人間は糖質がなくても生きていけるのは何故でしょうか?癌は糖質が癌細胞に奪われてしまうので「癌死する」と言われていますが間違いなのです。その理由は何でしょうか?
炭水化物である糖質は五大栄養素の一つですが脂質と蛋白質とビタミンとミネラルは体にとっては必須栄養素でありますが実は糖質だけは必須ではないのです。エネルギー源として人体のエネルギー通貨であるATPを産生するのに効率的でかつ使いやすいので糖質が主食になっているのですが糖質がなくても人間は生きていけるしかつ健康を害するという証拠は何処にもないのです。逆に糖質の多い炭水化物を主食に取らないで野菜を中心に食べて生き続けている元気なベジタリアンがいます。
このように糖質は必須栄養素ではないどころか糖質を取り過ぎて病気が生まれる根拠を提示しましょう。しかも三大栄養素である炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質は、すべてエネルギーの素であるATP(アデノシン三リン酸)の材料として利用されているのです。
ATPとは、アデノシンというヌクレオシドに3つのリン酸が結合したもので、すべての細胞のエネルギーの貯蔵と利用に関わっています。ヌクレオシドとは(nucleoside)とは、塩基と糖が結合した化合物のひとつで、核酸の単量体ユニットです。遺伝情報の発現や保存に重要な役割を果たしています。
ヌクレオシドの成分は五炭糖であるリボースまたは2’デオキシリボースと窒素塩基であるプリン塩基またはピリミジン塩基です。ヌクレオシドにはアデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン、 デオキシチミジンがあります。デオキシチミジンは、DNAの構成要素であるヌクレオシドの一種で、5単糖のデオキシリボースと塩基のチミンが結合したものです。デオキシチミジンはチミジンと結合したヌクレオシドで、チミジンがピリミジン塩基であるのに対し、デオキシチミジンはヌクレオシドなのです。デオキシチミジンは、DNAの構成要素であるヌクレオシドの一種ですが、チミジンはピリミジン塩基の一種です。ヌクレオシドは、アデニン、グアニン、シトシン、チミンの塩基にデオキシリボースという5単糖が結合したものです。さらにヌクレオチドは、ヌクレオシドにリン酸が結合したものです。
糖とリン酸が結合したヌクレオチドが縦に並んで鎖のようになっており、この鎖が核酸(DNAやRNA)を構成しています。ヌクレオシドは、核酸の化学的分解や酵素的分解によって得られます。また、このヌクレオシドにリン酸が結合した化合物をヌクレオチド(nucleotide)といいます。
三大栄養素は、体内で消化酵素によって分解され、ブドウ糖、アミノ酸、グリセリン・脂肪酸などの物質になります。これらの物質は、ミトコンドリアでクエン酸回路や呼吸鎖を経て最後はATPに再合成されます。グリセリンとはグリセロールは別名で同じもので、学術的にはグリセロールと呼ばれるのが一般的です。グリセリン(グリセロール)は、無色透明で粘性のある液体で、甘味があります。3つの炭素原子に水酸基(-OH)が付いた3価アルコールの一種で、油脂の分子成分でもあります。
ATPは筋肉の収縮に必要であり、ATPが不足すると筋肉の収縮が弱まったり停止したりすることがあります。
それでは現代医学においてなぜ糖質制限が議論されるのでしょうか?肥満や糖尿病やがんの治療に糖質制限食の効果が認められてきたからです。最近、糖質制限に関する一般向けの書籍が多く出版されている理由は、糖質の多い食事が①肥満や②糖尿病や③メタボリック症候群や④認知症や⑤癌など多くの病気の発生率を高めているのです。そして、食事中の糖質を減らすことによってこれらの病気の発生率を減らせることが明らかになってきました。つまり現代人は「おいしい」糖質(炭水化物)を取り過ぎて新たなる成人病を作っているのです。
私は癌の原因はherpesウイルスが癌関連遺伝子(増殖関連遺伝子)を変異させるからであることをすでに証明しましたが癌の直接的な原因であるherpes以外のがんの発生や再発の予防において、食事の内容が極めて重要であることが知られ出しました。それは、今までの常識であった「肉や脂肪の多い食事ががんの発生や進行を促進する」という考え方から、「糖質の多い食事ががんの発生や進行を促進する」という意見を支持するエビデンス(証拠)が増えて出してきたからです。にもかかわらず「がん細胞がブドウ糖(グルコース)を多量に取り込む」という性質はWarburg(ワールブルグ)効果と呼ばれます。つまり酸素が十分に存在しても解糖系を利用してATPを産生する現象が大手を振って認められているのは間違っています。解糖系とはグルコースがピルビン酸または乳酸まで分解される反応を解糖系という。 解糖系は酸素を必要としない嫌気的反応である。「がん細胞がブドウ糖(グルコース)を多量に取り込む」という性質はWarburg(ワールブルグ)効果
といわれるのです。
ワーバーグ効果はがんと関係があるのは、酸化的リン酸化と比較してグルコースからATPを産出する能力が著しく低下するにも関わらず、がん細胞は好気的解糖をひたすら行っているのです。 この現象をワールブルグ効果(the Warburg effect)と呼びます。
好気的解糖と嫌気的解糖の違いは、何でしょうか?酸素の有無です。好気的解糖は酸素を必要とする解糖系で、その後ミトコンドリアで、アアセチルCoAを経てクエン酸回路へと進みます。1モルのグルコースから約30モルのATPが産生されます。
一方嫌気的解糖は酸素を必要としない解糖系で、ピルビン酸を経て酸素のいらない乳酸発酵やエタノール発酵の生成をもって終了します(発酵)。本来嫌気的解糖は細胞基質だけで解糖が行われATPが生み出される解糖が終わるのが嫌気的条件での解糖なのです。乳酸は、グルコースやアミノ酸の代謝の副産物として発生する物質で、有害な代謝産物ではありません。むしろ、エネルギーの生成や筋肉の疲労を防ぐなど、人の健康に役立つ働きがあります。乳酸とコリ回路とは、筋肉で生成された乳酸が肝臓でグルコースに変換され、再び筋肉に戻る生理的機構です。コリ回路の仕組みとは運動によって筋肉の細胞内の酸素が消費されると、嫌気的条件下でグルコースから乳酸が生成されます。筋肉で生成された乳酸は血液中に放出され、肝臓に運ばれます。肝臓では乳酸が糖新生によって再びグルコースに変換され、血液中に放出されます。筋肉に戻ることで、筋肉などの組織が持久力を維持することができます。コリ回路の意義は乳酸が過剰に筋肉に蓄積すると組織のpHが低下し、アシドーシスになり筋肉疲労を引き起こします。乳酸アシドーシスとは血液中の乳酸濃度が高くなると血液の緩衝力を超え、アシドーシスとなりpHが低下してしまうのでコリ回路は、これらの問題を回避するための生理的機構です。
乳酸とは一体何でしょうか?乳酸は、ミトコンドリアで酸化されてエネルギー源として再利用できるのです。すでにのべたように乳酸は、糖質を材料にエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)を生産する際にできる嫌気的解糖による代謝産物です。速筋線維で産生され、血液に乗って酸化能力が高い遅筋線維にたどり着き、ピルビン酸に変換されてエネルギーとして利用されます。
乳酸の働きには、①筋肉の収縮に必要なカリウムが漏れ出すのを防いで筋肉の疲労を防ぐ②新しい血管やミトコンドリアを作るとき、傷の修復、遺伝子発現調節において役立つ
③乳酸は、酸素の供給される活動や運動よりも無酸素性の激しい運動でより多くつくられます。④運動強度を次第に上げていくと、ある強度を境に血中乳酸の濃度が急激に増加します。⑤ミトコンドリアで酸化されてエネルギーになる⑥筋肉の収縮に必要なカリウムが漏れ出すのを防ぐ⑦肝臓でグリコーゲンという糖に再合成される⑦乳酸は、ヨーグルトやチーズ、漬物などの発酵食品や乳酸飲料、バイオプラスチックの原料など、さまざまな製品に使用されています。つまり本来嫌気的解糖は細胞基質だけで解糖が行われATPが生み出される解糖が終わるのが嫌気的条件での解糖なのです。
ワーバーグ効果は癌と関係があるのは、酸化的リン酸化と比較してグルコースからATPを産出する能力が著しく低下するにも関わらず、がん細胞は好気的解糖をひたすら行っている現象をワールブルグ効果(the Warburg effect)と呼ぶのです。癌細胞が解糖をひたすら行う現象をワールブルグ効果(the Warburg effect)といいます。ワールブルグ効果とは、ドイツの生理学者であるオットー・ワールブルグ博士が発見した現象です。ワールブルグ効果の特徴は①酸素が十分にある条件下でも、ミトコンドリアの活性を抑えて嫌気性解糖系にグルコース代謝をシフトさせる②嫌気環境のみならず好気環境でも、乳酸発酵が亢進する③正常細胞と異なり、酸素の有無に関わらずブドウ糖を乳酸に変換する代謝系である解糖系を主に利用する④ワールブルグ効果により癌細胞の生存・増殖を助長するから、がん進展説が生まれました。⑤ワールブルグ効果によるがん進展説は今もなお有力な作業仮説になったままなのです。ところがワールブルグ効果によるがん進展説は100%間違っているのです。
何故ワールブルグ効果によるがん進展説は100%間違っているのでしょうか?ワールブルグ効果によるがん進展説はすべてが間違っているのは癌細胞は「好気的解糖」も同時に「嫌気性解糖」もやらざるを得ないのは癌細胞が無限大のATPが必要なのです。というのはherpesがビリオンを作るたびに大量の原料と5大栄養素のみならず代謝のためにエネルギーであるATPも必然的に使われざるを得ないのです。しかも増えたビリオンは正常細胞や癌細胞の「増殖関連遺伝子」を変えることができるのでそのたびに「増殖過剰細胞」の分裂・増殖の勢いが激しくなり癌が進行することになるのです。酸素やATPの需要量を増やすのは癌細胞であるのではなくherpesウイルスなのです。ワールブルグ効果によるがん進展説が100%間違っているのは「ワールブルグ効果によりがん細胞の生存・増殖が助長され癌が進展する」という結論です。
グルコースの代謝経路である解糖とは何かについて復習しておきましょう。解糖には1~10までの10個の反応があります。グルコースがまず最初ヘキソキナーゼ(グルコキナーゼ)でATPが消費されリン酸基が付加されて活性化されグルコース6-リン酸ができることから始まります。この「グルコース―6-リン酸」はペントースリン酸経路やグリコーゲン合成という別経路への分岐点でもあります。「糖」が2分されH2Oが出るところを除けば物質の出入りはない。さらに分断された2個の断片はグリセルアルデヒド3リン酸
(GAP)に一本化される。このグリセルアルデヒド3リン酸(GAP)は植物の光合成で中心的な位置を占める三単糖です。ここまでの5反応はグリセルアルデヒド3リン酸
(GAP)を作るための準備反応でありそのためにATP2個のエネルギーが消費されます。残りの5反応を使ってグリセルアルデヒド3リン酸(GAP)をピルビン酸に少しずつ変化させてエネルギーを得ます。その中身はNADH2個とATP4個です。グルコース1個からグリセルアルデヒド3リン酸(GAP)ができるので収量は2倍にされています。残りの5反応は前半の5反応の準備の見返りとして報酬を得る段階であり準備でATP2個が使われているので正味の報酬はATP2個とNADH2個である。NADHとはNADHは高エネルギー分子であり、NADH は解糖により細胞質で発生する高エネルギー電子であり、 ミトコンドリア内の電子伝達系-ATP 産生に必要不可決な分子である。 NADH はミトコ ンドリア内膜を直接通過出来ないためリンゴ酸-アスパラギン酸シャトルやグリセロリン酸シャトルを介してミトコンドリア内に H+が輸送される。最後に残ったピルビン酸はどうなるのでしょうか?酸素があればピルビン酸はクエン酸回路に進むが酸素がなければ「嫌気性発酵」をとります。発酵には乳酸発酵とアルコール発酵の2タイプがありピルビン酸はそれぞれ乳酸、エタノールに変化します。酸素がなければ還元されたNADH は使用済みの燃料に過ぎずNAD+に戻して酸化剤として再利用する必要があります。このためにNADHをNAD+にするのが発酵なのです。こうしてピルビン酸がクエン酸回路に入る前に糖代謝の解糖系は終了します。
さてピルビン酸がクエン酸回路に入るための目的は何でしょうか?
ピルビン酸がクエン酸回路に入ってアセチルCoAに変換するためには「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ」という3つの多酵素の複合体(E1,E2,E3)という関門を通過しなければならないのです。「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ」とは何でしょうか?ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)は、ピルビン酸をアセチルCoAに変換する酵素です。解糖系とクエン酸回路をつなぐ重要な役割を果たしているのがピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)であり、デヒドロゲナーゼですから水素を奪い取るので酸化的代謝分解に寄与している酵素です。
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)の役割は①ピルビン酸のカルボキシル基を酸化し、②アセチルCoA、NADH、CO2 の3つを生成します。③TCA回路にアセチルCoAを供給する④解糖系とクエン酸回路をつなぐ酸化的脱炭酸反応を実行する。
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)の構造はピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)というマルチ酵素複合体の一部として存在する。PDCはPDHとも書きます。
チアミンピロリン酸を補酵素として、CO2を放出します。リポアミドが補酵素としてアセチルCoAを生成します。FADとNAD+が補酵素で水素の受容体とする。
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDHC)が欠損すると、アセチルCoA不足によりTCAサイクルが回らなくなり、エネルギー不足や乳酸アシドーシスが生じます。
解糖は、糖質を分解してエネルギーであるアデノシン三リン酸(ATP)を得る過程です。生体内で利用しやすいエネルギーであるATPを産生するために非常に重要な経路です。
さらに糖質の多い食事は、がんだけでなく肥満や糖尿病やメタボリック症候群や認知症など様々な成成人病と言われる疾患を増やしているのは、糖質を摂取するとインスリンが分泌されますが、このインスリンは脂肪の合成を増やし、肥満を起こしやすくします。インスリンの出ない食事、すなわち糖質制限食の方が体重の減量においてカロリー制限食よりも体重の減量において効果が高いのです。
糖尿病の治療においても糖質制限食の効果が認められていることは言うまでもありませんが、米国糖尿病学会の2011年のガイドラインでは、カロリー制限食と糖質制限食がともに糖尿病食事療法の選択肢として推奨されているのは当然のことなのです。
特に糖類の摂取が健康に悪いのは、最近、世界保健機関(WHO)は糖類摂取量を総エネルギー量の5%以下にすることを目標にすべきだと発表したのは、肥満や糖尿病やがんや虫歯など様々な疾患が近年増えているのは、糖類摂取量の増加が原因であることが明らかになったからです。
「糖類」というのは、グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)などの単糖類と、蔗糖(グルコースとフルクトースが結合)などの二糖類やオリゴ糖や多糖が含まれます。これらは食品に添加されているだけでなく蜂蜜や果物にも多く含まれています。コーラやサイダーのような清涼飲料水には1缶(350ml)に30グラム以上の糖類が入っています。リンゴ1個(可食部約300グラム)には約40g、バナナ1本(可食部約100グラム)には約15グラムの糖類が含まれています。ソースやトマトケチャップの大さじ1杯(約15グラム)には約4gの糖類が入っています。
成人の1日の平均的な摂取エネルギーを2000キロカロリーとすると、その5%というのは100キロカロリーになります。糖類1グラムは4キロカロリーですので、糖類25g で100キロカロリーになります。
糖類の摂取量を成人で1日25グラム以下に制限するということは、リンゴ1個やバナナ2本でこの基準量を超えてしまいます。糖入りの普通の清涼飲料水は1缶飲めばオーバーです。
糖は別名は炭水化物であり英語ではsugarとかsaccharideといいます。人体に最も多い生体分子です。糖の基本単位は単糖でありそれ以上加水分解できない糖の基本単位です。単糖以外に自然界には糖の種類には大きく分けて全部で5種類あります。①単糖②二糖③オリゴ糖④多糖⑤糖の誘導体の5つです。④多糖と⑤糖の誘導体の区別が覚えにくいです。
④の多糖と⑤の糖の誘導体の違いは何でしょうか?多糖とは、単糖がグリコシド結合によって多数結合したものを指します。多糖は単糖が重合した高分子化合物です。グリコシド結合とはグリコシド結合とは、糖(炭水化物)分子と他の有機化合物とが脱水縮合して形成する共有結合です。配糖体結合とも呼ばれます。糖の誘導体とは単糖の誘導体(derivative)です。糖の誘導体とは、単糖が変化した化合物を指します。単糖の誘導体には、①アミノ糖、②ウロン酸、③糖アルコール、④糖リン酸、⑤デオキシ糖、⑥アスコルビン酸(ビタミンC)⑦アルドン酸の7つがあります。
アミノ糖とは、糖のヒドロキシ基(-OH)がアミノ基に置換された単糖です。語尾が~アミンになる。
アミノ糖の例としては、次のようなものがあります。①グルコサミン。単糖のグルコースにアミノ基が付いたアミノ糖で、動物の皮膚や軟骨、甲殻類の殻、キノコ類などに含まれています
②ガラクトサミン。単糖のガラクトースにアミノ基が付いたアミノ糖です③N-アセチルグルコサミン。アミノ基がアセチル化されたアミノ糖で、グリコサミノグリカンの主成分です。④アミノ糖は、生物の多糖、ムコ多糖、糖タンパク質、糖脂質などの構成成分として存在しています。⑤アミノ糖のなかには抗細菌活性を有するものもあります。⑥アミノ糖を含む多糖には、ムコ多糖があります。ムコ多糖は、タンパク質に結合した状態で存在していることから、プロテオグリカンとも呼ばれています。(アミノ糖とはグルコサミン、N-アセチルグルコサミン、シアル酸など)
米や小麦などの穀物にはデンプンとして糖質(炭水化物)が含まれています。糖類(単糖類と二糖類)にデンプンなど体内で分解されてカロリーになる多糖類(単糖が多数結合したもの)を加えたものを糖質と言います。炭水化物とは糖質と食物繊維(消化管で分解されないのでエネルギー源にならない)を加えたものです。一方、糖の誘導体には、単糖が重合したオリゴ糖や多糖も含ませる人もいますが確かに多糖も大きくみれば糖から生まれた誘導体といえますからね。糖リン酸、デオキシ糖、アミノ糖、糖アルコール、ウロン酸、アルドン酸、配糖体、アスコルビン酸などがあります。糖リン酸とは、糖にリン酸基が結合した代謝物群の総称です。糖リン酸は、生物の細胞膜の構成成分や、生物体内でのエネルギーのやりとり(呼吸作用)に役立ちます。糖リン酸の代表的な例として、グルコース-6-リン酸(G6P)があります。G6Pは、グルコース1-リン酸からグリコーゲン分解中にも生成され、解糖およびペントースリン酸シャントの両方に利用されます。また、グリコーゲンまたはデンプンに変換され、肝細胞および筋細胞に貯蔵されます。デオキシ糖とは糖分子中の水酸基(OH)が水素原子(H)に置換された糖です。生体内の多糖類や核酸の構成成分として広く分布しています。デオキシ糖の例としては、D-デオキシリボース、D-ジギタロース、L-フコース、2-デオキシ-D-リボース、2-デオキシヘキソース、ジギトキソースなどがあります。デオキシ糖は、酸素基を取ったことを意味する接頭辞「deoxy-」を用いて命名されます。
アミノ糖とは糖のヒドロキシ基の一部がアミノ基に置換された単糖です。アミノ糖は天然には、動物や植物、微生物の多糖、ムコ多糖、糖タンパク質、糖脂質などの構成成分として存在します。アミノ糖の例としては、グルコサミンやガラクトサミンなどがあります。グルコサミンは、グルコースにアミノ基 (-NH2) が付いたアミノ糖で、動物の皮膚や軟骨、甲殻類の殻、キノコ類などに含まれています。更にアミノ糖の誘導体には、N-アセチルグルコサミンやシアル酸などがあります。N-アセチルグルコサミンはグリコサミノグリカンの主成分で、アミノ糖のなかには抗細菌活性を有するものもあります。シアル酸(sialic acid)とは、炭素9個からなる糖質の一種で、ノイラミン酸とも呼ばれます。糖鎖の末端(非還元末端)に存在し、細胞と細胞の相互作用などに関与しています。ノイラミン酸とは(neuraminic acid)は、9炭素の単糖で、ピルビン酸とD-マンノサミンがアルドール縮合した構造を持つ物質です。ノイラミン酸のアミノ基やヒドロキシ基が置換された物質を総称してシアル酸(sialic acid)といいます。シアル酸(ノイラミン酸)は、糖タンパク質や糖脂質、ムコ多糖、人乳のオリゴ糖などの構成成分として動物界に広く分布しています。
シアル酸の代表的な化合物として、N-アセチルノイラミン酸(N-Acetylneuraminic acid、Neu5Ac、NeuAc、NANA)があります。N-アセチルノイラミン酸は、脳のガングリオシドの分解で得られるアミノ糖です。
脳のガングリオシドとは、脳や神経組織に多く存在する酸性スフィンゴ糖脂質で、細胞膜に存在して細胞の増殖や分化、シグナル伝達などに重要な役割を果たしていますガングリオンは「神経節」の意味です。従ってガングリオシドは「脳の神経節に存在する酸性スフィンゴ糖脂質」のことです。
ガングリオシドとは、シアル酸残基を含むスフィンゴ糖脂質で、ガングリオシドはセラミドにグルコースやガラクトースなどの糖が結合した複合糖質です。セラミドは皮膚で創られるセラミドの出発点はアミノ酸(セリン〉と脂肪酸(パルミチン酸)です。 有棘細胞上層部で小胞体内の酵素作用により、アミノ酸が脂肪酸を取り込み、セラミドの基本構造である「スフィンゴシン」が創られます。 この反応を「アシル化」といいます。ガングリオシドの役割は、細胞増殖、分化、接着、シグナル伝達、細胞間相互作用、腫瘍形成および転移、ニューロンの発達および成熟、神経保護的機能があります。
ガングリオシドの蓄積症として、GM1ガングリオシドーシスやライソゾーム病などがあります。シアル酸は、細胞の認識や免疫調整、脳や神経系の発達促進など、さまざまな生命現象と密接に関連しています。シアル酸の主な特徴は脳や神経、乳児の脳の発育促進、免疫調整などに欠かせない機能性糖質です。免疫力を高め、ウイルスや細菌から体を守ります。赤血球の安定化や血液成分の凝集を防ぎます。シミやシワ、たるみなど体内の酸化を防ぐ効果があります。シアル酸には育毛を促進する効果があります。シアル酸は、ツバメの巣や母乳、卵、唾液、ローヤルゼリーなどに含まれています。食事やサプリメントで摂取することもできます。また、アミノ糖を含む配糖体抗生物質としてアミノグリコシド系抗生物質があります。カナマイシン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシンなどがこの抗生物質に分類されます。
アスコルビン酸とは、ビタミンCの化学名で、水溶性ビタミンの一種で、アスコルビン酸は体内で合成できないため、食事やサプリメントなどで摂取する必要があります。コラーゲンの生成に不可欠な成分で、皮膚や骨の健康を維持するのに役立ちます。また、抗酸化作用があり、動脈硬化や心筋梗塞などの疾患の予防効果が期待されています。アスコルビン酸の働きには①コラーゲンの生成を促進し、②皮膚や骨を健康に保つ③抗酸化作用で細胞の老化を防ぐ④免疫力を高める⑤ストレスや疲労をやわらげる⑥腸管での鉄や銅の吸収を助ける⑦肌のシミの原因となるメラニン色素の生成を抑える⑧毛細管出血の改善⑨骨折時の骨基質形成・骨癒合促進⑩肝斑・雀卵斑・炎症後の色素沈着の改善⑪光線過敏性皮膚炎の改善⑫食品の酸化防止剤や栄養強化剤。このようにアスコルビン酸(ビタミンC)の効用は極めて高いのでノーベル受賞者であるライナス・ポーリング「癌もアスコルビン酸(ビタミンC)」で治るといったくらいです。勿論間違いでしたが。
再度、糖の誘導体と多糖との違いは何でしょうか?糖の誘導体は単糖の誘導体で、多糖は単糖が重合した高分子化合物です。しかし多糖も糖の誘導体に含めることがあります。
米国では肉と脂肪を減らして肥満が増えたという報告があります。何故でしょうか?
肥満の原因としては、以前は肉や動物性脂肪の摂り過ぎが指摘されていました。しかし最近では糖質の過剰摂取が問題となっているからです。米国では1970年代から肉と脂肪を減らす食事が指導され、実際に食事中の脂肪とタンパク質のカロリー比率は減少したのに肥満は2倍以上に増えています。
タンパク質と脂肪の摂取を減らすと糖質(穀物やイモ類に含まれるデンプンや砂糖など)の摂取量が増えます。糖質が消化管で分解されて吸収されるグルコース(ブドウ糖)はインスリンの分泌を刺激し、インスリンは脂肪の合成と蓄積を促進するので体脂肪が増えて肥満になります。インスリンは肥満を引き起こすホルモンなのです。
体脂肪が増えるとインスリンの効き目が弱くなる(インスリン抵抗性という)ので、さらに血中のインスリン濃度が高くなるという悪循環を形成します。高インスリン血症ががんや動脈硬化やメタボリック症候群の発症リスクを高めることは多くの研究で確かめられています。
フルクトース(果糖)は血糖やインスリン分泌を高めないのですが、肝臓で中性脂肪の合成に使用され、肥満や脂肪肝や高脂血症を引き起こしやすい糖です。トウモロコシなどのデンプンを酵素処理して生産される高フルクトース・コーンシロップは、グルコースとフルクトースの混合液でフルクトースが50%以上含まれています。フルクトースはグルコースによるインスリン分泌刺激を増強することが知られています。
米国をはじめ世界中で肥満と2型糖尿病(インスリンの分泌低下や感受性低下を原因とする糖尿病)が増えている原因として、清涼飲料水などからの高フルクトース・コーンシロップや砂糖などの糖類の摂取量の増加が指摘されています。高フルクトース・コーンシロップ(異性化液糖や果糖ぶどう糖液糖とも呼ばれる)は日本でも多くの食品に添加され、消費量が増えています。
米国疾病対策センターからの報告では、過去10年間のアメリカにおける医療費の大幅な増大は、肥満に相当な原因があることを明らかにしています。精製した糖質や砂糖たっぷりの食事を減らせば、肥満を減らせて健康状態を高め多くの病気を予防できるだけでなく、その結果として国の医療費を大きく減らすことができるのです。
糖質摂取量の増加で多くの病気の発生率が増えている理由と、逆に糖質摂取量を減らすと健康になる理由は何でしょうか? 人類は肉食で進化したからです。人間の脳は肉食によって大きくなったのです。
人類はオランウータンやゴリラやチンパンジーと共通の祖先から進化しました。動物進化の系統樹において、約1300万年前にオランウータン、約650万年前にゴリラ、約490万年前にチンパンジーが人類から分岐しました。人類の特徴は他の動物と比べて知能が高いことですが、知能の発達には脳が大きくなることが必須です。チンパンジーの脳容積は400cc程度で、現代人の成人男性の脳容積の平均は約1350ccです。チンパンジーと同程度の脳容積しかなかった初期人類から、高度の知能をもった現生人類に進化する過程で脳容積は3倍以上に増えました。チンパンジーの脳容積は500万年前と同じで、人類の脳容積が3倍も増えた理由は、人類が動物性食糧を多く摂取するようになったからです。
脳組織の50%から60%は脂質から構成されていますが、このうち約3分の1はアラキドン酸やドコサヘキサエン酸のような多価不飽和脂肪酸です。アラキドン酸は必須脂肪酸で人間は体内で合成できません。ドコサヘキサン酸は同じω3系不飽和脂肪酸のα-リノレン酸から体内で変換されますがその効率は極めて悪いので、最近ではドコサヘキサエン酸も必須脂肪酸に分類されています。つまり、脳の成長に必要なアラキドン酸とドコサヘキサエン酸は食事から摂取しなければなりませんが、この2つの脂肪酸は植物性食物には少ししか含まれていません。アラキドン酸は肉、ドコサヘキサエン酸は魚の脂に多く含まれています。
オランウータンやゴリラやチンパンジーは今でも熱帯の密林に生息し、いずれも植物性食物の多い食事をしています。基本的には雑食で、昆虫や鳥類の卵や小型哺乳類など動物性食物も食べますが、主体は果実や植物の葉や芽や根など糖質の多い食事です。氷河期の氷期の間も、アフリカやアジアの暖かい地域にわずかに残っていた森林で生き延びたと思われます。しかし、森に残ったために人類のような進化をとげられなかったのです。
人類も森林に住んでいたころは植物性の食糧、つまり糖質の多い食事でした。人類が肉食になったのは、約250万年前から氷河期が始まったからです。人類は250万年前の氷河期に肉食になったのです。
オランウータンやゴリラやチンパンジーのような類人猿から初期人類(猿人)にいたる1000万年以上の年月において、私たちの祖先はアフリカの森林に生息し、主に植物性の食物を食べていました。
約440万年前に現在のエチオピアの地域のジャングル(密林)に生息していた初期人類のラミドゥス猿人の食事は、木の葉や果実やベリー類など軟らかい植物性食物が主体でした。歯の構造から硬い植物を食べるようには適応していなかったようです。
約400万年〜200万年前に生存したアウストラロピテクスは二足歩行を行うようになり、密林からより開けた草原で住むようになります。アフリカ東部や南部のサバンナ(乾期と雨期のある熱帯に分布する疎林と灌木を交えた熱帯長草草原地帯)の環境に適応し、歯が発達して硬い殻をもつ大きな種子や地下の根なども食べるようになります。植物性食物を中心にして、さらに小動物の狩猟や、動物の死肉や肉食獣の食べ残しから動物質性食糧を得るようになりました。このような食生活が250万年くらい前から起こった気候の変化で変わっていきます。
人類が狩猟を開始する直接のきっかけは250万年前くらいから起こってきた気候や環境の変化です。このころから氷河期に移行し、地球上の気温が低下していき、アフリカのジャングルは縮小し、草原やサバンナに変化していったからです。
氷期の間は地球全体が乾燥し、降雨量が少なくなると大きな樹木は育たなくなり、草原が増えてきます。そこに草食動物が増え、草食動物を獲物とする大型の肉食動物が棲息するようになります。人類はそのような獣を狩猟によって食糧にしてきました。動物以外にも、漁によって魚介類も多く摂取しています。間氷期になって気候が暖かくなって樹木が成長すると木の実や果物なども増えますが、基本的には肉や魚など動物性の食糧が半分以上を占めていたようです。
氷河期というのは地球の気候が長期にわたって寒冷化する期間で、北アメリカやヨーロッパ大陸に氷床が拡大し、アジアやアフリカも気温が低下して涼しくなり、熱帯性の密林は縮小していきます。氷河期は数万年続いて再び温かい気候に戻ります。氷期と氷期の間を間氷期と呼びます。
約250万年以降、4万年から10万年の周期で氷期と間氷期を繰り返しています。最後の氷期が終わったのが約1万年前で現在は間氷期にあたります。ホモ属(Homo)が現れたのは今から250万年〜200万年前です。ホモ属は現代の人類(ホモ・サピエンス)と同じ属です。この頃から人類は石器を道具として利用し、狩猟や肉食獣の食べ残しから得た動物性の食糧が増えてきます。さらに、160万年前くらいから人類は火を使うようになり、食物を火で加熱することによって栄養の吸収が良くなります。150万年前に住んでいたホモ・エレクトスは積極的に狩猟を行っていました。 このように初期人類の食事は植物性食糧由来の糖質が多いものでしたが、250万年くらい前から動物性食糧が増えるようになり、少なくとも150万年前くらいから農耕が始まる1万年前くらいまでは、低糖質・高蛋白食であったことになります。このような食事が人類を進化させました。
約1万年前に最後の氷河期が終わって地球が温暖化して農耕と牧畜が始まります。農耕によって穀物の摂取が増えました。糖質の摂取量は現代人では1日250から400グラム程度ですが、狩猟採集時代の糖質摂取量は1日10から125グラムと推定されています。
農耕が始まってから、成人の平均身長は減少しているという報告があります。また、骨粗しょう症や虫歯も増えています。そして、農耕が始まって人類の歴史の中ではじめて脳の重量が減少していることが報告されています。現代人の脳容積は、2万数千年前までヨーロッパに存在したネアンデルタール人の脳容積より10%程度小さいことが明らかになっています。その理由としてタンパク質や不飽和脂肪酸の摂取量の減少が指摘されています。農耕によって穀物が豊富になり、糖質が増えた分、肉や脂肪の摂取量が減ったからです。
人類は糖質で太る体質を持っているのは何故か?インスリンのターゲット組織は骨格筋と脂肪組織と肝臓なのです。糖質摂取が肥満を引き起こすメカニズムを理解するためには「インスリンの働き」と「インスリン抵抗性」について知る必要があります。人類が氷河期に狩猟採集で食糧を得ていたときにインスリン抵抗性という体質が進化した理由を理解すれば、人類が近年の糖質摂取の増加に適応できていない理由が納得できるからです。
食後に血糖が上昇すると膵臓のランゲルハンス島のβ 細胞からインスリンが分泌されます。インスリンは様々な作用を持っていますが、最も重要な作用は血糖を下げることです。この血糖降下作用においてインスリンの標的になる組織が骨格筋と脂肪組織と肝臓です。 グルコース(ブドウ糖)は細胞膜にあるグルコース・トランスポーター(グルコース輸送担体)を使って細胞膜を通過します。グルコース・トランスポーターには幾つかの種類があり、組織の違いなどによって種類の異なるトランスポーターが使われます。脂肪細胞と筋肉細胞(骨格筋と心筋)ではインスリン感受性のグルコース・トランスポーター4 (GLUT4)が使われます。GLUT4は細胞内に貯蔵されていて、インスリンが細胞に作用するとGLUT4が細胞膜上へと浮上してグルコースを取り込みます。つまり、インスリン依存性のグルコース・トランスポーターで、血糖が高くなると膵臓からインスリンが分泌され、骨格筋と脂肪組織のGLUT4が細胞膜に輸送されてグルコースの取込みが増えるという仕組みです。
糖新生とは、空腹時や運動などで血糖値が低下したときに、筋肉や脂肪などの糖質以外の物質からグルコース(ブドウ糖)を合成する代謝経路です。
糖新生は、肝臓と腎臓で行われます。糖新生は、主に肝臓で行われますが、一部は腎臓でも行われます。糖新生とは、糖質以外の物質からグルコース(糖)を合成する代謝経路です。空腹や絶食などのエネルギー源である糖が不足したときに、血糖値を一定に保つ役割を担っています。糖新生が行われる臓器は、肝臓と腎臓の2つで、その理由としては、グルコース-6-ホスファターゼという糖新生に必須の酵素が両臓器に存在するためです。
糖新生では、乳酸やピルビン酸、アミノ酸、プロピオン酸などの物質を解糖を逆行してグルコースに変換します。グルコースは脳や筋肉、内臓などのエネルギー源として利用されます。プロピオン酸とは(propionic acid)は、カルボン酸の一種で、発酵食品の保存料や、皮膚疾患の治療薬などに使用されています。化学式はC2H5COOH、分子量は74.08です。引火性液体で、皮膚や眼に付着すると重篤な薬傷を引き起こす可能性があります。
プロピオン酸(propionic acid)の用途はみそ、しょう油、パン生地、ぶどう酒、チーズなどの発酵食品の保存料として使用されます。
糖新生の仕組みは筋肉や脂肪を分解してアミノ酸やグリセロールを取り出す。肝臓でアミノ酸やグリセロールからグルコースを合成する。肝臓からグルコースを血液中に放出する。糖新生は、解糖系の逆の反応で、解糖系と糖新生は完全な可逆反応ではありません。
糖新生と糖尿病の関係は糖尿病では、インスリンの分泌不足や作用不足により、肝臓の糖新生が抑えられなくなることがあります。
肝臓ではアミノ酸や脂肪酸が分解してできるグリセオールや乳酸などからグルコースを合成できます。インスリンはこの糖新生を抑制する作用があります。つまりインスリンは骨格筋と脂肪組織での細胞がグルコースの取込みを増やし、肝臓での細胞での糖新生を抑制することによって血糖を下げる作用を示すのです。したがって、筋肉細胞と脂肪細胞でのインスリンの働きが低下するとグルコースの取込みが減少し、肝臓でのインスリンの働きが弱まるとグルコースの合成(糖新生)が増え、その結果、血糖が高く維持されます。
低糖質食ではインスリンの働きを弱めるように進化していく理由は何でしょうか?
脳はエネルギー消費量が多く、安静時で全身が消費するエネルギーの20%以上が脳で消費されます。脳組織でのグルコースの取込みはインスリンの作用が不要なGLUT3で行われます。従ってストレスの多い脳ではインスリンの作用が不要なGLUT3で行われるので糖質摂取が少ない状況でインスリンが作用して血糖が骨格筋と脂肪細胞に多く取込まれると脳へ行くグルコースの量が減ります。脳へのグルコースを確保するため、骨格筋と脂肪細胞でのグルコースの取込みを制限するインスリン抵抗性の高い方が、糖質摂取が少ない状況では生存に有利になります。インスリン抵抗性とはインスリンの効き目を弱くする状態です。肝臓でのインスリン抵抗性は糖新生を増やしてグルコースの供給を高めることになります。糖尿病にもなりやすくなります。
また、胎児は大きく生まれてくる方が出生後の生存に有利です。したがって、妊娠時はより多くのグルコースを胎児に送るためにも、骨格筋や脂肪組織でのグルコースの取込み低下は生存に有利になります。インスリンは食事から吸収されたグルコースを細胞に取り込ませることによって血中から早く消失させる作用がありますが、食事からの糖質摂取量が少ない状況では、血中からグルコースが早く無くなると脳の働きや胎児の発育に支障をきたすのです。インスリンによって少ない血糖を脳や胎児に多く確保するために、インスリンの標的組織である筋肉や脂肪組織や肝臓でのインスリンの働きを弱める体質、すなわちインスリン抵抗性の体質を持つ方が生存に有利になるというわけです。
すでに述べたようにホモ属(Homo)が現れたのは今から250万年〜200万年前です。ヒト属あるいはホモ属 (Homo ラテン語で「人間」の意) は、哺乳類霊長目(サル目)ヒト科の属のひとつ。哺乳類霊長目(サル目)ヒト科の属には、ヒト属(Homo)、チンパンジー属(Pan)、ゴリラ属、オランウータン属などがあります。哺乳類霊長目(サル目)ヒト科の属には、ヒト属(Homo)、チンパンジー属(Pan)、ゴリラ属、オランウータン属などがあります。「属」の上の大きな分類を「科」といいます。
ヒト科は、ヒトと類人猿、猿人の仲間などを含む分類群です 。類人猿と猿人は、ヒト上科という分類群に属しています。類人猿(ひとにざる)は霊長目のヒト上科に属するサルの通称。 ヒトに最も近縁で、腕が長く、尾をもたない。 現生種ではゴリラ・チンパンジー・ボノボ・オランウータンおよびテナガザル類がこれにあたる。 人似猿(ひとにざる)とも言います。猿人(最初の人間)は、700万年前にアフリカ大陸に出現し、約130万年前まで生息していただろうと考えられる初期の人類である。ヒト上科にはヒトと類人猿が含まれ、ヒト科には大型類人猿(オランウータン、ゴリラ、チンパンジーなど)とヒトが含まれます。類人猿の例としては、次のようなものがあります。オランウータン、チンパンジー、テイチゴリラ(ローランドゴリラ)、 フクロテナガザル。
人類とは何か?人間の同類の総称。 生物学的には哺乳(ほにゅう)類の霊長目のヒト科に属する動物の総称。 その中で特に現生のヒト(学名ホモ‐サピエンス)をさします。
最初に生まれた人間は誰ですか?人類(人間)が誕生したのは、およそ500万年前のアフリカである。 その後、人類は、①猿人(約500万年前に出現したアウストラロピテクス)②原人(約180万年前に出現したホモ=エレクトゥス)③旧人(約20万年前に出現したネアンデルタール人)④新人(約4万年前に出現したクロマニョン人など)の順に進化してきた。
クロマニョン人とミトコンドリア・イブとの関係は何か?クロマニョン人は後期旧石器時代にヨーロッパに暮らしていたホモ・サピエンスで、ミトコンドリア・イブは現在の人類の母系祖先とされる女性です。ミトコンドリア・イブとはミトコンドリア・イブは、現在の人類(人間)の母系祖先を遡っていったときに最初にたどりつく、共通する一人の女性祖先です。ミトコンドリア・イブのミトコンドリアに由来して、現在の地球上に住んでいるすべてのヒトのミトコンドリアが形成されています。ミトコンドリア・イブはアフリカに約16万年前に生息していたと考えられています。ミトコンドリア・イブはアフリカに生息していた女性ですが、現在のヒトはミトコンドリア・イブの遺伝子を受け継いでいるものの、ミトコンドリア・イブから人類が誕生したわけではありません
猿人(人類)の進化の段階は、猿人、原人、旧人、新人の4つに区分されます。他のヒト科の分類群には人間(ホモ・サピエンス)のほかに、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンが含まれます。他のヒト科と比べて、人間(ホモ・サピエンス)は巨大な大脳が特徴である。ホモ属は現代の人類(ホモ・サピエンス)と同じ属です。250万年くらい前から動物性食糧が増えるようになり、この頃から人類は石器を道具として利用し、狩猟や肉食獣の食べ残しから得た動物性の食糧が増えてきます。さらに、160万年前くらいから人類は火を使うようになり、食物を火で加熱することによって栄養の吸収が良くなります。150万年前に住んでいた原人であるホモ・エレクトスは積極的に狩猟を行っていました。 このように初期人類の食事は植物性食糧由来の糖質が多いものでしたが、250万年くらい前から動物性食糧が増えるようになり、少なくとも150万年前くらいから農耕が始まる1万年前くらいまでは、狩猟・採集の時代でしたので低糖質・高蛋白食であったことになります。このような食事が人類を進化させました。
このように、動物性食糧が増えるようになった約250万年前から人類の食事から糖質が減少し、この低糖質食に適応するため人類はインスリン抵抗性を高めるように進化したと考えられています。
本来人類は太りやすい体質をもっていると考えられるのは何故か?
氷河期に糖質を多く含む植物性食物の入手が困難になったために糖分摂取が激減したために人類はインスリン抵抗性を獲得したという仮説は「肉食関連仮説(Carnivor Connection Hypothesis)」と呼ばれます。
氷河期(氷河時代ice age)とは何でしょうか?氷河時代は、地球の気候が寒冷化し、地表と大気の温度が長期にわたって低下する期間で、極地の大陸氷床や高山域の氷河群が存在し、または拡大する時代です。氷河学では北半球と南半球の両方において広大な氷床が存在することを示されます。氷床(ひょうしょう)とは、大陸を広く覆う厚い氷の集合体で、大陸氷河とも呼ばれます。地球上では南極大陸とグリーンランドに存在しています。
氷床(ひょうしょう)の特徴は氷河が巨大なかたまりになり、大陸規模に厚く広がったものです。表面はドーム状をなしています。内陸高所から海岸へゆっくり移動し、末端で氷山ができます。氷床の表面は太陽からの光に対して高い反射率を持っています。氷床(ひょうしょう)の地球環境への影響は氷床が小さくなると、融け水が海に流れ込んで海水面が上昇します。現代の地球温暖化の問題の1つです。氷床の融解は、海水の塩分濃度や温度を変化させて、極域や地球規模の海洋循環に影響を与えます。更に氷床の融解は、地球の温暖化を加速させる可能性があり悪循環を繰り返すことになり現代の人間にとっても地球の温暖化は緊急を要する難問となっています。
氷床の質量収支を観測することで、将来の地球規模気候変動や海水準変動の予測に役立ちます。氷床の表面の質量収支を長期的に観測することで、気候変動との関連がより明確になります。
氷床と氷帽と氷塊と氷河の違いは何か?
氷床(ひょうしょう、ice sheet)は、火星や地球などの惑星の地表面がある天体の、地表部を覆う総面積5万平方キロメートル以上の氷塊(地球の場合は氷河)の集合体である。氷床は氷棚や氷河より大きな規模のものを指す。対して、5万平方キロメートル以下の氷塊は氷帽と呼ばれ、周囲の氷河に自然にしみこむように氷河を形成しているのです。
なお、太陽系内の地球型惑星で氷床が存在するのは地球と火星のみである。太陽系外の地球型惑星ではまだ確認されていないが、存在しないということは考えられない。
南極氷床は南極大陸中央部を覆う。グリーンランド氷床は白い部分の全てがグリーンランド氷床である。氷床とは、降り積もった雪が徐々に固められ、圧密されていくものが、さらなる降雪によって層を重ねて成長し、形成されてゆく氷塊の一種である。そのため、深部では形成当時の大気や様々な環境成分が内部に閉じ込められており、これを採取した氷床コアは過去の記録として学術的価値の高い研究対象となっている。
地球の氷床については現世の地球における大陸配置は、長い地質時代の中にあって寒冷化しやすい状況にあり、したがって、氷床もまた形成されやすい環境になっている。まず第一に、パンゲア大陸のような超大陸の形成時代とは違い、陸塊が分断されている現世にあっては暖流が極域まで到達しやすい大陸配置(地球全体が温まりやすい大陸配置)にはなっていないのです。パンゲア大陸とは、2億年~3億年前のペルム紀から三畳紀にかけて存在した超大陸である。パンゲア(Pangaea/Pangea)という名前は古代ギリシャ語のpan(全体の)Gaia(ガイア、大地)から生まれた。漢名は盤古大陸(ばんこたいりく)である。
現存する地球上の氷床は、南極大陸にある南極氷床とグリーンランドにあるグリーンランド氷床のみであるが、最終氷期の最寒冷期においては、上記のものに加えて、北アメリカにローレンタイド氷床が、ヨーロッパ北部にスカンジナヴィア氷床が、南アメリカはチリのパタゴニアにパタゴニア氷床が発達していた。
氷床のは表面は寒冷であるが、その底部は暖かく融解し、融解水が氷床の流動を促している。この過程は氷床内部に速い流れの水路を作っている。現在の極域の氷床は、地質学的に見れば比較的新しい。
南極氷床は、新生代暁新世前期に初めて形成された以来、おそらく数回にわたって形成と消滅、前進と後退を繰り返したであろう氷帽に起源すると考えられている。そのような状況は以後も長らく続いたが、中新世初頭(アキタニアン)にあたる約2300万年前になると南極大陸と南アメリカ大陸を辛うじてつないでいた地峡がついに切れてドレーク海峡が開かれ、南極大陸が完全に他と切り離された孤立大陸になった結果、急激な気候変動が始まった。周囲で南極環流が生じて暖流が届かず急速に寒冷化する時代の到来によって氷帽は氷床へと成長してゆき、同世の中期(ランギアン)にあたる約1500万年前には大陸のほとんどが氷床で埋め尽くされた。 一方、グリーンランドの場合、新生代前期を通して氷床はほとんど無かったが、鮮新世後期以降、グリーンランド氷床が急激に形成されて、新生代の北半球で最初の大陸氷床となった。グリーンランドには、氷床が発達する前に生息していた植物の化石が非常に良好な保存状態で発見されている。南極氷床は、地上で最も大きな氷塊であり、面積は1400万平方キロメートル、体積は3000万立方キロメートルである。地球表層の90 %ほどの淡水がこの氷床に固定されており、万が一融解すれば海水準は61.1メートル上昇するだろうと言われている。東南極氷床は陸塊の上に発達しているが、西南極氷床では底部は2500メートル海面下であり、氷床が無いものと仮定すれば西南極は海面下となる。これは氷の重みで地殻が沈んだものと言われている。
グリーンランド氷床(Greenland ice sheet) は、グリーンランドの面積の82 %を占めている。もし融解すれば7.2メートル海面が上昇するであろうと言われている。
南極大陸はとても厚い氷に覆(おお)われています。 氷の厚さは、平均(へいきん)2,500メートルもあります。 このように、広い土地を覆(おお)う、厚い氷のことを氷床(ひょうしょう)といいます。 南極の氷床は、大陸に降り積もった雪が、長い年月をかけて、このように厚い氷になったものです。
長期に及ぶ氷河時代のうち、律動する個々の寒冷な気候の期間は氷期と呼ばれ、氷期と氷期の間の断続的な温暖期は間氷期と呼ばれる。
地球史上には5つの重要な氷河時代がありました。古いほうから挙げると①ヒューロニアン氷河時代(今から24億年前から21億年前)、②クライオジェニアン(8億5000万年から6億3500万年前)、③アンデス-サハラ氷河時代(4億6000万年から4億3000万年前)、④カルー氷河時代(3億6千万年から2億6千万年前)、⑤第四紀氷河時代(260万年前-)である。
第四紀氷河時代は約260万年前の更新世に始まった。それは今もグリーンランド、北極、そして南極大陸に氷床が存在していることからいえる。
氷河期とは、地球の気候が寒冷化して氷河が拡大する時期を指します。氷河期は、氷期と間氷期を繰り返して推移しています。
氷河期の特徴は1年の平均気温が5~10℃ほど下がる。蒸発した海水の一部が雪となって降り、氷河となる。海面が下がる。極地の大陸氷床や高山域の氷河群が存在する。
氷河期の推移については地球の軌道要素(公転軌道の離心率、地軸の傾斜角度、歳差運動)の変化によって気候が変化する。北半球に氷床が発達し、暖かくなるにつれて後退する。氷期と間氷期を数十回も繰り返してきた。
現代の氷河期の例としては第四紀氷河時代は約260万年前の更新世に始まった。先カンブリア時代最末期、古生代石炭紀からペルム紀(二畳紀)など、複数の氷河時代があった。
ただ氷河期と間氷期の長さは同じではなく、氷河期が8~9万年程度と長いのに対して、間氷期は1万年程度と短かいのが 特徴 です。
人間が肥満や2型糖尿病になりやすい理由を説明する「狩猟採集の終焉とともに肉食が終わったので」という仮説の他にも幾つもあります。その一つに「倹約遺伝子仮説(Thrifty Gene Hypothesis)」があります。狩猟採集では食物が規則的に獲得できるという保証はありません。季節的に食糧が入手できない太古の環境では、食物を摂取できるときに体内にエネルギーを溜め込むために必要ないわゆる「倹約遺伝子」と呼ばれる遺伝子が進化の過程で人類の遺伝子プールの中に広がったという考えです。 基礎代謝量を少なくしたり、脂肪の蓄積を促進するような遺伝子が倹約遺伝子の候補になっています。食物が足りないときには、少ないエネルギー消費量で生き残れる倹約遺伝子型を持っている人が有利です。しかし食物が豊富になると倹約遺伝子型を持っている人は肥満や糖尿病になりやすいと考えられます。
その他、肥満になるのにかかわる理論の一つは「捕食者解放仮説(Predation Release Hypothesis)」という理論もあります。この理論は動物はより大きい肉食動物からの捕食を避けるために肥満になりやすい形質は進化の過程で淘汰されるという考えです。肥満した動物は逃げるのも遅く、かつ捕食者にとっては太っているほど獲物として魅力があります。つまり肥満は動物にとって生存しにくい形質であるため、肥満になりやすい遺伝子型は進化の過程で淘汰されていきます。
しかし人類は火や道具を使うようになり、知能が発達して捕食者に対する防御も容易になりました。100万年くらい前に人類は捕食者からの脅威を逃れることができるようになり、捕食者からの危険が無くなり体重を制限するという進化上の選択圧が無くなったので、肥満になることを許す遺伝子が人類の遺伝子プールの中に広がったという仮説です。肥満者は捕食者の餌食になりやすいので肥満になりやすい遺伝形質は進化上淘汰されますが、人類の知能が進化して捕食者の脅威がなくなればそのような選択圧は不要になるということです。
このように、現代社会で肥満や2型糖尿病が増えている理由を説明するためにいろんな仮説が提唱されていますが、恐らくこれらの理由が複合的に作用して人類は太りやすい体質を持っていると考えられます。食糧が豊富になり、体を動かさない生活が増えた現代において、このような太りやすい体質が肥満や2型糖尿病を増やす原因になっていると考えられます。
農耕が始まり糖質摂取量が増えた。約1万年前に農耕が始まって糖質摂取量が増えた。
約250万年以降、4万年から10万年の周期で氷期と間氷期を繰り返しています。ただ氷河期と間氷期の長さは同じではなく、氷河期が8~9万年程度と長いのに対して、間氷期は1万年程度と短かいのが 特徴 です。最後の氷期が終わったのが約1万年前で現在は間氷期にあたります。現代人類の祖先であるホモ・サピエンスは約14万年前にアフリカにいた小集団で、約10万年前にアフリカを出て世界に分布を広げていき、現代社会につながっていきます。
氷河期に入ってから人類は肉食が中心になり、脳と知能が発達し、同時に低糖質の食事に適応するように進化していきます。しかし、この低糖質の食事が最後の氷期が終わった約1万年前に大きく変化します。十分に知能が発達していた人類は気候が暖かくなってくると農耕と牧畜を始めたからです。この農耕と牧畜によって人類は安定的に食糧を得ることができるようになり、人口が増え、社会が豊かになりました。獲物を求めて移動する必要が無くなり、時間ができると発明によって生活をより便利にし、高度な文明を作り出しました。狩猟採集時代の糖質摂取量は1日10から125グラムと推定されています。一方、現代人では1日250から400グラム程度の糖質を摂取しています。
18世紀後半に起こった産業革命によって精製した糖質の摂取量が増えた。
農耕が始まって穀物からの糖質の摂取量が増えても、健康上の問題は現れなかったと思われます。それは、この頃に摂取していた糖質は食物繊維が豊富で吸収が遅かったからです。食品がどれほど血糖値を上げやすいかを示す指標としてグリセミック指数が使われます。グリセミック指数とは食品中に含まれる炭水化物が消化されてグルコース(ブドウ糖)に変化する速さを、精製したグルコースを摂取した場合を100として相対値で表します。糖質として同じ量を摂取しても、素材が異なると血糖値への影響は異なるという考えに基づいた指数です。グリセミック指数の高い食品はインスリンの分泌を刺激する作用が高い食品です。精白していない穀物は食物繊維が豊富で消化管での消化や吸収がゆっくりなので、血糖値を急激に上げることがないのでインスリンの分泌を抑えることができます。インスリン分泌の負荷が少なければ、肥満や糖尿病のリスクは上がりません。 問題は、産業革命以降の急速な工業化と、近代における精製した単純糖質の摂取が増えたことです。単純糖質とは殆ど低分子の糖質で出来上がっている食品で、代表は砂糖です。穀類は糖質が主体ですが、タンパク質や脂質や食物繊維も含まれます。穀類を精製して糖質だけにした食品や、砂糖や異性化糖(でんぷんを酵素などで処理して作ったグルコースとフルクトースの混在した糖)は近代に入るまで人類の食事には無かった食品です。
異性化糖とは、ブドウ糖と果糖を主成分とする液状の糖で、でん粉を原料として作られます。砂糖の代わりに使用されることが多く、清涼飲料水やお菓子、たれ類などに含まれています。異性化糖の製造方法は①とうもろこしやじゃがいも、さつまいもなどのデンプンを分解してブドウ糖にする。②単糖であるブドウ糖の一部を酵素で同じ単糖である異性体である果糖に変換するので異性化というのです。アルドースのグルコースを異性体であるフルクト-スにすることで甘さを強めるためです。果糖(フルクトース)はグルコース(ブドウ糖)よりも甘いのです。というのは果糖は糖類の中でもっとも甘く、二糖のスクロース(ショ糖)の約1.2~1.5倍の甘さがあります。グルコースはスクロースの約0.6倍の甘さしかないのです。又果糖は温度が下がるほど甘みが増すため、果糖の多い果物は冷やすと甘くなる傾向があるので果物は冷やして食べるとおいしいのです。
果糖とグルコースは、吸収される速度や代謝のされ方が異なり、グリセミック指数がことなるので食後の血糖値の上昇にも影響を与えます。果糖の甘味度は(ショ糖と比較して)1.2~1.5ほどの甘さで、カロリーは砂糖と同じく1gあたり4キロカロリーほどです。 …
糖の甘さの強さは、果糖、砂糖、ブドウ糖の順になります。異性化糖には、果糖の含有率によってブドウ糖果糖液糖、高果糖液糖などがあります。果糖の含有率が多いほど甘みが増し、温度が低いほど甘みが強くなります。異性化糖の特性は①砂糖と比べて価格が安い②砂糖と比べてキレのある爽やかな喉越しが特徴③果糖は肝臓でしか代謝されないため、摂りすぎると肝臓に負担がかかる④果糖は血糖値を大きく上げないため、摂りすぎると血糖値を下げるためのインスリンが正しく働かなくなってしまう恐れがあります。
産業革命は機械や動力の発明によって18世紀末から英国を中心に起こりました。機械化や燃料の進歩によって農業の生産性が飛躍的に向上し、貯蔵技術の進歩と相まって、それ以前は起こりえた天候異変などで、農作物の収穫が少なく、食糧が欠乏することのよる飢饉は先進国では起こらなくなりました。
穀物は機械による脱穀によって高度に精製され、砂糖の消費や摂取カロリーが増えていきます。精製された食品中からビタミンやミネラルのような微量栄養素は減少し、食物繊維の摂取は極端に減少しています。さらに、機械化された生活と交通機関の発達と自動車の普及によって体を動かす量が減っていきます。精製した糖質の摂取と運動量の減少が肥満や糖尿病やメタボリック症候群など多くの病気の原因になっていきました。このような食事と生活環境の変化が急激に起こったために、人類は適応できていないのが肥満や糖尿病やメタボリック症候群などの原因となっていくのです。
食生活のみならず生活様式が変化して糖質摂取が増えて生活習慣病が増えていきました。
肥満や糖尿病やメタボリック症候群などの生活習慣病は、遺伝的要因(体質)と環境要因によって発症リスクが決まります。糖尿病の疑いがあるとき最初の診察で医者が聞くのが家族歴です。糖尿病になりやすい遺伝形質があるからです。
糖尿病になりやすい遺伝形質とは、両親から受け継がれる遺伝因子です。糖尿病の発症には、遺伝因子に加えて環境因子(生活習慣)や加齢なども影響します。糖尿病には1型と2型があり、2型糖尿病の遺伝因子の影響が1型糖尿病よりも大きいのです。
2型糖尿病の遺伝因子には何があるのか?2型糖尿病の発症には、遺伝的因子と環境因子が関与しています。遺伝的因子としては、EIF2AK4、KCNQ1、CDKAL1、CDKN2A/B、UBE2E2、C2CD4A-C2CD4B、MOTS-c K14Qなどの遺伝子が関連していることが報告されています。2型糖尿病の発症に関連する遺伝子に基づいてインスリン分泌能が低下すると、高脂肪食や過食、運動不足などの環境因子が加わって発症します。日本人の2型糖尿病発症に関連する遺伝子には、①EIF2AK4、②KCNQ1、③MOTS-c K14Qなどがあります。欧米人と東アジア人では、糖尿病を引き起こす仕組みが異なっています。このように
人種によって関わる遺伝的要因にも違いがあるのです。2型糖尿病の発症リスクを低下させるには、食事の適正化や運動習慣の改善などが極めて有効なのです。
EIF2AK4遺伝子は、日本人において2型糖尿病原因遺伝子の一つとして同定されています。
2型糖尿病の原因遺伝子として知られているEIF2AK4遺伝子はどんな働きがあるのでしょうか?遺伝子内のSNP(一塩基多型)が2型糖尿病の発症リスクに関係しており、EIF2AK4遺伝子内のSNPをもつ人では、インスリンを分泌する能力が低下しているのです。さらに身長あたりの体重が重くなるほどインスリンを分泌する能力が低くなることも判明しました。
2型糖尿病の発症メカニズムはどうなっているのでしょうか?
2型糖尿病は、遺伝的要因に過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症します。高脂肪食などの過食や運動不足により、肝臓や筋肉にグルコースが消費されないで脂肪が蓄積するためにインスリンの働きが低下し、血糖値が上昇します。
何故肝臓や筋肉に脂肪が蓄積すると、インスリンの働きが低下して血糖値が上昇し、糖尿病などの合併症を引き起こすことになるのでしょうか?
その原因は①脂肪から放出される多種類のアディポカインと言われるサイトカイン(アディポサイトカイン)があります。ところが内臓脂肪型肥満によって、このアディポサイトカインというサイトカインの種類や量が変化し、インスリンの働きを妨げることがあるのです。アディポサイトカインには、動脈硬化を促進させるものと予防するものがあり、善玉と悪玉に分類されます。動脈硬化を促進させる①悪玉アディポサイトカインと、動脈硬化を予防する②善玉アディポサイトカインなど、さまざまな種類があります。
①悪玉アディポカインにはTNF-α、PAI-1、HB-EGF、FFA、 IL-1βがあります。TNF-αとIL-1βは炎症性サイトカインであり脂肪細胞に感染したherpesとの炎症によりさん生産されます。PAI-1(プラスミノゲンアクチベータインヒビター1)とは、血管内皮細胞や肝臓、血小板、脂肪細胞などで産生されるタンパク質です。血栓の溶解を制御する働きがあり、血栓性疾患の指標として用いられます。PAI-1の働きは血栓を溶かすプラスミンの生成反応を阻害する。血栓の成長を促進する危険因子となる。細胞の修復(細胞再生)を抑制したり、細胞老化を促進したりする作用がある。PAI-1の値が高くなる原因にはherpesによる炎症に関連する物質や血管壁に変化を起こさせるサイトカインなどのシグナルによって亢進することや、内臓脂肪が蓄積すると脂肪細胞からPAI-1を多く分泌されるからです。PAI-1の値と疾患との関係は敗血症などの急性炎症反応状態では著しい高値を示し、高値であるほど予後が悪い。播種性血管内凝固症候群(DIC)等の病態把握においても重要です。HB-EGF( heparin binding-epidermal growth factor-like growth factor)とは脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン (生理活性物質) の 1 つで、動脈硬化を促進する作用があります。 FFA(Free Fatty Acid)で「遊離脂肪酸」と訳し、脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されて血中に溶け出した脂肪の一種です。エネルギーとして活用されるほか、血液中の濃度は糖質代謝や脂質代謝の状態を示す指標となります。
②善玉アディポカインにはレプチン、 アディポネクチンがあります。レプチンとはレプチン(Leptin)は、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、食欲を抑制する働きがあります。ギリシャ語で「痩せる」という意味の「leptos」に由来し、「食欲抑制ホルモン」「抗肥満ホルモン」とも呼ばれます。レプチンの働きには脳の視床下部に作用して、食欲を抑制する。エネルギー消費を促進する。糖や脂肪酸の利用を促進する。体脂肪量を調節する。飢餓への適応を制御する。
ホルモンであるレプチンと肥満との関係は脂肪細胞が増えるほどレプチンの放出量が増える。肥満の人ではレプチンが効きにくくなる「レプチン抵抗性」となることがある。レプチンやレプチン受容体遺伝子の異常に起因する肥満が稀に報告されている。
レプチンと脂肪萎縮症については脂肪萎縮症ではレプチン作用不足が代謝異常の主な原因であるため、血中レプチン濃度の低下がみられます。
アディポサイトカインについてまとめると、脂肪細胞から分泌される生理活性タンパク質の総称です。サイトカインの訳は生理活性タンパク質です。アディポネクチンは、インスリンの感受性を高めたり、動脈硬化を抑制する働きがあります。アディポサイトカインとは、脂肪細胞から分泌される生理活性タンパク質の総称で、肥満や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に関与しています。例えばアディポカイン(アディポサイトカイン)とインスリン抵抗性の関係はどうなっているのでしょうか?アディポサイトカインの一種のアディポネクチンは、インスリンの感受性を向上させたり動脈硬化を抑制する働きがあって、内臓脂肪が蓄積するとその分泌が少なくなり、インスリン抵抗性が強くなったり動脈硬化が促されたりします。悪玉アディポカインにはTNF-α(腫瘍壊死因子)、PAI-1(プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1)、HB-EGF(ヘパリン結合型表皮成長因子様成長因子)があります。善玉アディポサイトカインにはレプチン、 アディポネクチンがあります。アディポカインの産生能は生活習慣などによって悪玉の方へ傾くことがあり、肥満になると悪玉アディポカインが多く分泌されます。善玉のアディポサイトカインであるアディポネクチンを補充することで糖尿病の改善が期待できます。
高脂肪食は何故糖尿病になりやすいのでしょうか?高脂肪食によって、細胞脂質代謝の変動を引き起こし、インスリン作用が阻害される。高脂肪食が原因で起こる脂肪肝や脂肪筋によって、溜まった脂肪が毒性を発揮して、インスリンが効きにくくなる。脂肪筋とは、筋肉の細胞内に脂肪が過剰に蓄積された状態です。糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクを高めます。
筋肉の細胞内に脂肪が過剰に蓄積される脂肪筋が増えると、筋肉でインスリンが効きにくくなり、血糖値が上がりやすくなります。また、運動機能にマイナスの影響を及ぼします。脂肪筋を減らすには、運動と食事の両方の対策が必要です。運動についてはウォーキングの量を増やす。筋肉に負荷のかかる運動を取り入れる。筋力トレーニングを行う。有酸素運動と筋トレを組み合わせる。有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などの運動で、長時間継続して行う運動です。体内に取り込んだ酸素を使って、内臓や皮下に蓄えられている脂肪や糖質をエネルギー源として利用します。
有酸素運動の効果には、①体脂肪の減少、②心肺機能の向上、③生活習慣病の予防や改善、④不安や抑うつ感の軽減、⑤ 脳の記憶機能の活性化。⑥ダイエットや健康維持、生活習慣病の予防や改善などがあります。
有酸素運動を行う際の大切なポイントは、低~中程度の負荷をかけ、一定の時間継続して行うことがポイントです。
食事療法の効用は①脂肪筋を減らすこと、②血糖値を下げるインスリンの効きの改善③2型糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクの低です。
インスリン抵抗性とは何か?インスリン抵抗性とは、インスリンは食後に血糖値が上昇すると分泌されます。インスリンが細胞の受容体に結合すると、細胞は血液中のブドウ糖を取り込み、エネルギー源として利用します。余ったブドウ糖はグリコーゲンや中性脂肪に合成され、肝臓や筋肉に蓄えられます。十分な量が作られているけれども、以上のインシュリン効果を発揮できない状態がインスリン抵抗性といいます。 運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなり、その結果、血液中に糖があふれてしまうことになります。
インスリン抵抗性が生じる原因には、①「インスリン感受性に関わる様々な遺伝子の異常」による遺伝的要因と②「肥満」③「過食」、④「高脂肪食」⑤「運動不足」⑥「ストレス」などによる環境要因があります。インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げて一定に保つ働きがあります。インスリンの機能には①血糖値を下げる②肝臓や筋肉にブドウ糖を蓄える③脂肪の合成や分解を促進する④蛋白質の合成を促進する⑤細胞の増殖を促進する。などの5つの作用があります。
インスリンが機能しなくなった場合何が起こるのでしょうか?血糖値を下げることができず、高血糖の状態となります。例えば糖尿病の患者さんでは、インスリンの分泌が上手くいかなくなることがあります。その結果、膵臓から分泌されるホルモンの一種であるインスリンが、肝臓、脂肪組織、骨格筋といった末梢標的組織において、その機能が損なわれたり、弱まったり、機能を発揮できない状態となってしまいます。これが2型糖尿病の発症にも関与する重要な病因因子となるのです。
インスリン抵抗性は、①肥満②運動不足③高脂肪食④ストレスなどによって引き起こされます。どのようにしてインスリン抵抗性が生まれるのでしょうか?①肥満によって内臓脂肪が増えると、脂肪細胞からインスリンの働きを妨げる物質が産生されます。脂肪細胞が肥大化すると、インスリンの働きを良くする「アディポネクチン」の分泌が減少し、インスリンの働きを悪くする「TNF-α」という物質が増加します。アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌されるタンパク質で、インスリンの働きを助ける「善玉」ホルモンです。動脈硬化や高血圧、高脂血症などの生活習慣病の予防や改善に効果があります。アディポ(adipo)は「脂肪」を意味する言葉です。アディポとは「脂肪」、ネクチンは「くっつ
く・接着」という意味で血管の壁などにくっついて修復するという性質があることから名付けられました。
アディポネクチンの主な作用は①インスリンの働きを助ける②動脈硬化を防ぐ③心臓を保護する④herpesに対する抗炎症作用がある⑤心筋肥大を抑制する⑥脂肪を燃焼しやすくする。
アディポネクチンの作用機序は、AdipoR1とAdipoR2と呼ばれる2つの受容体を介して、AMPキナーゼやPPARαなどの鍵タンパク質を活性化させることで説明されています。AMPキナーゼ(AMP-activated protein kinase)とはAMPキナーゼは、AMPK (AMPキナーゼ)は、ほとんど全ての細胞に存在し、他のタンパク質に「リン酸」という物質をくっつける働きをしています。 リン酸は酵素が働くためのスイッチをONにする際に重要な物質です。AMPK (AMPキナーゼ)は細胞内のエネルギーバランスを保つために重要な働きをする酵素です。運動や低グルコースなどで細胞内のATPが減少するとAMPKにAMPが結合し、ATPの合成を促進させエネルギー代謝の均衡を保ちます。このように細胞内のエネルギーであるATPが不足すると活性化し、エネルギー産生に関わる酵素のスイッチをオンにします。AMPキナーゼは、細胞のエネルギー状態をモニターするエネルギーの過不足を感知する「燃料センサー」とも呼ばれ、糖、脂質、タンパク質の代謝を調節する役割を担っています。また、ホルモンによる摂食や代謝の調節にも関与しています。一人の人間の人体で毎日産生されるATP 量は100キログラムであり電子伝達系で95%の95キログラムが毎日産生されています。人間は生きるために莫大な量のATPというエネルギーを産生し消消費し尽くしているのです。すごいと思いません!!!
ATP を作るAMPキナーゼの主な働きは①細胞内のエネルギーバランスを保つ②糖、脂質、タンパク質の代謝を調節する③ミトコンドリアの合成やエネルギー代謝調節遺伝子の発現を調節する④レプチンやアディポネクチンなどのホルモンによる摂食や代謝、炭水化物嗜好性の調節に必須⑤AMPキナーゼは、肥満や糖尿病、がんなどの治療ターゲットとして注目されています。
運動不足は何をもたらすのでしょうか?筋肉量が減少すると、ブドウ糖の取り込み能力が低下し、インスリン抵抗性が引き起こされます。
高脂肪食高脂肪食によって血糖や脂肪酸の濃度が上がることが原因でインスリン抵抗性が引き起こされます。
ストレスは何をもたらすのでしょうか?
ストレスがインスリン抵抗性の原因となり糖尿病の原因となります。ストレスホルモンであるコルチゾールやアドレナリンは、糖尿病の悪化を促す要因です。
ストレスによってこれらのホルモンが分泌されると、血糖値が上昇し、糖尿病の管理が難しくなります。
ストレスホルモンと糖尿病の関係はストレスを感じると、コルチゾールやアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。これらのホルモンは、血圧や心拍数、血糖値を上昇させます。
ストレスによってインスリンに対する感受性が鈍くなり、血糖値が下がりにくくなります。
ストレスが慢性化すると、糖尿病の悪化を促す悪循環に陥ります。
糖尿病患者とストレスとの関係は糖尿病患者は、治療に伴う苦痛や社会の無理解、将来への不安など、多くのストレスにさらされています。ストレスへの適応が上手に行えないと、治療に対して消極的になり、血糖コントロールが悪化します。 ストレスからの逃げ方はストレスを感じたときは、家族や主治医、看護婦などの医療従事者を含めた人々との対話を増やして、サポートを積極的に求めることが大切です。