理論

胸腺は自己と非自己を区別できるTリンパ球を教育する場所ではなくて、単純にTリンパ球の分化成熟の場所に過ぎない。

投稿日:2019年12月28日 更新日:

感染症が抗生物質とワクチンで征服されて、今ときめいている病気は膠原病と癌であります。膠原病は別名、自己免疫疾患と呼ばれていますが、以上に自己免疫疾患は存在しないと論証したのですが、現在の常識では膠原病は自己と非自己を見分ける免疫の機能の破綻の結果生じるとされています。この自己と非自己を見分けるTリンパ球の働きは胸腺で教育されると言うわけです。つまり、胸腺で自己の成分と強く結びつくものや、逆に結びつきの弱すぎるものは排除されて、自己の成分と適当にひっつくT細胞だけが生き残り、マッショへ出て行くというわけです。骨髄で作られたTリンパ球の97%が細胞自殺(アポトーシス)によって排除され、残りの3%だけが生き残るのです。もともとT細胞は骨髄で作られるときにMHC抗原分子を発現させられている上に、胸腺にある全ての細胞も既に自分の目印であるMHC抗原分子を保持しているわけですから、何も改めて自己と非自己を見分ける力を教育する必要はないのではないでしょうか。

 ましてやT細胞が自分の細胞と強く結びついたからといって何の問題があるのでしょうか。さらにまた、T細胞が自分の細胞と結びつくのが弱すぎるからといって他の生き物の違ったMHC抗原分子を認識する力とどのように関わりがあるのでしょうか。また、強く結びつきすぎたり弱すぎたり、あるいは適当に結びつくというのはどのようにして決めるのでしょうか。ただ言えることは、骨髄で作られた未熟なT細胞がそれぞれのT細胞の役割を明確にされるために、ただ単にCD4(+)T細胞や、CD8(+)T細胞やさらに、CD4(-)T細胞や、CD8(-)T細胞に分化させるためだけに胸腺があるのではないのでしょうか。もし、本当に自己を攻撃しないために絶対に胸腺が必要であれば、なぜ二十歳前後に最も大きな30gという臓器になり、年をとればとるほど退縮し、脂肪組織に置き換わるという臓器になってしまうのでしょうか。

 このように年をとれば胸腺の働きが減弱していけば、年をとればとるほどいわゆる自分を攻撃する自己免疫疾患といわれる膠原病が飛躍的に増えるはずなのに、老人に膠原病が少ない理由はなぜなのでしょうか。それどころか自己を見分ける胸腺の働きが一番強い若い人に自己免疫疾患が多いのはなぜでしょうか。このように胸腺についての通説は矛盾に満ち溢れています。さらにマウスの胸腺を取ったからといって免疫の働きが落ちると言うことは知られていますが、いわゆる自己免疫疾患が圧倒的に増えたと言う実験結果を私はまだ目にしていません。従って、胸腺は単純にT細胞の分化成熟の場に過ぎないと考えた方が妥当ではないでしょうか。大体学者は面白おかしく新しい発見を誇大に宣伝しすぎる傾向があるように思われます。何よりも事実が偉大であり、その事実を素直に受け入れることが一番大事なのではないでしょうか。つまり、屁理屈をいろいろ並べ、ありもしない自己免疫疾患という見た目は衝撃的な理論を学者は好むようです。

-理論
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

癌とは何か?すべての癌の原因は癌ウイルスであるherpesウイルスです。Part2更新2023.12.16

前回の続きをいきましょう!!!まだの方はここを読んでください!! 癌の話に戻りましょう。一個の癌細胞が生まれて平均的に10年後に一センチの一グラムの10億個になった癌が発見されて初めて癌の治療が始まり …

no image

細胞は分化と増殖を同時にできますか?更新2025.8.27

細胞は分化と増殖を同時にできますか? 細胞の増殖と分化は、互いに排他的な関係にあります。というのは増殖は同じ細胞を増やすことであり、分化は違った細胞に変えるからです。増殖とは同じ細胞が増えることです。 …

no image

STAP細胞について

 今日、1月30日の各種大新聞トップ記事から『理化学研究所(理研)の研究者である小保方晴子研究員がiPSよりも簡単に万能細胞を作り出した』というニュースが目に飛び込んできました。小保方研究員はマウスの …

no image

トリガーポイント注射とは何でしょうか?更新2022.4.8

トリガーポイント注射とは何でしょうか? 痛みの発生源に注射(ブロック)を行う治療法をトリガーポイント注射といいます。筋肉が硬結していることで血流が悪くなり酸素不足になり痛みや炎症の元となる発痛物質(ブ …

no image

糖尿病は膵臓のβ細胞に感染したヘルペスウイルスが遺伝子を変異させて生まれたヘルペス感染症であります。更新2025.5.27

一型糖尿病もⅡ型糖尿病の原因は一言で言うと高血糖をもたらすのはストレスがかかると視床下部は脳の下垂体からACTH (Adrenocorticotropic Hormone日本語では副腎皮質刺激ホルモン …