症例報告128例目
完治された病名1)クローン病
患者:13歳、男性
13歳になる息子さんは、生まれた時から下痢続きで、離乳食を始めても便が固まったのは生後7ヵ月の時に1度だけで、1日に何度も下痢をしていました。数えきれない程毎週のようにベビークリニックや総合医を訪れても、きちんとしたアドバイスをもらえぬまま月日は過ぎて行きました。
息子さんが1歳1ヵ月の時、地域のかかりつけ医からようやく小児科を紹介されました。1人目の小児科医は「乳糖不耐症の疑い」、2人目の小児科医は「アレルギー性腸炎の疑い」、そして3人目の小児科医は「クローン病の疑い」と診断し、3歳7ヵ月の時に大腸内視鏡検査と内視鏡検査の結果、クローン病と診断されました。
検査直後に検査医からは「典型的なクローン病の症状は見られなかった。おそらくアレルギーの可能性が高いと思う。」と言われたのに対し、小児科医から「クローン病の疑い」と一変して結果を言われ母親はビックリされたそうです。しかしこの時はとにかく死ぬ病気ではないことが分かり心底ほっとしたことと、3年と7ヵ月間不明だった下痢の原因が分かりこれでちゃんと治療できると思いました。
標準治療は、サルファサラジン250mg(5ml)を1日3回服用することから始まりました。しかし、下痢は全く治まらず、小児科医の強い勧めで、プレドニゾロンを服用することに泣く泣く合意しました。母親は小さな子供に強い薬を使うことを拒否し、栄養療法で治療を行えないかと希望するも、小さい子供には必要な量の栄養分の補給を飲ませるのは無理と、取り合ってくれなかったそうです。
2007年7月5日から2007年9月22日までプレドニゾロンを服用されました。1日20mgの服用を2週間続けた後、1週間毎に2mgずつ減らしていきました。服用後1日で下痢はピタリと止まりました。副作用で食欲は旺盛になり、ムーンフェイスはご本人も自分の顔じゃないと嫌がるほどでした。プレドニゾロン服用後は、再びサルファサラジンを服用しました。しかしステロイド剤の免疫抑制効果が消えた2007年2月26日から、再び下痢が始まりました。
2007年3月28日より、下痢は1日1回から2回に増え、排便時にいつも少量の下血が生じるようになりました。そして、サルファサラジンも250mg(5ml)→300mg(6ml)→400mg(8ml)と、どんどん服用する量が増えていきました。
2008年11月13日、長い話し合いの結果アザチオプリン(免疫抑制剤、別名イムラン、アザニン)を30mg1日1回服用することに合意しました。代わりにサルファサラジンは300mg(6ml)を1日3回服用することになりました。2009年7月16日にアザチオプリンを40mgに増量しましたが、血液検査の結果に特に変化はみられず下痢のままでした。
2011年3月2日、再びアザチオプリンを増量するよう打診されました。症状が悪化すれば薬の増量、またはステロイド剤を処方することしか勧めてくれない上、毎回息子さんの治療状況を把握して診察に臨んだことが殆どないこの小児科医に不信感を抱き、4人目の小児科医へ変更されました。
4人目の小児科医のもとで栄養補給ダイエットを初めて受け入れてもらえ、治療を開始されました。しかし事前に確認したにもかかわらず、栄養士の手違いで乳製品入りのものを支給され、嘔吐・下痢の為1週間で中止。その後、今後体調が悪化するようであれば、MRI、内視鏡検査、そしてインフリキシマブ(レミケード)を服用するよう勧められました。「まだ小さな子供に、こんなに強い薬を処方するなんて、これから先の長い人生、増量しても薬が効かなくなったらどうするの?ステロイドでも効かなくなったらどうするんだろう。こんなこと続けていて良い訳がない。」と、別の治療法を模索し始めました。
そんな中、「クローン病」と診断されたことによって、インターネットで「クローン病 完治」と検索し、松本漢方クリニックを見つけることができました。「これで息子は治る!」と思った矢先に東日本大震災が起きました。色々なことが正常に機能していない中、小さな子供を連れて知らない土地へ行くのは危ないと断念した為、1年間長くアザチオプリンを服用することになりました。以下にこれまでの薬の服用量を載せておきます。
<標準治療における薬の服用量>
•サルファサラジン 2007年6月~2012年7月まで
合計量 11.622L/581.1g
•プレドニゾロン 2007年7月5日~9月22日まで
合計量 916mg
•アザチオプリン 2008年11月~2012年7月まで
合計量 2.776L/55.52g
毎日少量ずつ、この5年間で14リットル以上もの薬を服用させていたのです。数字ではっきり見ると恐ろしい量です。
2012年7月27日、松本漢方クリニックに来院。先に予約してもらった鍼灸を受けてもらってから診察を行いました。断痢湯(下痢)、補中益気湯(アトピー)、小青竜湯エキス顆粒と荊芥連翹湯エキス混合薬(風邪)、セフカペンピボキシル塩酸塩(抗生物質)細粒小児用10%「トーワ」100mgを1週間分と紫雲膏(赤色)、中黄膏(黄色)塗り薬を処方し、1週間後にまた受診するように指導しました。
2012年7月30日から漢方薬を飲み始めました。翌日、太ももの後ろ側に発疹ができましたが、赤い塗り薬を塗るとすぐに治ったそうです。初日は漢方薬が苦くて半分も飲めませんでしたが、慣れていくと一気に飲み干せるようになりました。夏風邪を引いてしまいましたが、1週間過ぎると普通便になりました。
1週間後、薬の依頼と血液検査の結果を聞くために電話診察。血沈は8 (基準値は5以下)、抗核抗体が陽性(40倍)、コレステロールが低い(112)。ヘモグロビンの値が低く(11.6)、軽い貧血になっていました。MAST33というアレルギー検査では、鶏肉以外の全てにアレルギーがあるのでIgGからIgEにクラススイッチしてアトピーが出た後、アトピーが治るまでに時間がかかりますが、最終的にはアトピーも自然後天的免疫寛容を起こして治ります。何も心配しなくていいと説明し、この日から今まで標準治療で投与されていた薬はすべて止めて、漢方のみの治療が始まりました。毎日のお灸と週2回の漢方風呂。湿疹が出てきたら、赤色の軟膏を、血が出たら黄色い軟膏を塗るよう指示しました。
2012年8月22日、2回目の受診。血液検査の結果と患者さんの様子からそこまで酷い状態ではなかったが、前回と同じ薬を1ヵ月分処方しました。
2012年9月18日、水下痢になりました。リバウンドの始まりです。お腹全体が痛く、おへその左右の皮膚とお腹の中も痒くなりました。それからは、排便時お腹全体が痛くなったり(ヘルペス)、唇が赤くなってかさついたり、夜中もトイレに起きるようになったり水下痢の回数はどんどん増えていきました。
2015年7月29日に3度目の受診。6週間に1度の電話診察にて少しずつ色々な情報をいただきながら治療を続けてもらい、約3年間、潮の満ち引きのように色々な症状が少しずつ出ては治り、治っては出てを繰り返す日々でした。5年間も標準治療を続けてしまったので下痢が治るまで時間がかかります。下痢の治療に集中するために、アトピーのお薬(補中益気湯)は一旦中止し、断痢湯のみ服用することにしました。
この3年間で1番息子さんにとって辛かったのは、学校でトイレに間に合わないことでした。治療を開始した1年目は、多い時には週に2回、少なくても2週間に1回はおもらししてしまいました。2年目は担任の先生が好きで学校が楽しかったらしく、トイレに間に合わない回数もかなり減って1学期に1回くらいになり、2泊3日の遠足も1度もおもらしせずに帰って来られました。しかし、3年目は担任の先生と気が合わず、小学校卒業時の試験と重なり、おもらしの回数は1年目と同じくらいになってしまいました。この病気の回復は、ストレスによって大きく左右されることを痛感されました。
水下痢が長く続く為、排便の際肛門が痛くなったり、口の横が切れたり(ヘルペス)、毎日お灸を続けても、足が氷のように冷たかったりと症状が出る中、腹痛はトイレの時だけになったり、痒くなる箇所も増えていきました。春休みや夏休みなどの長期休暇中は、ストレスが減るせいか、よく食べてのんびりしているので、体重も増えました。
免疫が上がるせいか、口角炎になったり、右手の手首から肘まで物凄い発疹が出たり、1日中お腹が痒かったり、肘の内側が痒くなったこともありました。だんだん夜中に起きてトイレに行くこともなくなり、花粉症も1年ごとに症状が軽減されていきました。
中学校に入学すると、新しい環境に慣れるまで、玄関先やあとちょっとという時に何度かトイレに間に合わないことがありましたが、それ以降は1学期に1回もらす程度になっていきました。幸い息子の場合は、下痢以外の症状が軽い為、学校を殆ど休むことなく普通の生活ができました。
当院の治療を始めて4年目に入り何とか下痢を軽減させることはできないかと、2015年9月14日に乳製品を抜いた食事を始めました。そして、2016年4月11日にとぐろのような普通便が出てから軟便と普通便を繰り返し、その後普通便が2ヵ月ほど続きました。排便の際、力むくらい硬い時もあり、食前の漢方を止めて、断痢湯から治頭瘡一方に変えて要素を見ることにしました。「このままアトピーの治療を続けていけば、息子は完治する。」と、喜んだのも束の間、しばらくすると、学期末の試験のストレスからかまた下痢になってしまい、再び漢方薬を治頭瘡一方から断痢湯へ戻りました。
2016年7月29日、4回目の受診。夏休みに入りリラックスできたせいか、便も普通便に戻っており、症状で困っていることもなかったそうです。しかしその後、夏休みの暴飲暴食がたたり、また下痢に逆戻りしてしまいました。2017年に入ってようやく普通便に戻りましたが、まだまだ気が抜けない状況でした。
親が選択を誤ると子供が苦しみます。一般大衆は医者の言うことを盲目的に信頼してしまいます。しかし生後間もないうちに大量のステロイド剤や免疫抑制剤を入れるのではなく、漢方風呂で免疫を上げて治せば、成長が遅れることもなく一生薬漬けの人生を送らずに済むのです。息子さんは13歳で身長137.7cm、体重31kgとまだ10歳用の服を着ていました。母親は今でも悔やんでも悔やみきれない思いをされていますが、一人でどこへでも行けて、何でも食べられる体に変えてあげることが責任だと思っています。
一進一退でしたが、クラススイッチが起こってアトピーに変わり、アトピーも当院の治療によって完治されました。当院にはもう通われておりません。
症例報告129例目
完治された病名1)クローン病
患者:32歳
2014年6月頃にとても大きなストレスが掛かり、患者さん一人で解決しようと必死に考え込んでいました。数日後、1日に何度もトイレに駆け込むようになり、次第に粘血便のみが出るようになってきました。便自体は下痢ではなくずっと固形便でした。
以前、2012年にとても緊張する場面で胃が痛くなった時、1ヵ月程便に白い粘膜が付着することがあり、1ヵ月後には帯状疱疹となりましたが放っておくと治まりました。
しかし2014年に掛かったストレスはこれを凌ぐものでした。初めは治ったりまた発症したりの繰り返しでしたが1年が経つと症状が出ている期間の方が長くなっていきました。そのうち痔瘻になりましたが、絶対に手術を受けたくなかった患者さんは近くの行きつけの鍼灸院で針を何日もかけて打ってもらって膿を出しました。
大腸検査を2度受けるも原因はわからず、または「経過を見ましょう。」としか言われなかったそうです。患者さんの母親は西洋医学を嫌い、病院に全く行かない人だったため、患者阿讃も同じ理由で街の漢方屋の薬剤師さんに症状を伝えて処方してもらっていました。他にもダメもとで色々な治療を行いましたが2年たってもなかなか良くなりませんでした。そして発症した当時から見つけていた松本漢方クリニックのホームページをもう一度読み返すと、患者さんが不信に思っていたことが明確に論理的に書かれていたのを見て「ここしかない。」と思い、当院を受診されました。
自宅に帰って、早速食前と食後の漢方薬、アシクロビルとフラジールを飲みました。食前は何日かで慣れましたが、しばらく経つと食後の甘い漢方の方が患者さんには辛くなっていき、吐き気がひどいということで吐き気を催さない顆粒の漢方を出しました。漢方風呂を週2回、お灸を毎日してもらうといつの間にか症状は軽くなり血は止まっていきました。
粘膜もフラジールで解消しました。漢方を飲む前の固形だった便は軟便に変わってしばらく続いたので、食後の漢方を変えると固形便に戻りました。しかし、また粘血が固形便に付着し始めたので食後を甘い漢方に戻しました。
何回か繰り返して、2016年10月頃、足の指全部がしびれて歩き方が変になり、タコができやすくなって足裏が痛くなったり、すぐに歩き疲れたり、正座から立つときに指に感覚があまりないので変な方向になっていたりすることがありました。爪を切る時も感覚がないので肉まで切ってしまわないかハラハラしたそうです。1年ほど“治打撲一方湯”を飲み続けてもらいました。たまにストレスがかかった時には血が付着したりされるそうですが、自分で心の在り方をコントロールし、無事に日常生活を過ごせています。