ALSやアルツハイマー認知症の原因はherpesウイルス感染症であることを証明しましょう。
ミクログリア(microglia)は中枢神経系グリア細胞の一つで、中枢の免疫担当細胞として知られ、中枢神経系に存在する常在性マクロファージとも呼ばれる。同義語にはマイクログリア、小膠細胞、Hortega細胞の三つがあります。Hortega細胞はオルテガ細胞と読みます。
中枢神経系の他のグリア細胞であるアストロサイトやオリゴデンドロサイトなどとは異なり、胎生期卵黄嚢で発生する前駆細胞を起源とする。正常状態では中枢神経系である脳や脊髄に点在し、細胞同士がお互いに重ならず分布している。ミクログリアは細長い突起を有し、それをダイナミックに動かし、シナプスや軸索等に接触させその機能を監視・調節しています。herpesウイルのようなウイルス感染の病態時には、細胞体の肥大化や細胞増殖を伴い活性化状態となる。ミクログリアの細胞膜受容体を含む様々な分子の発現を変化させ、herpesウイルス感染した病巣部への移動、ダメージを受けた神経細胞や海馬体の細胞に感染して崩壊脱落した細胞の蛋白質のゴミであるアミロイドβタンパク質(Aβ)などの細胞外タンパク質の貪食、免疫液性因子である炎症性因子、細胞障害性因子や、他の神経栄養因子などの産生放出を引き起こす。神経栄養因子とは、神経細胞の生存や分化、成熟、機能調節などの働きをする蛋白質分子の総称です。herpesウイルスによるALSやアルツハイマー認知症などの中枢神経系疾患のメカニズムに大きな役割を有しているのです。人類に最後に残された殺し切れない従ってワクチンもできない病原体ウイルスであるherpesウイルスが中枢神経に感染した時の最後の砦がミクログリア(microglia)なのです。小膠細胞(しょうこうさいぼう)は、神経膠細胞の一種で、ミクログリアとも呼ばれ、①中枢神経系(脳や脊髄)をherpesウイルスや細菌などの微生物から保護する②神経細胞の修復や、死滅したニューロンや不要な物質であるアミロイドβタンパク質(Aβ)の除去を行う③herpesウイルスなどの感染性の病原体を破壊するために、過酸化水素や一酸化窒素などの細胞毒性物質を放出する④herpesが原因である神経変性疾患の病変部にミクログリア(microglia)が集積し、herpesを殺すために慢性的な神経に炎症が起こり神経の機能が変性をおこして脳神経変性疾患となるのです。
小膠細胞は、通常は中枢神経系の組織に突起を伸ばした不活性な状態(ラミファイドミクログリア)で存在しています。神経細胞が炎症などによって損傷を受けると、突起を縮めて肥大した活性化ミクログリアとなり、免疫担当細胞として機能します。ラミファイドミクログリアとは、通常は中枢神経系(脳や脊髄)の組織に存在するミクログリアの不活性な状態を指します。ミクログリアは、突起を伸ばして脳内の環境に病原体が侵入するかを監視しています。ミクログリアは、中枢神経系における唯一の免疫細胞で、脳の常在型組織マクロファージとも呼ばれます。脳血液関門で脳への侵入を防ぐマクロファージとは異なり、脳専用に備わった免疫物質として機能しているといえます。ミクログリアの役割は、病原体に対する炎症性メディエーターの産生・放出やヘルペスウイルスを貪食する能力のほか、脳の恒常性を維持することなどです。近年は、特に貪食能の点から注目されています。ミクログリアが活性化すると、炎症性サイトカインやグルタミン酸、一酸化窒素、活性酸素などを放出します。
脳の恒常性を維持する役割としては神経回路の形成過程において,ミクログリアは活動の弱いシナプスを積極的に除去し,活動の強いシナプスを残存させることで,機能的神経回路の成熟に関与しており、機能的神経回路の形成不全は,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD),レット症候群,そして脆弱X症候群などの神経発達障害の原因となるのです。レット症候群とは女児に発症する、中枢神経の発達障害で、特徴的な両手を重ねる常同運動を呈する疾患です。原因遺伝子がXq28の存在するヘルペスウイルスによるメチル化によって後天的遺伝子病でありメチルCPG結合蛋白2(MeCP2)にあるのです。メチル化CpG結合タンパク質2(MeCP2)は、X染色体にコードされる核タンパク質で、遺伝子の発現を調整する役割を果たしています。MeCP2の主な役割は次のとおりです。遺伝子のCpG配列に結合して転写活性を制御する。クロマチンのリモデリングとRNAのスプライシングを調節する。クロマチン構造の変化に寄与する。レット症候群の原因遺伝子として、X染色体のXq28という位置に存在するMeCP2遺伝子です。典型例の患者さんの約90%で、この遺伝子に変異があるのもヘルペスウイルスのなせるずる賢い技である遺伝子の突然変異の結果なのです。人類の健康という幸せの大敵はヘルペスウイルスなのです。人間の命を奪い取ってしまう最後の人類の敵はおとなしそうに見えるヘルペスウイルスなのです。
DNAメチル化とは、DNAを構成する4つの塩基(A、T、G、C)の中のC(シトシン)についている水素がメチル基(CH3)に変化することを指します。DNAメチル化は、遺伝子のプロモーター領域やエンハンサー領域において、転写因子の結合を阻害し、遺伝子の発現を抑制する役割を果たします。
ミクログリアは1920年代にPio del Rio-Hortegaによって中枢神経系における神経線維とグリア細胞の二つに加えられる「第3のエレメント」として位置付けられ、「ミクログリア」と命名された。ミクログリアの発達初期に脳に浸潤し、その細胞はアメボイド形態(アメーバに似た形態)で中胚葉由来であり、成体脳では枝分かれした形態で一定間隔を保って分布し、病態ではアメボイド形態になり、移動、増殖、貪食能を有することがわかりました。
その後、中枢神経系においてミクログリアを他の細胞と識別できるF4/80、Fc受容体、補体受容体、Iba1に対する抗体や細胞培養法の開発により、ミクログリア研究が大きく発展した。F4/80(エムアールイーワン、ジーピーエフ480とも呼ばれる)は、成熟マクロファージの表面に発現する細胞表面糖タンパク質です。ADGRE1という遺伝子にコードされており、マクロファージの接着事象や細胞遊走、Gタンパク質共役シグナル伝達成分なのです。マクロファージは体内に異物(抗原)が侵入すると発見して食べて死滅させます。F4/80は、マクロファージの組織マーカーとして、肝臓のクッパー細胞や脾臓の赤脾髄マクロファージ、脳ミクログリア、腸の粘膜固有層、皮膚のランゲルハンス細胞など、さまざまな組織でマクロファージの組織マーカーとして利用されています。
特に脳のミクログリアは細胞突起をダイナミックに動かし、シナプスとの物理的コンタクトや細胞障害に鋭敏に応答します。さらに、ミクログリアの起源が骨髄由来細胞ではなく胎生期に卵黄嚢で発生する前駆細胞であることが発見されました。さらにミクログリアに高発現する遺伝子群(P2ry12、P2ry13、Tmem119、Gpr34、Siglech、Trem2、Cx3cr1など)も明らかになり、骨髄由来の単球やマクロファージとは異なる遺伝子発現パターンを有しているのです。胎生期の卵黄嚢胎生期の卵黄嚢(らんおうのう)は、妊娠初期の胎児に栄養を送る袋状の膜で、卵の卵黄に相当します。胎児の順調な発育には欠かせないものです。
卵黄嚢の役割は、卵黄を分解・吸収する、胚に栄養を送る、 赤ちゃんの初期の血液を作る。
妊娠4週の超音波検査では、赤ちゃんが映ってもまだ小さく、卵黄嚢のほうが大きく見えることがあります。胎嚢の大きさが11mm程度になると、胎嚢の中に小さなリング状の卵黄嚢が確認できるようになります。胎嚢とは
妊娠8週目までは胎芽と呼ばれ、妊娠9週以降になると胎児と呼ばれるようになります。とは胎生期の卵黄嚢(らんおうのう)とは、妊娠初期の胎児に栄養を送る袋状の膜で、卵の卵黄に相当します。胎児の順調な発育には欠かせないもので、正常妊娠であれば卵黄嚢があるのは正常です。
卵黄嚢の役割は次のとおりです。卵黄を分解・吸収する、胚に栄養を送る、 赤ちゃんの初期の血液を作る。
妊娠4週の超音波検査では、赤ちゃんが映ってもまだ小さく、卵黄嚢のほうが大きく見えることがあります。胎嚢の大きさが11mm程度になると、胎嚢の中に小さなリング状の卵黄嚢が確認できるようになります。
胎嚢(たいのう)とは、妊娠初期に子宮内で赤ちゃんを包む袋で、妊娠を判定するひとつの要素です。受精卵が着床した場所に形成され、超音波(エコー)検査では黒い円やだ円形のように見えます。胎嚢は、妊娠4~6週頃に確認でき、妊娠5~7週ごろに確認できれば妊娠と判定されます。この時点ではまだ心拍は確認できていないことが多いですが、6週目に入ると小さな赤ちゃんの陰(胎芽)が見え、心拍も確認できるようになります。胎嚢はGestational Sacとも呼ばれ、超音波(エコー)検査画像などではGS (Gestational Sacの略)と表記されます。妊娠8週目までは胎芽と呼ばれ、妊娠9週以降になると胎児と呼ばれるようになります。胎生期とは、受精卵が受精してから出生までの期間を指し、妊娠期間とも呼ばれます。胎生期は、胎齢(受精後)の2週までの胚子期、2週~7週の胎芽期、8週以降の胎児期に分けられます。胎生期における胎児の発達段階は
- 妊娠12週まで:胎児が子宮全体を占めるようになる
- 妊娠14週頃まで:性別の判定が可能になる
- 妊娠16~20週頃まで:多くの場合、胎動が感じられるようになる
- 妊娠24週頃まで:胎児が子宮の外でも生存できる可能性が出てくる
胎芽期は、胎児の主要な器官の形が作られる重要な時期です。薬物や放射線、喫煙、飲酒などの外部からの刺激が器官の形成に大きな影響を及ぼす可能性があります。
妊娠期には、家族や地域の人々、医療機関、職場などの妊婦を取り巻く人々の温かな見守りとサポートが大切です。
脳部位によってもミクログリアの遺伝子発現が異なることもあります。ミクログリアの発生や起源は、中胚葉由来です。脳でのミクログリアは胎生期(妊娠期間)の骨髄造血前に観察される。
ミクログリアの起源となる前駆細胞とその発生組織は胎生7.5日の卵黄嚢に存在する前駆細胞が循環器系(胎生8.5~10日に形成)を介して脳へ移動しミクログリアに分化することがミクログリアの起源です。脳へ移動した卵黄嚢由来前駆細胞は増殖能を有する。卵黄嚢前駆細胞(おそらく赤血球系骨髄前駆細胞)からミクログリアへの分化には転写因子RUNX1、PU.1、IRF8が重要な役割を担っているのです。
ミクログリアの形態・分布は通常は小さな細胞体に複数の細かく枝分かれした突起をもつ細胞形態で存在しているが、ヘルペスウイルスなどの細胞外からの刺激が加わると突起の短縮や細胞体の肥大化などの顕著な形態学的変化を伴い、活性化状態へと移行する。正常状態のミクログリアはラミファイド型(分枝型)といわれ、活性化しアメーバ様の形態をしたミクログリアはアメボイド型(アメーバ様型)と呼ばれる。神経細胞の損傷や脳組織内への感染性細菌やヘルペスウイルスの侵入に応答して活性化型へと移行したミクログリアは貪食作用を示して病原菌やヘルペスウイルスや細胞の残骸を取り除く仕事がミクログリアの役割なのです。海馬体の細胞に感染したヘルペスが起こした神経変性疾患がアルツハイマーです。herpesによって変性してしまった海馬体の細胞の残骸がアミロイドβ(Aβ)なのです。活性化しアメーバ運動をしているミクログリアの姿は末梢の免疫細胞であるマクロファージと非常に良く似た形態をとります。
ミクログリアは細胞個々のテリトリーがあり、同一の脳部位においてはほぼ均一に分布している。しかし、その分布密度は脳部位によって異なっており、例えば成体マウスでは、皮質や脳梁におけるミクログリアの占める割合は細胞の5%ほどであるが、黒質におけるミクログリアの占める割合は細胞の12%にのぼる。また、部位によって細胞体や突起構造の形にも違いがあり、灰白質と白質のミクログリアを比べると、灰白質のミクログリアは放射状に突起構造を伸ばしているが、白質のミクログリアは長細く突起を伸ばし、細胞体も細長い形態をとる。ミクログリア突起長は昼間よりも夜間で長く、さらに突起の分岐数も夜間のほうが多く、より複雑な構造をとっている。この日内変化はミクログリア分子時計で制御されており、プリン受容体の一つであるP2Y12受容体の発現が日内変動しているためと考えられている。さらに、シナプスの密度と活動性も日内変化の原因の一つとしてミクログリアの突起構造日内変化が関与している。P2Y12受容体とは、主に血小板に発現するアデノシン二リン酸(ADP)受容体で、血小板凝集を促進する役割を担っています。プリン作動性G蛋白質共役受容体(GPCR)の一種で、Giと共役している。Giは、Gタンパク質の一種で、アデニル酸シクラーゼ(AC)を抑制する効果器と共役します。Giは、Gタンパク質の一種で、アデニル酸シクラーゼ(AC)を抑制する効果器と共役します。Gsはアデニル酸シクラーゼを活性化する。sはstimulatory(刺激)のsでiはinhibitory(抑制)のiです。アデニル酸シクラーゼ(AC)は、細胞内のATPからサイクリックAMP(cAMP)を生成する酵素です。
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、細胞膜上で神経伝達物質やホルモンを認識する生体センサーで、嗅覚、味覚、視覚などの感覚を担っています。GPCRは、細胞内でシグナル伝達を担うグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を活性化することで、細胞外物質を認識し、細胞膜を介してシグナルを伝達します。P2Y12受容体の役割はADPによる血小板活性化を増幅し、血栓の安定化に寄与するのです。ADPは、赤血球や血管内皮細胞、血小板の濃染顆粒などに含まれており、アゴニスト刺激によって放出されます。ADPはP2Y12受容体やP2Y1受容体を介して血小板凝集を促進しますが、ADPの働きを抑えることで血小板凝集を抑え、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管系疾患の予防に効果があります。P2Y12受容体拮抗薬は、心筋梗塞の再発予防やステント血栓症の予防に有効な薬剤です。
脳が損傷を受けるとミクログリアは直ちにそれを感知し, 損傷部位へと突起を伸ばす。中枢神経系の異常を監視するためにミクログリアのラミファイド型(分枝状の形態のミクログリア細胞はラミファイド型ともいわれ英語でRamified)が常に突起を動かし伸縮を繰り返して活発に活動しています。
ミクログリアの突起伸長や細胞遊走は化学誘引物質の濃度勾配に従う走化性によって起こる。ミクログリアの代表的走化性誘導因子としてはATPおよびADPであり、P2Y12受容体を介したシグナルが重要な役割を担っています。加えて、P2X4受容体やアデノシン受容体A1やA3受容体も細胞遊走に関与しています。その一方で、ミクログリアの突起の退縮にはA2A受容体が関与しています。ミクログリアの走化性誘導因子としてはATPやADP以外にもヘルペスによっておこるアルツハイマーに見られるAβ(アミロイドβ)やブラジキニン、グルタミン酸、補体C5a、CCL21、NGF、EGFといった多岐にわたる因子がミクログリア走化性誘導因子となるのです。つまり中枢神経細胞にherpesが感染し始めると炎症が起こり始める上記の炎症因子が出現し始めミクログリアを炎症部位に誘引し始めるのです。グルタミン酸と神経変性疾患であるアルツハイマーとの関係は何でしょうか?グルタミン酸は脳の神経伝達物質の1つで、脳の興奮系神経伝達物質としての機能を担っています。グルタチオンやギャバ(γ-アミノ酪酸)の原料となり、脳内ではグルタミン酸とアンモニアから生合成されアンモニアと結合し、グルタミンになってアンモニアを無毒化します。逆にグルタミンが分解するとグルタミン酸とアンモニアを生じてしまいます。グルタミンは血圧を下げる効果があります。
グルタミン酸は、脳内の神経細胞間の情報伝達を促進する神経伝達物質として、記憶や学習、ストレス応答の改善、免疫機能の強化などの役割を果たします。さらにグルタミン酸は、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型受容体に結合して受容体を活性化します。NMDA受容体(N-methyl-d-aspartate受容体)は、哺乳類の中枢神経系における興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体の一種で、記憶や学習に深く関与しています。
NMDA受容体とは何ですか?役割は興奮性シナプス伝達、学習や記憶、シナプス可塑性の開始などで特徴はイオンチャネル型グルタミン酸受容体(iGluRs)の一種で、リガンド依存性イオンチャネルです。グルタミン酸とグリシンが結合すると活性化します。通常はMgイオンでブロックされて不活化状態にあります。NMDA受容体の関連疾患には①神経変性疾患、②脳卒中、③統合失調症、④アルツハイマー病、⑤慢性疼痛などです。NMDA受容体の機能不全は、神経変性疾患や脳卒中、統合失調症です。NMDA受容体拮抗薬は、アルツハイマー病による神経細胞障害や記憶や学習能力の障害などを抑える薬です。
NMDA受容体は隣の神経に情報を伝えます。このNMDA受容体の神経への情報のやり取りが盛んに行われると、シナプスの繋がりが強固になり、記憶や学習が強化されます。ところが、グルタミン酸は、ヘルペス感染や脳虚血などの病的な状況において過剰な濃度になると、神経細胞死を引き起こすことが知られています。また、大量にグルタミン酸を摂取すると神経細胞の過剰興奮を引き起こし、神経変性疾患のリスクを増加させます。グルタミン酸は、海藻や小麦粉、サトウキビなどに多く含まれています。
ミクログリアの機能は四つあります。
(A) 神経障害時やストレス、herpesウイルス感染、細菌感染などによって活性化したミクログリアからは炎症性サイトカインやケモカインが放出され、炎症応答や神経変性を引き起こし脳内で炎症がおこす。
(B) ミクログリアは突起をシナプス構造と接触させ、シナプスの新生,除去,そ
してシナプスの活動の調整を行い,効果的に神経細胞をつなぎ合わせている。そのため,シナプスに異常をきたすアルツハイマー型認知機能障害や,自閉スペクトラム症,統合失調症などに対するミクログリアの関与している。シナプスとは、神経細胞であるニューロンとニューロンをつなぐ接合部で、神経情報を出力する側と入力される側の間に発達した情報伝達のための接触構造です。シナプスは、神経細胞同士が連絡する接点で、神経ネットワークの要です。神経細胞はシナプスを介して互いに接続して回路を形成し、脳機能に必要な情報処理を行います。シナプスの構造は、シナプス前膜とシナプス後膜によって構成されており、
シナプス前終末は、送信側の神経細胞(軸索末端)で、シナプス小胞と呼ばれる小さな袋が格納されており、その中に神経伝達物質という化学物質が詰め込まれています。シナプス後膜は受信側の神経細胞(樹状突起)で、グルタミン酸などの樹状突起には神経伝達物質の受容体が配置されています。
(C) 感染や局所的な損傷時に、ミクログリアは異常部位へと突起を伸ばし、活性化を伴って異常部位へ遊走する. その後、異物や死細胞を貪食し、除去する。
(D)液性因子産生放出もミクログリアは行います。神経障害時やストレス、ヘルペスウイルスがミクログリア細胞内に貪食されて活性化したミクログリアからは腫瘍壊死因子(TNF-α)、IL-1β、IL-6などの炎症性サイトカインが放出され、神経変性や中枢神経系の炎症応答を引き起こす。ミクログリア由来の炎症性サイトカインにより中枢神経系の機能に支障が生じることで、多発性硬化症やアルツハイマー病などの中枢神経系疾患が生じるのです。
又、ミクログリアから放出されるケモカインもまた炎症応答や神経変性を引き起こし、生理学的および病的状態の原因にもなるのです。そして神経が障害される状況においては脊髄ミクログリアでCCL3(MIP-1α)の発現が増加し、持続した疼痛が起こる。炎症性サイトカインやケモカイン以外にも、一酸化窒素(NO)、活性酸素(ROS)、グルタミン酸、ATPなどがミクログリアから放出され、神経細胞死を誘導するのです。
一方、ミクログリアから産生放出される液性因子は、神経系の調節にも密接に関わる。例えば、神経系の異常時において活性化したミクログリアから放出される脳由来神経栄養因子(BDNF)は神経の興奮を引き起こす。このミクログリア由来のBDNFは正常時には記憶や学習に重要な役割を担います。
発達期や出生後早期においては、ミクログリアから分泌されるインスリン様成長因子1(IGF-1)がニューロンの生存維持に必要なこと、炎症性サイトカインIL-1βおよびIFN-γがニューロンの発生を促進する。他にも、中枢神経系ではミクログリアのみに発現するリソソーム性プロテアーゼのカテプシンSは、神経細胞に発現する膜結合型ケモカインのフラクタルカイン(CX3CL1)を切断し、それがミクログリアのCX3CR1に作用することで様々な生理応答を示す。さらに、ミクログリアから放出されるカテプシンSは大脳皮質体性感覚野においてスパインの密度や活動の日内リズム形成に関与する。スパイン密度とは、神経細胞の樹状突起に存在するスパインと呼ばれる微細な突起構造の密度を指します。スパイン密度は、脳の発達段階によって変化し、生後直後は低く、3.5ヶ月齢で最大となり、その後大人になるにつれて減少します。スパインは、バクテリアと同程度の0.5~3 µm程度の大きさで、樹状突起の本幹と部分的に隔離された袋状の空間を作っています。この空間によって、各々のシナプス個別の情報処理が容易に行われます。カテプシンSとはエンドソームやリソソームに局在する酸性プロテアーゼ群の総称で,酸性下で酵素活性を示す.Cathepsin S/B/Lは,MHCクラスⅡ分子の抗原提示で役割を担っている。
また、神経細胞間のスパイン(棘突起)結合の度合いの変化は、個体の学習や記憶の基盤であるのです。脳の活動に応答してスパインが変化することを「可塑性(plasticity)」と呼びます。
一方、統合失調症などの精神神経疾患ではスパイン密度の低下が認められており、正常な高次脳機能にとってはスパインが適切に形成され、一定の密度で維持されることが重要とされています。高次脳機能とは、大脳で営まれる①言語、②行為、③知覚、④認知、⑤記憶、⑥注意、⑦判断、⑧情動などの機能です。
脳損傷によって高次脳機能に障害が生じると、次のような症状が現れます。記憶障害、注意障害、遂行機能障害、情動の障害、失語、失認、失行です。
高次脳機能障害の症状には、次のようなものもあります。①行き当たりばったりの行動をする、②一つ一つ指示されないと行動に移せない、③優先順位が決められない、④なにかをするときに、どこから手をつけていいのか分からなくなる、⑤新しいことが覚えられない⑥
気が散って集中できない⑦すぐ怒り出す⑧よく知っている場所で迷子になる⑨計画が立てられない。
シナプスとミクログリアとの相互作用はミクロリグリアの突起の動態は非常にダイナミックなもので常に一定の縄張りの様な領域の中で突起の退縮を繰り返しており、この時の突起の動きは1 μm毎分で、数時間で脳全体の容積を検索できるような速度です。さらに、脳内に傷害が起きた場合はP2Y12受容体を介して、さらに動的に突起を動かして障害部位に集積する。ミクログリアの突起がシナプス構造に接触するという直接の証拠は電子顕微鏡像で得られており、体性感覚野又は視覚野皮質のⅡ層とⅢ層のシナプスにおいては、ミクログリアの突起がシナプスに短期的な接触を繰り返している。
ミクログリアのシナプスへの接触はシナプス剪定(synaptic pruning)といわれる脳の発達段階において不必要なシナプスを取り除く機能であり、シナプスの剪定(刈り込み)不足が統合失調症などの精神疾患につながる可能性があります。シナプスの刈り込みはシナプス剪定とも言われ、脳が完成する過程で不要なシナプスが除去される現象です。出生直後には過剰なシナプスが形成されますが、環境や経験などの刺激に応じて必要なシナプスが強化され、不要なシナプスは弱められて除去されます。この過程がシナプスの刈り込みで、脳が整理整頓されて効率よく働くようになるのです。
シナプスの刈り込みが不足すると、脳の情報処理に不具合が生じ、統合失調症などの精神疾患につながるのです。統合失調症などの精神疾患は「シナプス病」とも呼ばれ、MRI画像ではシナプスの数が極端に減少して大脳皮質が平均よりも薄くなっていることが報告されています。
また、統合失調症は感情や思考をつかさどる前頭葉と深い関係性があります。加齢やストレスによって前頭葉が萎縮したり血流量が低下したりすると、統合失調症特有の症状が引き起こされることが明らかになっています。シナプスリモデリングが活発な脳部位(皮質、海馬、視覚処理回路)におけるミクログリアの存在が注目されています。現在では、眼-視床経路におけるシナプスの左右眼選択的な神経回路構築時に補体シグナルを介したミクログリアによるシナプスの除去が重要なプロセスを担っています。また、障害を受けた神経細胞のシナプス間にミクログリアが入り込むことでシナプス接続を断つ(synaptic stripping)現象も見られます。
シナプスリモデリングとは、神経ネットワークの確立に重要な役割を果たす神経ネットワークの形成過程のひとつです。脳の神経細胞同士が連絡する接点をシナプスといい、神経細胞のネットワークをつくっています。脳内の神経ネットワークは、出生直後に過剰にシナプスが形成された後、環境や経験に応じて必要なシナプスが強められ、不要なシナプスが除去されることで成熟していきます。この現象を「シナプス刈り込み」といいます。記憶はどのようにして生まれるのでしょうか?シナプスでは信号伝達が長期間にわたって起こりやすくなる「長期増強」や、逆に信号伝達が起きにくくなる「長期抑圧」が起こります。この機能変化によって学習や忘却が起こり、記憶はシナプスの機能変化として脳に蓄えられます。この機能を「シナプス可塑性」といいます。
ミクログリア貪食についてはミクログリアはその挙動からマクロファージに類似した細胞です。Herpesウイルスが感染した神経細胞由来の崩壊物がミクログリアの細胞内に多数存在しています。ミクログリアは活性化型の形態の一つとして、通常は細く枝分かれした突起の退縮を引き起こし、アメボイド形態に変化する。このようなミクログリアは強い貪食作用を示し、死細胞やデブリ(ヘルペスによって障害を受けた細胞の破片など)を取り除く作用を持っています。ミクログリアが障害を受けた死細胞を取り除くことは、有害な細胞内因子である有害な壊れたリソソームの漏出を防いで脳内環境を保つ意味で重要なプロセスである。
現在では、神経細胞の自己死の一つの形態に、ミクログリアが生きた神経細胞を貪食して組織中から取り除くこともあり、ファゴプトーシス( phagoptosis)といいます。これらミクログリアの貪食活性は死細胞に対してだけではなく、病原体や細胞からの分泌物や老廃物の除去という役割も持っており、ミクログリアの最も重要な機能の一つである。また、不要物の除去はその後の脳組織の回復にも寄与すると考えられ、障害によって変性した軸索の再生の促進にも関与するとされる。
ミクログリアの貪食に関わる受容体としてはToll様受容体(TLR)など外因性病原体を認識する受容体と、TREM2などのアポトーシスを認識する受容体が主なものであるが、Fc受容体や補体受容体、スカベンジャー受容体、MAC-2、マンノース受容体、LRP受容体、P2Y6受容体などもミクログリアの貪食機能との関わりがあります。TREM2とはTREM2(Triggering receptor expressed on myeloid cells 2)は、膜貫通型の糖蛋白質で、脳内のミクログリア細胞膜上に発現して受容体として機能します。TREM2の主な役割は、腫瘍微小環境に放出される脂質などを認識し、T細胞の機能不全を抑制する。ミクログリアの機能を調節する。ミクログリアは脳内の免疫を担う細胞で、アルツハイマー病など様々なherpesウイルスによる神経疾患の病態生理に関与しています。11/22
中枢神経疾患におけるミクログリアの役割については神経系のダメージや機能不全により神経障害性疼痛と総称される慢性的な痛みが発症する。その発症と維持メカニズムはわかっていないが、近年脊髄におけるミクログリアの役割が注目されている。同疼痛のモデル動物である人為的な末梢神経損傷モデルや神経障害を伴う病態モデル(糖尿病、がん、脊髄損傷、帯状疱疹など)において、脊髄のミクログリアは肥大化し、突起の退縮が起こる。さらに、細胞マーカーCD11bやIba1の発現が増加し、損傷ニューロンで発現するCSF1によって細胞増殖が誘発され、細胞数が2~3倍に増加する。
神経障害性疼痛における脊髄ミクログリアの重要性は、プリン受容体のP2X4受容体の役割から見出された。神経障害性疼痛動物モデルの脊髄後角では、転写因子IRF8とIRF5によってP2X4受容体がミクログリアで特異的に高発現し、その受容体を遮断すること、あるいは遺伝子をノックダウンや欠損させることで、アロディニアが著明に抑制された
ミクログリアのP2X4受容体がATPで刺激されることでBDNFなどの液性因子が産生放出され、それらが脊髄後角ニューロンの機能を変調し、神経障害性疼痛を発症することが報告されている。したがって、ミクログリアとニューロン間の病的連関が神経障害性疼痛の原因であろうと考えられている。ミクログリアにはP2X4受容体以外にも他の機能分子が発現し、神経障害性疼痛に関与している。
複合性局所疼痛症候群(CRPS)の患者の脊髄において、CD68陽性ミクログリアの活性化が報告されている。
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)モデルマウスやアルツハイマー病患者の脳では老人斑周囲にミクログリアや単球、マクロファージの集積が認められる。ミクログリアには可溶性Aβオリゴマーや線維性Aβが結合するscavenger receptor A、CD36、RAGEなど多くの受容体が発現しているが、これらの発現レベルやAβの分解酵素、オートファジーがアルツハイマー病モデルマウスで低下し、それがAβ蓄積の原因の一つであろうと想定されている。Aβクリアランスにはミクログリアの細胞貪食が重要であるとされている一方で、ミクログリアの除去マウスでAβに劇的な変化が認められないという報告もありその関与は単純ではない。また、三次元電顕解析やミクログリアのin vivoイメージング解析などでも、ミクログリアのAβプラークの貪食やクリアランスを支持する結果が得られていない。貪食関連分子の発現低下やミクログリアの老化などが同細胞の機能低下に関連している可能性も指摘されている。
末梢からの単球の集積にはケモカイン受容体CCR2の関与が報告され、この病態初期の単球の集積を阻害することでアルツハイマー病モデルマウスの死亡率やAβの蓄積の増加がみられることから、脳へ浸潤した単球がアルツハイマー病病態に保護的に働いている可能性が示唆されている。また、Aβの分解は末梢性マクロファージの方がより効率的であるという報告もある。しかし、末梢単球やマクロファージの脳内浸潤については放射線照射による骨髄キメラマウス等が使われているため今後の検討が必要である。Aβの脳血管周囲への沈着はアルツハイマー病患者で高頻度に観察されるが、アルツハイマー病モデルマウスの血管周囲マクロファージの除去により脳血管周囲のAβ沈着が悪化することも報告されている。
ミクログリアやその他のミエロイド系細胞によるAβクリアランスが不十分な場合、AβはミクログリアのCD36やTLR4などに作用することで、NLRP3インフラマソームなどを活性化して炎症因子の産生や放出を引き起こす。炎症性サイトカインはミクログリアのAβクリアランス能などの細胞機能を低下させ、その影響が周辺の他の細胞に波及しタウオパチー、さらには神経細胞死を起こすという説が想定されている。
さらに、アルツハイマー病リスクファクターとしてミクログリアによるAβプラークの貪食に関連するTREM2変異、TREM2と相互作用するTYROBPの変異が報告された。さらにミクログリアのAβ貪食を抑制するCD33の機能獲得変異も孤発性アルツハイマー病リスクファクターとして報告され、アルツハイマー病におけるミクログリアの機能変化の関与が支持されている。しかし、アルツハイマー病モデルマウスでのTREM2の役割については一致した結果は得られていない。その原因の一つとして解析するアルツハイマー病モデルマウスが考えられる。最近、西道らによって、新しいアルツハイマー病モデルマウスが開発され、同マウスでもミクログリアの活性化が認められている。
筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)においてミクログリアは、その症状の進行に寄与することが示唆されている。SOD1遺伝子の変異を原因とする家族性ALS患者では、脱落した下位または上位の運動神経細胞周囲にミクログリアやマクロファージの集積が見られている。同様の事象はヒト変異SOD1を強制発現することでALS病態をしめすモデル動物の腰髄においても観察されており、麻痺症状の現れる前においてすでに貪食形態のミクログリアが運動神経の細胞体に接触している像が得られている。
また、SOD1の変異の有無にかかわらずフォールディング異常を示すSOD1の凝集物がミクログリアに集積していることも示されている。ALSモデルマウスのミクログリアで、SOD1を正常型に置き換えると病態発症の程度が軽くなり、ミクログリアで変異型SOD1を発現する動物を作成しても症状は現れないことから、病態の進行時にはミクログリアのSOD1が寄与していると予想される。
また、培養系を用いた研究では、外因的に与えられたSOD1によって活性化されたミクログリアの培養上清が培養運動神経の生存率を低下させることも明らかになっており、ミクログリアの活性化が病態の進行に寄与することを示唆している。変異型SOD1によるALSモデルマウスでは、病巣部でのミクログリアの集積に末梢骨髄由来細胞の浸潤は寄与していないことがパラバイオーシスを用いた実験によって証明されている。
また、CX3CR1欠損マウスでは変異型SOD1発現による生存率の低下が増悪しており、CX3CR1の病態への関与、さらにミクログリアの関与を示唆している。しかしながら、運動神経の細胞死にミクログリアがどのように関与しているかに対しては未だ明確な答えが得られていない。
多発性硬化症
多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)の実験モデルとして用いられている実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelisis: EAE)は、中枢における自己免疫疾患研究に用いられている。末梢T細胞とミクログリアの相互作用がこの病態に大きく寄与することがわかっており、活性化ミクログリアと浸潤マクロファージによって、脱髄や神経傷害などの組織傷害が惹起される。CD11b-HSVTKマウスはガンシクロビルの投与によってミクログリアを欠失できる実験動物として用いられているが、この実験系を用いてミクログリアが欠失している動物では、EAEの発症の遅れや病態の程度の軽減が観察されている。マクロファージ同様、ミクログリアにもM1、M2といった異なる活性化様式の存在が考えられており、脱髄・寛解の過程においては、M1様ミクログリアがTh1、Th17ヘルパーT細胞からの病態悪化シグナルによって炎症応答・脱髄を引き起こし、M2様ミクログリアは、組織修復・病態の寛解を誘導していると考えられている。ミクログリアの活性化に関わる因子としてマイクロRNAのmiR-124、JAK/STATシグナルの抑制経路に関わるSOCS3についての報告があり、miR-124は病態初期にその発現が抑制されることでC/EBPαやPU.1の発現を介したミクログリアの活性化に関与しており、miR-124の投与によってM2様ミクログリアの出現と病態の改善が見られることが証明されている。SOCS3については骨髄性細胞でのSOCS3欠損の結果、STAT3/STAT4シグナルの過剰な活性化を介してM1様ミクログリアの出現へ繋がるとされている。