症例報告185例目
完治された病名1)クローン病
患者:25歳
初期症状が起こったのは2007年頃でした。今まで体験したことのない腹痛を起こし、かかりつけの内科を受診しました。前日の食事からの食あたりと診断され、ひとまず胃薬を処方して様子を見ることになりました。しかし処方された薬は全く効かず、痛みが増すばかりで毎日病院へ行っては痛み止めの点滴、日を分けてレントゲンやCTを受けられました。それでも体調が悪化していく一方で次第に嘔吐を繰り返すようになり、食事もできなくなりました。そしていろいろな検査をして1週間後に腸炎と診断されたそうです。
2週間程通院されましたが痛みが消えないので某大学病院を紹介してもらいました。救急で受診し状態が悪かったいので緊急入院されました。当直医師の診察により今までに撮ったCTや入院のため撮ったレントゲン、痛み方を診て腸閉塞の疑いもあると診断されました。その状態でいると危ないと判断され手術を勧められました。腹痛がずっと消えず原因もはっきりしないままで苦しむなら開いて診た方がいいとご家族に説得され、早くこの痛みから解放されたい早く元の生活に戻りたいと気が焦っていた患者さんは淡い気持ちで承諾してしまいました。
緊急手術をすると小腸の始めの辺りに大きな炎症があり腫れあがっていて膿も溜まっていたそうです。そして炎症の酷い部分(小腸)を1メートルくらい切除されてしまいました。切除したところからクローン病特有の症状が発見されクローン病と診断されました。患者さんは今でも診断された日のことを思い出すと胸が苦しくなって泣いてしまうほど大きなショックを受けられました。運動制限や食事制限により自由に生活が出来ず、仕事も諦めなければならない状況となりました。傷付いた体では結婚や出産も出来ないと過剰に考えを巡らせ、生き地獄と思うほどだったそうです。
毎日エレンタール2パックとサラゾピリン2錠を1日3回に分けて服用し続け、徐々に症状が抑えられて現れなくなり、2か月ほどで社会復帰されました。
クローン病と診断されてから3ヶ月が経過した頃、ペンタサを処方され飲み始めてみたところ体調不良が続いたため元の薬に戻し、エレンタール2パックとサラゾピリンを朝昼夜と寝る前の4回に増やされました。術後1年くらいは月に一度のペースで通院し、1年に一度大腸検査をされました。2年目からは免疫抑制剤のイムランを処方され毎朝1錠服用を続けられました。診察は2ヵ月に一度受診し血液検査を受け、1年に一度大腸検査を受けて経過観察されていました。
だんだん食事制限にも慣れていき、食事の量も増えて体重をキープ出来るようになりました。しかしイムランを服用してから少しずつ体力が落ち始め運動することが辛くなっていきました。そして徐々に排便の調子も崩れていき軟便や下痢を繰り返すようになっていました。そんな時にパートナーから松本漢方クリニックのホームページを紹介されました。患者の闘病手記を読むとすぐには信じられずに疑い、また患者さん自身が完治することが出来ないと思っていたので始めは受診しようと思っていませんでした。今の生活のリズムを壊したくない、これ以上体に負担を掛けたくないと当院の受診を拒んでいました。しかしそれでもパートナーから何度も説得され、試しに一度受診することになったのです。
確かに小腸を切除したことでクローン病を完治することができなくなりましたが、それでも松本漢方クリニックに来たからにはクローン病を治していく旨を伝え握手を交わしました。下痢止めとクローン病に効く漢方の2種類、自宅でもお灸を据えるためのもぐさとそのお灸の跡に塗る漢方の軟膏を1週間処方し、何か困ったことがあればいつでも電話するように指示しました。また食事制限はせず好きなものを食べて良いと伝えました。もし食べてダメなものがあればその食べたものを控えるように言いました。今飲んでいるサラゾピリンとイムランを少しずつ減らし最終的にはゼロにするようにしました。まずはイムランの服用を止めてもらいました。診察後は鍼灸を受けてもらってから帰宅してもらいました。
最初は初めて飲む漢方の独特な苦味に憂鬱になりながら、特に変化を実感できないまま1週間が経過しました。今度はサラゾピリンの量を減らしてもらいました。漢方を服用し始めてからエレンタールが飲めなくなり、サラゾピリンを少しずつ減らされて不安だったそうですが思っていたよりも腹痛がなかったためすぐに不安感がなくなったそうです。
当院を受診してから1ヶ月を過ぎた頃には以前から服用していた薬(サラゾピリン)は始めに飲んでいた半量にまで減りました。受診前にあった酷い下痢は緩和していき食事による腹痛もあまり起こらなくなりました。
当院を受診する前から体調を崩しがちでしたが、当院で治療を始めてからは月に一度の頻度で。症状としては、倦怠感、お腹に違和感、発熱と様々でした。また以前から喉や下半身の方にヘルペスの症状が出ることがありました。漢方を服用してからは目眩や頭痛、出来物と症状は変わりましたが受診してから2ヶ月半程経った頃から定期的に出るようになりました。その都度、抗ヘルペス剤のベルクスロンを患者さん自身が調節しながら服用されました。
治療を始めて6~7ヶ月頃、クラススイッチが起こってアトピーが出始めました。体中が痒く、特に背中と手指が酷く痒かったとのことです。それからは酷い熱や下痢も起こしていませんでした。患者さんはこの時、クラススイッチが起こったことで病気が治るかもしないとやっと希望を持てるようになったそうです。心の在り方も変化し、治療にさらに前向きな姿勢になったことから順調に回復された患者さんは普通の生活と変わらない日々を過ごせるようになり、当院を卒業されました。
症例報告186例目
完治された病名1)クローン病
患者:23歳
初期症状は2017年5月末、お昼頃に排便した時におしりから出血しているのに気づきました。その場では痔かと思い気に留めませんでしたが、だんだん体がしんどくなっていき、血が混じった下痢が続き、1時間のうちに何回もトイレに駆け込むようになりました。そんな状態が続いたある日、深夜でも下痢が止まらず、その時は止まらない血をお尻から出しているような感覚だったそうです。いずれ血を出し過ぎて貧血のような状態になり意識を失いそうになりました。
後日、消化器科のあるクリニックで内視鏡検査を受けたところ、出血状態が酷くそのクリニックでは対応できないと言われ、総合病院に救急車に運ばれました。そこの病院で小腸に潰瘍が見つかりクローン病と診断され即入院されてしまいました。3週間の絶食と点滴と薬にペンタサとゼンタコートカプセル(ステロイド剤)による治療を受けられました。
患者さんが当院を知ったきっかけは、当時治療を受けていた潰瘍性大腸炎の患者のブログでした。そのブログを更新していた患者は私の理論をよく理解されており、松本理論をわかりやすく絵を用いながら説明している記事を掲載されていたのです。今現在では諸事情によりもうブログは見られなくなってしまいましたがね。残念です。そして6月末、母親と患者さん二人で松本漢方クリニックに来院されました。
3種類の漢方薬を処方して様子を見ました。治療を始めて1か月の間、週3~4回身体がしんどくなられましたが、そのタイミングはばらばらで、普通に生活している時に急にしんどくなって気分が悪くなり横になっておられました。他にも朝から体が重たく1日中寝込んでしまったり、かと思えばしんどくなっても1~2時間休めばすぐ回復することもありました。しかし、この患者さんは体がしんどくなるだけで発熱はありませんでした。便は下痢~泥状便の状態で、腹痛は食事中や普通の生活に痛みがありました。
2ヶ月後、週に2~3回と少ししんどくなる回数が減ったものの、前回と同様に急にしんどくなったりすることがありました。しかし1日中寝込むことはなくなったそうです。徐々にしんどくなる程度が軽くなっていき、便も下痢から軟便、固形便へ戻っていきました。腹痛も少しずつ痛みが治まっていき日常生活でたまに少し痛む程度までに回復していきました。食事はラーメンや揚げ物などの脂っこいもの以外はなんでも食べてもらっています。症状が良くなってきた頃にはカレーライスや焼きそばやドーナツを食べても何の異常も起こりませんでした。どれも久しぶりに食べられてとてもおいしかったと大変喜んでいました。
この患者さんはクローン病と診断される前は、自身の能力以上に頑張って自分を追い込み努力することが当たり前だと思われていました。しかし、そのような無理を積み重ねストレスを溜めた結果がクローン病につながったと患者さんは理解されたのです。心の在り方を変えた患者さんは、自分ができることは限られており適切な努力をしたならば後はもうあきらめる。今は自分ができることに集中し、気楽に毎日楽しく過ごせるようになりました。
症例報告187例目
完治された病名1)クローン病
患者:22歳、男性
この患者さんは17歳の時に自覚症状が感じ始め、鳩尾から下腹部にかけて痛み、下痢、吐き気の症状がありました。地元にある元国立病院で診てもらっていましたが、バリウムや造影CTでは異常は見られず「心因性」と診断され、心療内科を紹介されました。しかし、患者さん自身はそんな筈はないと思い通院をやめられました。
それからお腹の痛みに耐えながら約3年が経った2015年8月中旬頃、右下腹部に異常な痛みを感じ、すぐに内科を受診されました。腸炎と診断され1週間クラビット(抗菌剤)を飲み続けても痛みはとれず、再度受診し、エコーを撮りました。エコーでは右下腹部に影を見つかり、その部位を造影CTで再度撮影したところ、小腸末端部分に瘻孔が確認され、内容物が出ていたものの腸壁によって核酸が防げていた状態だったらしく、腹膜炎を起こす1歩手前だったそうです。当時のCRPは14でした。
それからは医師の判断により、労災病院を紹介され、そのまま入院することになりました。特定疾患の申請に向けての検査を重ねられましたが、肉芽種は検出されず、CRPが落ち着いて2か月後には退院され、通院で経過観察されていました。その時の処方はペンタサのみでした。
主治医が転勤することになり、通いやすい近大病院へ転院し、経過観察を継続されていました。その間にCRPの値が上下を繰り返し、月に1週間くらいはエレンタールでの絶食で対処されていました。月に1回、大腸内視鏡を受けての繰り返しをされていました。
2017年2月21日、急に上腹部に激痛がおき、大学病院に受診。CRPが17と高値により急性期病棟へ入院されました。数日でCRPは0.6まで減少し、絶食から食事再開されましたが、食事開始に伴い再燃、CRPが6まで上昇してしまいました。そのことから主治医の指示のもと、小腸ダブルバルーンとゾンデを受けました。回腸末端20㎝ほどが重度の狭窄をしているとのことと、狭窄部位がちょうどカーブしている場所だったので形成術は破裂の危険があると言われ、そのままオペが決まり同年3月29日にオペを実施。回腸末端の狭窄部位の部分切除が行われました。ちなみに狭窄していた腸管は潰瘍だらけで傷だらけだったそうです
術後、体調は悪化し、創部感染や腸が動かなくなってイレウスになってしまうなど起こりました。イレウスとは、一部あるいは広範囲に腸管が麻痺または痙攣を起こし、内容物の流れが止まってしまった状態です。局部的な炎症や結石発作による腸管への刺激などがもとで起きます。腸管をコントロールする自律神経のはたらきの異常が原因になることもあります。
手術から数日後、体調が戻ってくると主治医が生物製剤を勧めてきました。当時22歳だった患者さんは「考えておきます」と返事し先送りにしました。どうにか薬をさけることができないかと思った患者さんはインターネットで生物製剤のことや、様々な同病者のブログを読み漁っていくうちに、当院で治療していた患者のブログにたどり着きました。記事を読んでいくと、ヘルペスの感染領域や、生物製剤、ステロイドによる影響、ヘルペスの増殖等、私の論文を分かりやすく解説していたのです。ずっと悩んでいたものが解決されました。
入院中に何度も私が書いた膠原病の論文を読み返しました。そして西洋医学に頼らず病気を治そうと決意するに至りました。父親に相談し、生物製剤治療を断って、CRPも3ほどに落ち着いたので退院され、1週間後に松本漢方クリニックに来院されました。
処方した薬は、3種類の漢方煎じ薬とアシクロビル錠1日12錠、自宅でのお灸を毎日続けてもらいました。治療を始めて数日で下痢がなくなり、日に日に固形便になっていきました。便の回数も1日3回程度と減り、さらに当院の治療を続けていくと回数が徐々に減っていきました。2017年7月時点で排便は1日1回バナナ便が出てきました。この頃にクラススイッチが起こり胸にたくさんの発疹が出てきました。CRPや血沈はまだ異常値でリンパ球も24%と基準値内ではありますがまだまだ少ない値でした。
当院の治療を始めて3ヶ月後でリバウンド症状をあまり感じないまま、クラススイッチが起こりました。ステロイド剤のような強い薬を使ってこなかったのであまりリバウンドを感じずにクラススイッチが起こったのでしょう。たまにストレスがかかって下痢や腹痛をぶり返してしまうこともあるようですが、以前のような生活がままならないほど酷い状態ではなく、当院の漢方を飲むと数日で元気になり普通の生活を送れています。