、PRRs( Pathogen Recognition ReceptorsとかPattern Recognition Receptors)を介して病原体のPAMPsを認識し、自己成分とは区別することで、非自己である病原体を選択的に攻撃し、自己を攻撃しないようにしています。このメカニズムによって、生体は病原体から身を守りつつ、自己の恒常性を維持しているだけで自己免疫疾患である自己を攻撃する病気も存在しないのです。
自然免疫:病原体表面に見られる特定の分子パターン(PAMPs: pathogen-associated molecular patterns)を認識する受容体(PRRs: pattern recognition receptors)を細胞表面に持っています。
これらの受容体は、細菌やウイルスなどの病原体に共通する分子パターンを認識し、それらを非自己と判断します。
自己の細胞には、これらのPAMPs(PAMPsは pathogen-associated molecular patterns)が存在しないため、自然免疫細胞は自己の細胞を攻撃することはありません.
獲得免疫:
病原体特有の抗原を認識するT細胞やB細胞が中心となります。これらの細胞は、抗原提示細胞(樹状細胞など)によって提示された抗原を認識し、特異的に攻撃します。
APC(抗原提示細胞)のMHC(主要組織適合遺伝子複合体)拘束性とT細胞の自己・非自己判別のメカニズムは、免疫システムにおける重要なプロセスです。APCは異物(病原体など)の断片をMHC分子に結合させ、T細胞に提示します。T細胞は、このMHC-抗原複合体を認識するT細胞受容体(TCR)を持っており、自己のMHC-抗原複合体と非自己のMHC-抗原複合体を区別することで、免疫反応を制御します。
APC(抗原提示細胞)のMHC拘束性とは何でしょうか?APC(抗原提示細胞)の役割とは何でしょうか?①抗原提示:APCは、病原体などの異物を貪食・分解し、その断片であるペプチド抗原をMHC分子に結合させて細胞表面に提示します。②MHCの種類:MHCにはクラスI MHCとクラスII MHCの2種類があり、クラスI MHC分子と結合したペプチド複合体をCD8T細胞に認識されます。クラスII MHC分子と結合したペプチド複合体はCD4T細胞に認識されます。③MHC拘束性:特定のMHC分子は、特定の抗原ペプチドと結合する性質があります。この性質をMHC拘束性といいます。これにより、多様な抗原に対して免疫応答を誘導できます。MHC拘束性とは T細胞は自分自身のMHC分子に結合した抗原しか認識できないということです。 MHC分子は遺伝的に決まっているため、個体間で異なります。そのため、T細胞は自分自身のMHC分子に結合したペプチドしか認識できない、つまり、遺伝的に同じMHCを持つ個体の細胞を認識するという性質を持ちます。これを「遺伝的拘束性」とも呼びます。言い換えると T細胞が自己・非自己判別できるのはT細胞は自分自身のMHC分子に結合したペプチドしか認識できない拘束性を持っているからです。だからT細胞のT細胞受容体(TCR)はMHC-抗原複合体だけを認識できるのです。
胸腺での選択: T細胞は胸腺で成熟する過程で、自己のMHC-抗原複合体を認識するT細胞は排除されます(負の選択)。これにより、自己免疫反応を抑制します。
自己寛容:胸腺で生き残ったT細胞は、自己のMHC-抗原複合体を弱く認識する傾向があり、非自己のMHC-抗原複合体を強く認識するT細胞が活性化されます。
制御性T細胞:一部の自己反応性T細胞は、制御性T細胞に分化し、自己免疫反応を抑制する役割を果たします。
まとめ:APCはMHC分子を介して抗原を提示し、T細胞はTCRを介してMHC-抗原複合体を認識します。胸腺での選択と制御性T細胞によって、T細胞は自己と非自己を判別し、自己免疫反応を抑制しながら、病原体などの異物に対する免疫応答を誘導します。
B細胞が自己と非自己とを見分けるときにMHCが関わっているのか?
B細胞が自己と非自己を識別する際に、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)が直接的に関与するわけではありません。B細胞は、細胞表面に発現するB細胞受容体(BCR)を介して抗原を認識し、免疫反応を引き起こします。MHCは主にT細胞が抗原を認識する際に重要な役割を果たします。
B細胞の役割とは何か:B細胞は、抗原を認識して抗体を産生し、抗体は血液やリンパ液などの体液にはこばれるので体液性免疫と言います。B細胞は、細胞表面のBCRが特定の抗原と結合することで活性化されます。
MHCとT細胞:
MHC分子は、細胞表面に抗原ペプチドを提示する役割を持ちます。特にMHCクラスIIは、ヘルパーT細胞に抗原を提示し、免疫応答を活性化する上で重要です。MHCクラスIは、細胞傷害性T細胞に抗原を提示し、感染細胞やがん細胞を攻撃する役割を担います。
自己と非自己の識別:
B細胞は、BCRが自己の抗原と結合した場合、通常は免疫寛容が誘導され、活性化されません。一方、非自己の抗原(病原体など)と結合した場合は、B細胞が活性化され、抗体産生などの免疫応答が引き起こされます。
MHCとB細胞の関連:
MHC分子は、B細胞が抗原提示細胞として働く際に、T細胞に抗原を提示する上で間接的に関与します。
免疫寛容:
免疫系は、自己の抗原に対しては免疫応答を起こさないように、免疫寛容という仕組みを備えています。B細胞における免疫寛容の誘導には、MHC分子だけでなく、様々なメカニズムが関与しています。
まとめ: B細胞は、MHCではなく、B細胞受容体(BCR)を介して抗原を認識し、自己と非自己を識別します。MHCは、主にT細胞が抗原を認識する際に重要な役割を果たし、B細胞が抗原提示細胞として働く際に間接的に関与します。
獲得免疫は、病原体由来の抗原と自己の成分を区別するために、T細胞とB細胞の選択的な活性化と、免疫寛容という仕組みを利用しています。具体的には、T細胞とB細胞は、それぞれ特異的な受容体を持っており、これが抗原と結合することで活性化されます。一方、自己の成分に対しては、これらの細胞が活性化されないように、胸腺や骨髄で選択的に排除されたり、免疫反応が起こらないように制御されたりします。この自己に対する免疫反応を抑制する仕組みを免疫寛容と言います。
1. 抗原提示とT細胞の活性化:
病原体が体内に侵入すると、マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞がこれを貪食し、分解します。分解された病原体の断片(ペプチド)は、MHC分子というタンパク質と結合し、細胞表面に提示されます。
このMHC分子と結合したペプチドを認識するT細胞が活性化され、増殖・分化して、病原体を攻撃する細胞傷害性T細胞や、B細胞を活性化するヘルパーT細胞となります。自己の成分もMHC分子と結合して提示されますが、胸腺で成熟するT細胞は、自己のMHCと結合するT細胞は選択的に排除されるか、免疫寛容の状態になります。
2. B細胞の活性化と抗体産生: B細胞は、細胞表面のB細胞受容体(BCR)で抗原を認識し、活性化されます。活性化されたB細胞は、形質細胞に分化し、抗体を産生します。
抗体は、病原体と結合して、その働きを阻害したり、他の免疫細胞による攻撃を促進したりします。
自己の成分に対するB細胞も、胸腺や骨髄で選択的に排除されるか、免疫寛容の状態になります。
3. 免疫寛容:
免疫寛容とは、自己の成分に対して免疫反応が起こらない状態を指します。胸腺でのT細胞の選択や、B細胞の成熟過程での自己反応性細胞の排除、制御性T細胞による自己反応性T細胞の抑制などが、免疫寛容のメカニズムとして知られています。
自己免疫疾患は、この免疫寛容が破綻し、自己の成分を異物と認識して攻撃してしまうことで起こります。
まとめ:獲得免疫は、T細胞とB細胞の特異的な受容体による抗原認識と、免疫寛容という仕組みを組み合わせることで、病原体由来の抗原と自己の成分を区別し、自己免疫疾患を防いでいます。